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56:37‑44,2005

条虫の石灰小体の性状 とその機能

内 理

抄録 すべての条虫類は,石灰小体 と呼ばれ るミネ ラル を多量 に含む構造物 を持 っている. これが条虫の生存 ・寄生適応 に深 くかかわっている可能性が強 く示唆されている. しか しなが ら,その機能につ いては分子生物学的な側面か らの知見 も含め未 知の部分が多 い. この総説では, これ までの知見 を基 に,今後,石灰小体 に係わるタンパ ク質や遺伝子発現な どの研究が どの よ うに進んでい くか考察 した.

弘前医学 56:37‑44,2005 キーワー ド:条虫;エキ ノコックス;石灰小体;機能.

REVIEW

PROPERTIESAND FUNCTIONS OF CESTODE CALCAREOUS CORPUSCLES

ArihiroOsanaiand HaruoKamiya

Abstract Allcestodescontainmineralconcretionstermedcalcareouscorpusclesandtheseconcretionsarelikely tobeinvolvedintheparasitesurvivalinhostenvironment.Nevertheless,theprecisefunctionofcalcareouS corpusclesisstillunclearandhasnotbeenstudiedfrom theview ofbiochemistryandmolecularbiology.This review intendstosummarizethepublishedliterturesabouttheproperties,formationandfunctionofcalcareous corpusclesandtodiscusshow thebiochemicalandmolecularbiologicalapproachesoncalcareouscorpusclesWill beconcernedinthehostparasiterelationship.

HirosakiMed.J. 56:37‑44,2005

Ⅸeywords:cestode;Echinococcusspp.;calcareouscorpuscles;function.

1.緒

石灰小体 (Calcareouscorpuscles)は,m 特徴付ける構造物である.古 くは,18世紀 にすで に石灰小体 に関す る記述が あるが1',実 際 に生物 学的な研究 が始 まった のは1950年以降で,構成 成分,形態,形成過程,化学的性状な どについて の報告がな されてきた. しか し,石灰小体が,条 虫の寄生 ・生存 にいかなる役割 を果 た しているの か,つま りその機能 につ いてはほ とん ど明 らかに

されて いない.今後, エキ ノコックス症な ど難治 性幼条虫症 の駆虫薬開発 のために,条虫の巧みな 寄生戦略 を解析 し,そ の機能 を明 らか にす る過程 は避 けて通れない. この総説 にお いては, これ ま での石灰小体 に関わ る情報 を整理 し, また最近少 しずつ報告 され るよ うになってきた石灰小体 とタ ンパ ク質 との係わ りについて まとめ, さ らに石灰 小体 とい う条虫特有な構造 を標的 とした駆虫薬 の 開発 の可能性 を探 りた い.なお,石灰小体 の生理 学的研究 に関 しては,簡潔 にかつ網羅的 にまとめ

DepartmentofParasitology,Hirosaki UniversitySchoolofMedicine

Correspondence:H.Kamiya

Receivedforpublication,January20,2005 Acceptedforpublication,Janurary31,2005

弘前大 学 医学部 医学科 寄 生虫学講 座 別刷請求先 :神谷晴夫

平成17 120日受付 平成17131日受理

(2)

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1 多包虫よ り精製 され

た石灰小体.

(A)さまざまな大きさや形状

の石灰小体が見 られ る.

(B)層状の膜構造が見 られ るもの (▲),形成途 中と思われ るもの (

I),内部が層状 ではな く空洞様 に見

えるもの (△)な どさまざまな構造 の石灰小体が見 られ る.

られた総説があるので

そ ち らも参考 に して いただ きたい12.).

灰小体の性状 2‑1 石灰小体の大

きさと形

石灰 小体 の大 きさにつ いては,異な る

条虫種 間 で, あるいは同 じ種 の中で あって も,地

域や宿主 の違 いな どによ り変異が ある

とされ るが,一般 的 に 7‑ 3

4mで あ る2'. た だ し , 有 鈎 嚢 虫 (Cysticercuscellulosae)の石灰 小

体 は小 さ く1.5‑

6mで あ り, これ は後 述す

るそ の形成過程 の違 い にも関連がある と考 え られ

3).

