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公開買付をめぐる法規制の現状と課題〔二〕

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(1)

公開買付をめぐる法規制の現状と課題〔二〕

−アメリカの動向(その1)−

古山正明

Ⅰ.わが国の法規制における現状と問題点 一.公開買付の規制の概要

(一)規制創設の経緯と趣旨

(二)証券取引法の基本構造 1.公開買付者・対象会社間

2.公開買付者・対象会社株主間および対象会社株主相互間 3.競合公開買付老相互間

4.有価証券市場の秩序維持その他

(三)公開買付の対応をめぐる規制 二.わが国の規制に内在する問題点 三.小括(以上,68巻1号)

Ⅱ.アメリカの動向 一.法規制における展開

(一)ウィリアムズ法制定の経緯と趣旨

(二)ウィリアムズ法を中心とする規制の展開 1.公開買付に関するSEC諮問委員会の最終報告 2.事前届出制をめぐる動向

3.実体的規制をめぐる展開

(1)規制の弾力性確保

(2)按分比例原則と空提供規制      (以上,本号)

(2)

5 6  

経 営 と 経 済

l l . アメリカの動向

I I . は 1.で、提起された公開買付をめぐる様々な問題を解決する手掛りと して,アメリカの法規制とそれをとりまく近時の動向を検討しようとするも のである。本稿は,このうち,アメリカの法規制における展開を取り上げる ものとし,根本的な規制理念を探る手掛りとして不可欠な学説の動向につい ては,次稿で詳細に取り上げる予定である。本稿の論述構成は,以下の通り である。

まず,一. (一)では,連邦法として公開買付を規制するウィリアムズ法制定 の経緯と趣旨を,連邦議会議事録を基に概観する。ここでは,その後の解釈 の指針となった「中立性」の原則がどのような経緯で誕生したのか,および,

証券取引委員会(以下, SEC  という)が立法過程にどのように関わってき たのか,を中心に考察する。このうち,前者については,既に詳細な紹介が 行われているため必要最小限に止どめるが,後者については,その後 SEC

が規則制定権を通じて実体的規制を拡充していった萌芽が既に垣間見られる 以上,改めて検討する価値があるものと思われる。

(寸では,ウィリアムズ法を中心とする規制が,近時どのように展開されて きたのかを考察する。このうち,1.では, 1 9 8 3 年 7 月に提出された公開買 付に関する SEC 諮問委員会の最終報告を概観する。そして,この報告を受 けて展開された規制改正の動向を2 . 以下で考察する。ここでは,わが国の 規制が抱えている①事前届出制,②実体的規制の弾力性,①按分比例原則と 空提供規制,という 3 つの問題点が,アメリカでどのように対処されている のかを中心に検討する。

( 1 )  

神崎克郎「テンダ・オッファの法規制

J

(証券取引の法理 第

l

編 第

5

章)

91‑93

頁, 小林成光「支配株の売買(ニ)一会社支配に重大な影響を与える株式取得に関する法的諸問 題ー」法学雑誌

3 2

3

4 5

頁,

53‑57

頁等参照。

(3)

公開買付をめぐる法規制の現状と課題[二]

5 7  

一.法規制における展開

( 一 ) ウィリアムズ法制定の経緯と趣旨

現金公開買付に関する連邦法上の規制が最初に提案されたのは, 1 9 6 5 年1 0 月でのことであった。 NewJ e r s e y 州選出の W i l l i a m s 上院議員が, 1 9 3 4 年証 券取引所法(以下,証券取引所法という)の下で持分証券による会社支配を より完全に開示させることを目的として,上院法案2 7 3 1 (以下, S .   2 7 3 1 と いう)を銀行通貨委員会に提出したのである。

S .   2 7 3 1 を提案した動機として W i l l i a m s 上院議員は,近年,会社の略奪 者 ( c o r p o r a t er a i d e r ) が出所の不明瞭な資金で誇りある老舗の会社支配を掌 握する傾向にあることを憂えた上で,この種の産業破壊を閉止する最終的な 責任はかく脅かされている会社の経営者や株主にあるが,資金源も不明瞭な 仮説人名義による株式買い集めを許容する当時の法制の寛容な態度は,対象 会社の経営者および株主を著しく不利な立場に置いていることを挙げる。そ して,証券交換による公開買付によって会社支配が求められる場合, 1 9 3 3 年 証券法(以下,証券法という)の規制の下で登録され,かつ, SEC の審査 の下で完全な開示が行われるのと同様に,また,委任状闘争を通じて支配が 求められる場合に,スケジュール 14B に基づいて株主に情報が提供されるの と同様に,現金公開買付についても主だった'情報が開示されることが,対象 会社にとっても,株主にとっても,そして市場にとっても重要である,と述 べている。

この S . 2 7 3 1 は,詐欺的行為の禁止に関する一般条項である証券取引所法 1 0 条および取締役‑役員・主要株主の株式保有状況に関する報告義務を定め た同 1 6 条 ( a ) 項を修正する形式で,第 8 9 団連邦議会に提出された。その規制内 容は,公開買付を行おうとする者の株式保有状況や資金関係,公開買付終了 後の事業活動の予定等に関する開示規制を中心とするものであったが,現行 法と比べ,①公開買付を行う日より少なくとも 2 0 日以上前に,一定事項を記 載した届出書を SEC に提出し,かつ,対象会社に通知することを要求する,

いわゆる事前届出制を採用している点 および①公開買付によらない公開市

(4)

5 8  

経 営 と 経 済

場における株式買い集めをも,公開買付と同様の規制に服させようとしてい る点,に特徴があった。

この S . 2 7 3 1 の提出を受けて, SEC は詳細に内容を検討した後,幾つかの 改善すべき点を指摘した。

まず,条文の位置づけについては,公開買付と区別された形で、の株式買い 集めに関しては,証券取引所法1 0 条を改正するよりも,発行会社に対して一 定事項を SEC に報告することを義務づけた同 1 3 条に対する修正の観点から 述べられるのが望まし1.、,と述べた。そして,事前届出制については, 2 0日 の事前届出を要請するのが困難な事態も予想される(相続や事前通告のない 贈与より生じた株式取得については,事前届出を要請するのは不可能である) 一方, 5% を超えて株式を取得してから 5 日以内に報告書を提出させるので あれば,当該規制に服する実質的所有者にとっても負担が軽減されることに なろう,と述べ,その採用に消極的な姿勢を示した。

一方,公開買付に関する規制については,証券取引所法 1 6 条 ( a ) 項を改正す るよりも,委任状に関する規制を定めた同 1 4 条に付け加える方が適当である とした上で,証券交換による公開買付を法規制の範囲に含めない合理的理由 はないとして, I 現金公開買付」から「現金」の文字を削除すべきことを指 摘した。そして具体的内容としては, 2 0日の事前届出制は公開買付の対象と なる証券の所有者を保護する観点からは不要であり,公開買付を行う日より 5 目前に公開買付届出書の中で SEC へ内密に通知が行われれば足りるとす る一方,公開買付に応募する者を保護するため,応募者の撤回権,部分的公 開買付における按分比例原則,買付価格の引上げの場合における一律引上げ の要請等,実体的規制をも設けるべきこと,および,公開買付に関する意見 等を表明する場合には SEC の定める規則に則って行われるべきこと(殊に 公開買付に反対する者と賛成する者との間での「実質的対等」を確保するこ とに主眼が置かれている),さらには,公開買付に関連する詐欺的行為を禁 止する条項を設けること,等を提案した。

SEC の意見を取り入れる形で W i l l i a m s 上院議員が K u c h e l 上院議員

(  C a l i f o r n i a   州選出)とともに 1 9 6 7 年 1 月に再び提出した法案が,上院法案

(5)

公 開 買 付 を め ぐ る 法 規 制 の 現 状 と 課 題 [ 二 ]

5 9  

5 1 0 ( 以下, S.510 という)である。 S.510 を提出した意図として, Williams  上院議員は次のように述べている。「本法は,ある者が現金公開買付によっ て,または公開市場を通じて,もしくは私的交渉による証券の買付を通じて,

