• 検索結果がありません。

漁場造成用波浪制御構造物に関する基礎的研究 学位論文容の要旨

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "漁場造成用波浪制御構造物に関する基礎的研究 学位論文容の要旨"

Copied!
5
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

博 士 ( 水 産 学 ) 高 木    力

学 位 論 文 題 名

漁場造成用波浪制御構造物に関する基礎的研究      学位論文容の要旨

  【目的】沿岸における生産性を高めるために波浪条件の厳レい外洋域を増養殖場 として積極的に造成し利用することが以前から検討されてきている。しかし外洋域 では直接波浪の影響を受けやすく、網生簀などの施設の損壊や流失を防止するため に波浪制御構造物を設置して施設周辺海域を静穏に保つことが重要な課題となって しヽる。

  波浪制御構造物は重力式消波堤や浮消波堤をはじめとレて今までに種々のものが 考案されてきている。そのうちのーつに没水平板構造物がある。これは、一定水深 に平板を水平あるいは傾斜させて設置することによって波浪を制御しようとするも ので、次に示すような特徴を持っている。

  1.必要な建設資材が少なくてすむ。

  2.海面上の景観を害することがない。

  3.占有する空間が小さいので海水交換性が高い。

平板上を藻場造成用の基質として利用すれば人工海底の機能も具備させることがで き、没水平板構造物は外洋域での漁場造成において最も適した波浪制御構造物とレ て期待できる。

  しかしながら、没水平板周辺の波動場を解析した既往の研究では鉛直2次元モデ ルで扱っている場合がほとんどで3次元モデルで解析した例は非常に少ない。特に、

海域条件や没水平板の諸元を様々に変化させた場合、平板周辺の波高分布状態、波 浪による水粒子の運動、平板に作用する波カなどの物理的諸量がどのように変化す るかとぃったことを系統的に解析した例はほとんどなく、没水平板の最適な設計条 件 に つ い て は 十 分 に 明 ら か に さ れ て い な い の が 現 状 で あ る 。   本論文は、海域条件や没水平板の諸元および設置条件を数段階に変化させて没水

(2)

平板周辺の波動場をポテンシャル波動論に基づく境界値問題に帰着させて3次元的 に解析し、外洋域での漁場造成に必要な波浪制御構造物を最適設計するための基礎 資料を得ることを目的としている。

  【方法】3次元波動場における波と海洋構造物の干渉に関する波動境界値問題の 解法には、本研究では汎用性やプログラム開発の簡便性を考慮して境界要素法を適 用した。そして、できるだけ計算機容量を少なく抑える工夫として、3次元場におけ る境界要素法と2次元場における境界要素法を併用したハイブリッド法(以下ハイ ブリッド境界要素法と呼ぷ)を新たに提案することを試みた。これは構造物近傍に 仮想境界面を設けて、流体領域を外部と内部領域に分け、内部領域では支配方程式 の基本 解を核関 数とする 境界積分方程式を適用し、外部領域では2次元Helmholtz 方程式の基本解を核関数とする境界積分方程式を用いて両者で得られる解を求め、

これらを仮想境界面上で接続することによって未知ポテンシャルを決定するもので ある。これによって構造物の形状や海底地形を任意に設定できるほか、計算領域の 水 平断 面 形 状も 自 由に 設 定 でき る ので 、 未 知数 の 増大 を 抑 るこ と ができ る。

  まず、ハイブリッド境界要素法を適用する際の適切な要素分割方法について吟味 するため、計算領域の境界面上の要素分割を種々変化させて計算値の収束性につい て調べた。また、境界面近傍でポテンシャル値を算定する際は基本解の特異性によ り 計 算 精 度 が 低 下 す る お そ れ が あ る の で 、 こ れ に つ い て も 検 討 し た 。   次に、ハイブリ,ッド境界要素法の妥当性について検証するため、円柱構造物周辺 の波高分布を求め、他の解法による厳密解と比較した。また、水槽実験を行い規則 波中での直方体構造物模型周辺の波高分布と作用波カを測定レて計算結果と比較検 討レた。

