燒入性試驗についての一考察
田 畑 寅 雄
Some Considerations on the Jominy Test
ToraoTabata
Syn・P・i・・ln・・der t・晦d th・6ffect・・f qu・n・hing, th・hardness di・t・i・buti・n was investig・t・d
by the Jominy test・from the ci亨cumference to the central parts where bainite was reduced;and
the eductiOn of baninite was micros copically examined.
1.緒 言
鋼の焼入性の測定は鋼材の品質判定上重要な要素の
1っである。このため最も直接的な方法として用いら
れている方法は、鋼材の丸棒を焼入した後、その横断
面の硬度を測定して得られるU字型の硬度曲線より焼
入性を判定するのである。しかしこの方法は非常な労
力と時間を要し、実験室的な操作としては差支へない
かもしれないが、実際作業上の鋼材検査法としては不
適である。
そこで実用上の試験方法としてJominyが1端焼入
法を提案1)したが、1本の試料で簡単に非常に早い冷
却速度(焼入端)より非常に遅い冷却速度(他端)ま
での広い範囲の焼入試験を行ふことが出来るので、米
国では1944年に規格化2)され盛んに現場に於て愛用さ
れて来ている様である。わが国では従来はあまり用ひ
られてはいなかったが、最近各方面で種々研究され検
討されっふある3)。
こふで筆者は普通鋼についてのJOminy試験を金属
学的立場より検討し、硬度曲線と組織の関係特に高温
べ一ナイトの折出部附近に於ける観察を行ひ焼入性試
験の資料を求めた。以下簡単にその概要にっいて述べ
るo
2.実騎方法
用ひた試料は4種類でTab.1に示す様なものであ
るo
Tab.1
之等の試料を22φ×135の丸棒に仕上げ焼準した後、
Fig・1に示す様な試作せるジヨミニー試験機にっいて
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’丁15
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N9,1
Tab.2
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No.1
No.2
No.3
No.4
0’30
0’48
0’89
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l’090’280’410°0200°023‘
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0’27
0’22
0’30
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0’881’10
‘ 1
0.14
種類
加熱温度
充填剤 保持
條ヤ
p時間
1端冷
キ度
噴水の
.
一Aw−} ’一一一一一一一 一.一『 一
No.1 800°C ダライ粉 60分 10分 17・ヂc
Nぴ2
800 〃 〃 〃 5’5 一
No.3 800 〃 〃 〃
7°0
No.4 820 〃 〃 〃
]…
Tab・2の条件で1端焼入した。 EBちFig.1に於て脱
宏酸化に留意しっ1・.上記の条件に加熱した試料①を直
75
昭和30年7月
山梨大学工学部研究報告
第 6 号
ちに(5秒以内)図の如くに取付け噴水②によって1
端より,急冷するが、この噴水は試料を取付けない時の
高さは6.5cm. v ・1e6cm/sになる様にタソク③の高
さを調節しておく。この様にして1端焼入した試料は
噴水で10分間冷却した後水中に投入し、然る後表面を
僅か研創して硬度試験及び顯微鏡試験を行ったもので
ある。
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3.実験結果及びその検討
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F’92
Fig 2はこれ等の試料について水冷端より長さの方
向にミクロビツカース硬度計で測定した硬度曲線であ
る。曲線を見ればC量の増加と共に焼入端の硬度が上
昇しているのは当然であるが、過共折鋼になると却つ
て共折鋼より低下するが、これはこの場合のみ焼入温
度がNo.1∼3とことなるので一概には比較出来ない。
但しFi・9・2の中でNo・1とNo・3, No・2とNo・4の