会社の支配を獲得しようとする場合に,株主に対して直接関連する情報を開 示するよう要請することによって 連邦証券諸法の下での投資者保護におけ る重大なギャップを埋めるであろうー。」したがって, I 本法案の目的は,株 主のために完全かつ公正な開示を要請するとともに,公開買付者と(対象会 社)経営者に公正に事にあたるための等しい機会を提供すること」であり,

「合法的な公開買付に障害を設けることを目的としたものではない。」

こうして, S .   5 1 0 は , I 会社略奪者からの保護」を全面に打ち出した S .2 7 3 1   に比べ,株主保護の見地から情報開示を中心とした規制を設けるという,よ

り一般的な目的を持つものとなり,極めて中立的性格の強いものとなった。

Wi 1 1 i a m s 上院議員自身,立案に際して最も留意した点として,対象会社経 営者と公開買付者のいずれの側にも有利に傾くことのないようにすることで あったと述べている。

結局, S .   5 1 0 は上下両院で検討された後ほぼ原案通りに通過し, 1 9 6 8 年 発効された。それは,証券取引所法 1 3 条 ( d ) 項 , ( e ) 項 , 1 4 条 ( d ) 項 , ( e ) 項 ,

(f)

項 から成り, SEC はこれらの条項に基づいて詳細な規則を定め,現在に至っ ている(法自体も,その後若干修正されている)。

( 2 )   1 1 1  CONG.  REC.  2 8 2 5 6  ( O c t .   2 2 .   1 9 6 5 ) .   ( 3 )   1 1 1  CONG.  REC.  28257‑28258 ( O c t .   2 2 .   1 9 6 5 ) .  

( 4  ) この場合,公開買付そのものが規制の対象とされるわけではなく,対価として支払わ

れる証券が,募集・売出に関する規制に服することになる。

( 5 )   1 1 1  CONG.  REC.  2 8 2 5 8   ( O c t .   2 2

1 9 6 5 )   ( r e m a r k s  o f  S e n a t o r  W i l l i a m s  on S .   2 7 3

1). 

( 6 )   I d .   a t   2 8 2 5 8 ‑ 2 8 2 5 9 .

特に事前届出制を採用している点では,現行法と比べて現経営 者側に有利な規制であることは否定できず.

Aranow

および

Einhom

は次のように解説 している。

i ( S .   2 7 3 1 )

は投資者というよりもむしろ主に発行者のために立案された証券 規制を法制化しようとするお・そらく最初の試みを体現している点で唯一無二のものであ

(6)

6 0  

経 営 と 経 済

り,

1 9 6 0

年代初頭から中頃にかけて吹き荒れたコングロマリット吸収合併の嵐によって 鼓吹されたものである。

JE .  ARANOW  & 

H. EINHORN, 

TENDER OFFERS FOR CORPORATE  CONTROL 6 4  

(1

9 7 3 ) .  

もっとも,

Wi

11

i a m s

上院議員は,次のように述べ,

S .   2 7 3 1

が公共の利益に沿う規制で あることを強調している。「本修正案は,本質的に公共の利益になる重要な法律を体現す るものであって,正直かつ公正に行われている取引について何等障害を設けることには ならないであろう」し,

r

会社支配の獲得を求める者が自己の方法や意図についで完全に 開示することを恐れる必要がないのであれば,本修正を恐れる必要は何等存しない。よ り厳重な統制は略奪者に制裁を課することにはなろうが,合法的な方法と合法的な目的 とを持った合法的なビジネスマンに制裁を課すことはないであろう。

J1 1 1   CONG.  REC. 

2 8 2 6 0   ( O c t .   2 2

, 

1 9 6 5 )   ( r e m a r k s  o f  S e n a t o r  W i l l i a m s  on S .   2 7 3

1). 

( 7 )   112CONG. REC. 19003‑19007  ( A u g .   1

 ,1

1 9 6 6 )   (MemorandumoftheSecuritiesand  Exchange Commission t o  t h e  Committee on Banking and Currency

, 

U. S .  S e n a t e

, 

on S .   2 7 3

 ,1

8 9 t h  C o n g r e s s ) .

殊に,同文書の末尾に掲載されている

C o m p a r a t i v eP r i n t

, 

S .   2 7 3

 ,1

8 9 t h  Congress

, 

1  s t  S e s s i s o n

勺ま,

W i l l i a m s

上院議員と

SEC

との見解を比較参照す るのに便利である。

(8) 

I d .   a t  1 9 0 0 4 .   ( 9 )   I d .   a t  1 9 0 0 5 ‑ 1 9 0 0 6 .   (

1

1 1 3CONG. REC. 8 5 4   ( J a n .   1 8

, 

1 9 6 7 ) .  

( 1 1 )   I d .   a t 8 5 4 ‑ 8 5 5  ( r e m a r k s o f S e n a t o r W i l l i a m s o n S .  5 1 0 ) .

なお,同様の趣旨を述べた

113ωNG.

REC. 2 4 6 6 4  ( A u g .  3 0

, 

1 9 6 7 )   ( r e m a r k s  o f  S e n a t o r  W i l l i a m s  on S .   5 1 0 )

では,情報開示の 受益者が,

r

株主」から「投資者」に変更されて

L

、る。

(

1 の 1 1 3CONG. REC. 8 5 4  

(J

a n .   1 8

, 

1 9 6 7 ) .   (

1

功 もっとも,共同提案者である

Kuchel

上院議員は,依然として,このような規制が会社 略 奪 者 に 対 す る も の で あ る こ と を 強 調 す る 。 こ れ は , 当 時 , 同 議 員 の 選 挙 区 で あ る

C a l i f o r n i a  

州で事業活動を行っていた

ColumbiaMotion P i c t u r e s

社が,

Banque de P a r i s  

e t  d e s  Pays Bas

社のスイス支社によって公開買付攻勢をかけられていたというお家の事 情によるもので,向上院議員が連邦通信委員会および

SEC

に宛てた書簡を読むと,近年 わが国で起こったミネベア事件を訪梯させ,思わず苦笑させられる。

I d . a t   857‑859 

(7)

公開買付をめぐる法規制の現状と課題[二]

6 1  

( r e m a r k s  o f  S e n a t o r  Kuchel on S .   5 1 0 ) .  

( 1 4 )   I d .   a t 8 5 4 .  113CONG.  R E c .   2 4 6 6 4 C A u g .  3 0 .   1 9 6 7 )  C r e m a r k s o f S e n a t o r W i l l i a m s o n S .  5 1 0 ) .  

( ニ ).ウィリアムス ε 法を中心とする規制の展開 1.公開買付に関する SEC諮問委員会の最終報告

1 9 6 8 年にウィリアムズ法が採用されて以来,金融上,産業技術上,社会お よび法律上の環境変化とともに,企業買収活動は根本的な変化を体験してき た。殊に,公開買付の発生件数が再び増大し,その規模においてもいわゆる

「ビリオン・ダラー買収時代」を迎えた 1 9 7 0 年代後半以降は,公開買付をめ ぐる攻防も激しいものとなり,公開買付の規制をどのようにすべきかが世論 の関心を呼ぶようになった。

そこで, 1 9 8 3 年 2 月 2 5 日,公開買付のプロセスやその他公開会社の支配を 取得するテクニックを検討し,必要ないし適当と考えられる法制上の変更を

SEC に勧告するため, SEC は,連邦議会の指示の下に,公開買付に関する

SEC 諮問委員会(以下,諮問委員会という)を設置することを決定した。

諮問委員会が検討すべき問題の中には,次のものが含まれていた, ( 1 ) 公開買 付その他の買収活動が経済一般,特に公開買付者,対象会社,投資者ならび に証券市場において有する経済的意味合い ( 2   )そのような買収活動を規制す る必要性,およびその性質ならびにその目的, ( 3 ) これらの目的を達成するた めの規制手段,この場合には,そのような規制上の対応より生じる利益とコ ストを比較衡量する, ( 4 ) そのような規制上の対応を為し遂げるため,現行法 に対する規制上の修正に関して SEC に提示できる勧告。

約半年間の検討の後,諮問委員会は報告書をまとめ, 50 の勧告を提示した。

これらの勧告を受けて, SEC による規制の改正や改正案の提示が展開されて いくことになるわけであるが,その具体的内容については 3 . の中で適宜触 れていくこととし,ここでは総論部分を中心に概要を述べるに止どめる。