形状 につ いては,球形 または卵形で あ

るが,す べてが平滑な表面ではな く,で こぼ こや突起

が あ るもの もある2‑ 24・5)(1).

2 石灰小体の形成過程 石灰 小体 の形成 につ いて

は,幾種類かの条虫 に つ いて詳細 に研 究 されて いる

(3)

これ は,後 に機 能 の項 で述 べ るよ うに,石灰 小 体 に蓄 え られた リン酸が幼虫の発育の際 に利用 さ れている, という説 を支持す る結果である.von Brand2)は, このあ と種 々の条虫類 の石灰小体 について リン酸含有量 を調べているが,ネ コ条虫 の成虫の場合,感染 したネ コの個体 によって石灰 小体 の リン酸含有量が異なるという結果があ り, 石灰小体 の構成成分 に宿主 の栄養状態 との関連が 強 く示唆 されている.

ただ し, 石 灰 小体 の無機 成分 につ いて は種 間 で少 しず つ異 な って い る.例 えば, 大複殖 門条 虫Diplogonoporusgrandisでは,カル シウム に富ん だ石灰小体 と鉄 に富んだ石灰小体がある ことが,

Ⅹ線解析 によって示 されて いる し18',Trilocularia acanthiaevulgarisではカル シウムに富んでいるがマ

グネシウムはな く,硫黄 が含 まれ る という報告 も ある6'. ただ し,それぞれ の金属が存在す る意義 については これか らの課題であ り, また,各条虫 においてすべての石灰小体が同 じ金属イオ ン組成 を持つのか,別 の金属イオ ン組成 を持つ石灰小体 が混在す るのか も検討す る必要がある.

2‑3‑2 有機成分

ネコ条虫石灰小体 の有機成分 に関 しては,ガ ラ ス製ホモジナイザー を用 いて機械的 に組織 を破砕 した後,遠心 とろ過 を繰 り返 して精製 した石灰小 体 を用 い,常法 に したが って各成分の含量が検討 されて いる14).炭水化物 に関 しては, ム コ多糖類 は確認 され るが グ リコーゲ ン様 の糖質 は確認 され て いない. ただ し,水溶性 の多糖類は石灰小体 の 調製過程で失われた可能性があ り実際 にどのよ う な多糖類が含 まれるかは検討 されていない14)

脂質 につ いては,680mgの石灰小体 か ら477〃g の脂 質 が抽 出 され た とい う記述 が あ り,含 有 量 0.07%とい う数字 は,条虫全体 の比率 に比べ小さ い. また,その内訳では,通常細胞 を構成す る脂 質二重膜 の主構成成分である リン脂質が全脂質の 19%で あ り, 虫体細胞 にお ける50%に比べて少 ない. これ は,石灰小体 が細胞膜で囲まれていな いことに起 因すると考え られている14).

タンパ ク質 については,窒素含量 に して0.29‑

0.61%であ り, これ もまた微量である. アミノ酸 組成 を調べ ると,虫体 の細胞 の組成 とよ く似てい るが,カル シウム と相互作用 し骨 を形成す る基盤

となるコラーゲ ンに含 まれ るヒ ドロキ シプロ リン が検 出されず, コラーゲ ンは存在 しな い とされて いる.最近,筆者 らは多包虫の石灰小体 に存在す るタ ンパ ク質 を酸 によって抽 出 し, さ らに濃縮 し たサ ンプル を用 いてSDSポ リアク リル アミ ドゲル 電気泳動 を行 い,バ ン ドパター ンを調べた.その 結果,包虫組織全体 か ら抽 出 したタ ンパ ク質 を電 気泳動 した場合 と異な り,特 に分子量,64kDa, 16kDa,10kDa,8.5kDa付近 に特 に濃 いバ ン ド が検 出された (長 内 ら,投稿準備 中, 図 2). これ

らのタ ンパ ク質の機能 については,現在進展 して いるアミノ酸配列 の解析や,分子生物学的手法 に よ り明 らか になってい くと期待 される.

