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博 士 ( 医 学 ) 大 沼 法 友 学 位論 文 題 名 Hyposensitization Attenuates Airway Inflammation andAntigen-Induced Proliferative Response by Lymphocytes inaRat h/Iodel of Bronchial Asthma・

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Academic year: 2021

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博 士 ( 医 学 ) 大 沼 法 友

    

学 位論 文 題 名

Hyposensitization Attenuates Airway Inflammation   andAntigen‑Induced Proliferative Response by Lymphocytes inaRat h/Iodel of Bronchial Asthma

  

(ラット気管支喘息モデルにおける気道炎症と 抗原誘発リンパ球増殖反応の減感作による減弱)

学 位 論 文内 容 の 要 旨

  

減感作療法は、古くから気管支喘息の治療に用いられている。しかし、その作用機序 は未だ十分に解明されてはいない。喘息患者を対象にした検討では、主に血清中の免疫 グロブリン(IgE 、

IgGi

IgG4)

の変動が研究されてきた。しかし、喘息の病態の中心で ある気道炎症と呼吸生理学的指標の関連については確立していない。そこで今回、ラッ トの気管支喘息モデルに減感作処置を施し気道反応性の変化を検討すると共に、気道の 炎症細胞を回収し免疫学的な解析を行った。

  

動物モデルの作成には、IgE 産生能が高いBrown −Norway 系ラットを使用した。感作群

(喘息モデル)には、1 日目に卵白アルブミン(以下OA と略す)を水酸化アルミニウムゲ ルに混和したものを皮下注射し、同時に百日咳ワクチンを腹腔内投与した。さらに15 日 目にOA を吸入させ、23 日目にはOA 吸入による気道収縮を誘発した。一方、15 日目までに 同様の感作を施行し、

17

日目から22 日目には減感作処置としてOA を腹腔内投与した群を 減感作群とした。また、OA を含まない溶液だけを注射し、次いで吸入させた動物群は非 感作対照群とした。それぞれの群について、

23

日目にOA またはアセチルコリンを吸入さ せ、気道内圧の測定を実施した群と、それらを吸入 させずに気管支肺胞洗浄液(以下

BALF

と略す)分析と血清中のIgE 測定、末梢血リンパ球の抗原に対する幼若化反応などを 検討した動物群を別に用意した。BALF 細胞はスライドグラスに遠沈固定後、メイーギムザ 染色を行った。またりンパ球はFITC 標識・抗

CD4

抗体、または同・抗CD8 抗体を結合させ た後、フローサイ卜メリーによる解析を行った。ラッ卜末梢血から比重遠沈法により分 離したりンパ球を用いて、抗原(OA) 存在下で

72

時間培養し、トリチウムチミジンの取り 込みを測定し、リンパ球幼若化反応を検討した。OA に特異的なIgE 抗体価は、サンドイッ チELISA 法により測定した。

  

各群のラットについて23 日目に全身麻酔下に機械換気をしながら気道内圧をモニター した。対照液として生理食塩水を吸入させたが、各群とも気道内圧に変化はなかった。

OA

吸入時に非感作対照群での気道内圧は前値の105 士2 (SD )%と変化しなかったが、感作群

(喘息モデル)では189 土

16%

と有意に上昇した。感作群での気道内圧の上昇は、気管支 拡張剤吸入により速やかに下降した。また、気道内圧上昇を示したラットの病理所見は、

強い気管支収縮と周囲への炎症細胞浸潤であった。一方、17 日目から22 日目に腹腔内へ の抗原投与を行った群(減感作群)では気道内圧の前値は他の群と有意差はなく、抗原 吸入後の気道内圧は前値の131 土

10a6

にとどまり、感作群と比較して有意に低かった。同

58―

(2)

