糖試験などに用いる銅試薬の考察(3)
(1) (2)
一Barfoed試薬およびTauber−Kleiner試薬について一
理学科研究室 山 本 英 十
(昭和47年10月28日受理)
1. はじめに る・外国入の氏名を日本語で正しく表わすのはなかなか むずかしく,特にBarfoedがスエーデン人であればな
第1報のFehling液,第2報のBenedict試薬はい お表現がややこしくなるのも理解される。
ずれもア・レカリ性繍薬の代表的なものであるカミ・ここ D。,1。n♂、 i11。,、,at。d M,di、a1 Di,ti。n。,f3 では にのべる、Barfoed試薬とTauber−Kleiner試薬はとも
@ bahr fedzと発音記号を書いている。また玉虫文一氏達
に酸性銅試薬として衆知のものである。 の岩波理化学辞典ではBarfφdと記している。本文では
@両試薬とも単糖類では容易に還元されるが二糖類には 一応原名の綴りのままに表わすことにした。なかなか反応しない。この特異性を利用して生化学,農 本試薬の組成の表わし方については内外の書籍いずれ芸化学,食品化学などの分野で糖試験に使われてきたも も実に多様なものである。考えるに第1報のフェーリンのである。前者は酢酸銅と酢酸を用い。後者は酢酸銅と グ液がそうであったように本試薬は遠く1873年に公表さ
乳酸を用いる。アルカリ性銅試薬に比べると調製は一そ
@ れた定性試薬であるため,その後多くの研究者達によっ
、容易であり,またどちらも弱酸性溶液であるから取扱 て適当に書きかえられたものであろう。注の引用書籍の
いもいたって安全である。 ところに示した和書22冊,英米書10冊を調べた程度の結 ガラス瓶に保存して瓶口がよごれることもなく,また 果でも18種類の表わし方があることが分った。分別する
実験机や手,衣服に誤ってつけた場合もほとんど汚損あ
@ と和書では22冊のうち14種,英米書では10冊のうち8種るいはいためることもない。小・中・高校の理科実験で
@ のそれぞれ異る書き方を示している。その種類の多様さはブドウ糖などの還元性をしらべる銅試薬として古くか
はフェーリング液の場合とほぼ同じ割合であることは興らフェーリング液が用いられているが,Benedict試薬
味深い。や本文でのべる両試薬も大いに活用したらどうかと思
う.B。,f。ed試薬およびTaub。,.Kl。1。。・試薬の感 原報はつぎのよう1こ書かれている・
@ 1 Theil krystallisiertes, neutrales essigsaures
x,安定度,反応性など後述の通り良好であることが分@ Kupferoxid wird in 15 Theilen Wasser ge16st, und チた。理科教育の実験試薬として好適であり効果あるも
200cc. dieser Lδsung mit 5cc. Ess1gsaure(mit 38のとして考察の対象にした。
Proc. wasserfreier Saure)versetzt.
この原報と全く同一の表現をしたものは注1の㈲と(21)
2.試薬の名称と組成について の2書籍だけである。この指示に従うと例えば中性酢酸
2_1B、,f。,d試ボ 銅6.679を水…9に溶かし,その溶液1・・ccl・38%酢酸 本試薬は1873年スエーデンの医者Christen Thomsen 2.5ccを加えて調製することになる。この溶液の酢酸濃 Barfoed(1815〜1899)によって発表されたものである。 度は約1%である。
原報はデキストリンおよび類似した糖類に混じたるブド 試薬をつくる時の水の温度が20〜25°Cであると,その
ウ糖を定性的に検出した実験結果について報告してい 平均比重はほぼ0.9976であるから上記の場合は,中性酢 る。わが国の著書をみると本試薬および同氏名を書くの 酸銅6.659を20〜25°C(ほぼ平均室温)の水100ccに溶か に原名のままで表わしたものの割合が最も多く,日本語 し,38%酢酸2.5ccを加えた場合と内容は同じである。
の場合は英語読みにバーホード,バーフォード,バルポ この表わし方をした4著書(4)・(6},(10),㈲,と前述の(16)
