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抵当権に基づく物上代位に対する賃借人の相殺権の優先性について(二) : 最二判平成二一・七・三民集六三巻六号一〇四七頁を契機として 利用統計を見る

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(1)

抵当権に基づく物上代位に対する賃借人の相殺権の

優先性について(二) : 最二判平成二一・七・三民

集六三巻六号一〇四七頁を契機として

著者名(日)

深川 裕佳

雑誌名

東洋法学

55

1

ページ

1-23

発行年

2011-07

URL

http://id.nii.ac.jp/1060/00000817/

Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止

(2)

目次 はじめに Ⅰ   物上代位と債権譲渡:最二判平成一〇・一・三〇民集五二巻一号一頁   ( 1 )事実の概要   ( 2 )判旨   ( 3 )検討(以上、本誌五四巻二号) Ⅱ   相殺権と抵当権の競合に関する判例の検討   ( 1 )物上代位と保証金の相殺:最三判平成一三・三・一三民集五五巻二号三六三頁(以上、本号)   ( 2 )物上代位と敷金の相殺「充当」 :最一判平成一四・三・二八民集五六巻三号六八九頁   ( 3 )担保不動産収益執行と相殺:最二判平成二一・七 ・三民集六三巻六号一〇四七頁 おわりに 《 論    説 》

て(

――

最二判平成二一・七・三民集六三巻六号一〇四七頁を契機として

――

 

  

 

(3)

Ⅱ   相殺権と抵当権の競合に関する判例の検討   前 章 (本 誌 五 四 巻 二 号) に お い て、 平 成 一 〇 判 決 (最 二 判 平 成 一 〇・ 一・ 三 〇 民 集 五 二 巻 一 号 一 頁) を 取 り 上 げ て、 その中において示された考え方、すなわち、物上代位権が抵当権設定登記によって公示されるという考え方につい て検討した。そこでは、平成一〇年判決において、抵当権設定登記後であって、かつ、債務者が倒産した後に、物 上保証人のなした債権譲渡が抵当権者に対する回収妨害となる疑いもあったことが結論に影響を及ぼしており、こ の よ う な 認 識 は、 学 説 に お い て 共 有 さ れ て い る こ と を 確 認 し た (た と え ば、 [升 田   一 九 九 八、 四 七] 、[佐 久 間   二 〇 〇 〇、 二 五] 、[高 橋   一 九 九 八、 六 七 三] ) 。 以 下 で は、 本 稿 の 問 題 意 識 に 沿 っ て、 抵 当 権 と 賃 借 人 の 権 利 と が 競 合 し た 判 例 に つ い て、 ( 1 ) 賃 料 債 権 へ の 物 上 代 位 と 保 証 金 返 還 請 求 権 に よ る 相 殺 が 問 題 と な っ た 最 三 判 平 成 一三・三 ・ 一三民集五五巻二号三六三頁、 ( 2 )賃料債権への物上代位と敷金返還請求権による相殺が問題となっ た 最 一 判 平 成 一 四・ 三・ 二 八 民 集 五 六 巻 三 号 六 八 九 頁、 ( 3 ) 担 保 不 動 産 収 益 執 行 と 賃 借 人 に よ る 相 殺 が 問 題 と なった最二判平成二一・七・三民集六三巻六号一〇四七頁について、順に検討していくことにする。 ( 1 )物上代位と保証金の相殺:最三判平成一三・三・一三民集五五巻二号三六三頁 (A)事実の概要   X の A に 対 す る 債 権 を 担 保 す る た め に、 昭 和 六 〇 年 九 月 二 七 日、 A の 所 有 す る 本 件 建 物 に 本 件 根 抵 当 権 (極 度 額 五、 〇 〇 〇 万 円) が 設 定 さ れ た。 他 方、 Y は、 昭 和 六 〇 年 一 一 月 一 四 日 に 本 件 建 物 に つ い て 賃 貸 借 契 約 を 締 結 し (賃 料 が い く ら で あ っ た か は 明 ら か で な い) 、 保 証 金 と し て 三、 一 五 〇 万 円 を 預 託 し て い た が、 Y と A は、 平 成 九 年 二 月 三 〔深川 裕佳〕

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日、本件建物についての従前の賃貸借契約を平成九年八月三一日限りで解消し、同年九月一日以降あらためて本件 建 物 に つ い て 賃 貸 借 契 約 を 締 結 す る こ と、 こ の 保 証 金 は、 従 前 の 賃 貸 借 契 約 に お け る 保 証 金 の 一 部 を 充 当 す る こ と、保証金の残額は平成九年八月三一日までにAがYに返還することを約した。しかし、平成九年八月三一日まで に 保 証 金 が 返 還 さ れ な か っ た た め、 Y と A は、 平 成 九 年 九 月 二 七 日、 右 の 新 賃 貸 借 契 約 お よ び 右 保 証 金 二、 八 二 〇 万 円 の 返 還 債 務 に つ い て、 月 額 賃 料 を 三 〇 万 円 と し、 賃 料 債 権 と 保 証 金 返 還 請 求 権 を 相 殺 (平 成 九 年 九 月 一 日 に 同 年 同 月 分 の 賃 料 と 保 証 金 残 額 の 相 殺 を な す こ と、 及 び、 平 成 九 年 一 〇 月 分 か ら 平 成 一 二 年 九 月 分 ま で の 賃 料 と 保 証 金 残 額 を 各 月 の 前 月 の 末 日 に 対 当 額 で 相 殺 す る こ と) し た 上 で、 保 証 金 残 額 を 返 還 す る 合 意 を な し た。 X は、 A が 債 務 を履行しないために、本件根抵当権の物上代位に基づきAのYに対して有する賃料債権について差押命令を得て、 同命令は、平成一〇年一月二四日にYに送達された。本件は、この差押命令による取立権に基づいて、XがYに対 して平成一〇年二月一日から同年六月三〇日までの本件建物の賃料一五〇万円及びこれに対する遅延損害金の支払 いを求めたものである。 【第 一 審】 「抵 当 権 (根 抵 当 権) 者 の 目 的 物 の 価 値 把 握 に つ い て の 期 待」 を 保 護 し た 上 で、 「抵 当 権 (根 抵 当 権) 設 定 者において抵当目的物件について賃貸借契約を締結し、多額の保証金を受領するという方法によって容易に抵当権 (根 抵 当 権) の 効 力 を 実 質 的 に 無 価 値 に す る こ と が で き、 抵 当 権 (根 抵 当 権) 者 に 著 し い 損 害 を 及 ぼ す と い う 不 都 合 な事態」を招くことがないようにするため、以下のようにXの請求を認容した。   少 な く と も、 本 件 の ご と く、 抵 当 権(根 抵 当 権) が 設 定 さ れ か つ そ の 設 定 登 記 が な さ れ た 後 に、 当 該 抵 当 目 的 物 件 に つ い て 賃 貸 借 契 約 が 締 結 さ れ か つ 賃 借 人 か ら 賃 貸 人 に 保 証 金 が 授 受 さ れ、 こ の 保 証 金 返 還 請 求 権 と 賃 料 債 権 と の 相 殺 の 合 意 が な さ れ た よ う な 場 合 に お い て は …、 保 証 金 を 支 払 っ た 賃 借 人 と し て は、 右 保 証 金 支 払 の 時 点 に お い て 右 抵 当 権

