• 検索結果がありません。

弘前大学教育学部紀要 第

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "弘前大学教育学部紀要 第"

Copied!
16
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

弘前大学教育学部紀要 第

84

号 :

79‑94(2000

10

月)

Bull.Fac.Educ.HirosakiUniv.84:79‑94(Oct.2000)

市民オンブズマン運動における社会教育の諸問題 Pr o b l e mso fAd u l tEd u c a t i o ni nt h ePr i ma r ySt a g eo f

Ci t i z e n I sOmb u d s ma nMo v e me n t s

大坪 正一*・横井 常矢* *

ShoichiOTSUBO*andTsuneyaSAKURAI**

81

論文要旨

1995

年頃か ら全国的に広が り脚光を浴びてきた情報公開 ・市民オ ンブズマン運動における教育的側面の課 題について,実証的に研究す る。 この運動を地域づ くりの実践 をめ ぐる教育‑学習活動 として とらえ,社会 教育実践の中に位置づける と同時に,特に,「 お任せ民主主義の克服」を目的 とする住民 自治の発達 とい う課 題において考察す る。全国市民オ ンブズマン連絡会議に結集す る各地の代表者アンケー ト調査によって,初 期の段階の組織のあ り方には

3

種類のタイプが認め られたが,専門家 中心の少数精鋭型組織における 「 逆の お任せ民主主義」の課題があること,学習の位置づけの弱 さ等が指摘 された。また,先進事例 として,仙台 市民オ ンブズマンタイア ップグループの調査では,会員の中に積極派 とお任せ派があるよ うに見えるが,学 習要求の違いが関わ り方の違いに現れ ることか ら, これ らの矛盾に対する組織の活動内容のあ り方や,学習 要求に応 えてい く課題を提示 した。

キーワー ド :市民オ ンブズマン運動,情報公開,お任せ民主主義,地域づ くり

Ⅰ.市民オ ンブズマン運動の展開 と社会教育

1

.は じめに

日本社会教育学会では「 地域づ くりと社会教育」

とい う課題研究の分野があ り,地域の現実を反映 させた実践 と,そこか ら兄いだ され る社会教育の 理論研究が取 り組 まれている。筆者 ( 大坪) も農 村地域を対象に数回報告を行 った ことがあ り, こ のテーマの研究を総括 した うえで,そこには,①

「 地域づ くりを支える ( 公的)社会教育のあ り方」

を検討するもの と,② 「 地域づ くりに結びつけて 社会教育の理論 を創出する」 とい う

2

つの研究方 向があったことを指摘 してきた。1 )

特に後者に関 しては,研究は単に住民運動や地 域学習運動のあ り方を検討す るだ けではな く,学 問研究上の方法が問われる分野であった とも思わ れ る。地域づ くりは人間発達の過程 に結びついて お り,人間発達の原理であるか らこそ社会教育学 の対象 として地域づ くりがあることを認めざるを

得ないのである。そこか ら,社会教育の学問研究 の単盤 としての 「 社会教育実践」を,「 地域づ くり の実践 をめ ぐる教育 ‑学習活動」 として措定 して み ることを試みた。 もし社会教育の科学を作るな ら,一個の独立 した科学はその科学の対象 となる 事実が全一体 として備えている特殊性 を土台 とし て成 り立つ ことか ら,要素ではな く固有な基本的 特質のすべてを備えた部分を検討することが必要 である。 自己教育,学習,人格の発達などを単位 とするな らば,わざわざ社会教育学を持ち出さな くて も教育学で よいのである。地域づ くりの中に 具体化 されている 「 社会教育」の諸関係の矛盾 と 止揚の道を実証的に明 らかにす ることは,以上の 課題に結びつ くものである と考えたのである。

社会教育の科学を問題 にする中で,「 社会教育実 践」の概念が検討 され始めたのは

60

年代後半のこ とである。そ こでは,学問の対象 としてある 「 社 会教育実践」は,「 社会教育活動 における教育実践」

では狭すぎるとい うことが問題 にされていた

。2)

* 弘前大学教育学部教育学科教室

DepartmentofPedagogy,FacultyofEducation,HirosakiUniverslty

* * 東北大学大学院

GraduateSchoolofScience,TohokuUniverslty

(2)

82

大坪 正一 ・樽井 常矢

90

年代にいた って,鈴木敏正氏は労働 内容論的視 角か ら社会教育実践概念 を再構成す る試みを行 っ ている。社会教育実践 を地域住民の 自己教育活動

とそれ を支える社会教育労働 の統一 として定義 し,

「 主体形成 ‑エンパ ワー メン トの教育学」 を提唱 す る。「 主体形成の時代」と言われ る現代 において, 現代的人格 を 「 地域住民」として把握 し,「 地域 に おいて 自己実現 と相互承認の領域 を拡大 し,その 基盤 を蓄積 してい くこと

」3)

であ り,そ こに主体 形成の課題 を見る。地域 における 自己教育運動 と 社会教育労働 の結合の課題である。

日本の 「 社会教育総体を創造 してい く実践」( 権 利 としての社会教育の実現な ど)を問題 にす るな らば,国民の幅広い 自己教育運動 を対象 とす る分 析を必要 とす る。それは理念ではな く地域の中で 具体的に存在す るものである。 よって, この課題 は実証的に検討 されなければな らない。そのなか では,「 生活の矛盾 を反映 して生まれてきた」運動

‑大衆運動 とその教育的側面に注 目す る。なぜな らば,それ らは教育 ‑学習が先に存在す るのでは な くて民衆の即 日的な運動 としてまず発現 してい くか らである。そ こに社会教育労働が関わ ること, その意義は 「 教育が教育 され る」 とい う課題 にま でつなが って問題 にされ ることである。「 教育が教 育 され る」過程‑ と視野 を拡大す ることによって, 社会教育総体の創造を問題 にす ることができるの である。

そ こか ら,社会教育実践 を実証的に明 らかにす ることは,「 個人の 自立 ‑発達」とい う領域 よ りも, 地域づ くりとの関連でみ ることが不可欠である。

大衆運動 を社会教育の科学 との関連で とらえる研 究は以上の課題で取 り組 まれ るべきである と考 え る。それはまた,宮原誠一元学会長が提唱 してい た 「 社会教育学会 は泥臭いアカデ ミズムを 目指す」

とい うこととつなが っている といえまいか。

2.

市民オ ンブズマ ン運動の社会的背景

今回の課題は,近年新 しい地域づ くり運動 とし て台頭 してきた情報公開 ・市民オ ンブズマン運動 を事例 に取 り上げ, この運動を地域づ くりの社会 教育実践 として位置づけ,現段階を分析す る。

なぜ市民オ ンブズマン ・情報公開運動か。それ は,現段階の地域づ くり運動の到達点を示 してい るか らである。資本主義発展の現段階において, 地域づ くりの課題その ものが変化 していることで

ある。地域の住民運動 として取 り組 まれている も のが, シングルイ ッシューの運動 として始まった として も,それ らが地域づ くりの総体 に 目を向け ざるを得な くなってきた ことがあげ られ よ う。

階級社会 における住民運動には,階級的運動 と それ以外の運動の 2種類がある。階級的運動 とは, 階級 に基礎 をお く不平等 に対 して生産諸関係の再 組織化を 目指す階級闘争 としての運動であるが, それ以外の運動 といわれ る ものは,市民運動な ど 階級闘争 に還元できない領域な どで存在す るもの である。後者は階級的運動 を拒否す る運動 ( 無党 派 とい う党派) と階級的運動 と連帯す る運動 ( 多 党派の運動)に分かれているが,市民運動の歴史 的展開では参加者 ・階層を拡大 していきなが ら, 対象 とす る領域 を拡大 していった ことが重要であ る。特 に

