目次 第 1 章序章... 1 第 1 節研究の背景... 2 第 2 節既往研究と研究開始時における課題... 5 第 1 項製造法... 5 第 2 項 α-eg の機能性... 6 第 3 節本研究の目的... 7 第 4 節本研究の成果と意義... 8 第 2 章 α-eg 高含有酒の発酵生

全文

(1)

平成28年度

博士

学位論文

エチル

-α-

D

-グルコシド発酵生産法の開発と新規保湿

機能および線維芽細胞に与える影響に関する研究

金沢 工 業大 学 大学 院 工 学研 究 科

バイ オ ・化 学 専攻

7400056

坊垣 隆 之

指導 教 授 尾 関 健 二 教 授

(2)

目次

第 1 章 序章 ... 1 第 1 節 研究の背景 ... 2 第 2 節 既往研究と研 究開始時に おける課題 ... 5 第 1 項 製造法 ... 5 第 2 項 α-EG の 機 能 性 ... 6 第 3 節 本研究の目的 ... 7 第 4 節 本研究の成果 と意義 ... 8 第 2 章 α-EG 高含有酒の発酵 生産法の開 発 ... 12 第 1 節 緒言 ... 13 第 2 節 材料および方 法 ... 15 第 1 項 材料 ... 15 第 2 項 方法 ... 16 第 3 節 結果および考 察 ... 21 第 1 項 麹菌の選定 ... 21 第 2 項 酵母,麹およ び麹 歩合の 検討 ... 24 第 3 項 酵素剤添加量 が α-EG の生産性に 与え る影響 ... 26 第 4 節 小括 ... 29 第 3 章 発酵生産法に よる α-EG を高含有 する 焼酎もろみの開 発 ... 31 第 1 節 緒言 ... 32 第 2 節 材料および方 法 ... 33 第 1 項 材料 ... 33 第 2 項 方法 ... 33

(3)

第 3 節 結果および考 察 ... 40 第 1 項 麹と酵素剤の 添加量の検 討 ... 40 第 2 項 もろみに添加 する麹量と 二次発酵温 度 の検討 ... 42 第 3 項 焼酎の官能評 価 ... 45 第 4 節 小括 ... 47 第 4 章 清酒 醸造 副産 物を 利用 した α-EG 高 含有 酒粕 再発 酵酒 の発 酵生 産法の 開 発 ... 50 第 1 節 緒言 ... 51 第 2 節 材料および方 法 ... 53 第 1 項 材料 ... 53 第 2 項 方法 ... 54 第 3 節 結果および考 察 ... 59 第 1 項 酒粕と α 化米 添加量の 検討 ... 59 第 2 項 汲み水量の検 討 ... 60 第 3 項 α-グ ル コ シ ダ ー ゼ の 種 類 と 使 用 量 の 検 討 ... 61 第 4 項 酒粕添加の必 要性の 検討 ... 62 第 5 項 白ヌカ液化液 の液化条件 の検討 ... 63 第 6 項 白ヌカ液化液 添加量の検 討 ... 64 第 7 項 異なるデンプ ン原料を用 いた小仕込 み 試験における α-EG の生産量 ... 66 第 8 項 保湿効果の検 証 ... 68 第 4 節 α-EG 発酵生産の原料 コスト試算 ... 70 第 5 節 小括 ... 71 第 5 章 α-EG の 保 湿 機 能 ... 74

(4)

第 1 節 緒言 ... 75 第 2 節 材料および方 法 ... 77 第 1 項 材料および機 器 ... 77 第 2 項 方法 ... 77 第 3 節 結果および考 察 ... 79 第 1 項 α-EG 試薬の保湿効果 ... 79 第 2 項 0.01%エタノール を基剤とし た α-EG 試薬の保湿効果 ... 80 第 3 項 0.1%エタノール を基剤とし た α-EG 試薬の保湿効果 ... 81 第 4 項 α-EG による保湿効果 の持続性の 検討 ... 82 第 5 項 α-EG を配合したシャ ンプーの保 湿効 果 ... 86 第 6 項 炭酸水に溶解 した α-EG の保湿効果 ... 87 第 4 節 小括 ... 89 第 6 章 α-EG が 線 維 芽 細 胞 に 与 え る 影 響 ... 93 第 1 節 緒言 ... 94 第 2 節 材料および方 法 ... 96 第 1 項 材料 ... 96 第 2 項 方法 ... 97 第 3 節 結果および考 察 ... 104 第 1 項 α-EG の 細 胞 生 育 阻 害 試 験 ... 104 第 2 項 細胞増殖に与 える影響 ... 105 第 3 項 コラーゲン生 成に与える 影響 ... 106 第 4 項 保湿関連遺伝 子の発現に 与える影響 ... 107 第 4 節 小括 ... 114 第 7 章 総括 ... 121

(5)

査 読 付 発 表 論 文 127

学 会 発 表 128

そ の 他 の 業 績 129

(6)

略 号 ・ 酒 造 用 語 略 号 酵 素 AA:α-アミラーゼ剤,ス ミチー ム L AG:α-グルコシダー ゼ剤 ,α-グルコシダーゼ 「アマノ」 S D TGB:α-グルコシダー ゼ剤 ,四段 用 TG-B GA:グルコアミ ラーゼ そ の 他

α-EG: Ethyl-α-D-glucoside

DMEM:ダルベッコ 改変イーグ ル培地 MTT:メチルチア ゾリルジフ ェニル-テ トラ ゾリウム〔 3 - ( 4, 5 - Dimethylthial - 2 - yl ) - 2, 5-Diphenyltetrazalium Bromide〕 酒 造 用 語 掛 け 米 : 蒸 し 後 放 冷 し て 直 接 も ろ み に 仕 込 ま れ る 米 。 汲 み 水 : も ろ み に 加 え る 仕 込 水 。 麹 米 : 麹 に 使 用 す る 米 。 麹 歩 合 : 米 の 総 使 用 量 に 対 す る 麹 米 の 割 合 。 も ろ み : 米 , 麹 , 水 , 酵 母 を 加 え て 発 酵 さ せ て い る 発 酵 液 。 仕 込 み : お 酒 を 醸 造 す る こ と 。 三 段 仕 込 み:初 添 ,仲 添 ,留 添 の 3 回 に分けて もろみに原料を 添加する仕 込み。 初 添 ( 添 仕 込 み ): も ろ み 原 料 を 最 初 に 添 加 す る 行 為 。 仲 添 ( 仲 仕 込 み ): 初 添 の 二 日 後 に 初 添 の 2 倍 量の原料を加え る。 留 添 ( 留 仕 込 み ): 仲 添 の 2 倍量の原 料を仲添 えの翌日もろみ に加える。 二 段 仕 込 み : 初 添 と 仲 添 を 同 時 に 行 い ,2 回に 分けて原料を添 加する 仕込 み

(7)

1

第1 章 序章

(8)

第1章 序章 第1節 研究の背景 2 第 1 節 研 究 の 背 景 エ チ ル-α-D-グルコシド(以下 α-EG)は,清酒に 含有されている ,水 ,エタノ ール , グ ル コ ー ス に 次 ぐ 第 4 の成分である 1)。 し か し ,4 番目に高含有さ れている成 分 で あ り な が ら そ の 発 見 は 遅 か っ た 。1970 年,α-EG は今成らによって 飲酒したヒ ト の 尿 か ら 検 出 さ れ た こ と を き っ か け と し て 清 酒 中 に 同 定 さ れ た 2)α-EG は分 子 量 208.21,グルコース の 1 位 の炭素にエ ト キシル基が α 結合した 非還元糖で あ る ( 図 1)。 岡 ら がα-EG を清酒から単離し呈 味特性を 調 べ ,α-EG が即効性の甘味と遅 効性の苦味 を 持 ち 清 酒 の 苦 味 と 濃 厚 味 に 関 す る 一 つ の 因 子 で あ る 可 能 性 を 示 し た 1)。そ の 後 ,α-EG の も ろ み 中 に お け る 生 成 機 構 に お け る デ ン プ ン 分 解 系 酵 素 の 関 与 に つ い て 研 究 さ れ て き た 3, 4, 5, 6)。α-EG の物性を表1に示 した。 清 酒 は , 日 本 で 伝 統 的 に 製 造 さ れ て き た ア ル コ ー ル 飲 料 で あ り , 糖 化 と 発 酵 を 同 時 に 行 う 並 行 複 発 酵 で 醸 造 さ れ , ア ル コ ー ル 度 数 は 原 酒 で 20 v/v%に達する。 清 酒 は 米 と 水 を 原 料 と し て , 微 生 物 に よ る 発 酵 に よ っ て 醸 さ れ る 。 精 米 し た 後 , 蒸 き ょ う さ れ た 蒸 米 に 黄 麹 菌(Aspergillus oryzae)を 繁 殖 さ せ ,デ ン プ ン を 糖 化 す る た め の 酵 素 を 生 産 す る 目 的 で 麹 が 作 ら れ る 。 一 方 で 酵 母 を 増 殖 さ せ る 目 的 で 酒 母 が 作 ら れ る 。一 般 的 に 酒 母 に 3 回に 分け て麹 ,米,水が添加さ れ る三段仕 込 が 行 わ れ て い る 。 糖 化 と ア ル コ ー ル 発 酵 が 同 時 に 行 わ れ る こ と か ら 並 行 複 発 酵 と 呼 ば れ ,酵 母 の 増 殖 ,糖 化 速 度 を 巧 み に 制 御 す る こ と で エ タ ノ ー ル 濃 度 は 20 v/v% に 達 す る 。発 酵 の 過 程 で 麹 は 糖 化 に 必 要 な α-ア ミ ラ ー ゼ( EC 3.2.1.1)( 以 下 AA), α-グ ル コ シ ダ ー ゼ ( EC 3.2.1.20)( 以 下 AG), グ ル コ ア ミ ラ ー ゼ ( EC 3.2.1.3) 図 1 α-EG の化学式

H

OH

H

OH

OH

O

H

H

H

O

CH

2

OH

C

2

H

5

(9)

