• 検索結果がありません。

表 1 当院における後発医薬品評価項目表 ( 抜粋 ) 一般名 規格 メーカー 薬価 後発医薬品名称 先発医薬品名称 コメント 評価項目 品質 評価 含量, 性状, 確認試験 純度試験溶出試験 重量偏差試験 全て規格内 限界値に近い 規格限界値に近いものがある 生物学的同等性試験標準製剤とほぼ変わら

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "表 1 当院における後発医薬品評価項目表 ( 抜粋 ) 一般名 規格 メーカー 薬価 後発医薬品名称 先発医薬品名称 コメント 評価項目 品質 評価 含量, 性状, 確認試験 純度試験溶出試験 重量偏差試験 全て規格内 限界値に近い 規格限界値に近いものがある 生物学的同等性試験標準製剤とほぼ変わら"

Copied!
7
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

1 後発医薬品への移行によって得られた薬剤管理上の改善効果と経済効果 恵寿総合病院・薬剤部・室宮むろみや 智彦と も ひ こ 後発医薬品は、先発医薬品(新薬)の特許が切れた後で製造販売が承認される、先発医薬品と同じ有効成 分を同一量含む医薬品であり、一般的に先発医薬品に比べて安価である。後発医薬品を普及させることは、患 者の経済的負担の軽減や国家の医療保険財政の効率化が図られることから、政府は平成 19 年に、「平成 24 年 度までに、後発医薬品の数量シェアを 30%以上にする」という目標を掲げてきたが、到達することができなかっ た。このため、社会保障・税一体改革大綱(平成 24 年 2 月閣議決定)にも盛り込まれ、それに基づいて、平成 25 年 4 月には、現在の使用促進策に係る課題を明らかにするとともに、新たな目標を設定して、「後発医薬品のさ らなる使用促進のためのロードマップ」が策定された。後発医薬品の数量シェアは、採用している全ての医薬品 をベースとする旧指標から、国際的な比較が容易にできることも踏まえ、後発医薬品に置き換えられる先発医薬 品および後発医薬品をベースとした新指標へと変更され、平成 30 年 3 月末までに 60%以上にするという目標が 掲げられた。 また、平成 25 年 12 月には、中央社会保険医療協議会の DPC(診断群分類包括制度)評価分科会により、 DPC 導入病院の「機能評価係数Ⅱ」に「後発医薬品指数」が新たに導入され、平成 26 年度診療報酬改定より、 上記ロードマップにおける新指標の数量シェアが評価されることとなり、今後さらに後発医薬品推進の動きが高 まることが予想されている。 このような観点から当院薬剤部でも、これまで年間購入金額の上位を占める抗菌薬や注射薬については後 発医薬品への移行に努めてきたが、平成 22 年 1 月時点での後発医薬品の使用割合(旧指標の品目ベース)は 約 8.9%と低いものであった。近年の医療費の患者負担の増加による患者側からの後発医薬品への要望や上 記の国の医療政策の方向にそって平成 22 年より積極的に後発医薬品への移行を推進することとした。また、多 くの後発医薬品の導入による医薬品の安全管理への運用面での問題点についても種々検討してきたので、そ の対策に関しても報告する。 【対象と方法】 最初に当院での年間購入金額が上位の医薬品を候補医薬品として順次選定することとした。次に選定した 医薬品の安定供給や品質確保についてメーカーからの情報提供がしっかりしていること、また他病院における その後発医薬品の採用状況等を調査し、選定基準とした。次に誤薬防止の観点から、名称や外観の他薬品と の類似性についても慎重に検討した。さらに付加価値の存在する医薬品であれば、安定性の向上や作業効率 の上昇が望めるかについても評価した。適応の異なる医薬品に関しては、院内での使用頻度と経済効果を踏ま えた上で候補として選定すべきか判断した。また多くの参考文献を調査した結果、鹿児島県の後発医薬品採用 マニュアルを参考にして、当院における後発医薬品評価項目表(表1)を作成し、これを選定の基準にした。

(2)

