特許出願技術動向調査報告書
パワーアシストスーツ
平成31年2月
特
許
庁
本編
要約
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第5部
資料編
第6部
第 1 章 調査概要 第 1 節 調査目的 特許情報から技術全体を俯瞰し、経済情報・産業情報を踏まえた技術開発の進展状況・方向 性を把握することは、特許庁における審査体制の構築や的確かつ効率的な審査等のための基礎 資料の整備、産業政策、科学技術政策の基礎資料の整備をする上で必要である。 また、今後、我が国の産業が持続的に発展していくためには、新規事業の創出が不可欠であ り、そのためには、企業や大学・公的研究機関等の技術開発、知財戦略策定を支援していく必 要がある。特許情報はこれら企業等の研究開発動向、知財戦略の表れであり、技術開発、知財 戦略の方向性を決定していく上でも重要なものである。 本調査では、近年、特に注目されている「パワーアシストスーツ」の分野について調査分析 を行うものとする。人体に装着され活用されるパワーアシストスーツは、医療・福祉分野で機 能改善を目的とした医療福祉用途で上市が始まり、その後、人体に装着され人の動作を補助す るための装置として、物流、建築、工場、農作業等の一般産業分野や、機能再生・機能改善治 療、理学療法士の作業を代行するリハビリテーション支援、歩行補助、介護者支援、要介護者 の自立支援等の医療・介護分野において、市場投入や更なる研究開発が活発化している。 特に近年では、我が国が直面している少子高齢化社会における労働人口減少の解決方法の一 つとして着目され、上記分野での一層のニーズ増大が予想されるところ、実用化段階に入りつ つある現在は、これまでの研究開発の動向等を踏まえて、今後の普及・事業化に向けての課題・ 取組等を整理し、方向性を示す良いタイミングであるといえる。 このような背景のもと、パワーアシストスーツに関する特許の動向を調査し、技術革新の状 況、技術競争力の状況と今後の展望について検討する必要がある。本調査では、(1)本テーマ における国内外の技術発展状況、研究開発状況を含む技術動向を明らかにすること、(2)本テ ーマにおける日本及び外国の技術競争力、産業競争力を明らかにすること、(3)本テーマにお いて日本企業・政府機関が取り組むべき課題を整理し、今後目指すべき研究・技術開発の方向 性を明らかとすることを目指した。本編
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第 2 節 調査対象技術の概要 1.パワーアシストスーツの技術概要 パワーアシストスーツ(外骨格(exoskeleton)ともいう)は、身体に装着し、装着者又は 作業対象に対して作用することで、身体動作の支援、身体機能の改善・治療等を行うもので ある。 他方で、義手・義足のような身体機能の欠損を補うもの、ペンチのような工具、車椅子の ような歩行代替手段、コルセットのような矯正具等については、ある一面においては身体機 能の支援を行ってはいるものの、本調査の調査範囲には含まない。 図 1-1 パワーアシストスーツの調査範囲 健常者の身体機能を 補助/拡張するもの 道具/工具 装具/靴 衣服/鎧/ 耐Gスーツ 乗物/重機 傷病者等の 身体機能を 補助/改善・ 治療するもの 義手義足 車椅子/杖 人工臓器/ 延命装置 歩行支援 機器 起き上がり 支援機器 持ち上げ・運搬 等補助機器 作業時等姿勢 維持補助機器 その他人体 に作用するもの 矯正具 薬物 パワーアシストスーツの範囲 身体機能低下 予防機器 リハビリテー ション支援機器 治療・機能 改善機器 図 1-2 パワーアシストスーツの使用・動作イメージ 装着 膝 足首 股 腰 肩 肘 手首 手・指(の関節) 背中 上半身 下半 身 要素技術 • 機構 • アクチュエータ • センサ・情報取得 • エネルギー供給 • 制御 • 通信 動作アシスト 運搬 自立 歩行 姿勢維持 持ち上げ 持つ 持ち上げ支援 姿勢維持支援 立ち上がり支援 歩行支援 作業支援 身体機能改善・ 治療支援 リハビリテーション 支援本
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要
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パワーアシストスーツは、すでに複数種類の製品が上市されている。図 1-1-3 にその代表例を示 す。(各社製品の詳細については、第 2 部市場環境調査を参照。) 図 1-3 パワーアシストスーツの代表例 CYBERDYNE 株式会社 「HAL 医療用下肢タイプ」 Prof. Sankai, University of Tsukuba / CYBERDYNE Inc. 株式会社イノフィス 「マッスルスーツ Edge」 株式会社 ATOUN 「パワードウェア本編
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2.パワーアシストスーツの技術俯瞰図 本調査の対象とする技術領域を示す技術俯瞰図を、以下の通り作成した。パワーアシスト スーツの技術は、大きくはハードウェア、ソフトウェア、アシスト部位に分けることができ る。技術俯瞰図では、それぞれについて要素技術、個別の技術課題、横断的な技術課題、用 途を記載した。 図 1-4 パワーアシストスーツの技術俯瞰図 ハード ウェア センサ・情報取 得手段 ソフトウェア 制御 通信 アクチュエータ 機構 パワーアシストスーツの構成要素 要素技術 個別の技術課題 横断的な技術課題 用途 外骨格 衣服 電動アクチュエータ ソフトアクチュエータ 油圧 無動力(パッシブ) センサ 通信等による外部か らの取得 入力 処理 出力 IoT 他の機器との協調 通信技術の活用 軽量化 強靭化 コスト低減 伝達効率向上 小型化 高出力化 軽量化 高速応答 柔軟性 検出精度向上 小型化 検出安定性 エネルギー供給 燃料電池 二次電池 スーパーキャパシタ 圧縮ガス エネルギー密度向上 大出力化 制御時間の短縮 制御精度の向上 通信の安定化 安全性の確保 転倒予防 複数情報を組み合わ せた状態検知 通信の冗長化等フェ -ルセ-フ制御 耐環境性の確保 防水、防塵、防爆、耐 熱、耐冷 コスト低減 各構造の軽量化 代替材の利用 稼働時間の増大 システムエネルギー 効率向上 操作性の向上 重量バランス改善 応答速度向上 ソフトマテリアル利用 ユーザビリティ向上 着脱性向上 キャリブレーションの 短時間化 セキュリティ 外部からの通信によ る不正アクセスの防 止 ユーザー認証 データの収集・活用 IoT 学習モデル 介護 介護作業者支援、 介護予防 医療 リハビリ 機能改善・機能再 生治療 防衛 車両利用できな い領域での移動、 荷物運搬 産業 自動車、建設、配 送業、農業、林業 等における重作 業の補助 特殊環境作業 防護服を着用して の活動補助等 エンターテイメント サービス用(医 療・介護を除く) アシスト部位 上半身(肩、ひじ、手首、背中)下半身(腰、ひざ、踵) 全身 外観 外骨格 周囲との親和性本編
