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雑誌名 静岡大学大学院電子科学研究科研究報告

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Academic year: 2021

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超音波振動導入によるInCaSb混晶成長の研究

著者 鶴田 卓也

雑誌名 静岡大学大学院電子科学研究科研究報告

巻 14

ページ 170‑172

発行年 1993‑03‑25

出版者 静岡大学大学院電子科学研究科

URL http://hdl.handle.net/10297/1731

(2)

氏名 0(本 )  鶴    田    卓     (愛 知県

)

学 位 の 種 類 博 士 (工 学 )

学 位 記 番 号    工博 甲第   64  

学位授与の日付   平 成 4年 3月 25日 学位授与の要件    学位規則第 4条 1項 該当

研究 聾妻の名称    電子科学研究科   電子材料科学専攻

学位論文題目    超音波振動導入による !nCaSb混 晶成長の研究

論文審査 委 員   (委 員長 )

教 授   II徳

教 授 福 家 俊 郎   教 授

助教授             教 授       征   司

論 文 内 容 の 要 旨

混晶比によってバ ンド幅や格子定数を制御できるⅢ一 V族 混晶半導体は光デバイス材料や成長用基 板として利用が期待される。成長用基板 としては大型の単結晶成長が必要 となる。本研究は超音波振 動導入によるInxGat̲xSb混 晶成長の研究を行なった。結晶成長法として大型結晶成長に適 したチ ョ

クラルスキー法を用い ,結 晶成長中の融液に撹拌効果のある超音波振動を導入 した。さらに融液への 振動導入効果を調べるために融液温度の測定 も行なった。

第 1章 では ,本 研究の背景 として InGaSb三 元混品の有効性 と結晶成長において組成的過冷却状態 の融液の存在による単結晶成長が困難であることを述べ ,本 論文の序論 とした。

第 2章 では ,振 動無導入である従来のチョクラルスキー法を用いて ,混 晶比が 0で ある GaSb結 晶 成長を行な った。 GaSbの 成長状態の観察 と成長結晶の評価か ら成長結晶の双晶成長 と結晶

1側

面の凹 凸の発生の抑制について述べた。

第 3章 では ,第 2章 で成長させた GaSbを 種結晶として ,超 音波振動を融液に導入 したチ ョクラル スキー法によるIn=Gat̲xSb成 長と成長結晶の評価を行なった。結晶評価については巨視的評価 と微 視的評価 ,ま た成長結晶中に観察されたボイ ド状態について述べた。

巨視的評価では研摩により ,成 長結晶の成長模様の観察を行なった。超音波振動を融液に導入する ことで単結晶成長が可能になることが分かった。 しか し ,超 音波振動の出力を OWと した振動無導入 の条件下では成長結晶は多結晶となった。また混晶比である In濃 度 xが 大 きくなるほど単結晶成長が 困難になることと ,振 動の出力が大 きいほど ,単 結晶成長が容易になることが分か った。 EPMA測

‑170‑

(3)

定の結果から

0。

17以 下のXと 超音波振動の出力 との関係が得 られ ,単 結晶成長に必要な振動出力値が 分かった。成長結晶の格子定数 とバ ンド幅がディフラク トメータ法による X線 回折 と透過率の測定結 果から得 られ ,混 晶の長所である格子定数 とバ ンド幅の混晶比による変化が認められた。

微視的評価ではエッチ処理による不純物の濃度濃淡模様の顕微鏡観察について述べた。不純物の濃 度濃淡模様は成長固液界面形状に反映 した縞模様 として観察された。成長結晶中に成長界面形状が平 坦なファセット領域が観察され ,InGaSb混 晶でのファセット成長が認められた。Ё PMA測 定と拡が り抵抗値測定からファセット領域中での母体組成 Inと 不純物組成 Teの 各濃度の増加が認められ ,単

元素や二元の化合物半導体中の不純物 と同 じ挙動を示 した。ファセット成長は組成的過冷却融液の存 在によって起 きるため ,超 音波振動を融液に導入することで組成的過冷却は単結晶成長が可能な状態 にまで軽減されるが消失 していないことが示された

成長結晶中に巨視的欠陥であるボイ ド (空 隙 )の 混入が認められたので ,ボ イ ド状態について述べ た。成長結晶断面の研摩 ,観 察を繰 り返すことでボイ ドの混入位置 ,ボ イ ド体積などを求め ,ボ イ ド と超音波振動 との関係を調べた。ポイ ド混入原因のひとつとして超音波振動のキャビテーションによ る融液成分の気化 ,成 長結晶への取 り込みが考えられた。また測定領域体積 とポイ ド体積の比である ボイ ド占有率や一個当たりのポイ ドの体積である平均ボイ ド体積 と振動出力の関係か ら ,振 動出力が 大 きいほどポイ ド混入が起 き易 くなる傾向を得た。さらにポイ ド径 とポイ ド形状 との関係や結晶引上 げ速度により平均ボイ ド体積の軽減化が可能であることも分かった。

