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糖試験などに用いる銅試薬の考察(4)
ブドウ糖,果糖に対するBenedict試薬とM廿11er液の比較
理学科研究室 山 本 英 十
(昭和49年10月12日受理)
クエン酸ナトリウムは両溶液ともに等量である。
その組成上,一部相似たところがみられ,また一部は 1・は じめ に 相異なるようにみえるこの両溶液がブドウ糖および果糖 Benedict試薬については教育学部紀要第21号に本研究 に対してどの程度の反応性の相違を示すかしらべるつも 題目の第2報としてのべたが,今回またその定性試薬の りでこの研究をはじめたのである。
ほうを取りあげる。M湘er液1)はベルリン糖業試験所法 55℃加温試験を行うことにしたのはJ.D. Bauer達の として還元糖の定量に古くから用いられているものであ 著書BrayもClinical laborato1y method♂》Z)なかにベネジ る。 クト試薬は55℃,1〔扮間で果糖ペントースおよびglr
ここではP.Honjg氏のPrinciples o f sugar tec㎞o− cose over 4%によって還元されると書かれている。
logyでMこ11e〆s solutionと記述しているのにしたがって この事実を確かめさらにくわしくしらべるためにも本 ミュラー液とよぶことにする。フェーリング液の成分の 研究を実施した。
水酸化ナトリウムのかわりに炭酸ナトリウムを用いてい またOst試薬を利用するNyns/selective metho(♂)では るから,アルカリ度は比較的に小さく糖との反応はいく ブドウ糖と果糖の混合物中の果糖定量にやはり55℃実験
らか弱いがベネジクト試薬と同様に取扱い上いたって安 を行っている。
全である。ベネジクト試薬では銅錯イオン生成のために ・
2実験にあたつてクエン酸ナトリウムを用いるが,ミュラー液ではフェー
リング液と同じく酒石酸カリウムナトリウムを用いる。 Bertrand法におけるベルトラン溶液のかわりに筆者は ベネジクト試薬とミュラー液の組成は銅量と炭酸ナト Benedict試薬齢よびM董Her液を用い,糖によって還元さ リウム量にちがいがあるが,両者の錯イオンが本質的に れてできた酸化第一銅を硫酸第二鉄の硫酸溶液に溶かし,
異っている。ベネジクト試薬について考察するときにの 生成する第一鉄イオンを過マンガン酸カリウムで滴定し べたように,銅酒石酸錯イオンに比べると銅クエン酸錯 た。
イオンのほうが安定度ははるかにすぐれている。ミュラ これによって銅量または酸化第一銅量が分るので,そ 一液を調製して数日後には黒色沈殿として,一部銅化合 の量から糖量が計算できる。
物が析出することがある。
Cu20十]艶2(SOゆ3十H2SO4→2GuSO4十2恥SO4十H20 また数ケ月保存した場合とくにその傾向がある。ベネ
@ 10FbSO4十2KMn O4十8H2SO4→5琉2(SO∂3十2MhSO4 ジクト試薬のほうは室内の散光のもとでは1年以上経過
+K2SO4+8H20 したものでも,そのような沈殿はみられない。両溶液の
調製において,炭酸ナトリウム使用量はベネジクト試薬 過マンガン酸カリウム滴定の終点指示薬として,一般 のほうが2倍近く多いが硫酸銅使用量は逆にミュラー液 にFerrous Phen anthrolioe指示薬やDiphenylamine硫酸 のほうが,ほぼ2倍量多く用いられる。 溶液が用いられるが,筆者は後者を利用した。
錯イオン用としての酒石酸カリウムナトリウムおよび また滴定に用いる過マンガン酸カリウムの標定は,硫
酸々性でシュウ酸アンモニウムで行った。 ポイトで2滴ほど入れる。必らず盲試験を行ったのち,
5C204(NH4)2+2KMnO4+8H2SO4 予想の終点直前で本指示薬を加えると青紫色に変るのが
→K2SO4+2MhSO4+5(NH4)2SO4+10CO2+8H20 きれいにみとめられる。
