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ふりがな

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Academic year: 2021

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ふ り が な

氏 名

くりおか かがみ

栗岡 香美

学 位 の 種 類 博士(歯学)

学 位 記 番 号 甲 第 802 号 学 位 授 与 の 日 付 平成 29 年 3 月 10 日

学 位 授 与 の 要 件 学位規則第 4 条第 1 項に該当

学 位 論 文 題 目 Differential expression of the epithelial mesenchymal transition factors Snail, Slug, Twist, TGF-β, and E-cadherin in ameloblastoma

(エナメル上皮腫における上皮間葉転写因子 Snail, Slug, Twist, TGF-β, E-cadherin の発現)

学 位 論 文 掲 載 誌 Medical Molecular Morphology 第 50 巻 第 2 号 平成 29 年 2 月

論 文 調 査 委 員 主 査 森田 章介 教授 副 査 田中 昭男 教授 副 査 中嶋 正博 教授

論文内容要旨

上皮間葉転換 (EMT)とは、上皮細胞が運動性の高い間葉系様細胞へと変化し、組織をリモデリング する過程である。主に胚形成や創傷の治癒過程で観察される生理現象である。EMT は腫瘍の浸潤発育、

転移において重要な役割を有し、主に悪性腫瘍で報告されている。また、エナメル上皮腫は代表的な 歯原性腫瘍であり、おもに顎骨内に発生し局所侵襲性に発育する。そこで、エナメル上皮腫の侵襲性 の発育と EMT の関与を明らかにするため、EMT 関連因子である Snail、Slug、Twist、TGF-β および E-cadherin を免疫組織学的方法で検討し、一部の症例について E-cadherin と免疫二重染色を行った。

また、各タンパクの有無を Western blotting にて確認した。

大阪歯科大学附属病院にて施行した生検ならびに手術標本を 10%ホルマリン固定し、パラフィン包埋 したエナメル上皮腫 37 例を用いた。2005 年 WHO 分類における充実型/多嚢胞の症例を用い、組織パタ ーンは濾胞型 20 例、網状型 17 例であった。評価は、各全腫瘍組織切片中、50%以上に発現がみられた ものを強発現、発現は認めたが 50%未満のものは弱発現、そして 10%未満を未発現の 3 つに分類した。

Snail は、全 37 症例中、強発現が 20 例、弱発現が 12 例、未発現が 5 例であった。E-cadherin が著 しく減弱している部位が腫瘍浸潤部と考えられるが、その部位に Snail の強発現を認めた。また、腫 瘍胞巣周辺の立方状または円柱状細胞に多く認め、核や細胞質に染まっていた。胞巣周辺の線維芽細 胞にも発現を認めた。網状型よりも濾胞型に多く発現を認めた。

Slug は、強発現が 36 例、弱発現が 1 例、未発現は 0 例であった。濾胞型では 20 例すべてに強発現 を認めた。腫瘍細胞の細胞質や核に発現を認め、扁平上皮化生を起こしている部位にも認めた。星芒 状細胞にはあまり見られなかった。

Twist は、強発現が 8 例、弱発現が 12 例、未発現が 17 例であった。染まらない症例が 4 割ほどあっ

たが、浸潤傾向が強い部位には発現がみられた。また濾胞型の腫瘍胞巣が大きいものには発現は認め

なかった。

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TGF-β は,強発現が 19 例、弱発現が 9 例、未発現が 9 例であった。主に細胞質に発現を認めた。間 質の結合組織や血管内皮細胞にみられた。E-cadherin と EMT 関連転写因子それぞれとの二重染色にお いて、E-cadherin は腫瘍細胞の細胞膜に発現していたが、発現の減弱している部位がみられ、その部 位には Snail、Slug、Twist または TGF-β が発現していた。特に budding のみられる部位にその傾向 が強くみられた。Western blotting にて Snail、Slug、Twist または TGF-βのタンパクを確認した。

以上より、エナメル上皮腫の発育における EMT の発現に Snail、Slug ならびに E-cadherin が関わっ ている。Snail、Slug、Twist および TGF-β がみられた部位に E-cadherin が減弱していたことは、エ ナメル上皮腫の侵襲性の発育に関係していることが示唆される。

論文審査結果要旨

本研究はエナメル上皮腫の発育と上皮間葉転換(EMT)の関与を明らかにするため、免疫組織学的方法 で検討したものである。EMT とは、上皮細胞が運動性の高い間葉系様細胞へと変化し、組織をリモデリ ングする過程であり、主に胚形成や創傷の治癒過程で観察される重要な生理現象である。EMT は腫瘍の 浸潤発育、転移においても重要な役割を有し、様々な腫瘍で報告されている。エナメル上皮腫は代表 的な歯原性腫瘍であり、歯の成熟過程における上皮成分の残遺から生じる。おもに顎骨内に発生し良 性腫瘍でありながら局所侵襲性に発育する。そこで、エナメル上皮腫と EMT 関連因子である Snail、Slug、

Twist、TGF-β および E-cadherin を免疫組織学的方法で検討した。一部の症例については E-cadherin と二重染色を行った。また、それぞれの因子と Western blotting にて検討した。

大阪歯科大学附属病院にて施行した生検ならびに手術標本を 10%ホルマリン固定し、パラフィン包埋 したエナメル上皮腫 37 例を用いた。2005 年 WHO 分類における充実型/多嚢胞の症例を用い、組織パタ ーンは濾胞型 20 例、網状型 17 例であった。評価は、各全腫瘍組織切片中、50%以上に発現がみられた ものを強発現、発現は認めたが 50%未満のものは弱発現、そして 10%未満を未発現の 3 つに分類した。

Snail は、全 37 症例中、強発現が 20 例、弱発現が 12 例、未発現が 5 例であった。腫瘍胞巣周辺の 立方状または円柱状細胞に多く認め、核や細胞質に染まっていた。胞巣周辺の線維芽細胞にも発現を 認めた。網状型よりも濾胞型に多く発現を認めた。Slug は、強発現が 36 例、弱発現が 1 例、未発現は 0 例であった。濾胞型では 20 例すべてに強発現を認めた。腫瘍細胞の細胞質や核に発現を認め、扁平 上皮化生を起こしている部位にも認めた。星芒状細胞にはあまり見られなかった。Twist は、強発現が 8 例、弱発現が 12 例、未発現が 17 例であった。染まらない症例が 4 割ほどあったが、浸潤傾向が強い 部位には発現がみられた。また濾胞型の腫瘍胞巣が大きいものには発現は認めなかった。TGF-β は、

強発現が 19 例、弱発現が 9 例、未発現が 9 例であった。主に細胞質に発現を認めた。間質の結合組織 や血管内皮細胞にみられた。E-cadherin と EMT 関連転写因子それぞれとの二重染色において、

E-cadherin は腫瘍細胞の細胞膜に発現していたが、発現の減弱している部位がみられ、その部位には Snail、Slug、Twist または TGF-β が発現していた。特に budding のみられる部位にその傾向が強くみ られた。Western blotting にて Snail、Slug、Twist または TGF-β のバンドを確認した。

これらのことから、エナメル上皮腫の発育における EMT の発現に Snail、Slug ならびに E-cadherin

が関わっている。また Snail、Slug、Twist および TGF-β がみられた部位に E-cadherin が減弱してい

たことは、エナメル上皮腫の侵襲性の発育に関係していることが示唆される。以上の点において本論

文は博士(歯学)の学位を授与するに値すると判定した。

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