第1章 序章 第1節 研究の背景 3 ( 以 下 GA)の他にプロ テアーゼ 等を生 産す る。酵母は アルコ ール発酵 の過程 で 主 な 産 物 で あ る エ タ ノ ー ル , 二 酸 化 炭 素 以 外 に 有 機 酸 , エ ス テ ル 化 合 物 等 を 生 産 す る 。 こ れ ら 麹 の 生 産 す る 酵 素 の 作 用 や 酵 母 の 代 謝 産 物 に よ っ て 清 酒 の 呈 味 に 多 様 性 が 生 じ る 。 そ し て 清 酒 の 呈 味 に 影 響 を 与 え る 成 分 の 1 つが α-EG である。 デ ン プ ン や オ リ ゴ 糖 等 を 基 質 と し て グ ル コ ー ス を 生 成 す る 加 水 分 解 反 応 を 触 媒 す る 酵 素 で あ る AG は,マルトー スやオリゴ 糖など から α-1, 4 結合したグ ルコー ス 残 基 を 他 の 物 質 に 転 移 す る 反 応 も 触 媒 す る 6)α-EG は清酒もろみ中で は デキ ス ト リ ン , マ ル ト オ リ ゴ 糖 や マ ル ト ー ス と い っ た 二 糖 以 上 の 糖 を 基 質 と し , エ タ ノ ー ル を ア ク セ プ タ ー と し た AG が触媒する 転 移反応によって 生成される( 図 2)。 清 酒 醸 造 に お い て も ろ み 中 の 蒸 米 は , 麹 菌 が 生 産 す る AA によりデンプ ン分子の α-1, 4 結合が エンド型に ランダムに 切断されて 順次小さな分子 にな る。さら に AG や GA が,デンプンやマル トオリゴ糖 の非還 元末端から エキ ソ型に グル コース単 位 で 加 水 分 解 す る こ と で グ ル コ ー ス が 生 産 さ れ 糖 化 さ れ る 。 こ の 過 程 で 生 じ る マ ル ト オ リ ゴ 糖 が AG の糖転移反 応の基質と な りエタノールの 存在下で α-EG を生 成 す る 。エ タ ノ ー ル は 主 に 3 糖以下の マルト オリゴ糖とグル コースを酵 母が資化 し 生 産 さ れ る 。 清 酒 醸 造 に お い て は , デ ン プ ン の 加 水 分 解 に 必 要 な 酵 素 は 麹 菌 が 分 泌 生 産 す る が ,加 水 分 解 を 調 整 す る 目 的 で 酵 素 剤 を 添 加 す る 場 合 が あ る 。ま た , 麹 の 酵 素 生 産 量 は ,AA,GA,AG の順に少な くな る6) な お ,α-EG と同じく清酒に 含有される α-D-グルコシルグリ セロール( α-GG) 7)も , 清 酒 も ろ み 中 で は 酵 母 が 生 産 す る グ リ セ ロ ー ル と マ ル ト オ リ ゴ 糖 か ら 麹 が 分 泌 生 産 す る AG の転移反応によ り 生成する 8 )。 ま た ,α-EG と グ リ コ シ ル -O 合 の ア ノ マ ー 配 置 が 異 な る EG に つ い て は , 清 酒 も ろ み 中 に は , 基 質 と な る β-グ ル カ ン が 無 い 10)た め に 生 産 さ れ て い な い と 考 え ら れ る 。し か し ,焼 酎 も ろ み 中 に は 大 麦 由 来 の β- グ ル カ ン が 存 在 し , さ ら に 焼 酎 麹 に 使 用 さ れ る 白 麹 菌

(10)

第1章 序章 第1節 研究の背景

4

Aspergillus kawachii),黒 麹 菌 ( Aspergillus awamori)共 に β-グ ル コ シ ダ ー ゼ を

生 産 す る 1 1)こ と か ら β-EG が 生 産 さ れ て い る 可 能 性 が あ る 。 表 1 α-EG の 物 性 4,8) CASNO 19467-01-7 分 子 式 C8H16O6

分 子 量

208.21

融 点

113~114℃

比 旋 光 度

[α]

20D

+153°(C=5.00, H

2

O)

溶 解 性

水に易 溶。 無水 エタ ノール に易 溶( 溶解 度

50%以上)

結 晶

針状( エタ ノー ルか ら結晶 )

還 元 性

潮 解 性

安 定 性

中性で は

121℃,15 分処理 して も分 解し ない

変異原 性

急性毒 性

陰 性(AMES 法によ る)

LD

50

値 ,雄 :56 g/kg(95% 信頼 限界 48~66 g/kg),

雌 :58 g/kg(95% 信頼限 界 53~62 g/kg)(マ ウス 経

口毒性 試験 によ る)。グ ルコー スと 比較 し て顕著 な毒 性

は認め られ 無い 。

(11)

第1章 序章 第2節 既往研究と研究開始時における課題 5 第 2 節 既 往 研 究 と 研 究 開 始 時 に お け る 課 題 第 1 項 製 造 法 α-EG の製造法として化学 合成法 ,酵 素法,発 酵法の 3 種類 をあげるこ とがで き る 。 ア ル キ ル グ ル コ シ ド の 化 学 合 成 に は コ ス ト 面 か ら デ ン プ ン の 加 水 分 解 物 あ る い は 精 製 グ ル コ ー ス を 糖 源 と し て ア ル コ ー ル と 酸 触 媒 の 存 在 下 に 直 接 反 応 さ せ る Fisher 法あ る いは そ の改 良 法が 用 いら れ る 11)。 酵 素 法 と し て ,Aspergillus niger 由 来 の AG を使用し て 30 - 80 w/v%の高濃度のエタノ ール溶液中 でマルト ー ス な ど を 基 質 と し て α-EG を生産する方法 がある 9, 12)。 発 酵 法 と し て は ,10% 程 度 の エ タ ノ ー ル と マ ル ト ー ス , マ ル ト ト リ ー ス を 主 体 と す る 水 飴 を 含 む 培 地 に

Schizosaccharomyces pombe を 接 種 し て α-EG を生産する方法が 開示されて いる

13)。 ま た 発 酵 法 の 一 つ と し て 清 酒 を 濃 縮 し て α-EG 含有清酒濃縮液 を製造する 方 法 が あ る 14) こ れ ら の 従 来 の α-EG の 製 造 方 法 に は ,以 下 の 課 題 が あ っ た 。化 学 合 成 法 で は , ア ノ マ ー の 混 合 物 と な る た め ,β-EG を 取 り 除 く 必 要 が あ り コ ス ト 増 の 原 因 と な る 。Aspergillus niger 由 来 の AG を使用した 酵素法では ,エ タノール濃 度が高い た め に AG の失活が大きく 酵素添加量 が多く なり ,また高価 なエタノー ルを大量 図 2 もろみにおけ る α-EG 生成

(12)

第1章 序章 第2節 既往研究と研究開始時における課題 6 に 使 用 す る た め コ ス ト 面 に 課 題 が あ る 。Schizosaccharomyces pombe を 利 用 し た 発 酵 法 で は EG の濃度は 1 w/v%程度でしか ない。また これらの方 法では主 に α-EG とグルコース が生成 され有機 酸やア ミノ 酸などの天 然保湿 成分 は生 成され な い 。 清 酒 を 原 料 と し た 製 法 で は 有 機 酸 や ア ミ ノ 酸 な ど も 同 時 に 生 産 さ れ る が , 原 料 コ ス ト が 高 く α-EG の濃度 は 0.7 w/v%程度 でしかない。 第 2 項 α-EG の 機 能 性 1997 年 Kitamura らの研 究により ,α-EG にケラチノサイト の分化を促 進する 事 で UV-B による荒れ 肌の改 善機 能があるこ とが明らかにさ れた 15)。こ の 研 究 以 降 ,α-EG は単なる清 酒の呈味 成分として だけ では無く ,化粧品素材 として利用 さ れ そ の 機 能 や 製 法 の 研 究 が 行 わ れ る よ う に な っ た 。α-EG を経 口摂 取する と一 部 が 小 腸 で 加 水 分 解 さ れ る が , 大 部 分 は 吸 収 さ れ 血 中 に 移 行 し , 約 60 - 90%は尿中 に 排 出 さ れ る 16, 17, 18)。こ の 体 内 動 態 に よ っ て α-EG は,尿量増加 9)や 体 重 減 少 効 果 を 示 す 利 尿 薬 に な る 可 能 性 が あ る 19, 20, 21, 22)。 ま た , 慢 性 ア ル コ ー ル 性 肝 障 害 を 抑 制 す る 効 果 が 報 告 さ れ て い る 23)α-EG は飲用摂取や肌 への塗布を 行うこと に よ っ て ,肌 の 角 質 層 に 働 き か け ,表 皮 細 胞 の 角 化 促 進 さ せ る 作 用 が あ る 15, 24) す な わ ち UV 照射など外的 要因によっ て表皮 細胞がダメージ を受けると その修復 の た め に 表 皮 細 胞 の 増 殖 が 亢 進 し , 表 皮 細 胞 の 角 化 と 増 殖 の バ ラ ン ス が 崩 れ る 。 α-EG を塗布 する と表 皮細胞 の角 化を 促進 し するこ とで 増殖 と角化 のバ ラン スが 回 復 す る 事 で ,角 質 層 か ら の 水 分 蒸 散 量 が 減 少 し ,荒 れ 肌 が 抑 制 さ れ る 15)。α-EG は 細 胞 間 脂 質 生 合 成 を 亢 進 し , 角 質 層 の バ リ ア 機 能 を 改 善 す る こ と が 報 告 さ れ て い る 25)。 結 果 と し て , 保 湿 効 果 , 荒 れ 肌 改 善 効 果 が 期 待 さ れ る 。 ま た ,α-EG を 1 w/v%含有した清酒 1.5 合(270 ml)を単回飲 用させ せた試験 で ,飲用前 後の肘の 角 層 水 分 量 に 有 意 差 が 認 め ら れ た 報 告 が あ る 2 6)

(13)

第1章 序章 第3節 本研究の目的

7

α-EG の類似化合物であ る α-GG についても マウスの皮膚に 塗布すると ,細胞 の 増 殖 を 促 進 す る insulin-like growth factor-Ⅰを増加させることが Harada ら に よ っ て 報 告 さ れ て い る 27)。 ま た , ヒ ト の 頬 に 0.01 w/v% α-GG を 14 日間塗布 す る こ と で , 皮 膚 の 弾 力 が 増 し た こ と が 報 告 さ れ て い る 27) こ の よ う に α-EG が 皮 膚 に 及 ぼ す 影 響 に つ い て 多 く の 研 究 が あ る が ,従 来 α-EG を 皮 膚 に 塗 布 し た 試 験 で は 数 日 以 上 塗 布 し た 試 験 で あ り , 短 時 間 で 観 察 さ れ る 保 湿 効 果 を 試 験 し た デ ー タ は な か っ た 。 ま た , 従 来 の 研 究 は 皮 膚 の 角 層 に 対 す る 影 響 を 対 象 と し て お り , 真 皮 に 対 す る 作 用 を 明 ら か に す る 課 題 が あ っ た 。 第 3 節 本 研 究 の 目 的 発 酵 法 で 化 粧 品 へ の 利 用 を 目 的 と し た α-EG の 生 産 を 行 う こ と で , 発 酵 に よ っ て 生 成 す る 他 の 有 効 成 分 と の 相 乗 ま た は 相 加 効 果 が 期 待 さ れ る 。 し か し , 米 と 麹 の み を 使 用 し た 清 酒 の 発 酵 法 で は 原 料 コ ス ト が 高 く な る 。 そ こ で , 本 研 究 で は 原 料 と し て 醸 造 副 産 物 で あ る 酒 粕 と ヌ カ を 利 用 し ,清 酒 の 醸 造 法 を 参 考 に し て α-EG の 発 酵 生 産 法 を 検 討 す る 。ま た ,焼 酎 醸 造 の 過 程 で 生 じ る 焼 酎 蒸 留 残 渣 か ら α-EG を 回 収 す る こ と で 生 産 可 能 で あ る か 検 討 し , 焼 酎 醸 造 に お い て α-EG を 副 産 物 か ら 生 産 す る 技 術 を 確 立 す る 。 本 研 究 で 生 産 し た α-EG 含 有 発 酵 産 物 が 持 つ 保 湿 効 果 に つ い て 試 験 し ,そ の 有 効 性 を 評 価 す る 。ま た ,α-EG 試 薬 に つ い て 基 剤 を 替 え て 試 験 す る こ と で α-EG の 皮 膚 に 対 す る 効 果 へ の 影 響 を 試 験 し α-EG の 効 果 的 な 使 用 方 法 を 検 討 す る 。さ ら に ,真 皮 に 存 在 す る 線 維 芽 細 胞 に 与 え る α-E G 試 薬 の 影 響 に つ い て ヒ ト 正 常 線 維 芽 細 胞 を 用 い て 細 胞 レ ベ ル で 試 験 を 行 い , 続 い て 細 胞 レ ベ ル で の 効 果 を 遺 伝 子 レ ベ ル で も 検 討 す る 。