上述の式から過マンガン酸カリウム1モルは第一鉄イ 2−1−3 硫酸第二鉄溶液6)……1級硫酸第二鉄25 十
IンFe2+5モルまたは第一銅イオンCu 5モルに相当する。 9を500認メスフラスコに入れ,水を約400紹加えて振 酸化剤として作用する過マンガン酸カリウム1モルは ったのち,濃硫酸1009(約55認)を少しずつ入れては 硫酸々性中では5グラム当量として反応するから,した ふり動かす。全部加えてから冷水で冷やし室温程度にな がって0.1N過マンガン酸カリウム1認は銅6.354皿9ま ってから標線まで水を入れて500認とする。この硫酸第 たは酸化第一銅7.154隅9に相当する。 二鉄溶液は実験に使用の前に過マンガン酸カリウム標準
銅量あるいは酸化第一銅量と糖量との量的関係は,利 液で滴定し,その数値を補正に使用する。
用する試験法によりそれぞれ表ができているので滴定で 2−1−4 Bened i ct試蘂…・・本誌第21号に紹介し 消費する過マンガン酸カリウム量を正確に求めれば糖量 た第2報のうちのBenedict定性試薬を用いた。
●○
ヘ分る。Benedict試薬およびMmer試薬を用いた今回の 2−1−a Mul ler液……特級結晶硫酸銅3509 実験でも新しい関係が分った。 を水300認に溶かし,別に1級酒石酸カリウムナトリウ ム1739と1級無水炭酸ナトリウム689を水500認に 2−L 試薬の準備 溶かしてから両者をメスフラスコに入れて全量を1沼と 2−]−1.過マンガン酸カリウム溶液……0.1N一 する。この試薬は2〜3日してから沈殿ができることが KMnO4をつくるには過マンガン酸カリウム3.169を正 あるが,その場合は炉過してから用いる。源過後の試薬 確に秤り水に溶かして16にすればよいのであるが,日 は数ケ月経っても使用し得る。藍青色の溶液である。
が経過すると変質する欠点がある。したがって約59の 2−1−6糖液……特級ブドウ糖および特級果糖を 特級過マンガン酸カリウム結晶を秤り,水に溶かして1 塩化カルシウム(乾燥用)のはいったデシケーターに5
4としてから必要に応じ,0.1Nシュウ酸アンモニウム 〜6日保存したものを正確に5.0009ずつ秤り500認メ 溶液で標定して用う。この過マンガン酸カリウム溶液を スフラスコに入れる。特級安息香酸2.59を水に溶かし 短期間の保存液とするが,通常はこの溶液を約2倍にう て16とした程度の安息香酸水溶液を標線まで加えてそ すめたもの(0.075N〜0.080Nぐらい)を用いる。糖量 れそれ19/d4の糖液をつくる。糖だけの水溶液は夏の が少い場合の試験ではさらにうすめて1(陪に希釈して用 日では1週間もするとオリができるが,防腐剤とし七安 いる。このようなうすい溶液は早く変質するので実験の 息香酸がはいっていると1ケ月以上経過してもその知そ たびに調製し使用後は捨てる。 れはない。密栓してなるべく冷暗所におくように注意し
保存用の過マンガン酸カリウムは必らず喝色瓶に入れ て保存する。
ておき,継続実験のときは4〜5日たったらまた標定す
2−1−2 ジ7エニルアミン溶液……本物質は過マ 2−2−1.加熱の実験……100認三角フラスコに小 ンガン酸イオン,重クロム酸イオン,硝酸イオンなどの 形のジムロート還流冷却管をつけたものを用いた。冷却 酸化剤の存在で青紫色のdipheny lben zidineを生ずる。 管部分の寸法は高さ15伽,直径3㎝のもので本実験に
滴定終点に論いて過マンガン酸カリウムが少しでも過 は十分であった。
剰にはいると溶液は青紫色に変るのですぐにわかる。 2−2−2 55℃,bathの実験……ヤマト科学の Br㎝1達4)は重クロム酸塩滴定の指示薬として,0.1 water bath mini BT−11を用いた。温度調整は±0.1
〜1.0%濃硫酸溶液を用いている。また太秦氏5)は過マ ℃となっており,control switchを入れて数分後からは し
塔Kン酸カリウム滴定の指示薬として,0.2%濃硫酸溶 そのように正確に作動する。
液を用いるように書いている。
