N‑methyl‑D‑aspartate型グルタミン酸受容体
NR2A,NR2BおよびNR2Dサブユニットの侵害性疼痛,炎 症性疼痛および神経因性疼痛への関与についての研 究
著者 檜杖 昌則
著者別名 Hizue, Masanori
雑誌名 博士学位論文要旨 論文内容の要旨および論文審査
結果の要旨/金沢大学大学院自然科学研究科
巻 平成19年9月
ページ 55‑57
発行年 2007‑09‑01
URL http://hdl.handle.net/2297/26685
氏名 学位の種類 学位記番号 学位授与の日付 学位授与の要件 学位授与の題目
檜杖昌則 博士(薬学)
博甲第847号,
平成18年9月28日
課程博士(学位規則第4条第1項)
N-methyl-Daspartate型グルタミン酸受容体NMA,NR2BおよびNR2Dサブユ ニツトの侵害`性痙痛,炎症`性痙痛および神経因性嬉痛への関与についての研究 米田幸雄(自然科学研究科・教授)
横井毅(医学系研究科・教授),山田清文(自然科学研究科・教授),
円能一船伯妖科螢、F零劃.Hh調iH雷)公補禾土伯扶刊暖秤Zbl制.Bh鋤鱈)
論文審査委員(主査)
論文審査委員(副主査)
〃methyl-D-aspartate(NMDA)-typeglutamatereceptorsplayanimportantrolem nociceptivetransmissionsinvarioustypesofpain、Thepurposeofthisstudyisto clarifj7involvementofNMDANR2A,NR2BandNR2Dsubunitsinthe fbrmamn-inducedacutenociceptiveandtonicinflammatorypainmodel,andthe partialsciaticnerveligation(PSL)-inducedneuropathicpainmodelbyusingNR2A (GluR81)subunitknockoutmouse,NR2D(G1uR84)subunitlmockoutmouseanda novelNR2BsubunitselectiveNMDAreceptorantagonist・
IntheNR2AandNR2Dknockoutmicestudy;thesecondtonicinflammatory phaseresponseinthefbrmalintestwassignificantlyreducedinNR2Aknockout NR2A(-/-)mice,butnotinNR2D(-/-)whencomparedtowild-typemice,Inthe partialsciaticnerveligation(PSL)model,NR2A(-/-)nliceexhibitednodifferencein mechanicalanodyniacomparedtowild-typemice,However;NR2D(-/-)micefailed todevelopallodyniaafterthenerveligation、AnovelNR2Bsubunitselective NMDAreceptorantagonist,DHQ((-)-(R)-6-{2-[4-(3-F1uorophenyl)
-4-hydroxy-1-piperidinyl]-1-hydroxyetllJ71-3,4-dihydro-2(1H)-quinolinone),exhibited significantinhibitioninfirstphaseresponseandsecondphaseresponseinrat fbrmalintest.MoreovemDHQdemonstratedSignificantimprovementon mechanicalallodyniainthemousePSLmodelafteroraladministration・These resultssuggestthatNR2A,NR2DandNR2BsUbunitsareinvolvedintonic
inflammatorypain,neuropatllicallodyniaandbothofthem,respectively6
」Vmethyl-D-aspartate(NMDA)型グルタミン酸受容体は中枢神経系の主要な興奮 性神経伝達物質グルタミン酸の受容体の一つであり,様々な生理的および病態生理的神 経活動に重要かつ複雑な役割を担っている.これらの機能の一つとして,グルタミン 酸によるNMDA受容体の活性化が痙痛反応に関与していること,動物モデルおよび臨 床でNMDA受容体拮抗薬がすぐれた鎮痛作用を示すことは以前から報告されてきた.