まず,公開買付の経済的意義とその規制の在り方については,公開買付に

もいろいろな形態が存在する以上,一概に有益であるともそうでないともい

(8)

6 2  

経 営 と 経 済

えないが,公開買付による経済資源の配分は,法に従って行われる限り,株 主の利益および資本市場の完全性や効率性を保護するために必要なものと思 われ, したがって,規制計画案は公開買付を推進させるべきでも抑止させる べきでもない,と結論を下した。

また,防衛戦術については,一般論として,公開買付の可能性自体を変え るものをも含め,対象会社経営者による判断の妥当性に対する主要な判定基 準は経営判断の法則とすべきであるとし,州、│の会社法や経営判断の法則に関 するシステムを支持した。ただし,対象会社株主の承認があって初めて公開 買付が終了できたり,あるいは,連邦法上の公開買付規制に則って会社支配 を移転できる可能性を損なうような広範な政策規定を設けるなど,公開買付 を行える可能性を抑制するような州法上の諸規制は,州際通商に不当な負担 を課すもので,許容されるべきではない,と述べた。

以上のような諮問委員会の報告に対して, SEC は一般に好意的に受け止め ているが,経営判断の法則に関する報告部分については,支配変動状況にお ける対象会社経営者と株主との利益相反を考慮に入れ,より厳格に適用すべ

きである,と主張している。

( 1 5 )   R e l e a s e  N o .   3 4  ‑19528  ( F e b .   2 5

, 

1 9 8 3

 ,)

2 7  SEC Docket 2 9 2  

(1

9 8 3 ) .   ( 1 6 ) 昂 i d .

(

1 カ SECA d v i s o r y  C o m m i t t e e  on Tender O f f e r s

, 

R e p o r t  o f  Recommendations 

(J

u l y  8

, 

1 9 8 3 )

, 

r e ρ r i n t e d  i n  F e d .  S e c .   L .   R e p .  N o .   1 0 2 8   (CCH e x t r a  e d .

, 

J u l y  1 5

, 

1 9 8 3 )   [ h e r e i n a j t e r   c i t e d  a s  SEC Tender O f f e r  R e p o r t J .

なお,同報告書をコンパクトに紹介したものとして は,森本滋「公開買付

J

(龍田節=神崎克郎編・証券取引法大系)

290‑292

頁がある。

(

1

め報告書は,次のように述べている。「学識者の見解を相当研究し,議論し,検討した結 果,委員会は,公開買付それ自体が経済もしくは証券市場一般にとり,または発行会社 もしくはその株主にとり,特に有益であるとか有害であるとか結論づけるためには根拠 が不十分である, と判断する。ある事例では,公開買付が非効率的な経営者への一つの 制裁として奉仕してきたこともある一方,別の事例では,対象会社の経営者のクオリテ ィーが争点となっていることを示すものはほとんどないのである。同様に,公開買付の脅

(9)

公 開 買 付 を め ぐ る 法 規 制 の 現 状 と 課 題 [ 二 ]

6 3  

威がある経営者をして長期的収益以上に短期的収益を強調させることにもなる場合もあ る一方,このことが一般的に真であることを示す証拠もほとんどない。また,委員会は,買 収が成功するものと判明するのかどうかを決定する際に買収の方法が主要な要因である と結論づけるための根拠をも見い出していなし、。他の資本取引におけるように,ある公 開買付は有益なことが判明する一方,他のものは失望させるものであることが判明する と

L

寸事実は,それが意味するものほどには買収の方法に帰することができるわけでは ない。それゆえ,委員会は,規制計画案は公開買付を推進させるべきものでも抑止させ るべきものでもない,と結論を下した。そのような配分は,法に従って行われる限り,

株主の利益および資本市場の完全性や効率性を保護するために必要なように思われた。

公開買付の経済的効果に関する研究の一部として,委員会は,公開買付のプロセスが 債券の利用可能性や市場での配分に与える効果の問題に取り組んだ。連邦準備委員会の

P a u l   V o l c k e r

議長や彼のスタッフのメンパーとの議論をも含め,その審議に基づいて,

委員会は,支配の取得取引から生じる債券市場での重大な歪みは何等存在しないし,そ のような取引での債券の利用可能性を制限しもしくは配分するいかなる規制上のイニシ アチブも取り掛かられるべきではない,と考える。

J SEC Tender O f f e r   R e p o r t

, 

s u p r a   n o t e  1 7

, 

E x e c u t i v e  Summary xv 

  ‑ii

xv 

iii .なお,同報告書第

1

章,および勧告

l

ならび に

2

も参照されたし、。

もっとも,諮問委員会の勧告は,ウィリアムズ法におけるような中立性という目標や 州法の下で会社の内部的問題を引き続き規制することを支持してはいるけれども,実施 されればその両者に著しい変化をもたらすこととなり,対象会社が自己防衛できる可能 性を減少させるとともに,一般的には公開買付者に有利に作用することになろう,との 指摘もある。

AnnualR e v i e w   0 1  F e d e r a l   S e c u r i t i e s   R e g u l a t i o n

, 

4 0   B u s .   LAW.  9 9 7

, 

1 0 1 3   ( 9 8 5 ) .  

( 1 9 )   SEC Tender O f f e r  R e p o r t ,  s u p r a  n o t e  1 7 ,  a t  1 8 ,  3 4 ,  Recommendations 9 

3 3 .  

( 2 0 )   I d .   a t  34‑36

, 

Recommendation 3 4 .  

( 2 1 )   1 6  S E C .  REG. 

L .   R E P .  

(B

NA)496 ( 9 8 4 ) .  

2 . 事前届出制をめぐる動向

事前届出制をめぐる扱いについては, 1 9 8 2 年に MITE 事件連邦最高裁判

(10)

6 4  

経 営 と 経 済

所判決が下されるまで,連邦法と什│法とではかなり様相を異にしていた。

まず連邦法について述べると, ウィリアムズ法は事前届出制を採用しなか った。事前届出制は公開買付者に過度な負担をかける一方で,対象会社株主 を保護する観点からは不要と考えられたからである (W i 1 1 i a m s 上院議員の 提出した S .2 7 3 1 に代わって, SEC が提案した 5 日前に秘密裡に SEC に届 け出ることさえ,採用されなかった)。

これに対して,州法のレベルで、は何らかの形で事前届出・通知制度や審問 手続等を定めているところが多く,これらの州法上の規制がウィリアムズ法 との関係で,合衆国憲法に定める最高法規条項 (6 条 2 項)および州際通商 条項 C 1 条 8 節 3 項)に反することにならないのかが問題とされていた。こ のように公開買付を抑止するような規制を各州が採用している背景には,主 として財政上ならびに雇用政策上の観点から企業を誘致する必要があったか らだと思われる。

こ の 問 題 に 関 し て 連 邦 最 高 裁 判 所 の レ ベ ル で 初 め て 判 断 さ れ た の が , MITE 事件である。同事件では 次のような規制を有するI1l i n o i s 州の事業 買収法 C B u s i n e s sTakeover A c t ) の合憲性が問題とな勺た。すなわち,同法 の規定する対象会社の株式に対して公開買付を行おうとする者は,州務長官 ( S e c r e t a r y   )に公開買付届出書を提出し,かつ,届出がその効力を生じてか ら 2 0 日を経過しなければ公開買付を行うことができず 届出の審査に際して は州務長官は広範な裁量権を有しており,届出の効力を否定することもでき た。しかも,対象会社株主を保護するために必要と思料する場合,および,

対象会社社外取締役の過半数または公開買付の対象とされたクラスの持分証 券の 10% 以上を保有するI1l i n o i s 州の株主から要請を受けた場合,州務長官 は公開買付の実質的公正を審問するために聴閉会を召集することができた。

ちなみに,同法の規定による対象会社とは,①公開買付の申出を受けたクラ

スの持分証券の 10% 以上が, I 1 l i n o i s   州に在住する株主によって保有されてい

る会社,または,①次の 3 つの要件のうち 2 つを充足する会社一イ)経営本

部をI1l i n o i s 州に有する,ロ) I l l i n o i s   州法の下で設立されている,ハ)表示

資本および払込剰余金の少なくとも 10% に相当する資産をI1l i n o i s 州内に有

(11)