aBenedict試薬の場合本実験では特級ジフェニルアミン0.29を18N硫酸
3−1.定性的な観察10(励に溶かして用いた。滴定のとき多く用いると終点
付近で溶液が暗緑色となってはっきり定めにくいのでス ベネジクト試薬10磁に19/諺ブドウ糖液10認を
加えしずかに直火で熱すると,約1分で多量の赤色沈殿 との反応は(1)反応温度(2)反応時間(3膿度によって違いが ができる。放冷後の液の上ずみは青味はなくなり黄色を あることが分る。J.D.Bauer達のBrayもChnical lab一 おびている。ブドウ糖液のかわりに19淘4果糖液を用 orabry methodsではベネジクト試薬は4%以上のブド いるときは50〜55秒でこの現象がみられる。時間的 ウ糖であると55℃,10分間の条件で反応するとのべて に果糖が早く反応する事実はつぎの55℃湯浴実験を行 いるが,ブドウ糖の量についてはふれていない。
うとさらによく分る。結果は第1表の通りである。 この点を確めるためにベネジクト試薬20認に49/42
ベネジクト試薬10磁 ベネジクト試薬10認 ブドウ糖10認を加え55℃湯浴で10分間温めた。肉眼A{ B{ 19/14ブドウ糖液10認 19/御果糖液10認 でかなりの赤色沈殿が析出したが,後述の定量法によっ
て酸化第一銅15,41㎎あることを知った。
第 1 表
この実験と比べるためにM箭ller液20認に49/d6ブ
口 、、
30秒 1分 2分 3分 5分 7分 10分 ドウ糖10磁を加え55°湯浴で10分間温めた。その結 果は容器の三角フラスコの底にわずかな赤色沈殿が析出
A 変化みニめず 同 じ 同 じ
少し緑 ツ色に ノごる
緑青色 フにご 阡Zく
ネる 少し喝 Fをお ムてく
畿 するのみでB㎝磁i・・懇とは・はっきりした差違紛っずかで た。酸化第一銅として3.08晦った。両者の差はちょうきる液の色 ど5:1であることを知った。
は青い
赤色沈 3−2 定量的な取扱い
B
少し緑 ツ色に ノごる
黄緑色 ノにご
緑褐色 ノにご
褐色に ノごる ヤ邑沈 aがで ォる
赤喝色 ノにご 骼 aふえ
殿が底 ノ凝結 キる tの青
。はな ュ少し
3−2−1.直接に滴定する法
@ 100認の三角フラスコにベネジクト試薬10認を入れ ッ じ@ 金網上で弱い火で加熱する。沸騰石を入れてしずかに煮
@ 沸しながらビュレットから0.59/d61または19/44ブ
を呈す ドウ糖液を滴下する。途中で液が蒸発して減るから時々 水を少し加える。反応が進んで液の青色がうすくなった 第1表のAの溶液をそのまま55℃で温め続けると, ら,Lane−Eynon法により1%メチレンブリュウ液2〜
赤色沈殿の量はふえるが液はまだかなり濃い青色である。 3滴入れる。青色が消えた点を終点とする。果糖液につ 糖量を半減して同じように55℃湯浴で実験した結果 いても同じように実験する。その結果はつぎのようであ は第2表の通りである。 る。
ベネジクト試薬10π6 ベネジクト試薬10認 ベネジクト試薬1雇……ブドウ糖約2.23㎎に相当C{ D{ 1頒4ブドウ糖液5磁 19/d4果糖液5認 〃 1磁……果糖約2・18㎎に相当
濃度不明の糖液で同じような実験を行い,その消費し第 2 表
た磁数が分れば比例計算で糖液中の糖量が求められる。
麹 35秒 1分 2分 3分 5分 7分 10分 直火でなくて煮沸湯浴にした場合は第2報で既述のよ
C 変化み
ニめず 同 じ 同 じ 同 じ 少し緑 倹Fに ノごる
緑謁色 ノにご
殿がわ 直火のとき容器内の溶液の温度は測ると105〜107
tの色 るため湯浴の場合はやや多量の糖を必要とすることにな
は豫・
る。
少し緑 黄喝色
糊 福胸こ
赤鴫色 ノにご
赤色沈
a少し 講 3+2酸化第一銅の生頗から勅る法
D 青色に ににご ににご る 赤 ふえる 結する (a)Benedict試薬を過剰の糖液と直火で加熱反応させ
にごる る る にごる 鰯できる 液はま
セ青色 灘 て,その1撚糖の何離相当するかを懇し島本試
薬10認に対してブドウ糖果糖いずれもほぼ25〜30㎎