特に,有効な治療薬が望まれている神経因性痙痛などの』慢性難治`性痙痛疾患において NMDA受容体拮抗薬が治療効果を有することが数多く報告されており,NMDA受容体 拮抗薬はすぐれた痙痛治療薬の一つとして期待されている.しかしながら,NMDA受 容体は様々な神経活動に関与するため,これまでのNMDA受容体拮抗薬はいずれも鎮
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痛作用と副作用を有効に分離することができず,鎮痛薬としては限られた条件下でのみ 使用されるにとどまってきた.したがって,副作用を分離したNMDA受容体拮抗薬 の開発は,慢性難治性瘤痛疾患に対する新規痩痛治療薬の開発として強く望まれるもの である.機能的NMDA受容体はNR1サブユニットと4種のNR2サブユニットが複 数でヘテロ会合したイオンチヤネルであるが,各NR2サブユニットとの組み合わせに より,それぞれのNMDA受容体チャネルが異なる生理的もしくは病態生理的神経活動 に関与していることが知られている.このことから,各NR2サブユニット選択的な抑 制を行うことにより,MmA受容体が関与する神経活動を各サブユニットが関与する 機能毎に抑制できる可能性が考えられ,いずれかのNR2サブユニットを選択的に抑制 することによって鎮痛作用と副作用を分離することができれば,慢性痙痛疾患に有効な 新たな治療薬として有望であると考えられる.しかしながら,これまでのところ瘻痛 伝達における各サブユニットの関与は十分に解明されてはいない.よって筆者は,
NMDA受容体サブユニット選択的な鎮痛薬開発を目指した探索研究の第一歩として,
まず各サブユニットがどのような痙痛反応に関与しているかを明らかにする目的で,
NMA(G1uRcl)サブユニット欠損マウス,NMD(GluR84)サブユニット欠損マウ スおよび新規NMBサブユニット選択的NMDA受溶上体拮抗薬を用いて各種痩痛反応モ デルでの検討を実施した.
まず,NMDA受容体NMAサプユニットおよびNMDサブユニットの痙痛反応へ 'の関与の検討のため,NMAサブユニット欠損マウスおよびNMDサブユニット欠損 マウスを用いて,ホルマリンテストおよび坐骨神経部分結紮誘発神経因性瘻痛モデルに おける評価を行った.その結果,NMAサブユニット欠損マウスにおけるホルマリン テスト第1相反応は,ワイルドタイプマウスのそれと同等の反応を示した.これに対 し,第2相反応はワイルドタイプと比較して有意に減弱していた.坐骨神経部分結紮誘 発神経因性痩痛モデルにおいては,施術3日後よりメカニカルアロデニアを発症し,ワ イルドタイプマウスの反応との差異は観察されなかった.一方,NR2Dサブユニット欠 損マウスのホルマリンテスト第1相反応および第2相反応はワイルドタイプマウスの それらと同等の反応を示し,NR2Dサブユニット欠損の影響は観察されなかった.こ れに対し,驚くべきことに,坐骨神経部分結紮誘発神経モデルにおいては,ワイルFタ イプマウスと異なり,施術14日後までメカニカルアロデニアを全く発症しなかった.
次に,新規化学構造を有するNMDA受容体NMBサブユニット選択的拮抗薬DHQ
〔(-)-(R)-6-{2-[4-(3-muorophenyD-4-hydroxy-1-piperidinyl]-1-hydroxyethyl-3,4-dihydr o-2(11D-quinO1inone)を用いて,NMDA受容体NR2Bサブユニットの瘻痛反応への関 与を検討した.DHQはラットならびにマウスNMBサブユニットに特異的で強い親 和`性を有し,またラットNR1b/NR2B発現細胞をグルタミン酸およびグリシンで刺激 した際の細胞内カルシウム流入を濃度依存的に抑制する一方で,NR1b/NR2A発現細胞,
NR1MWR2C発現細胞ならびにNR1b/NR2D発現細胞における反応に対しては高濃度 においても抑制作用を示さないサブユニット選択的拮抗作用を有した.DHQのラット ホルマリンテストにおける効果を調べたところ,第1相反応および第2相反応をともに 用量依存的に抑制した.またマウス坐骨神経部分結紮誘発神経因性瘻痛モデルにおけ るメカニカルアロデニア反応に対しても,投与量に依存した強力な抗アロデニア効果を
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示した.さらに局所投与による作用点の検討を行ったところ,DHQを脳室内投与した 場合に抗アロデニア作用が得られたのに対し,脊髄髄腔内投与では10倍量の投与でも メカニカルアロデニアを抑制しなかった.一方,ローターロッド試験では,抗アロデニ ア作用を示した用量の33倍以上の投与量においても協調運動能に対する影響は観察さ
れなかった.
以上本研究において,NR2Aサブユニットは脊髄後角細胞感作が関与する炎症性痙痛 に,NR2Bサブユニットは侵害性痙痛,炎症性痙痛および神経因性瘻痛に,そしてNR2D サブユニットは神経因`性痙痛にそれぞれ関与していることが示された.また,いずれ のサブユニットに対する検討においても,本研究における行動観察を通じてサブユニッ ト非選択的NMDA受容体拮抗作用で引き起こされる行動異常は観察されなかったこと から,従来のNMDA受容体拮抗薬で見られる副作用を分離できる可能性が示唆された.
これらことから,NMDA受容体NR2A,NMBもしくはNR2Dサブユニットに選択的 な拮抗薬は,それぞれ慢性難治性痙痛に有効な新しい痩痛治療薬としての可能`性を有す
ると考えられた.
学位論文審査結果の要旨
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