2‑ 4 Mesocestoidescortiについて

これ まで は, ネ コ条 虫 を用 いた研 究 を中心 に 石灰小体 の構造 ・構成成分 について述べてきたが 最後 にMesocestoidescortiを用 いて行われた実験 に つ いて簡単 に触れ る.基本的な構造や構成成分 は 変 わ りな いが,重要 な点 は,M.cortiの幼 虫型 テ トラチ リジウム を感染 させたマ ウスの飲み水 に, プロー ブとしてス トロンチウム を添加す ると,石 灰小体 の成分 にス トロンチウムが検 出 され る こと である16'. これは,invitroで培地 に加 えた場合 に も同様で,他 に批素,ベ リリウム,カ ドミウム, 鉛, ウ ラ ンな どを プ ロー ブ と して用 いた場 合 も 同様 に石灰小体 に取 り込 まれ る17'. この ことは, 条虫が石灰小体 の形成 に必要な金属 を,宿主 もし

くは環境 中か ら取 り込 んで いる ことを示唆す る非 常 に興味深 い実験結果である. これ と関連 して, 当研究室で も多包虫 を感染 させたマ ウスでは血清 中のカル シウム濃度が高い という知見 を得てお り (塩谷 ら,未発表),エキ ノコ ックス虫体 が宿主 に 働 きかけてカル シウム を供給 させ取 り込み を促進

している可能性 を推測 させる.

3.石灰小体の機能の考察

これ まで述べたよ うに,石灰小体 は特徴的な構 成 を してお り, また一部 の吸虫,線虫 に類似 の構 造 物 が兄 いだ され る ものの, す べて の条 虫 に必 須 の構造物であ り,条虫の生存 に重要 な役割 を果 た している ことが予想 され る. しか し石灰小体 の 機能 に関す る研究は,構成成分が解 明されてか ら 50年近 く経 った現在で もほとん ど皆無 に等 しい.

(4)

(A)12.5%ゲルを用いたSDS‑PAGE (B)トリスー トリシンSDS‑PAGE

1 2 3 4 5 6

0005055075211 07505532212 包虫石灰小体に存在するタンパク質.レーン1,4包虫由来のタンパク質レーン2,5原頭節由来のタンパク質レーン3,6石灰小体由来のタンパク質石灰小体に特

徴的なタンパ ク質 (‑)が存在する.

ただ し,そ

の機能 については間接的な実験 によっ て, い くつ

かの推測 がな されている. ここでは, 石灰小体 の

機能 を示唆す る研究 について,筆者 ら のグルー プ

の知見 も含めて考察 したい.

石灰 小体 の性 状 と同様 , 機 能 につ いて もネ コ 条虫 を用 いた研究が行 われて いる10). さまざまな

培養系でネ コ条虫の成虫,幼虫 を培養 し,その中 で,石灰小体

の数が いか に変動す るかが検討 され て いる.幼虫形 につ いて

は,培地 のpHと酸 素濃 度 につ いて, 弱酸 性 ・弱

アル カ リ性 ,通常酸 素 濃度 ・低酸素を組み合わせ

た培養 を行な った とこ ろ,弱 アル カ リ性 よ り弱酸性

,通常の酸素濃度 よ り低酸 素濃度 の方が石灰小体

の消費が速 い ことが 明 らか にされている. この結

果 よ り,石灰小体 が 酸 の中和 に使われてお り, ま

た,低酸素濃度 で消 費量が速 い ことは,嫌気的なエネ

ルギー産生で生 じた コハ ク酸や酢酸 な どの酸 を中和す るの

に,石 灰小体 が使われている可能

性が考 え られ る. さ ら に,ネ コ条虫 に感染 したマウス にRI標識 した

リン 酸 を投与す ると,それ らが石灰小体 に取

り込 まれ るとい う知見 もある12'. これ らをまとめる と,石

灰小体 は,幼虫の発育期な どでに リン酸 を迅速 に供給す るた ATPが必要な時期

(5)

3 多包(条)虫の生活環.

日本では北海道 において,主 に終宿主 としてキタキツネ と中間宿 主 としてエ ゾヤチネズ ミの間で生活環が保たれている.