  上述の検討結果を踏まえ、没水平板周辺の波高分布、流況、平板に作用する波カ を算定レた。解析の対象とした平板は単純な矩形で、鉛直方向の厚みは無視レた。

平板の縦横比は、幅をり、長さをfとして、w/t=1.0,2.0,3.0と変化させた。ただ しfは常に一定とし設置海域の水深んと等しくした。水平面に対する平板の傾斜角 00は平板の幅方向を軸にして傾斜させるものとし00 ‑0°,10°,30゜と変化させた。入 射波の波向きに対する平板の設置角p(平板の幅方向に対して垂直に入射する場合を 0°とする)は、0=0°,45°に変化させた。平板の没水深dはツん‑ 0.3っ0.5に変化さ せた。入射波の波数たはたん= 1.0,2.0,3.0に変化させた。以上述べた全ての組み合 わ せ に つ い て ハ イ ブ リ ッ ド 境 界 要 素 法 を 用 い て 諸 量 を 算 定 し た 。   【結果および考察】計算領域境界面上の要素分割方法の検討結果から、領域側面 の鉛直方向分割については水深の1/10以下の幅で分割し、その他については1/5以

(3)

下 に す れ ば 実 用 上 ほ ば 満 足 の い く 結 果 が 得 ら れ る こ と が わ か っ た 。   境界面近傍でポテンシャル値を求める場合、境界面との距離をr、面素の一辺の 長さ を△Sとすれば、r<△S/2となる条件で算定値の精度は低下することが示唆さ れた 。そ のため本研究では、r≦△S/2となるような点でのポテンシャル値の算出 は避けるようにした。

  円柱構造物周辺の波高分布について本解法による算定結果と領域分割法による厳 密解とで比較したところ両者は非常によく一致した。また、水槽実験による実験値 と計算値との比較では水路側壁の影響が強く表れる入射波条件を除いて波高分布、

波カとも実験値と計算値はほぼ満足のいく一致が見られた。このことから本解法に は妥当性があるものと判断できた。

  没水平板の周辺における波高分布を算定レた結果、どの条件でも平板の両側から 岸側に向けてハの字状に波高の低い領域が出現した。また、入射波の波長たん‑ 1.0 の場合、今回の条件で1ま波高の低減効果はほとんど期待できないことがわかった。

また、平板の縦横比w/fが2.0以上では、入射波に対する波高比が0.8以下の領域が 増大した。平板の傾斜角を00 ‑ 30゜とすると平板自体が波を強く反射させる効果を 持っことが示唆され、消波効果が増大レた。各条件ごとに、没水平板周辺での波高 が低くなる領域を算出して消波効果について検討レたところ、本研究で行った範囲 内では没水平板の縦横比w/l二ニ2.0以上、水深比ツん‑ 0.3、傾斜角00=30°、設置 角0= 45゜の条件下で、消波効果が高かった。

  没水平板周辺の波浪による流況を算定した結果、平板の岸側端では水粒子が激し く擾乱される様子が確認され、平板上での砕波や強い渦流が発生することが示唆さ れた。また、平板後方では水粒子速度は顕著に減少し、効果的に波浪エネルギーが 逸散されていることが示された。

  平板に作用する波カは平板の諸元や入射波の条件によって大きく変化するが、波 浪制御効果の高い条件では一般に作用波カも増大する。消波効果が高かった上記の 条件 では 鉛直 波力 ¢はkh ‑ 2.0でFz/P9<ih2〓 0.8、水 平波 力Fxはたん‑ 2.0で Fx/P9<ih2= 0.5となった。ここに、pは海水の密度、9は重力加速度、らは入射波の 振幅 を表 す。 これ をも とに 波高3m、 周期8sec、水深30mの海域条件を想定して実 際の波カを試算してみると単位面積あたりの平均鉛直波カは0.6tonw/m2、平均水平 波カは0.3tonw/m2となり莫大なカが働くことになる。特に平板の没水深が浅くなる と構造物に作用する転倒モーメントはかなり大きなものとなる。本研究では対象と する波動場を規則波に限定レ線形波理論のもとで解析を行ったが、今後は、より実 現象に近づけるために波動の非線形効果や不規則性も考慮レた解析が必要である。