,80

年代の生涯学習政策 ( 臨教審) によ っては,社会教育の運動 もその中に関わる基盤が 与え られた ことが大きな意義 を持 っている。

その過程で,市民運動のなかに市民 自身の捉え 方の変化が起 こってきた ことがあげ られ る。鈴木 氏は 「 市民」にお ける社会的個人 と私的個人の分 裂や矛盾 の止揚 を課題 としているが,一連の過程 の中で矛盾 の自覚が深まってい った ことは事実で あろ うし,そのことによって,市民運動 自体 も質 的に変化 してきたのである。 また,以上の ことは 階級的運動 にも反映 された。「 闘 う階級」の闘い方 とは ど うい うことなのか, 自分たちの組織の足下 を見つめ直す ことか ら, 日本型集団主義の克服‑

と組織方針 を明確に しつつある運動 も見 られ るよ うになってきたのである。

これ らは,運動の理念が変わ った とい うよりも, その基盤 となっている地域が 日本資本主義の展開 に伴 って変化 してきた こと,地域づ くりの課題 の 変化である。労働運動は地域課題 を掲 げざるを得 な くな っていること, コ ミュニティづ くりは労働 問題 を対象 とせ ざるを得な くな っていることであ る。 また,環境問題やエネルギー問題な どを見れ ば明 らかな よ うに,地域 の課題が全国化 し,全国 の課題が地域 の中に顕在化 してきつつあることが あげ られ よ う。

90

年代初頭にオ ンブズマン運動が動 き始め,瞬

く間に支持 されてい った社会的背景は以上のよ う

な地域づ くり運動の展開過程か ら説明す ることが

できるであろ う

。70

年代に各地で革新 自治体を成

立 させた市民が,その後の低成長 ‑不況の中で中

央直結のオ ール与党体制を支持 した ものの

,90

(3)

市民オ ンブズマ ン運動における社会教育の諸問題

代にいたってその反対物であるオ ンブズマ ン運動 を支持 しているのである。 これは単なるバ ランス 感覚ではない。そ こには次の よ うな要因が存在 し ている と考 え られ る。

1に,一連の政 ・官 ・財をめ ぐる汚職や不祥 事に代表 され るよ うに,オ ール与党体質‑の批判 が浸透 してきた ことである。 この運動の火付 け役 とな ったのは仙台市民オ ンブズマ ンであるが, ま さに知事 と市長がゼネ コン汚職で逮捕 され る とい う状況の中で,地方政治の腐敗‑の怒 りと,それ をチ ェックできなか った議会 に対す る異議 申 し立 てが直接市民 を動か した とい うことであろ う。

第 2には,な りふ り構わぬ合理化 ・財政再建路 線 の中での弱者の怒 りが現れた ことである。知事 の辞任 まで追い込んだ秋 田県での運動の中心 を担 ったのは 「 生活 と健康を守る会」 とい う組織であ る。 この組織は全国組織であ り,その歴史 も古い ものであるが,全国的に注 目を集めたのは,生活 保護訴訟や消費税反対闘争 を展開 していた ときよ りも,情報公開条例 を もとに税金の使い道 を追及 した一連の経過か らである。最低限の生活 も保障 されないほ ど福祉が切 り捨て られ る中で,公務員 のカ ラ出張,カラ飲食な どの無駄遣いに対す る怒 りがわき上がったのである。

3

に,政府与党の90 年代戦略は,産業構造調 整の名の もとに,農林漁業者 とい う従来の支持層 に対 して,米の輸入 自由化に見 られ るよ うに切 り 捨て策を断行 し,新 中間層 を中心 とした都市型市 民の支持を拡大す ることに踏み切 っていた。 農業 ・ 中小企業補助金を切 り捨てて,そのかわ りにサ ラ リーマン減税路線で基盤 をつ くり,草の根保守主 義か ら新保守主義‑の転換 を図ったのである。 し か し,そのサ ラ リーマ ンが,消費税な どの増税が 推進 された ときに,税金の使い道そのものに目を 開いたのである。 これは一気に全国的反乱 となっ て現れ ざるを得なか った。

さらに,その他の要因 としては,特に原発 ・核 燃 な ど地球規模 で生存 に関わ る領域 が拡大 し,

ACCOUNTABILIT

Y ( 行政 の説 明責任)が権利 問 題 として浮上 した こともあげ られ よ う。

3.

市民オ ンブズマン組織の基盤

2001

4

1

日か ら国の情報公開法が施行 され ることになったが,全国的に見る と,市民オ ンブ ズマ ン組織が大阪で 日本 で最初 に作 られ たのは

83 1980

年の ことである。 自治体 レベルで最初に情報 公開条例 を施行 したのは山形県金山町で,それで も

1982

年の ことである。 また,行政オ ンブズマ ン が川崎市で成立 したのが1

990

年,全国市民オ ンブ ズマン連絡会議が結成 されたのは1

994

年である。

しか し

,20

年近 くの歴史の中で情報公開 ・オ ンブ ズマン運動が一躍脚光をあびたのは,なん と言 っ て も

,95

4

月に全国市民オ ンブズマ ン連絡会議 が,都道府県 と政令指定都市の財政課 ・秘書課 ・ 東京事務所の食糧費に関す る情報公開請求を全国 一斉 に行 った ことがきっか けである。連絡会議 に 加盟 していない県には主 として弁護士の組織 を中 心に呼びか けがな され,各都道府県に請求をす る 団体が結成 されていった。それ以前に全国市民オ ンブズマ ン連絡会議に加盟 していたのが

17

ぐらい の組織であったか ら,圧倒的多数はそれ以降組織 化が図 られた もの とい って も良い。 どち らに して

も, まだ若い組織であることは疑いえない

。4)

97

7

月に, この全国市民オ ンブズマ ン連絡会 議 に結集 している各都道府県のオ ンブズマン組織 の代表者 に対す るア ンケー ト調査 を実施 した。沖 純県を除 く

46

都道府県 に地域 を代表す るオ ンブズ マ ン組織があ り,郵送法によって3 4組織代表者か らの回答 を得た。 ( 回収率

73.9%

,未回答は秋 田, 山形,茨城,千葉,愛知,長野,静 岡,三重,奈 良,島根,北九州,熊本) この運動が全国に広が ったいわば初期の時点での運動組織の内容が読み とれ るもの とな っている。

結成のきっか けを見れば明 らかな よ うに,オ ン ブズマ ン組織は住民運動の基盤 を持 っている。( 資

1

)市政浄化や住民 自治運動一般 を基盤 とす る ものは少数であ り,環境,原子力問題な ど地域的, 個別的課題が多いのが特徴である。それ らは9

0

年 代の地域づ くりを巡 る課題の中で矛盾 として現出 せ ざるを得なか った ものである といえよ う。地域 づ くりにおいては,いつの時点において も,政策 的に推進 され るもの と住民 自治 とが矛盾 し合 う形 で展開 していったか らである。

例 えば

,70

年代の代表的な地域づ くり運動には

コ ミュニティづ くり運動があったが, これは,地

域開発での諸問題 を 自助 ・自力で乗 り切 るために,

反対運動 を体制内に包括す るためのイデオ ロギー

戦略で もあった。 しか し一方では,地域主義に基

づいて地域‑の愛着,連帯,環境改善‑の意志な

どを伴 う住民運動 を も醸成す る基盤 を作 っていっ

た ことも事実である。8

0

年代では,低成長 ‑不況

(4)