4 多包虫によ り侵 されたスナネズ ミ肝病巣の組織切片 (H

.E.染色). 石灰小体 (▲)が多数見

受 け られる.

granulosus)が ある. こ

こでは,特 に国内 にお い て も多発す る多包虫症 につ いてのみ述べ る.多包

条虫はキツネやイ ヌな どを終宿主, 自然界 に生息して いるエ ゾヤチネズ ミClethrionomysrufoc anus bedfordiaeな どを中間宿主 と

して生活環が成立 して いる (3).キツネやイ

ヌの糞便 中に排 出された 虫卵 を, ヒ トが何 らかの

形で経 口摂取す る ことに よ り感染がお こる. 中間

宿主であるヒ トでは,成 虫ではな く包虫化,つ ま り幼虫

の状態で増殖 を続 け,極端な例では肝臓 の大半 を

占めるまで に発育

す る場合 もある.現在,治療は外科的な病巣の切 除 に依存 してお り,有 41 効な化学療法剤 の開発が待 たれている寄生虫症の

1つである20・21)

このエキ ノコックス の

増殖,分化 にお いて石灰 小体 はいか に関わ って いる

のだろうか ?石灰小体 は,腔芽層,繁殖胞 な らびに

原頭節で認め られ る が (4),形成は腔芽層な らびに

繁殖胞で起 こる

8).肱芽層 な らび に繁殖胞 に存在す る

石灰小体 は 大 きさが30mと大 き く (1),

原頭節に存在す る ものはそれ に比 して小 さい2息22).ェキ

(6)

条虫の場合 と同様,石灰小体が縮 小す る. これ は 片節形成 を伴 って成虫になる場合で も,包虫化す る場合で も共 に見 られ る現象である23).以上 を考 える と,エキ ノコ ックス において も発育期 の栄養 の供給源 としてはた らいて いる可能性が強 く示唆 され る.

5.石灰小体の機能 に関与するタンパ ク質

これ まで述 べ た よ うに,石 灰 小体 の研 究 は結 晶学 的解 析 を用 いた構 成成分 の研 究, 顕微 鏡 を 用 いた形態 学 的 な研 究 に限 られ て いたが, 最 近 にな って,石灰 小体 に何 らか の係 わ りを持 つ タ ンパ ク質が同定 され始 めている.単包虫症患者血 清 を用 いたcDNAライ ブラリーのス ク リーニ ング によ ってEF‑handと呼 ばれ るカル シウム結合 モ チー フを持 ったタ ンパ ク質のcDNAが単離 され, 組み換 えタ ンパ ク質 を用 いて作製 された抗体で, 単包虫の原頭節の切片 に対 し免疫染色 をお こな っ た ところ,石灰小体 が染色 された24). このタ ンパ ク質 につ いてはアミノ酸 の部分配列のみ示 されて いるが,16個 のEF㌧handモチー フを持 ち,実 際 SDS‑PAGE後 ,45caを用 いた実験 にお いて, カル シウムに結合す る ことが示 されて いる24'. こ のタ ンパ ク質 につ いては,患者血清 を用 いたス ク リーニ ングで とられてきた と言 う点 も興味深 く, 生理的な機能が明 らかになる ことが期待 され る.

また, マ ンソン裂頭条虫の幼虫 (マ ンソン孤虫, Sparganum mansoni)抽 出物か らも,疎水性相互作 用 を利用 したクロマ トグラフィー によってカル シ ウムに結合す る10kDaのタ ンパ ク質が精製 され, 前述 の実験 と同様,抗体 を作製 して幼虫内の石灰 小体 に局在す ることが兄 いだされている24).

さ らに, マ ンソン孤 虫の石灰小体 をFicollを用 いて精 製 し, これ と同幼 虫抽 出物 とを反応 させ て,結合す るタ ンパ ク質 の存在 を調べ る実験 も行 われて いる26'. これ によって,マ ンソン孤虫の抽 出物の中に,石灰小体 と結合す るタ ンパ ク質が複 数存在す る こと, さ らにマ ンソン孤虫以外で も, 有鈎嚢 虫や ウ ェステル マ ン肺 吸虫 (paragonimus westermanii)な どの抽 出物 の中にもマ ンソン孤 虫

由来 の石灰小体 に結合す るタ ンパ ク質が存在す る ことが明 らか にな った26). このよ うに種 を越 えて 石灰小体 に結合す るタ ンパ ク質が存在す る ことは

系統発 生学的に石灰 小体が普遍的 に何 らかの重要 な機能 を果た している ことを推測 させ る.