(4)

学位 論文審査の要旨 主 査    教 授    梨 本 勝 昭 副 査    教授    天下 井    清 副 査    教 授    鳥 野 慶 一 副 査    教授    山本 勝太 郎 副 査    講 師    平 石 智 徳

学 位 論 文 題 名

漁 場 造成用波浪制御構造物に関する基礎的研究

  国 際 的 に 定 着 し た200カ イ リ 制 度 の 下 で 、 世 界 の 漁 業 生 産 量 は 約1億 ト ン を 越 え た1989年 以 降 横 ば い 状 況 と な り 、 海 洋 生 物 資 源 の 生 産 に 限 界 が 見 え は じ め て い る 。 そ の た め 地 球 環 境 を 保 全 し な が ら 、 海 洋 の 生 産 カ を 最 大 限 に 活 用 レ 、 海 洋 生 物 資 源 を 永 統 的 か つ 計 画 的 に 生 産 し て 食 糧 と し て 供 給 す る こ と が 強 く 要 望 さ れ て い る 。 我 が 国 に お い て は 乱 獲 に よ っ て 著 し く 資 源 水 準 が 低 下 し た 資 源 も あ り 、 周 辺 海 域 の 空 間 を 有 効 か つ 高 度 に 利 用 し 、 沿 岸 海 域 で 取 組 ま れ て い る 作 り 育 て る 漁 業 、 資 源 培 養 型 の 漁 業 を な お 一 層 お し 進 め る 必 要 が あ る 。 今 後 、 沿 岸 や 沖 合 の 漁 場 造 成 整 備 事 業 は 益 々 重 要 視 さ れ 、 飛 躍 的 な 生 産 の 増 加 が 期 待 さ れ る 。

  沿 岸 に お け る 生 産 性 を 高 め る た め に 波 浪 条 件 の 厳 し い 海 洋 域 を 増 養 殖 場 と し て 積 極 的 に 造 成 レ 、 利 用 す る こ と が 検 討 さ れ て い る 。 し か レ 、 外 洋 域 で は 直 接 波 浪 の 影 響 を 受 け や す く 、 網 生 簀 な ど の 施 設 の 損 壊 や 流 失 を 防 止 す る た め 波 浪 制 御 構 造 物 を 設 置 し て 、 施 設 周 辺 海 域 を 静 穏 に 保 つ こ と が 大 き な 課 題 と な っ て い る 。 波 浪 制 御 構 造 物 と し て は 重 力 式 消 波 堤 丶I浮 消 波 堤 な ど 今 ま で に 種 々 考 案 さ れ て い る 。 そ の ー つ に 没 水 平 板 構 造 物 が あ る 。

  申 請 者 は 沿 岸 海 域 の 漁 場 空 間 を 有 効 的 に 利 用 す る た め に 漁 場 造 成 用 波 浪 制 御 構 造 物 と し て 、 消 波 と 人 工 海 底 基 盤 と の 複 合 的 機 能 を 持 た せ 得 る 没 水 平 板 を 用 い た 構 造 物 に 注 目 し た 。 没 水 平 板 構 造 物 は 平 板 上 を 藻 場 造 成 や 底 着 性 動 物 の 生 育 場 と し て 利 用 す れ ば 人 工 海 底 の 機 能 も 具 備 さ せ る こ と が で き 、 外 洋 域 で の 漁 場 造 成 に お い て 最 も 適 し た 波 浪 制 御 構 造 物 と し て 大 い に 期 待 で き る 。 没 水 平 板 周 辺 の 波 動 場 を 解 析 し た 既 往 の 研 究 で は 鉛 直2次 元 モ デ ル で 扱 っ て い る 場 合 が ほ と ん ど で 、3次 元 モ デ ル で 解 析 レ た 例 は 非 常 に 少 な い 。 特 に 海 域 条 件 や 没 水 平 板 の 諸 元 を 様 々 に 変 化 さ せ た 場 合 、 平 板 周 辺 の 波 高 分 布 状 態 、 水 粒 子 運 動 、 平 板 に 作 用 す る 波 カ な ど の 物 理 的 諸 量 の 変 化 状 況 に つ い て 系 統 的 に 解 析 し た 例

