神戸常盤大学紀要 第 3 号 2011 37 − − 【目 的】ヒトの歩行運動は、固有脊髄神経システムが依存している。そのうち前端は、歩行運動の発令と停 止および歩行様式の環境への適合を司り、主に大脳を中心として発達した認知機能に適合する高次の脳神経シ ステムと連携していると言われている。すなわち、歩行時の歩容形態は、認知機能と関連性が高い。しかし、 これまでの研究は、歩行活動量や強度に重きをおいたものが多く、歩行形態の変化から認知機能および生活習 慣等の改善を試みたものは少ない。 本研究では、認知症および要介護等の高齢者を対象として、歩行時の形態を観察するとともにその改善にむ けた運動方法を実施し、認知機能および生活習慣等の変化について検討を加えることにした。 【対象者および方法】NPO 法人うぇるねすコア21 倫理委員会(構成:医師、看護師、介護士他)の承認有 対象者:兵庫県の高齢福祉施設(グループホーム、ショートステイ)を利用している女性6名(平均年齢86 ±4歳) 実施期間:2009年9月11日−2009年12月10日 方 法:1. 被験者の腰部に歩行定量化ツール Leg LOG を装着し、各5秒間の普通歩行、その直後にストッ クウォーキング、さらにその直後に普通歩行(計3回の歩行)を実施し、それぞれの歩行時におけ る重心移動バランス(上下、前後、左右)を測定した。2. 被験者に対して週5日程度のストック ウォーキングを10分程度実施する。3. 各施設に勤める複数の介護士が、被験者の認知機能および 生活習慣の変化について観察した。 【結 果】 1. ストック使用前後の上下移動リサージュ波形変化では、認知症患者および一般施設高齢者とも、左右の ローリング動作に改善が認められた。 2. 全被験者において、ストック使用後は、使用前に比べ、立脚中期から立脚終期(蹴り出し期)にかけて の重力加速度の増加が認められた。 3. ストック使用後の左右加速度には、安定した周期性が認められた。 4. 介護士による観察から、認知機能や生活状況が改善される傾向が認められた。 【結 論】 ストックを使用した歩行は、歩行能力を改善し、認知機能や生活行動等にも好影響を与えることが示唆され た。その理由としては、以前できていた歩行を身体で感じ取ることができたため、意欲的に取り組む意識が生 まれたのではないかと考えられる。 以上は、ストックウォーキングは、認知症改善に向けた運動プログラムとして有効であると思われる。
高齢者の歩行形態変化が認知機能および生活習慣におよぼす影響 -3ヶ月間にわたるストックウォーキング前後の比較から-
1
0
0
全文
関連したドキュメント
成績 在宅高齢者の生活満足度の特徴を検討した結果,身体的健康に関する満足度において顕著
はじめに 中小造船所では、少子高齢化や熟練技術者・技能者の退職の影響等により、人材不足が
「普通株式対価取得請求日における時価」は、各普通株式対価取得請求日の直前の 5
一方、Fig.4には、下腿部前面及び後面におけ る筋厚の変化を各年齢でプロットした。下腿部で は、前面及び後面ともに中学生期における変化が Fig.3 Longitudinal changes
第2条第1項第3号の2に掲げる物(第3条の規定による改正前の特定化学物質予防規
「1 カ月前」「2 カ月前」「3 カ月 前」のインデックスの用紙が付けられ ていたが、3
認知症診断前後の、空白の期間における心理面・生活面への早期からの
講義後の時点において、性感染症に対する知識をもっと早く習得しておきたかったと思うか、その場