(14)

第1章 序章 第4節 本研究の成果と意義 8 第 4 節 本 研 究 の 成 果 と 意 義 第 2 章では ,清酒 の仕込みに おいて ,麹およ び酵母の選定 ,麹および 酵素剤の 使 用 量 を 検 討 し ,α-EG 高含有酒の 醸造法を確 立 した。 第 3 章では ,焼酎 の仕込みに おいて ,麹およ び酵素剤の使用 量 ,また 仕込み温 度 を 検 討 し ,α-EG 高含有となる 焼酎の醸 造法 を確立し ,焼酎蒸留残 渣から α-EG を 生 産 す る 技 術 を 確 立 し た 。 第 4 章では ,醸造副 産物であ る酒粕と白 ヌカ 液化液また は α 化米を 利用した仕 込 み に お い て ,酵 素 剤 の 使 用 量 ,白 ヌ カ の 液 化 条 件 ,汲 み 水 量 等 を 検 討 し ,α-EG 高 含 有 酒 粕 再 発 酵 酒 の 醸 造 法 を 確 立 し た 。 さ ら に , 醸 造 し た 酒 粕 再 発 酵 酒 の 保 湿 効 果 を 確 認 し た 。 第 3 章(焼酎蒸 留残渣抽出 液 )お よび第 4 章( 酒粕再発酵酒 )で開 発した α-EG の 製 法 に お い て , 清 酒 か ら の 製 造 と 比 較 し て そ れ ぞ れ 原 料 コ ス ト が 約 20 分の 1 お よ び 約 7 分の 2 であり, 製造コスト 削減の 可能性を示 した 。 第 5 章では,α-EG 試薬を皮膚に塗 布し て直 ぐに観察される 保湿効果に ついて 塗 布 後 270 分持続 することを 新たに確認 した 。その際 ,α-EG の保湿効果に与 え る エ タ ノ ー ル の 影 響 に つ い て 検 討 し , エ タ ノ ー ル が α-EG の保湿効果を 高める可 能 性 を 見 出 し , さ ら に α-EG を使用したシャ ンプーおよび炭 酸風呂の 商 品化の可 能 性 に つ い て も 検 討 を 加 え , 炭 酸 ガ ス が α-EG の保湿効果を高 める可能性 を見出 し た 。 第 6 章では,α-EG 試薬の線維芽細 胞の増殖 とコラーゲン生 産に与える 影響を 試 験 し , 線 維 芽 細 胞 の 増 殖 と コ ラ ー ゲ ン 生 成 賦 活 化 作 用 を 認 め た 。 さ ら に α-EG 処 理 し た 線 維 芽 細 胞 に お い て 増 殖 お よ び コ ラ ー ゲ ン 生 産 に 関 与 す る 遺 伝 子 の 発 現 に つ い て 検 討 し ,mRNA 量が増加することを 確認した 。

(15)

第1章 序章 第4節 本研究の成果と意義 9 近 年 の 消 費 者 の 自 然 志 向 や 発 酵 ブ ー ム を 考 慮 す る と , 化 学 法 や エ タ ノ ー ル と マ ル ト ー ス 等 を 原 料 に 酵 素 剤 を 使 用 し て 製 造 す る α-EG よりも,米,麹を 使用して 発 酵 法 で 製 造 し た α-EG がより消費者 ニーズ に適合し ,受け 入れられや すいと考 え ら れ る 。 清 酒 か ら 調 製 し た 米 発 酵 液 が 化 粧 品 に 配 合 さ れ て い る が , 製 造 コ ス ト に 課 題 が あ っ た 。 本 研 究 で 開 発 し た 酒 粕 再 発 酵 酒 は 酒 粕 と 白 ヌ カ を 原 料 と し て い る こ と か ら ア ミ ノ 酸 や 有 機 酸 を 含 有 し 且 つ ,清 酒 か ら 製 造 す る よ り も 低 価 格 な α-EG 含有機能性 素材となる 。 従 来 の 研 究 で は ,α-EG の機能性はマ ウスやラ ットの生体を用 いた臓器の 機能 , 培 養 細 胞 の 形 態 変 化 や 代 謝 物 の 測 定 , マ ウ ス , ラ ッ ト , ヒ ト に よ る 荒 れ 肌 改 善 効 果 等 が 報 告 さ れ て い る 8, 15, 21)が ,遺 伝 子 レ ベ ル で α-EG の機能性を 調べた報告 は 無 か っ た 。 本 研 究 で は 真 皮 に 存 在 す る 線 維 芽 細 胞 に 与 え る 影 響 を 培 養 細 胞 を 用 い て 検 討 し , 細 胞 実 験 で , 線 維 芽 細 胞 増 殖 賦 活 化 作 用 , Ⅰ 型 コ ラ ー ゲ ン 生 産 賦 活 化 作 用 ,遺 伝 子 発 現 試 験 で FGF1,FGF2,COL1A1,COL1A2,COL3A1 各 遺 伝 子 の 発 現 を 確 認 し た 。 こ れ ら の 結 果 は α-EG の産業利用 が推進され る一助となる 成 果である。

(16)

10 参 考 文 献

1. 岡智,岩野君夫 ,布川弥 太郎:日本農芸化学会 誌,第 50 巻,455-461,1976 2. T. Imanari and Z. TAmaru : Agr. Biol. Chem., 35, 321-324,1971

3. 岡智,岩野君夫 ,布川弥 太郎:日本農芸化学会 誌,第 50 巻,463-468,1976 4. 岡智:日本醸造 協会誌, 第 72 巻 ,631-635,1977

5. 佐藤信,大場俊 輝,小林健 :日本醸造 協会誌 :第 77 巻 ,393-397,1982 6. 森本良久 ,北本 勝ひ こ ,藤 田義人 ,五味 勝也 ,熊谷知 栄子 : 生物 工学会 誌 ,

第 73 巻,97-104 , 1995

7. F. Takenaka and H. Uchiyama : Biosci. Biotechnol. Biochem , 64, 1821-1826 , 2000 8. 芳川憲司,池 田潔昭,谷 川弘晃,山本一也,宮 本博文,岡田 茂孝 : 日本食品 工 業 科 学 会 誌 , 第 41 巻,878-885,1994 9. 荒木茂樹,伊 藤一敏,青江誠一郎 ,池上 幸江:栄養学雑誌 , 5, 235-251, 2009 10. 太田剛雄,下條寛 和,橋本憲治,近 藤洋大,佐 無田隆,大場俊輝:日 本醸造 協 会 誌 : 第 86 巻,536-539,1991 11. 木野村圭右,榊 原敏之:フ レグランス ジャー ナル, 5,62-64,1990 12. 小澤修,小島芳 弘:特開 平 4-112798 13. 岡田茂孝,芳川 憲司,神原 積:特開 平 2-291293 14. 広常正人,樋詰 和久,長井 潔:特 開 2005-143418

15. N. Kitamura, Y. Ota, A. Haratake, T. Ikemoto, O. Tanno, T. Horikoshi :

Skin Pharmacol., 10, 153-159, 1997

16. T. Mishima, T. Hayakawa, K. Ozeki, H. Tsuge : Nutrition , 21, 525-529, 2005

(17)

11

J. Nutr.Sci Vitaminol , 51, 22-26, 2005

18. T. Mishima, K. Tanaka, H.Tsuge, J. Nakahara, T. Hayakawa : J. Agric.Food chem. , 53, 7257-7261, 2005

19. T. Mishima, S. Harino, J. Sugita, M. Nakahara, T. Suzuki, T. Hayakawa :

Biosci. Biotechnol. Biochem., 72, 393-397, 2008

20. T. Mishima, T. Hayakawa, K. Ozeki, H. Tsuge : 岐阜医療科 学大学紀要 , 3, 219-223, 2009

21. T. Mishima, T. Hayakawa, K. Ozeki, Y. Isa, H. Tsuge : 岐阜医療科 学大学 紀 要, 4, 15-18, 2010

22. T. Mishima, T. Hayakawa, K. Ozeki, Y. Isa, H. Tsuge : 岐阜医療科 学大学 紀 要, 5, 31-34, 2011

23. H. Izu, K. Hizume, K. Goto, M. Hirotsune : Biosci. Biotechnol. Biochem., 71, 951-957, 2007

24. M. Hirotsune, A. Harakake, A. Komiya, J. Sugita, T. Tachihara, T. Konami, K. Hizume, K. Ozeki, T. Ikemoto : J. Agric. Food Chem., 53, 948-952, 2005

25. M. Nakahara, T. Mishima, T. Hayakawa : Biosci.Biotechnol.Biochem., 71, 427-434, 2007

26. 広常正人:発酵・醸造食 品の最新技 術と機能性 ,シーエムシー出 版 ,276-283, 2006

27. N. Harada, J. Zhao, H. Kurihara, N. Nakagawa, K. Okajima : Biosci. Biotechnol. Biochem., 74 , 759-765, 2010

(18)

12

(19)