84

大坪 正一 ・樺井 常矢

対策の もとで地域活性化運動が推奨 された。 これ は 「 ‑村一品運動」な ど経済的 自立の競争が組織 された ことを意味 したが,一方では地域づ くりの 住民の中に地方 自治の経済的基盤 を自己形成 しな ければな らない とす る‑それ は内発的発展論 につ なが るよ うな 一運動が形づけ られていった ことを 見逃 してはな らない

。90

年代は生涯学習のまちづ くり運動が さけばれた。一気にすすむ産業構造再 編策 に従 って,地域 の流動化に対応す る労働力陶 冶の課題が持ち込 まれ,「 いつで もどこで も生き ら れ る」人材養成が求め られた。 しか し,生涯学習 の理念 とは,地域 での問題の所在 を学習 し解決を 図る能力やそれ を身につ けてい く学習の権利の保 障を意味す るものであったが故 に,人権が息づ く 地域が問題 とされてきたのである。

これ らの矛盾的展開の中で,地域での様々な問 題の解決のために,政策 に対抗 し住民 自治に依拠 しなが ら進め られていった住民運動の中か ら,監 視,情報公開 とい う能動的な形で市民が求めた も のがオ ンブズマン運動であった。住民 自治 として の地域主義,経済的基盤の 自己形成を目指すため に地方 自治体 の税金の使い道に着 目 し,情報公開 やACCOUNTABI L

IT

Yとい う権利 を生存権 に関わ る学習権 として位置づけてきた ところに,一連の 地域づ くり運動 の発展過程が位置づ け られ る し, それ らの蓄積 を受 ける形で,具体的成果を上げな が ら進んでいったのである

。5)

( 資料

1)

結成のきっかけが 「 住民運動」 , 「 学習会等の積み 重ね」である団体の 「 住民運動」の内容

(*

は中 心 メンバーが住民運動のグループであるもの)

岩手 ‑環境 仙台‑地域 自治 福島‑環境 神奈川 ‑不明 山梨 ‑婦人,平和 大阪府 ‑な し

京都 ‑環境,原子力,平和

*岐阜 ‑環境,原子力

*滋賀 ‑環境,原子力

*徳島‑農業

*香川 ‑環境,教育,婦人

高知 ‑環境,医療,教育,農業,業者,社会教 育,原子力,文化,婦人,平和, コ ミュ

ニチイ

岡山‑環境,教育,婦人,原子力

*宮崎 ‑環境,原子力

*佐賀 ‑市政浄化

*青森 ‑環境,医療,教育,原子力

*富山‑住民 自治

4.

初期における市民オ ンブズマ ン運動の現状

①組織形態の類型

上記 した

97

7

月の調査 は,市民オ ンブズマン 運動が全国的に広が ってい った初期の状況である が, この時期 における全国の組織 を見る と,一枚 岩ではな くていろいろな組織形態があることがわ か る。

ここでは,組織 として確立 している と思われ る ものを中心 に分析す ることに しよ う。回答があっ た3 4団体の うち,会議が定期的に行われている も の

17

団体,機関紙が発行 されているものが

8

団体, 学習が定期的に行われている組織が

6

団体であ り, 全体で

23

団体 と,約半数 ほどが組織 として一応確 立 された と思われ る団体である。それ らは,大き

3

種類に分 け られ る。 ( 表

1)

1つはことさら組織規模 を大き くしよ うとしな い団体で,弁護士が 中心 とな り弁護士の会員は多 いのに比べて, 日常スタ ッフの数は少ない とい う 特徴 をもっている。 このなかでは,他 団体 との関 係は持たず に独 自に活動 し,支援組織 を増や して い こ うとす るグループ ( 仙台市民オ ンブズマ ンが 典型) と,他 団体 との関係 を追 求 してい る組 織 ( 市民オ ンブズマ ン高知が典型 であるが, これは 弁護士数が少ない ところにその特徴がある。),支 援組織 を持 っていない組織 ( 札幌,愛媛,香川), に分 けることができる。いわば少数精鋭型で,小 回 りが利 く形 で運営 しているグループである。高 知 をのぞいて,都道府県を対象 にす る とい う方向 は低 く,その地域のみでの活動 になっている。タ イア ップグループな どの支援組織 のあ り方 ( 作ろ うとす るか ど うか も含 めて)が今後の課題 となる。

2つ 目は,組織規模 を大 きくしよ うとす る団体

で,住民運動が結成の母体 にな った組織の特徴で

ある。弁護士の数 も多いが他団体 とのつなが りを

強め,地域 ごとに支部 を作 ろ うとす る指 向を持 っ

ている組織 ( 大阪市 「 見張 り番」,乃至は市民オ ン

ブズマ ン福岡が典型) と,他団体 とは独 自に活動

を しよ うとす る組織の 2つのタイプがある ( この

(5)

市民オ ンブズマ ン運動 にお ける社会教育の諸問題

1

組織形態の相違

85

全体会議 機 関紙定 定期的に 日常 組織規模 支援組織 弁護士 結成年 結成の 他 団体 都道府 事務所が 重点 目標 月 1 回

以上 期発行 学 習 スタ ッフ あ り 中心 係 との関 県 内の 組織化 法律事務所

仙 台 ○ ○ ○ × × ○ ○ A

C

× × A̲

新 潟 ○ × ○ B B × × ○ B

栃 木 ○ × × × × ○ ○

C

B × × B

高 知 ○ × ○ × B A ○ ○ A

大阪府 ○ ○ × × × ○ ○ A

C

○ △ ○ B

札 幌 ○ × ○ × ○ B B × × ○ A

愛 媛 ○ × × ○

C

B × ○ A

香 J l ○ ○ ×

C

A × × B

大阪市 ○ ○ ○ A A ○ △ B

兵 庫 ○ ○ ○ ○

C

A ○ △ B

岐 阜 ○ × × B A ○ △ ○ A

岡 山 ○ ○ ○ B A A

大 分 ○ ○ B A ○ △ B

京 都 ○ ○ × × B A × △ B

広 島 ・○ ○ ○ × B A × ○ ○ A

神奈J I ○ ○

C

A × ○ ○

C

佐 賀 × ○ × ○ B

?

× △ D

石 J l ○ ○ B B × ○ ○ B

福 島 × × × ○ × ○ ○ B A × △ ○ B

東 京 × ○ × ○ A B △ ○ A

埼 玉 × ○ × ○ B B ○ △ ○ D

議 紙 習 フ 模 士 年

関 錆 護 成 会 機 学 ス 組 弁 結 ) ー ) ) ) ) ) 1 2 3 4 5 6 7

××

不定期 ( 福島はほ とん ど開かず) ほ とん ど発行せず

〇 〇 × ‑ほ とん ど行わず 三 二 日常 10 人以上 × ‑ 日常 3人以下 200 名以上 ×‑50 人以下

○ ‑10 名以上 ×‑ 2 名以下

A ‑95 年

4

月 ( 東京事務所、秘書課一斉監査請求)以前 の結成 B‑96 年 9 月 ( ランキングのための土木部一斉請求) までの結成 C ‑それ以降の結成

8) 結成の中心 A ‑住民運動 を含む B ‑弁護士のみ C ‑その他

9) 組 織 化 ○ ‑地域 ごとに組織作 り × ‑一地域 に集 中 △ ‑地域 の組織化は手が付 いていない 10) 重 点 目 標 A ‑情報公開 B ‑不正追及 C ‑議会 の民主化