2組の硬度曲線が夫々相似た傾向を示しているが、
Tab.2より見れば冷却噴水の温度が夫々略等しいもの
が1組になっていることより、冷却水の温度が非常に
敏感に影響するもので、実際の場合嚴密に一定の温度
で実施することが大切であると思われる。これを顯微
鏡組織的に0’3%C鋼(No.1)の時は水冷端より約
1mmの処でv・:・e一ナイトが微少折出し始めるが、0’48
%C鋼(No.2)では2mmで折出が始まり0・89%C
鋼(No.3)でtik 3 mmで折出し始め、更に1.09%C
鋼(No・4)の場合になると約4mmにならないと折
出が始まらない。これよりこの位置は焼入端よりの硬
度曲線の最初の変曲点附近と一致し、この附近をこす
と曲線ぬ急激に低下する。即ちこの附近になると冷却
申にマルテンチイトノの外にべ・一・ナイトと少量のフエラ
イトを生じ、そのため若干硬度が低下する。そのこと
76
はPhoto□によっても明らかになる。普通端面から
ジヨミニ・・曲線の急低下する処までの距離の大小が、
焼入性判定のスケ・一・・ルとして役割をしている訳である
が、硬度測定をせずともべ一ナイトの折出点を求めれ
ばジョミニー曲線を推定出来ることになる。
又之等の試料を焼入端より適当な長さの処で横断面
をとり、外周部より中心部までの所謂U字型硬度分布
を調べて見たが、その1例を0’89% C鋼の場合につ
いてFig.3に示す。図申の各曲線は夫々焼入端面か
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さ
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000
800
60
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20
θ,3
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3,0
3、S
4,0
8 4 0 4 8
0ξ5伽ぐe fro飢Cente〔n mm,
Fis,3
らの距離に応じて求めたものである。これより見れば
焼入端よりジヨミニー曲線が’まだ急低下しない平担部
の間は、中心部も外周部もあまり硬度変化がないが、
嚴密に云へばσ3mm位で己に中心部は幾分低下して
いて、0’5mnfでもあまり大差もなく2mm位になる
と担当の硬度差が出ている。それが外周部にべ{ナイ
トがいくらか折出され始めている3mm位の処になる
と差は最も激しいが、それ以上焼入端より遠ざかると
又硬度差が減少してN更に4mmになると中心部と周
辺部との硬度差は殆んど認められない。このことは先
ず中心部に於てべ一ナイトと少量のフエライトの折出
が始まるためで、これが硬度低下の直接原因となり、
最も硬度差の激しい3mm附近では中心部には相当の
折出が見られるが、まだ周辺にては極く僅かしかない
最も組織の差が激しい処である。叉4n加近くになる
と全断面が大体等しい組織となって来まるので、硬度
は低下するが内外の硬度差がない様になると思われ
る。以上のことはPhoto・1に見るように顯微鏡組織
よりも確認されることである。
焼入性試験についての一考察
(田畑)
2.5
購難
3.0 3.5 3.7
Micro−structure from quenching end in M.M
Photo.1
4.0
‘
嚢
難,藷
4,結 言
以上要約すれば、 Tab. 1に示す4種の炭素鋼に・っ
いて実験せる結果
1.ジョミ=・ ・一硬度曲線の急低下し始める点は組織
的に見ればべ一ナイトが現われ始める処である。
2.徹って硬度曲線を求めて焼入性を判定する代り
に、焼入端よリベ…ナイトの折出し始める距離を求め
て到定の資としてもよい。
シ
3.べ一ナイbは焼入端より数mmの処で折出が始
まるが中心部が周辺部よりの多く起る。
4.焼入れ用噴水の温度は嚴密に規定しておかなく
ては結果を比較検討することが出来ない様である。
終ぴに臨み種々御指導下されし財満鎭雄先生並に実
験毬行にあたって小野武雄君の御援助に負う所多くこ
こに深甚なる謝意を表します。
註:
1)Jominy:Trans. American Soc・, fov
MetaPs, V.20,(1938), p.574
2)内容は例へばMetals Handbook A・S・M・
(1948)p.489
3)例へば津谷:材料試験,ag 3巻,第12号
(昭29−3)p.72
大和久:金属,eg23巻 ,第3号(昭28−3)
p・216 等
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