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第 2 章 パワーアシストスーツの市場環境 第 1 節 パワーアシストスーツの市場動向 1.市場規模 (1)世界市場規模の推移 2016 年におけるパワーアシストスーツの世界市場規模は、約 158,600 台となり、今後の 年平均成長率(CAGR)は約 17.1%で拡大していくと予想される。 地域別の市場規模でみると、日本の市場規模は 2016 年時点で約 14,100 台と、世界市場 の約 8.9%を占める。今後の年平均成長率は約 16.3%と予想される。米国の市場規模は 2016 年時点で約 54,600 台となっており、世界市場の約 34.5%を占める。今後の年平均成長率は 約 17.5%と予想される。欧州の市場規模は 2016 年時点で約 35,300 台となっており、世界 市場の約 22.2%を占める。今後の年平均成長率は約 17.0%と予想される。中国の市場規模は 2016 年時点で約 48,000 台となっており、世界市場の約 30.3%を占める。今後の年平均成長 率は約 17.0%と予想される。韓国の市場規模は 2016 年時点で約 6,600 台となっており、世 界市場の約 4.2%を占める。今後の年平均成長率は約 16.5%と予想される。 図 2-1 パワーアシストスーツの市場規模推移(対象国:日米欧中韓、出荷台数ベース)0
50,000
100,000
150,000
200,000
250,000
300,000
350,000
400,000
450,000
500,000
550,000
600,000
2016
2020
2025
(台)
(年)
韓国
中国
欧州
米国
日本
(出所)各種データを基に三菱UFJリサーチ&コンサルティング作成 (2)用途別市場規模推移 ① 農業・林業及び漁業 農業、林業、漁業において苗作・収穫・運搬等作業での利用を示す。当該用途従事者 の多い国(米国、中国)において利用が広がれば、需要増加が見込まれる。本編
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② 鉱業及び採石業 鉱業、採石業で鉱山等での発掘・運搬等作業での利用を示す。全般的に当該用途従事 者は少なく、需要の構成比は少ない。 ③ 製造業 各種製造業において、原材料・完成品の運搬・姿勢維持等作業での利用を示す。当該 用途従事者が多く、今後の需要増加が見込まれる。 ④ 建設業 建設現場における資材の運搬等の作業での利用を示す。当該用途従事者の多い国(米 国、中国)において利用が広がれば、需要増加が見込まれる。 ⑤ 運輸・保管業 物流現場、倉庫での荷貨物の運搬等作業での利用を示す。当該用途従事者が多く、今 後の需要増加が見込まれる。 ⑥ 公務及び国防・義務的社会保障事業/治外法権機関及び団体 公務、軍事等での利用を示す。当該用途従事者の多い国(米国、中国)において利用 が広がれば、需要増加が見込まれる。 ⑦ 保健衛生及び社会事業 医療・介護現場の職員による介添え等での利用を示す。当該用途従事者が多く、今後 の需要増加が見込まれる。 ⑧ リハビリテーション、機能改善・機能再生治療 神経疾患・筋骨格疾患による歩行機能の障害に対する補助・回復支援での利用を示す (上記⑦は医療・介護現場の職員の利用に対し、⑧は医療・介護を受ける本人の利用)。 高齢者増加の多い地域(日本等)において利用が広がれば、需要増加が見込まれる。 図 2-2 パワーアシストスーツの市場規模推移(対象国:日米欧中韓、用途別・出荷台数ベ ース) 0 100,000 200,000 300,000 400,000 500,000 600,000 2016 2020 2025 (台) (年) リハビリテーション、機能改善・ 機能再生治療 保健衛生及び社会事業 公務及び国防・義務的社会保障事 業/治外法権機関及び団体 運輸・保管業 建設業 製造業 鉱業及び採石業 農業・林業及び漁業 (出所)各種データを基に三菱UFJリサーチ&コンサルティング作成本編
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(3)日本の市場規模 2016 年におけるパワーアシストスーツの日本市場規模は、約 14,100 台となり、製造 業が市場全体の約 3 分の 1 を占める。製造業、保健衛生及び社会事業、建設業、運輸・ 保管業等の産業用途での浸透と、リハビリテーション、機能改善・機能再生治療用途で の浸透を背景に、今後市場は年平均成長率約 16.3%で拡大していくと予想される。 図 2-3 パワーアシストスーツの日本市場規模推移(用途別・出荷台数ベース) 0 5,000 10,000 15,000 20,000 25,000 30,000 35,000 40,000 45,000 50,000 2016 2020 2025 (台) (年) リハビリテーション、機能改 善・機能再生治療 保健衛生及び社会事業 公務及び国防・義務的社会保 障事業/治外法権機関及び団体 運輸・保管業 建設業 製造業 鉱業及び採石業 農業・林業及び漁業 (出所)各種データを基に三菱UFJリサーチ&コンサルティング作成 第 2 節 主要企業の動向 企業(含む大学)の製品開発においては、アクティブが主体であり、作業支援・歩行 支援の双方で開発がなされている。一方、パッシブの製品は相対的に少なく、作業支援 向け製品の一部で開発がなされているという状況である。また、機能改善を行う治療処 置として用いられる医療機器は日米欧で治療用外骨格としてプラットフォーム化が進ん でおり、身体の自立機能の向上を促進する自立支援機器も登場している。介護支援につ いては、ペースメーカなどの医療機器を日常的に使用している要介護者もいるため、パ ーソナルケアロボット(生活支援ロボット)の安全性に関する国際規格である ISO13482 だけではなく場合によっては医療機器水準の国際規格などへの対応も配慮しておく必要 がある。要素技術の観点と医療・介護など用途の観点の両観点から開発がなされている。本編