2 表 1 当院における後発医薬品評価項目表(抜粋) 一般名 規格 メーカー 薬価 後発医薬品 名称 評価項目 評価 品質 ◎ ○ × 先発医薬品 名称 コメント 加速度試験 経時変化がほとんどない, 又は同等である 経時的変化が認められる が,同等で十分承認規格の 範囲内である ・安定性が劣る ・保存条件によっては規格を 逸脱するおそれがある 長期保存試験 経時変化がほとんどない,又は同等である 経時的変化が認められる が,同等で十分承認規格の 範囲内である ・安定性が劣る ・保存条件によっては規格を 逸脱するおそれがある 含量,性状,確認試験、純度 試験溶出試験、重量偏差試験 全て規格内 限界値に近い、規格限界値 に近いものがある 生物学的同等性試験 標準製剤とほぼ変わらない 十分基準の範囲内にある ・試験結果が提供されない ・結果に疑問があるがメー カーから適切な答えが得ら れない 以上のような選定基準に適応した候補となる医薬品(以下、候補医薬品)において、後発医薬品への移行可 否について医師を対象としたアンケートを実施した。アンケートは平成 22 年 4 月から開始しており、一度に多く の品目を効率良く移行する必要があったため、あらかじめ薬剤師側から候補医薬品を選定した上で医師にアン ケートを行う形式をとった。 アンケート用紙の候補医薬品一覧表で後発医薬品の移行が困難な医薬品があれば、変更不可のチェックを して、移行できない理由を薬事審議委員会へ出席して説明するか、または書面で説明するようお願いした。 アンケートの記載内容について、平成 22 年時点では候補医薬品一覧表に先発医薬品名称のみ表記してい た(表2)が、これだけでは不明瞭な点が多く医師からの問合せもあったため、現在(平成26年時点)では先発医 薬品だけでなく後発医薬品の候補医薬品名称も併記して、さらに備考欄を設けて候補医薬品の選定理由や特 徴についての説明と付加価値や適応症の違いについても記載している(表 3)。 表 2 後発医薬品アンケート(平成 22 年)(抜粋) 後発医薬品変更 候補医薬品 移行不可 アクアチムクリーム (1本10g) アザルフィジンEN錠 500mg アスタット軟膏 (10g) 候補医薬品 薬品名 以下の医薬品で後発医薬品への移行不可があればチェックをお願いします。 表 3 後発医薬品アンケート(平成 26 年)(抜粋) 先発品 候補後発品 備考 移行不可 チェック アレグラ錠60mg フェキソフェナジン錠60mg 「SANIK」(日医工) 先発メーカーと共同開発で発売された後発医薬品。添加物や製造工程 などが全く同じ。そのため生物学的同等性試験などの試験データは全 て先発品と同じである。 タキソテール点滴静注20mg ドセタキセル点滴静注用20mg「サワイ」 タキソテール点滴静注80mg ドセタキセル点滴静注用 80mg「サワイ」 後発医薬品変更 候補医薬品 以下の医薬品で後発医薬品への移行不可があればチェックをお願いします ①薬剤と添付溶解液が分かれていること。(他メーカーは、薬剤と溶 解液が一体型。溶解液にはアルコールが含まれているので過敏症の患 者さんには使えない) ②薬剤を生食またはブドウ糖で溶解できること。(アルコール過敏症 にたいして。) ③適応は先発品と同じ。

(3)

3 上記アンケート結果をもとに薬事審議委員会にて審議を行い、承認を受けた医薬品について後発医薬品とし て採用し、順次移行を進めていった。また、後発医薬品として完全には承認されなかった一部の医薬品につい ては、先発医薬品を残したまま、後発医薬品と併用して採用できるか審議した。これらの医薬品については原則 として後発医薬品を使用し、先発医薬品は限定使用することとした。例えばメロペンⓇ注やユナシン S注では、 先発医薬品のみ高用量で使用可能な適応が存在するが、後発医薬品使用による経済効果を考慮した結果、両 方を院内採用として、先発医薬品は高用量での限定使用とする方策をとった。 移行の決定した後発医薬品については先発医薬品と同様に、薬品情報の表示や他の院内採用薬品との相 互作用情報の表示(併用禁忌薬がオーダーされた時に警告画面で知らせる等)を設定した。また、新しい外観 の薬剤を調剤することによる取り間違いを防ぐために、院内処方せんには識別コードを表記した(図 1)。 図 1 院内処方せん上の識別コード表示 承認を受けた後発医薬品を院内システムに登録する際に、平成22年以前では医薬品名称の後ろに「(後)」と 表記して後発医薬品であることを明記していたが、これでは先発医薬品を認識できなくなる恐れがあったため、 平成22年以降は後発医薬品名称の後ろに先発医薬品名称を併記する方法で統一した。また、処方入力時に は後発医薬品名称だけでなく、先発医薬品名称または一般名称の最初の3文字入力によっても後発医薬品が 処方オーダー画面に現れるように設定した(図2)。 図2 処方オーダー画面上の後発医薬品の入力 院内職員への周知の取り組みとして、薬事審議委員会で承認された後発医薬品の一覧表(表4)を医師と各病 棟へ配布することとした。また、その中でも外観で判別に注意が必要な外用薬や注射薬等については、写真付 きの対応表(図3)も同時に配布した。 処方せん上に識別コードを表記! 先発医薬品の3文字入力で、後発医薬品が現れる! 後発医薬品名の後ろに、 先発医薬品名を併記する!