うち京都,広島は 日常スタッフ,弁護士が少ない のが特徴) 。 これ らの多 くは

,95

4

月の最初の 一斉請求直後に組織化 された団体である。

3つ 目は,上記 2つのタイプに向か う途上 とし てみ られ る団体である。佐賀は 日常スタッフが少 ない代わ りに支援組織を持 っている。石川をのぞ いて地域の組織化に手が付いていない状態ではあ るが, 日常スタッフを多 く持ち,組織 としては確 立 している と考え られ る。住民運動が母体 として あ り,支援組織 も作 っている福島,佐賀 と,その 他の所は違 った展開を見せそ うである。

②弁護士 ( 法律関係者)の位置づけ

全体の内弁護士が中心 メンバーになっていない のは,滋賀,徳島,宮崎の

3

団体であるが ( 徳島 は弁護士ゼ ロ) , 弁護士が 占めるウェイ トはそれぞ れの違いがある。 日常スタッフが少人数の ところ はほ とん ど弁護士が中心になっている とみてよい。

D ‑情報公開、不正追及

( 山口のよ うに弁護士 1人だ けですべてをや って いる ところもある。)弁護士数が多い ところでは, 札幌,愛媛,大阪府は弁護士が

10

名以上関わ って お り,事務所 も法律事務所 にある。仙台,栃木, 大阪市,兵庫は団体の事務所な どが事務所 となっ ているO 日常スタッフが

10

名以上いる団体では, 福岡,福島,東京,埼玉が弁護士数 も多 く,事務 所が法律事務所になっている。岡山,大分,石川 は法律事務所以外が事務所で,弁護士数 も少ない。

弁護士が どれだ け中心に関わ っているのかが,組 織や運動の形態をも規定 している関係が存在 して いるよ うに見える。

情報公開や,不正追及な どは運動が進展すれば

するほど法律の改正や裁判な ど,専門的認識や力

量が求め られ る。一般市民が 自治体や行政に対 し

て直接関わ ってい くとい う運動のスタイルを作 り

上げてきたオ ンブズマンの運動であるが,展開の

中では,「 専門家に任せ る,お願いす る」といった

(6)

86

大坪 正一 ・樫井 常矢

「 逆 のお任せ民主主義」 の側面が出て こないか ど うか,課題 とな る ところである。

③運動 の重点 目標

ア ンケー トでは,「 情報公開」「 不正追及」「 議会 の民主化

「 オ ンブズマ ンの組織化」の

4

つ の内

1

つ を選んで とい うこ とであ ったが,「 オ ンブズマ ン 組織化」のみ を選んだ ところはなか った。「 情報公 開」 と 「 不正追及」は半々であ り,両者 を選んだ のが

6

ケースあ った。 これ はそれぞれ の地域 的課 題 の中でオ ンブズマ ン運動が進 め られている こと を示 しているが,途上型である場合 に課題が未分 化 ( すべ てを引き受 ける組織) とな っている傾 向 が強い。札幌 と仙台が 「 オ ンブズマ ン組織化」 を 重点課題 に挙げている。

④ どの よ うな学習, 自己教育運動 とな っているか 運動 の中心 に住民運動があ り,ネ ッ トワーク, 組織化 を考 える場合 は,弁護士 中心 の組織 に比べ て学習が問題 に され ざるを得ない し実際に位置付 けてい る組織が多い。 ( 表

2)

(

2) 運動の中心と学習の位置付け 中心が弁護士のみ

計画的に学習

札幌

希望者に呼びかけて 新潟,石川 会員にまかせて 東京,埼玉,愛媛

中心に住民運動

計画的に学習 仙台,兵庫,岡山,佐賀 福岡

希望者に呼びかけて 神奈川,山梨,大阪市 高知,香川,鳥取,宮崎 大分,青森

会員にまかせて 広島,岐阜,滋賀,徳島 鹿児島,

また, コピー代が高か った り,非開示条項が多 か った りと情報公開条例 自体 の不備等があること を考 えれ ば,オ ンブズマ ン運動 はそ うした状況 を 改善 してい くために も,市民 の中での多数派形成 自体が 目的 とされ ている。オ ンブズマ ン自体 を多 数 にす るか ど うかはそれぞれ の考 えがあるのだ ろ うが,支援 して くれ る 「 味方」 を多 く組織 しなけ ればな らない こ とに変わ りはない。その よ うな支

持者 を獲得す るためには,組織活動である と同時 に,市民 に向けての学習活動が必要 とされ る。 自 らの課題解決 に必要な力量 を持つためには,学習 の位置付 けが課題 としてたち現れ るであろ う。そ れが組織 として位置付 け られない場合, 自らの果 たすべ き役割や意義 についての認識 は弱 め られ る 可能性 もある。

調査 では 「 や ってみ て変わ った こ と」や 「 運動 の新 しさ として 自覚 され ている もの」 を質問 した が, 自覚 されていない部分が多い事がわか った。

以下資料 2で示すが,学習 を定期的に位置付 けて い る団体では,「 運動諭」にお ける 「 新 しさ」の 自 覚が 目立 っている。学習 を位置づ ける組織であれ ば情報公 開や監視 とい う運動 自体か ら市民運動 の 質 を問題 に出来 る運動が展開 されつつ あるこ とが わか る。 ( 札幌 ・仙 台 な ど) 日本型集 団主義 を克 服 し, 自分 の 目と手 と足で考 える とい う自立 した 市民 の運動 を形作 る こ とにつなが る課題である。

( 資料

2)

【 変わ った こ と】

( ∋住民 の活動

・はけ口が見つか って多数 の意見,何か したい と い う申 し出が寄せ られ るよ うにな った ( 福 島 ・ 広 島 ・佐賀 ・京都 ・鹿 児島 ・宮城 ・大分)

・行政 に対す る不信感 を堂々 と言 える よ うにな っ た ( 福 島)

・特 に動員 をか けな くて も多数 の人が集 まる よ う にな った ( 和歌 山 ・神奈川)

②住民 の認識

・情報公 開,行政監視 についての認識 の深化 ( 埼 玉 ・大阪市 ・滋賀 ・香川 ・福 岡 ・青森)

・税金の使途 の関心 ( 岡山)

③行政 に対 して

・行政 を絶対的な もの と考 えな くな ってきた ( 石 川)

・不満か ら改革 しよ うとす る意識,不正追及の可 能性‑ の期待 ( 栃木 ・埼玉 ・山梨 ・鳥取)

・社会参加,主権者意識 の形成 ( 群馬 ・高知 ・愛 媛 ・宮崎)

④組織

・地域 ご とに任意 のオ ンブズマ ン組織が出来始 め た こ と ( 東京)

・オ ンブズマ ン運動 についての住民 の認識ができ た ( 徳島)

・住民 の立場 で 問題 を取 り上 げ る団体 が で きた

(7)

市民オ ンブズマン運動における社会教育の諸問題

( 富山)

⑤その他

・市民の意識 よ りもぶつけ られている側 の意識 の 変化の方が強い ( 岐阜)

自覚 された 【 運動の新 しさ】

‑定期的に学習 ( 丑行政 ・民主主義

・情報 を武器 に一般市民による行政のコン トロー ルのルー トを作 った ( 富山 ・香川)

・お任せ意識 を克服 し,情報 を活用 し市民が直接 監視,是正 しよ うとした こと ( 群馬 ・大阪市 ・ 宮崎 ・岐阜)

○行政の内情 を公表 し,常に住民が行政 を監視 し ていることを意識づ ける ( 岡山)

○議会の体質改善,住民の直接的監視 のシステム を気づ くこと ( 佐賀)

・自治体や監査委員,企業の姿勢 を正 させ, 自治 体 との緊張関係ができた ( 京都 ・徳島)

・行政 を身近な ものに していった ( 愛媛 ・鳥取)