筆者 らは,多包虫の石灰小体 な らびに原頭節抽 出物 を用 いて 同様 の実験 を行 い,確か に原頭節 に は石灰小体 に結合す るタ ンパ ク質が存在す る こと を示 している (投稿準備 中).

最近 になって,単包虫でEgA31というタンパ ク 質が石灰 小体 にも存在す る ことが報告 された27'.

このタ ンパ ク質が,単包虫の中で どのよ うな機能 を果た しているかは興味深 い.

多包 虫の石灰小体 には,2‑3‑2の項で述べ たよ うに,特異的な タ ンパ ク質が存在す る (投稿 準備 中 ;図2). これ らのタンパ ク質は,石灰小体 に存在す る全タ ンパ ク質 に対す る割合が非常 に高 く何 らかの役割 を担 う可能性が推測 され るが,莱 際 どのよ うな機能 を持つタ ンパ ク質か,現在 アミ ノ酸配列解析な どによって解析が進んでいる.

これ まで,石灰小体 はタ ンパ ク質のかかわ りか らの研究 ・議論が され る ことは少なかった.それ は 「タ ンパ ク質含有量は少ないとい う結果が, 生化学的な研究 を遅 らせた原 因か もしれない. し か し, このよ うに石灰小体 に局在す るタ ンパ ク質 が発見 されてきてお り, これ らのタ ンパ ク質 の性 状 を分子生物学的 に詳細 に調べ る ことは,新たな 石灰小体関連 タ ンパ ク質の探索 とあわせて,重要 な発展的課題 となって くるととらえている.

6.今後の方向性

エキ ノコ ックス には効 果 的 な既 存 の殺 虫薬 は な い. そ の一 因 と して包 虫 の最 外 層 が クチ ク ラ 成分 で構 成 され,構 造 的 に薬剤 が包 虫 の 内部 に 浸透 しな い ことによ るとも考 え られて いる20). た だ,アルベ ンダゾール (albendazole)な どのベ ン ズイ ミダ ゾール 系薬剤 は包 虫病 巣 を縮 小 させ る 28'.ェキ ノコ ツクス は,不顕性感染時期 を経て発 症す るが,その時 には病巣が大 き くなってお り, 唯一 の完 治法 と して の外 科 的手術 によ る侵襲 も 大 き い. このよ うな背 景 か ら, 病 巣 を効 果 的 に 小 さ くす る, あ る いは完 全 に死 滅 させ る抗 エ キ ノコ ックス薬 の開発 が切望 され る.化 学 療 法剤 の開発 で は, まず ,標 的分子 を定 め る ことが望 まれ る. したが って,石 灰 小体 の機 能 に必 須 な タ ンパ ク質 を同定で きれば,そのタ ンパ ク質 の阻

(7)

害剤が抗エキ ノコ ックス薬 の候補 とな る可能性 は 高 い.現在 では, コンピューター を用 いたSBDD (StructureBased Drug Design)によって, タ ンパ ク質 の3次元構造 か ら薬剤 の設計 をお こな う 技術 が進 展 し,活 用 され て いる29). また, タ ン パ ク質 が あ る程度 しぼ られ, またそ のタ ンパ ク 質 の遺伝子 クローニ ングができればRNAi(RNA interference,RNA干渉法)を用 いて,求めるタ ンパ ク質の遺伝子 の発現 を抑 え,そのタンパ ク質 の生体内での機能 を予想す る ことも可能である.

エキ ノコ ックスの場合,RNAiに関 しては方法論 が確立 して いないが,住血吸虫や線虫な どではす で に報告 が あ り3034), この系はエキ ノコ ックス に も応用可能であろう.

石灰小体 の機能の解 明は,宿主 一寄生虫相互関 係 という観点か ら生物学的 にとらえて も非常 に興 味深 い し,治療 とい う視点か ら医学的 にとらえて もとて も魅 力的 で あ る.今後 ,石灰 小体 の研 究 が,分子 レベルで進展す る ことを大 いに期待 した い.

本総説 は,2003年第2回弘前医学会優秀発表 賞受賞対象の研究 を敷宿 し考察 した.

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参照

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