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炭素溶解反応を伴う溶鉄と炭材間の濡れ挙動の研究

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Academic year: 2021

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

炭素溶解反応を伴う溶鉄と炭材間の濡れ挙動の研究

グエン, カオ ソン

https://doi.org/10.15017/1806994

出版情報:Kyushu University, 2016, 博士(工学), 課程博士 バージョン:

権利関係:Fulltext available.

(2)

氏 名 論 文 名

(様式

2)

N g u ye n  Ca o  So n (グエンカオソン)

S t ud y  on We t t i n g  B e ha v i ou r  b e t wee n  Liquid I r o n  and  C a r b o n a c e o u s  Ma t e r i a l s  w i t h  C a r b o n  Di s s o l u t i o n  R e a c t i o n 

(炭素溶解反応を伴う溶鉄と炭材問の濡れ挙動の研究)

区 分

論 文 内 容 の 要 旨

本研究は、主要な製鉄プロセスである高炉内の固体と液体の濡れ性に関するものである。高炉は、

酸化鉄源である固体の鉄鉱石と還元材である還元ガスもしくは固体コークスとを反応させて還元し 溶融した銑鉄を製造する大型の反応器であり、この反応器内では、国体、気体、液体が複雑に関係 しながら反応が進行する。特に、高炉の下部の高温充填層における溶銑や溶融スラグなど液相の挙 動は、高炉操業の安定にとって極めて重要である。液相の流動性が良い場合は、炉内のコークス充 填層内の空隙における液体ホールドアップを減少させることができるため、高炉の通気性にも良い 影響を及ぼす。従って、高炉内での液体の挙動を正確に理解することにより

、高炉の生産性の向上

や効率の改善につながる。コークスと高温融体との濡れ性は高炉内の気液の流動挙動に大きな影響 を及ぼす因子の一つであるため、これらの聞の濡れ性に関して広範囲に検討する必要がある。著者 は、高炉内での流体挙動の解明のために、炭材基板と溶融

F e ‑ C

合金の濡れ性について検討を加えた。

本研究では、コークスを模擬した炭材基板に対する溶融鉄の濡れ性に関して実験及び、解析を行っ た。 一般に、炭材基板と溶鉄との問では浸炭反応が生じるため、所定温度に昇温するまでは両者を 接触させない工夫が必要となる。また、所定温度において両者が接触後は、時間とともに反応が進 行するために、ある時点での試料の状態を詳細に解析するには、その時点で急冷し反応を停止させ た試料を回収する必要がある。このため、濡れ性の評価のための実験装置として、所定の温度で液 滴を滴下させて静滴法により接触角を測定する装置を用いるとともに、その状態で急速冷却が可能 な機構を備えた実験装置を新たに開発し検討を加えた。実験に用いた炭素飽和もしくは未飽和の

F e ‑ C

合金は、純度

9 9 .90%

の純鉄と純度

9 9 . 9 0 %

のグラファイトを原材料として、不活性雰囲気に保っ た高周波誘導加熱炉を用いて製作した。コークス中には灰分が存在するため、コークスを模擬した 炭材基板中にはアルミナを混在させたQ 一般にコークス中の灰分はシリカやアルミナが主成分であ るが、シリカは高温で炭素と反応するため灰分はアルミナで代表させた。炭材基板は、純度

9 9 .9 0 %  

のグラファイトと純度

9 9 .9 0 %

のアルミナを原材料として純アルコン雰囲気に保った炉内で熱問加庄 圧縮し製作した。

溶融

F e ‑ C

合金と炭材基板との見掛けの接触角は、両者の接触直後より低下するが、その低下速度 は時間とともに変化することが実験により確かめられた。すなわち、接触後しばらくは見掛けの接 触角は接触開始直後の値より急激に低下するが、この初期期間を過ぎると見掛けの接触角は最終的 には平衡値で安定する事がわかった。溶融

F e ‑ C

合金と炭材基板との濡れ挙動に関しては、これら二 つの期間に分けて考察を加えた。

炭素の溶融

F e ‑ C

合金への溶解反応は、溶融

F e ‑ C

合金と炭材基板の濡れ性に大きな影響を及ぼすこ

(3)

とが実験により明らかになった。炭素溶解反応は、固液界面の形態と固液の界面エネルギーの両者 に変化をもたらすと考えられる。炭素飽和の

F e ‑ C

合金を用いた場合は、炭素反応量が炭素基板との 境界面の明確な形態的変化をもたらすには至らず溶鉄は基板上を水平に濡れ広がったが、その場合 でも闇液の界面エネルギーは反応により減少し、見掛けの接触角は低下した。炭素未飽和の

F e ‑ C

合 金を用いた場合は、境界面の形態的変化への炭素溶解反応の影響が顕著となる。炭素の溶融

F e ‑ C

合 金への溶解反応により炭素原子は炭材基板から溶鉄へと移動し、溶鉄と炭材基板の境界面にはくぼ みが生じ、その結果、溶鉄と基板の濡れ性に対して大きな影響を与える。炭材基板と溶鉄とが接触 した後の初期期間においては、炭材基板にはくぼみは形成されず固液界面エネルギーの減少により 見掛けの接触角が低下する。その後、浸炭反応によるくぼみが形成されるとともに固液界面エネル ギーが安定化する。この際、見掛けの接触角は反応により形成された境界面の形状に大きく影響を 受けることになる。

コークスに含まれる灰分量の濡れ性に対する影響について検討するために、炭材基板中のアルミ ナの濃度の溶融

F e ‑ C

合金と炭材基板との濡れ性に与える影響について検討した。基板中のアルミナ 濃度を増加させると炭材の溶鉄への溶解反応が減少することが明らかになった。また、アルミナ濃 度が

I 0 v o l %

以下においては固液境界においてくぼみが形成している事が確認され、炭材基板中のア ルミナの量を減少させる と初期の見掛けの接触角は減少した。しかし、 一定時間保持後に安定値と して得られる平衡接触角には本実験条件においては大きな変化は認められなかった。炭材基板中の アルミナ濃度が

2 0 v o lZ

の場合においては、国液境界において炭素が反応した後のアルミナ単独層の 形成が確認された。この境界層におけるアルミナの濃縮により、囲気液三重線近傍の界面エネルギ ーの不均衡となり、見掛けの接触角の増加がもたらされるものと考えられた。

参照

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