様 の 機 械 換 気 下 に ア セ チ ル コ リ ン を 吸 入 さ せ て 気 道 内 圧 が 前 値 の2倍 に な っ た 時 点 の ア セ チ ル コ リ ン 濃 度 で 、 非 特 異 的 な 気 道 過 敏 性 を 評 価 す る と 、 非 感 作 対 照 群 で は1 83O. 14 (SD)U {U=ーlog[Ach(ゝI)])、感作群では2.43土0.09U、減感作群では2.37土0.08Uであ り 、 感 作 群 で は 有 意 に 気 道 過 敏 性 が 亢 進 し て い た 。 一 方 減 感 作 群 で は 、 抗 原 に 対 す る 反 応 が 抑 制 さ れ た 状 態 に あ り な が ら 、 非 特 異 的 な 気 道 過 敏 性 は 改 善 し て い な か っ た 。   気 道 の 炎 症 を 反 映 し てBALF中 で は 主 に り ン パ 球 、 好 酸 球 が 増 加 し て い た 。 減 感 作 処 置 は 有 意 に こ れ ら の 細 胞 数 を 減 少 さ せ た が 、 依 然 と し て 非 感 作 対 照 群 よ り も 増 加 し て い た 。 さ ら に 感 作 群 で は 非 感 作 対 照 群 に 比 べ てCD4+細 胞 数 、CD8+細 胞 数 共 に 有 意 に 増 加 し て お り 、 特 にCD4+細 胞 の 増 加 が 大 き い た め 、CD4/CD8比 が 増 大 し て い た 。 減 感 作 群 で は 感 作 群 に 比 べ てCD4+細 胞 が 減 少 し て い た が 、CD8+細 胞 は 変 化 が な く 結 果 的 にCD4/CD8比 が 低 下 し てい た。

  末 キ 肖 血 リ ン パ 球 増 殖 能 に つ い て は 、OA非 存 在 下 で は 各群 問 に 有 意 差 を認 め な か っ たが 、 OA存 在 下 で は 感 作 群 が 非 感 作 群 よ り も 有 意 に 高 値 を 示 し 、 減 感 作 詳 は 感 作 群 よ り も 有 意 に低 く、 非感作 対照群 とほぽ 同じ 程度で あった 。

  血 清 中OA特 異 的IgE抗 体 価 は 、 感 作 群 で は 非 感 作 対 照 群 に 比 し て 有 意 な 上 昇 を 示 し た 。 減感 作群 でもIgEの上 昇があ り、感 作群 との問 に有意 差を認 めな かった 。

  以 上 の 結 果 を ま と め る と ラ ッ ト の 感 作 群 で は 抗 原 特 異 的IgEの 上 昇 、 抗 原 に よ る 即 時 型 気 道 収 縮 の 誘 発 、 非 特 異 的 な 気 道 過 敏 性 の 亢 進 、 気 道 へ の 好 酸 球 とCD4+リ ン パ 球 の 出 現 な ど 、 ヒ ト の 気 管 支 喘 息 と 共 通 す る 所 見 が 多 数 認 め ら れ 、 喘 息 モ デ ル と み な し う る と 考 え ら れ た 。 ま た 、 こ の モ デ ル に 対 し て 比 較 的 多 量 の 抗 原 を 全 身 投 与 し た 後 で は 抗 原 吸 入 時 の 気 道 収 縮 が 抑 制 さ れ て い た 。 こ の 変 化 は ヒ ト で の 減 感 作 に 相 当 し 、 そ れ に 要 す る 期 間 は ヒ ト で は 数0月 か か る の に 比 べ て 、 我 々 の モ デ ル で は7日 間 と 短 か っ た 。 こ の こ と は 、 ヒ ト に つ い て も 副 作 用 が 大 き く な ら な い 範 囲 で 至 適 な 抗 原 投 与 法 が 工 夫 さ れ れ ば 、 よ り 短 期 間 に 減 感 作 を 成 し 得 る こ と を 示 唆 し て い る 。 実 際 に ヒ ト に お い て も 数 週 間 の 減 感作 処置 で、喘 息症状 からの 離脱 を行う 試みが 報告さ れつっ ある 。