一ド,あるいはドイツ語読みにバーフェード,バールフ ⑳,および原報を一一つのワクに入れ,本試薬約100ccを
エズ,バルフェド,バルフェードなどと書表わされてい つくる場合について注1の各引用書の相違を比較分類し
170 茨城大学教育学部紀要 第22号
たのが第1表である。38%酢酸2.5cc中に含まれる純酢 の量も大差ないので実質的には原報とほとんど同じとみ
酸の量は氷酢酸1ccと大体同じであるから,第1表の なし得る。1,2,3,4,5,6,7,8,14行目のものは酢酸
第1表Barfoed試薬について調査
引用書
@ 番号
氏@薬
原報および
@へ 6,10 P421.27
8915
7 18 5 11 P5
14 T0 T1 25
11725
20 26
3224
2 5Q&29 22 12
19 中性酢酸銅@(の ム65
665
ム65 ム65ム6 ム5 ム5
ム7745
50 6 ア 9丘6
4.5 4.5 斜氷 酢 酸
@(GO)
α9
rl α98
% 1
50%酢酸
@(〃) 1.2 10 12 α12 1※
58%酢酸 邸
(〃)
50彩酢酸
(〃) 5
5%酢酸
i〃) 田2
1%酢酸i〃) 100 100
100
1%z酢酸
@(〃) 100
水(〃)
100 100 100 100
100 100 100100 100
この欄は水に溶かしト唱0000とする
備考 ※の単位だけは9
注1:第1表に引用した書籍名 analysis 1967, p.10,(27)J. Grant, Hackh s Chemica1
(1)青柳安誠ほか,医学大辞典,1958,P.55, (2)有本邦 Dictionary,4th ed・・1969・P・78,(28)C・D・Hodgman et 太郎ほか、食品化学実験法,1968,P,32,(3)安藤鋭郎ほか, al, Handbook of Chemlstry and Physics・44th ed・・1962・
生化学研究法,第1巻,1970,P。411, (4)阿武喜美子,日本 μ1650(29)N・A・Lange・Handbook of Chemistr拓10ヒh 化学会編実験化学講座,第23巻生物化学1,1957,P,369,(5) ei・196Z p・10臓(30)HMIddleton・Systematlc quali一
taUve organic analysis,1939, p.266,(31)D. Pearson,石川清一ほか,有機化学実験法,1953,P.85,(6)石坂音治ほ
The chemical analysis of foods,6th ed.,1970, p.110,か,衛生化学および試験法,1969,P,311, (7)江見浩一,定
(32)E.Tognoli, Reageユts and reactions,1918, p.61.性有機分析,1946,p.195, (8)大西正三ほか,栄養食品学実
験,1970.P,129, (9)小原哲二郎,食品栄養化学実験書,1970.
(2)
o・77,(10)柿内三郎,実験生化学,1937,P・37, (11)加藤 2−2 Tauber・Kleiner試薬
勝治ほか・医学英和大辞典・1969・P・175・(12)亀山猶一・化 Barfoed試薬の検討と改良が多くの人によって試みら
学分析試薬の調製法,1958,P.276,(13)草間正ヂ,栄養食品 (4)@ れた。そのうちBlakeは酢酸銅と酢酸の混合割合および
の化学実験,1972,p,9,(14)近藤正春,化学用語解説便覧, (5) (6)煮沸時間について行った。McGuiganとMathewsは1971,p.152、 (15)玉虫文一ほか,岩波理化学辞典第3版,
酢酸の量が多すぎることと煮沸時間が長すぎることは,1971,P.1051,(16)都築洋次郎,糖類,1954, P.144,(7)南 (7)
山堂編,医学大辞典,1970,P.1257,(18)藤井暢三,生化学実 いずれも二糖類が陽性反応に出ることを発表し, Sieben
験法,定性篇,1970,μ59, (19)船久保英一,改著有機化合 は煮沸中に酢酸が蒸発し実験上欠陥があるので試験溶液 物確認法,1969.310,(20)細谷憲政,栄養学実験,1970, を密封し,40°Cで温める方法をのべている。