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表 2-1 パワーアシストスーツ主要メーカの製品比較 国 企業 製品名 作業支援 歩行支援 介護支援 歩行機 能改 善・治 療 自立支 援 アクティブ パッシブ アクティブ パッシブ アクティブ パッシブ アクティブ アクティブ 日 本 CYBERDYNE HAL 腰タイプ作業支援用 〇 HAL 腰タイプ介護支援用 ○ HAL 腰タイプ自立支援用 △ ○ HAL 医療用下肢タイプ (日米欧) 〇 HAL 自立支援用下肢タイプ Pro 〇 HAL 自立支援用単関節タイプ 〇 イノフィス マッスルスーツ 標準モデル(タンクタイプ/ 外部供給タイプ) 〇 マッスルスーツ 軽補助モデル (タンクタイプ/外部供給 タイプ) 〇 マッスルスーツ スタンドアローン 〇 マッスルアッパー 〇 ATOUN ATOUN MODEL A 〇 ATOUN MODEL Y 〇 ATOUN MODEL As (受注生産品) 〇 KOMA1.5(開発中) 〇 ZUI2.0(開発中) 〇 HIMICO(開発中) 〇 TABITO3.0(開発中) 〇 トヨタ自動車 ウェルウォーク WW-1000 〇 本田技研工業 Honda 歩行アシスト 〇 体重支持型歩行アシスト 〇 米 国 Lockheed Martin FORTIS 〇 ONYX 〇 〇 Ekso Bionics Holdings Ekso Suit 〇 Ekso Vest 〇 Wearable Exoskeleton 〇 University of California BLEEX 〇 〇 ExoHiker 〇 〇 ExoClimber 〇 〇 HULC 〇 〇 ExoLight 〇 eLEGS 〇本編
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Austin 〇 英 国 Innovative Technology and Science H-COP 〇Mechatech Assistive Exoskeleton 〇
Enhancive Exoskeleton 〇
ド イ ツ
Ottobock SE&Co Paexo 〇
German Bionic Systems CRAY X 〇 フ ラ ン ス RB3D HURCULE 〇 〇 中 国 NORINCO L70 〇 〇 Southeast University PH-EXOS 〇 Chinese Academy of Sciences ― 韓 国
DMSE Exoskeletal robot 〇
Hyundai Motor H-VEX 〇 H-CEX 〇 H-MEX 〇 HUMA 〇 Samsung Electronic ― (出所)各種情報より三菱 UFJ リサーチ&コンサルティング作成
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第 3 章 パワーアシストスーツに関する政策動向 第 1 節 日本の政策動向 日本においてはロボット政策の一環としてパワーアシストスーツ関連の政策が議論されて いる。パワーアシストスーツを含むロボット政策の大きな方向性は、「日本再興戦略」(2013 年 6 月 14 日 閣議決定)において掲げられている。「日本再興戦略」は、「日本産業再興プ ラン」、「戦略市場創造プラン」、「国際展開戦略」の 3 つによって構築される成長戦略で あり、2014 年以降も毎年改訂がなされている(2017 年以降は後継の成長戦略として「未来投 資戦略」が策定されている)。ロボットに関連する目標としては「ロボットによる新たな産 業革命」、「病気やけがをしても、良質な医療・介護へのアクセスにより、早く社会に復帰 できる社会」などがあげられている。 日本経済再生本部は、「日本再興戦略改訂 2014」(2014 年 6 月 24 日 閣議決定)を受けて、 ロボット新戦略を掲げている。本戦略においては「ロボット創出力の抜本強化」、「ロボッ トの活用・普及(ロボットショーケース化)」、「世界を見据えたロボット革命の展開・発 展」の 3 つを柱として掲げており、パワーアシストスーツについてもサービス分野・介護分 野・農林水産業・食品産業分野における活用が言及されている。 ロボット政策に関連する具体的な政策立案、施策実施は主に経済産業省、厚生労働省など が実施している。経済産業省においては主にロボット産業の育成を、厚生労働省においては 主に介護分野におけるパワーアシストスーツの利活用をそれぞれ推進しており、両省は共同 で「ロボット技術の介護利用における重点分野」を策定している。本重点分野は 2012 年 11 月に策定されており、パワーアシストスーツ関連では「ロボット技術を用いて介助者のパワ ーアシストを行う装着型の機器」が重点分野として掲げられている。 また農林水産省や国土交通省においても、主に農業分野・建設分野において省力化・軽労 化・生産性向上に資するとして、同技術が注目されている。全体戦略などは掲げられていな いものの、実用化に向けた個別の研究開発が実施されている。 以下に主要な全体政策動向として、「日本再興戦略」・「未来投資戦略」、「ロボット新 戦略」、「ロボット技術の介護利用における重点分野」の概要をそれぞれ示す。 (1)「日本再興戦略」「未来投資戦略」(2013 年~) 「日本再興戦略」(2013 年 6 月 14 日閣議決定)においては、「病気やけがをしても、良 質な医療・介護へのアクセスにより、早く社会に復帰できる社会」の実現に向けた介護ロ ボット産業の活性化が目標として掲げられている1。具体的な施策として「ロボット介護機 器開発5ヵ年計画」の実施が掲げられているほか、開発された機器の実用化を確実にする ための安全基準及びそれに基づく認証制度の整備、企業が行う開発を更に促進するための シーズ・ニーズマッチング等が実施事項として含まれている。また、「日本再興戦略改訂1 平成25年6月14日 日本再興戦略 -JAPAN is BACK 本文 “https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisa
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2014」(2014 年 6 月 24 日 閣議決定)ではロボットにより社会課題にアプローチするとと もに、ロボットを成長産業に育成するための戦略を策定する「ロボット革命実現会議」を たちあげることが示された2。 「日本再興戦略」の後続となる「未来投資戦略 2017」(2017 年 6 月 9 日閣議決定)にお いても、介護分野におけるロボット利活用が掲げられている3。「技術革新を活用し、健康 管理と病気・介護予防、自立支援に軸足を置いた、新しい健康・医療・介護システムの構 築」に向けてロボット・センサー等の技術を活用した介護の質・生産性の向上を実施する としており、具体的施策として、介護現場でのロボット・センサー等の活用についての効 果検証を進めるとしている。また、生活支援ロボットの安全性に関する国際規格である ISO13482 と海外制度との連携を進めるための評価・試験データ取得等を支援し、ロボット 介護機器のスムーズな海外市場展開を図ることが目標として掲げられている。 2 平成26年6月24日 日本再興戦略改訂 2014 -未来への挑戦- 本文 “https://www.kantei.go.jp/jp/sing i/keizaisaisei/pdf/honbunJP.pdf” (2019 年 2 月アクセス) 3 平成29年6月9日 未来投資戦略 2017-Society 5.0 の実現に向けた改革 未来投資戦略 2017(全体版) “https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/pdf/miraitousi2017.pdf” (2019 年 2 月アクセス)本編