公 開 買 付 を め ぐ る 法 規 制 の 現 状 と 課 題 [ 二 ]

6 5  

する, とされていた。

このような規制を有するI1 1 i n o i s州事業買収法について,連邦最高裁判所 の 多 数 意 見 ( 9 名中 5 名,なお 3 名は本件は mootであるとして本案の判 断を下さなかった)は 「予想される地方の便益を上回る著しい負担を州際 通商に課す」ものであり,什│際通商条項の下で無効である,と判示した。し かし同法が州際通商を「直接」規制するものであるがゆえに違憲無効であ るとの意見や,同法は投資者の自主決定権を犠牲にして投資者を保護する もので,連邦議会によって採用されたウィリアムズ法のアプローチとは真向 から抵触するものであり,最高法規条項に違反すると

L

、う意見は,多数意 見となるには至らなかった。このため「先占問題は未だ未決定の状態であり,

通商条項に関する判旨でさえ,比較的狭い領域の法規制に関しては,依然と して区別を必要とした」のである。

もっとも, MITE 事件判決は州法規制を根幹から揺るがすには十分なほ どの影響があったようで,以後の公開買付をめぐる州法の規制は,証券規制 として公開買付を直接規制するのではなく,公開買付後の吸収合併等に対す る株主の保護を会社法の次元で規制するなどいわゆる会社の内部事項の問題 として処理する方向へ向かったといわれている。

Edgar v .   MITE Corp.,  4 5 7  U. S .   6 2 4   ( 9 8 2 ) .  

附 (ー)参照。

仰)

i

事前審査は不必要であるばかりか,時には,時聞を本質的要素とする公開買付を遅 らせることになりかねな

L

づからである。

S . REP. No.  5 5 0

, 

9 0 t h   Cong.

, 

1  s t  S e s s .   4 

(1

9 6

7) . 

例 外│レベルで公開買付規制の展開を詳細に述べたものとしては,吉原和志「株式公開買 付の規制方法(ー)ーアメリカにおける連邦および州の動向を中心としてー」法学

5 0

3号9頁以下がある。

( 2 6 )  

この効果はなかなかのものだったようで.反公開買付規制を有する州に会社を移転す ることが,有力な防衛戦術のーっとして取り上げられていたほどである。

E . ARANOW

, 

H. 

EINHORN  & G .   BERLSTEIN

, 

DEVELOPMENTS IN TENDER OFFERS FOR CORPORATE 

(12)

66 

経 営 と 経 済

CONTROL  1 9 6   ( 1 9 7 7 ) .  

制 同事件は,

D e l a w a r e  

州法に基づいて設立され

C o n n e c t i c u t

州に主たる事務所を有する

MITE C o r p .  

(以下,

MITE

社という)が,

I 1 l i n o i s  

州の会社である

C h i c a g oR i v e t  

Machine C o .

の社外株全部に対する現金公開買付を行うため,ウィリアムズ法に基づい て

SEC

に届出はしたものの,

I 1 l i n o s

州の規制には従わず,代わって,同地区の連邦地方 裁判所に対して,同州の法制はウィリアムズ法によって先占されており州際通商条項に 違反する旨の宣言的判決を求めるとともに,同州の州務長官が州の法制を実施すること を禁止する差止命令を求めたことに端を発する。連邦地方裁判所が

MITE

社の主張を採 用して同州の法制が州際通商条項に反することを宣言するとともに,

MITE

社に同法を 適用することを恒久的に禁止し,控訴審も同州の法制の幾つかは州際通商条項に違反し て州際通商に不当な負担をかけるものであることを認めたため,同州、│の州務長官である

James Edgar

が上告したものである。なお,第一審の終了後,両社の聞には和解が成立 していた。同事件の意義およひ、その後の州法規制に与えた影響については,吉原・前掲 註制

3 2

頁以下参照。

4 5 7U. S .   6 2 4

, 

627‑628 

(1

9 8 2 ) .   ( 2 9 )   I d .   a t  6 4 6 .  

例 判 決 文 を 執 筆 し た

White

判事の他,

B u r g e r

長官,

S t e v e n s

判事,

O ' c o n n o r

判事は,州 際通商条項は州際通商に関して州が副次的に規制することだけを許容するものであるに もかかわらず(この点については,

S h a f e s  v .   Farmers G r a i n s  C o .

, 

2 6 8  U. S .   1 8 9

, 

1 9 9  

(1

9 2 5 )

を参照),同法は,州内の証券取引を規制するいわゆるブルー・スカイ・ローと は異なり,州、│際施設を利用し州外の株主を相手とする公開買付にも域外適用される以上,

州際取引を生ずるであろうような州際公開買付を直接規制し,かつ,阻害するものであ る,との意見を述べた。

I d .a t  640‑643

1 ) White

判事の他,

B u r g e r

長官,

B l ackmun

判事は,①ウィリアムズ法の制定に際して,

連邦議会は幾度も事前届出制の採用を拒否したことに鑑みれば,

I l l i n o i s

州事業買収法の 事前届出制は公開買付に反対する対象会社経営者に強力な武器を与え,ウィリアムズ法 の目的を抑圧するものである,①最終期限が定められていない聴開会の開催による遅延 は,対象会社株主の犠牲の上に現経営者を有利に扱うものであり,連邦議会によって打 ち出された公開買付者と対象会社経営者との均衡を覆すものである,①同法は投資者

(13)

公開買付をめぐる法規制の現状と課題[二]

67 

の自主決定権を犠牲にして投資者を保護するもので,連邦議会によって採用されたウィ リアムズ法のアプローチとは真向から抵触するものである,との意見を述べた。

I d . a t   634‑640 。

L .  Loss

, 

FUNDAMENTALS OF SECURITIES REGULATION

, 

5 3 5   (2 nd e d .

, 

1 9 8 8 ) .

実際,

CTS C o r p .  v .   Dynamics C o r p .  o f  America

, 

1 0 7  S .   C t .   1 6 3 7  

(1

9 8

7)では,

I n d i a n a  

州法 に基づいて設立された会社の支配株を取得する者は,対象会社株主のうち以前から株式 を保有しかっ利害関係のない者の過半数が特別株主総会で当該取得を承認しない限り,

取得した株式に基づいて議決権を行使することができないと定めている

I n d i a n a

州法の 合憲性について,同法はIll

i n o i s州法と異なり, 2 0

日の待機期間や聴閉会の開催,州務長 官による公開買付の実質的公正に関する審査等に関する条項を設けておらず,かつ,同 州の居住者(公開買付者および対象会社株主の双方を含む)であるか否かを問わず等し く適用されるものである以上,ウィリアムズ法によって先占されているのでも,州際通商条 項に反するものでもない,と判示された。判例速報としては次のものを参考とした。

1 9 S E C .  REG.  &  L .   REP.  CBNA)610‑619 (98

7).なお,同事件の判例評釈を島袋教授が 書いておられる。島袋鉄男「米国証券関係法判例研究」琉大法学4

2

5 7

頁以下参照。

( 3 3 )   S e e  B l ock

, 

Barton  &  Roth

, 

S t a t e  T a k e o v e r  S t a t u t e s :

T h e S e c o n d  G e n e r a t i o n "

, 

1 3  S E C .   REG. L .   J .   3 3 2   (986).  A l s o  s e e   E m p i r i c a l  Research P r o j e c t

, 

D e f e n s i v e  T a c t i c s   ω H o s t i l e   T e n d d e r  O f f e r s ‑An  E x a m i n a t i o n  o f  T h e i r  

Le

g i t i m a り a n dE f f e c t i v e n e s s

, 

1 1   J .   CORP. L .   6 5

 ,1

680‑684 

(1

9 8 6 ) .

なお,吉原・前掲註同41‑46頁,および同「株式公開買付の規制 方法(二)ーアメリカにおける連邦および州の動向を中心として

‑J

法学5

1

2

83‑102

頁参照。

3 .