P・48・(21)宮道悦男・最新植物成分研究法・1967・P・240・ TauberとKlelnerの両共同研究者はBarfoed試薬
(22)山田正一・醸造分析法・1969・P307・ (23)LR・q とブドウ糖を加熱して生ずる酸化第一銅の量が使用糖量
Agnew et aL Dorlan{fs illustrated Medical Dictionary @ と比例しないのは,酢酸の蒸発が原因するものと考えて24th ed,,1965, p 1520,(24)J.D. Bauer et al, Bray s Clinical
@ 不揮発性の乳酸を代用したのである。laboratory methods,1968,μ33,(25)N. D. Cheronis et
a1, Ident孟fication of organic compound$1963, p.4箆 乳酸を用いたことによって生成する酸化第一銅の量は
(26)W.J. Criddle et a1, Qualitative organic chemica1 加えた単糖の量に比例すること,またBarfoed試薬や
その他の改良試薬の場合よりも二糖類が多量に存在して 3.化学的性質について
もその影響が小さいとのべている。 3−1酢酸銅水溶液TauberとKleinerはそれぞれアメリカのNew York
@ Barfoedの論文の始めに中性酢酸銅とブドウ糖の混 Homepathic Medical CollegeおよびFlower Hos一
@ 合溶液は常温で放置すると酸化第一銅が生成するとわず
pita1, New Yorkの生理化学研究室の学者である。 か3行のべている。まずこの点から詳しく検討すること
原報は二糖類の存在における単糖類の定量と血液分析 にした。
への応用について報告したものである。 ※酢酸銅水溶液の調製……特級の中性酢酸銅結晶6・65
@その論文中で調製した液をsolutionとよばずreag−
@ gを秤り蒸留水100ccを加えて溶した。この濃度は後
・ntと書いていること,またわが国の器でも多くは原 述のB。,f。,d諜と比較するときのためにきめた
名のままTauber−Kleiner試薬と書いているので本文 ものである。
でもそのように書くことにした・ ※ブドウ糖溶液..…鰍ブドウ糖・.…9を秤り,安本試薬はBa「f°ed試薬鍍法であるとして繊する 息香酸q159を含む水に溶かして全容を…ccとすもの,あるいは混同してBarfoed試薬の名で本試薬の る。安息香酸は防腐剤として用いる。内容を記した著書がかなり多い。組成について注2にあ 実験1……試験管に酢酸銅水溶液を5ccずつとり,こげた10冊の書籍を調べたところすべて原報と一致した記 れに前記の1g/dlブドウ糖溶液をそれぞれ一定量加述がされている。いずれも酢酸銅24gと8.5%乳酸25ccを え,よく混和してから室温に静置した。
水に溶かして全容を500ccにするとのべている。原報は
@ その結果は第2表の通りである。
つぎのように記している。
New Acid CoPPer Monose Reagent−Dissolve 24 第2表 酢酸銅水溶液5cc使用す。
gm. of copper acetate(Merck, normal, c. p.)in
赤色沈澱(Cu20)の生成量を示す。
450cc. of boiling water. If a precipitate forms do 加えた 混合旛液中の 静置 した時間
not filter. Add immediately 25cc of 8.5 per cent 廠 ブドウ糖溶液
@(CC)
ブドウ楯濃度
i㎎,麗) 1 2 5
24
lactic acid(Mallinckrodt, United States Pharmaco一 , α125 24
0 0
0 0poeia X,85 per cent)to the hot solution. Shake; 2
〔L25 48 o α1十 α2十 α2十 nearly all the precipitate will dissolve. Coo1, dilute