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(2)ロボット新戦略(2015 年) 「日本再興戦略改訂 2014」において策定された「ロボット新戦略」(2015 年 2 月 10 日 日 本経済再生本部決定)においては「ロボット創出力の抜本強化」、「ロボットの活用・普及 (ロボットショーケース化)」、「世界を見据えたロボット革命の展開・発展」の 3 つが柱と して掲げられており、パワーアシストスーツについてもサービス分野、介護分野、インフ ラ・災害対応・建設分野、農林水産業・食品産業分野における活用が言及されている。 表 3-1 ロボット新戦略における分野ごとのパワーアシストスーツへの言及内容 分野 重点分野 パワーアシストスーツへの言及 サービス分野 卸・小売業や宿泊・飲食業の バックヤードにおける対物プロ セスでのロボット活用推進 自動化が困難な場合(例えば、工程に不定形物や柔軟物等 のピック&プレイスを含む等)に、アシストスーツの活用によ り現場の負担を軽減する 介護・医療分野 移乗・移動支援、排泄・入浴・ 日常生活支援、介護施設業務 支援分野 ロボット技術を用いて介護者のパワーアシストを行う装着型 の機器開発を重点分野として実施 イ ン フ ラ ・ 災 害 対応・建設分野 重労働・危険作業の解消等現 場環境の改善対策 重作業が想定される建設現場でのパワーアシスト技術の安 全基準等を整備 農林水産業・食 品産業分野 人手に頼っている重労働の機 械化・自動化 収穫物の積み下ろしなどの重労働をアシストスーツで軽労化 (出所)「ロボット新戦略」を基に三菱 UFJ リサーチ&コンサルティング作成 この「ロボット新戦略」に基づいて、ロボット介護機器開発・導入促進事業(経済産業省) や福祉用具・介護ロボット実用化支援事業(厚生労働省)といった具体的な施策が実施され ている。 (3)ロボット技術の介護利用における重点分野(2012 年~) 厚生労働省においては主に介護分野におけるパワーアシストスーツの利活用を推進してお り、経済産業省と共同で「ロボット技術の介護利用における重点分野」を策定している。本 重点分野は 2012 年 11 月に策定されており、2017 年 10 月には、「未来投資戦略 2017」(2017 年 6 月 9 日閣議決定)を踏まえた改訂を行っている。改訂を踏まえた重点分野は 6 分野 13 項目となっており、重点分野の一つである「移乗介助分野」の項目においては「ロボット技 術を用いて介助者のパワーアシストを行う装着型の機器」が挙げられている4。 4 http://www.meti.go.jp/press/2017/10/20171012001/20171012001.html本編
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(4)自治体による導入補助 日本国内の各自治体において、介護サービス事業者が介護福祉機器や介護ロボットを導入 する経費の一部を助成する取り組みが多数実施されており、パワーアシストスーツも助成対 象となっているケースが多く存在する。以下に各自治体の事業概況を示す。 表 3-2 自治体が実施する介護福祉機器・介護ロボットに対する導入補助事業 都道府県名 事業名 補助金額 概要 北 海 道 平成30年度介護ロボット 導入支援事業費補助金 機器当たり30万円。 60万円未満の場 合、価格の2分の1 を 上限 介護ロボットは、介護従事者の業務負担軽減等に有効であり、道内においては、その市場規模の拡大が期待されているが、機器の価格が高額であるこ となどが普及にむけた課題となっており、介護施設等における導入は限定的。このことから、介護施設等における機器の導入費用の一部を補助すること により、介護従事者の身体的負担軽減や業務効率化を図ることで、働きやすい職場環境を整備し、介護人材の確保に寄与する。 青 森 県 平成30年度青森県社会 福祉協議会介護ロボット 上限30万円 介護サービス事業所等において使用することで、効率化や負担軽減などの効果がある介護ロボットの導入に対し、1機器につき導入(購入)経費の2分 の1(補助限度額30万円)を補助する。ただし、1事業所につき上限30万円までの補助とする。 岩 手 県 介護ロボット導入支援事 業費補助金 上限30万円 介護従事者が継続して就労できるよう環境整備を図るため、身体的負担の軽減や業務の効率化に資する介護ロボットの導入に要する経費について、そ の一部を補助する。 宮 城 県 平成30年度介護ロボット 導入支援事業 上限30万円 介護従事者の負担軽減を目的とした介護ロボットの導入に要する経費を補助するものです。 秋 田 県 介護ロボット導入促進事 業費補助金(市単) 上限10万円 介護従事者の身体的負担の軽減や業務の効率化による職場定着を図るため、介護ロボットの導入経費の支援や普及啓発を行う。 福 島 県 平成30年度 介護支援ロ ボット導入助成金交付事 上限30万円 高齢者介護施設、介護事業所等が介護支援ロボットを導入する際の費用の一部を負担する。 茨 城 県 平成30 年度茨城県ロ ボット介護機器普及支援 上限30万円 介護現場へのロボット介護機器の導入による介護従事者の負担軽減や雇用環境の改善により,働きやすい介護の職場づくりの推進などの雇用管理改 善方策等を普及することを目的とし、補助金を交付する。 栃 木 県 介護ロボット導入支援事 業 上限10万円 介護サービス事業所等での移乗介護、移動支援、排泄支援、見守り、入浴支援において、介護従事者の負担軽減や業務の効率化などの効果がある介 護ロボットの導入に対し、1機器につき導入経費の2分の1(補助限度額10 万円)を補助する。 群 馬 県 介護ロボット導入支援事 業 上限30万円 介護施設・事業所において、知事が適当と認めた介護ロボット(「2補助対象機器」のとおり)を導入する場合、その費用の1/2(30万円を上限)を補助 する。 