実 体 的 規 制 を め ぐ る 展 開

ここでは,

( 1 )

公 開 買 付 者 の 機 動 的 な 対 応 と 対 象 会 社 株 主 の 保 護 と を ど の よ う に 調 和 さ せ る か , お よ び ,

( 2 )

按 分 比 例 に お い て 株 主 の 平 等 的 取 扱 を ど の 程 度 ま で 徹 底 さ せ る べ き か と い う 観 点 か ら ,

SEC

に よ る 規 制 の 変 遷 を 概 観 す る。

(14)

6 8  

経 営 と 経 済

(  1  )規制の弾力性確保

1 9 6 8 年のウィリアムズ法制定当時,主な実体的規制は,応募した株主の撤 回権(1 4 条( d ) 項 5 号),按分比例原則の一部適用(1 4 条( d ) 項 6 号),買付価格 の一律引上げ(1 4 条

(d)

項 7 号),が存在するにすぎなかった。これらは

L

、 ず れも, Wi 1 1 i a m s 上院議員によって提出された s . 2 7 3 1 には見られなかったも のであり, SEC の提案を受けて採用されたものであった。

このうち,按分比例規制については後述することとして,まず,応募した 株主の撤回権について述べると 1 4 条( d ) 項 5 号は 「公開買付における買付 の申込または売付の申込の要請もしくは招請に応じて預託された証券は,当 該買付の申込または売付の申込の要請もしくは招請の確定的文書が最初に公 表されまたは証券保有者に送付もしくは交付された日より 7 日を経過するま で,および,当初の買付の申込または売付の申込の要請もしくは招請の日か ら 6 0 日経過後はし、つでも,預託者によりまたは預託者のために徹回すること ができる。」と定めている。これは,公開買付の申出が行われた直後に持株 を預託した株主に,おそらくは経営者もしくは競合公開買付者からの反論に 照らして,再検討するための短期熟慮期間を提供するとともに,公開買付者 が預託株券を買い付けるかどうかの決定を待機して,預託株券が不確定的に 拘束されるのを阻止する趣旨である,とされている。

一方, 1 4 条( d ) 項 7 号は, r 公開買付における買付の申込または売付の申込 の要請もしくは招請の期間満了前にその条件を変更し当該証券の保有者に 申し出た対価を引き上げる場合には,公開買付における買付の申込または売 付の申込の要請もしくは招請の条件変更前に当該証券を買い付けたかどうか に関わりなく,当該公開買付における買付の申込または売付の申込の要請も しくは招請に従って買い付ける全ての証券保有者に対し,引き上げた対価を 支払わなければならない。」と定めている。これは,応募した時期を問わす

e

に持株に対して同ーの価格を確約することによって,株主が持株に対して受

け取る総額の計算から純粋に偶発的な要因を取り除くとともに,公開買付に

従って持株を預託する株主は,通常,預託した全株主が同ーの価格を受け取

(15)

公開買付をめぐる法規制の現状と課題[二] 6 9  

るであろうことを想定する以上,ある株主に他の株主より多く支払うような 差別的な結果を回避しようとする趣旨である,とされている。

その後, SEC は,公開買付者と対象会社経営者との均衡を維持しながら より効果的な規制を設けることを目的として, 1 9 7 6 年 8 月と 1 9 7 9 年 2 月にそ れぞれ包括的な新規則制定案を公表し, 1 9 7 9 年 1 1 月,これらのうちの幾つか を採択した。この中で,本稿と関係するものは,規則 1 4d ー 7 , 14d  ‑8 , 1 4   e 

‑ 1 である。

便宜上,規則 1 4 e ー l から説明すると,同規則は,それまで撤回期間・按 分比例期間に関する規則に事実上拘束されているにすぎなかった最短買付期 間を,投資者保護の見地から明文化したものである。すなわち,規Jt l j 1 4 e  ‑

1  ( a ) は,公開買付が最初に公表されまたは株主に伝達された日より少なくと も 2 0 取引日の聞は買付を行うことはできない,と定める。本規則を採用した 理由としては,以下の点が挙げられている,①合理的な最短買付期間のない 公開買付は不適当ないし不完全な情報に基づいた,性急な,誤った判断によ る意思決定を株主が行う可能性を増大させる,⑦最短買付期間その他の規制 を定める試みが各什│により行われているが これらはウィリアムズ法によっ て構想された公開買付者と対象会社との均衡を対象会社側に有利に傾けるお それがあり,統一的に適用される連邦法上の規制を設ける方が,投資者保護 をも含め,ウィリアムズ法の目的によりよく仕えることになる,①郵便等を 通じて公開買付の勧誘が行われる場合 株主が公開買付の詳細について検討 するために利用できる時間は減少するので, 2 0 取引日の最短買付期間は必要 である。ただし,自己宛公開買付については,従前どおり規則 1 3 e  ‑ 4 を適 用し,最短買付期間は 1 5 取引日で足りるとされた。

さらに,規Jt

I

J 1 4 e  ‑ 1 

(b)

は,買付価格の引上げが行われる場合には,同様 な理由から,引上げの通知の日より少なくとも 1 0 取ヲ旧以上,最短買付期間 が延長されるべきことを定める。この延長期間の計算に際しては,規則 1 4 e 

‑ 1  ( a ) と同

(b)

とが連続して適用されるのではなく,重畳的に適用される点に 注意を要する。

そして,預託された株券が不当に長い期間拘束されないようにするととも

(16)

7 0  

経 営 と 経 済

に,公開買付者と申込株主のいずれにも公開買付終了後の活動に不当な負担 を課さないようにするため,規則 1 4 e  ‑ 1  ( c ) において,買付期間の終了後ま たは公開買付に関する撤回後,遅滞なく,買付代金を支払いまたは預託株券 を返還すべきことを定めている。また,買付期間の延長の通知については,

買付期間終了予定日の翌日の①午前 9 時(東部時間),あるいは①公開買付 の対象となるクラスの証券が上場されている証券取引所の前場の立会開始の

、ずれかまでに,新聞または公告によって行うべきことを定めている。

次に,証券取引所法 1 4 条( d ) 項 5 号の定める撤回期間を延長した規則 14d‑

7 について述べる。規則 1 4 d  ‑ 7  ( a ) ( l ) は,証券取引所法上の 7 日間の撤回期 間を,公開買付を開始する日より 1 5 取引日まで延長することとした。その趣 旨は,株主に対しては,持株を預託する決定を再検討するための時間をより 長期間与える一方,公開買付者に対しては,買付期間の終了に先立って,預 託された株券の数量を確かめ,支払いと引き換えに当該株券を受け入れるか,

それとも終了日を延期するなど買付条件を変更するかを決定するための合理 的期間を与えるためだとされている。

さらに,規則 1 4 d  ‑7  ( a ) ( 2 ) は,競合公開買付の状況の下で条件付撤回権を 確立するため,他の公開買付者による競合公開買付の開始の日より 1 0 取引日 の間,撤回期間がさらに延長されることを定める。この場合,競合公開買付 の「開始」とは,規則 1 4d  ‑2  ( a ) に基づいて決定されるのであって,正式の 手続を踏まない新聞広告による公表等,規則 1 4d  ‑2  ( b ) の下で公開買付を開 始するものと考えられる公表は,規則 1 4 d  ‑ 2  ( a ) ( 2 ) の下で追加的撤回権の引 金を引くことにはならな

L

、点に注意を要する。また, I 他の公開買付者によ る競合公開買付」には,対象会社による自己宛公開買付は含まれない。そして 撤回期間を計算する際,規則 1 4d  ‑7  ( a ) ( l ) と同( a ) ( 2 ) は重畳的に適用される

(規則 1 4 d  ‑2  ( b ) ) 。

なお,規則 1 4d 一 7 ( d ) は,株主が預託株券の撤回を適切に行うことができ

るようにする一方,撤回された株券を物理的に解放する際に詐欺的行為から

公開買付者が自衛できる能力を不当に阻害することのないように,撤回の適

時通知を要請するとともに,撤回された株券の物理的解放に先立つ条件とし

(17)

公開買付をめぐる法規制の現状と課題[二]