第2章 α-EG 高含有酒の発酵生産法の開発 第1節 緒言 13 第 1 節 緒 言 本 章 で は , 清 酒 の 醸 造 法 を 応 用 し , 麹 米 , 酵 母 , 酵 素 剤 の も ろ み へ の 添 加 量 を 検 討 す る こ と で α-EG 高含有酒の醸造法 の 開 発を行った。 α-EG 高含有酒の醸 造 法 を 確 立 す る こ と で ,α-EG 高含有酒や酒風 呂 ,また α-EG 高含有酒のエタノ ール を 除 く こ と に よ り 酒 濃 縮 物 を 作 製 し , ド リ ン ク 剤 や サ プ リ メ ン ト な ど 多 種 多 様 な 商 品 展 開 が 可 能 と な る 。 清 酒 は そ の 製 造 工 程 で , 酒 母 に お け る 乳 酸 発 酵 , 麹 菌 を 用 い た 製 麹 , 酵 母 の ア ル コ ー ル 発 酵 の 各 種 微 生 物 の 発 酵 産 物 が 巧 み に 利 用 さ れ て い る 醸 造 酒 で あ り , 動 物 実 験 で 紫 外 線 に よ る 荒 れ 肌 改 善 効 果 を 持 つ こ と が 明 ら か に さ れ て い る 1) α-EG を 含 有 し て い る 。 単 回 経 口 摂 取 試 験 で 1 w/v% α-EG を含有する 清酒を 270 ml 飲 用 す る と , 摂 取 前 後 で ヒ ト の 肘 角 層 水 分 量 に 有 意 差 が 認 め ら れ た 2)。 ま た , 動 物 実 験 で ガ ラ ク ト サ ミ ン 誘 発 肝 障 害 の 抑 制 作 用 3 ), ヒ ト で 入 浴 剤 と し て の 保 温 効 果 4)が 報 告 さ れ て い る 。 市 販 清 酒 中 に α-EG は 約 0.2-0.7 w/v%含 有 さ れ て お り 5)0.3 w/v%前後含有す る グ リ セ ロ ー ル お よ び そ の 配 糖 体 で あ る α-D-グリコシドグリ セロール( α-GG)と 共 に 清 酒 の こ く 味 に 関 係 し て い る 6)。 清 酒 中 の α-EG は,もろみ中に デンプンの 加 水 分 解 に よ っ て 生 成 し た マ ル ト オ リ ゴ 糖 や デ キ ス ト リ ン 成 分 を 基 質 と し て , 麹 菌 が 生 産 す る α-グ ル コ シ ダ ー ゼ お よ び 酵 素 剤 と し て 添 加 さ れ る α-グ ル コ シ ダ ー ゼ の 糖 転 移 反 応 に よ っ て エ タ ノ ー ル を ア ク セ プ タ ー と し て 生 産 さ れ る 7)。 従 っ て α-EG をもろ み中 に高 生産す るた めに は , 主 な糖基 質で ある マルト オリ ゴ糖 およ び ア ク セ プ タ ー と な る エ タ ノ ー ル の 濃 度 を 同 時 に 高 く 保 つ 必 要 が あ る と 同 時 に , 糖 転 移 反 応 を 触 媒 す る α-グ ル コ シ ダ ー ゼ 活 性 も 高 く 保 つ 必 要 が あ る 。デ ン プ ン の 糖 化 が 速 く 進 み グ ル コ ー ス ま で 分 解 さ れ マ ル ト オ リ ゴ 糖 が 無 く な る と , グ ル コ ー ス を 酵 母 が 消 費 し て エ タ ノ ー ル を 生 産 し て も 糖 基 質 が 無 い た め α-EG が生産され

(20)

第2章 α-EG 高含有酒の発酵生産法の開発 第1節 緒言 14 な い 。 そ こ で , デ ン プ ン の 糖 化 に 必 要 な 酵 素 を 生 産 す る 麹 の 種 類 を 検 討 し た 。 ま た , エ タ ノ ー ル を 生 産 す る 酵 母 に つ い て 検 討 し た 。 温 度 な ど の 仕 込 み 条 件 ,α-ア ミ ラ ー ゼ 剤 お よ びα-グ ル コ シ ダ ー ゼ 剤 の 添 加 量 を 変 え て 添 加 効 果 に つ い て も 試 験 し た 。

(21)

第2章 α-EG 高含有酒の発酵生産法の開発 第2節 材料および方法 15 第 2 節 材 料 お よ び 方 法 第 1 項 材 料 菌 株 ・ 清 酒 用 麹 菌 (Aspergillus oryzae: 白 峯 , ハ イ G(㈱樋口松之 助商店 ,大阪 府 大 阪 市 )) ・焼 酎 用 麹 菌 (Aspergillus awamori:KBN2012,黒麹菌(㈱ 樋口松之助 商店 , 大 阪 府 大 阪 市 ) お よ び Aspergillus. kawachii:KBN2001,本格焼酎菌( ㈱ 樋口 松 之 助 商 店 , 大 阪 府 大 阪 市 )) ・ 清 酒 酵 母 (Saccharomyces cerevisiae NBRC 2347) ・ 焼 酎 酵 母 (Saccharomyces cerevisiae NBRC 2373 およ び NBRC 0282 ) 仕 込 み に 用 い た 米 お よ び 水 ・ 米 :α 化米 (国産米, 精米歩合 70%,徳島製麹㈱,徳島県 阿波市 ) ・汲 み 水:Reverse Osmosis 処理水( 精製水)を乳酸で pH2.6 から pH2.7 に調 整 。 酵 素 剤

・α-アミラーゼ(AA)剤(以下 AA 剤):スミ チーム L (Aspergillus oryze 由 来 ),12,000 U/粉末 g (新日本化学 工業 ㈱, 愛 知県安城市 )

・α-グル コ シダ ーゼ (AG) 剤(以下 AG 剤): α-グルコ シ ダー ゼ「 ア マノ 」 SD

(Aspergillus niger 由来),60,000 U/粉末 g (天野エンザイム ㈱,愛 知県名古屋

(22)

第2章 α-EG 高含有酒の発酵生産法の開発 第2節 材料および方法 16 第 2 項 方 法 製 麹 ① α 化 米 に 重 量 の 30%の 製 麹 水 (表 2 -1)と 5.0×106 spores/ml の懸濁液を添 加 し た 。 ② 30℃ の イ ン キ ュ ベ ー タ で 1 日 培 養 し た 。 ③ イ ン キ ュ ベ ー タ か ら 取 り 出 し , ス パ テ ル で ま ん べ ん な く 混 ぜ た 。 ④ 30℃ の イ ン キ ュ ベ ー タ で 半 日 程 度 培 養 し た 。 表 2-1 製麹水組成 0.5 w/v% KH2PO4 50 ml 1 w/v% NaNO3 50 ml 麹 抽 出 液 の 作 製 ① 製 麹 し た 麹 5 g を 50 ml フ ァ ル コ ン チ ュ ー ブ に い れ た 。 ② 25 ml(5 倍 量 )の 麹 抽 出 buffer(表 2-2)を 入 れ た 。 ③ 1 時 間 に 1 回 攪 拌 し , 3 時 間 , 常 温 放 置 し た 。 ④ ろ 紙( No. 5A,東 洋 濾 紙 株 式 会 社 ,東 京 都 文 京 区 )で ろ 過 し 、麹 抽 出 液 と し た 。 表 2-2 麹抽 出 buffer 組成 10 mM 酢酸 buffer (pH 5.0) 40 ml 0.5 w/v% NaCl 1 g 滅 菌 水 160 ml

(23)

第2章 α-EG 高含有酒の発酵生産法の開発 第2節 材料および方法

17

α-EG, エ タ ノ ー ル お よ び グ ル コ ー ス の 定 量

α-EG , エ タ ノ ー ル お よ び グ ル コ ー ス の 定 量 は 高 速 液 体 ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー (HPLC)を用いて 8)以 下 の 条 件 で 行 っ た 。

・ 測 定 器:

Alliance HPLC システム 2695 (Waters

, MA, US

)

検 出 器: RI 検出器 2414 (Waters , MA, US)

・ カ ラ ム: Shodex SPO 810 , 8 × 30 mm, Pb 2+ cation exchange column (昭 和 電 工 ㈱ , 東 京 都 港 区 ) ・ 移 動 相: H2O ・ 流 速: 400 µL/min ・ 温 度: 65℃ ・ 分析時間: 35 min ・ 標 準 物 質: 標準物 質: α-EG (和光純 薬工 業 ㈱ ,大阪 府大 阪市),エ タノ ール ( 和 光 純 薬 工 業 ㈱ ,大 阪 府 大 阪 市 ),グ ル コ ー ス( 和 光 純 薬 工 業 ㈱ ,大 阪 府 大 阪 市 ) ・ サンプルは 0.45 μm のフィルター でろ過し た後 ,インジェ クションし た。 酵 素 活 性 の 測 定 グ ル コ ア ミ ラ ー ゼ 活 性 の 測 定 GA 活 性 は ,糖 化 力 分 別 定 量 キ ッ ト( キ ッ コ ー マ ン バ イ オ ケ ミ フ ァ ㈱ ,東 京 都 港 区 )を 用 い て 定 量 し た 。G2-β-pNP を基質とし て米麹抽出液を 作用させる と ,AG お よ び GA が作用し て G1-β-pNP が生じ ,さ らに β-グルコシダーゼ を作用させ る と 発 色 基(pNP)が遊離する。吸 光度( 400 nm)の上昇を測定する ことにより 糖 化 力 活 性 を 測 定 し ,糖 化 力 活 性 と α-グ ル コ シ ー ダ ゼ 活 性 か ら 計 算 に よ り GA 活 性 を 算 出 し た 9) pNP:4-ニトロフェノール ,G2-β-pNP:4-ニトロフェニ ル β-マルトシド

(24)

第2章 α-EG 高含有酒の発酵生産法の開発 第2節 材料および方法 18 〈 測 定 方 法 〉 1. G2-β-pNP 溶液 0.5 ml と β-グルコシダ ーぜ溶 液 0.5 ml を試験管に加え, 37℃で約 5 分間予 備加温した 。 2. 希釈した測定試 料 100 μl を加え,よく混 合し て反応を開始し た。 3. 37℃で 10 分間反応 させた後 ,反応停止液( 炭 酸ナトリウム溶 液)を 2 ml 加 え 混 合 し , 反 応 を 停 止 さ せ た 。 4. 反応液の吸光度 を波長 400 nm で測定した。 〈 ブランク値の測定 〉 1. G2-β-pNP 溶液 0.5 ml と β-グルコシ ダー ぜ溶液 0.5 ml を試験管に加え , 37℃で 15 分間加温 した。 2. 反応停止液を 2 ml 加えて よく混合し ,次 に 測定試料を 100 μl 加えて再び混 合 し た 。 3. 反応液の吸光度を波 長 400 nm で測定した 。 〈 計 算 方 法 〉