狽潤@500cc., and after sedimentation filter off the
,3
S5 0.5 P2
91 P6ア
Q86
oa1十m十 1十 P十 Q十
り十
Q十 Q十
,十
Q十 R十impurities. 6 4 440
0.5十
2十 5十 5十古く1873年に発表されたBarfoed試薬に対しては, ア 結晶 a19 2000 1十 2十 2十 5十
前述のように実に多くの原報と異なる書き表わされ方が
8結晶 α29
4000 1十 2十 5十 5十あるが,1932年発表のTauber−Kleiner試薬の方はみな
備考(1)…赤色沈澱のおおよその量をつぎのように数字で示す。原報を忠実に伝えている。 認められ予 o わずか… 4+
痕跡…m十〜a2十 少 し……2十
ごくわずか…U5十 やや多い…5十注2・T・ub・rKl・i…試薬の分類調査に用いた辮 (2}_第5表以下も赤色沈澱の鰍・の基準であらわす。
(番号はBarfoed試薬の引用書に続く)
(33)大嶽六郎ほか,栄養食品実験書,1971,R198, 第2表でみられるように静置後5時間内でブドウ糖の
(34)E.A. Davidson著,桂暢彦訳・生化学常用分析法・ 還元反応は平衡状態に達するようである。ブドウ糖の濃 1969,R16,(35)神立誠ほか・最新食品分析法・1971・P・180・ 度をさらに大きくするために酢酸銅水溶液5ccにブドウ
(36)京都大学農学部食品工学教室編・食品工学実験書・上巻・ 糖結晶をα19および0.29加えた場合の結果が表中の 1970,P・391・(37)小池五郎ほか・栄養学実験197qR1篭 Nα7とNα8である。24時問後かなり多くの赤色沈殿が
(38)東京大学農学部農芸化学教室編実験農芸化学下巻 できるが溶液の青色はまだかなり濃くて容易に槌色しな
・97qR・・乳(39)鯨農工大学餓イヒ轍蝋飾学実験
いうことになる。従って過量のブドウ糖は還元反応には
172 茨城大学教育学部紀要 第22号
あずからないで溶液中にただ残存する。 蒸留水に溶かして全容を100ccとする。
この間における平衡は簡略するとつぎの反応方程式の 実験4……酢酸銅水溶液5ccに19/d1ショ糖溶液を1cc,
ように考えられる。 2cc,4cc,8cc加えたものを室温に静置した。
(CH3COO)2Cu十2H20こ2CH3COOH十Cu(OH)、 その結果は48時間経過しても何らの変化も認められなか C・(OH)、+ブドウ糖ごC・OH+ブドウ糖酸北物 ・た・
2CuOHごCu20十H20 実験5−・・酢酸銅水溶液5ccに19/dlショ糖溶液1ccお
よび4cc加えたものを同時に煮沸湯浴中につけた。実験2……試験管に酢酸銅水溶液5ccずつとり,19/d 1
ブドウ糖溶液をそれぞれ一定量加え,よく混和したの
第5表 中性酢酸銅水液液5cc使用す。ち弱い直火で2分間加熱した。
加えたショ糖 観 察 さ れ た 変 化その結果は第3表の通りである。酢酸銅水溶液とブドウ
溶液(CC) 1 0分後 2 0分後 糖の混合溶液においてブドウ糖濃度がほぼ170mg/dl以1
溶液の青色がうすくネる
進展せず下の場合は,ただ室温においてもまた加熱しても生成す
緑白色沈澱生成 る酸化第一銅がブドウ糖の添加量に比例することが分驕B
4 溶液は褐色になる ホ白色沈澱やや多く
カ成
溶液は暗褐色になり
テ黒禍色沈品を生ず
第3表 中性酢酸銅溶液5cc使用す。その結果は第5表の通りである。室温で反応し難かった
加えたブドウ恬n液(CC)
混合溶液中の uドウ糖濃度
i㎎/姥) 赤 色沈 澱 溶液の色の変化
ショ糖が温度が上ると反応を呈するようになる。ラクト [ス,マルトースについても同じような反応を知った。
〈口 <1∩
0
認められず中性酢酸銅水溶液は,ブドウ糖のほか,フルクトース,
α1〜α2
10〜20
α1十 〃ガラクトース,マンノース,キシロース,アラビノース
a5〜0.5
57〜91 1十 〃などの単糖やヒドラジン,ヒドロキシルアミン,アスコ
1
167
2十 少しうすくなる2
286 5十 〃ルビン酸などにも陽性反応を示す。このことはBarfoed