あると直火試験で青色は脱色されて帯黄色になる。よっ 以上の実験からベネジクト試薬とブドウ糖または果糖 て19/喫濃度のブドウ糖液および果糖液を3認(糖30
㎎含有),5紹(50彫含有)8雇(80卿含有),10認 直火加熱の実験で本試薬の量を糖量に対して過剰にと
(100解含有),15認(150御含有)をそれぞれ加え るときは,加熱しても青色が消失しない。本試薬を20認 て5分または10分直火で加熱する実験を行った。 に増し19/46濃度の糖液3磁と直火加熱で5分間,10
実験例………100認三角フラスコに本試薬10認と1 分間,15分間反応させた場合につぎの第4表の結果を 9/磁ブドウ糖液10磁を入れまた沸騰石を入れる。小 得た。
形ジムロート還流冷却管をつけ弱い直火の金網上におく。 いずれも生成する酸化第一銅の量で示す。
煮沸が始まった瞬間にストップウォッチを押し,たえず
小さくふり動かす。5分たったら容器を流水につけて約 第 4 表
@ (Cu20の単位は㎎)
3分間冷やす。この間三角フラスコをややななめにして 章 の量
10認 20磁
時々ふると赤色の酸化第一銅はお知むね一ケ所に沈殿し 糖, 応時間 5分 5分 10分 15分
て集まる。すぐに分析をはじめるようにする。 ブドウ糖のとき 51.65 67.60 70.44 70.52 糖液が試薬の量に対して過剰のときは帯黄色及至はオ 果糖のと き 48.65 65.61 67.68 67.70 レンジ色を呈するが逆に少い場含は液の色は青味が残っ
ている。フラスコ内の上ずみ液をスポイトでなるべく多 第1行の10磁の数値は比較のために入れたものであ く吸い上げ,かたまっている赤色沈殿はわずかな液でお る。
おわれる程度にする。硫酸第二鉄の硫酸溶液8認をスポ 直火法による場合,本試薬20認と30㎎のブドウ糖ま イトでかけると赤色沈殿物は黒変してしだいに溶ける。 たは果糖は10分間加熱すれは十分であるといえる。
採取した上ずみ液はにごっている場合は遠心分離器に この実験から糖1叩と当量の酸化第一銅の量を求める かけ,再び上ずみをスポイトで除去し残渣に硫酸第二鉄 ことができる。
液2認を入れて溶かし前の分と一緒にする。 ブドウ糖の場合 果糖の場合
また少しにごっている程度の場合はガラス源過器を用 70。44÷30=2.348 67.68÷30=2,256 いその上に残る赤色残渣に硫酸第二鉄液2認を加えて溶 70.52÷30=2.351 67.70÷30ニ2.257 かす。水で3回洗ってから源液と洗液は前の分と一緒に ブドウ糖1㎎ 果糖1㎎
する。この際の液はうすい緑青色である。 =酸化第一銅2.35解 =酸化第一銅2.26囎 はじめの糖量が少いときは酸化第一銅の量も少いので この数値で前の第3表の酸化第一銅の量をそれぞれ割 加える硫酸第二鉄液の量は適宜加減して用いる。 ると本試薬1認と当量のブドウ糖または果糖の㎎数が算
酸化第一銅を溶かした液は水でうすめて60認とし, 出される。
三つに等分して所定の過マンガン酸カリウム液で3回滴 ブドウ糖の場合 果糖の場合
定して合計する。この際に硫酸第二鉄液10認分の過マ 51,65÷2.35=21.98 48.65÷2.26=21.53 ノガン酸カリウム消費量を補正値として差引く。 51.73÷2.35=22.01 48.60÷2・26=21.50
(言十算修FU) 51.46÷2.35ニ21.90 48.49÷2.26=21.46
滴定で消費した0.0769N−KMrρ4……9,39認 50.25÷2.35ニ21.38 48.26÷2,26=21.35 0.1N−KMnO41認はCu207.154㎎と当量であるから 49.76÷235=21.17 47.55÷2.26=21.04
0,0769 平均値;21.69Cu20の量=7.154× x 9,39(㎎) 0.1
@ =51.65㎎
平均値=21.38 アの値は本試薬10認使用した場合であるから1認の
場合はほぼつぎのような関係になる。第3表の上段はこのように本試薬10認と一定量のブ
