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博 士 ( 医 学 ) 鈴 木 晃 子 学 位 論 文 題 名 低 酸 素 ・ 低 栄 養 下 で の

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Academic year: 2021

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博 士 ( 医 学 ) 鈴 木 晃 子      学 位 論 文 題 名

低 酸 素 ・ 低 栄 養 下 で の

    ,   ●   亅   J  ●

matrlXmeta110protemaSe− 9( MMP― 9) の 産 生 増 強

学 位 論 文 内 容 の 要 旨

【緒 言】

  遠 隔 転 移 は 癌 に お け る 主 要 な 死 亡 要 因 で あ り , 遠 隔 転 移 を 抑 制 で き れ ば 予 後 の 改 善 も 期 待 で き る と 考 え ら れ て い る . 最 近 , 組 織 中 の 酸 素 濃 度 の 低 い癌 の ほう が高 い 癌よ り予 後 不良 であ り , 遠 隔 転 移 の 多 い こ と が 報 告 さ れ た . 細 胞 が 低 酸 素 に 曝 さ れ る と , 低 酸 素 誘 導 転 写 因 子 (hypoxia‑inducible factor‑l,HIF‑1) が 活 性 化 さ れ て , 低 酸 素 適 応 に 必 要 な 血 管 新 生 因 子 や 嫌 気 性 解 糖 系 酵 素 な ど の 発 現 を 誘 導 す る こ と が 知 ら れ て い る , 著 者 ら は , 低 酸 素 が 腫 瘍 細 胞 の 浸 潤 転 移 を 促 進 す る 可 台 眦 も あ る の で は な い か と 考 え , 低 酸 素 下 で 発 現 誘 導 さ れ る 細 胞 外 マ ト リ ッ ク ス 蛋 白 分 解 酵 素(matrix metalloproteinases,MMF瑚 の 同 定 をi式 み た . 髟 帥 のMMPsの う ちmarkmet刮Ioproteinase_9(MMP‐9) の プ □ モ → 夕 一 領 域 に ,HtF‐1の 結 合 配 列 を 認 め た た め , 低 酸 素 ・ 低 栄 養 に よ るMMP‐9の 発 現 匍 脚 に つ い て 検 討 す る こ と と し た , ま た ,MMP‐9発 現 亢 進 が 浸 潤 能 亢 進 に っ な が る こ と を 検 証 す る た め , 実 験 的 血 管 基 底 膜 モ デ ル と さ れ る Matrigelへ の浸 潤能 に つい ても 検 討し た.

【材 料と 方 法】

1. プ 口 モ 一 夕 ― 領 域 にHIF1が 結 合 す るMM降 遺 伝 子 の 解 析 : 当 教 室 の 王 が 作 製 し た コ ン ピ ュ 一 夕 ー プ 口 グ ラ ミ ン グ に よ り ,MMP.9遺 任 汗 の ブ □ モ ― 夕 ― 領 域 にHIF―1縦i合 配 列 が あ る か 否か 検索 し た,

2. 細 皰 株 : 脾 癌 細 珊 包 株5株 , 卵 巣 癌 細 職 蛛TTaV, 線 維 肉H重 細 靤 株HT1080など の ヒ卜 癌ネ 田 胞 を 用 い た , 低 酸 素 下 培 養 は1% 酸 素 濃 度 下 で 行 っ た , 低 栄 養 培 養 は , グ ル コ ― ス 無 添 加DMEM 培養 液に10%R芯 を渤 ロし た 低グ ルコ ー ス培 養液 で 行っ た,

3.DominantnegativeHIF−1a(dnHIF−1啣 導 入 膵 癌 細 胞 株 : 当 教 室 の 陳 ら が 樹 立 し た2ク □ − ンと べク 夕 一コ ン卜 □ ―ル を用 い た.

