別紙1
論 文 審 査 の 要 旨
報告番号 ○甲 ・乙 第 3167 号 氏 名 松沼 悟
論文審査担当者
主査 柴沼 質子 副査 佐々木 忠徳 副査 中谷 良人
(論文審査の要旨)
論文名「Oxaliplatin induces prostaglandin E2 release in vascular endothelial cells.
(オキサリプラチンによる血管内皮細胞からのプロスタグランジンE2産生の誘導)」
掲載雑誌名
Cancer Chemotherapy and Pharmacology Vol.84 No.2 P.345-350 2019年
オキサリプラチン(L-OHP)による副作用の一つに、末梢静脈投与時の血管痛がある。こ の血管痛に関しては、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の投与が予防に有効である可能 性が示唆されている。そこで本研究では、PG 類のうち PGE2が血管痛の誘発因子であると 想定し、培養細胞を用いた検討を加えた。
正常ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)を末梢静脈投与条件に相当する濃度の L-OHP で処 理したところ、PGE2産生が処理後 2 時間で増加した。同じ白金系薬剤でも血管痛を起こさ ないシスプラチンではこの増加はみられず、PGE2産生と血管痛との間に相関がみられた。
注目すべきことに、この増加は、NSAIDs の併用で抑制された。また、この PGE2産生は、
PGE2生合成関連酵素のうち、COX-1/cPGES 経路によるものであることが示唆された。
以上のように、本研究は、L-OHP による血管痛抑制に非オピオイド鎮痛薬の予防的投与 が有効である可能性を新規に示唆するものであり、臨床応用へ向けて発展が期待される。
質疑応答においては、科学的根拠に基づいて、論理的、的確な解答が得られ、その内容 から、当該分野における十分な知識と論理的考察力を有することが確認された。
以上、審査の結果、本論文は博士(薬学)に値するものと判断された。
(主査が記載、500字以内)