7 1  

て合理的な要請を課すことを公開買付者に認めた。

このような実体的規制の在り方は,対象会社株主の保護を一歩進める一方 で,①最短買付期間と撤回期間とが別個に規定されており,規制構造が複雑 である,①対象会社による自己宛公開買付が別個に規制されており,ウィリ アムズ法によって構想された公開買付者と対象会社との均衡を対象会社側に 有利に傾けるおそれがある,①競合公開買付をめぐる規制については,撤回 期間の延長等,第二の公開買付者が既存の公開買付者の買付条件に影響を与 える可能性があり,両者間の均衡を第二の公開買付者の側へ有利に傾けるお それがある等,多くの問題を抱えていた。これらの点を鋭く突いたのが,諮 問委員会の報告書である。

諮問委員会は,まず,提案の基本的前提として,対象会社株主が公開買付 に参加する平等な機会を有することを挙げ,そのためには,通常の注意能力 を有する株主が公開買付説明書を受け取って熟慮、した上での投資判断を行え るような最短買付期間を定めることが必要であり,しかも,最短の撤回期間 ならびに按分比例期間は,最短買付期間によって提供される保護を足切りし ないように,最短買付期間と一致すべきである,と述べる。その具体的な日 数としては,原則として 3 0 暦日とすべきである,ただし,その後に競合公開 買付が行われる場合の競合公開買付の最短買付期間については,最初の公開 買付によって市場ならびに対象会社株主に通知が与えられることとの関係 上,最初の公開買付に関する 3 0 暦日の期間終了前にその後の競合公開買付が 終了しないことを条件として, 2 0 暦日で十分である,と勧告する(勧告 1 7 ) 。 なお,部分的公開買付の場合には完全公開買付に比べて株主に対する圧力が 高いことに鑑み,完全公開買付の場合よりもさらに 2 週間長く最短買付期間 を定めることを勧告する(勧告 1 6 ) 。さらに,買付価格の引上げまたは買付 数量の増大が行われる場合には,その通知が行われた日よりさらに 5日間,最 短買付期間ならびに按分比例期間が延長されるべきことを勧告する(勧告1 8 ) 。

また,競合公開買付下の状況をめぐる規制については,提案の基本的前提

として各公開買付者が各自の公開買付をコントロールすべきことを挙げ,競

合公開買付の開始により撤回期間を延長する当時の規制に代えて,最短買付

(18)

7 2  

経 営 と 経 済

期間の全期間に撤回期間が及ぶべきことを勧告する。

一方,自己宛公開買付をめぐる規制については,株主にとっても一定の利 点がみられる以上 たとえ第三者による公開買付が行われている期間中であ っても一般的に禁止されるべきではないが,自己宛公開買付の按分比例期間 は1 0 取引日で足りるとする当時の規制の下では 自己宛部分的公開買付にお ける対象会社株主は,第三者による部分的公開買付において要請される最短 買付期間によって与えられる保護を失うことになるため 「一度第三者によ る公開買付が開始された場合,対象会社は,自己宛公開買付に先立って開始 されたし、かなる公開買付の按分比例期間よりも早い按分比例期間を以て自己 宛公開買付を始めることは許容されるべきではない。 J (勧告 3 9b) と勧告し た。これらの勧告を受けて,第三世代の実体的規制が展開されることになる。

第三世代の実体的規制を概観すると,①株主の平等的取扱を徹底させるこ と,⑦発行会社による自己宛公開買付と第三者による公開買付(以下,第三 者公開買付という)とを平等に取り扱うこと,①規制に弾力性を持たせ公開 買付者の機動的な対応を可能とすること,に主眼が置かれているのが判る。

このような規制の骨組を SECが具体的に提示したのは 1 9 8 5 年 7 月のこと であった。すなわち, SEC は,証券取引所法 1 4 条 ( d ) 項に基づいて,①公開買 付の対象となるクラスの証券を保有する全ての証券保有者に公開買付を拡大

すること (W全保有者要請~),①各預託証券保有者に,公開買付の期間中に

他の証券保有者に対して申し出された最高額の対価を支払うこと ( W 最善価

格条項~),を内容とする新規則を採用するとともに,これに対応して規則 13

e‑4 を改正し,全保有者要請および最善価格条項を自己宛公開買付にも適 用できるようにすること,を提案した。 SEC はまた,第三者公開買付も自 己宛公開買付もともに,買付総数の増加の発表の日より少なくとも 1 0 取引日 の期間,最短買付期間を延長することを提案した。

これらの提案に寄せられた意見を基に, 1 9 8 6 年 1 月,若干の修正を加えて

再度提案を行い,同年 7 月,最終的に採択した。改正規則は,第三者公開買

付と発行会社による自己宛公開買付とを同列に扱うことを前提に, ( 1 ) 全保有

者要請, ( 2 ) 最善価格条項 ( 3 ) 最短買付期間の延長, ( 4 ) 撤回権の拡大,の 4 つ

(19)

公開買付をめぐる法規制の現状と課題[二] 7 3  

の事項から成る。

( 1 ) 全保有者要請・…・・規則 1 4d  ‑ l O ( a ) ( 1 ) および規則 1 3 e  ‑ 4  ( f ) ( S ) ( i ) は,公開 買付の対象となるクラスの証券の全保有者に対して公開買付が行われるべき ことを定める。これは,公開買付の対象となるクラスの全構成員が公開買付 のメウットを熟慮するのに必要な情報を受け取ることを確保することによっ て,ウィリアムズ法の開示目的を実現する趣旨とされている。

ただ,このような要請が州法との関係で公開買付者に過大な負担をかける のを回避するため,公開買付者が州法を遵守しようと努めたものの,当該州 法に則った行政上もしくは司法上の措置によって公開買付を行うのを禁じら れるような場合には,公開買付者が当該州の全証券保有者を排除する公開買 付を行うことを禁止するものではない,と定めた(規則1 4 d  ‑ 1 0 ( b ) ( 2 ) および 規則 1 3 e  ‑ 4 

(f)( 

9  ) (  i i ) ) 。

( 2 ) 最善価格条項……規則 1 4d  ‑ 1 0 ( a ) ( 2 ) および規則 1 3 e  ‑ 4  ( f ) ( S ) ( i i ) は,公開 買付に従って証券保有者に支払われる対価は,買付期間中に他の証券保有者 に支払われた最高額の対価で、なければならないことを定めている。 1 9 8 5 年 提 案の段階では「申し出された」対価とされていたのに,採用段階で「支払わ れた」対価に変更されたのは,当初の公開買付を終えて新たな公開買付を開 始する必要のないまま,公開買付者が申し出た対価を減額することを許容す

るためである。

ところで,公開買付において「現金または証券」のように選択的に対価が

申し出され,かつ,支払

L

、のために供される現金の総額に制限が課せられて

いるような場合,最善価格条項に違反することになるのだろうか。この問題

に対処したのが,規則 1 4d  ‑ 1 0 ( c ) および規則 1 3 e  ‑ 4  ( f ) ( lO)である。これらの

規則は,①証券保有者が,申し出された各形態の対価の間で平等な選択権を

与えられ,かつ,⑦証券保有者に支払われる各対価形態の最高額が,当該形

態の対価を受け取る他の証券保有者にも支払われる場合には,公開買付にお

いて 2 形態以上の対価の申込を行うことも最善価格条項に反するものではな

い旨を定めている。このように,支払いに供される各対価形態の総量ないし

総額に課せられる制限が開示され,かつ,申込超過の場合に按分比例原則が

(20)

7 4  

経 営 と 経 済

適用される限り,各対価形態の 100% を持ち合わせる手筈を整えることによ って割当超過の可能性についても計画すべきことを公開買付者に要請するこ とは,投資者保護の観点からは不要と考えられるからである。なお,申し出 された対価形態の相互間で,その価値において実質的に均等である必要はな

(61) 

。 、

一方,州法との関係では,いわゆる交換型公開買付において対価とされる 有価証券の募集または売出が,その届出等に関する公開買付者の善意の努力 の後にも,なお,ある州の関係当局によって禁止される場合,公開買付者は,

①当該州の証券保有者に選択的対価形態を申し出てもよく,かつ,⑦他の州 の証券保有者にも選択的対価形態を申し出または支払うよう要請されること はない,と規定する(規則 1 4 d  ‑ 1 0 ( d ) および規則 1 3 e  ‑ 4  ( t ) ( 1 l ) ) 。

