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矢板工法で建設された寒冷地トンネル覆工の

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Academic year: 2021

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博 士 ( 工 学 ) 松 尾 優 子

学 位 論 文 題 名

矢板工法で建設された寒冷地トンネル覆工の      温度応カに関する研究

学位論文内容の要旨

  トン ネルは道路だけで没く、鉄道 、水道、電力、通信等と、最近では、その用途は多様化し、特 に人口 が多く、また国土の3分の2が 山岳地帯で可住面積が狭隘 である我が国のよう誼場合には、

トンネ ルは今後の社会開発とアメニ イティーの確保のためにも重要を社会基盤施設のーつに位置付 けられ ている。同時に、これからの トンネル等の社会資本の維持・整備に当たっては、我が国が置 かれて いる少子高齢化社会、経済活 カの低下等、今後の社会情勢の変化にも十分に対応がとれるよ う没配 慮が必要とされる。そのため 、トンネルの計画、設計、施工、維持管理等の各段階における 技術の 開発、向上は益々重要にをる ものと思われる。

  しか し、トンネル構造物は地上の 構造物と異をり、地中に位 置する線状の構造物であることか ら、ト ンネル周りの地山等の性質を 十分に把握し、それを設計・施工等に生かすのが困難教場合が 多く、 過去の設計・施工事例を参考 にする「経験的教手法」により建設される場合が多い。そのた め、供 用後の変状についても、その 対策は建設時と同様に経験的潦対策工による場合が多いのが現 状であ る。このように、トンネルの 計画から維持管理に至る各段階における検討は、解析的、定量 的評価 に基づぃて行うことが望まれ 、今日多くの努カが払われているが、まだ更に時間を要するも のと考 えられる。

  さて、北海道のように、厳しい気象条件下に建設されるトンネルは、冬季間の氷柱や側氷の発達、

地山凍 結による覆工変形、及び覆工 コンクリート表面のひび割れ等、何らかの凍害を受ける危険性 が高く 、道内において供用中のトン ネルの約半数に変状が認め られ、その8割程の変状に寒さが大 き顔影 響を与えていると言われてい る。特に変状は、NATM(New Austrian Tunneling Method、ナ トム) が現在の標準工法と詮る昭和50年代後半以前において、矢板工法(在来工法)により建設さ れたト ンネルにおいて著しく、その 変状対策としては、最近ではトンネル内空側に断熱材を設置す る外部 断熱工法が採用され場合が多 い。

  しか し教がら、トンネル構造物に ついてもライフサイクルコストを意識した取組みの必要性が再 認識さ れつっある今日、維持管理段 階におけるトンネル覆工の 適切教健全度評価を実施する上に も 、厳 し い気 象条 件が トン ネ ル覆 工の カ学 的挙 動 に与 える 影響 の 解明 は重 要と 考え ら れる。

  以上 のよう顔背景から、本論文で は矢板工法で建設されたトンネルを対象に、気象条件がトンネ ルのカ 学的挙動に与える影響を明ら かにし、及び今後の維持管理及び変状対策工の検討のための基 礎資料 の整理を目的として、トンネ ル内気温変化は年変化の周期的現象及びトンネル断面は円形と の仮定 の下に、トンネル覆工の温度 応力解析を試みたものであ る。

  本 論 文 は 全 5章 か ら 構 成 さ れ て お り 、 各 章 の 概 要 は 以 下 の 通 で あ る 。

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(2)

  第1章では、本論文の序論として 、本研究に関係する既往の 研究をレビューするとともに、本研 究の背 景及び目的をのべた。

  第2章で は、第3章、第4章において必要と 教るトンネルの構造特性(ト ンネル延長、トンネル 径、覆 工厚)を道内255本のトンネ ルデータに基づき明らかに し、また気温特性(年平均気温、年 振 幅 ) に つ い て は 、 道 内13都 市 の 過 去10年 間の 気 象デ ータ に基 づぃ て 整理 を行 って いる 。   第3章では、温度応カの算定に必 要と教るトンネル延長方向 の任意の位置における覆工内の冬季 間温度 分布について、理論的教検 討を行っている。す誼わち、地山とトンネルから成る2層系モデ ルを用 いて、外部断熱工法におけ る断熱材のトンネル延長方向の施工範囲を決定するために提示さ れ、か つ道内6箇所のトンネルの実 測気温との比較検討からそ の有効性・妥当性が確認されたトン ネル延 長方向の坑内気温算定式か ら算出されたトンネル坑内温度を入カ温度として、トンネル覆工 の温度 分布特性を検討した。その 結果、トンネル覆工の地山方向温度分布は、覆工厚さ方向には、