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(根 抵 当 権) の 存 在 を 認 識 し 得 た も の で あ り、 か つ こ れ に 基 づ き 賃 料 に 対 し て 物 上 代 位 権 が 行 使 さ れ る こ と も 十 分 に 予 想 し 得 た も の と い う べ き で あ る か ら、 登 記 と い う 公 示 方 法 を 前 提 と し て 排 他 性 を 具 備 す る に 至 っ た 抵 当 権(根 抵 当 権) に 基 づ く 物 上 代 位 権 の 行 使 が 右 保 証 金 返 還 請 求 権 を 自 働 債 権、 賃 料 債 権 を 受 働 債 権 と す る 相 殺 権 の 行 使 に 優 先 す る と 解 するのが相当である。   これに対して、Yが控訴した。 【原審】第一審とほぼ同様の理由で、控訴を棄却した。Yが上告受理申立て。 (B)   判旨   上告棄却。   抵 当 権 者 が 物 上 代 位 権 を 行 使 し て 賃 料 債 権 の 差 押 え を し た 後 は、 抵 当 不 動 産 の 賃 借 人 は、 抵 当 権 設 定 登 記 の 後 に 賃 貸 人 に 対 し て 取 得 し た 債 権 を 自 働 債 権 と す る 賃 料 債 権 と の 相 殺 を も っ て、 抵 当 権 者 に 対 抗 す る こ と は で き な い と 解 す る の が 相 当 で あ る。 け だ し、 物 上 代 位 権 の 行 使 と し て の 差 押 え の さ れ る 前 に お い て は、 賃 借 人 の す る 相 殺 は 何 ら 制 限 さ れ る も の で は な い が、 上 記 の 差 押 え が さ れ た 後 に お い て は、 抵 当 権 の 効 力 が 物 上 代 位 の 目 的 と な っ た 賃 料 債 権 に も 及 ぶ と こ ろ、 物 上 代 位 に よ り 抵 当 権 の 効 力 が 賃 料 債 権 に 及 ぶ こ と は 抵 当 権 設 定 登 記 に よ り 公 示 さ れ て い る と み る こ と が で き る か ら、 抵 当 権 設 定 登 記 の 後 に 取 得 し た 賃 貸 人 に 対 す る 債 権 と 物 上 代 位 の 目 的 と な っ た 賃 料 債 権 と を 相 殺 す る こ と に 対 す る 賃 借 人 の 期 待 を 物 上 代 位 権 の 行 使 に よ り 賃 料 債 権 に 及 ん で い る 抵 当 権 の 効 力 に 優 先 さ せ る 理 由 は な い と い う べ き で あ る からである。   そ し て、 上 記 に 説 示 し た と こ ろ に よ れ ば、 抵 当 不 動 産 の 賃 借 人 が 賃 貸 人 に 対 し て 有 す る 債 権 と 賃 料 債 権 と を 対 当 額 で 相 殺 す る 旨 を 上 記 両 名 が あ ら か じ め 合 意 し て い た 場 合 に お い て も、 賃 借 人 が 上 記 の 賃 貸 人 に 対 す る 債 権 を 抵 当 権 設 定 登 〔深川 裕佳〕

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記 の 後 に 取 得 し た も の で あ る と き は、 物 上 代 位 権 の 行 使 と し て の 差 押 え が さ れ た 後 に 発 生 す る 賃 料 債 権 に つ い て は、 物 上代位をした抵当権者に対して相殺合意の効力を対抗することができないと解するのが相当である。 (C)   検討   本判決は、物上代位権が抵当権設定登記によって公示されているという平成一〇年判決の考えに沿って、抵当権 設 定 登 記 よ り も 自 働 債 権 の 取 得 が 遅 れ る 場 合 に は、 物 上 代 位 が 優 先 す る こ と を 明 ら か と し た も の と い え る。 し か し、本判決では、このような物上代位の優先性にも限界があることが指摘されており、たとえ抵当権設定登記より も 後 に 自 働 債 権 を 取 得 し た と し て も、 「差 押 え の さ れ る 前 に お い て は、 賃 借 人 の す る 相 殺 は 何 ら 制 限 さ れ る も の で はない」とされている。このような考え方が最高裁で示されるであろうことは、すでに、平成一〇年判決の評釈に おいても予測されていた。そこでは、相殺は「払渡し又は引渡し」に該当するが、未だ相殺の意思表示がなされて いない場合には、平成一〇年判決の法理を推し進めると「抵当権設定登記前に第三債務者が自働債権を取得してい るときは、抵当権者の物上代位権よりも相殺の担保的効力を優先させ…他方、抵当権設定登記後に第三債務者が自 働 債 権 を 取 得 し て も 、 相 殺 を も っ て 対 抗 で き な い も の と 解 さ れ る 」 と い う 見 解 が 示 さ れ て い た [ 小 磯   一 九 九 九 、 三二― 三三] 。   このように物上代位による差押時までに、相殺がなされている場合には、その効力について今日では疑義がない の に 対 し て、 差 押 時 ま で に (相 殺 契 約 な く し て) 相 殺 適 状 に あ っ て も 相 殺 の 意 思 表 示 が な さ れ て い な い 場 合、 さ ら に は、 差 押 時 に は ま だ 相 殺 適 状 に な い 場 合 に つ い て は、 学 説 に お い て、 以 下 の よ う な 議 論 が な さ れ て い る (学 説 の 整 理 は す で に い く つ か の 論 考 に よ っ て な さ れ て い る。 た と え ば、 [松 岡   二 〇 〇 〇(一) 、 六 一 ― 六 三] を 参 照。 な お、 筆 者 も す で に[深 川   二 〇 〇 八、 四 二 七 ― 四 三 一] に お い て 本 件 の 評 釈 を 検 討 し た が、 以 下 で は、 本 稿 の 検 討 に 必 要 な 範 囲 に お

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いて根拠条文ごとにさらに細かく分類してまとめることにする) 。 ①   債権質権の類推によって解決しようと考える立場   従 来、 物 上 代 位 権 を 法 定 債 権 質 権 と す る 見 解 が 主 張 さ れ て き た[我 妻   一 九 六 八、 二 九 〇 ―二 九 一] 。 こ の 延 長 線 上 に 立 っ て、 「物 上 代 位 と 相 殺」 の 局 面 に お い て も、 債 権 質 権 に お け る 優 先 関 係 に よ っ て 決 す べ き で あ る と い う 主 張がなされている。   か つ て、 [高 木   一 九 九 九] は、 物 上 代 位 と 相 殺 の 優 劣 は、 民 法 五 一 一 条 に よ る の で は な く[高 木   一 九 九 九、 三二― 三三] 、債権質権の類推から、抵当権設定登記時と自働債権取得時の先後によって、抵当権者に対する相殺の 対 抗 可 能 性 を 決 す べ き で あ り[高 木   一 九 九 九、 三 二] 、 相 殺 は 一 般 財 産 へ の 混 入 が 問 題 と な ら な い の で あ る か ら 「払 渡 し 又 は 引 渡 し」 に 含 ま れ な い[高 木   一 九 九 九、 三 三] と の 見 解 を 示 し て い た (そ の 後、 平 成 一 五 年 民 法 改 正 に 伴 っ て、 物 上 代 位 に よ る 優 先 弁 済 権 の 根 拠 条 文 を 民 法 三 七 一 条 と し、 「抵 当 債 務 不 履 行 時」 を 基 準 と す る と し て い る[高 木   二〇〇五、一四三― 一四五] ) 。   一 方 で、 債 権 質 権 を 厳 密 に 類 推 適 用 す る な ら ば、 [高 木   一 九 九 九] が 主 張 す る よ う に、 債 権 質 権 に 類 似 す る 物 上代位権と相殺の担保的機能の優先関係は、抵当権設定登記時と自働債権取得時の先後によって決するということ になりそうである。しかし、本判決以降には、相殺の担保的機能が問題となる場合にも、相殺が「払渡し又は引渡 し」に含まれるとすることに異議を唱える見解はみられない。   他方で、以下のように、本件の判例解説においても、物上代位権と債権質権との類似性が指摘されている。本件 の 判 例 解 説 は、 「民 法 五 一 一 条 は、 差 押 え に よ る 処 分 禁 止 効 と 相 殺 の 可 否 に 関 す る 規 定 で あ り、 実 体 法 上 の 特 別 優 先 権 の 行 使 と し て の 物 上 代 位 に お け る 被 担 保 債 権 の 優 先 性 と 相 殺 と の 調 整 に つ い て 規 定 す る も の で は な い」 と し 〔深川 裕佳〕