・ 「 選挙のみが民主主義」 とい う日本 の民主主義 の貧困を気づかせた ( 鳥取)

○住民が主人公である とい う原則 を実践 している ところ ( 兵庫)

( 診運動論

・反対運動ではない市民運動 ( 石川)

○一定の方 向 ( 主義 ・主張)を持たないで民主主 義 の原点を明 らかにす る ( 北海道)

・特定の問題の追求 よ りは 「しくみ」の改革を 目 指す ( 岩手)

○ 自立 した個人単位の市民運動 ( 宮城)

○各論か ら出発す る運動 ( 宮城)

○義務感ではな く遊び心を持 った運動 ( 宮城)

O

「 新 しさ」は認識 していない。 自治体 を少 しで

もいい ものに していきたい とい う市民の声を生 か していける運動のあ り方 を追求 ( 福 岡)

③戦術 ・戦略

・表 に出せなか った誰の 目に もおか しい公費支出 をわか りやすい形で世に明 らかに した こと ( 広 島 ・鹿児島 ・滋賀)

・方法論,戦略戦術の提起,裁判の活用な ど,活 動 しやす くて具体的な成果が上が る ( 埼玉 ・高 知 ・大分)

・税金の使途 に対 して発言ができることに楽 しさ を感 じる ( 福島)

・全国一斉運動 と素早い対応 ( 東京)

④その他

・ 「 オ ンブズ」 とい う性差別のない表現で差別間

87

題 に一石 ( 富山)

・コメンテーターの地位, 内部告発,苦情 を受 け 止めて行政 に反映す る組織ができた ( 富山)

5.

実証研究上の課題

市民オ ンブズマ ン運動の広が りは,従来の公的 社会教育に対 して次の 2点の課題 を突きつ けてい る と考 え られ る。一つは,言 うまで もな く, これ までや ってきた社会教育活動が情報公開に耐 え ら れ るか ど うかである。社会教育労働のあ りかたが 公務労働 として も問題 にされ ることである。公的 社会教育はその教育力の如何 と同時に,予算配分 のプ ロとしてその適正計画や執行 自体がまず問題 にされ るよ うになった とい うことである。

も う一つは,公的社会教育その もののあ り方 に ついてである。「 条件整備」や住民の 自己教育の援 助な ど地域集団の 「 後衛」に徹す ることが本来の 任務であったはずであるが,松下圭一氏の社会教 育 「 終君論

」6)

で も指摘 されていた よ うに,主権 者意識が芽生 え, 自分の 目と手足で確かめる運動 が地域でできつつあるな らば,すべてお膳立て し てや ることが社会教育の 「 援助」か とい う問題が,

「 お任せ民主主義 の克服」 とい うテーマにおいて 再浮上 してきた とい うことである。

オ ンブズマ ン活動 に参加す る多 くの住民 に とっ ては,前節での意見聴取 に現れているよ うに,今 までのよ うな保守 と革新,組織 と組織 とい った運 動理念ではな くて,市民文化に基づ く新 しい動き とい う意識が高い ものがある。 しか も,情報公開 とい う権利 をち ょっと行使 しただ けで,大 きな運 動効果 を発揮 して しまった とい う経験 を持 ったの である。少数 のオ ンブズマ ンの人たちの活躍によ って地域や 自治体の姿勢が変わる, これ は どの様 な効果 を もた らしているのか。運動が最 も進んで いる と評価 されている仙台市民オ ンブズマ ンの回 答の中では,「 総論 中心ではな く,各論か ら各論 に つな ぐ運動」 , 「 世論の説得は各論つま り事実の持 っている説得力に任せ る」 といった新 しい運動論 を主張 していた。最 も効果的な動 きをその時その 時で探 ってい くとい う運動, これは一面で見れば,

自立 した市民 による直接民主主義での運動 ‑市民 文化の成熟 とい うことになろ う。

市民文化活動の成熟 を背景 とし

,

「 社会教育行政

による 日本の進歩」 とい う発想の終君を説いた松

下理論 に対 しては,社会教育学者か ら 「 学習なき

(8)

88

大坪 正一 ・樫井 常夫

教育論」 , 「 政治 と教育の混同」な どとい う批判が 投げかけ られた。7 ) 人権 としての学習権や 「 権利 と しての教育」の発想の欠落の問題である。「 生涯学 習で飯が食えるか」 といった反応が一般的な 日本 の勤労諸階級の状態を前に, リカレン ト方式の社 会教育や都市型市民文化の成熟な どとい うことで, 簡単に置き換えることができるか とい う指摘がな

されていた。確かに,進学率の上昇によって国民 の教育水準が上がれば,市民 としての成長,成熟 が押 し進め られる とい う傾向は可能なのか もしれ ないが,今 日の文化状況,イデオ ロギー状況はそ う単純に進んではいないことも事実であろ う。「 学 びか らの逃走

」8)

といわれている子 ども,青年 を め ぐる教育環境は,社会教育の場における 「 学び 直 し」を強 く求めている し,生涯学習の時代に向 けて地域における人間発達の課題 として浮かび上 がってきているのが実状であろ う。教育政策 と教 育運動の矛盾の中で しか教育現実は展開 してこな か ったのである。

住民 自治の形成や 自治能力形成に役割を果た し てきた社会教育に対 しては, 地域の中で 自治の「 主 体」がオ ンブズマンとい う形で形成 されれば,教 育行政はい らない とい う議論になるだろ うか。オ ンブズマン運動 とい う 「 政治」 と社会教育を混同 しないためには,オンブズマン運動の中における 教育‑学習の課題を検討 しなければな らない。松 下理論は,理論そのものも又その批判 もともに実 証 され る必要がある。オ ンブズマン運動の全国的 広が りは,それ らを実証的に検討できる基盤が与 え られた とい うことである。

松下理論は,文化政策が充実すれば教育政策や 教育行政は不要だ と説 き, よい政治を実践できる 政策立案担当者集団を高 く評価 していたが, これ は何のことはない 「 善政主義」‑の依存のことで ある。そ うだ とするな らば,議会の 「 お任せ民主 主義」の克服の課題を実践 しているオ ンブズマン 運動の中で,オ ンブズマン型 「 お任せ民主主義」

とい う事態が進む ことは考えられないだろ うか。

初期オ ンブズマン運動の組織を検討 した我々の実 証研究上の課題はそ こにある。オ ンブズマンの運 動が効果的であったが故に,運動が先鋭化 して く れば くるほど,弁護士や公認会計士,大学教員な ど専門家

(professonals)の位置が高まることにな

るのは必然である。「 少数精鋭で動きやすい」とい う組織形態を持つ組織であればあるほどこの傾向 は無視できない ものではなかろ うか。その意味で,

多数の住民の地域 自治に対する自治能力を問題に する場合,オ ンブズマンでことたれ りとい う状況 はあ り得ないのではないか。む しろ,「 終蔦論」に 結びつかない学習権の保障における社会教育専門 職の役割はますます大きくなるだろ うし,行政 と 市民を学習の側面 ( 自治の主体形成)でつな ぐ, 地域づ くりが核 となる公的社会教育がクローズア ップされるのではないか。税金の使い道を自分の ものにすること,あるいは情報公開, これ らは市 民の権利の保障 とい うことであるが,保障を勝 ち 取 ることが地域づ くりに結びつ くような 自治のあ り方が検討 されなければな らない し,それ らを担 う主体の形成をめざす社会教育活動の 「 援助」や 条件整備は,ます ます課題が示 されてきている と 考えるQ

