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第 6 章 総合分析・提言

第 2 節 重要技術の開発に関する提言

【提言 2-1】日本の強みと中核技術の見定めに基づく集中と選択

パワーアシストスーツに関連する各要素技術における知財展開も市場拡大のために検討 すべきである。

日本は安全性、とりわけ転倒防止において他国に先んじて開発・権利化を進めている。日 本や海外における製品展開に当たっては、このような日本の優位な点を訴求ポイントとして 展開を進めるべきである。

また、アクチュエータにおいては、電動アクチュエータ、非電動アクチュエータ、無動力

(パッシブ)があり、日本国籍の出願人はいずれの区分においても他国より相対的に多くの 特許出願がなされている。ただし、細分類の単位でみると特定の技術においては他国の特許 出願が多いもの、ほとんど日本国籍の出願人のみが出願しているもの等、それぞれによって 様態が異なる。いずれのアクチュエータの開発に取り組むかは、企業の製品構成によるが、

日本企業としては海外企業の出願傾向を注視しながら、自社の強み・弱みを意識した技術開 発の強化が重要となる。

一方で、特定のジェスチャを入力として検知する技術については中国籍・韓国籍出願人が 比較的多くの出願を行っている。また、データの収集・活用や学習モデルの利用といった技 術については欧州国籍の機関から比較的多くの研究発表がなされている。我が国と比べて相 対的に他国での開発が盛んなこれらの技術については、今後の中核技術になりうるかどうか の見定めと、見定めに基づく研究・権利化の注力・非注力の選択が重要である。

≪提言詳細及び経緯≫

1.出願動向、研究開発動向

横断的な技術課題での特許出願件数から、パワーアシストスーツに関する多くの技術におい て、わが国出願人が最多の出願件数であるところ、日本は安全性、とりわけ転倒防止において 他国に先んじて開発・権利化を進めている。転倒防止のみならず、件数は少ないながらも過剰 出力の防止、衝突防止なども含めた装着者の保護技術について優位性が認められる。転倒防止 は比較的古くから継続的に出願がなされてきているが、過剰出力の防止は、2016 年に出願が急 増しており、近年重視されつつある観点であることを示唆している。人体に直接装着するパワ ーアシストスーツにおいて、安全性の確保が重要であることは言うまでもなく、我が国出願人 が多様な観点から安全性を追求し、権利化を進めていることがわかる。

また、日本は着脱性向上等のユーザビリティ、調整機構やチューニングなどのアシスト対象 への適合についても、他国に先んじて開発・権利化を進めている。また、日本国籍の出願件数 として装着者に関わる情報だけでなく、作業対象物・者の情報を入力とする知財が他国に比べ て多く見受けられ、周辺状況に応じたパワーアシストスーツの運用に強みを持つものと考える。

すなわち、使い勝手の良さについて、少なくとも特許の側面からは、日本は他国に先行してい るといえる。

本編 要約 第1部 第2部 第3部 第4部 第5部 資料編 第6部

なお、安全性及びユーザビリティのいずれに関しても、近年は中国や韓国等の外国籍出願人 による出願も増加していることに注意が必要である。

また、技術区分別の中分類での動向について、日本国籍の出願人は安全性、操作性、ユーザ ビリティ、機構、アクチュエータ、センサ、制御での出願が多い。ただし細分類で見ると、日 本国籍の出願人による出願は電動アクチュエータ(その他)での出願が多く、電動アクチュエ ータ内でもブラシレス DC モータ、サーボモータ、超音波モータ、ダイレクトドライブの出願は 絶対数でも 10 件に満たない。他国籍の出願人による出願でも基本的には同様の傾向ではあるが、

中国籍の出願人からは、ブラシレス DC モータ、サーボモータの出願が日本よりも多い傾向にあ る。ソフトアクチュエータについては、ソフトアクチュエータ(その他)、空気圧利用において、

日本国籍の出願人による出願は他国と比較して若干多い程度であり、中国籍、米国籍の出願人 からも一定数が出願されている(図 6-3-112)。無動力(パッシブ)においては、無動力(パッ シブ)、バネが他のアクチュエータと比較して各国ともに出願件数が多い傾向にある。他方、ゴ ム、ワイヤーを利用したアクチュエータについては絶対数は多くないものの、日本国籍の出願 人が他国よりも相対的に多い。

センサ技術において、日本はビジョンセンサ、測位センサ、触覚センサ、生体信号等、各セ ンサにおいて他国と比較して特許出願が多い傾向にある。ウェアラブルセンサ技術に関連する 知財は労働安全管理にも活用されつつあり、パワーアシストスーツの普及においてユーザーの 使用環境・使用条件にも適う技術であると推察され、日本の技術的な優位性確保に資する。