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て、 物 上 代 位 権 と 相 殺 の 担 保 的 機 能 の 競 合 に お け る 優 先 順 位 の 基 準 は、 「実 体 法 上 の 特 別 優 先 権 で あ る 債 権 質 権 の 設 定 と 相 殺 と の 調 整 ( 民 法 三 六 四 条 一 項 、 四 六 八 条 ) 」 に よ る べ き と す る 立 場 を 示 し て い る [ 杉 原   二 〇 〇 一、 二 六 六 ― 二六七] 。しかし、 [高木   一九九九]とは異なって、 「抵当権設定登記の時をもって、債権質権の設定通知の時と同 視 す る こ と は で き な い」 と す る た め に、 「差 押 え ま で に さ れ た 相 殺 は … 有 効 で あ り、 … 抵 当 権 設 定 登 記 に 質 権 設 定 の 通 知 以 上 の 効 果 を 与 え る べ き 理 由 も な い か ら、 抵 当 権 設 定 登 記 前 に 自 働 債 権 が 発 生 し た と き (少 な く と も そ の 弁 済 期 が 各 賃 料 債 権 の 弁 済 期 に 先 立 つ と き) は、 物 上 代 位 に よ る 差 押 え の 後 に さ れ た 相 殺 に つ い て も、 そ の 有 効 性 を 肯 定すべき」としている[杉原   二〇〇一、二六九] 。   こ の 判 例 解 説 と 同 様 に、 [山 本   二 〇 〇 一] [角   二 〇 〇 三] も、 物 上 代 位 と 相 殺 の 優 劣 は、 民 法 五 一 一 条 で は な く、 「債 権 質 権 と 相 殺 の 関 係 に 関 す る 規 定」 と 考 え ら れ て い る 民 法 四 六 八 条 二 項 に よ っ て 解 決 す べ き で あ る と す る [山本   二〇〇一、一七― 一八] [角   二〇〇三、六四] 。[角   二〇〇三]は、この観点から本判決を分析し、本判決が 相 殺 の 担 保 的 機 能 に つ い て い わ ゆ る 無 制 限 説 に 立 つ も の か 否 か は 明 ら か で は な い が、 「対 抗 す る こ と が で き た 事 由」の判断時を「抵当権設定登記時」に置いたものと解している[角   二〇〇三、六五― 六六] 。   しかし、このような考え方に対しては、以下のような疑問がある。   まず、物上代位権と債権質権とは同様に債権を目的とする担保権であり、仮に物上代位権が抵当権の成立に伴っ て、または、賃料債権発生時に遡って成立するにしても、物上代位の場合、差押えがなされるまで抵当権設定者が 自 由 に「払 渡 し 又 は 引 渡 し」 を 受 け る こ と が で き る の で あ る か ら、 そ の 成 立 時 か ら 設 定 者 を 拘 束 す る 質 権 (民 法 三 六 六 条) と は 性 質 が 異 な っ て い る。 こ の よ う に 物 上 代 位 権 が 用 益 権 を 設 定 者 に 委 ね る と い う 抵 当 権 の 性 質 を と ど め て い る こ と を 考 慮 す る と、 賃 料 債 権 へ の 物 上 代 位 を 債 権 質 権 類 似 の も の と す る こ と は 困 難 で あ る よ う に 思 わ れ

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る。   つ ぎ に、 仮 に 賃 料 債 権 へ の 物 上 代 位 を 債 権 質 権 類 似 の も の と 考 え る と し て も、 そ の よ う な 立 場 に お い て 、 民 法 四 六 八 条 の「事 由」 と し て 相 殺 を 考 慮 す る 場 合 に は、 「通 知」 を 受 け て い な い 債 務 者 に つ い て、 自 働 債 権 の 取 得 時 期を抵当権設定登記時と比較するのは適切でないように思われる。第三債務者の認識を基準とする民法四六八条の 構造を考慮すると、建物に関する抵当権設定登記を「通知」と置き換えることは、次の学説が指摘するように、実 際 に も 不 都 合 で あ る。 す な わ ち、 「賃 借 人 に 対 し 自 身 が 入 居 し た 物 権 に 抵 当 権 が あ る か を 登 記 簿 で 確 認 せ よ と す る のは酷であり、…一三年判決は、抵当権登記があるから、相殺による賃借人の敷金返還への期待が封じられること も 正 当 化 で き る と 述 べ る 如 く で あ る が、 こ れ は 妥 当 と は い え ま い」 [田 髙   二 〇 〇 八、 二 三 一 ―二 三 二] と い う 指 摘 が正鵠を得ていると思われる。   そ し て、 本 件 は、 前 章 (本 誌 五 四 巻 二 号) に お い て 検 討 し た 平 成 一 〇 年 判 決 と は そ の 特 徴 が 以 下 の よ う に 異 な っ ているために、本件において、平成一〇年判決と同様に抵当権設定登記を基準として用いることは適切ではないも のと思われる。平成一〇年判決において抵当権設定登記を第三者対抗要件とすることは、物上保証人や第三債務者 である賃借人、債権譲受人による抵当権者の回収への妨害の疑いもある事案において、結果として、抵当権設定後 になされたそのような妨害的行為の効果を否認し、物上代位を認めるために必要とされていた。しかし、本件にお いては、抵当権設定登記後になされた賃貸借であっても、正常になされたものであって、回収妨害が疑われるよう な事実は認定されていない。このようにして、本件は平成一〇年判決とはその事案の特徴が異なっており、解決す べき問題もまた異なるものということができる。 ②   民法三七一条によって解決しようと考える立場 〔深川 裕佳〕