ドウ糖との反応でできるC、20量を示す。また下段は果 Benedict試薬1認=ブドウ糖約2・17㎎=果糖約2・14㎎
糖の場合である。 3−2−1の直接に滴定する法によって求めた値よりも 少し小さく出る。
第 3 表
(Cu20の単位は㎎) 過マンガン酸カリウム溶液法は実験操作の途中で誤差
19冷4糖液(認) 3 5 8 10
ブドウ糖のとき 51.65 51.73 51.46 50.25 49.76 よ うに:,思うo
果糖のとき 48.65 48.60 48.49 48.26 47・55 6)55℃の湯浴で行う場合につレ・てのべる。
Yamato Water bath mini,Br−11を55℃±0.1℃に設 第3表を第5表と比べてみるとブドウ糖および果糖の 置して数分してから実験を開始する。反応時間は5分で Benedict試薬に対する還元反応は,100℃付近ではあま は変化量があまり小さいので,いずれの場合も10分間温 り差はないが55℃ではかなり差がみられる。本試薬10 めることにした。 認に糖量30㎎を入れた場合のブドウ糖の還元能力は果糖
実験例1……1・・班角・ラス・に本試薬1・殿1の諮も劾ないこと紛る・
9/44ブドウ糖液10認を入れ,コルク栓をしたのち湯 実験例3……100認三角フラスコに本試薬20認と1 浴につけ,ストップウォツチを押す。1分毎に小さくふ 9/d4ブドウ糖液3認を入れて,実験例1および例2と
り動かしながら10分たったら三角フラスコを流水につけ 同じ操作を行った。55℃,加温1(扮後に三角フラスコの 約3分間冷やす。底にわずかな赤色沈殿ができている。 底にごくわずかの赤色沈殿をみとめる程度である。遠心 スポイトで液を吸い上げ遠ら分離器にかける。液は変ら 分離器にかけたのち上ずみをスポイトで取り,残渣に硫 ず青色である。できた沈殿と三角フラスコの沈殿の両方 酸第二鉄液1認加えて溶かした。また三角フラスコに付 を溶かすのに硫酸第二鉄液を5認用いた。このうすい緑 着しているわずかな赤色沈殿に同液2認を加えて溶かし 青色溶液を水でうすめて60認となし三等分して所定の過 両方の処理液を一緒にする。容器を水で洗い,洗液もふ マンガン酸カリウム溶液で滴定した。硫酸第二鉄5認 くめて全容を30認にし,これを三等分して過マンガン酸 分の過マンガン酸カリウム量を差引いたものを実際の消 カリウム溶液による滴定をする。0.0778N−KMnO4を 費量とする。 10倍に希釈して用いた。
( 言十算{列) (言十算{列 )
消費した1。0.0778N_KM。0、..。_4.8膨
@ 1° 消費した上。。.。778N_㎜、...…α4膨 100.1N−KMnO41認はGu207.154㎎と当量である
から
@ Cu 20=7.154x 0.0778
O.1
1 0.0778
ニ0.257㎎
=2.68㎎
ブドウ糖の場合は酸化第一銅の生成は大へんに小さい 3認以下の場合は徴量になるので本実験法では誤差が が果糖を用いると,ずっと多量に生成する。 多くなる。したがって他の適当な方法によらねばならな
実験例2……100㎎三角フラスコに本試薬10磁と1 いようである。
9/d8果糖液10磁を加える。実験例1と同じ方法で操 果糖を用いた場合はブドウ糖に比べてかなり多量の酸 作する。10分後にはフラスコの底に多量の赤色沈殿がで 化第一銅の生成がみられる。第6表にその実験結果を示 きる。液の色はごくウすい青味が残る程度である。酸化 す。直火加熱の場合は幾分比例的になっているが,55℃
第一銅を溶かすのに10認の硫酸第二鉄液を用いた。分 実験のほうはそのような関係はみられない。
析結果はつぎのようである。
第 6 表
(計算例)
(Cu 20の単位は㎎)
消費した0.0778N−KMnO4……8.05磁 1叙14果糖(認) 0.6 1.2 1.8 2.4 3.0
Cu20=7,154× 0.0778O.1 x8.05(㎎) 10分間直火加熱 14.15 30.92 45.31 54.62 67.68
=44.80㎎ 10分間55℃加温 0,346 2.06 6.65 11.84 18.37 第5表の上段は本試薬10認と一定量のブドウ糖との55