埼 玉 県 埼玉県介護ロボット普及 促進事業 上限30万円 県内の介護サービス事業者に対し、介護ロボットを導入する際の経費の一部を助成することにより、介護ロボットの使用による介護従事者の負担の軽減 を図るとともに、介護ロボットの普及による働きやすい職場環境の整備を図り、介護従事者の確保及び定着に資するため、介護サービス事業者に対し予 算の範囲内において補助金を交付します。 千 葉 県 千葉県介護ロボット導入 支援事業費補助金 上限30万円 介護ロボットの導入を促進することにより、介護従事者の身体的負担の軽減や業務の効率化を図るとともに、介護従事者が継続して就労するための環 境整備を目的とし、補助金を交付する。 次世代介護機器導入支 援事業(国基金事業) 上限60万円 (補助率1/2) 次世代介護機器導入促 進事業(都独自事業) 上限200万円 (補助率3/4) 神 奈 川 県 介護ロボット導入支援事 業費補助金 上限30万円 介護サービス事業者が介護ロボットを導入する際の経費の一部を補助する。 新 潟 県 平成30 年度 介護ロボッ ト導入支援補助金 上限30万円 介護従事者の身体的負担軽減や業務の効率化等、介護従事者が継続して就労するための環境整備を図るため、県内の介護サービス事業所において広 く介護ロボットの導入が可能となるよう、導入経費の一部を補助する。 富 山 県 平成30年度富山県介護 ロボット普及促進モデル 1法人に対し 2/3上限400万 移乗支援型介護ロボット機器を複数台導入することによって、職場全体で業務改善を図る介護サービス事業者に対し、事業費の2/3を補助する。 福 井 県 福井県介護ロボット導入 支援事業 上限10万円 介護従事者の身体的負担の軽減や業務の効率化による、即効性のある介護環境の改善を目的として、介護ロボットを導入する介護保険事業者に対し、 その導入に要する経費の一部を補助する。 山 梨 県 介護ロボット導入費補助 金 上限30万円 介護職員の負担軽減による離職防止及び再就業を促進するため、介護施設等が介護ロボットを導入する経費に対し、予算の範囲内で補助する。 長 野 県 平成30年度介護ロボット 導入支援事業 1機器につき、当 該所要経費の 2/1又は10万円 長野県地域医療介護総合確保基金事業(介護従事者確保分)補助金交付要綱に基づき、介護ロボットの普及による働きやすい職場環境の整備を図り、 介護従事者の確保及び定着に資するため、広く一般の介護施設等の参考となるような取り組みを行う事業者に対し、介護ロボットの導入に係る経費を予 算の範囲内で補助する。 岐 阜 県 平成30年度介護ロボット 導入促進事業(補助金事 上限30万円 介護人材の確保を目的として、介護保険施設等へ広く介護ロボットの普及を促進し、働きやすい職場環境の構築を図るため、国が公表した重点分野に 該当する介護ロボットの導入に対し、補助金を交付する。 愛 知 県 介護ロボット導入支援事 業 上限30万円 介護保険事業所の介護ロボット導入を促進し、介護従事者の負担軽減に寄与するため、介護保険事業者に対して介護ロボットの導入支援に係る補助を 行う。 三 重 県 平成30年度地域医療介 護総合確保基金事業補 上限30万円 新たな技術を活用した介護ロボットの導入により、高齢者の自立支援や介護従事者の身体的負担の軽減及び業務の効率化など、介護従事者が継続し て就労するための環境を整えるとともに、先駆的な取り組みにより普及促進を行うことを目的とし、補助金を交付する。 滋 賀 県 平成30年度滋賀県介護 職員職場環境改善支援 事業費補助金 上限10万円 介護ロボットを導入する場合に、事業者からの申請に基づき経費の一部を補助する。 大 阪 府 平成30年度 大阪府介 護ロボット導入活用支援 上限30万円 (予定) 介護ロボットをはじめとする福祉機器の普及促進を図ることにより、介護従事者の負担軽減等による雇用環境の改善、離職防止及び定着促進に向けて 活用できるよう、介護事業者に対して介護ロボット導入活用支援事業補助金を交付する。 兵 庫 県 平成30年度「神戸介護・ リハビリロボット実証評価 上限30万円 (予定) 介護・リハビリロボットの開発・改良に必要な実証評価に取り組む市内中小企業に対し補助する。 鳥 取 県 平成30年度介護ロボット 導入支援事業 上限30万円 介護従事者の身体的負担の軽減や業務の効率化に資するため、介護事業所が介護環境の改善のために整備する介護ロボット導入費について支援す る。 島 根 県 島根県介護ロボット導入 支援事業費補助金 上限30万円 介護施設等における介護従事者の身体的負担の軽減や業務の効率化など介護事業者が介護環境の改善を図ることを目的として、島根県介護ロボット 導入支援事業費補助金を予算の範囲内で交付する。 岡 山 県 岡山県地域医療介護総 合確保基金事業(管理者 等に対する雇用管理改善 上限30万円 介護従事者の身体的負担の軽減や業務の効率化を図るために介護ロボット(移乗介助機器(装着型・非装着型)、移動支援機器(屋外型・屋内型)、排 泄支援機器、入浴支援機器、見守り・コミュニケーショ ン支援機器(介護施設型)、介護業務支援機器で、一般の機器類とは区別し、ロボットとして認めら れるもの)を導入するために要する経費(介護ロボットの購入(導入)費(1台あたり300千円を補助上限額とする。 広 島 県 広島県介護ロボット導入 支援事業 上限30万円 新たな技術を活用した介護ロボットは,市場化されて間もない状況にあるものが多く,また,価格が高額であることなどを踏まえ,介護ロボットの使用によ る介護職員の負担の軽減と働きやすい職場環境を図ることにより,介護職員の確保・定着に資するよう,先駆的な介護ロボットを導入する県内の介護 サービス事業者に対し経費の一部補助をする。 香 川 県 介護ロボット導入支援事 業 上限30万円 事業者が介護ロボットを導入する経費の一部について助成する。補助額は、購入等にかかる費用の2分の1以内とし、1機器(1計画)につき30万円を上 限とする。 愛 媛 県 平成30年度「介護ロボッ ト導入支援事業」 上限30万円 新たな技術を活用した介護ロボットは市場化されて間もない状況にあるものが多く、また価格が高額であることなどを踏まえ、愛媛県では、介護ロボット の使用による介護職員の負担の軽減と働きやすい職場環境の整備を図ることにより、介護職員の確保に資するよう、先駆的な介護ロボットを導入する県 内の介護サービス事業者に対し、経費の一部を補助する。 高 知 県 高知県介護福祉機器等 導入支援事業費補助金 上限60万円 介護職員と利用者の双方に優しい「ノーリフティングケア」(持ち上げない、抱え上げない、引きずらないケア)を推進するために、介護福祉機器や用具、介 護ロボットの導入を支援する。 