(4)

4 表4 後発医薬品移行一覧表(抜粋) 先発品 後発品 アレグラ錠60mg フェキソフェナジン錠60mg「SANIK」(日医工) タキソテール点滴静注20mg ドセタキセル点滴静注用20mg「サワイ」 タキソテール点滴静注80mg ドセタキセル点滴静注用80mg「サワイ」 ニューロタン錠 25mg ロサルタンカリウム錠25mg「日医工」 後発医薬品移行のお知らせ H26/2/18の薬事審議委員会にて、以下の薬剤のジェネリック医薬品への変更が決定いた しました。順次変更を行っていきますので、宜しくお願い致します。 図3 外観で注意が必要な医薬品についての対応表 薬局内では調剤業務中に後発医薬品への移行が順次進んでいくので、今後移行予定の医薬品がすぐに分 かるように、錠剤分包機や薬品棚の医薬品ラベルに表記を追加して周知した(図4)。 図4 錠剤分包機、薬品棚の表記の工夫 特に外用薬では、他の医薬品との外観の類似が問題となったため、薬品棚のラベルを医薬品名称だけの表 記から製剤写真と規格を加えたものへと変更し、さらに薬品棚の中に注意書きを作成して再確認するように呼び かけた(図5)。 薬品棚 錠剤分包機

(5)

5 図5 薬品棚の誤薬防止対策 また、薬局各所に内服薬と外用薬の後発医薬品一覧表(表5)を配置し、調剤監査や持参薬鑑別時に移行状 況を確認できるようにした。また平成26年からは同じ一覧表を電子システムの共通フォルダ内に置きd、必要時 に院内にある全ての医療用パソコンから閲覧できるように設定した。 表5 後発医薬品進行状況一覧表(抜粋) 変更 先発 後発(メーカー) コード アキネトン錠1mg タスモリン錠1mg(田辺三菱) Y TA1 ○ アクアチムクリーム (1本10g) ナジフロキサシンクリーム1%(東和) ナジロキサンから名称変更 ○ アクアチムローション 用事注文 ナジロキサンローション1%(東和) 用事注文 ○ アザルフィジンEN錠 500mg サラゾスルファピリジン腸溶錠500mg(日医工) n71 ○ アスタットクリーム10g ラノコナゾールクリーム1%「イワキ」 ○ アスタット軟膏 (10g) ラノコナゾール軟膏1%(岩城) ○ アスペノンカプセル 【10mg】(バイエル薬品) アプリンジン塩酸塩カプセル10mg(ニプロファーマ) HD028 ○ アスペノンカプセル 【20mg】(バイエル薬品) アプリンジン塩酸塩カプセル20mg(ニプロファーマ) HD029 承認された後発医薬品であっても、使用していく中で薬局内や院内職員からの意見により、名称や外観の類 似性、製剤の安定性に問題があると判断した医薬品や、付加価値により調剤効率の上昇や安全性の向上が見 込めると判断した医薬品については、別の後発医薬品へ変更した(図6)。 図6 後発医薬品から別の後発医薬品への切り替え(抜粋) 製剤写真を挿入して、規格は色を合 わせて大きく表記した。 薬を手に取る前に、もう一度確認できる よう注意書きを作成した。 薬局各所に移行状況の一覧表を配置

(6)