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  [鳥 谷 部   二 〇 〇 一、 八] は、 「相 殺 お よ び 相 殺 の 抗 弁 権 の 主 張 は、 両 債 権 が 密 接 不 可 分、 強 い 牽 連 性 が あ る な ら ば、 留 置 権 と 同 様 に 一 体 的 清 算 の 抗 弁 権 を 認 め る べ き で あ る」 と し つ つ も、 本 件 で は、 「更 改 前 の 旧 賃 貸 借 契 約 か ら生じた保証金残債権と新賃貸借契約によって発生した賃料債権であり、両債権に一体的に清算されるべき牽連性 は な い」 と す る。 そ し て、 [鳥 谷 部   二 〇 〇 二] は、 「民 法 三 〇 四 条 の 物 上 代 位 を 価 値 変 形 物 へ の 一 般 規 定 と 捉 え、 民 法 〔旧〕 三 七 一 条 を 法 定 果 実 を 含 む 果 実 の 特 別 規 定」 と 考 え て、 賃 料 債 権 へ の 物 上 代 位 に よ っ て「抵 当 権 の 実 行 通 知 以 後 は、 設 定 者 の 処 分 や 第 三 者 の 対 抗 要 件 の 具 備 の 先 後 に か か わ ら ず、 抵 当 権 の 効 力 が 優 先 的 に 及 ぶ こ と を 〔民法旧三七一条が〕明文で規定している」 [鳥谷部   二〇〇二、三三]とした上で、 「賃料は、抵当不動産本体と独 立した財産であり、設定後に処分権が与えられているのであるから、差押えを基準として自由競争に委ねられるべ きである」としている[鳥谷部   二〇〇一、八] 。   本稿も、この見解と同様に、債務の間の牽連性に着目する立場である。しかし、私見では、右見解とは逆に、本 件において、対立する債務の間に牽連性が認められると考える。一般論として、債務の間の牽連性は、同一の契約 関係から二つの債務が生じる場合のみならず、異なる契約であっても互いに関連する二つの契約からそれぞれ債務 が生じる場合においても認められる[深川   二〇〇八、 二九二 ―二九三] 。本件について具体的に検討すると、自働債 権である保証金返還請求権は旧賃貸借契約の解約から生じたものであり、受働債権である賃料債権は、新賃貸借契 約から生じたものである。そして、新賃貸借契約は、旧賃貸借契約を前提とする関係にあり、これらは、互いに関 連する契約である。そのため、本件において対立する債務は、牽連性を有すると考えられる。また、この保証金返 還請求権については、当事者間に準消費貸借契約が締結されたとも考えることができ、そのように考えても、従前 の性質を引き継ぐために、賃料債権と牽連性を有するということができる。そこで、本稿の考えによると、この債

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務の間の牽連性に基づいて、相殺を対抗することができると考える。 ③   民法三七二条の準用する三〇四条によって解決しようと考える立場 (ⅰ)抵当権設定登記と相殺の意思表示の先後による立場   [清原   二〇〇一]は、抵当権設定登記を第三者対抗要件としつつ、民法三〇四条の「差押え」の意義について第 三債務者保護説に立ち[清原   二〇〇三] 、自働債権の取得時期と抵当権設定登記の先後によって両者の優劣を決定 することを批判して次のように考える。すなわち、 「『差押え』の機能は、債権質権設定通知や債権譲渡通知と同一 で あ り、 第 三 債 務 者 を イ ン フ ォ メ ー シ ョ ン・ セ ン タ ー と す る こ と に あ る」 [清 原   二 〇 〇 一、 八 〇] こ と か ら、 抵 当 権 設 定 登 記 前 に 自 働 債 権 を 取 得 し た 場 合 で あ っ て も、 債 務 者 (賃 貸 人) の 債 務 不 履 行 が あ れ ば、 抵 当 権 の 物 上 代 位 権 が 発 生 し て、 優 先 弁 済 権 が 賃 料 債 権 に 及 ん で い る た め、 第 三 債 務 者 は そ の 拘 束 を 受 け て お り、 「物 上 代 位 権 に よ る 代 位 目 的 債 権 の 差 押 え が あ れ ば、 第 三 債 務 者 は、 そ の 差 押 前 に 相 殺 権 を 行 使 し な い 限 り、 代 位 目 的 物 (賃 料) の 支払義務を免れることはできない」 [清原   二〇〇一、七九、八一]とする。   こ の よ う な 考 え に 対 し て は、 学 説 に お い て、 「相 殺 期 待 と い う 観 点 か ら 見 れ ば〔差 押 前 に 相 殺 し よ う が 差 押 後 に 相 殺 し よ う が〕 違 い が な い に も か か わ ら ず、 差 押 前 に 相 殺 権 を 行 使 し た か 否 か の み に よ っ て 結 論 が 反 対 に な る」 [藤 澤   二 〇 〇 四、 二 二 三] こ と を 疑 問 視 し、 「相 殺 は、 そ れ が 実 際 に 金 銭 を 出 捐 す る 行 為 で な い 以 上、 そ こ に 現 実 的 な 意 味 で の『二 重 払 い の 危 険』 は な い。 具 体 的 に 言 え ば … 債 務 者 に 対 す る 元 の 債 権 が 復 活 す る だ け で あ る」 か ら、 「既 に 相 殺 権 を 行 使 し た 者 と、 未 だ 相 殺 期 待 を 有 す る に 過 ぎ な い 者 と が『二 重 払 い の 危 険』 と い う 基 準 に 照 ら して、全く異なる利益状況にあると考えることには、疑問も持たれるところである」 [藤澤   二〇〇四、二二四]と の指摘がなされている。 〔深川 裕佳〕

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  先に述べたように、物上代位権が抵当権設定登記によって公示されているということについて、筆者は疑問を有 しているところであるが、仮にこの前提を認めたとしても、第三債務者の相殺への合理的な期待までもが抵当権に よって制限されると考えることはできないと思われる。むしろ、相殺への合理的期待がある場合には、相殺の意思 表 示 が 差 押 前 で あ ろ う が、 差 押 後 で あ ろ う が、 第 三 債 務 者 の 相 殺 が 優 先 す べ き も の と 思 わ れ る。 こ の こ と は、 従 来、 「差 押 え と 相 殺」 や「債 権 譲 渡 と 相 殺」 に お い て、 (ど の よ う な 状 況 に お い て 相 殺 へ の 合 理 的 な 期 待 が あ る と 考 え る かには差があるものの) 判例及び多くの学説によって述べられてきたところである。   そこで、本件において、Yに相殺の合理的な期待が存在するかどうかを検討するために、以下において、Yの側 の事情を検討していくことにする。   まず、YとAの間において、相殺に供される二つの債務には、先に述べたように牽連性がある。このことから、 Yには、相殺の合理的な期待が認められるといえる。   つ ぎ に、 第 三 債 務 者 と し て の Y の 立 場 か ら す る と、 抵 当 権 者 が 物 上 代 位 を す る か 否 か は 確 実 で は な い。 そ の た め、抵当権設定登記によって公示されているとしても、抵当権者が設定登記によって公示された目的物から回収す るのではなく、物上代位によって回収することを選んだという偶然の事由によって、Aに主張できたはずの相殺の 抗弁を制限されるのは不当であろうと思われる。もちろん、そうであるとしても、本件賃貸借契約が本件建物の使 用収益を目的として、相当な賃料においてなされたものであるかどうかということを含め、本件におけるYの相殺 の抗弁が濫用的なものでないかどうかという問題は別に検討する必要がある。しかし、本件では、先に述べたよう に、相殺権の濫用にあたる事実は認定されていない。 (ⅱ)抵当権設定登記と相殺の意思表示の先後または抵当権設定登記と自働債権取得の先後による立場