これらは一例ではあるが、今後の製品上市に当たっては、我が国が先んじているポイントは、

有力なセールスポイントとなりうるため、積極的に活用していくべきである。

他方で、外国籍出願人が比較的多くの出願を行っている技術もある。

特定のジェスチャを制御における入力として利用する技術については、中国籍・韓国籍出願 人が比較的多くの出願を行っている。

技術区分別-研究者所属機関国籍別論文発表数では、データの収集・活用や学習モデルの利用 といった技術について、欧州から他国の倍以上の論文発表がなされており、欧州において当技 術について積極的な研究開発が行われていることがうかがえる。データの収集・活用や学習モ デルのような、パワーアシストスーツ単体における動作情報等だけでなく、過去のデータの蓄 積や周辺状況も含めた各種の情報の活用に関する技術は、上述のように日本国籍の出願人によ る出願が多い傾向にある、センサ、制御技術と組み合わせることで、新たな付加価値を生む可 能性もあり、日本の技術開発において参考となり得ると考えられる。

用途の面でいえば、自律支援(義手義足に類するもの)について、米国・欧州籍出願人が比 較的多くの出願を行っている。

一方で、開発リソースは限られているため、全方位での開発・権利化は難しい。そのため、

他国が先んじているポイントについては、それが今後必要となる技術であるかを見定め、必要 な技術であるならばその分野への注力を、不必要な技術であるならば現状維持または開発放棄 といった選択をすることが重要となる。

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提言 2-2.産学官連携、企業間連携の更なる強化

パワーアシスト技術は、企業においても研究開発がなされているが、大学等の研究機関 で活発に研究開発がなされている技術である。

従来から大学発ベンチャーによる商品開発や、産学官連携の動きもみられるが、現時点 では、研究機関における研究開発が、実用化、商品化に十分に結び付いていない可能性も ある。産学官連携をさらに推進し、研究機関の持つ技術や研究成果と企業の持つ技術や製 造ノウハウとを結び付けて、パワーアシスト技術の産業化を推進していくべきである。

また、パワーアシストスーツは、現時点ではニーズの把握が困難な場合があり、さらに、

実用化してもユーザーの評価によるフィードバックを改良につなげていく必要があるも のである。そのため、例えばユーザーとなり得る企業等との連携を深め、ニーズ把握や改 良を継続的に図っていくべきである。

このように産学官連携、企業間連携の強化を通じて、導入支援による市場確立を行うと ともに、多くの知財を生み出すべく、開発→市場投入→改良・改善の開発サイクルをより 迅速にすべきである。

≪提言詳細及び経緯≫

1.出願動向、研究開発動向

出願人属性別ファミリ件数比率によると、大学等の研究機関の割合が31%となっており、

世界的に見て、大学等の研究機関において盛んにパワーアシストスーツの研究開発が行われ ている。

日本が出願人国籍である場合は、大学等の研究機関の割合は13%で、5極での31%と いう数字よりは低いものの、一定数の出願が見られる。また、共同出願の割合が12%とな っており(5極では8%)、そのうち69%が企業と大学等の研究機関との共同出願となって いることから、産学連携の動きが見て取れる。

論文発表件数が最も多い欧州の動向に関する検証として、出願人国籍が欧州である場合の、

出願人属性別ファミリ件数比率をみると、大学等の研究機関の割合は 24%で、日本よりも高 くなっている。しかしながら、共同出願の割合が9%となっているが、そのうち69%が企 業間の共同出願であり、31%が大学等の研究機関間の共同出願であって、企業と大学等の 研究機関との共同出願はわずか6%(1件)となっていることから、少なくとも特許出願の 観点からは、産学連携の動きは見て取れない。

本報告書の論文数ランキングで掲載されている日本の大学等の研究機関としては、筑波大 学、佐賀大学、名古屋大学、東京理科大学、株式会社国際電気通信基礎技術研究所、九州大 学、東北大学、信州大学、三重大学、大阪大学、神奈川工科大学、芝浦工業大学、中央大学 が挙げられる。これらの大学以外においてもパワーアシストスーツの研究開発が行われてお り、例えば和歌山大学や名古屋工業大学では、企業と連携して商品開発を行っているとされ ており、北海道大学では、大学発ベンチャーが立ち上がっている。世界的に大学等でパワー アシストスーツに関する研究開発が盛んにおこなわれている中で、欧州等に先んじて、日本 がいち早くその研究開発成果を生かし、産業競争力の強化につなげていくべきである。また、

パワーアシストスーツに関しては人体に装着することから、人体構造に応じた外観となる傾

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