住民 自治形成における主体的参加や 自分たちの 手による調査活動の意義を認めた上で,オ ンブズ マン組織の持つ学習面の課題に対応する社会教育 を考える必要がある。それは,大衆運動の課題か ら学習論の課題‑ と進む ものであ り,運動 ( 学習) の質を問題 としなが ら,大衆運動の教育的側面の 拡大 ・進化のために自己教育活動の質の課題を位 置づ ける学習論が,新たな次元で展開される必要 があるだろ う。

Ⅱ.仙台市民オ ンブズマンタイア ップグループの 事例

1

.タイア ップグルー プについて

市民オ ンブズマン運動の教育的側面の実態を明 らかにす るために,全国的に最 も進んでいると評 価 されている仙台市民オ ンブズマンの協力 ・支援 組織である仙台市民オ ンブズマンタイア ップグル ープ ( 以下 「 グループ」)を事例 として取 り上げ, 実証的に検討することにする。

グループの組織立ち上げは,1

994

7

月に遡 る。

仙台市民オ ンブズマン ( 以下 「 オ ンブズマン」) 発 足時

(1993

6

月)に, 当時のオ ンブズマン事務 局長小野寺信一氏等か ら 「 オ ンブズマン と共に行 動 し,支援する市民グループ」の結成についての 呼び掛けがなされていたが,実際にはオ ンブズマ ンの発足か らお よそ 1年後にそれは具体化する。

オ ンブズマン‑の市民による何 らかのサポー トが

必要であることは,当時全国で展開 していた他県

のオ ンブズマンもまた共通に認識 していることで

あった

。9)

グループの結成集会が,同時期仙台市で

(9)

市民オ ンブズマン運動における社会教育の諸問題

行われていた全国市民オ ンブズマ ン連絡会議発足 集会

(1994

7

月2

9‑30

日)の最 中に開かれた こ とは, このグループの存在が全国に先駆 けた取 り 組み として内外か らの注 目を集める大きな契機 に なった もの とも思われ る。

さて,オ ンブズマ ン運動 自体の設立の陰には, それ以前か ら地域 の住民運動 を見つめてきた宮城 地域 自治研究所 ( 以下 「自治研」)の存在があった ことを見逃せない。 自治研は1

985

年の発足以来, 学習活動や地域か らの情報収集 と発信,あるいは 住民運動 の支援な どをその活動の柱に福祉,教育, 環境,人権,平和等の多様な地域課題 に取 り組ん できた。 自治研 は, 「自治 とは何か」 「 市民 とは何 か」 とい う根源的な問いをまさに実践 を通 じ追求 してきたのである。 こ うした取 り組みの中で, 自 治研内部では各々の運動‑の個別的な対応か ら, 多様な要求に恒常的に対応できる専門家による機 関の必要性が唱え られ るよ うになる

。 10)

このこと が仙台市民オ ンブズマ ン,ひいてはグループの結 成に結びつ くわけだが, 自治研 を拠点 とした多様 な運動 との連携 による地域づ くりの経験 は,新た な市民運動 を創 り出す重要な契機 となっていたの である。

会員数は結成の際, 当時の仙台市長の贈収賄事 件な ど行政不信の高 ま りも手伝 ってか1

20

名あ り, その後 も少 しずつその数を増 し, 現在約3

00

名 とな っている。組織体制は,役員会 ( 会長 1名,副会 長若干名,会計

1

名,会計監事

2

名) と事務局か らな り,年 1回の総会 と役員会 ( 不定期の開催) によって運営 されている。実際の運営は,役員 と 有志の会員 によって行われていることか ら,会員 の 自主的な参加 に委ねれ られた比較的緩やかな組 織運営を とっている といえる。 また, グループで は会員の名簿についての情報を非公開 としている。

後述す る調査結果で も触れ るが, このグループに は 自治体職員や議員,企業関係者な どが所属 して お り,名簿 を公開に した場合,各々の職場で不利 益 を受ける恐れがある とい うことか らこ うした方 針 を とっているのである。多様な会員構成である がゆえに生起 して しま う諸問題 を回避す る意味で の名簿非公開だが,その ことは運営上の系統性が 比較的強 固でない ことや,他方担い手の偏 りを生 むな どの要因 とな っている とも考 え られ る。実際, 会員の中には会費や寄付に よるオ ンブズマ ン運動

‑経済的支援のみの参加 を希望す る声 も多いので ある。

89

グループの会則には,「 仙台市民オ ンブズマンの 活動の趣 旨に賛同 し,支援す る意思のある個人」

とい うことが 「 加入資格」 として記述 されている ものの,その 目的や理念については特 に明記 され ていな

' タイア ップ 'とい う名称 については, オ ンブズマ ンの 「 後 方 支援」な のか,あ るい は

「 共 に行動す る」一つのグループなのか といった このグループの位置づ けをめ ぐる議論 の後に生ま れた ものであることが,現在代表 を務 める藤 田紀 子氏

(1999

年1

0

6

日実施)の中で指摘 されてい る。 グループの組織化を進 める上で,オ ンブズマ ン運動‑の市民参加 のあ り方が, まさに理念 とし て問われていた ことを示 している。

2.

グルー プの活動

グループの活動 については,その会則のなかで

「 年

2

回の会報の発行

「 市民の為の公開講座な ど を開催す る

「 その他の事業の企画 ・ 実施」の

3

点 が明記 されている。 ここで具体的な実際の活動 内 容について,以下に整理 してみ よ う。

まず第 1は,オ ンブズマ ン運動 によって情報開 示 された資料等の整理 といった事務的な作業であ る。特 に1

996

年の食糧費の全国一斉開示請求の後 を受 け,宮城県 内の再調査 をオ ンブズマ ンが行 っ た際な どは,開示請求によって得た膨大な資料

(36

,

000

枚)の分析作業にグループが精力的に参加 し, 実質的にオ ンブズマン運動の一翼 を担 っている。

2

は,全国に展開 しているオ ンブズマン相互 の情報交換,あるいは幅広い市民層か らの理解の 要 となる情報誌等の作成である。全国機 関誌 『 市 民オ ンブズマ ン

NETWORK』

の編集 ・発行をこれ まで一貫 して手掛けているのがグルTプなのだが, 各地のオ ンブズマンに,全国的 ・地域的な情報 を 発信す る中心的な役割を果た しているのである。

3

は,市民 向けのイベ ン ト, フォーラム等の

企画 ・ 運営である。 例 えば,年 1回行われてきた 「 オ

ンブズマン ・フォーラム」は,その年毎の注 目す

べ き課題 を取 り上げ,参加者 との討論 を取 り入れ

なが ら,工夫を凝 らした形で行われている。その

他の企画 として,オ ンブズマ ン支援 コンサー トや

演劇な ども行 っている。 また,情報公開ツアー等

の勉強会を企画 した り

,1995

年の 「 青葉山,大年

寺山公園用地員収訴訟」では裁判傍聴 ツアー と称

し, グループの参加が呼びかけ られ るな ど実 に多

様な形で展開 されている。いずれ も,オ ンブズマ

(10)

90

大坪 正一 ・機井 常矢

ン運動の意義の地域的普及 と運動 を市民 に とって よ り身近な ものにす ることを 目的 としていた もの と思われ る。

グループの活動は大き く上記の内容に整理 され るが,特 に

3

番 目に整理 したイベ ン トや フォーラ ム活動の成果は,その一つ としてオ ンブズマン運 動‑の経済的支援 となって現れている。 グループ の会則では, 「 年会費の30%をオ ンブズマンの支援 金 として拠出す る ( 会則

8)

」ことが明記 されてい るが,オ ンブズマ ンによる突然の訴訟な どがある 場合 には,そのための費用 として緊急に資金が必 要 となる場合 もある。その際にイベ ン トの企画な どによる収益をオ ンブズマ ン運動‑の経済的な援 助 として充てるな どの対応 を しているのであるが, そのことはオ ンブズマンの活発な活動の展開を支 える大きな要因 となっている。過去のオ ンブズマ ンの情報誌な どか らは,全国のオ ンブズマンか ら の 「 活動 を支える資金は どこか ら出ているのか」

「ど うしてそんなに活発に活動できるのか」 とい った指摘 に触れ, グループの存在がオ ンブズマン を大いに勇気づ けるものであることを対外的に誇 示す る記述が見受け られ る

。 ll)

3.

