金沢大 学十 全 医学 会稚 誌 第9 6巻 第4号 6 9 3 −7 0 5 く1 98 71
P hy to he m agglutinin 刺激丁細 胞サ ブセ ッ トによる 赤血球 系 幹 細 胞の 分 化 増 殖 調節機序
一 先 天 性 赤芽 球療に お け る検討 一
金沢大 学 医学 部小児 科 学講 座 く主 任二谷口 昂 教授1
堀 田 成 紀
く昭和6 2年6 月2 2日受 付1
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先天性 赤 芽 球 磨 くc o nge nital hy popla stic a n e mia,C H Alにお け る赤血 球造 血 障 害の機序を明らか にす る為, まず正常 末槍 血 赤血球 系 幹 細胞 くe ry thr oid bu r st−fo rming u nits, B F U.El 調節にお け る非 自 己phy tohe m ag glutinin くP H Al 刺 激丁細胞サ ブセ ット の役 割を調べ, さ らにC H A 各stage で の末棺 血 丁細胞サ ブセ ット と対比 し た. 非 付着 細 胞, T 細胞, T 4+細 胞お よ び T 8+細 胞を 1.0%P H A 存 在 下で 2 0 時 間培 養し, 各 分画の末棺 血B F U−E への作用 を検 討し た. ま た各培 養 上 帯 中の赤血 球系 幹 細 胞 刺激 活 性 Cbu r st−pr O mOtingfa cto r,B P Fl の有 無につ いて も検 討し た. 正常 宋檎血 P H A 刺 激丁細胞は B F U−E 増 加 作用 を示 し, この作用 は T 細 胞 分 画 中の T 4+細 胞が主役であった. T 細胞およ び T 4+細 胞培 養上清 中
には B P F が認め ら れ,P H A 刺 激T 4+細胞が B P F 産生 を介し て B F U−E 増 加 作 用を 示 す と考え ら れ た. こ の B P F は, コ ロ ニ ー 数の増 加のみ な らず1個のコ ロ ニ ー 当り の細 胞 数の増 加およ びヘ モグロ ビン合 成 促 進 作用 も有し ていた. a ctiv e stage 4 例, tr a n Sfusio n−depe nde nt stage 2例のC H A で同様の検 討を行っ
た が,P H A 刺 激T 4十細 胞の B P F 産 生 能に障害が見ら れ た. a ctiv e stage 4例はステロイ ド剤に よって完 全寛解と なった が, 4例 中2例で P H A 刺 激丁細 胞 あるいは T 4+細 胞は B F U−E を増 加さ せ た. ま た 4 例 全例で培養上清 中にB P F 活 性が見い出さ れ, B P F 産 生 能は 回復して いた. す な わ ち, C H A ではa ctiv e Stage で T 4+細 胞のB P F 産 生 障 害があり, これ が赤 血球 造 血 障害の 一因と考え ら れ た. し か し,血 液 学 的 完全 寛解後も末 棺血 B F U−E 数が低値であったこと, 正常T 4+細 胞の添 加にて も形 成さ れ るコ ロ ニ ー 数が 低値で あったこと, か ら完全 寛 解後も幹 細胞 自体の内的 障 害 くB P F 反応 性低 下1 が残存している可能 性も 示唆さ れ た.
Key w ords e ry thr oid burst−fo r ming u nits,bu r st−pr O m Otingfa cto r,C O nge nital h y popla stic a n e m ia,P H A .stim ul ated T 4+ c ell
先天性赤 芽球 療 くc o nge nital hy popla stic a n e mia,
C H Al は乳 幼 児期 発 症の赤 血球 系のみ の低 形 成を特 徴 と す る疾 患であ るり21. in vitr o コ ロ ニ ー 法の進 法で,
赤血球 造血の メカニ ズム の解 明や種々 の疾 患にお け る 造血 異常の病 態の解 明が可 能になって来ている.C H A
で の赤血球 造 血障 害の機 序に関し て も多くの報 告が見 ら れ る3ト1 21.し か し,その成 因に関して依 然不 明の点が 多く残さ れ ている. 自己骨 髄 赤血球 系 幹細 胞の増殖を
抑 制す る細 胞 障 害性リン パ球の存 在が, Hoffm a n ら3I や Steinbe rg らけによっ て報 告さ れて いる が, この説 を否 定す る報 告も見ら れ る5糊. ま た骨 髄 幹細 胞の エリ スロ ポエチン への反応 性が低下 し ている為, 幹 細 胞か ら前 赤 芽 球へ の分 化障 害が起っている7ト 川, との報 告 も見ら れ,C H A は成 因の上 で異 質性 くbete r oge n eit yl
の多い疾 患群である と考え ら れ る.