4 445 5十 〃 試薬およびTauber Kleiner試薬でも同じである。
3−2Barfoed試薬
つぎに加熱法を変え混合溶液を煮沸せる湯浴中につけ 酢酸銅水溶液に酢酸を加えることによって糖類との反
て反応を観際した。 応性が温和になったという本試薬の性質につき定性的な 実験3−・酢酸銅水溶液5ccに19/dlブドウ糖溶液1cc 実験比較を行った。まず基準のBarfoed試薬についておよび4cc加えたものをつくり,同時に煮沸湯浴中に 行い,つぎに酢酸濃度のみを適宜に変えたものについて
つけた。 実施した。結果は第4表の通りである。ブドウ糖濃度の大きい下段 ※Barfoed試薬……特級の中性酢酸銅6.659を秤り,
の方が理論通り反応速度がやや大きいことが観察され 蒸留水100ccを加え溶解したのち38%酢酸(氷酢酸
る。しかし反応速度も酸化第一銅の生成量もブドウ糖添 39・99を蒸留水に溶かして100ccとする。)2・5ccを
加量と比例しないことは実験1,実験2でみられる通り 加える。である。 青色溶液である。無色ガラス瓶に入れて密栓し,窓ぎわ
の直射日光のあたるところに約5ケ月放置したものでも
第4表 中性酢酸銅水溶液5cc使用す。色の変化や沈殿生成が認められず。定性試薬として何ら
加えたブドウ恬n液㊨c,
赤色沈澱 溶液の色低下していないことが分った。本試薬はかなり安定度の
b「試薬であることが分る。90秒後に生成
70秒で1 5分……5十 青緑色に 実験6−・Barfoed試薬5ccに19/dlブドウ糖溶液を
10分……5十
にごる それぞれ0.125cc,0。25cc,0.5cc, 1cc,2cc,4cc加
4
80秒後に生成 T分……5十
60〜70秒
ナ青緑色 えたものをつくり,よく混和したのち室温に静置した。
10分……5十
ににごるその結果いずれも24時間経過後において,何ら色の変化 も沈殿の生成も認められなかった。第2表の酢酸銅のみ つぎに酢酸銅水溶液とショ糖について実験を行った。 の場合と比較し,酢酸添加の効果がはっきり分る。前記
※ショ糖溶液………特級のsucrose 1.000gを秤り, の酢酸銅の加水分解の反応方程式から当然推定されると
山 本:糖試験などに用いる銅試薬の考察(3) 173
ころである。なおこの混合溶液は数日後においても変化 糖の場合と比較すると酢酸添加の効果がはっきり分る。
は生じなかった。 (第5表と比較)
実験7……Barfoed試薬5ccに19/dlブドウ糖溶液を
それぞれ α1cc,α2cc,0.5cc,1cc,2cc,4cc加
第8表Barfoed試薬5cc使用す。えたものをつくりよく混和したのち,弱い直火で2分
加えたショ糖 観察された変化間加熱した。 溶液(CO) 10分後 20分後
その結果は第6表の通りである。 1 認められず 認められす
混合溶液中のブドウ糖の濃度をさらに大きくするた 4 認められず 痕 跡 め,試薬5ccにブドウ糖結晶をそれぞれ1g,2g,3g
@ ラク
チえ弱い直火で2分間加熱した。その結果は溶液の槌色
トース,およびマルトースで実験してもショ糖の
場合と同じくほとんど陰性である。度も赤色沈殿の生成量もブドウ糖添加量に比例しないこ
@ Fehling液やBenedict試薬はラクトースあるいはマ
ニが分った。ブドウ糖濃度が大きい場合でも溶液の色は
@ ルトースと加熱すると,すぐに反応して鮮やかな赤色沈うすくはなるが色調の変りはなく青色を呈する。比例す
@ 殿を生ずる。Barfoed試薬が特にMonose reagentと 第6表 Barfoed試薬5cc使用す。 よばれる所以である。
加えたブドウ 恬n液(CC)
漫合溶液中の uドウ糖濃度
@(㎎/姥)
赤色沈澱 溶液の色の変化
Barfoedは酢酸濃度を約1%に定めた試薬が最も効 (4)
ハ的であるとのべている。またBlakeも酢酸銅と酢酸
α1
200
認められずの割合について簡単にのべているが,この論文において
は実験方法を変えて定1生的に行ったものである。
α2 59 a1十 〃 実験8……基準のBarfoed試薬の酢酸濃度を2倍,3
α5
91毛十