覆工外 側温度(地山側覆工表面温 度)と覆工内側温度(トンネル坑内側覆工表面温度)の平均値TO 及び覆 工外側温度と覆工内側温度 の差△Tでもってほば直線的 に表されること、一方トンネル延長 方 向に は 、TOは トンネル坑ロから遠ざかるに つれて穏やかに減少し、△rはトンネル坑ロから遠 ざかる につれて穏やかに増加する ことが分かった。さらに、トンネル延長、トンネル径、覆工厚、

地山の 熱伝導率等の温度分布に与 える影響の検討を行い、温度応カに大き顔影響を与える△Tは、

道 内 ト ン ネ ル で は 、0.15くAT/ O( @ 〓 年 振 幅 ) ≦0145で あ る こ と を 示 し た 。   第4章では、前章のトンネル覆工 内の温度分布を下にして、 覆工の応力特性(トンネル円周方向 応力〇eとトンネル延長(軸)方向 応力0 z)の検討を行った。すをわち、覆工の挙動を薄肉円筒殻 理論で 記述し、地山側覆工背面は 空隙があり、またトンネル延長方向の境界条件を自由とする、い わ ゆる 内 部拘束 的教温度応カの理論的・解析 的顔検討を試みた。その結 果、00と0エともその値 はトン ネル坑口近傍でピーク値を 示し、トンネル中央に向かって減少する分布特性を示すこと、ま た0eに 関する既往の簡易教算定式 の結果は、トンネル中央部で は本算定結果と良く一致するが、

坑ロ近 傍では4割程度大きめの結果 を与えることが分かった。 さらに、道内トンネルにおいては、

例えば08のピーク値の範囲は、a=線膨張係数、E=弾性係数と記 せば、0.1く00/(aEO)〈―0135 である ことを示した。

  第5章は総括であり、本研究で得 られた成果の要約を述べた 。

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学位論文審査の要旨

学 位 論 文 題 名

矢板工法で建設された寒冷地トンネル覆工の      温度応カに関する研究

  トンネルは、人口が 多く、また国土の3分の2が 山岳地帯である我が国では、 隔離された地域間 の交流を可能にする有 効を手段であり、今日まで数多く建設されている。しかし、トンネル構造物 は地上の構造物と異教 り、地中に位置する線状構造物であるため、トンネル周りの地山等の性質を 十分に把握し、それを 設計・施工に生かすのが困難教場合が多く、過去の設計・施工例を参考にす る「経験的教手法」に より建設される場合が多い。そのため、供用後の維持・管理においても、建 設時同様に経験的教手 法が用いられているのが現状であり、トンネルの計画、設計、施工、維持・

管 理 の 各 段 階 に お け る 技 術 の 開 発 、 向 上 は 益 々 重 要 に を る も の 思 わ れ る 。   さて、北海道のよう 教寒冷地に建設されたトンネルの変状では、その原因のーつに寒さが指摘さ れる 場合 が 多く 、特 にNATMが 現 在の 標準 工法と 教る昭和50年代後半以前に 矢板工法により建設 されたトンネルにおい て著しい。しかし誼がら、寒さが線状構造物であるトンネルに与える影響の 把握は、これまでは横 断面におけるカ学的検討が行われているものの、トンネル延長方向について の検討は、これまでに 十分をされてい数いようで ある。

  以上のよう趣背景か ら、本論文では矢板工法で建設されたトンネルを対象にし、寒さがトンネル 延長方向のカ学的挙動 に与える影響を明らかにするために、トンネル覆工の温度応力解析を試み、