  抗 原 に 対 す る 気 道 の 反 応 と は 対 照 的 に 、 非 特 異 的 な 気 道 過 敏 性 は 減 感 作 処 置 後 で も 変 化 が な か っ た 。 ヒ ト で は 減 感 作 後 の 非 特 異 的 な 気 道 過 敏 性 が 改 善 し た と す る 報 告 と 、 不 変 と す る 報 告 が あ る 。 我 々 の モ デ ル で は 減 感 作 処 置 後 の 抗 原 特 異 的 な 気 道 収 縮 が 抑 制 さ れ た 状 態 で も 、 気 道 に は 依 然 と し て 好 酸 球 、 リ ン パ 球 が 残 存 し て い た 。 こ の よ う な 気 道 炎 症 の 持 続 が 非 特 異 的 な 気 道 過 敏 性 を 亢 進 さ せ て い る 可 能 性 が あ る 。 気 道 上 の 抗 原 特 異 的 な ア レ ル ギ ー 反 応 の 抑 制 が 持 続 さ れ れ ぱ 、 炎 症 細 胞 も 消 失 し 気 道 過 敏 性 も 正 常 化 す る も の と 推 定 さ れ る が 、 今 回 の 実 験 で は 減 感 作 の 期 間 が7日 問 と 短 い た め 、 そ こ ま で は 至 らな かっ たと考 えられ る。

  減 感 作 成 立 の 機 序 と し て 、 以 前 か ら 諸 説 が 検 討 さ れ て い る 。IgE抗 体 産 生 の 減 少 やIgG 型 阻 止 抗 体 の 増 加 が 気 管 支 喘 息 や 鼻 炎 な ど で 報 告 さ れ て い る 。 し か し 、 こ れ ら の 抗 体 価 の 変 動 が 、 ア レ ル ギ ー 症 状 の 改 善 と 常 に 並 行 し て い る わ け で は な い 。 我 々 の 動 物 モ デ ル で はIgEの 有 意 な 変 動 は な く 、 一 方 、 気 道 粘 膜 上 の 炎 症 細 胞 の 減 少 が 観 察 さ れ た 。 こ の 結 果 は 細 胞 性 免 疫 反 応 の 変 化 が 、 減 感 作 を 誘 導 し て い る 可 能 性 を 示 唆 す る も の と 考 え ら れ る 。 ま た ヒ ト の 喘 息 で はCD4+リ ン パ 球 が 活 性 化 し て い る こ と や 、Tリ ン パ 球 が 主 にIL4IL5な ど の サ イ ト カ イ ン を 発 現 し て い る こ と も 報 告 さ れ て い る 。 我 々 の 動 物 モ デ ル に お い て も 、 サ イ ト カ イ ン 産 生 の 変 化 を 介 し て 即 時 型 ア レ ル ギ ー 反 応 を 減 弱 さ せ て い る 可 能 性 が 推 測 さ れ た 。 ま た 減 感 作 群 で は 抗 原 に 対 す る り ン パ 球 の 反 応 性 も 低 下 し て い た が 、 同 様 の 変 化 は ヒ ト で も 報 告 さ れ て お り 、 リ ン パ 球 の 機 能 面 で も 我 々 の モ デ ル は ヒ ト の 減 感 作 状 態 と 同 様 の 傾 向 を 示 し た 。 こ の よ う な り ン パ 球 を 中 心 と し た 一 連 の 細 胞 性 免 疫 の 変 化 が 動 物 モ デ ル に お い て も 存 在 し 、 減 感 作 の 成 立 に 重 要 な 役 割 を 担 っ て い る と 推 測 さ れた 。

‑ 59−

(3)

学位論文審査の要旨

     学位論文題名

Hyposensitization Attenuates Airway Inflammation   andAntigen‑Induced Proliferative Response by Lymphocytes inaRat Model of Bronchial Asthma .