4.F汀 ―R淑 お よ びre刮 ‐timePa竃 糸E胞 よ り 抽 出 し たtotaIR丶 強 よ りcDNAを 作製 後,F汀‐R〓R は サ ー マ ル サ イ ク ラ ー に て 増 幅 し た .Fb刮 −tImeK瀬 はABIP鬥SM7900HTを 用 い て 行 な っ た,

5.We鋭emblot法 :Lysisbufferで 細 胞 を 溶 解 後 , 遠 心 し て 上 清 を 回 収 し 蛋 白 抽 出 液 と し た . サ ン ブ ル を 非 還 元 条 件 下 で12%polyacrylamidegelを 用 い て 電 気 泳 動 後 , ニ 卜 □ セ ル □ − ス 膜 に転 写し た .blockingbufferfこ てヨ 斟 寺異的結合をb|Ock後,1冫 欠抗体で標識した .洗汚噺麦2;欠

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抗体と反応させ,ECL det ection kit にて発色させたI

6 .浸潤能の検討:t ranswell  chamber の膜に40 倍希釈したMarigel をコートし乾燥させた,

使用前に1 時間培養液中に浸し,上室に細胞浮遊液を下室には培養液を入れ,24 時間培養したI 培養後,ギムザ液で染色し t 膜上面に付着している細胞を綿棒にて除去した,その後,膜下面に 付着している細胞数を倒立顕微鏡下で計測した・

【結果】

1 .低酸素・低栄養下での MMP ‐9mRNA 発現:各種膵癌細胞株において,低酸素下で誘導され るaut 一1m 丶A が誘導され,低酸素に反応していることを確認した.同細胞株において,低酸 素 下で MMP  ̄9mRNA 発現 が誘導さ れた. 冫欠に re 刮 ー timePCR によっ て各種癌 細胞株の MMP ―9m 降嶮発現を定量的に比較した.いずれも低グルコース,低酸素十低グルコ―ス下で MMP ー9mR 乢へ発現が有意に増強し,また但識素下では2 種類の細雌!株でMMP ―9m 丶へ発現 が有・意|こ増強した,

2 .低酸素・低栄養下でのMMP ‐9 蛋白発現:いずれの細胞株においても低酸素,低グルコ―ス,

低 酸 素 十 低 グ ル コ ― ス で 培 養 す る と , MMP − 9 蛋 白 発 現 が 明 ら か に 増 強し て い た 3 .低酸素・低栄養下での浸潤能:低グルコース,低酸素十低グルコース下での浸潤能はコン卜

□ 一 ル に 比 し 有 意 に 増 加 し た . ま た 低 酸 素 下 で も 浸 潤 能 は 亢 進 傾向 に あ った . 4 .dnHIF ‐1Q 導入株におけるMMP ー9mR 乢へ発現:ペクターコン卜□一ルでは,但酒菱素誘導遺 伝子である aut 一1 や刮doIaSeAm 剛A の発現が低酸素で誘導されるが,dnHIF ‐1Q 導入株にお いては発現亢進が認められなかった.ついで MMP −9m 剛 A 発現を re 刮‐ timePCR にて検討し たところ.am ‐1 等と同様にべク夕一コント口一ルでは低酸素下で誘導されるが,dnHIF ‐1Q 導 入株においては発現亢進が認められなかった.

【考案】

   本研究で,低酸素誘導転写因子 HIF −1 の結合配列のコンピュ一夕一解析から MMP ―9 を明ら かにした.さらに低酸素・低栄養下でMMP .9 の発現が増強すること,それによって癌細胞株 の浸潤能が亢進することを明らかにした,MM 円の転移における重要性に関しては,すでに多

<の論文が発表され周知の事実となっている.本研究は,低酸素や低栄養といった常に腫瘍細 胞が直面する環境そのものが,MM 円産生を増強することをはじめて明らかにした.一般に MM 円の発現は癌細胞からの産生および活r 生から検索することが多い.本研究では,著者らが 注目しているHIF ‐1 の機能からアプ□一チして MMP −9 を同定した.MMP ―9 のプ□モー夕―

領域に HlF _1 の結合モチーフが存在すること,およびdnHIF . 1a 導入株では低酸素による MMP ー9 発現亢進が消失していることは,低酸素によるMMP ー 9 の転写誘導が HIF ‐1 によって調 節され ている 可能性を強く示唆している,次に,低酸素,低栄養下におかれた癌細胞の MatrigeI への浸潤能が亢進することを示した.この現象には,上述したMMP ― 9 の産生増強が 関与することは明らかである.しかし,著者らはすでに,低酸素によって癌細胞の運動能を亢進 させる autocrinemotilnyfactor (AM りの産生亢進を見出しており,MM 隗だけが癌細胞の浸 潤能亢進に関与しているわけではない.低酸素や低栄養によって少な〈とも運動能とMM 降の 産生が亢進するという事実は.低酸素や低栄養という腫瘍環境自身が,癌細胞の転移能亢進を誘 導している可能性を強〈示唆する.そして,転移そのものが癌細胞の低酸素適応応答である可

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能r 生を示唆しており,今後検証すべき課題である.