℃におけるCu 20生成量を示す。下段は果糖の場合である。
3−2−a ブドウ糖,果糖の混合液 第 5 表
(Cu20の単位は㎎) 実験例………100認三角フラスコにBen edict試薬20
19/磁糖液(認) 3 5 8 10 15 酩と19/d4ブドウ糖液1.2磁および19/認果糖液
ブドウ糖のとき 0.14 0.52 2.17 2.68 4 45 1.8認を加え前述の直火加熱法にしたがって10分間加熱
果糖のとき 12.80 23.38 38.75 44.80 45.22@ の実験を行った。
この結果として68.82㎎の酸化第一銅を得た。 第一銅の析出はやはり15分後であった。
3−2−2の(a)で糖1㎎と当量の酸化第一銅の㎎数と 糖量を半減して同じように55℃実験を行った結果は第 の関係を示す数値を紹介した。この実験でブドウ糖は12 8表の通りである。
㎎で果糖は18㎎使用されているから計算値はつぎのよう ミュラー液 10認 ミュラー液 10認 C{ D{になる。 1鯛4ブドウ糖液 5認 1紹6果糖液 5㎡
2. 35×12十2.26 × 18=68,88 (㎎)
実験値は68.82㎎でほぼ一致する。 第 8 表
ベネジクト試薬を20雇とり,ブドウ糖と果糖の混合物 を30㎎とるようにすると一般式はつぎのようになる。
熱 後 1分 3分 6分 8分 13分 15分
ブドウ糖の㎎数………殉 赤色沈
果糖糖 の㎎数………晩
@ 簡+m2=30(㎎)
Q。35勘+2.26碗=生成する酸化第一銅(㎎)
C 変化み
ニめず 同 じ 同 じ 同 じ 少し暗 ツ色に ノごる
殿がわ クかに ナきる tは青 武F
この関係式で一定量の混合糖からでき る酸化第一銅の 内
量がわかれば,ブドウ糖果糖のおよその割合を知るこ 沈殿が
ニができる。 D
@4MUIler液の場合
変化み ニめず
少し暗 ツ色に ノごる
赤色沈 aがわ クかに ナきる
沈殿が ュしふ ヲる
同 じ 少しふ
ヲる tの色 ェ少し
、すく
4−1.定性的な観察 なる
本液10磁に19/d4濃度の糖液10屈を加えたもの
を直火上で熱すると,ベネジクト試薬のときと同じよう 以上の実験結果からブドウ糖果糖の識別がベネジク に約1分で多量の赤色沈殿ができる。この液の場合もブ ト試薬の場合よりもさらにはっきりしていることがみと
ドウ糖より果糖のほうが反応が早いことが分る。55℃実 められる。
験をみるとその差がなおよく観察できた。
4−2 定豊的な取扱い ミュラー液 10認 ミュラー液 10認A{ B{
19淘6ブドウ糖液10認 1碗6果糖液10認 4−2−1。直接に滴定する法
ベネジクト試薬を用いたときと全く同じような操作で 第 7 表
実験を行った。 その結果つぎの値を知った。
名 1分 3分 5分 8分 10分 15分 ミュラー液1認………ブドウ糖約3,42㎎に相当
〃 1認………果糖約3.30㎎に相当
A 変化みニめず 同 じ 同 じ 同 じ 少し暗ツ色に ノごる
赤色沈殿 ェわずか ノできる tは藍青
ブドウ糖または果糖液の濃度未知の試料で,一定量の {液を滴定しその消費量から計算して濃度が求められる。
色 終点指示薬にはメチレンブリューを用いる。しかし試薬 沈殿が器 中の銅量が多いためベネジクト試薬のときと比べて酸化
B 変化み ニめず
少し暗 ツ色に ノごる
赤色沈 aがわ クかに ナきる
沈殿が 竄竄モ ヲる
沈殿が 峵黷ノ ュした ワる
る (a) 直火で加熱するとき
ミュ ラー液を過剰の糖液と反応させてその1紹が糖の ベネジクト試薬に比べて本液の反応性がはるかに小さ 何㎎に相当するかを知るために,ベネジクト試薬の場合 いことが第1表と照らしあわせるとよくわかる。 と同じ方法で実験を行った。 ミュラー液は10磁使
ブドウ糖の反応があまりにおそいので糖量を2倍にし 用した。
た場含,加熱後約3分で暗青色ににごったが赤色の酸化 第9表にその結果を示す。
第 9 表 ブドウ糖液5認を入れ,コルク栓をしたのち,55℃±