一方, 正常の赤 血球 造 血で は, その前駆細 胞が増殖 B F U−E , e ry thr oid b u r st−fo r ming u nits三B P F,bu r st−pr O m Oting fa cto rニC H A , C O nge nital hy popla stic a n e miaニEpo, e ry thr opoietin三N A T −, n O n ad he r e nt T −depleted三P H A , phy to−
he m ag glutininニP H A−T C M , P H A −Stim ulated T−C ell c o nditio n ed m ediu m 三P H A−T 4 C M ,
分化す る 上 で, エリスロ ポエチン およ び赤血球 系 幹細 胞 増 殖 刺激 因子 くbu r st−pr Om Oting fa cto r, B P Fl が 必 須であ り, 末 楷 血 細 胞 群の中で は T 細 胞川−1 7や単 球1 8ト2いが B P F 産 生細 胞の主役と考え ら れ ている.
今回, レク チン刺 激末 梢血丁細胞サ ブセ ットによ る 末 棉血赤 血 球 系 幹 細 胞 くe ry thr oi d bu r st−fo rmi ng u nits,B F U−EI 調 節機 構を明ら かにし, 赤血球 系低 形 成を特 徴と す る C H A 6 例に つ いて同 様の検 討を行
い, 新しい知見を得た の で報 告す る.
ま た, C B A 末 楷 血リン パ球の正常 骨 髄 赤血球 系幹 細 胞の障害の有 無に つ いて も検 討を加え た.
対 象お よ び方法
工. 対 象
D ia m o nd らりの診 断基 準を満た す 6 例の C H A を対 象と した. 表1 は診 断 時の末 棉 血お よ び骨 髄 所見, 臨 床経 過を 示 し た も の である. 全 例 末梢 血で は白血 球 減 少およ び血小板 減 少を伴わ ない高 度の貧血を認め, 骨
髄 像で は著しい赤 芽球 低 形 成を 示 し ていた. 症例4 お よ び 6 は治療 開 始 前に, 症 例2 およ び 5 は 2 回の濃 厚 赤 血 球 輸 注後に検 討し たこ これ ら4 症 例はいずれ もス テロイ ド 反応 例で, 1 ケ月から 2 ケ月の治 療で完全寛 解と な り以後 除々に ステロイ ド剤は減量 さ れ, 約6 ケ 月か ら 1 2 ケ月で中止 さ れ た. 第2 回目の検 討で は,全 例がステロイ ド剤や輸血 を必 要と し な く なっていた.
症例1 お よ び 3 はステロイ ド不応 例で, 月1 回の濃 厚 赤 血球 輸 注を繰返し ていた.
工工. T 細 胞の分離
C H A 6例と 正常 対 照と し て健 康 成人末 柵血をヘパ リン加 採血し,リン酸 緩 衝 生理食 塩 水で 2 倍に希釈艶 F ic oll−H y paqu e くLym phopr ep, N yega a rd 8z Co.,
Oslo,No r w aylを 用いた 比 重遠心 法に て単核 細 胞を採
取し た. 単 核 細 胞は10%非 働 化ウシ胎 児血清 くfetal bo vin e s eru m ,F B S.M .A.B iopr odu cts
,W alke r s ville,
M Dl を含む R P M I 1 6 4 0培 地 くG I B C O,N Yl に 1 X l O6ノml の濃度に浮 遊し, プ ラスチック 皿 を用いて付着
Tablel. Labo r ato ry data at diagn o sis a nd clinic al c o u r s e s−
Patie nt 1.くR.U1. 2.くK.I.1 3.くT.GI. 4.くM .N1. 5く.T .M 1. 6.ロ.Nl.