グ ル コ ア ミ ラ ー ゼ 活 性 (U/ml) = (5.85 × (Es – Eb) – 14.1 × (E2s – E2b) / 34.22 Es: 測定試料の吸光度 ,Eb: ブランク の吸光 度 E2s: α-グル コシ ダー ゼ 活性 にお け る測 定試 料 の吸 光度 ,E2b: α-グル コシ ダー ゼ 活 性 に お け る ブ ラ ン ク の 吸 光 度 1 U は上記の測定条件に おいて , 1 分間 に 1 μmol の pNP を遊離する力価 。 α-グ ル コ シ ダ ー ゼ 活 性 の 測 定 AG 活 性 は ,糖 化 力 分 別 定 量 キ ッ ト( キ ッ コ ー マ ン バ イ オ ケ ミ フ ァ ㈱ ,東 京 都 港 区 )を 用 い て 定 量 し た 。pNPG を基質として米 麹抽出液を作用 させると ,AG が作 用 し て 発 色 基(pNP)が遊離す る。吸光度(400 nm)の上昇を測 定するこ とによ

(25)

第2章 α-EG 高含有酒の発酵生産法の開発 第2節 材料および方法 19 り AG 活 性 を 測 定 し た 9) pNP:4-ニトロフェノール ,pNPG:4-ニトロ フェニル α-グルコシド 〈 測 定 方 法 〉 1. pNPG 溶液 1 ml を試験管に 加え ,37℃で 約 5 分間予備加温した。 2. 希釈した測定試 料 50 μl を加え,よく混 合して 反応を開始した 。 3. 37℃で 10 分間反応 させた後 ,反応停 止液( 炭 酸ナトリウム溶 液)を 500 μl 加 え 混 合 し , 反 応 を 停 止 さ せ た 。 4. 反応液の吸光度 を波長 400 nm で測定した。 〈 ブランク値の測定 〉 1. 基質溶液 1 ml を小試験 管に加え ,37℃で 15 分間加温した。 2. 反応停止液を 500 μl 加えてよく混 合し ,次に 測定試料を 50 μl 加えて再び 混 合 し た 。 3. 反応液の吸光度 を波長 400 nm で測定した。 〈 計 算 方 法 〉

α-グ ル コ シ ダ ー ゼ 活 性 (U/ml) = (E2s – E2b) × 0.171 × Df

E2s: 測定試料の吸光度 ,E2b: ブランクの吸 光度 ,Df: 測定試料の希 釈倍率 1 U は上記の測定条件に おいて , 1 分間 に 1 μmol の pNP を遊離する力価 。 α-ア ミ ラ ー ゼ 活 性 の 測 定 AA 活 性 は ,α-ア ミ ラ ー ゼ 測 定 キ ッ ト( キ ッ コ ー マ ン バ イ オ ケ ミ フ ァ ㈱ ,東 京 都 港 区 ) を 用 い て 定 量 し た 。N3-G5-β-CNP を基質 とし て米 麹 抽 出液 を作 用さ せる と ,AA が 作 用 し て G3-β-CNP と G2-β-CNP を 生 じ る 。 こ れ ら に 共 役 酵 素 と し て 添 加 し た GA と β-グルコシダーゼが作 用して ,発色基(CNP)が遊離する。吸光 度 (400 nm)の上昇を測定する ことによ り AA 活性を測 定した 9)

(26)

第2章 α-EG 高含有酒の発酵生産法の開発 第2節 材料および方法 20 〈 測 定 方 法 〉 1.基質溶液 500 μl,酵素溶液 500 μl を調整 し ,37℃で 5 分間予備 加温した 2.測定試料を 500 μl 加え,10 分間反応さ せた 後,反応停止液 を 2 ml 入れよく 混 合 し て 反 応 を さ せ た 3.この反応終了液 を 400 nm で吸光度を 測定し た 〈 ブランク値の測定 〉 1. 基質溶液 500 μl,酵素溶液 500 μl を試験管に加え,37℃で 15 分間 加温した。 2. 反応停止液 500 μl を加えて混合し ,次に測 定試料を 500 μl 加え混合した 。 3. 反応液の吸光度を波 長 400 nm で測定した 。 〈 計 算 方 法 〉

α-アミラーゼ 活性 (U/ml) = ( E3s – E3b ) × 0.179 × Df

E3s : 検体の吸光度 , E3b : ブランクの吸 光 度 , Df : 検体の希釈倍率 小 仕 込 み 本 研 究 の 小 仕 込 み は す べ て 2 段仕込み で行っ た。小仕込み配 合を表 2-3 に示 し た 。添・仲 で ,麹 米 ,掛 米 ,汲 水 を 入 れ ,酵 母 を 5.3×106 cells/ml 添加し,15℃, 20℃,25℃,30℃ でそ れぞれ発酵 させた。添 ・仲から 2 日間 発酵させ , 留で掛 米 ,汲 水 を 入 れ ,設 定 し た 温 度 で 発 酵 さ せ た 。留 を 発 酵 1 日目と し ,15℃ の場合 20 日間,20℃ および 25℃の場 合 10 日間 ,30℃の場合 5 日間,発 酵させた。 表 2-3 小仕込み配 合 * *: もろみに加え る原料 の添 加量を定め たもの 。総米は掛米 と麹米の合 計を示す 。 添 ・仲 留 合 計 総 米 ( g ) 12.0 13.0 25.0 掛 米 ( g ) 7.50 13.0 20.5 麹 米 ( g ) 4.50 0 4.5 汲 水 ( ml ) 19.5 18.5 38.0

(27)

第2章 α-EG 高含有酒の発酵生産法の開発 第3節 結果および考察 21 第 3 節 結 果 お よ び 考 察 第 1 項 麹 菌 の 選 定 仕 込 み 温 度 と 麹 菌 の 種 類 が α-EG 生産に与 え る影響 清 酒 醸 造 の 過 程 で 生 産 さ れ る α-EG は,デキ ストリン ,マル トオリゴ糖 ,マル ト ー ス と い っ た 2 糖以上の 糖ともろみ 中の酵 母が エタノール 発酵によっ て生産し た エ タ ノ ー ル を 基 質 と し て 麹 菌 が 生 産 し た AG の糖転位反応によって 生産され る 7)。従 っ て ,α-EG の生産性を 検討する 上で ,麹菌が生産する 酵素の働き は重要で あ る 。 ま た , 清 酒 醸 造 で は , 通 常 黄 麹 菌 が 清 酒 用 麹 菌 と し て 使 用 さ れ て い る が , α-EG 生産に適した麹菌 である とは 限らない 。そこで ,清 酒または焼 酎醸造で用 い ら れ る 実 用 麹 菌 か ら 6 株 (黄麹菌(A. oryzae), 白 麹 菌 (A. kawachii), 黒 麹 菌 (A. awamori)そ れ ぞ れ 2 株)について,製麹 ,発酵試験を行うこ とで,α-EG の 生 産 性 を 検 討 し α-EG 生産に適した麹 菌の選 別を行った。 上 述の 6 株を用いて製 麹 し , 小 仕 込 み 試 験 を 行 っ た 結 果 を 図 2-1 に 示した。 清 酒 醸 造 で 使 用 さ れ て い る 黄 麹 菌( ハ イ G,白 峯)に比べて ,白麹菌(KBN2001, 本 格 焼 酎 ), 黒 麹 菌 (KBN2012,黒麹 )とい った焼酎 醸造で 使用さ れてい る 麹を 用 い た 方 が α-EG 濃度は高かった 。また ,黒麹 菌である A. awamori KBN2012 株 が 6 株の中 で最も高 く,α-EG 濃度は 約 1.1 w/v%であった。

(28)

第2章 α-EG 高含有酒の発酵生産法の開発 第3節 結果および考察 22 図 2-1 酒中の α-EG 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 15 20 25 30

α-EG

(w/

v%

)

温度

(℃)

KBN2001

本格焼酎

KBN2012

黒麹

ハイG

白峯

6 種 類 の 麹 を 用 い て 15℃ から 30℃ ま での 異 な る 温 度 で 仕 込 み , 上 槽 後 のα-EG 濃 度 を 定 量 し た。 値 は 3 つ の 仕 込 み の 平 均 値 。

(29)

第2章 α-EG 高含有酒の発酵生産法の開発 第3節 結果および考察 23 仕 込 み 終 了 後 の α-グルコ シダ ーゼ残 存酵素 活 性 小 仕 込 み 試 験 の サ ン プ ル の 残 存 α-グルコシ ダ ーゼ活性を 図 2-2 に示し た。α-グ ル コ シ ダ ー ゼ の 残 存 活 性 に つ い て も , 黄 麹 菌 に 比 べ て 白 麹 菌 お よ び 黒 麹 菌 の 残 存 率 は 高 か っ た 。 こ れ は ,α-EG 生産に重要な 酵素である α-グルコシ ダーゼが失 活 し に く か っ た こ と を 示 し て い た 8)。α-EG 分析結果と α-グルコシダ ーゼ残存酵 素 活 性 よ り , 白 麹 菌 , 黒 麹 菌 と い っ た 焼 酎 醸 造 で 用 い ら れ て い る 焼 酎 麹 菌 の 方 が 清 酒 麹 菌 で あ る 黄 麹 菌 に 比 べ て α-EG 生産に適した麹菌であ ることが示 唆され た 。 図 2-2 残存α-グル コシ ダーゼ 活性 6 種 類 の 麹 を 用 い て 15℃ から 30℃ ま での 異 な る 温 度 で 仕 込 み , 発 酵 終 了 後 の も ろ み 中 に 残 存 す るAG 活 性 を 定 量し , 発 酵 開 始 時 の 活 性 を 100 と し て 相 対 値 で 示 し た 。 値 は 3 つ の 仕込 み の 平 均 値 。 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 15 20 25 30

残存活性率

(%)

温度

(℃)

KBN2001

本格焼酎

KBN2012

黒麹

ハイG

白峯

(30)

第2章 α-EG 高含有酒の発酵生産法の開発 第3節 結果および考察 24 第 2 項 酵 母 , 麹 お よ び 麹 歩 合 の 検 討 前 項 に お い て ,α-EG 生産に適 した麹菌が 焼酎 麹菌 であること が分かっ た 。本項 で は ,焼 酎 麹 (A. awamori)を用いて,麹 歩合 と温度を変える ことによ る α-EG 生 産 性 を 検 討 し ,麹 歩 合 と 発 酵 温 度 を 決 定 し た 。ま た ,α-EG は,マルトースや マル ト オ リ ゴ 糖 と エ タ ノ ー ル を 基 質 と し て 生 産 さ れ る の で 酵 母 の 観 点 か ら α-EG の生 産 性 を 検 討 し ,エ タ ノ ー ル 発 酵 能 が 高 く ,α-EG 高生産に適した 酵母の選 別を行 っ た 。 通 常 の 小 仕 込 み で は ,総 米 当 た り 約 20%の割 合で麹米を添加 する 11)。本 小 仕 込 み 試 験 で は , 麹 の 量 を 変 化 さ せ α-EG 生産性 の検討 した。ま た,エタノ ール 発酵 能 が 良 く ,α-EG 高 生 産 す る の に 適 し た 酵 母 を 選 別 す る 目 的 で , 清 酒 酵 母 1 株