福 岡 県 平成30年度福岡県介護 ロボット導入支援事業 上限30万円 新たな技術を活用した介護ロボットは、介護従事者の身体的負担の軽減や業務の効率化など、介護従事者が継続して就労するための環境整備に有効 であるものの、介護ロボットは市場化されて間もない状況で価格が高額である。このような状況を踏まえ、その普及促進策として、介護へのロボット導入 に対して補助を行う。 熊 本 県 平成30年度介護職員勤 務環境改善支援事業費 上限30万円 介護従事者の身体的な負担の軽減や業務の効率化を図るため、介護ロボットの導入に係る経費を補助する。 大 分 県 介護ロボット導入支援事 業 上限30万円 介護ロボットを導入する介護サービス事業者に補助金を交付する。 鹿 児 島 県 平成30年度鹿児島県介 護ロボット導入支援事業 上限30万円 介護サービス事業者が介護ロボットを導入する経費の一部を助成することにより,介護ロボットの使用による介護従事者の身体的負担の軽減や業務の 効率化など,介護従事者が継続して就労するための環境整備を進め,介護従事者の確保を図る。 東 京 都 介護従業者の身体的負担の軽減や業務の効率化など、介護環境の改善に資する次世代介護機器の導入に必要な経費の一部を補助する。 (出所)委員提供資料および各自治体 web ページより作成本編
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第 2 節 諸外国の政策動向 1. 米国 米国においてもロボット政策の一環としてパワーアシストスーツ関連の政策が議論されて いる。米国のロボット政策において重要となるのが、2011 年にオバマ政権下で発表された National Robotics Initiative(NRI:国家ロボットイニシアティブ)である5。本イニシアティ ブはロボティクス関連の新技術開発・商業化を積極的に支援することを目標にしている。人 間やロボットのさまざまな強みを活かし、人間の能力を伸ばしたり高めたりすることを目標 として、人と一緒に働くロボットの開発に焦点が当てられている。国立科学財団(NSF : National Science Foundation)を主導機関とし、航空宇宙局(NASA : National Aeronautics and Space Administration)、国立衛生研究所(NIH : National Institutes of Health)、農務省(USDA: United States Department of Agriculture) とい った 4 機関が次世代ロボット開発を支援するもので、国防総省もサポート協力する形となっ ている。 介護分野におけるパワーアシストスーツ関連の取組としては、NIH において実施される NRI 関連プロジェクトで、歩行リハビリアシスト、治療用パワーアシストスーツといった項目が 研究開発対象として含まれている。 また米国における特徴的な取組として、軍事用パワーアシストスーツに関する取り組みが 挙げられる。国防総省所管の研究開発組織である DARPA においては、軍事利用が可能な Exoskeleton の研究開発が推進されている。過酷な環境下において兵士の活動を長時間サポ ートすることを目標としており、民生用途とは異なった要求水準の基開発を進めている。 2. 欧州 欧州委員会は 2010 年に「欧州 2020」を策定し、2020 年までの経済戦略の計画を発表して いる。科学技術政策については、イノベーションユニオンというイニシアティブのもと、科 学技術政策を推進するためのフレームワークプログラム「Horizon2020(2014-2020)」を創設 している。同プログラムは、前身のプログラム「第 7 次フレームワークプログラム (2007-2013)」から、ICT 分野への投資額を 46%増加させている。パワーアシストスーツを含 むロボット技術も ICT 分野における重要事項として位置づけられている6。 3. 中国 中国の主要な政策は、中国国務院によって制定される 5 か年計画に則って推進されている。 2016 年から 2020 年にかけては、「第 13 次5か年計画」の対象期間となっており、「経済成長 の維持」、「国民生活の水準・質の普遍的向上」、「国民の章・社会文明の顕著なレベルアップ」 5 http://www.nedo.go.jp/content/100184034.pdf 6 https://cordis.europa.eu/programme/rcn/664147_en.html
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等が目標として掲げられている7。産業政策については、イノベーション型の経済構造への転 換を図るとしており、ロボットを含むハイエンド設備産業が産業競争力を高める重要産業と して位置づけられている8。 4. 韓国 韓国の科学・イノベーション政策は、2013 年に掲げられた「第 3 次科学技術基本計画(2013 ~2017)」を中心に推進される。本計画においては、「国の研究開発投資の拡大と効率化」、「国 家戦略技術の開発」、「中長期的な創意力の強化」、「新産業創出支援」、「科学技術基盤の雇用 創出」の 5 つの戦略分野を高度化することを目標として掲げている。「国家戦略技術の開発」 においては、特に注力するべき 30 の重点技術が掲げられており、ロボット関連では「サービ スロボット技術(診断、治療分野など)」が取り上げられている9。 韓国における主要なロボット関連政策として、「知能型ロボット基本計画」が挙げられる。 「知能型ロボット基本計画」は、「知能型ロボット開発及び普及促進法」第 5 条に基づいた法 定計画で、5 年ごとに立案される。2009 年に立案された第 1 次計画においては、市場形成時 期別に 3 大製品群(市場拡張型、新市場創出型、技術先導型)で差別化した個別型ロボット振 興政策を規定した。また法・機関などのインフラ造成にも注力されている。 2014 年以降の時期を対象とした第二次計画においては、①ロボット研究開発(R&D)の総合 力向上、②ロボット需要の全産業への拡大、③開放型ロボット産業生態系の造成、④ロボッ ト融合ネットワークの構築の 4 つを大きな目標として掲げている10。 5.研究開発政策動向のまとめ パワーアシストスーツを含むロボット技術に関する各国の政策の基本方針、個別プロジェ クトを以下のとおり線表で整理した。各国とも 2010 年代以降国の支援によるプロジェクト実 施が目立つ。 7 みずほ総合研究所「中国・新五か年計画の骨格と特徴」(2015 年 11 月) 8 KPMG「第 13 次五か年計画―中国経済の構造改革と世界経済との融合―」(2016 年 10 月) 9 国立研究開発法人科学技術振興機構 研究開発戦略センター「主要国の研究開発戦略」(2018 年 3 月) 10 韓国政府「2017년 지능형 로봇 실행계획(2017 年知能型ロボット基本計画)」(2017 年 10 月)本編