Age at diagn o sis 1 1 m o 3 m o 3 m o 6 m o 6 m o 8 m o
Periphe r al blo od
1 6 2 8 3 1 0 2 1 5 8 1 5 9 2 0 2
Red blo od c e11s
くXl Oソ皿丘I He m oglobin
くgノdり W h ite blo od c ells
くノ皿丘I P latelets
くX1 0ソm丘I
4 .7 2.8 3.6 4.4 3.9 4.2
7 3 0 0 3 60 0 3 6 0 0 5 7 0 0 8 3 0 0 7 4 0 0
3 0.4 2 2.4 2 5.6 4 4 .1 4 3.8 1 5.0 Retl C ulo cy te s
く%I 0 0.5 0 .5 0 0 0.1
Bo n e m a r r o w
1.6 4.0 2.0 0.2 1.4 5.6
Ery thr obla sts く卿
GノE r atio 4 8.0 1 1.3 2 3.3 16 7.0 5 5.0 1 3.0
T he r ap y pr ed pr ed pr ed pr ed pr ed pr ed
a ndr a ndr
Pr ogn o sis Tr a n s r emi s sio n Tr a n s r e mis sio n r e mis sio n r e mis sio n
Age at tim e of study 1 2yr 4r n o,3yr 1 6yr 6r n o,3yr 7m o,2yr 8r n o,3yr
GノE r atio, Gr a n ulo cy teIEry thr oid r atioこ Pr ed,Pr ednis o n eニa ndr,a ndr oge ni Tr a n s,
Tr a n sfu sio n−depe nde nt.
P H A−Stim ulated T 4+ −C ell c o nditio n ed m ediu 町 P H A −T 8 C M , P H A −Stim ulated T 8+−C ell
c o nditio n ed m ediu m .
先天性 赤芽 球 療の赤 血 球 系幹 細胞 分 化 増殖 調 節 障 害
細胞の単球を除 去し た 俳 付 着 馴 副. T 細 胞は 1 X lO7ノml の非 付 着細 胞をノイ ラ ミニ ダー ゼ く1 0 uノml, Behringw e rkel 処理羊 赤血球とのE ロゼット法を行
い分 離し た2 2ナ. T 細 胞お よ び 非 付 着 非丁細 胞 くn o n ad he r e nt T−depleted, N A T−1 分画 中の単球の 比率を メ イ . ギムザ, かサ フテー ル .プ チレ ー ト. エ ステ ラー ゼ染色を行い検 討し た が, いずれ も 4 % 以下 で あった.
m. T 細胞サ ブセッ トの解 析と 分離
末 梢 血丁細 胞サ ブセットの解 析は, 単 核 細 胞を flu o r e s c ein is oth io cyan ate くFI T Cl 標識モ ノクロ ー
ナル抗体O K T 3, O K T 4, O K T 8 くOrtho D iagn o stic
Syste m In c., Ra rita n, NJl にて標 識し, フロ ーサ イ ト メ ト リー くOrtho Spe ctr u mIIり を用いて算 定し た2 3I.
T 4+およ び T 8+細 胞の分 離は, 末 梢血 丁細 胞5 X lO6ノmlにO K T 8 あ るい は O E T 4 モ ノクロ ナ ー ル抗
体 く1 ニ 1仁嘲 を加え室 温3 0 分 放 置 後 補 体 くLo w − To x−H r ab b it c o m ple m e nt, Ceda rla n e, Onta rio,
Ca n adalを 2 5%濃 度に加え, さ らに3 r C 4 5 分 間イン
クベ ー ト の の ち に R P M 王1 6 40 培 地で 2 回洗 浄し た2 4J2 51.O K T 8 処理 丁細 胞分 画を T 4+細 胞,O K T 4 処 理 丁細 胞を T 8十細 胞と し て 以下の検 索に使用 し た.
フロ ー サ イ ト メ ト リー によ る解析で は, 前 者は 7 8%か ら 8 5%のO K T 4 陽 性 細 胞 を有し後 者は 8 2%か ら 86%の O K T 8 陽性 細 胞を有し ていた.
