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【学位論文審査の要旨】

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Academic year: 2021

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【学位論文審査の要旨】

作業療法士は,ICFでいう活動や参加の視点でクライエントにサービスを提供できる 専門職である.しかし,高齢者の生活期リハビリテーションでは,「関節可動域訓練」「筋 力増強訓練」「歩行訓練」などの心身機能に関するプログラムに偏っていることが指摘され ている.こうした状況を改善するため日本作業療法士協会は,OTRの地域生活支援スキル 向上や改善に努め,組織の底上げを図ることを急務の課題とし,また,同様の意味で世界 作業療法士連盟は,各国でコンピテンシーの開発を推奨している.本研究は,超高齢社会 に対応するための「地域包括ケアシステム」における生活期リハビリテーションに携わる 作業療法士にとって熟練した専門職への指標・役割となる可能性がある.

本研究は,高齢者の生活期リハビリテーションに携わる作業療法士に必要なコンピテンシ ーを抽出した副論文1と,その知見を基盤に,コンピテンシー自己評価尺度の妥当性・信 頼性を検討した主論文,そしてその尺度を用いた高齢者の生活期リハビリテーションに携 わる作業療法士のコンピテンシーに関連する諸要因を検討したものである.

副論文1は, 生活期リハビリテーションにおける専門家基準を想定し,その基準を満たす 作業療法士を対象としたフォーカスグループインタビューに始まる4段階のデルファイ法 によってコンピテンシー項目を抽出し,7カテゴリー68 項目からなる本研究の基となるコ ンピテンシー項目を明らかにした.

主論文は,副論文1におけるコンピテンシー項目を暫定版として,363名のデータから探 索的因子分析および共分散構造分析を用いた確証的因子分析を実施した結果,30 項目5因 子(【専門職として地域に関わる能力】【共有・協働能力】【生活視点の臨床実践能力】【柔 軟に対応できる知識力】【寄り添う力】)の十分な信頼性・妥当性を有した尺度が開発され た.

副論文2においては,生活期の作業療法士は5因子のうち【専門職として地域に関わる 能力】がもっとも低いことが明らかになり,コンピテンシーには「研究活動の経験の有無」

「コンピテンシーへの関心の程度」が関連し,「臨床経験年数」との関連性は認められなか った.これらについて,経験の長さではなく質が重要であり,そのための研究活動の推進 には臨床家だけではなく研究者との相互連携の構築が課題であり,そうした中で培われる コンピテンシーへの関心の高さは臨床実践で重要な省察力につながり,課題解決までのプ ロセスが自律的に行われるいわゆる熟練作業療法士への可能性を示唆した.

各論文はテーマに即したものであり,論理的に構成されており,論旨も一貫している.

また,資料の収集及び分析方法には確立された方法を用いている.コンピテンシー概念を 評価尺度という具体的な形で示した点で我が国の作業療法に充分寄与する内容である.

最終試験において,プレゼンテーション及びコミュニケーション能力ともに十分で,国 際的な場での活躍にも意欲的であり,関連分野に関する十分かつ幅広い知識,研究者とし

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ての熱意,今後の展望を有していることも確認され,さらなる研究に対する意欲も認めら れた.また,本尺度の活用法について答える中で,学生に地域での実践を教育していくた めのツールとしての活用を示唆するなど,教育的な観点を持ち合わせていることも確認さ れるなど,総合的に,本研究領域の知見について深く理解していると考えられた.

以上のことから,本研究の趣旨および内容,そして質疑応答を総合的に判断し,本研究 が博士論文に値すること,著者が博士の学位(作業療法学)に相当することを認める.

参照

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