仙台市民オ ンブズマンに とっての存在意義 オ ンブズマン運動 に とってのグループの役割 に ついて, グループ代表の藤 田紀子氏へのイ ンタビ ューを踏 まえなが ら以下に整理 してみ る。それは,

①経済的支援 ②精神的援助 ③市民感情に照 ら した舵取 り ④オ ンブズマン運動‑の参加及び学 習の場の

4

点に要約 され る。①経済的支援 につい ては会則 に も盛 り込まれてお り,オ ンブズマン運 動の過程で起 こる訴訟や裁判に必要な経費を援助 してい くとい うことが大 きな 目的 とな っている。

他方,その他の

3

点については,オ ンブズマ ン と グル ープ との両者の関係,すなわち弁護士を中心

とした運動 のプ ロフェ ッシ ョナル集団 とアマチュ ア としての市民 グループ との関係に関連す ること か ら吟味が必要である。

②精神的援助 とは,少数精鋭 のオ ンブズマン運 動の社会的孤立を防 ぐことを意味 している。 グル ープによるサポー ト活動の展開 ・前進は,オ ンブ ズマン運動が幅広い市民か ら理解 を得 られている とす る地域的 「 普及」 と表裏一体の関係にある。

③市民感情に照 らした舵取 りとは,行政や企業の 不正を徹底追及す るオ ンブズマン運動 に対 して,

「もうこれだ け資料がでれば十分なのでは・ ・ ・ 」 と

い った具合 に,いわば不正追求の ' 納 めどき' を市 民的な視点か ら判断す る役割 を担 っている とい う

ことである。機動性 をその強み とす る専門家集団 の 「 暴走」は, こ うしたグループの存在によって 担保 され る とい うことなのである。④オ ンブズマ ン運動‑の参加及び学習の場 とは,例 えばグルー プのメンバーがオ ンブズマン として何か活動 した い として も,法律の素人ができることには実際上 一定の限界がある ( 少な くとも法廷 に立つ ことは 困難) 。 しか し,オ ンブズマン運動に対 して何かで きることがあれば,可能な ことか らグループの一 員 としては じめることができるのである。具体的 には,資料の整理や ビラ配 り, コンサー トや フォ ーラム等のオ ンブズマン支援のための各種イベ ン トの企画 ・実践な どが上げ られ る。 こ うした参加 の場は,漠然 と情報公開について学びたい,ある いは もっ と具体的に自らの地域で情報公開条例を 作 りたい とい う人に とって も,そのための学習の 場 として位置づ け られている。

代表‑の聞き取 りによる整理 は以上であるが, そのほかにグループはオ ンブズマンの 「 母体」で ある とす る指摘 もある。すなわちそれは,オ ンブ ズマン運動の人的資源 をグループか らも送 り出す とい う関係であ り,実際にメンバーの入れ替 えが 行われた経過 も過去にある。1 2 ) 後述す る会員‑の 調査結果において も,その一部 に同様の認識が垣 間見 られる。

オ ンブズマン運動に とってのグループの存在は, この よ うに物質的にも精神的に も必要不可欠な も の とな っている。 しか し重要な ことは, この運動 が地域 をつ くる運動 をどれだ け前進 させているの か,理念 を実践の中で どの程度体現できているの かである。具体的には,現在のグループない しオ ンブズマン運動が,過去の 自治研 の活動 において 実感 していた地域の住民運動の諸要求に対応でき る ものであるのか ど うかである。情報公開 とそれ による不正追及 とい う運動 の全国的波及の直中で, 地域住民の求めに十分に応 えているのかが グルー プの存在意義 との関連で問われているのである。

4.

会員への調査結果

(1

)回答者の属性

調査は

1999

12

月上旬 に郵送法によって実施 し,

調査 回答数 は1

16

名,回収率は4

0%であった。 (

調

査結果資料参照)

(11)

市民オ ンブズマン運動における社会教育の諸問題

回答者の属性 についてみてみ る と,男性

87

名, 女性

29

名,年齢は

50

歳代が

50

名で最 も多 く,次い で

60

歳代

,40

歳代

,70

歳代

,30

歳代の順 にな って いる。職業別 にみ る と, 自営業者が

25

名で最 も多 く,次いで研究者や弁護士等の専門職が

24

名,会 社員

18

名,無職

17

名,教職員 9名,その他 自治体 職員等の公務員

6

名 とな ってお り,農業,漁業等 の第一次産業従事者は今回の調査では見受 け られ なか った。

また,各人の市民運動の経験 について も聞いて いるが, グループ‑の参加前後で運動経験 の相違 は特にはみ られなか った。全体的な特徴 としては, グループの活動以外 「 特 に何 もや った ことがない」

と答 えた者が

46

名で約

4

割 を 占めていることや, 参加 している運動の内容が多様な地域課題に及ん でいる とい う点,特 に近年の傾向 として医療 ・福 祉運動や環境運動‑の参加者が増 えている とい う 点 も指摘できる。 また,支持政党の有無について

も聞いているが

,

「 支持政党がある」と答 えたのは

51

名,他方 「 今は特 にない

(55

名)

「 政党にはあ ま り関心がない

(10

名) 」をあわせ,いわゆ る無党 派層に属す る と思われ る者は

65

名で全体の半数以 上に及んでいる。

(2

)グルー プの活動 と学習

①参加 の実際

会員の主な参加理由については,最 も多い理 由 が 「 オ ンブズマ ン運動の支援

「 オ ンブズマン運動

‑の関心」等のオ ンブズマ ン運動 を意識 した もの であ り,次いで 「 役所 の不正追及」 「 議会 ‑ の不 満」 といった公的機関‑の異議 申 し立てを理由に 挙げる者が多 くな っている。 また,各地域で取 り 組んでいる 「自分の活動 に役立てる」や 「 住民 自 治活動 の推進」 とい う理由 も少な くない。 さらに 参加契機 についてであるが

,

「 オ ンブズマ ンか らの 誘い」が

60

名で最 も多 く,次いで 「 グループのメ ンバーか らの誘い

(21

名)

「自治研 のメンバーか らの誘い

(12

名)」とな ってお り,関連す る運動関 係者 による個人的な繋が りを もとに した参加が半 数以上であ った。他方, 「 マス コ ミ報道 を見て」

「 勧誘の宣伝 ・ チ ラシを見て

「 グループ企画 によ るイベ ン トに参加 して」等 による参加 は併せて

3

割近 くに及んでいる。

各人のかかわ り方 としては

,

「 会議や グループの 活動に積極的に参加 している」 と答 えた者は

16

(13.8%)

で, 「 会費のカンパをす る程度

「 執行

91

部 に任せている

「 名前だ けの参加」と答 えた もの が

79

(68.1%)

とかな りの割合 にな っているこ とは重要である。関心はあって も活動‑の参加 自 体 には消極的な態度がかな り多 く, グル ープの実 際の活動が ごく一部 の会員に委ね られてお り,い わば 「 積極派」は少数で どち らか とい うと 「 お任 せ派」が多数 を占めている とい う実態がある。