(Saccharomyces cerevisiae NBRC 2347) , 焼 酎 酵 母 2 株 (Saccharomyces

cerevisiae,NBRC 2373,NBRC 0282)を用いて小仕込み試 験を行った 。 麹につ い て は 焼 酎 麹(A. awamori),清 酒 麹(A. oryzae)を 用 い て 作 製 し た 麹 を 使 用 し , 麹 歩 合 を 10%,15%,20%とした。醸造し た 酒 の α-EG 濃度を図 2-3 に酒のエ タ ノ ー ル 濃 度 を 図 2-4 に示 した。 NBRC 2347,NBRC 2373 は 13-17 v/v%程度のエタノール を生産して おり , NBRC 0282 と比較して 発酵能が良 い酵母で あった。エタノ ール は α-EG 生産す る た め の 基 質 と な る の で 2),エ タ ノ ー ル の 生 産 量 が 低 い NBRC 0282 は ,α-EG 生 産 に 適 し て い な い と 考 え ら れ た 。α-EG 生産に 関して ,焼酎麹 の麹量 10%および 15%が高い傾向 であった 。最も α-EG を生産し ていたのは ,焼酎酵母 である NBRC 2373 であり, 約 2 w/v%の α-EG を生産してい た。 以 上 か ら ,ア ル コ ー ル 発 酵 能 が 良 く ,α-EG の生産量が多くな った焼酎酵 母 ( S. cerevisiae NBRC 2373 )が今回試験 した 3 種 類の酵母の中で 最も α-EG 生産に適 し た 酵 母 で あ る と 考 え た 。

(31)

第2章 α-EG 高含有酒の発酵生産法の開発 第3節 結果および考察 25 図 2-3 酒中の α -EG

0

0.5

1

1.5

2

2.5

10

15

20

10

15

20

焼酎麹

清酒麹

α-EG

(w/

v%

)

麹歩合

2347

2373

0282

図 2-4 酒中の エタノ ール

0

5

10

15

20

10

15

20

10

15

20

焼酎麹

清酒麹

ール

(v

/v

%

)

麹歩合

2347

2373

0282

焼 酎 麹 ま た は 清 酒 麹 を 用 い て 麹 歩 合 を 10, 15, 20 と し て 3 種 類 の 酵 母 を 使 用 し て 仕 込 み , 上 槽 後 の α-EG 濃 度 を 定 量 し た 。 値 は 3 つ の 仕 込 み の 平 均 値 。2347: S.cerevisiae NBRC 2347, 2373: S.cerevisiae NBRC 2373, 0282: S.cerevisiae NBRC 0282. 焼 酎 麹 ま た は 清 酒 麹 を 用 い て 麹 歩 合 を 10, 15, 20 と し て 3 種 類 の 酵 母 を 使 用 し て 仕 込 み , 上 槽 後 の エ タ ノ ー ル 濃 度 を 定 量 し た 。 値 は 3 つ の 仕 込 み の 平 均 値 。2347: S.cerevisiae NBRC 2347, 2373: S.cerevisiae NBRC 2373, 0282: S.cerevisiae NBRC 0282.

(32)

第2章 α-EG 高含有酒の発酵生産法の開発 第3節 結果および考察 26 第 3 項 酵 素 剤 添 加 量 が α-EG の 生 産 性 に 与 え る 影 響 GA はデンプン, デキス トリン , マルト オリ ゴ糖といっ た糖の 非還元 末端から グ ル コ ー ス 単 位 で 加 水 分 解 す る 酵 素 で あ り ,GA によって AG の基質となるオ リ ゴ 糖 が グ ル コ ー ス に ま で 分 解 さ れ る と α-EG の生産性が低下 する 9)。 従 っ て ,α-EG 高生産には ,AG が多く,GA が少ない条 件が好ましい。しかし ,麹 菌が生産 す る AG は GA に比べ少ない( 表 2-4)。そ こ で,α-EG を高生産す るために ,麹 歩 合 を 減 ら し ,α-EG 生産に重要な酵素 であ る AG および AA の各酵素剤を添 加 す る こ と に よ っ て 補 い ,α-EG 高生産 する ア ミラー ゼ系 の小 仕込み 時の 酵素 バラ ン ス を 検 討 し ,α-EG を高生 産す る小 仕込 み 条件と 小仕 込み の アミ ラー ゼ系 の酵 素 バ ラ ン ス を 決 定 し た 。 表 2-4 麹のアミラ ーゼ 系酵 素 13)

AA (unit / g 乾燥麹) GA (unit / g 乾燥麹) AG (unit / g 乾燥麹)

平 均 値※ 1270 223 182

昭 和53 酒 造 年 度 ( 昭 和 53 年 7 月 ~ 昭 和 54 年 6 月 ) 114 試 料 の 平 均 値

醸 造 し た 酒 中 の α-EG 濃度を図 2-5 に,エタ ノール濃度 を図 2-6 に示した 。 エ タ ノ ー ル は ,13 - 16 v/v% 生産しており, エタノール発酵 は 十分行わ れてい た 。α-EG は 2.2 w/v%以上生産して おり ,AA 剤 1,000 U,AG 剤 900,1,500 U で 3.0 w/v%以上の EG を生産していた 。こ れは ,市販清酒 中の約 5-6 倍の α-EG 濃度であ る 12)。な お 、表 2-4 の酵素活 性 から 概算する と AA 剤 1,000 U はも ろ み 中 の AA 活性の 17.5%,AG 剤 900,1,500 U はもろみ中 の AG 活性のそれ ぞ れ 110%,183%に相当する 。AA 剤は添加量を増やすに従 って α-EG 生産量が 多 く な る 傾 向 で あ っ た が ,GA 活性 の高い AG 剤の添加量を 増やす と α-EG 生産 量 が 減 少 し た 。 こ れ ら の 結 果 か ら ,α-EG が 高含有 とな る小 仕込み を行 うた めに は ,AG,AA,GA といったアミラーゼ 系の酵 素の小仕込み時 の酵素バラ ンスが ,

(33)

第2章 α-EG 高含有酒の発酵生産法の開発 第3節 結果および考察

27

重 要 で あ る と 考 え た 。以 上 に よ り ,目 標 で あ っ た α-EG 生産量が 3 w/v%を超えた 小 仕 込 み 試 験 を 行 う こ と に 成 功 し た 。

(34)

第2章 α-EG 高含有酒の発酵生産法の開発 第3節 結果および考察 28 図 2-5 酒中 の α-EG

0

0.5

1

1.5

2

2.5

3

3.5

0

100

250

500

750 1000

α-EG

(w/

v%

)

AA 添加量 (U)

AG 900U AG 1500U AG 2100U AG 0U (A) (B) 図 2-6 酒中の エタノ ール

0

5

10

15

20

0

100

250

500

750 1000

エタノール

(w

/v

%

)

AA 添加量 (U)

AG 900U AG 1500U AG 2100U AG 0U (A) (B) AA を 100, 250, 500, 750 も し くは 1,000 U も ろみ に 添 加 し , その 5 つ の 区 分 に つ い て AG を 900, 1,500, も し くは 2,100 U 添 加 し て 仕 込 み , 上 槽 後の α-EG 濃 度 を 定 量 し た 。 値 は 3 つ の仕 込 み の 平 均 値 。 A と B は酵 素 剤 の 添 加 量 以 外 の 仕 込 み 条 件 は 同 じ で あ る が 。 実 験 区 分 が 異 な る 。 AA を 100, 250, 500, 750 も し くは 1,000 U も ろみ に 添 加 し , その 5 つ の 区 分 に つ い てAG を 900, 1,500, も し くは 2,100 U 添 加 し て 仕 込 み , 上 槽 後 の エ タ ノ ー ル 濃 度 を 定 量 し た 。 値 は3 つ の 仕 込 み の 平 均 値 。 A と B は 酵 素 剤 の 添加 量 以 外 の 仕 込 み 条 件 は 同 じ で あ る が 。 実 験 区 分 が 異 な る 。

(35)

第2章 α-EG 高含有酒の発酵生産法の開発 第4節 小括 29 第 4 節 小 括 実 用 麹 菌 6 株を用いた小 仕込みを行 った 。仕 込み温度が α-EG の生産性に及ぼ す 影 響 を 調 べ る 目 的 で 仕 込 み 温 度 を 15 ℃-30 ℃まで 5 ℃刻みで変化さ せると , 25 ℃および 30 ℃では焼酎麹 と清酒麹の α-EG の生産性に大きな差 は無かった が ,15 ℃および 20 ℃では焼酎麹 が清酒麹よ りも α-EG を高生産し ,黒麹菌 ,白 麹 菌 と い っ た 焼 酎 醸 造 に 用 い ら れ る 焼 酎 麹 菌 が , 清 酒 麹 と 比 較 し て α-EG 生 産 性 が 高 い 傾 向 を 示 し た 。 さ ら に ,α-EG 生産に重 要な酵素である α-グルコシダ ーゼ 1)は 発 酵 終 了 時 に お い て も 高 い 酵 素 活 性 が 保 持 さ れ て お り , 失 活 し に く か っ た こ と か ら , 焼 酎 麹 菌 が α-EG 高生産に適 した麹 菌であると考え られ,最 も α-EG が 高 生 産 で あ っ た A. awamori KBN2012 を選 択 した。エタ ノール は α-EG を生成す る た め の 基 質 と な る 3)。 そ こ で , も ろ み 中 で エ タ ノ ー ル を 生 産 す る 酵 母 の 観 点 か ら α-EG 生 産 に 適 し た 酵 母 の 検 討 を 行 い , エ タ ノ ー ル の 発 酵 能 が 良 く α-EG 高 生 産 に 適 し た 酵 母 と し て 焼 酎 酵 母 S. cerevisiae NBRC2373 を選択 した。麹 歩合を 下 げ た 小 仕 込 み で は ,α-EG の生 産を 阻害 す るグル コア ミラ ーゼが 減少 する と同 時 に 醸 造 に 必 要 な 酵 素 も 減 少 し て し ま う 。 そ れ を 補 填 す る た め に α-EG 生産に最 も 重 要 な 酵 素 で あ る AG 剤と AA 剤を添加し たことで ,α-EG 生産量が著 しく上 昇 し ,α-EG を 3 w/v%含有する α-EG 高含有 酒を製造するこ とが 可能と なった 。 こ の こ と か ら ,α-EG 高含有 酒を 醸造 する た めには 小仕 込み 時のア ミラ ーゼ 系酵 素 の バ ラ ン ス が 重 要 で あ る こ と が 示 唆 さ れ た 。以 上 よ り ,α-EG 高含有酒を小 仕込 み 条 件 , 小 仕 込 み 時 の 酵 素 バ ラ ン ス を 決 定 し ,α-EG 高含 有 酒 の醸 造法を 開発 し た 。