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  [道垣内   二〇〇八]は、抵当権設定登記がなされていても、債権質と比較した場合に第三債務者は抵当権者から 直接に物上代位権の存在を知らされているわけではないという違いがあり、また、抵当権者が物上代位権を必ずし も行使するとは限らないということから「差押え」の意義について第三債務者保護説を主たる意味であるとしつつ [道垣内   二〇〇八、一五〇] 、この意義に加えて、 「物上代位権は、物上代位権者による目的債権の差押え以前はい まだ浮動的な権利であり、差押えによって効力を保全されると考えるべきことになる。これも、払渡しまたは引渡 し前の差押えの意義となる」 [道垣内   二〇〇八、一五一]とする。この帰結として、差押えまでに第三債務者が相 殺をした場合には「払渡し又は引渡し」に該当する[道垣内   二〇〇八、一五二] 。   ま た、 差 押 え ま で に 相 殺 が な さ れ て い な く て も、 「第 三 債 務 者 と の 関 係 に お い て、 抵 当 権 設 定 登 記 に よ っ て 物 上 代位権が公示されていると考えるのは適切ではない。実体的には、差押えによって第三債務者はもはや相殺をしえ なくなるのが原則であるが、第三債務者が、抵当権設定登記以前に反対債権を取得しているときには、その後に債 務 を 負 っ た と き に は 相 殺 し う る と い う 地 位 を す で に 獲 得 し て い る と い え、 こ の 地 位 を そ の 後 の 抵 当 権 設 定 登 記 に よって覆すことはできないから、例外的に相殺が可能になる」とする[道垣内   二〇〇八、一五二] 。   な お、 こ の 学 説 で は、 「相 殺 し う る と い う 地 位」 を 抵 当 権 者 に 対 抗 で き る こ と の 根 拠 条 文 が 明 確 に さ れ て お ら ず、そのため、本稿においては③「民法三七二条が準用する三〇四条によって解決しようと考える立場」に分類す るものであるが、もしも民法四六八条二項に基づくものであれば前述①「債権質権の類推によって解決しようと考 える立場」に、また、民法五一一条に基づくものであるならば次に述べる④「民法五一一条によって解決しようと 考える立場」に分類されることになる。   この立場については、以下のような問題があるものと思われる。 〔深川 裕佳〕

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  まず、自働債権の取得によって「相殺しうるという地位」を取得するというのは相殺の担保的機能についての無 制限説に通じる考えであるところ、無制限説は、今日では相殺を認める範囲が広くなりすぎるという認識が学説に おいて定着しつつある。このことからすると、抵当権設定登記前に自働債権を取得したという一事をもって、相殺 の担保的機能が成立すると考えることに合理的根拠を見いだすことは困難であるものと思われる。   また、仮に自働債権の取得によって「相殺しうるという地位」を取得すると考えるにしても、前述(ⅰ)の検討 において述べたのと同様に、自働債権の取得の時期を抵当権設定登記と比較することに合理的な根拠を見いだすこ とも困難であると思われる。第三債務者は抵当権者から直接に物上代位権の存在を知らされているわけではないこ となどを理由として差押えに第三債務者保護の意義を認め、かつ、自働債権を取得することによって「相殺しうる という地位」を獲得すると考えるのであれば、抵当権設定登記を基準とするのではなく、差押えを基準として、こ れによっても相殺の期待を覆すことはできないとすることも可能と思われるからである。 (ⅲ)差押時に賃料債権の弁済期が到来していたか否かにより区別する立場   以下に述べるように、論者によって若干の違いは存在するものの、抵当権に基づく処分権限の実現としての差押 えを基準として、物上代位の目的債権となる賃料債権の弁済期が到来しているかどうかという観点から判断する立 場が存在する。   [古 積   一 九 九 九] は、 抵 当 権 者 の 処 分 権 限 の 有 無 に 着 目 し て、 「賃 料 債 権 に 対 す る 物 上 代 位 に お い て、 目 的 物 の 使用・収益権能に対する抵当権の効力の特殊性に民法三七二条の差押えの意義を見いだす場合、差押えより前に支 払期が到来している賃料債権についての処分権限は抵当権設定者に留保されていることから、これを受働債権とす る 相 殺 も 抵 当 権 者 に 対 す る 関 係 で 有 効 と 見 る べ き で あ る。 し た が っ て、 民 法 三 七 二 条 が 準 用 す る 三 〇 四 条 に い う

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『払 渡 又 ハ 引 渡』 に 相 殺 が 直 接 該 当 す る と は い え な い と し て も、 少 な く と も こ の 規 定 を 相 殺 に 類 推 適 用 す べ き で あ る。もちろん、差押え後に生じる賃料債権についての処分権限は設定者には与えられず、したがってこれを受働債 権とする相殺は抵当権者に対する関係で効力を有しない」 [古積   一九九九、三三]と述べる。   [生 熊   二 〇 〇 三] は、 「物 上 代 位 権 は 不 動 産 先 取 特 権 の よ う に 優 先 権 を 有 す る が 公 示 方 法 を 伴 わ な い 一 種 の 法 定 担 保 物 権 の よ う に 理 解 す べ き」 [生 熊   二 〇 〇 三、 二 七 九] と し、 「物 上 代 位 と 相 殺」 の 優 先 基 準 に つ い て 次 の よ う に 述 べ る。 賃 料 債 権 の 弁 済 期 の 先 後 に よ っ て 分 け て 考 え る べ き で あ り、 一 方 で、 「弁 済 期 既 到 来 の 賃 料 債 権 に つ い ては、抵当権者の有する法定担保物権のような効力をもった公示のない物上代位権と、賃借人の有する相殺への期 待 権 と の ど ち ら に 優 先 権 を 与 え る べ き か と い う 価 値 判 断 の 問 題」 と し て、 「賃 貸 人 と 賃 借 人 と の 継 続 的 な 法 律 関 係 において…賃借人は賃貸人への貸金債権と賃料債務との相殺への強い期待のもとに融資を決断するのに対して、抵 当権者は本来被担保債権について債務不履行があった場合は抵当権の実行としての競売の申立てをすべきであり賃 料 債 権 へ の 物 上 代 位 は 付 録 の よ う な も の で あ る」 こ と か ら、 「賃 借 人 の 相 殺 へ の 期 待 を 優 先 さ せ る べ き」 で あ る が、 他 方 で、 「抵 当 権 者 に よ る 賃 料 債 権 差 押 え 後 に 弁 済 期 の 到 来 す る 賃 料 債 権 (弁 済 期 未 到 来 の 賃 料 債 権) に つ い て は … 本 来 抵 当 不 動 産 本 体 か ら 切 り 離 し て 賃 料 債 権 を 処 分 (譲 渡・ 質 入 れ 等) し て も 抵 当 権 者 や 抵 当 不 動 産 譲 受 人 等 抵当不動産本体の物権的権利者には対抗し得ないのであり、賃料債権をもってする相殺の期待も一種の担保権であ る か ら、 …〔相 殺 は〕 抵 当 権 者 の す る 物 上 代 位 に 対 抗 し 得 な い」 [生 熊   二 〇 〇 三、 二 七 九 ―二 八 〇] と す る (同 旨 を 述 べ る も の と し て、 [占 部   二 〇 〇 一、 一 一 四] ) 。[古 積   一 九 九 九] と 同 様 に、 差 押 え と、 物 上 代 位 の 目 的 債 権 の 弁 済期の先後によって区別する立場であるが、弁済期未到来の賃料債権については、担保権の競合に類似するものと して説明している点に違いが存在する。そこで、この違いに着目すれば、この見解を後述④「民法五一一条によっ 〔深川 裕佳〕