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図 3-1 各国のロボット政策の年次推移 2005 2010 2015 2020 生活支援ロボット実用化プロジェクト (NEDO)(’09~’13)欧州連合「Framework Program 7」(’07~’13) 欧州連合「Horizon 2020」(’14~’20) Warrior Web Program (DARPA)(’11~’16)
第2次知能型ロボット基本計画(’14~’18) 中国製造2025(‘15-)
第13次五か年計画(‘16-’20)
第12次五か年計画(‘11-’15)
NRI(National Robotics Initiative) (’11~)
ロボット介護機器開発5ヵ年計画(’13~’17) ロボット介護機器開発・導入促進事業(経産省・厚労省)(’11~)
NRIプロジェクト6件(NIH)(’13~’16)
National Robotics Initiative 2.0
(’17~) 第2次科学技術基本計画(’08-’12) 第3次科学技術基本計画(‘13-’17) 863計画(ハイテク研究発展計画) 第11次五か年計画(‘06-’10) 第1次知能型ロボット基本計画(’09~’13) 日本再興戦略(’13~’16) 未来投資戦略(’17~) ロボット新戦略(’14~) 人間支援型ロボット実用 化プロジェクト(NEDO) (’05~’07) (出所) 各種資料をもとに三菱 UFJ リサーチ&コンサルティング作成
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第 3 節 規格化・標準化の動向 ISO は電気技術以外に関するすべての分野の国際標準・規格を作成する組織であり、パワ ーアシストスーツに関連する規格も ISO において議論されている。全ての ISO 規格は技術委員会(TC : Technical Comittee)において議論される。TC はテー マごとに設定され、ロボット関連の規格は TC299(Robots and Robotics Devices)において 議論される。ロボット関連の規格はもともと TC184 (Automation systems and integration) において議論されていたが、2016 年 1 月 1 日に独立した TC に格上げされた。TC の下には具 体的な規格検討の場である作業部会(WG : Working Group)が設置される。同 TC は IEC/TC62 との連携体制を整備しており、合同作業部会(JWG : Joint Working Group)において医療用ロ
ボットの規格も議論している11。 ISO 規格は、当該 TC において投票権を持って参加する P メンバーによって原案が作成され る。投票権を持たない国でも O メンバーとして参加することが可能である TC299 の P メンバ ー27 ヶ国、O メンバー8 ヶ国で構成される。主要な先進国は P メンバーとして参加しており、 欧州からの参加国が過半を占めている。 ISO 13482 は、2014 年に発行されたパーソナルケアロボット(生活支援ロボット)の安全 性に関する国際規格である。ISO 13482 が想定する範囲は、移動作業型ロボット、身体アシ ストロボット、 搭乗型ロボットの 3 種類となっている。医療用途で使われるものを除き、利 用者の生活の質の向上のためにタスクを実行するロボットの安全要求事項、安全関連制御シ ステムに関するパーソナルケアロボットのハザードに応じた安全要求事項、安全関連制御シ ステムに関する要求事項、使用上の情報(マニュアル等)など幅広いものとなっている12。 当該規格は、経済産業省と(独)新エネルギー・産業技術総合開発機構が実施する「生活支 援ロボット実用化プロジェクト」で得られた生活支援ロボットの安全性に関する成果を国際 標準化機構(ISO)に提案し、採用されたものとなっており、日本主導での国際標準化が実現 している13。
11浅田 純男「日本発 ISO 13482 の意義と役割」医機学 Vol.86, No.4(2016)
12ISO 13482:2014”https://www.iso.org/standard/53820.html“(2018 年 8 月アクセス)
13経済産業省ニュースリリース「生活支援ロボットの国際安全規格 ISO13482 が発行されました」” http://www.me
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第 4 章 特許出願動向調査 第 1 節 調査範囲・方法 1.調査範囲 日本及び海外に出願・登録されたパワーアシストスーツの特許出願に関して、全体動向、 技術区分別動向、出願人別動向、注目出願人の出願動向調査、注目特許の調査を行った。 (1)調査対象国 出願先国別の出願・登録状況の調査対象国としては日本、米国、欧州、中国、韓国とし、 これら 5 か国・地域での出願、登録を合計して「日米欧中韓への出願」、「日米欧中韓での 登録」として調査を実施した。その場合、各国・地域の出願を個別にカウントする「出願 単位」で集計を行った。さらに、特許協力条約(Patent Cooperation Treaty:PCT)に基 づく国際出願も調査の対象とした。 「欧州への出願」については、欧州特許庁(EPO)への出願及び欧州特許条約(EPC)加 盟国 38 か国(2015 年 6 月時点14):アルバニア(AL)、オーストリア(AT)、ベルギー(BE)、 ブルガリア(BG)、クロアチア(HR)、キプロス(CY)、チェコ(CZ)、デンマーク(DK)、エスト ニア(EE)、フィンランド(FI)、フランス(FR)、マケドニア旧ユーゴスラビア共和国(MK)、 ドイツ(DE)、ギリシャ(GR)、ハンガリー(HU)、アイスランド(IS)、アイルランド(IE)、イ タリア(IT)、ラトビア(LV)、リヒテンシュタイン(LI)、リトアニア(LT)、ルクセンブルク (LU)、マルタ共和国(MT)、モナコ(MC)、オランダ(NL)、ノルウェー(NO)、ポーランド(PL)、 ポルトガル(PT)、ルーマニア(RO)、サンマリノ(SM)、セルビア共和国(RS)、スロバキア(SK)、 スロベニア(SI)、スペイン(ES)、スウェーデン(SE)、スイス(CH)、トルコ(TR)、イギリス (GB)と拡張国(Extension State) 2 か国:ボスニア・ヘルツェゴビナ(BA)、モンテネグロ 共和国(ME)の合計 41 か国・機関への出願を対象としている。 (2)調査対象期間 出願及び登録動向の解析は、出願年(優先権主張年)が 1997 年から 2016 年までを対象 に行った。ただし、調査対象期間に該当する出願であっても検索実施日より後に公開(公 表)された出願や、検索実施日前の公開(公表)であってもデータベースに収録するまで にかかる時間差により検索時点では収録されていない出願があるなど、解析対象期間にお ける全件を収録していない可能性がある。 (3)使用データベースと検索式特許検索にはデータベース:Derwent Innovation( CAMELOT UK BIDCO LIMITED Clarivate Analytics の登録商標) (旧称 THOMSON INNOVATION(トムソン・ロイター社の登録商標))) を使用し、IPC とキーワードを用いて検索式を立て 2018 年 8 月末に検索を行った。具体的