なお,全保有者要請と最善価格条項との両者に関わる問題であるが,自己 宛公開買付に固有の問題として,単位未満株の公開買付と撤回公開買付とを,

一定の条件の下で規則1 3 e  ‑ 4 の規制の対象から除外することを認めた点は

特筆されるべきである。すなわち, 1 0 0 株未満の一定数を超えない数量を保

有する証券保有者に対して発行会社が買付の申込を行う場合,規則 1 3 e  ‑4 

( g ) ( 5 ) は,①規則 1 0b  ‑ 6  ( c ) ( 4 ) において定義されている「計画」としての発行

会社の「計画」に関与する者を排除することができる場合には全保有者要請

からの適用除外を,また,②公開買付に基づいて支払われる対価が,対象証

券の市場価格に基づいて統一的に適用される算式を基礎に決定される場合に

は最善価格条項からの適用除外を,それぞれ認めた。このような単位未満株

の自己宛公開買付を認める趣旨は,発行会社が少額の証券保有者勘定を大量

に処理するために支払う膨大なコストを削減する一方で,単位未満株取引に

通常支払われる仲介手数料を支払わずに,証券保有者が持株を処分できるよ

うにするためである,とされている了)また,撤回公開買付については,①証

券法の届出規制に反して発行された証券を保有する者だけから当該証券を買

、戻す場合で,かつ,⑦対価が,各証券保有者によって支払われた価格(発

行会社が法定利息を支払うことを選択しもしくは支払うよう要請される場合

には,それに法定利息を加えたもの)に等しいことを条件として,認めるこ

(21)

公開買付をめぐる法規制の現状と課題[二]

7 5  

とにした(規則 1 3 e  ‑ 4  ( g ) ( 6 ) ) 。

( 3 ) 最短買付期間の延長……規則1"4 e  ‑ 1  ( b ) および規則 1 3 e  ‑ 4  ( f ) ( l ) ( i i ) は , 公開買付の対象とされたクラスの証券の割合または申し出された対価の増減 が行われる場合,当該増減が最初に公表されまたは証券保有者に通知された 日ょげ少なくとも 1 0 取引日の期間,最短買付期間が延長されるべきことを定 める。その趣旨は,証券保有者が買付条件の変更に関する情報を受け取って 分析し既に証券を預託している場合には撤回するために必要なさらなる時 聞を確保しようとするものとされている。

これらの規則,殊に増加だけではなく減少も対象とされたのは,全保有者 要請および最善価格条項を採用することとの関係で,直接には規制の整合性 を確保するために立案されたものであったが,併せて,買付条件の変更をめ ぐる規制を,数量的規制から割合的規制に転換している点に注意を要する。

すなわち, 1 9 8 5 年 7 月の提案段階では「対象証券の総数」の増加と記述され ていた文言が, 1 9 8 6 年 1 月の提案段階では「対象証券の割合」の増減に変 更されたので、ある。これは,求められる証券の増加が,最終的に求められる 証券の割合を増加させないような状況を配慮したためである。具体的には,

公開買付者が部分的公開買付を行ったところ,対象会社が防衛戦術として新 株を発行するなど対象となる証券の社外証券の総数を増加させるような場 合,公開買付者は,買付総数を増加させて割合を維持しようとする際,最短 買付期間の延長を要請されずに済むことになる。

また,最短買付期間の延長は,公開買付者によって行われた買付条件の変 更の結果として生じるものであり,前述の例で公開買付者が防衛戦術に対応 して買付総数を増加する意図のない場合,社外株の増加により公開買付者に よって求められる証券の割合が減少したと

L

、う事実にもかかわらず, 1 0 取引 日期間の引金が引かれることはない点に留意する必要がある。

一方,買付予定数を僅かに超過する申込があった場合,申込超過分を公開 買付者が買い増しする際にも最短買付期間が延長されることを避けるため,

公開買付の対象とされるクラスの証券の 2 %を超えない数量の証券につい

て,公開買付者がさらに支払いを受諾することは,増加と見倣されないもの

(22)

7 6  

経 営 と 経 済

とした(規則 1 4 e  ‑ 1  ( b ) 但書および規則 1 3 e  ‑ 4  ( f ) ( l ) ( U ) 但書)。

なお,いずれの場合にも, r 証券の割合」は,証券取引所法 1 4 条( d ) 項 3 号 に従って計算される。

(  4 ) 撤回権の拡大・・・・・・規則 1 4 d  ‑ 7  ( a ) および規則 1 3 e  ‑ 4  ( f ) (   2  ) (   i  ) は , 公開買 付に応じた者の撤回権が,買付期間を通じて確保されるべきことを定める。

これは,買付の全期間を通して撤回権および按分比例を提供するシステムを 通じて,証券保有者を保護するとともに,公開買付の手続そのものを簡潔に することを狙ったものである。

ちなみに, 1986 年 1 月の提案段階では,本規則のような規制の方法の他,

申し出された対価の引下げまたは求められる証券の割合の減少に関する通知 が証券保有者に最初に伝えられた日より 1 0 取引日の期間,撤回期間を延長す る方法も,並列的に提案されていた。本規則の方を選択することによって,

証券保有者は公開買付の終了日だけに関心を払えばよいばかりではなく,競 合公開買付の発生によって当初の公開買付者が買付条件を変更させられるよ うな事態は生じなくなる。これに伴い 撤回期間の計算につき重畳適用方式 を採用していた規則 1 3 e  ‑ 4  ( f ) ( 7 ) は不要となり,削除されることとなった。

例 (一)参照。

1 1 3  CONG. REC. 8 5 6  

(J

a n .   1 8 .   1 9 6 7 )   ( r e m a r k s  o f  S e n a t o r  W i l l i a m s  on S .   5 1 0 ) . もっ

とも.

SEC

は.

7

日の撤回期間の規制について,株主に持株を預託するのを思い止どまら せるばかりではなく,既に預託されている場合には預託株主に撤回することを納得させ るための時聞をも,公開買付に反対する者に与える趣旨である,と述べ,株主の熟慮期 聞を確保するというクーリングオフの側面よりも,対象会社経営者や競合公開買付者の 機動的な対応を可能にするという側面を重視していたようである。

1 1 2 CONG.  REC. 

1 9 0 0 3 .   1 9 0 0 5   ( A u g .  1

 ,1

1 9 6 6 )   (Memorandum o f  t h e  S e c u r i t i e s  and Exchange Commis‑

s i o n  t o  t h e  Committee on B a n k i n g  and C u r r e n c y .  U.  S .   S e n a t e .  on S .   2 7 3

 ,1

8 9  t h  C o n ‑ g r e s s )  . 

( 3 6 )   I d .   a t  1 9 0 0 5 .  

( 3

R e 1 e a s eN o .  3 4  ‑16384  ( N o v .   2 9 .   1 9 7 9 ) .   1 8  SEC D o c k e t  1 0 5 3   ( 9 7 9 ) .  

(23)

公 開 買 付 を め ぐ る 法 規 制 の 現 状 と 課 題 [ 二 ]

7 7  

加)

I d .   a t  1 0 7

1.もっとも,最短買付期間を定めること自体については,識者の間で一致し ていたが,具体的にどの程度の日数を定めるべきかについては,意見が別れたようである。

同 自己宛公開買付と

L

、う特殊な状況の下では,規則

1 3e  ‑4

によって規定された最短買 付期間を適用するのが適当であると考えられたためで‑あるが,発行会社が,第三者によ る公開買付を予想しもしくはこれに対応して自己宛公開買付を行うような場合には,ウ ィリアムズ法の中立性を維持するためにも,

2 0

取引日の最短買付期間を要請すべきもの とされた。

I d . a t  1070‑107

1. 

I d . a t  1 0 7 2 .  

したがって,例えば,公開買付者が公開買付の開始から

3

日後に買付価格 の引上げを発表した場合,規則

14e‑1(b)

1 0

取引日の要請は同

14e‑1(a)

2 0

取引日 の期間中に終了し,最短買付期間が延長される結果には至らないことになる。

( 4 1 ) 昂

id.

(

4

I d . a t  1 0 6 7 .   ( 叫 昂

id.