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て解決しようと考える立場」と同様の観点に立つものとして分類すべきであるとも考えられるが、実際に問題とな る弁済期未到来の賃料債権については、処分権限の帰属に着目していることから、本稿では、 [生熊   二〇〇三]を ③「民法三七二条の準用する三〇四条によって解決しようと考える立場」に分類しておく。   これらの学説は、賃料債権が果実であることに着目し、その帰属関係が元物の帰属関係によって定まることを根 拠として、賃借人がする相殺の効果を決する立場であるということができる。しかし、この考え方については、以 下 の よ う な 問 題 が 存 す る。 ま ず、 「こ の 概 念 が 基 準 と し て 常 に 支 障 な く 機 能 す る か は、 や や 疑 問 が あ る。 賃 料 の 支 払時期が規則的で、多く月ぎめである事例を想定する限り問題はないが、つねに、そうであるとはかぎらない。賃 料 前 払 い な ど の 隣 接 局 面 を も 含 め た 概 念 整 理 が 必 要 で あ」 る[山 野 目   二 〇 〇 一 (下) 、 三 一 (注 三 一) ] と の 指 摘 が 存 在 す る。 不 動 産 の 賃 料 に つ い て は「毎 月 末」 の 支 払 い と さ れ て い る が (民 法 六 一 四 条) 、 実 際 に は、 前 月 末 払 い と い う 契 約 が 多 い こ と か ら す る と、 目 的 物 を 使 用・ 収 益 さ せ る 義 務 の 履 行 に 対 し て「前 払 い」 (先 履 行) の 関 係 に あ るといえるため、賃料債権については、その発生時期および弁済期について理論的な難問を抱えており、前月末日 において弁済期が到来する先履行賃料債権がどの時点において抵当不動産の処分に従うかということも問題となり そ う で あ る。 ま た、 物 上 代 位 権 が 追 及 効 を 補 う も の と し て 用 意 さ れ て い る こ と[生 熊   二 〇 〇 六、 六] か ら す れ ば、本来の目的物に対して追及効のある抵当権については、当然に賃料債権に及ぶと考えることはできないように 思われる。さらに、たとえ差押えにより不動産の処分権限を有する抵当権者に弁済期未到来の賃料債権が帰属する としても、債権者の交替が生じる債権譲渡においてさえ一定の場合には相殺権の対抗が認められていることと比較 すると、抵当権者に弁済期未到来の賃料債権の処分権限が帰属すると考えても、第三債務者である賃借人は、これ に対して相殺の抗弁を対抗することが認められると考えることも可能である。

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  ここまで述べた民法三〇四条による立場に関しては、平成一五年民法改正によって、民法三七一条が改正された こ と に 伴 う 問 題 も 存 在 す る。 学 説 で は、 「三 〇 四 条 は、 実 体 法 上 の 規 定 で は な く、 手 続 き 的 規 定 と し て の 性 格 を 持 つに至った」 [高木   二〇〇五、一四三]との見解も示されている。この見解に立つと、今日では、民法三〇四条に よ っ て は、 「物 上 代 位 と 相 殺」 の 優 劣 を 決 す る こ と は で き な い と い う こ と に な り そ う で あ る。 民 法 三 七 一 条 の 意 義 を ど の よ う に 解 す る か と い う こ と に つ い て は、 学 説 に 議 論 が 存 す る も の の[山 野 目   二 〇 〇 九、 二 五 九 ―二 六 〇] 、 担保不動産収益執行制度の創設に伴って「物上代位と相殺」の議論にも影響を及ぼすことについても配慮する必要 があるだろう。 ④   民法五一一条によって解決しようと考える立場   すでに、平成一〇年判決の評釈において、物上代位と相殺とが競合する場合には、この平成一〇年判決の射程は 及ばないとして、 相殺の担保的機能に関するいわゆる 「無制限説」 に立って、 次のように指摘するものも存在した。   物 上 代 位 は 原 則 と し て 債 権 譲 渡 に 劣 後 す る か ら、 債 権 譲 渡 が 相 殺 に 劣 後 す る こ と と 合 わ せ れ ば、 物 上 代 位 は 相 殺 に 劣 後 す る こ と に な る(筆 者〔佐 久 間〕 は、 無 制 限 説 を 支 持 す る 立 場 で あ る) 。 そ し て、 第 三 債 務 者 は、 抵 当 権 の 登 記 に よ る 公 示 と は 無 関 係 で あ る か ら、 「差 押」 に よ る 優 先 権 の 保 全 の 効 力 は 第 三 債 務 者 に は 及 ば ず、 弁 済 禁 止 の 効 力 を 生 じ さ せ る に す ぎ な い(民 事 執 行 法 一 九 三 条 二 項、 一 四 五 条 一 項、 三 項) 。 し た が っ て、 相 殺 と の 関 係 で は、 物 上 代 位 に よ る 差 押 え も そ の 他 の 差 押 え と 同 様 と 解 す る こ と に な る が、 第 三 債 務 者 の 保 護 の た め に も(差 押 え の 相 違 に よ り 取 扱 い を 異 にする必要がない) 、別異に解すべきではないであろう[佐久間   二〇〇〇、二八]   本 件 の 評 釈 に も、 民 法 五 一 一 条 に よ る と す る 見 解 が い く つ か 見 ら れ る[小 林、 稲 葉   一 九 九 九、 七 五] [荒 木   二〇〇一、八八] [岡内   二〇〇一、六七] [清水   二〇〇一、八三] [下村   二〇〇二、一〇一六] 。これらの中に 〔深川 裕佳〕

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は、 物 上 代 位 権 の 第 三 債 務 者 対 抗 要 件 を 抵 当 権 設 定 登 記 と 解 し つ つ[小 林、 稲 葉   一 九 九 九、 七 五] 、「払 渡 し ま た は引渡し」に相殺を含めるが[小林、稲葉   一九九九、七六] 、差押えまでに相殺されていない場合であっても、抵 当権者と賃借人の関係を「疑似対抗関係」として「抵当権者の抵当権設定登記時と第三債務者の債権債務対向発生 時 と の 先 後」 [小 林、 稲 葉   一 九 九 九、 七 五 ―七 六] に よ っ て 両 者 の 優 先 関 係 を 決 す る と い う 考 え 方 や (同 旨、 [岡 内   二 〇 〇 一、 六 七] ) 、「五 一 一 条 (あ る い は、 せ い ぜ い 四 六 八 条 二 項) を 出 発 点」 と し て、 相 殺 の 担 保 的 機 能 に つ い て 無 制 限 説 を 前 提 と し つ つ、 「物 上 代 位 の 場 合 に は 相 殺 権 の 濫 用 と 推 定 さ れ る 類 型 的 例 外 を 認 め た も の と 位 置 づ け、 この類型においては原則として登記を基準とするが、相殺の合理的期待がある特段の事情が認められるときはそれ に 応 じ た 処 理 を 施 す、 と い う こ と に し て 収 拾 を 図 っ て い く」 と い う「弥 縫 策」 も 示 さ れ て い る[清 水   二〇〇一、八三] 。本件では、将来の賃料債権を受働債権として、差押時にはすでに弁済期が到来した保証金返 還 請 求 権 (賃 貸 借 契 約 が 解 約 さ れ た こ と に よ っ て 発 生 し た も の) を 自 働 債 権 と す る 相 殺 の 効 力 が 問 題 と な っ て い る。 そのため、相殺の担保的機能に関する最大判昭和四五・六・二四民集二四巻六号五八七頁によれば、相殺を対抗で きる場面であったことも指摘されている[鳥谷部   二〇〇二、三三] 。   また、 [山野目   二〇〇一]は、民法五一一条を根拠とする立場であっても、差押えまでに賃料債権の弁済期が到 来しているか、その発生原因が法定のものであるかという観点から修正を加えて判断すべきとして次のように述べ る。 「本 件 で 問 題 と な っ て い る も の は、 物 上 代 位 の た め の 特 別 の 差 押 え で あ る も の の、 同 条〔民 法 五 一 一 条〕 の 適 用 関 係 に 関 す る 限 り、 こ れ を 通 常 の 差 押 え と 同 列 に 扱 う こ と に、 特 段 の 支 障 は な い」 と し て、 「抵 当 権 者 に よ る 賃 料債権の差押えより前に賃借人が取得した債権を自働債権とする相殺は、相殺適状において行われる限り、抵当権 の 物 上 代 位 に 優 先 す る」 。 そ し て、 こ れ を 修 正 す る た め に、 ま ず「差 押 え 時 に 未 だ 発 生 し て い な い 支 分 権 た る 賃 料