②活動‑の理解 と評価

グループの目的,特 にオ ンブズマ ン運動 に果た す役割に関す る会員の理解 について見てみ よ う。

前述 した よ うに,代表の藤 田氏 によるグループの 存在意義は

4

点に要約 されたが,重要な ことは, 会員各人が どれだ けこれ らに 自覚的なのか とい う

ことである。

オ ンブズマ ン運動 に対す るグループの役割‑の 実際の会員による理解で最 も多いのは 「 経済的援 助な どの後方支援活動」 ,次いで 「 市民に身近な も のにす る活動」 といった普及に関す ることである。

ここで最 も注 目すべきなのは,代表が強調 してい た 「 舵取 り役」 とい う認識が極 めて弱いことであ る。加 えて,先 にも指摘 したが,回答者の 自由記 述か らは 「 グループはオ ンブズマ ンの供給源であ る」 とい った よ うに,両者の関係 を独 自のスタン スか ら捉 えている意見 もあ り,会員 と代表 の認識

との大きな相違が明 らか とな っている。

また, これ らの 「 役割」 とはその優先順位のつ け方によって も意味づけが異なって くるであろ う。

「 経済的支援」 とい うことが強 まれば,あ くまで もオ ンブズマ ンの後方支援で しかな く,他方,市 民的な視点か らの 「 舵取 り役」 とい う意味合いが 強 まればオ ンブズマ ン と共 に行動す る,まさに ' タ イア ップ ' す るグル ープ としての性格 が前面 に押 し出 され ることになる。 こ うした内容 は,単 に運 営上の問題である とか,個人的意見の相違 とい う 次元で捉 えるべきではない。すなわち,オ ンブズ マン運動 とい う専門的な力量を必要 とす る運動 に 対 して,いかに市民の関与を可能な もの とし,か つ地域民主主義の担い手の創造 に関連 しているの か とい う,運動における 「 参加」や 「 連帯」のあ り様 にもかかわ った教育的な課題 として捉えるべ きだか らである。

それでは,会員各人は, グループの活動 日的や

あるいは これ までの活動 をどのよ うに認識 してい

るのであろ うか。現在 の活動 についての評価 は,

グループの活動 を 「 市民によ り分か り易 く示すべ

(12)

92

大坪 正一 ・樫井 ' #. '

きだ」が57名で最 も多 く,次いで 「 独 自の活動を 増やすべき 」 「 オ ンブズマン運動に関わ りたい 」 「 広 く会員の意見を聞 くべき」等の活動の改善点を提 起す る声が聞かれた。また

,

「 活動の主 旨が次第に 分か らな くなってきた

(

1 1名)

「 法律家でない と 取 り組めない

(13

)

」といった活動‑のマイナス イ メージも少な くないことが見て取れ る。他方,

「 現状のままで よい」 と肯定す る意見が

30

(25. 9%)

であることか らも,活動について何 らかの改 善を求める声が多い ことは否定できない。

③学習 との関連

学習 との関連を見てみ る と,グループは,情報 公開に関する学習会 としてシンポジウムや情報公 開ツアーなどを企画 し,オンブズマンのサポー ト だけでな く会員の学習の場 としての性格 ももって いる。 こ うした学習活動に関する会 員の意見 とし て

,

「これまでの取 り組みで十分だ」とする意見が 全体の

25.9%

,また 「 学習など必要ない

「 特に関 心はない」 とす る消極的な意見

(10.3%)

を除き,

6

割以上の会員が何 らかの改善を求めている現状 がある。 しか しその意識は,活動‑の関与の度合 いによって学習の必要性‑の認識 も異なっている ことが指摘できる。上述 した 「 積極派

「 お任せ 派」で比較 してみ ると

,

「 積極派」は学習のあ り方 を十分 と思 ってお らず 「 不足である」 とい う意見 が圧倒的であるのに対 し

,

「 お任せ派」の半数は学 習不足 を感 じていないのである。 グループでの学 習の現状を肯定する意見 とその不足を指摘す る意 見は,参加の仕方によって逆転 していることが分 かる。 ( 図 1)

図1 学習に対する意識の相違

しか しこのことか ら,活動への関わ り方 と学習 の必要性‑の認識 とに因果関係があることは指摘 できず,む しろ活動‑の関わ り方の相違を もとに, それぞれが今後 どのよ うな学習内容を求めている のかに注 目したい。図

1

にあるように 「 情報公開

に関す る学習」 と,環境や福祉 さらには教育 とい った多様な 「 地域課題に関す る学習」 とを比較す ると

,

「 積極派」の会員には相違が見 られない もの の

,

「 お任せ派」と見 られ る会員か らは 「 地域課題 に関す る学習」を求める声が圧倒的に多 くみ られ る。 この ことは

,

「 お任せ派」が情報公開に関す る ことだ けでな く,地域の多様な課題 に対す る取 り 組み‑の要求を持 っている捉 えることもできよ う。

他方

,

「 積極派」の会員が最 も強 く望んでいたこ とは 「 グループの方向性に関す る討論の場」 とい うことであった。「 積極派」のなかではグループの 活動を 「 現状のままでよい」 とい う意見はあま り 見 られず

(18.8%)

, 「 独 自の活動を増やすべき 」 「 一 部の会員だけの参加

「もっとオ ンブズマンに関わ りたい」 とする活動に対す る問題意見や不満が

8

割以上に及ぶが

,

「 お任せ派」はそ うした活動内容 に対す る不満は少ない。 「もっ と市民 に広 めるべ き」 とい う意見も半数以下である。 ( 図

2)

%007000諭1020川U 蛋

現 状 で 良 い 市 t あり

仲代 .こ仏 けるべ き

図2 活動に対する意識

(3)

宮城地域 自治研究所の存在

そこで,教育 ‑学習 との関わ りの中で,母胎 と なった 自治研の意義が検討 され る必要がある。 自 治研は,仙台市民オ ンブズマンそ してグループの 双方に とっての活動の拠点 として, さらに地域の 様々な課題についての情報交換や課題解決の学習 の拠点 として も位置づ けられ るか らである。 グル ープの月一回の例会やオ ンブズマ ンをサポー トす る作業の多 くは ここで行われてお り,オ ンブズマ ンとの接点が もてる唯一の場所 といえる。調査で 揺, 自治研の会員であるか どうかについて も聞い ているが

,

「 現在会員である

「 過去に会員であっ た

「 今後会員にな りたい」を含め,自治研 とのか かわ りを表明 している会員は全体の

3

割にも至 っ ていない。ちなみに 「自治研の存在を知 らない」

48

(41.4%),

「 知 っているが非会員

」33

(28.

4%)

であったo

自治研 の存在は,グループの活動の 目的 ・役割

参照

関連したドキュメント

を軌道にのせることができた。最後の2年間 では,本学が他大学に比して遅々としていた

従って、こ こでは「嬉 しい」と「 楽しい」の 間にも差が あると考え られる。こ のような差 は語を区別 するために 決しておざ

90年代に入ってから,クラブをめぐって新たな動きがみられるようになっている。それは,従来の

キャンパスの軸線とな るよう設計した。時計台 は永きにわたり図書館 として使 用され、学 生 の勉学の場となってい たが、9 7 年の新 大

一貫教育ならではの ビッグブラ ザーシステム 。大学生が学生 コーチとして高等部や中学部の

の繰返しになるのでここでは省略する︒ 列記されている

に至ったことである︒

社会的に排除されがちな人であっても共に働くことのできる事業体である WISE