(36)

第2章 α-EG 高含有酒の発酵生産法の開発

30 参 考 文 献

1. M. Hirotsune, A. Haratakke, A. Komiya, J. Sugita, T. Tachihara, T. Konami, K. Hizume, K. Ozeki, T. Ikemoto : J. Agric. Food Chem., 53, 948-952, 2005

2. 広常正人:日本 醸造協会誌 ,第 99 巻,836-841,2004

3. H. Izu, K. Hizume, K. Goto, M. Hirotsune : Biosci. Biotechnol. Biochem., 71, 951-957, 2007

4. 今 安 聰, 川戸章嗣: 日本醸造 協会誌, 94, 274-280, (1999)

5. 佐藤信,大場俊 輝,小林健 : 日本醸造 協会誌 :第 77 巻 ,393-397,1982 6. 岡智,岩野君夫 ,布川弥太 郎:日本農芸 化学会 誌,第 50 巻 ,463-468,1976 7. F. Takenaka and H. Uchiyama : Biosci. Biotechnol. Biochem , 64,

1821-1826 , 2000

8. C. Hairong, W. Ben, L. Jiyang, J. Mingguo, L. Shuangjun, D. Zixin,

Microbial Cell Factories, 10, 1-12, 2011

9. 今井泰彦,徳武 昌一,山下 伸幸,鈴木 勝:醸 造協会誌,第 91 巻,51-57, 1996 10. 千葉誠哉 : 日本農芸化学会 誌 ,第 69 巻,1050-1054,1995 11. 「清酒醸造技術 」,日 本醸造協会 ,1979 12. 森本良久,北本勝ひこ ,藤田 義人,五味勝也 ,熊谷知栄子:生物工学 会誌, 第 73 巻,97-104 , 1996 13. 布川弥太郎,椎木 敏,岩野君夫,斉 藤和夫:日 本醸造協会誌:第 76 巻,350-353,1981

(37)

31

(38)

第3章 発酵生産法によるα-EG を高含有する焼酎もろみの開発 第1節 緒言 32 第 1 節 緒 言 α-EG の生成には,発酵 の 過程で, 基質となる エタノールおよ び マルトー スや マ ル ト オ リ ゴ 糖 に 加 え て 反 応 を 触 媒 す る α-グ ル コ シ ダ ー ゼ が 共 存 す る 必 要 が あ る 1, 2)。 糖 化 と 発 酵 が 同 時 に 進 行 す る 並 行 複 発 酵 で あ る 清 酒 は こ の 条 件 が 揃 っ て い る が , ワ イ ン で は 糖 化 の 過 程 が 無 く , ビ ー ル で は 糖 化 の 後 煮 沸 す る た め ,α-グ ル コ シ ダ ー ゼ が 失 活 し て お り 発 酵 過 程 で α-EG は生成しな い 3)。 ワ イ ン に 含 ま れ る α-EG はグルコース とエタノー ルの 脱水縮 合によって生成 すると考え られてい る 4)。 蒸 留 酒 で あ る 焼 酎 に は ,α-EG は検出さ れないが ,その もろみは並 行 複発 酵 で あ る こ と か ら ,α-EG が生成さ れていると 考えられる。 焼 酎 蒸 留 残 渣 は 焼 酎 を 製 造 す る 工 程 で 発 生 す る 有 機 物 を 高 濃 度 に 含 ん だ 廃 液 で あ る 。 近 年 の 環 境 問 題 へ の 高 ま り の 中 , 海 上 投 棄 か ら 産 業 廃 棄 物 と し て 一 部 焼 却 処 分 さ れ て お り 処 理 コ ス ト が 増 加 し た 。 こ の 焼 酎 蒸 留 残 渣 は 多 量 の 水 分 と , 蛋 白 質 , 脂 肪 , 糖 等 の 栄 養 成 分 が 多 く 含 有 し て お り 5), 未 利 用 資 源 と し て の 有 用 性 を 探 る 研 究 が 行 な わ れ て い る 6, 7, 8) 本 章 で は 焼 酎 蒸 留 残 渣 の 有 効 利 用 を 目 的 と し て , 焼 酎 も ろ み 中 に α-EG を高 生 産 し , 蒸 留 残 渣 に α-EG の保湿効果の付加 価値を付与する ことで ,焼 酎蒸留残 渣 か ら 化 粧 料 , サ プ リ メ ン ト , ド リ ン ク 剤 等 に 使 用 で き る 保 湿 効 果 の あ る 素 材 を 生 産 す る 焼 酎 の 製 造 方 法 を 検 討 し た 。 最 初 に 一 般 的 な 焼 酎 製 造 法 で α-EG が生産 可 能 で あ る か 確 認 し , 次 に 蒸 留 し た 焼 酎 の 品 質 を 維 持 し な が ら , 蒸 留 残 渣 の α-EG が高含有と なる醸造法 を検討した 。 焼酎粕 には 癌細胞増殖 抑制効果や 肝障害 抑 制 効 果 が あ る こ と が 報 告 さ れ て い る が 6, 7),α-EG 高含有焼酎の製造 方法を検 討 す る こ と で , さ ら に 荒 れ 肌 改 善 効 果 も 期 待 で き る 機 能 性 食 品 素 材 を 焼 酎 蒸 留 残 渣 か ら 製 造 す る 事 が 可 能 と な る 。

(39)

第3章 発酵生産法によるα-EG を高含有する焼酎もろみの開発 第2節 材料および方法 33 第 2 節 材 料 お よ び 方 法 第 1 項 材 料 菌 株 ・ 麹 菌 : 焼酎用麹菌 (Aspergillus awamori:KBN2012) ・ 酵 母 : 焼酎酵母(Saccharomyces cerevisiae:NBRC 2373) 仕 込 み に 用 い た 米 , 麦 お よ び 水 ・ 米 : α 化米(国産米 ,精米歩 合 70%,徳島 製麹㈱,徳島県 阿波市 ) ・ 麦 : 丸麦(オース トラリア産 ボーデン 種 , 吹上焼酎(㈱ ),鹿児 島県南さつ ま 市 ) ・ 汲 み 水 : Reverse Osmosis 処理水 (精製水 ) 酵 素 剤

・α-ア ミ ラ ー ゼ( AA)剤(以 下 AA 剤 ): ス ミ チ ー ム L (Aspergillus oryze 由 来 ) ,12,000 U/粉末 g (新日本化学工業 ㈱ , 愛知県安城市)

・α-グ ル コ シ ダ ー ゼ ( AG) 剤 (以 下 AG 剤 ): α-グ ル コ シ ダ ー ゼ 「 ア マ ノ 」 SD

(Aspergillus niger 由来),60,000 U/粉末 g (天野エンザイム株式会 社 ,愛知県

名 古 屋 市) 第 2 項 方 法 麹 抽 出 液 の 作 製 ① 製 麹 し た 麹 5 g を 50 ml 蓋 付 チ ュ ー ブ に い れ た 。 ② 25 ml(5 倍 量 )の 抽 出 buffer (表 3 -1)を 入 れ た 。 ③ 1 時 間 に 1 回 攪 拌 し , 3 時 間 常 温 放 置 し た 。

(40)

第3章 発酵生産法によるα-EG を高含有する焼酎もろみの開発 第2節 材料および方法 34 ④ ろ 紙( No. 5A,東 洋 濾 紙 株 式 会 社 ,東 京 都 文 京 区 )で ろ 過 し ,麹 抽 出 液 と し た 。 表 3-1 麹抽出液の 組成 10 mM 酢酸 buffer (pH 5.0) 40 ml 0.5% NaCl 1 g 滅 菌 水 160 ml α-EG, エ タ ノ ー ル お よ び グ ル コ ー ス の 定 量 α-EG , エ タ ノ ー ル お よ び グ ル コ ー ス の 定 量 は 高 速 液 体 ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー (HPLC) を 用 い て 9)下 記 の 条 件 で 行 っ た 。

・ 測 定 器: Alliance HPLC システ ム 2695 (Waters, MA, US)

検 出 器: RI 検出器 2414 (Waters, MA, US)

・ カ ラ ム: Shodex SPO 810 , 8 × 30 mm, Pb 2+ cation exchange column (昭 和 電 工 ㈱ , 東 京 都 港 区 ) ・ 移 動 相: H2O ・ 流 速: 400 µl / min ・ 温 度: 65℃ ・ 分析時間: 35 min ・ 標準物質: α-EG (和光純 薬工業㈱ ,大阪府 大阪市),エタノー ル(和 光純薬 工 業 ㈱ , 大 阪 府 大 阪 市 ), グ ル コ ー ス ( 和 光 純 薬 工 業 ㈱ , 大 阪 府 大 阪 市 ) ・ サンプルは 0.45 μm のフィルター でろ過し た後,インジェ クションし た。

(41)

第3章 発酵生産法によるα-EG を高含有する焼酎もろみの開発 第2節 材料および方法 35 小 仕 込 み 一 次 も ろ み の 発 酵 は 15℃で 5 日間 ,二次 もろみ の発酵は 15℃で 8 日間 行った。 も ろ み の α-EG 含 量 と 蒸 留 液 (焼 酎 )に α-EG や グ ル コ ー ス が 残 っ て い な い か を 調 べ た 。 通 常 の 仕 込 み 配 合 を 表 3-2 および表 3-3 に示した。 表 3-2 米焼酎の仕 込み 配合 * 一 次 も ろ み 二 次 も ろ み 合 計 総 米(g) 12 40 52 40 12 掛 米 (α 化米 )(g) 0 40 麹 米(g) 12 0 汲 水(ml) 21 96 117 *: もろみに加え る原料の添 加量を定め たもの 。総米は掛米 と麹米の合 計を示す 。 表 3-3 麦焼酎の仕 込み 配合 * 一 次 も ろ み 二 次 も ろ み 合 計 総 米(g) 16 40 56 40 12 掛 米 (α 化米 )(g) 0 40 麹 米(g) 16 0 汲 水(ml) 28 66 94 *: もろみに加え る原料の添 加量を定め たもの 。総米は掛米 と麹米の合 計を示す 。

(42)

第3章 発酵生産法によるα-EG を高含有する焼酎もろみの開発 第2節 材料および方法 36 麹 と 酵 素 剤 の 添 加 量 の 検 討 表 3-4 もろみに添 加し た麹量 麹 量(g) 米 1/3 4.0 米 1/6 2.0 麦 1/5 3.2 麦 1/10 1.6

(43)