14 特許庁ホームページ<https://www.jpo.go.jp/tetuzuki/t_tokkyo/kokusai/files_kokusai2/pct_ichiran.xls
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な検索式は「資料編 検索式一覧」に示した。解析文献は、前記データベースから確認で きる公報または英文テキスト(英翻訳を含む)を用い、ファミリ中に日本出願がある文献 については、発明通信社が提供する「HYPAT-i2」で番号検索を行い抽出した日本語公報を 用いた。 2.調査方法 検索された公報の要約、請求の範囲、詳細な説明等を参考にノイズ落としを行い技術区分 の解析を行った。1 パテントファミリー内の各公報には、同じ技術区分を付与した。 (1)出願人国籍 解析の対象とした出願人国籍は、日本、米国、欧州、中国、韓国の 5 か国・地域であり、 それ以外の国は「その他」とした。欧州国籍の定義は、欧州特許条約(EPC)加盟の 38 か 国と拡張国 2 か国(2015 年-6 月時点:アルバニア(AL)、オーストリア(AT)、ベルギー(BE)、 ブルガリア(BG)、クロアチア(HR)、キプロス(CY)、チェコ(CZ)、デンマーク(DK)、エスト ニア(EE)、フィンランド(FI)、フランス(FR)、マケドニア旧ユーゴスラビア共和国(MK)、 ドイツ(DE)、ギリシャ(GR)、ハンガリー(HU)、アイスランド(IS)、アイルランド(IE)、イ タリア(IT)、ラトビア(LV)、リヒテンシュタイン(LI)、リトアニア(LT)、ルクセンブルク (LU)、マルタ共和国(MT)、モナコ(MC)、オランダ(NL)、ノルウェー(NO)、ポーランド(PL)、 ポルトガル(PT)、ルーマニア(RO)、サンマリノ(SM)、セルビア共和国(RS)、スロバキア(SK)、 スロベニア(SI)、スペイン(ES)、スウェーデン(SE)、スイス(CH)、トルコ(TR)、イギリス (GB)、拡張国:ボスニア・ヘルツェエゴビナ(BA)、モンテネグロ共和国(ME))とした。 出願人の国籍は、各公報に記載されている筆頭出願人の住所を筆頭出願人の国籍とし、 パテントファミリーの中で大半を占める筆頭出願人の国籍をそのファミリの筆頭出願人の 国籍とした。更に、前記方法での国籍判別が困難な場合、ホームページなど web 上の情報 から所在地を確認し、その国を国籍とした。出願が共同出願で複数の出願人がいる場合は、 筆頭出願人の住所を出願人国籍とした。また、米国公開公報に多く見られる出願人の記載 のない公報については、パテントファミリーに出願人の記載がある場合はその国籍を、無 い場合は筆頭発明者の住所を出願人の国籍とした。パテントファミリーの中の公報に、国 籍情報が一切記載されていないパテントファミリーは最先の出願日の出願国を国籍とした。 (2)出願件数及び登録件数について 出願及び登録件数は日本、米国、欧州、中国、韓国、その他へ出願、登録された公報を 出願番号単位で集計した。つまり、同じ出願番号の公報は登録公報を優先させ、1 つの出 願番号を 1 件として数えた。登録は登録公報のみ、出願は公開公報と登録公報の和で算出 した。 (3)データベース収録までの時間差について 特許出願の件数推移では、特許公開までの期間があること(例えば日本、米国、欧州、中 国、韓国では出願後 18 か月)、PCT 出願では国際出願公開が 18 か月後、国内移行期間は原則 優先日から 30 か月あること、またデータベース収録までの時間差が各国で異なることなどの本編
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理由により、検索期間並びに検索実施時点において未収録件数があることに注意を要する。 すなわち、1997 年から 2016 年までの出願年(優先権主張年)で調査しているが、2015 年以 降の出願件数の全てが含まれていない可能性がある。登録特許の件数推移においては、各国 特許庁の審査制度や審査状況等により登録されるまでの時間が異なり、優先権主張年毎に集 計整理した場合直近年に向かって右下がりとなる傾向があるので注意する必要がある。 3.留意点 本件調査では、技術俯瞰図に示すように、対象となる技術範囲の中でも、パワーアシスト スーツ技術に関連する文献を中心に調査をした。ただし、パワーアシストスーツを中心に調 査しているので、関連技術まで網羅的に調査範囲としているわけではない。出願人属性については、Univ.、college 、Corp. 、Co. Ltd、GmbH など、大学または企業 などその属性が出願人名から明らかな場合は出願数が 1 件であっても必ず付与し、出願人名 からでは判断できない場合は日米欧中韓への出願ファミリ数が 2 件以上の出願人については 必ずホームページなど web 上の情報からその属性を確認して付与した。Derwent Innovation にある出願人コードのフィールドも併用して判別した。しかし、それ以外の出願人について は不明とした。共同出願の場合、筆頭出願人および二番目に記載された出願人についてその 属性を付与した。共同出願の内訳(出願人属性の組合せ関係)は筆頭出願人および二番目に 記載された出願人との間の関係とした。 また、パナソニック株式会社の件数にはパナソニック IP マネジメント株式会社を含めてお り、出願人が国立大学法人筑波大学且つ発明者が山海嘉之氏を含む出願については国立大学 法人筑波大学と CYBERDYNE 株式会社の双方に属する出願としてカウントした。 本調査の対象とする技術領域を示す技術俯瞰図に対応した技術区分を設定し、詳細解析(分 類付与)を行った。なお、技術区分表は、特許出願動向調査及び研究開発動向調査に共通で ある。以下に、技術区分表を示す。