振動導入によって InGaSb単 結晶が成長する理由として ,振 動による組成的過冷却割合の減少が考 えられた。それは振動の撹拌効果による過剰組成の抑制と融液中の温度勾配の変化

lこ

よるものである。

第 4章 では ,超 音波振動による温度勾配への影響を調べるために融液温度への超音波振動導入効果 について調べた。融液中に 4本 の熱電対を挿入 し ,振 動の導入 ,停 止を行なった。振動に対する各測 定位置の温度と測定位置間の温度差 ,さ らに温度変動の周波数解析について述べた。

まず測定 した温度変動か ら 4∞ 秒間の温度の平均値を求め ,平 均温度 の振動による変化を調べた。

平均温度は振動導入により変化 したが ,測 定位置によって上昇 ,下 降と変化の傾向が異なった。次に 平均温度の差をとることで ,各 測定位置間の温度勾配に対応する温度差について調べたところ ,振 動 導入による融液表面近傍の径方向の温度差の減少が認められた。これは過冷却融波の存在割合の減少 を予想させた。 しか し ,増 塙中心近傍の深さ方向の温度差の変化は見いだされなか った。また 400秒 間の温度変動の高速 フー リエ変換によるパ ワースペクトルを求めた。パヮースペクトルの最大強度ピー

クの周波数 ,強 度への振動導入効果を調べたが ,振 動による影響は見 られなかった。

以上のことから融液に超音波振動を導入することは InGaSb混 晶の単結晶成長に有用な方法であり

,

それは振動導入により成長界面近傍の径方向の温度勾配が緩やかになったことが原因の一つとして考 えられた。

第 5章 として本研究の実験結果と結果か ら得た考察についてまとめ ,本 論文の総括 とした。

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論 文 審 査 結 果 の 要 旨

皿一 V族 混晶半導体は混‐ 晶比でバンド 幅や格子定数を制御できるので ,光 デバイス材料や基板結晶

として不可欠である。基板には大型単結晶が必要と なるが ,結 晶成長時に固液界面に組成的過冷却融 液が発生 し ,単 結晶の大型化は困難 となる。本論文は ,基 板結晶として重要な In,Gal̲xSb三 元混晶 の大型結晶を成長させることを目的として ,超 音波振動を融液に導入できるチョクラ ルスキー装置で 結晶成長を行い ,そ の成長結晶を評価 し ,更 に融液の温度変動について研究 している。

本論文は5章 から成る。第 1章 は序論で ,InGaSb混 晶半導体の有効性と過冷却融液発生による単 結晶成長の困難さを説明し ,更 に本論文の目的と構成を述べている。

第 2章 はチョクラルスキー結晶成長装置と GaSbの 単結晶成長に関 しそ記述 している。GaSbは 双 晶や凹凸の結晶僻が生じ易

│ヽ

ので ,成 長時の固液界面と結晶側壁の角度が 70.5度 以下で ,Ga/Sbを

1に 近付けることが重要であると指摘して いる。

第 3章 では ,最 初に本論文主題に関わる超音波振動を原料融液 に導入可能な結晶成長期置と ,GaSb 種結晶を用いた InxGal̲,Sbあ 成長法と条件を記 している。続いて ,最 大 150Wま での 10kHZ振 動を融 液に導入し,Inの設定 x値 が 0.01か ら

0。12ま

での結晶を成長させている。例えば, X=0.01の 試料 は振 動無導入では全域が多結晶となり ,90W導 入で 30mmの 単結晶が成長する。この様にInGaSbが 単結晶 成長する理由として ,超 音波振動による融液撹拌が過冷却融液 の領域を縮小させた為と考察している。

次に,InGaSb中 の気泡混入で生 じたボイ ドを調べている。ポイドは ,約 100  μ  m径 までは球状で径増 加と共に変形する。平均体積は結晶引上げ速度 の増加と共に減少する ,振 動出力の増加と共にポイド 混入量が増加する ,こ と等を明らかにしている。更に ,試 料断面の化学エッチ処理により ,InGaSb では初めてファセット成長域を見出し ,In母 体組成とTe不 純物の濃度が共に増加して いることを確 認 している。これは組成的過冷却融液の存在を意味 する。それ故 ,過 冷却融液は単結晶成長ギ可能に なるまで縮小するが ,完 全に消滅 しないことが明白となり ,今 後の結晶成長機構の解明に際し重要な 手掛かりを得ている。

1第 4章 では高速ラーリエ変換装置を用いて超音波振動 による融液温度変動を調べている。振動の有 無に関わらず ,パ ワースペクトルの最大 ピーク強度と周波数 ,及 び垂直方向の平均温度勾配は変化 し ない。しかし ,振 動により融液表面の水平方向の温度勾配は著 しく減少する。このことは ,実 際の結 晶成長実験で ,超 音波振動導入によつて固液界面が平坦 になり過冷却融液が存在 し難 くなる結果 ,単 結晶成長が可能となることを裏づけて いる。

第 5章 では本研究の実験結果と考察を纏 め ,本 論文の総括としている。審査の結果 ,本 論文は博士

(工 学)の 学位を授与するのに十分な内容を有す るものと認定する。

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参照

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