6 【結果】 後発医薬品への移行における候補医薬品の選定から始まり、医師を対象としたアンケートを経て、薬事審議 委員会での承認という流れで移行を進めてきたが、運用していく上で発生した問題点について対策を講じつつ 移行を進めた結果、順調に移行することができたと考えている。 平成 22 年から平成 26 年 9 月までの期間で 370 品目以上の候補医薬品に対してアンケートを実施して、結果 として 300 品目以上の承認を得て後発医薬品へ移行することができた(図 7)。 図 7 後発医薬品移行品目数と総数の推移 当院の後発医薬品の数量シェア(新指標)は平成 26 年 6 月時点で約 74%に到達しており、削減金額は年間 で6000 万円以上を達成した。医薬品全体の年間購入金額は約 8 億円なので、薬剤費全体の約 7%を後発医 薬品の移行によって節減できた結果となった。 また、機能評価係数Ⅱにおける後発医薬品指数にて評価された結果、平成 26 年度は年間約 3800 万円の収 入増となった。 候補医薬品の中で、薬事審議委員会で承認されずに先発医薬品との併用という条件で採用になった後発医 薬品によっても、年間 300 万円以上の薬剤費の削減効果を得ることが出来た。 また、抗菌薬については、平成 18 年から平成 19 年にかけての早い段階で年間購入金額の上位を占める 注射薬を後発医薬品へ移行しており、これまでの長期に渡り特に大きな問題もなく経過していることもあり、平 成 24 年 6 月に原則全ての抗菌薬について、アンケートを実施せずとも薬事審議委員会の承認のみで後発医薬 品へ移行できるよう審議して、承認を得ることができた。 【考察】 多くの品目で比較的早いスピードで後発医薬品へと移行を進めるにあたり、当初は医療の現場で名称変更 や外観変更に伴うトラブルの発生が危惧されたが、処方オーダー画面や処方せん上に先発医薬品名称を併記 する方法や、後発医薬品移行の進行状況が分かる一覧表を配置する方法、また外観類似による取り間違えを 防ぐために製剤写真を挿入する方法など、運用していく上での様々な問題点についてのトラブル防止対策の導 入によって、先発医薬品との比較と確認が容易になり誤薬リスクが軽減されたと考えられる。特に医薬品ラベル 上に製剤写真を挿入する対策は、後発医薬品だけでなく、外観に注意が必要な先発医薬品に対しても同時に 行い注意喚起したので、結果として対策以前に比べて医薬品管理上の改善効果を得ることができたと考えてい る。

(7)

7 後発医薬品の使用割合について、平成 22 年から平成 24 年の期間では、抗悪性腫瘍薬(ジェムザール注Ⓡ ランダ注Ⓡ等)、抗菌薬(パンスポリン注、マキシピーム注等)を含む注射薬を中心とした 73 品目の後発医薬 品への移行を行なったが、わずか移行率の増加にとどまった。平成 24 年には内服薬を中心に移行を進めて、 アンケート結果にて 172 品目、その他抗菌薬など 11 品目の合計 183 品目について移行を行なった結果、後発 医薬品割合を大きく前進させることができた。これは平成 24 年 4 月に約 100 品目、7 月に約 50 品目、11 月に 約 60 品目の候補医薬品を提示し、医師へのアンケートを行った結果である。医師からの意見を尊重しつつ、薬 事審議委員会にて審議することで、順調に移行を進めることができたと考えられる。特に抗悪性腫瘍薬の移行 については、この分野の先進病院である国立がんセンターや大学病院で後発医薬品を使用していることを医師 に告知することにより、スムーズに移行することができた。 薬事審議委員会では承認されずに、先発医薬品と併用することにより採用可能となった後発医薬品によって も、上記のような経済効果を得ることが確認できたので、このような方策も今後の選択肢の一つと考えられた。 承認された後発医薬品を使用していく中で、外観類似などの理由で誤薬の原因となる可能性があると判断さ れた医薬品は、別の後発医薬品へと移行をしてきたが、それでも錠剤やカプセル剤では識別コードが見難く判 別が困難なものや、注射薬では外観類似により誤薬の対象になり得るものが少なからず存在している。近年の 後発医薬品普及に伴い、外観が判別し易い医薬品や、安定性の良い医薬品が続々と発売されてきているの で、今後も薬局内及び職員からの意見を参考にして、別の後発医薬品へと変更していくことも誤薬防止のため に必要であろうと考えている。 今後は国の方針により後発医薬品名称は商品名から一般名へと変更されていく動きがあり、さらに類似名称 の医薬品が増加する可能性があるので、誤薬防止シールの作成、処方箋上の表記の工夫、監査時のチェック 方法の工夫等、さらなるトラブル防止の対策が必要になると考えている。

参照

関連したドキュメント

 医薬品医療機器等法(以下「法」という。)第 14 条第1項に規定する医薬品

性状 性状 規格に設定すべき試験項目 確認試験 IR、UV 規格に設定すべき試験項目 含量 定量法 規格に設定すべき試験項目 純度

MPの提出にあたり用いる別紙様式1については、本通知の適用から1年間は 経過措置期間として、 「医薬品リスク管理計画の策定について」 (平成 24 年4月

3 諸外国の法規制等 (1)アメリカ ア 法規制 ・歯ブラシは法律上「医療器具」と見なされ、連邦厚生省食品医薬品局(Food and

[r]

[r]

⑴ 次のうち十分な管理が困難だと感じるものは ありますか。 (複数回答可) 特になし 87件、その他 2件(詳細は後述) 、

  品  名  ⑥  数  量  ⑦  価  格  ⑧  処 理 方 法  ⑨   .