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債 権 … と の 相 殺 を 結 果 す る 部 分 に 関 す る 限 り そ の 効 力 を 否 定 さ れ な け れ ば な ら な い」 し、 次 に、 「第 三 債 務 者 が 差 押後に取得した債権であっても法定の原因に基づくものは、これを自働債権とする相殺の対抗を許容するべきであ る」 [山野目   二〇〇一 (下) 、三〇― 三一]とのルールを付け加える。   しかし、このように「物上代位と相殺」において民法五一一条を適用する立場については、次のような反論があ る。 す な わ ち、 「民 法 五 一 一 条 は、 差 押 え に よ る 処 分 禁 止 効 と 相 殺 の 可 否 に 関 す る 規 定 で あ り、 実 体 法 上 の 特 別 先 取 特 権 と し て の 物 上 代 位 に お け る 被 担 保 債 権 の 優 先 性 と 相 殺 と の 調 整 に つ い て 規 定 す る も の で は な い」 [杉 原   二 〇 〇 一、 二 六 六] と い う の で あ る。 学 説 に も、 こ れ と 同 様 に 述 べ る も の が あ る[山 本   二 〇 〇 一、 一 五 ― 一六、一九] [藤澤   二〇〇四、二二三― 二二四] 。   民 法 五 一 一 条 の 適 用 に 対 す る こ の 反 論 に つ い て は、 以 下 の よ う な 再 反 論 が 考 え ら れ る。 す な わ ち、 「相 殺 の 期 待」の保護を通じて、相殺が単なる抗弁ではなく、判例及び学説において「担保」の一つとして捉えられている現 在においては、第三者への相殺の対抗を認めたものと解釈することができる民法五一一条の規定は、差押債権者と 相殺の担保的機能を主張する者との優先関係を定めたものと解することも可能である。そして、民法五一一条は、 差押えが優先権を有する債権者によるか否かを問題としていない。第三債務者が相殺を対抗しているということに 着 目 す る と、 相 殺 を 対 抗 さ れ る 相 手 方 (差 押 債 権 者) が 優 先 弁 済 権 を 有 す る 債 権 者 で あ っ て も 一 般 債 権 者 で あ っ て も、 「差押え」の処分禁止効が問題となっている点に違いはない。そこで、第三債務者の相殺の抗弁は、 「物上代位 と 相 殺」 で あ っ て も、 「差 押 え と 相 殺」 の 場 合 と、 そ の 第 三 者 対 抗 要 件 を 異 に す る も の で は な い と 考 え る こ と が で きるだろう。 ⑤   債務の間の牽連性によって解決する立場 (本稿の立場) 〔深川 裕佳〕

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  以上の検討を踏まえて、本稿の基本的な立場を示した上で、本件において、相殺が認められるべきであると考え られる理由をまとめることにする。   相 殺 の 担 保 的 機 能 は、 対 立 す る 債 務 の 牽 連 性 に 基 づ い て 成 立 す る[深 川   二 〇 〇 八、 一 三 四 ―一 五 四、 二 五 三 ― 二 九 三] 。 そ し て、 こ の よ う に 成 立 し た 相 殺 の 担 保 的 機 能 は、 実 体 法 上 の 優 先 権 の 順 位 に 従 う こ と に な る。 こ れ が 本稿の基本的な立場である。この考えによると抵当権に基づく物上代位との競合は、以下のように解決される。   ま ず、 追 及 効 が 存 在 し な い 場 面 に お い て そ れ を 補 充 す る た め に 用 意 さ れ た 物 上 代 位 権 (民 法 三 〇 四 条) は、 本 来 的には賃料債権には及ばないはずであると考えられるが、仮に及ぶとしても、物上代位権が登記によって公示され ていると考えることはできない。このように、本判決の第一の理論的な問題点は、第三債務者である担保不動産の 賃借人に対しても、物上代位権が登記によって公示されているとすることにある。   つぎに、本判決の第二の理論的な問題点は、抵当権に基づく物上代位権との関係において、優先権としての地位 を認められた相殺の担保的機能を優先権を有しない一般債権者の地位において考えることにある。相殺の担保的機 能は、民法五一一条および四六八条二項を通じて認められる法定の優先権、特に債権先取特権の一種である[深川   二〇一〇a、一九三― 一九四] 。そうすると、その優先順位は、民法に規定された先取特権の優先順位を参考にする こ と が で き る も の と い え る。 民 法 は、 先 取 特 権 に つ い て、 ① 他 の 先 取 特 権 よ り 後 の 保 存 の 先 取 特 権、 ② (他 の 先 取 特 権 者 に つ い て 善 意 の) 黙 示 の 担 保 権、 ③ ① 以 外 の 保 存 の 先 取 特 権 者、 ④ 価 値 導 入 の 先 取 特 権 者 と い う 優 先 順 位 の 基 準 に 従 っ て い る[深 川   二 〇 一 〇 b、 七 九] 。 す な わ ち、 先 取 特 権 の 優 先 順 位 は、 「責 任 財 産 を 構 成 す る 担 保 目 的 物 の 増 価 に よ り 直 接 的 な 因 果 関 係 を 有 す る 行 為 者 が 優 先 す る」 と い う 一 般 的 な 基 準 で 表 す こ と が で き る と い え る [深川   二〇一〇b、七九] 。そこで、 「物上代位と相殺」においても、この基準に従って考えると、賃借人は、保存

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者と同等の地位に立つものといえそうである。なぜならば、使用を通じて、賃借人は、その不動産の維持に貢献し ている、言い換えれば、賃借人による不動産の継続的な使用がなければ建物は荒廃していくだけだからである。不 動産の抵当権者は、このような賃借人の保存によって利益を得ているということができる。このようにして、賃借 人 は、 保 存 者 の 地 位 に お い て 優 先 順 位 を 与 え ら れ る も の と 考 え ら れ る。 さ ら に、 不 動 産 保 存 の 先 取 特 権 に つ い て は、 登 記 を 備 え る こ と に よ っ て、 抵 当 権 に 優 先 す る 効 力 が 認 め ら れ て い る (民 法 三 三 九 条) 。 賃 借 人 の 場 合 に は、 賃 貸 借 契 約 の 対 抗 要 件 (賃 借 権 の 登 記、 借 地 の 場 合 は 所 有 権 の 登 記、 借 家 の 場 合 は 引 渡 し) を 備 え る こ と に よ っ て、 こ の 「登記」を備えたと同様に扱うことができるものと思われる。   ここまでの検討に基づいて、本件について考えると以下のようになる。本件では、最高裁判決において、自働債 権は、賃貸借契約とは関係のない一般的な債権と考えられているものと指摘されている[杉原   二〇〇一、二七一] ([道 垣 内   二 〇 〇 一、 三 五] に も「京 都 の 相 場 か ら み て も … 敷 金 た る 性 質 を 有 す る も の で は な く、 別 途 の 金 銭 消 費 貸 借 と 評 価 す べ き も の で あ ろ う」 と の 指 摘 が あ る) 。 し か し、 実 際 に は、 自 働 債 権 で あ る 保 証 金 返 還 請 求 権 は 旧 賃 貸 借 契 約 の 解約に伴って発生し、受働債権である賃料債権は新賃貸借契約から発生したものであって、新旧賃貸借契約の間に は、一方が他方の前提となる関係が認められる こ とから、先に述べたように両債権には牽連性がある。原審も、第 一審が「保証金返還請求権と賃料債権との相殺」であるとしたことをそのまま引用している。また、実質的にも、 こ の 保 証 金 返 還 請 求 権 に は 利 息 も 付 さ れ て い な い の で あ り、 金 融 を 目 的 と す る 消 費 貸 借 契 約 と は 異 な る も の で あ る。むしろ、敷金返還請求権などのように、賃貸借契約に付随して預託される金銭の返還請求権としての特徴が見 られる。同一当事者間で連続した賃貸借契約が締結されているにもかかわらず、第一契約と第二契約のそれぞれか ら生じた債権であるから牽連性がないとするのは、形式的に過ぎる。そこで、債務の間に牽連性の認められる本件 〔深川 裕佳〕