(Cu20の単位は㎎) 0・1℃に設置 した湯浴につける。前例通り10分後に観察
19/認糖液(認) 3 5 8 10 15 すると赤色沈殿はごくわずかに容器の底にみとめられる
ブドウ糖のとき 98.85 104ユ5 105.42 106.89 105.22 程度である。 液はスポイトで吸い集め遠心分離器にかけ
果糖のとき 91.78 99.46 100.75 100.21 101.05 る。ごく少量の赤色沈殿がみられる。三角フラスコ内の 少量の赤色沈殿と両方を溶かすのに硫酸第二鉄液3認を つぎに糖量に対してミュラー液の量を過剰にとり,直 用いた。この溶液を水でうすめて30認となし三等分して 火上で5分間,10分間の加熱反応を実験した。操作はべ から過マンガン酸カリウム溶液で滴定する。
ネジクト試薬で行ったときと同じである。本液を20認用 (計算例)
い勲撫は19/澱脚ものを3桝つ用いた・本 韻し端・α・775H臨α……α2瑠
液を10認とったとき生成する酸化第一銅の量との比較を 0,1N−KMnO41認=Cu 20 7.154㎎
つぎの第10表に示す。加熱時間は10分である。 1 Cu 20=7.154×一× 10
0.0775
@0,1 ×0.27 第 10 表
・=0.150㎎
(Cu20の単位は㎎) 10酩のミュラー液に19/認ブドウ糖液をそれぞれ一 ミュラー液の採取量 10認 20認 定量加えたと
きの実験結果を第11表に示す。どの場合 ブドウ糖のとき 98.85 104.12
も酸化第一銅の生成量はベネジクト試薬使用のときに比 果 糖 の と き 91.78 100.15
べるとかなり小さい。 表の下段は果糖の場合である。ブ
ドウ糖に比べ55℃試験で還元能力がやはり大きいことを ●
ベネジクト試薬のときと同じようにミュラー液20磁 示している。
に19/44濃度の糖液3認(糖30㎎を含む)加えるの 第 11 表
を一応基準にする。この実験から糖1㎎と当量の酸化第
一銅の量が算出される。 (Cu20の単位は㎎)
104. 12 ÷ 30 = 3.47 (㎎) 1碗囎液励 3 5 8 10 15 20
ブドウ糖1㎎と当量の酸化第一銅の量は3.47㎎であ ブドウ糖のとき 0,042 0,150 0,162 0,165 0,176 0,195 果糖のとき 7.15 12.25 14.20 16.84 21.46 24.77
る。
@ 100. 15 ÷ 30 ニ 3.34 (㎎)
果糖1㎎と当量の酸化第一銅の量は3.34㎎である。 糖量30㎎を加えた55℃試験のとき・ベネジクト試薬 この数値で前の第,表の酸化舞銅の量をそれぞれ割 ではブド蠣の翫能力は果糖の歯程度であったが,
ると本櫛祓当量のブド蠣畝蘇糖の磁力碍ら ・一ラ腋の齢鷹ぼ斎にすぎないことが分った・
れる。 つぎにミュラー液を20磁とり19/d4果糖液を3 ブドウ糖の場合 果糖の場合 認以下とって55℃試験を行ったときおよび直火試験
g8,85÷3.47=28.4g g1.78÷3.34=27.48 の結果を第12表に示す。
104.35÷3.47=30.07 99.46÷3.34=29.78 第 12 表
105.42÷3.47==30.38 100.75÷3.34==30,16
106.89÷3.47=30.80 100.21÷3.34:=30.00 (Cu 20の単位は㎎)
105.22÷3,47=30.32 101,05÷3.34=30.25
@ 平均値=30.01 平均値=29.53
19/認果
怐i認) 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0
(b)55℃湯浴で加温する実験もベネジク ト試薬で行っ謁躍 17.29 35.09 53.69 69.93 89.04 100.15
た場合と全く同じ操作で実施した。ブドウ糖と果糖の差 ヘミュラー液使用のときはベネジクト試薬使用のときに
T5℃加温10分間 0,262 1.35 2.81 4.66 6.47 8.25
比べてさらに大きくあらわれる。