その検討結果を維持管 理に携わるトンネル技術者に資する情報として取りまとめを行っている。本 論文は全5章から構成 され、各章の概要は以下の通 りである。

  第1章 で は 、 本 論 文 の 序 論 と し て 、 本 研 究 の 背 景 及 び 目 的 を 述 べ て い る 。   第2章 では 、矢 板 工法により建設された道内の トンネルの構造諸元の特性 について主教検討を 行っている。すをわち トンネル255本のデータに基 づき、例えぱトンネル延長(L)については、平 均 が250m、 全 ト ン ネ ル の80%以 上 の ト ン ネ ル がL≦500mであ るこ と、 また ト ンネ ルの 換算 半 径(r) につ いて は 、全 体の70%が3m≦―r≦4mで あり 、平 均 が約3.5mであ ること等を明らかに している。

  第3章では、次章に おいて必要と教るトンネル延 長方向に関するトンネル覆工内温度分布特性に ついて理論的検討を行 っている。す教わち、ここでは、解析モデルには、矢板工法の施工上の問題 から生じるトンネル覆 工と地山間の空隙の熱伝達率を無限大として取り扱った2層系モデル(地山‐

トンネル覆工)及び、 入力温度と教るトンネル坑内延長方向の温度には、トンネル延長方向の外部     ー112ー

隆春 仁       豊俊 上 和 江 三 名 蟹 授授 授 教教 教 査査 査 主副 副

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断熱 材の施 工範囲を求めるために提示され、雄信内、定山溪トンネル等道内6トンネルの実測デー タとの比較検討から妥当性・有効性が検証されている既往の坑内温度算定式を用いて検討を行って いる。その結果、トンネル覆工内の温度分布は、覆工外側表面温度(地山側)と覆工内側表面温度

(ト ンネル 坑内側)の平均値ro及び覆工内外表面温度の差△Tでもって直線的に表されること、一 方ト ンネル 延長方 向に対 するT0及 び△rの 冬季間 温度分 布は、それぞれトンネル坑口から遠ざか るにつれて穏やかに指数関数状に減少及び増加することを明らかにしている。さらに、トンネル諸 元等 の温度 分布特性に与える影響の検討を行い、温度応カに大き顔影響を与える△Tは、道内トン ネルでは△T/@(@=年振幅)=0.15〜0.45であることを示し、トンネル技術者が維持・管理を行う 上での有益次情報を提供している。

  第4章で は 、前 章のト ンネル 覆工内 温度下 におけ るトンネ ル覆工 内側表 面の円 周方向 応力oe 及び 延長方 向応力oエの基礎的叔検討を行っている。す顔わち、ここでは、覆工のカ学的挙動を薄 肉円筒殻理論を用いて表し、またトンネル覆工と地山間には空隙があり、両坑ロの境界条件を自由 とす る、い わゆる 内部拘 束的を 温度応カの理論的・解析的顔検討を行っている。その結果、08と 0エと もに、 その引張応カは、トンネル坑口近傍でピーク値を示し、そこから遠ざかるにつれて単 調に減少するという特性を明らかにした。また、トンネル断面諸元等をパラメータとする数値計算 か ら 、Oaと 〇エ のピー ク応力 値の範 囲とし ては、a=線膨張 係数、E=弾性係 数と記せ ば、0.1≦ 0 e/(aE@ ) 及び0z/(aE@ )≦0.35と教る ことを 明らかに すると ともに 、トン ネル技 術者が 覆 工表面の温度応力状態を容易に推定できる算定式として、覆工厚を関数とする一次の簡易顔それを 提案している。さらに、円周方向応カについては既存の適用可能と思われる評価式に検討を加え、

両坑口から遠く離れたトンネル中央部の評価式の結果は本算定結果と良く一致するが、坑ロの影響 を考 慮した ピーク 応カの 評価式 は本算定 結果よ り3割程 度大きめの結果を与えることを指摘して いる。

  第5章では、本研究で得られた成果を総括している。

  これを要するに、著者は、矢板工法により建設され、数十年経過した寒冷地トンネルの維持・管 理の在り方を検討する際の基礎的資料の入手を目的に、寒さのトンネル延長方向の温度応力特性に 与える影響を円筒殻理論に基づき明らかにしたもので、今後のトンネル工学、寒冷地工学及び構造 力学の発展に貢献するもの大なるものがある。よって、著者は、博士(工学)の学位を授与するのに 値するものと認める。

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参照

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