同提案段階では,対象会社による競合公開買付によっても追加的撤回権の引金が引かれ る旨の規定が設けられていたが,対象会社がこれを濫用し,撤回期間の延長を通じて公 開買付者を牽制できる点を配慮し,削除されることになった。なお,提案段階の規制に ついては,

R e 1 e a s e  N o s .   3 3 ‑ 6 0 2 2 ;  34‑15548(Feb. 5

, 

1 9 7 9 )

, 

1 6  SEC Docket 973(979) 

を参照。

帥 例 え ば , 公 開 買 付 者

X

l

取引日に公開買付を開始し,公開買付者

Y

が同じクラスの 株式を対象として

7

取引日に公開買付を開始した場合,

X

の公開買付について撤回期間 を計算すると,規則

1 4d  ‑7  ( a ) ( I )

の下での

8

取引日から

1 5

取引日までの撤回期間は,同

1 4  d  ‑ 7  ( a ) ( 2 )

の下ての撤回期間に算入され,結局,撤回期間は

1

取引日に始まり

1 7

取引 日末に終了することになる。

( 4 6 )   R e l e a s e  No. 34‑16384

, 

s u p r a   n o t e  3 7

, 

a t  1 0 6 7 .   ( 4 7 )   SEC  Tender O f f e r  R e p o r t

, 

s u p r a   n o t e  1 7

, 

a t  2 7 .   ( 4 8 )   I d .   a t  2 7  ‑2 8 .  

I d .   a t  2 4 ー 2 6 .

わゆ

I d .   a t  3 8 .  

1 ) I d .   at28‑29. 

(24)

7 8  

経 営 と 経 済

( 5 2 )   I d .   a t  4 1 ‑ 4 2 .  

側提案内容の詳細については,次のリリースを参照されたい。

R e 1 e a s eN o s .  3 3 ‑ 6 5 9 5 ;  3 4  

‑22198 

(J

u 1 y  

 ,1

1 9 8 5 )

, 

3 S  SEC D o c k e t  7 6 2  

(1

9 8 5 ) .  

( 5 4 )   R e 1 e a s e  N o s .  3 3 ‑ 6 6 1 9 ;  34‑22791 

(J

a n .   1 4

, 

1 9 8 6 )

, 

3 4  SEC D o c k e t  1 2 4 8  

(1

9 8 6 ) .   ( 5 5 )   R e 1 e a s e  N o s .  3 3 ‑ 6 6 5 3 ;  34‑23421 

(J

u 1 y  1

 ,1

1 9 8 6 )

, 

3 6  SEC D o c k e t  9 6  

(1

9 8 6 ) .

証券保

有者の平等的取扱を徹底させるために全保有者要請および最善価格条項を新たに設ける ことについて,

SEC

は次のように述べている。「委員会は,証券保有者の平等的取扱に関 して,公開買付に適用され得る規制の中で明確性ならびに確実性を提供する必要性を認 めてきた。全保有者および最善価格の各条項は,証券取引所法の投資者保護という目的 を達成するために必要である。これらの条項がなかったならば,ある証券保有者には公 開買付を拡大しながら他の者には拡大しないことによって,あるいは様々な価格で証券 保有者に公開買付を行うことによって,差別的な公開買付がなされ得たであろう。全保 有者要請および最善価格条項の目的は,発行会社および公開買付者は等しく公開買付で 求められるクラスの証券の全保有者に対して公開買付を拡大しなければならず,かつ,

各預託証券保有者にその他の証券保有者に支払われる最高額の対価を支払わなければな らない,と

L

、ぅ要請を明示することである。

J I d .   a t  1 0 7 ‑ 1 0 8 .  

同 その規制内容について自己宛公開買付を第三者公開買付と同列に扱う理由を,

SEC

は 次のように述べている。「公開買付は,それを行う者が第三者であろうと発行会社であろ うと,対象会社の証券保有者に同様な圧力をかけるのである。証券保有者は,自己宛公 開買付においても,開示規制による保護や,按分比例や撤回権と

L

、う実体的規制による 保護について,同程度の必要性を有する。同様に,同じグラスの証券の保有者に関して 平等的取扱を確保すると

L

、う連邦議会の意図は,等しく適用できるものなのである。そ の政策と合致するように,全保有者要請および最善価格条項は,いずれかの当事者に加 担してパランスを傾けるのを回避するため,自己宛公開買付と第三者公開買付に等しく 適用されなければならない。

J I d .   a t  100‑10

1. 

I d .a t  9 9 .

全保有者要請がなければ,最短買付期間や撤回期間の延長等がある証券保有 者には行われでも他の者には行われないような事態も予想され,公開買付から排除され た証券保有者は,公開買付プレミアムに与かるために,ウィリアムズ法によって要請さ れる情報も撤回権・按分比例権も与えられないまま,排除されなかった証券保有者に売

(25)

公 開 買 付 を め ぐ る 法 規 制 の 現 状 と 課 題 [ 二 ]

7 9  

却するよう圧力をかけられるかもしれないからである。

I d . a t  9 8 .   ( 5 8 )   R e l e a s e  N o s .  33‑6595; 34‑22198

, 

s u p r a   n o t e  5 3

, 

a t  7 6 8 .  

( 5 9 )   R e l e a s e  N o s .  33‑6653; 34‑2342

 ,1

s u p r a   n o t e  5 5

, 

a t  9 7 .

したがって,例えば,公開買 付に対する防衛戦術として,対象会社が自社の有力な事業部門や子会社等を第三者に譲 渡するような場合,公開買付者は,譲渡後の対象会社の資産価値を反映した価格まで買 付価格を引き下げて,預託された全証券を買い付けることも可能である。ただし,後述 するように,最短買付期間がさらに

1 0

取ヲ旧延長されることになる。

R e l e a s eN o s .   33‑

6 6 1 9 ;  34‑2279

 ,1

s u p r a   n o t e  5 4

, 

a t  1 2 5 0 .  

R e l e a s e  Nos

, 

33‑6653; 34‑2342

 ,1

s u p r a   n o t e  5 5

, 

a t  1 0 3 .  

加)

1 9 8 5

7

月の提案段階では,各対価形態が実質的に均等であることを要求していたが,

証券保有者が申し出された対価形態の間で同ーの選択権を持つことを要求すれば足りる との指摘を受けて,本文のような規定に改められた。

I d . a t  1 0 3  n .   4 8 .  

制) 同規則に基づく「計画」には,発行会社もしくはその子会社の従業員または株主に対 する,特別賞与,利益分配,年金,退職金等とともに,株式買付やストック・オプショ

ン等も含まれている。

ゅ R e l e a s eN o s .  33‑6653; 34‑2342

 ,1

s u p r a   n o t e  5 5

, 

a t  1 0 4 ‑ 1 0 5 .  

加) 規則の文言からは明らかではないが,

SEC

は,州法の届出規制に違反して発行された 有価証券に対する撤回公開買付も,同規則の下で認められる,としている。

I d . a t  1 0 5 .   ( 6 5 )   I d .   a t  1 0 6 .  

6 ) R e l e a s e  N o s .  33‑6595; 34‑22198

, 

s u p r a   n o t e  5 3

, 

a t  7 6 8 .   ( 6 7 )   R e l e a s e  N o s .  33‑6619; 34‑2279

 ,1

s u p r a   n o t e  5 4

, 

a t  1 2 5 5

, 

1 2 5 7 .   ( 6 8 )   I d .   a t  1 2 5 2 .  

の R e l e a s e  N o s .  33‑6653; 34‑2342

 ,1

s u p r a   n o t e  5 5

, 

a t  1 0 6 .   (

7 の 2 %

という適用除外基準は,証券法

1 3

条(

d )

6

号および証券取引所法

1 4

条(

d )

8

号に よって規定されている適用除外との整合性を考慮したものである。

I d . a t  1 0 6   n .   7

1. 

( 7 1 )   I d .   a t  1 0 7 .  

( 7 2 )   R e l e a s e  N o s .  33‑6 6 1 9 ;  3 4 ー 2 2 7 9

,1

s u p r a   n o t e  5 4

, 

a t  1 2 5 5 ‑ 1 2 5 6 .  

P

R e l e a s eN o s .  33‑6 6 5 3 ;  34‑2342

 ,1

s u p r a   n o t e  5 5

, 

a t  1 0 7 .  

参照

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