実験例………三角フラスコにミュラー液10認と19/認 ベネジクト試薬のときに比べるとミュラー液のほうが
直火加熱のときもまた55℃試験のときも幾分比例的な 両+m2=30(㎎)
量的関係の傾向がみえるようである。 3.47肌1+3.34醜2=生成する酸化第一銅(㎎)
これにくらべブドウ糖の場合を知るためミュラー液20 ミュラー液を利用したこの関係式のほうがベネジクト 認に19/44ブドウ糖液1認,2認知よび3認をそれぞ 試薬を用いたときの値よりも多くの場合,正確に近く出 れ加えて,直火試験と55℃試験を行った。その結果は るようである。
つぎの通りである。
お わ り・に 第 13 表
ブドウ糖および果糖の個々に対するベネジクト試薬と
(Cu 20
ミュラー液の反応性の相違についてくわしくしらべるこの単位は卿)
1碗4ブドウ糖留) 1 2 3 とができた。保存性のわるいといわれるミュラー液のほ 10分間直火加熱 38.50 76.22 104.12 うが両糖の識別ならびに分別に応用すればベネジクト試 10分間55℃加温 trace trace 0.054 薬にまさるのではないかと思われる。
直火加熱法と55℃加温法による両糖の示す大きな反,
応性の相違をさらに応用に活かすことを考えたい。この
4−2−a ブドウ糖,果糖の混合液 両法における酸化第一銅の生成量の比からブドウ糖,果
実験例……100酩三角フラスコにM鞠1er液20認と 糖の混合比を求めうるかと推定したが本実験法のデータ 19/46ブドウ糖液1・5認および19/44果糖液1・5認 では無理であるので別の分析法を用いてさらに検討する。
を加え前述の直火加熱法にしたがって10分間加熱した。
文 献この結果として酸化第一銅102.19㎎を得た。
前にのべたようにミュラー液の場合,ブドウ糖1㎎は 1)P.Hbnig;Prinoiples of sugar techno1・gy 酸化第一銅3.47叩とまた果糖1㎎は酸化第一銅3.34㎎ 1964,P・106,(3)R122.
とそれぞれ当量である。 2)J・D・Baue「et a1;B「ay s Chnical labo蹴o「y この実験でブドウ糖,果糖どちらも15㎎であるから methods・1968・P°26°
計算値はつぎのようになる。 4)G・H・Brown and E.M. Sanee;Quantitative 3.47×15+3.34x15=102.15(㎎) chemi・t・y・19631P・312・
実験値とほとんど一致する。 5)太泰康光;新版分析化学・昭・49・P・185・
6)精糖技術研究会;製糖便覧 ,昭.31,P.43.ミュラー試薬を20認とり,ブドウ糖と果糖の混合物
を30㎎とるようにするとつぎの一般式となる。
ブドウ糖の㎎数…………簡 果 糖の㎎数…………〃』2
Studies on the coPPer reagents used for sugar test and so on (4)
一Comparison with Benedict s reagent and M這ller s solution to glucose and fructose一
Eiju Yamamoto
Abstract
Reactivities of glucose and fructose with Benedict s reagent and M蔵11er s solution on direct heating and warming at 55°C were studied minutely. There were known individual charact一 ers of these reagents to a certain extent. So it has been found experimentally that M冠llerも solution is more superior than Benedictもreagent about identification and separation of glucose and fructose.