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論 文 要 旨

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Academic year: 2021

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(1)

学位授与番号:甲1014号 氏 名:杉村 弥恵

学位の種類:博士(医学)

学位授与日付:平成

28

3

23

学位論文名:

橋腕傍核から扁桃体中心核への単シナプス性侵害受容性入力がシナプス伝達お よびネットワークに及ぼす影響

主論文名:

Synaptic and network consequences of monosynaptic nociceptive inputs of parabrachial nucleus origin in the central amygdala.

(橋腕傍核から扁桃体中心核への単シナプス性侵害受容性入力がシナプス伝達 およびネットワークに及ぼす影響)

学位審査委員長:教授 河合良訓

学位審査委員:教授 籾山俊彦 教授 下山直人

東京慈恵会医科大学電子署名者 : 東京慈恵会医科大学 DN : cn=東京慈恵会医科大学, o, ou, [email protected], c=JP 日付 : 2017.02.20 11:48:16 +09'00'

(2)

論 文 要 旨

(2部提出)

論 文 提 出 者 名 杉村 弥恵 指導教授名 加藤 総夫 主論文題名:

Synaptic and network consequences of monosynaptic nociceptive inputs of parabrachial nucleus origin in the central amygdala

(橋腕傍核から扁桃体中心核への単シナプス性侵害受容性入力がシナプス伝達および ネットワークに及ぼす影響)

Yae K Sugimura, Yukari Takahashi, Ayako M Watabe, and Fusao Kato Journal of Neurophysiology; published ahead of print February 17, 2016.

慢性痛は、原因となる組織損傷の治癒後も持続する痛みの訴えであり、その本態は痛 みの「苦痛」の負情動である。負情動は患者の生活の質を著しく低下させるだけでなく、

痛覚過敏を引き起こし悪循環を形成する。慢性痛の負情動の形成機構の一つとして脊髄 後角浅層から侵害受容情報を受ける外側橋腕傍核(LPB)と情動の中枢である扁桃体中 心核(CeA)の外側外包部(CeC)の間のシナプス伝達の可塑的変化が提唱されている。

様々な疼痛モデルで

LPB

から

CeC

ニューロンへのシナプス伝達増強が報告されている が、

CeA

局所回路の活動に及ぼすその影響の詳細は、特定の神経核由来線維を局所回路 の活動観察下に刺激する方法の技術的制約のため、大部分未解明である。そこで私は、

近年開発された光遺伝学的手法をこの問題に応用して

LPB-CeC

シナプス伝達を解析し、

痛みの慢性化に伴う負情動の生成機構の解明を目的として本研究を行なった。

チャネルロドプシン

2

発現アデノ随伴ウィルスベクターを

4~5

週齢ラットの

LPB

微量注入し、5~7週後に扁桃体を含む急性脳スライス標本を作製して

LPB, CeC

および

CeM

ニューロンの膜電流を記録した。光刺激によって

LPB

由来経路を選択的に活性化 したところ、以下の新知見が得られた。1)CeC ニューロンの興奮性シナプス後電流

(EPSC)は単シナプス性である。2)大部分の

CeC

ニューロンがその発火パターン分 類に依らず応答を示す。3)CeC ニューロンは興奮性入力だけでなく

GABA

作動性介 在ニューロンを介した多シナプス性の抑制性入力も受けている。4)

CeA

の出力核であ る内側部(CeM)のニューロンは、光刺激に対して抑制性優位の応答を示す。そして、

5)炎症性疼痛モデル群において、遅延興奮型

CeC

ニューロンが、発症

24

時間後、有 意な

EPSC

振幅増大を示す。以上の結果は、

LPB

からの直接的な興奮性入力と間接的 な抑制性入力が

CeA

の局所回路の活動を修飾し、疼痛が慢性化する過程において生じ

LPB-CeC

シナプス伝達の増強が疼痛・情動関連行動に影響を及ぼす可能性を示唆し

ている。これらの慢性痛に伴う侵害受容―情動系の可塑的変化に関する基礎的な知見 は、慢性痛の薬物治療や認知行動療法の発展に貢献し得ると期待される。

(3)

論文審査の結果の要旨

杉村弥恵氏の学位申請論文は、主論文1冊3編から成ります。主論文の題名は邦訳 で「橋腕傍核から扁桃体中心核への単シナプス性侵害受容性入力がシナプス伝達およ びネットワークに及ぼす影響」であり、JournalofNeurophysiology誌に掲載された ものです。指導教官である神経科学研究部加藤総夫教授のもとで行われた研究です。

主論文の内容および杉村氏の経歴は iPADに記載されているとおりです。ここでは主 論文の特徴的な新規性・意義と審査結果についてご報告申し上げます。

杉村氏は、痛覚伝導路の一部を形成すると考えられている橋腕傍核・扁桃体路の役 割を解明するために、光遺伝学的手法を導入して、空間時間分解能を飛躍的に高め、

入力特異性を確保して扁桃体ニューロンの詳細なシナプス入力応答解析を行い、疼痛 と情動の機能的連合の分子基盤に関する実験結果を得ました。

主論文内容の口頭発表に対して、去る平成28年3月15日、籾山俊彦教授ならび に下山直人教授のご臨席のもと論文審査会が開催されました。席上、各教授から、新 たな解析手法によるデータの解釈、扁桃体の局所神経回路の特徴や痛覚刺激の脊髄内 処理との関係などに関する質問・指摘があり、杉村氏は、これらの質問に対して的確 な回答をしました。よって、両教授との慎重審議の結果、杉村氏の学位申請論文は、

その価値十分と判断されました。

参照

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