第3章 発酵生産法によるα-EG を高含有する焼酎もろみの開発 第2節 材料および方法 37 表 3-5 もろみに添 加し た酵素 量 酵 素 剤 添 加 量 (U) 酵 素 1 AA 5,040 AG 8,280 酵 素 1/2 AA 2,520 AG 4,140 も ろ み に 添 加 す る 麹 量 と 二 次 発 酵 温 度 の 検 討 表 3-6 もろみに添 加し た麹量 麹 量(g) 麹 量(g) 米 1 12 麦 1 16 米 1/2 6.0 麦 1/8 2.0 米 1/3 4.0 麦 1/10 1.6 米 1/4 3.0 麦 1/12 1.3 酵 素 剤 は 二 次 も ろ み に 添 加 し た 。添 加 量 は AA 剤が 2,520 U,AG 剤は 4,140 U に 固 定 し た 。 焼 酎 の 官 能 評 価 官 能 評 価 を 実 施 す る に あ た り ,普 段 の 仕 込 み の 8 倍スケ ールで仕 込 み,官能評 価 用 の サ ン プ ル を 調 製 し た 。ア ル コ ー ル 度 数 は 25 度に 調整し ,利き酒を行 った。 利 き 酒 に 用 い た サ ン プ ル の 仕 込 み 条 件 を 表 3 -7 に,仕込み配合を 表 3-8 から表 3-11 に示した 。

(44)

第3章 発酵生産法によるα-EG を高含有する焼酎もろみの開発 第2節 材料および方法 38 表 3-7 官能評価に 用い たサン プルの 仕込 み 条件 AA 添加 量(U) AG 添加 量(U) 麹 米 (g) 二 次 も ろ み 発 酵 温 度(℃) 米 ① 通 常 の 仕 込 ‐ ‐ 96 30 米 ② α-EG 高含有仕込 2,520 4,140 24 20 麦 ① 通 常 の 仕 込 ‐ ‐ 128 30 麦 ② α-EG 高含有仕込 2,520 4,140 10.4 20 表 3-8 米①の仕込 み配 合 一 次 も ろ み 二 次 も ろ み 合 計 米 原 料(g) 0 320 416 α 化米(g) 0 0 麹 米(g) 96 0 汲 水(ml) 168 768 936 表 3-9 米②の仕込 み配 合 一 次 も ろ み 二 次 も ろ み 合 計 米 原 料(g) 0 320 416 α 化米(g) 72 0 麹 米(g) 24 0 汲 水(ml) 168 768 936

(45)

第3章 発酵生産法によるα-EG を高含有する焼酎もろみの開発 第2節 材料および方法 39 表 3-10 麦①の仕込 み配 合 一 次 も ろ み 二 次 も ろ み 合 計 麦 原 料(g) 0 320 448 α 化米(g) 0 0 麹 米(g) 128 0 汲 水(ml) 224 528 752 表 3-11 麦②の仕込み 配合 一 次 も ろ み 二 次 も ろ み 合 計 麦 原 料(g) 0 320 448 α 化米(g) 117.6 0 麹 米(g) 10.4 0 汲 水(ml) 224 528 752

(46)

第3章 発酵生産法によるα-EG を高含有する焼酎もろみの開発 第3節 結果および考察 40 第 3 節 結 果 お よ び 考 察 第 1 項 麹 と 酵 素 剤 の 添 加 量 の 検 討 麹 米 の 使 用 量 を 減 量 し , 酵 素 剤 を 添 加 し た 仕 込 み を 行 っ た 。 酵 素 剤 は 一 次 も ろ み で 添 加 す る 場 合 と 二 次 も ろ み で 添 加 す る 場 合 に 分 け , 酵 素 剤 添 加 の タ イ ミ ン グ が α-EG の 生 産 に 与 え え る 影 響 を 調 べ た 。 な お 麹 米 の 減 量 分 は α 化 米 で 補 い 総 米 量 を 一 定 に し た 。汲 水 は あ ら か じ め 乳 酸 を 加 え て pH 3.4-3.5 付近に調整 したもの を 用 い た 。発 酵 温 度 は 一 次 も ろ み ,二 次 も ろ み 共 に 30℃で行 い ,二 次もろみの 期 間 は 8 日間 とした 。グラフ に「 後 」の表 記が あるものは ,二次もろ みで酵素剤 を 添 加 し た も の で あ る 。 基 本 と な る 米 焼 酎 の 仕 込 み 配 合 を 表 3-2,麦 焼酎の仕込み配 合を 表 3-3 に示 し た 。本 項 に お け る 仕 込 み の 麹 量 を 表 3-4 に,酵素剤添加 量を 表 3-5 に示した 。 ま た 、 図 3-1 にもろみ中のα-EG および図 3-2 にもろみ中のα-EG とエタノ ー ル の 測 定 値 を 示 し た 。 α-EG の濃度は最も高い のは米 1/3, 酵素 1/2 後で約 0.45 w/v%であった。 米で は 麹 1/3 条件 が,麦で は 1/10 条 件が α-EG 生産性が高かった 。米焼酎 において酵 素 剤 を 一 次 も ろ み で 添 加 す る と 二 次 も ろ み に 添 加 し た 場 合 と 比 較 し て α-EG は約 1/2 から約 1/9 であった。酵素 剤 (特に AG 剤)は酵母が十分な 発酵を行い ,α-EG の 基 質 と な る エ タ ノ ー ル が 十 分 に あ る 二 次 も ろ み で の 添 加 が 有 効 で あ る と 考 え ら れ た 。

(47)

第3章 発酵生産法によるα-EG を高含有する焼酎もろみの開発 第3節 結果および考察 41 エ タ ノ ー ル (v/v%) 米 お よ び 麦 焼 酎 に つ い て , 麹 歩 合 を 通 常 よ り も 下 げ , 酵 素 剤 をAA 5,040 U, AG 8,280 U ま た はそ の 半 量 も ろ み に 添 加 し た 。 酵 素 剤は 1 次 も ろ み ま た は 2 次 も ろ み に添 加 し 仕 込 ん だ 。 発 酵 終 了 後 の も ろ み のα-EG 濃 度 を 定 量 し た 。 値は 3 つ の 仕 込 み の 平 均 値 。 米 お よ び 麦 焼 酎 に つ い て , 麹 歩 合 を 通 常 よ り も 下 げ , 酵 素 剤 を AA 5,040 U, AG 8,280 U ま た はそ の 半 量 も ろ み に 添 加 し た 。 酵 素 剤は 1 次 も ろ み ま た は2 次 も ろ み に 添 加し 仕 込 ん だ 。 発 酵 終 了 後 の も ろ み の エ タ ノ ー ル 濃 度 を 定 量 し た 。 値 は 3 つ の 仕 込 み の 平 均 値 。 図 3-1 もろみ中 の α-EG 供 試 試 料 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 α-EG (w /v % ) 図 3-2 もろみ中の エタ ノール 濃度 供 試 試 料 0 2 4 6 8 10 12 エタノール (w /v % )

(48)

第3章 発酵生産法によるα-EG を高含有する焼酎もろみの開発 第3節 結果および考察 42 第 2 項 も ろ み に 添 加 す る 麹 量 と 二 次 発 酵 温 度 の 検 討 二 次 も ろ み の 仕 込 み 温 度 が α-EG の 生 産 性 に 与 え る 影 響 を 検 討 し た 。 一 次 も ろ み は 酵 母 の 十 分 な 発 酵 を 促 す た め 30℃に 統一 し ,二次もろみ の発酵温度 15℃ , 20℃または 30℃で仕込み を行った。 発酵期間 は 8 日間と した。 仕 込 み の 麹 量 を 表 3-6 に示した。また ,図 3-3 および図 3-4 にもろみ中の エ タ ノ ー ル と α-EG の HPLC 分 析 結 果 を 示 し た 。15℃ で も α-EG の 生 産 性 は 高 い 傾 向 に あ っ た 。し か し 20℃発酵 よりはや や低 い濃度であった 。この 要因を探る た め グ ル コ ー ス 濃 度 に 着 目 し た 。 図 3-5 にもろ み中のグルコー スの HPLC 分析結 果 を 示 し た 。 大 部 分 の サ ン プ ル が エ タ ノ ー ル を 約 12 - 15 v/v%生産しており,発 酵 は 十 分 で あ っ た と 考 え ら れ る も ろ み 中 の グ ル コ ー ス 濃 度 に お い て ,15℃条 件のサンプルは ほかの条件 と比較 し て 非 常 に 高 い 濃 度 を 示 し て お り 酵 母 に よ る 発 酵 は ま だ 完 了 し て い な い こ と が 示 唆 さ れ た 。 従 っ て 発 酵 期 間 を 8 日よ りも長く する ことでさらに α-EG 濃度が高く な る こ と が 期 待 で き る 。

(49)

第3章 発酵生産法によるα-EG を高含有する焼酎もろみの開発 第3節 結果および考察 43 米 お よ び 麦 焼 酎 に つ い て , 麹 歩 合 を 通 常 よ り も 下 げ ,AA 剤 2,520 U, AG 剤 4,140 U を 添 加 し た 。 酵 素 剤は 2 次 も ろみ に 添 加 し , も ろ み 温 度 を 15, 20,ま た は 30℃ に し て 仕 込 ん だ 。 発 酵 終 了 後 の も ろ み の α-EG 濃 度 を 定 量 し た 。 値 は 3 つ の 仕 込 み の 平均 値 。 米 お よ び 麦 焼 酎 に つ い て , 麹 歩 合 を 通 常 よ り も 下 げ ,AA 剤 2,520 U, AG 剤 4,140 U を 添 加 し た 。 酵 素 剤は 2 次 も ろみ に 添 加 し , も ろ み 温 度 を 15, 20,ま た は 30℃ に し て 仕 込 ん だ 。 発 酵 終 了 後 の も ろ み の エ タ ノ ー ル 濃 度 を 定 量 し た 。 値 は 3 つ の 仕 込 み の 平 均 値 。 図 3-3 もろみ 中の α-EG 供 試 試 料 0 0.5 1 1.5 2 2.5 α-EG (w /v % ) 図 3-4 もろみ 中のエ タノ ール 供 試 試 料 0 2 4 6 8 10 12 14 16 エタノール (w/ v % )

図   4-2  一般的な清 酒の 仕込み

図 4-2

一般的な清 酒の 仕込み p.58
図   4-1  酒粕再発酵 酒の 仕込み

図 4-1

酒粕再発酵 酒の 仕込み p.58
図   6-6 α-EG 濃度が COL1A1  mRNA 量に与える影 響

図 6-6

α-EG 濃度が COL1A1 mRNA 量に与える影 響 p.117
図   6-7 α-EG 濃度が COL1A2  mRNA 量に与える影 響

図 6-7

α-EG 濃度が COL1A2 mRNA 量に与える影 響 p.118
図   6-8 α-EG 濃度が COL3A1  mRNA 量に与える影 響

図 6-8

α-EG 濃度が COL3A1 mRNA 量に与える影 響 p.119
図   7-2  細胞レ ベルで の今 後の課 題

図 7-2

細胞レ ベルで の今 後の課 題 p.131

参照