  

(ラ ット 気管 支喘息 モデ ルに おけ る気 道炎症と 抗 原誘 発リ ンパ 球増殖 反応 の減 感作 によ る減弱)

  

減感作療法は気管支喘息の治療に古くから用いられ、有効な治療法のーっとして 現在も続けられているが、その作用機序はまだ十分に解明されてはいない。喘息患 者を対象にしたものでは主に血清IgE 値の変動が検討されているが、必ずしもそ の値と効果は平行しないとする報告が多い。また現在、喘息の病態の中心と考えら れている気道の炎症細胞の動態を、減感作療法にっいて検討した報告は少ない。そ こで、ラットの気管支喘息モデルに減感作処置を施した後、気道収縮反応・気道の 炎 症細 胞・気道過敏性.IgE 抗体価・抗原に対するりンパ球の反応を調ぺた。

IgE

産生能が高いBrown ―Norway 系ラットを使用し1 日目に卵白アルブミン(以下

OA

と略す)を水酸化アルミニウムゲルに混和したものを皮下注射し、同時に百日 咳 ワク チン を腹 腔内 投与 した 。さら に15 日目にOA を吸入させた。一方、15 日 目 まで に同 様の 感作 を施 行し 、17 日 目から

22

日目には減感作処置としてOA を 腹腔内投与した群を減感作モデルとした。またOA を含まナょい溶液だけを注射、吸 入した動物群は非感作対象群とした。それぞれの群において、23 日目にOA また はアセチルコリンを吸入した際の気道内圧を測定した。また、同様の処置をした別 のラットを各群用意し、気管支肺胞洗浄液(以下BALF と略す)分析、血清中の

OA

特異 的

IgE

抗体 価、 抹消 血リ ンパ 球の 抗原 に対 する 増殖 反応を 検討した。

  

結果は、感作群では抗原特異的IgE 抗体価の上昇、抗原吸入時の即時型気道収 縮 の誘 発、 非特 異的 な気 道過 敏性の 亢進、気道へのCD4 十リンパ球、CD8 十リ ンパ球、好酸球集積、抗原に対する抹消血リンパ球増殖反応の亢進を認め、ヒトの 気管支喘息に相当すると考えられた。減感作群では、抗原吸入時の即時型気道収縮 の減弱、気道におけるCD4 十リンパ球と好酸球の減少、抗原に対する抹消血リン

    ‑ 60

彦 光

邦 利

林 出

小 上

授 授

教 教

査 査

主 副

(4)

パ球増殖反応の減弱を認めたが、非特異的な気道過敏性は有意な改善を示さず、抗 原 特異的IgE 抗 体価も有 意な低下を 認めなかった。以上より本モデルでは、減感 作処置後の気道の炎症細胞の量的、機能的変化が減感作の成立に必要であるが、I

gE

抗体の関与は少ないと考えられた。

  

審査にあたっては、副査上出教授より、1 .ヒ卜の喘息と比べて異なる点について、

2.

ラットを実験動物に選んだ理由について、3. リンパ球の増殖反応が抑制される機 序について、4. 抗原に対する気道反応性亢進の持続期間についての質問と、5. 抗原 投 与 量 に よ っ て は 抑 制 性

T

細 胞 が 誘 導 さ れ 得 る と の コ メ ン ト が あ っ た 。

  

次いで、副査川上教授から、1. リモデリングが生じるほどの長い感作期間ではない ことが減感作を検討するうえで適切かについて、2. 炎症細胞は減少しているが非特異 的な気道過敏性が減感作群で改善しなかったことについて、3 、減感作後に気道に残存 している炎症細胞の作用についての質問があった。

  

さらに、主査小林教授から1. IgE 産生能が高いラットを使った理由について、

2.

IgE

と減感作の関係について、3. IgG 抗体の変動について、4. 検査前日まで投与され ていた抗原の影響について、5. 減感作後の病理学的所見についての質問があった。ま た、6. 抗原に対するりンパ球増殖反応が減感作によって抑制された機序についての検 討が重要であるとのコメントがあった。いずれの質問に対しても、申請者は研究内容に 関する臨床での知見や、免疫学的な基礎的研究の文献を引用し適切な回答を行った。

  

今後、この気管支喘息減感作療法のモデルを用いることにより、減感作成立の機序を さらに詳細に解明することが出来ると期待される。

  

審査員一同は、気管支喘息減感作誘導時に気道上で観察された細胞性免疫の変化につ

いての研究成果を高く評価し、申請者が博士(医学)の学位を受けるのに充分な資格を

有するものと判定した。

参照

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