【結語】

低酸素・低栄養下にある癌細胞の転移能亢進に,HIF‑1 を介したMMP‑9 の関与が推察された,

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学位論文審査の要旨 主査    教授    浅 香正博 副査   教授   細川眞澄男 副査    教授    田 中一馬

     学 位 論 文 題 名 低酸素・低栄養下での

    J  ●   i  J  ●

matrlXmetanoprotemaSe‐ 9( MMP― 9) の 産 生 増 強

  遠 隔 転 移 は 癌 に お け る 主 要 な 死 亡 要 因 で あ り , こ れ を 抑 制 で き れ ば 予 後 の 改 善 も 期 待 で き る . 最 近 , 癌 組 織 中 の 酸 素 濃 度 カq氏 い ほ う が 予 後 不 良 で , 遠 隔 転 移 の 多 い こ と が 報 告 さ れ た . 細 胞 が 低 酸 素 に 曝 さ れ る と 低 酸 素 適 応 に 必 要 な 因 子 の 発 現 を 誘 導 す る ,hypoxia‑inducible factor‑l (HIF‑1) カs:ztlt化 さ れ る . 本 研 究 で は , 低 酸 素 カs種 瘍 細 胞 の 浸 潤 転 移 を 促 進 す る 可 能 陸 を 考 え 低 酸 素 下 で 発 現 誘 導 さ れ る 細 胞 外 マ ト リ ッ ク ス 蛋 白 分 解 酵 素 (MMPS)の 同 定 を 試 みた . 既 知 のMMPSの う ち,mat rix

met alloproteinase‑9(MMP‑9)の ア ロ モ ー タ 一 領 域 にHIF‑1の 結 合 配 列 を 認 め た た め , 低 酸 素 ・ 低 栄 養 に よ るMMP‑9の 発 現 制 御 に つ い て 検 討 す る こ と と し た . 実 験 に は , 膵 癌 細 胞 株 , 卵 巣 癌 細 胞 株 , 線 維 肉 腫 細 胞 株 ,dominant negative HIF‑la(dnHIF‑lめ 導 入 株 を 用 い た , 低 酸 素 下 培 養 は1% 酸 素 濃 度 下 で 行 い , 低 栄 養 培 養 は ,DMBVIに 10%FCSを 添 加 し た 低 ク ゛ ル ] ― ス 培 養 液 で 行 っ た , R1‑‑PCFj real‑time PCR及 び Western blot法 を 用 い てMMP9の 発 現 を 検 討 し , ま た 浸 潤 能 の 検 討 も 行 っ た . ま ず , 各 種 膵 癌 細 胞 株 に お い て 低 酸 素 下 でMMP‑9 mRNA発 現 が 誘 導 さ れ る こ と を 確 認 し た (F叮 ―KR; 萄 . 次 にreal−time PCR法 に よ っ てmR丶IA発 現 を 定 量 的 に 比 較 し た . 低 ク . ル コIス , 低 酸 素 十 低 ク . ル コ ― ス 下 でMMP‑9 mRNA発 現 が 有 意 に 増 強 し , ま た 低酸 素 下 で は 2種 の 細 胞 株 で MMP‑9 mRNA発 現 が 有 意 に 増 強 し た , さ ら に | 全 て の 細 胞 株 で 低 酸 素 , 低 ク ゛ ル コ ー ス , 低 酸 素 十低 ク ゛ ル ] ―ス 下 に て ,MMP‑9蛋 白発 現 が 明 ら かに 増 強 し て い た(Western blot法) . ま た , 低ク . ル コ ― スI低 酸 素 十 低 ク゛ル コース 下での 浸潤能 は有 意に亢 進 し , 低 酸 素 下 で も 亢 進 傾 向 に あ っ た . 最 後 にdnHIF‑1Q導 入 株 に お け るMMP‑9 mRNA 発 現 を ,real‑time PCR法 に て 検 討 し たGlut‑l mRNA等 と 同 様| こ ベ ゥ タ −] ン ト ロ ー ル では 低 酸 素 下 で 誘 導 さ れ る が ,dnHIF‑1Q導 入 株 で は 発 現 亢 進 が 認 め ら れ な か っ た .MMP‑9の ァ ロ モ ー タ ― 領 域 にHIF1の 結 合 モ チ ー フ が 存 在 す る こ と お よ びdn HIFla導 入 株 で は 低 酸

