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光を応用した歯科治療の過去と未来

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Academic year: 2021

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 近年歯科治療にレーザーを応用することが普及 している。レーザーは今や様々な電化製品に使用 されており,現代社会になくてはならない特別な 光となっている。多くの人々に認知されているこ のレーザーと呼ばれる光は自然に存在している自 然光ではなく,人工的につくられた光である。自 然光とは様々な波長の光の集合体であり,そのた め自然光は同調した均一性を持たずに四方八方に 向かって光が広がっていく。蛍光灯などの光を当 てると広い範囲が明るく照らされるのはそのせい である。一方レーザー光は同一の波長のみを収束 して発振させているので,レーザーポインターや レーザーライトにみられるような一点に集中した 光となる。最初のレーザーは1960年に

Thodore H.

Maiman

により発振されており,実のところ60年 も経っていない新しい光である。しかしその後

Nd:YAG

レーザー,

Er:YAG

レーザー,炭酸ガス レーザー,半導体レーザーなど様々なレーザーが 開発され,医療および歯科医療にも使用されてい る。これらレーザーの多くは,光の集光により得 られる高出力の熱エネルギーを利用して組織の切 開や蒸散などの目的に使用されている1,2)。しかし 近年,低出力の光による殺菌作用への応用が試み られている。この方法は,低出力のレーザーまた は同じ波長領域の光と,その波長の補色となる色 素を併用することで,活性酸素の一つである一重 項酸素を発生させ,殺菌効果を発揮させる方法で ある。この殺菌法は

,

光感受性物質を取り込んだ ゾウリムシが光を当てることで死滅することを 1900年に

Oscar Rabb

が偶然発見したことに始ま る。 本 殺 菌 法 は 光 線 力 学 療 法(

Photodynamic theraphy:PDT

)と呼ばれ,現在細菌や真菌の殺 菌のほか,癌治療にも応用されている。

PDT

よる細菌法のメカニズムは光に特異的に吸着する 光感受性物質を事前に投与し,その光感受性物質 が反応し易い光源(低出力レーザー等)を細菌に 照射することで上記したように活性酸素の一つで ある一重項酸素やフリーラジカルを励起させる。

その結果,これら産生された活性酸素やフリーラ ジカルにより殺菌を起こさせるというものである3) 光源としては赤色の光を出す可視光線領域の半導 体レーザーまたは,同波長領域の

LED

が主に使 用されている。その際の照射出力は皮膚にあてて も熱さを感じない程度の低出力が使用される。ま た光の補色となる光感受性物質としては,トルイ ジンブルーやメチレンブルーが主に使用されてい る。治療対象として歯周病,根管治療における殺 菌を目的として主に使用されており,その効果を 報告する論文は国内外において幾つも報告されて いる。さらに齲蝕治療への応用についても徐々に 検討が始まっている。この殺菌法は抗生物質とは 異なり,生体に副作用を生じるリスクが殆どなく,

安全な殺菌法として注目されている。

PDT

以外の 光殺菌法として,青色光による殺菌法も近年注目 を集めている。本法は光感受性物質を塗布せずに そのまま青色光(青色

LED

や低出力アルゴンレー ザーなど)を照射して殺菌力を発揮させることを 目的としており,現在ニキビの原因となるアクネ 菌,

MRSA

感染症の原因菌である黄色ブドウ球菌,

カンジタ菌などの殺菌効果が報告され,すでに一 部臨床応用もなされている。本法がどの細菌に効 果があるかは現在のところ研究段階であるが,近 い将来歯科治療への応用も実現するものと期待さ れる。光を用いた治療法が今後,歯科治療に普通 におこなわれる日もそう遠くないものと思われる。

文   献

1) 青木 章,和泉雄一編著:歯科用レーザー 120% 活用術 第一版 デンタルダイヤモンド 東京  2012.

2) Wigdor, H.A., Walsh, J.T. Jr., Featherstone, J.D., Visuri, S.R., Fried, D. and Waldvogel, J.L. : Lasers in dentistry. Lasers Surg Med 16;

103-133 1995.

3) Allison, R.R. and Moghissi, K. : Photodynamic therapy (PDT) : PDT Mechanisms. Clin En- dosc, 46;24-29 2013.

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光を応用した歯科治療の過去と未来

奥羽大学歯学部歯科保存学講座保存修復学分野 山田 嘉重  ト ピ ッ ク ス

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