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においては、相殺の合意を考慮しなくても相殺の担保的機能が認められる。このように、相殺の担保的機能が成立 すると、先に述べた先取特権の優先順位に従って、賃借人Yによる相殺がXによる物上代位に優先するということ になる。加えて、本件では、平成一〇年判決におけるような回収妨害とみることができるような事実も認定されて おらず、いわゆる「相殺権の濫用」に当たることもない。 【引用文献】 荒木新五「判批(最三判平一三・三・一三) 」判タ一〇六八[二〇〇一]八六 ―八八。 生熊長幸『物上代位と収益管理』有斐閣、二〇〇三。 生 熊 長 幸「担 保 不 動 産 収 益 執 行 制 度 ―― 物 上 代 位 と の 関 係」 堀 龍 兒 ほ か 編『担 保 制 度 の 現 代 的 展 開(伊 藤 進 先 生 古 稀 記 念 論 文 集) 』 日本評論社、二〇〇六、三一。 占部洋之「判批(最三判平一三・三・一三) 」法教二一六[二〇〇一]一一四 ―一一五。 岡内真哉「判批(最三判平一三・三・一三) 」銀法二一 四五(九) [二〇〇一]六五 ―七一。 角紀代恵「判批(最三判平一三・三・一三) 」民商一二八(二) [二〇〇三]五五 ―七二。 清原泰司「判批(最三判平一三・三・一三) 」銀法二一 四五(八) [二〇〇一]七六 ―八一。 清原泰司「物上代位論――二つの最高裁判決を素材として――」桃山法学二[二〇〇三]一 ―五九。 清水俊彦「判批(最三判平一三・三・一三) 〔賃料債権への物上代位と相殺(三) 〕」判タ五二(二三) [二〇〇一]七六 ―八三。 小磯武男「判批(最二判平一〇・一・三〇、最三判平一〇・二・一〇) 」金法四七(二) [一九九九]二六 ―三四。 古積健三郎「抵当権の物上代位に基づく賃料債権の差押え」筑波二六[一九九九]一 ―四五。 小 林 明 彦 = 稲 葉 譲「抵 当 権 の 物 上 代 位 と 賃 借 人 か ら の 相 殺(抵 当 権 の 物 上 代 位 に よ る 債 権 回 収) 」 銀 法 二 一 四 三(一 一) [一 九 九 九]

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七三 ―七七。 下村信江「判批(最三判平一三・三・一三) 」阪法五一(五) [二〇〇二]九九七 ―一〇二二。 佐久間弘道「判批(最二判平一〇・一・三〇) 」金法四八(一三) [二〇〇〇]二一 ―三〇。 杉原則彦「判解(最三判平一三・三・一三) 」最判解民事篇平成一三年度(上) [二〇〇一]二五七。 高木多喜男「抵当権の物上代位と相殺」銀行法務二一 四三(八) [一九九九]三〇 ―三五。 高木多喜男『担保物権法(第四版) 』有斐閣、二〇〇五。 高橋智也「判批(最二判平一〇・一・三〇、最三判平一〇・二・一〇) 」都法四〇(一) [一九九八]六六一 ―六八〇。 田髙寛貴『クロススタディ物権法』日本評論社、二〇〇八。 鳥 谷 部 茂「抵 当 権 の 対 抗 力 を 拡 張 す る 判 決 に 疑 問(物 上 代 位 と 相 殺 の 優 劣 に 関 す る 最 三 小 判 平 一 三・ 三・ 一 三 を 読 ん で) 」 金 法 一六〇七[二〇〇一]七 ―八。 鳥谷部茂「判批(最三判平一三・三・一三) 」リマークス二四[二〇〇二]三〇 ―三三。 道垣内弘人「判批(最判平一三・三・一三) 」金法一六二〇[二〇〇一]三三 ―三六。 道垣内弘人『担保物権(第三版) 』有斐閣、二〇〇八。 升田純「判批(最二判平成一〇・一・三〇) 」金法一五二四[一九九八]四四 ―四七。 松 岡 久 和「賃 料 債 権 に 対 す る 抵 当 権 の 物 上 代 位 と 賃 借 人 の 相 殺 の 優 劣(一) ~(三・ 完) 」 金 法 一 五 九 四[二 〇 〇 〇] 六 〇 ― 六八、 一五九五[二〇〇〇]三三 ―四五、 一五九六[二〇〇〇]六六 ―六九。 山本克己「抵当権に基づく物上代位と相殺」曹時五三(八) [二〇〇一]一 ―二八。 山 野 目 章 夫「抵 当 権 の 賃 料 へ の 物 上 代 位 と 賃 借 人 に よ る 相 殺(上) (下) 」 N B L 七 一 三[二 〇 〇 一] 六 ―一 二、 七 一 四[二 〇 〇 一] 二八 ―三三。 山野目章夫『物権法(第四版) 』日本評論社、二〇〇九。 深川裕佳『相殺の担保的機能』信山社、二〇〇八。 〔深川 裕佳〕

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深川裕佳「相殺の担保的機能――優先権付与の理論的構成」 」私法七二[二〇一〇a]一九一 ―一九七。 深 川 裕 佳「先 取 特 権 の 優 先 順 位 の 決 定 方 法 に つ い て の 一 考 察 ―― フ ラ ン ス 民 法 典 に お け る 特 別 先 取 特 権 の 順 位 を 参 考 に し て」 洋 法 五四(一) [二〇一〇b]四三 ―八四。 藤澤治奈「判批(最三判平一三・三・一三) 」法協一二一(一〇) [二〇〇四]二一四 ―二三九。 我妻栄『新訂・担保物権法』岩波書店、一九六八。 ―ふかがわ   ゆか・法学部准教授―

参照

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記)辻朗「不貞慰謝料請求事件をめぐる裁判例の軌跡」判夕一○四一号二九頁(二○○○年)において、この判決の評価として、「いまだ破棄差

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〔追記〕  校正の段階で、山﨑俊恵「刑事訴訟法判例研究」

目について︑一九九四年︱二月二 0

その認定を覆するに足りる蓋然性のある証拠」(要旨、いわゆる白鳥決定、最決昭五 0•