(5)

はほとんどなく、没水平板の最適設計条件については十分明らかにされていな いのが現状である。本論文は没水平板構造物を対象にして、構造物周辺の波の 変形、流況について3 次元的解析を行い、外洋域での漁場造成用波浪制御構造 物としての有効性について検討したものである。

  

本論文ではポテンシャル理論に基づいた3 次元の波動場における波と海洋構 造物の干渉に関する波動境界値問題の解法に対して積分方程式内の核関数に単 純な基本解を用いる境界要素法を適用した。その際、構造物周辺に仮想境界面 を設定して、内部領域と外部領域に分け、前者の領域には三次元のグリーン公 式を、後者の領域には次数を下げ二次元のグリーン公式を適用させるハイブリ ッドな計算法を導入して、任意の物体形状に対して簡易に数値解を求める手法 を提案した。そして、平板を一定水深下に水平あるいは傾斜させて設置レ、消 波と人工海底基盤との複合的な機能を持たせ得る漁場造成用波浪構造物につい て注目し、様々な波浪条件下において、没水平板構造物周辺の波の変形、水粒 子運動、および作用する流体カについて、設置水深、平板の大きさ、傾き、波 浪の入射方向を変化させて解析を行い、没水平板を最適設計するための基礎資 料を得たものである。

  

特 に 審 査 員 一 同 が 高 く 評 価 し た 点 は 以 下 の 通 り で あ る 。

1)3

次元の波動場における波と構造物による波動境界値問題の解法において、

構造物近傍に仮想境界面を設定することによって、内部領域には三次元のグリ ーン公式を、外部領域には二次元のグリーン公式を適用して、両者で得られる 解を接続させるハイブリッドな計算法を導入し、パソコンを用いて容易に波の 変 形 、 水 粒 子 速 度 ` 波 カ に つ い て 数 値 解 析 す る 手 法 を 確 立 レ た 点 。

2)

ハイブリッド境界要素法を適用する際の要素分割数による精度の影響につ いて検討し、鉛直方向については水深の1/10 以下の幅で、水平方向については

1/5

以下の幅で分割することが必要であること。また、境界面近傍における計算 では境界面との距離は面素の一辺の長さの

1/2

以下にすると算出精度が悪くなる ことを指摘レた点。

3)

没水平板構造物を対象に解析を進め、波高分布、水粒子運動、構造物に作 用する波カについて詳細に数値解析レ得た点。

4)

没水平板構造物を消波堤として用いる場合には平板の縦横比は2 .0 、設置水 深比はO .3 、平板の傾斜角は300 、設置角は波の入射方向に対して辺を45 °にし た時が最も消波効果が良いことを指摘した点。

  

以上の諸点は漁場造成用波浪制御構造物を設計するために水産工学上重要な 知見を得たものと高く評価できる。よって審査員一同は本論文が博士(水産学)

の学位論文として価値あるものと認定した。

参照

関連したドキュメント

This paper shows both theoretically and experimentally that the motor has an approximate first-order transfer function between phase shift input and rotational speed output in the

Key Words : CIM(Construction Information Modeling),River Project,Model Building Method, Construction Life Cycle Management.

氏名 生年月日 本籍 学位の種類 学位記番号 学位授与の日付

本研究は,地震時の構造物被害と良い対応のある震害指標を,構造物の疲労破壊の

Mapping Satoshi KITAYAMA and Hiroshi YAMAKAWA Waseda University,Dept.of Mech.Eng.,59‑314,3‑4‑1,Ohkubo,Shinjuku‑ku Tokyo,169‑8555 Japan This paper presents a method to determine

氏名 学位の種類 学位記番号 学位授与の日付 学位授与の要件 学位授与の題目

beam(1.5MV,25kA,30ns)wasinjectedintoanunmagnetizedplasma、Thedrift

図2に実験装置の概略を,表1に主な実験条件を示す.実