わずかにうすくネる 倍,4倍,5倍にしたものをつくり,それぞれ試験管1 167 2十 少し5すくなる に5ccとる。これらに1g/dlブドウ糖溶液を1ccずつ
加え煮沸湯浴中につけて観察した。
2 286 5十 〃
その結果は第9表の通りである。
4
440
5十 うすくなる第9表 基準のBarfoed試薬を第1段に示す。
るのは第6表の5段目まで,すなわち混合溶液中のブド 比較する試薬 赤色沈殿が 赤色沈澱の生成量
ウ糖濃度が約170mg/dl以下の時である。
中の酢酸濃度@ ㈲出始める時間
@ ㈲ 5分後 10分後 実験8……本試薬5ccに19/d1ブドウ糖溶液を1ccおよ
1
1.5 3十 5十び4cc加えたものをつくり,よく混和してから煮沸湯 2 2 2十 2十
浴中につけて変化をしらべる。
5 ム5 1十 1十その結果は第7表の通りである。
4548 1十
ソ1十
1十≠Q十
第7表 Barfoed試薬5 cc使用す。
加えたブドウ
恬n液{OO) 赤色沈澱 溶液の色
酢酸濃度が大きくなると反応速度が小さくなるのは,
アの酸化還元反応は酢酸銅の加水分解度に依存するため
1
佃0秒後に生成
@5分……5十 70秒で
ツ緑色に である。酸化第一銅の沈殿もしたがって酢酸濃度の増大 10分……5十
にごるに反比例して少くなった。
4
90秒後に生成
T分……5十
60秒でツ緑色に
つぎにショ糖について実験を試みた。
10分……5十
にごる 実験9……前の実験8と同じように酢酸濃度を大きくし 噂 た液に1g/dlショ糖溶液1ccずつ加え,煮沸湯浴中に っぎにBarfoed試薬とショ糖の反応について実験を つけて観察した。行った。この混合溶液は室温のままでは数日間おいても その結果25分経過しても色の変化や沈殿を生成したもの 何らの変化もみられないが煮沸湯浴につけた場合,ショ はなく・いずれも放冷後液面にかすかな赤色物質が浮ぶ 糖濃度が比較的大きい場合はごくわずかに反応がみられ のを認めるだけであった。
(5) (6)
驕B第8表にその結果を記したが,酢酸銅水溶液とショ McGuiganやMathewsが述べるほどには・酢酸濃
噛
174 茨城大学教育学部紀要 第22号
度の増大によるショ糖の加水分解の影響をみることはで られなかった。酢酸添加と同様に乳酸添加の効果がよく きなかった。このことはラクトース,マルトースにおい あらわれることが分った。
ても同様であった。したがってBarfoed試薬の酢酸基 実験11……本試薬5ccに19/d1ブドウ糖溶液をそれぞれ
準濃度を1%より増大することによる影響は二糖類より 0.025cc,0.05cc,0.1cc,0.2cc,α5cc,1cc,2cら
も単糖類に大きく現われることが分った。 4cc,8cc加え,よく混和したのち弱い直火で2分間 本試薬はかっては尿糖試験に用いられたことがある 加熱した。
が,その後はBenedict試薬が広く利用されてきたこと その結果は第10表の通りである。
は第2報で既にのべた通りである。しかし今日でも (8)Bauer達はその著書で尿糖試験に本試験を採用してい
第10表 Tauber−Kleiner試薬5cc使用す。
る。本試薬が尿中のブドウ糖には陽性であるが,ラクト ,一スおよびマルトースには陰性であることを利用したも
加えたブドウ 恬n液(CC)
混謙和仮甲の uドウ糖濃度
@(㎎/姥) 赤色沈澱 溶液の色の
マ化
のである。 0,025 5
0
認められずFehling液, Barfoed試薬およびTauber−Kleiner 0.05 10 0 〃
試薬はいずれも尿中に多量のクレアチニンや尿酸が存在
0.1〜0.2 20〜59 α2十 〃
する時は,加熱によりそれらの銅化合物をつくって沈殿
キるので尿糖分析に誤差を与える。Benedict試薬はク 0.5 91 1十 わずかに、すくなる
レアチニンや尿酸とは反応しない。
1 167 2十 小しうすくネる
3−3Tauber−Kleiner試薬 2 286 2十 〃
(9)
kegrandはBarfoed試薬を用いた時にできる酸化 4 440 5十 うすくなる
第一銅によって硫酸第二鉄を還元し,生成する第一鉄イ
8 615 3十 〃オンの量を過マンガン酸カリウム標準液で滴定する方法
