論文内容要旨
Persistence of cryoglobulinemia in patients with chronic hepatitis C even after the successful treatment of direct acting antivirals.
(DAA療法後SVRが得られたC型慢性肝炎患者におけるクリオグロブリン 血症の持続)
THE SHOWA UNIVERSITY JOURNAL of MEDICAL SCIENCES (Vol.31 No.3 2019) 内科系内科学(消化器内科学分野) 中島 陽子
C型肝炎ウイルス(HCV)感染は慢性肝炎(CH),肝硬変,肝細胞癌の原因 である.直接作用型抗ウイルス薬(DAA)により,C 型慢性肝炎患者におい て高い血中 HCV-RNA持続陰性化(SVR)が得られるようになった.一部の 患者では,肝外病変として混合型クリオグロブリン(Cg)血症やB細胞非
Hodgkinリンパ腫のようなリンパ増殖性疾患(LPD)を罹患することが知ら
れている.この肝外病変が DAA 療法後 SVR 患者で改善するかが注目され る.
我々は以前,Cg血症,リウマチ因子高値および低補体血症がLPDの免疫 学的なマーカーであることを発表した.本研究では,Cg血症を有するC型 慢性肝炎患者におけるDAA 治療後の変化,および免疫異常が残存する患者 におけるLPD関連マーカーとの関連を検討した.
背景と方法としては,DAA療法を施行した患者226例を対象とし,治療 前後のLPD関連マーカー(IgG, M, C3, C4, CH50, Cg, RF)を測定し検討 した.
226例中,Cg陽性例は31 例(13.7%)であった.Cg 陽性では陰性患者と 比較し,DAA 療法前 C4,CH50 低値(p<0.01),IgM,RF が高値(p<0.01)
であった.CH-C患者におけるCg の単変量解析を行うと,低アルブミンお よび AFP 高値が Cg 陽性と相関することを示した.LPD 関連マーカーに関 しては,IgM 高値,C4低値および CH50低値がCg陽性と関連していた.DAA 療法後24週間観察し得た 24人の患者のうち,20 人(83%)が陰性化した.
治療終了後 6 か月以上経過観察すると,さらに 2 人の患者が陰性化した.
DAA療法後8週時点でCg血症が残存した患者における,DAA療法前後の臨 床的特徴およびLPD関連マーカーを検討すると,肝損傷およびHCCと肝線 維症のマーカー(ALT,AFP,FIB4 index)は改善したが,LPD関連マーカ ー異常は残存することを示した.
免疫学的異常が残存する患者は肝外病変の再燃や新規発症について長 期の経過観察を要することが示唆された.