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素 に よ る MMP‑9 発 現 亢 進 が 消 失 し て い る こ と は , HIF‑1 カ 叩 鯲 に よ る MMP‑9 の 転 写 誘 導 を 調 節 して いる 可能 性を 示唆 して いる , そし て, 低酸 素・ 低栄 養下 でMMP‑9 の発現が増強することをはじめて明らかにし ,さらに,癌細胞のMat rigel への浸潤能 が亢 進す るこ とを 示し た. これ ま でに ,低 酸素 によ って 癌細 胞の 運動 能を亢進させ る AMF の 産 生 亢進 も 確認 され てい る, すな わち ,運 動能 とMMPS の 産生 亢進 か ら, 低 酸素 や低 栄養 とい う腫瘍環境自体が,癌細胞の転移亢進を誘導して いる可能性を強く 示唆 した .転 移そ のものが癌細胞の低酸素適応応答である可能性を 示唆しており,今 後 検 証 す べ き 課 題 で あ る . 以 上 , 低 酸 素 ・低 栄養 下に ある 癌細 胞の 浸潤 転 移亢 進 に,HIF‑1 を介し たMMP‑9 の関与が推察された ,

   口 頭 発 表 後 , 副 査 田 中 一 馬 教 授 か ら , 正常 細胞 での MMP‑9 の機 能や HIF‑1 との 結 合 に つ い て , 細 胞 か ら の MMP‑9 の 分 泌 に つい て ,運 動能 に関 する 因子 とHIF‑1 の 関 与に つい ての 質問 があった.申請者はこれらに対し,HIF‑1 がdegradation される正常 細 胞 で は MMP9 は ほ と ん ど 機 能 し な い と 考 え ら れ る こ と , 培 養 ヒ 清 の MMP‑9 の 発 現 は 確 認 で き な か っ た こ と , 低 酸 素 で の AMF の 増強 が確 認さ れて おり HIF‑1 の関 与 が考 えら れて いる こと,など回答した.次いで,副査細川直澄男教 授から,低酸素・

低 栄 養 以 外 に MMP‑9 発 現 亢 進 を も た ら す 条 件 や 因 子 , ま た MMP‑9 の 活 性 に つ い て の質 問が あっ た, 申請者は|NF‑ ルB 等の関与が考えられること,ま た,浸潤能亢進か ら MMP‑9 の 活 性化 カ 渚え られ るこ と等 答え た, さら に, 主査 浅香 正博 教授 か ら, 細 胞 株 ご と の MMP‑9 の 発 現 の 差 ま た 転 移 能 の 差 に つ い て , 他 の 細 胞 株 で の MMP‑9 の 発現 につ いて ,等 の質 問が あっ た .こ れら に対してはR 丶IA とProt ein の採取の時期 の ず れ が 1 つ の 原 因 と 考 え ら れ る こ と | HT1080 以 外 の 細 胞 株 で は 今 回の 実 験系 で は浸 潤能 の確 認が できなかったこと,RI‑ ―PCR で示したように他の 多くの細胞株でも 低酸 素下 でMMP‑9 産 生増 強を 認め るこ と等 を回答した,最後に主査 浅香正博教授が,

転 移 機 構 に お ける MMP‑9 や他 の因 子と の関 わり につ いて の質 問の ほか ,上 記 審査 員 の 質 問 へ の 補 足 質 問 と そ の 回 答 の 確 認 を 行 っ て , 発 表 を 終 了 し た .    こ の論 文は ,腫 瘍環 境カ 転移 関 連遺 伝子 MM‑9 の発 現増 強さ せる 可能 性を初めて明 らか にし たこ と, また HIF‑1 との 関係 を示 唆したことで高く評価さ れた.今後のさら なる研究と将来の癌治療への応用が期待され る.

   審 査員 ―同 は, これらの成果を高く評価し,大学院課程における 研鑚や取得単位な

ども併せ,申請者カs't士(医学)の学位を受けるのに十分な資格を有すると判定した.

参照

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