を用いることにより糖量を定めるという発表をしてい 実験11でブドウ糖濃度をさらに大きくするために,ブ る。 ドウ糖結晶を試薬5ccに対してそれぞれ19,29,39
Barfoed試薬を定量試験に応用するために, Tauber 加えた実験を試みた。その結果ブドウ糖添加量が増えて とKleinerは蒸発しやすい酢酸のかわりに不揮発性の も混合溶液の色や赤色沈殿の生成量は比例しないことが
乳酸を用い比色法を使って定量的に糖試験を行った。通 分った。
称Barfoed変法といわれる。 比例したところがみられるのは第10表の5段目で混合
この論文ではまず酢酸を乳酸にとりかえた効果にっい 溶液中のブドウ糖濃度が約170mg/d1以下の時であるこ
て実験比較を行ってみた。 とが分る。試薬の調製は原報にしたがって特級酢酸銅と特級乳酸 この比例するという点に関してTauber達は本試薬の を使用し一度ろ過して保存する。青色透明液である。無 方がBarfoed試薬よりもすぐれているとのべているが
色ガラス瓶に入れ密栓して直射日光のあたる窓ぎわにお 大差はないようにみられる。
いたものは,約1ケ月後に暗灰色の沈殿がわずかに生 実験12……本試薬5ccに19/d1ブドウ糖液を1ccおよ じ,2ケ月後には暗褐色沈殿となってやや増加したがそ び4cc加えたものをつくりよく混和してから同時に煮 の後は変化は認められない。一緒の場所においたBar一 沸湯浴中につけて観察した。
foed試薬やBenedict試薬ではこの変化はみられない。 その結果は第11表の通りでBarfoed試験の結果第7表 Tauber−Kldner試薬の方がやや不安定であるようにみ と大した差はないようである。
える。
{試薬とブドウ糖の混合溶液についてまずつぎの実験
第11表Tauber−1(1einer試薬5cc使用す。
を行った。 町0えたプドウ艨̀容履{CC)
赤色沈澱
熔液の色実験10……試薬5ccにそれぞれ一定量の19/d1ブドウ糖 1 2分1受に生成
T分……5十
80〜90秒で甫緑色 ノにごる 溶液を実験6のBarfoed試薬と同じように加え室温 1⑪分……3十 上澄みほ青色
に静置した。 4 2分後に生成
T分……5十
ノにごる70〜80秒で青緑色その結果は実験6と全く同じように変化はほとんど認め 10分……5十
上澄みは肖色っぎにTauber−Kleiner試薬とショ糖の反応について について行った実験3,実験8,実験12と同一条件で 実験を試みた。この混合溶液はBarfoed試薬の場合と Fehling液および Benedict定性試薬について行ったも
同じで室温では数日間放置しても変化は何ら認められな のが第13表である。反応性はこれらアルカリ性銅試薬の い。加熱するとややわずかに反応が生じたのを認めう 方が活発であることが分る。
る。 Tauber達はその試薬を比色法による定量試験に応用 実験13_…本試薬5ccに19/dlショ糖溶液を1ccおよび している。発色試薬にはBenedictが用いたものと同じ 4cc加えよく混和したのち同時に煮沸湯浴中につけ である。純モリブデン酸,無水炭酸ナトリウム,85%リ た。 ン酸を用いる。本試薬とブドウ糖の反応によって生じた
その結果は第12表の通りである。Barfoed試薬を用いた 酸化第一銅により発色試薬のリンモリブデン酸が還元さ
場合よりも反応度は小さいようである。 れてモリブデン青を生成する・その色を比色法で測定し第12表 Tauber−Kleiner試薬5cc使用す。 て糖量を求める。
@この方法によって試料溶液2cc中にブドウ糖を0.10
i加えたシ。糖 観察された変化
〜1.00mg含むようなグルコース,ラクトース混合物,
溶液(CG) 10分後 20分後
グルコース,マルトース混合物,フルクトース,ショ糖
霊 認められず 認められず
4 認められず 痕 跡
混合物などについて実験結果を報告している。単糖類の
検出される最小量は試料溶液2cc中0.1mgとのべてい
酢酸銅水溶液,Barfoed試薬, Tauber−Kleiller試薬 る。
第13表
えたブドウ 赤 色 沈 澱 溶 液 の 色
溶液(GC) Fehhng液 Benedict試薬 Feming液
Benedict試薬 i
「
1
15〜20秒で生 ャ 2分……5十
Q8分……5十
50秒位から ホ青色→茶褐色
ィ赤燈色となる
@2分……5十 Q0分……5十
2分後ややうす ュなる サの後は20分
oっても変らない
50秒後に緑青 F60秒…茶褐色
Q分……赤榿色 ]ル状態に近い?tは青色 20秒位から 10秒後に赤褐 20秒後に緑青
F
4
10秒後に生成
@1分……5十 Q0分……5十
緑青色→茶褐色
ィ赤檀色となる
@2分……3十 Q0分……5十
色ゾル状態に近い
Q0分後も同じ
?tは帯黄色
50秒…茶褐色
Q分……赤檀色 ]ル状態に近い?tは徴黄色
文 献
おわりに (1)C.Ba㎡oed:Z. anaL Chem.,璽27(1873).
本論文では両試薬の名称および組成についーて調べると (2)ETauber andエS. K1elner:J. Bi・L Chem・・i麩
共に酸性銅試薬の特異性をかなり詳しく知ることができ 24g(1932).
た。殊にこれら試薬の基本成分である酢酸銅の水溶液が (3)LR. G Agnew et al:Dorlan♂s illustrated 単糖類に対しては, Barfoed試薬およびTauber− Medical Dlctionary・24th ed・・19砥P1520・
Kleiner試薬と同じ程度の感度と正確度をもっているこ (4)正CBlake:工Am・Chem Soc・堕1245(1916>
とを実験では。きり知。たのは喜びであ。た。 (・)KM・G・ig・n・AmエPhysi°L43175(19°7>
@ (6)A.P. Mathews et al:Am J・PhysioL坦・199
│酸銅水溶液,Barfoed試薬, Tauber−Kleiner試薬
(1907).
ノおいて還元生成物である酸化第一銅のできる量は・グ
@ (7)Z.Sieben:Ve監Ruebenzucker Ind.,聖』887
泣Rースの濃度がほぼ170mg/dl以下のとき,いずれも (1881).
グルコース量に正比例することが分った。 (8)J,1>Bauer et a1:Braプs Clinical laboratory
Methods,1968, P.33.(9)M.Legrand:Compt rend, Acad.,塑602(1921).
176 茨城大学教育学部紀要 第22号
St・di…nth…PPer reag・・t・u・ed f・・sugar test・nd…n(3)
一〇nBarfoed,s and Tauber−Kleiner,s reagents一
Eiju Yamamoto
Abgtract
The・e w・・e disc・ssed・・d・1assifi・d・n th・n・mi・gs and,。mp。,i。n,。f B、,f。,d,, and Tauber−Kleiner,s reagents.
Va「i°us q・・1it・tive exp・・三m・n・・w・・e p・a・ti・ed…ce・ni・g・・en・ib量lity,・・、bili・y, acc。,acy and reactivity of these reagents.
Simil・・exp・・im・nt・w・・e al・・t・i・d t・n・ut・a1・・p・i・、cet、te aq。。. A。d,。 it h。、 been asce「tained th・t・・p・ic acet・te aq・a i・u・ef・1 t・test・m・n・se i。 the ab、ence。f di、acch。,.
ides qualitatively.
In eve「y・n・・f・up・i・acet・te aq…B・・f・ed ・・eag・・t・・d Tauber−K1・i・。,・s reag,nt,
asedim・nt・1・m・・nt・f・ed・・ti・n p・・d・・t C・、O i・di・ectly p・・P。,ti。n。t。 t。 a,。n,ent,ati。n ・fglu・・se if it i・add・d unde・ab・ut 170mg/d1.
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