IV . P H A による T細 胞, T 4+細 胞お よ ぴ T 8+細 胞 刺 激
5 X lO6個の T 細 胞, T 4十細 胞, T 8十細 胞を 1 0% F B S を含む R P M I 1 640培 地 に 浮 遊 し, P H A−P くD ifc o,Detr oit, M Il を最終 濃 度1.0%にな る様に加
え炭酸ガス培養 恒 温 器 く3 70C, 5%C O21 内で2 0時 間 培養し た. 培養 終了後, 多量の R P M 王1 6 4 0 培 地にて 2
回洗浄し赤 血球 系 幹細 胞 培 養で のエ フェク タ一紙 胞と して用いた. 一部の実験で は非付 着 細胞を同様に処理 しエフェク ター細 胞と し た. 0.1 6%ト リバ ンプル ー に よ る検定では 83%以 上 が生 細胞で あった. ま た各々の
培養上清 くP H A 刺 激丁細 胞 培 養上手乱 P H A−T C M ニ P H A 刺 激T4十細 胞 培 養上浦P H A −T 4 C M 三P H A 刺
激T 8+細 胞 培 養上清, P H A−T 8 C Ml も同 様に回収 し−200C で保 存し, 使用の際に自然 融 解し 用いた.
V . 培 養上清の耐 熱 性
各培 養上清を 560C 3 0 丸1 0 00ClO 分およ び 3 0 分 熱 処理 し 1 0%の濃 度でB F U −E 培 養 系に添加し, 熱 処理 後の B P F 活性の変化を検 討し た.
VI, 赤血球 系幹 細 胞培 養 法
ヒト末 輸 血 赤 血 球 系 幹 細 胞の培 養は 工s c o v e ら2別の
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方 法に準じ て行った. 2.5XlO5個の非 自己 N A T .細 胞を B F U .E s o u r c e と し て, 2.O I Ulml のエ リスロポ
エチン CEpo, Co n n a ught Step l工I she ep e ry thr o. poietinl 存 在 下で 0.8%メ チル セ ルロ ース 押ishe r
Scie ntific Co.,NJl, 3 0%F B S,10%脱イ オン化ウシ 胎 児アルブ ミンくS igm al, 10,4M 2−メルカ プ トエタ ノ ー ル くS igm aI を含ん だ メ チル セ ル ロ ー ス法に て 行った.炭 酸ガス培 養恒 温器で 1 4 日間培 養後 倒立 顔微 鏡にて 1 0 0個 以上 の赤 色か ら貴赤 色の細 胞集 団お よ び 3 個 以上のサ ブコ ロ ニ ーから成る細 胞 集 団を B F U−E 由来のコ ロ ニ ー と し て算定し た.
エフ ェク タ ー細胞は 上記培 養系に1.2 5Xl O5個の都 合で加え B F U −E への影響につ いて検 討し た. 各 培養 上清 く熱 処理後の 上清も含めンは B P F 活性の有 無を 検 討す る為, 最 終 濃 度1 0%にな る様に1.5 エロノml Epo
と共に加え た. 湛 合培 養ではstim ulatio n inde x を下 記の式に基づいて算 定し た. stim ulatio n inde x くS. 王.1 ニ混 合 培 養で の全B F U −E数ノ単 核 細 胞 あるいは N A T− 細胞 単 独でのB F U−E 数+P H A 刺 激非 付 着細 胞 あるいは T 細胞 単 独での B F U−E 数
ま た, 骨 髄 赤 血 球 系 前 駆 細 胞 くc olo ny.fo rming u nits ofe ry thr oid,C F U−EI の培 養は, 末 檎血 と同様
の方 法で採 取 し た骨 髄 細 胞 く2 Xl O51 を C F U −E
s o u r c e と し て Tep pe r m a n ら2 71の血襲 凝 固 法を用い て行った. エフ ェク タ ー細 胞を 1 X lO5 偶の割 合で加 え 3 70C 5 %C O2 下で培 養し 7 日目に ヘモグロ ビン
くべ ンチ ジンI 染 色を行い, ベ ンチ ジン陽 性の 8 個 以上 の細 胞 集 団を C F U.E 由 来のコ ロ ニ ー と し て算 定し た.
W I. 統 計 学 的 検定
有 意 差の検 定には Stude nt の t一検 定を 用いて, p く 0.0 5 を統 計学 的に有意と し た.
成 績
工. 正常ヒト未棉血 B F U −E の調 節
1 . 非 自己 丁細 胞の末棺 血B F U−E に及ぼ す影響 非 自己 丁細 胞に各 濃 度 く0 ,0.1%,1.0%うのP H A を添加し培 養し た後,1.2 5X lO5個,2.5Xl O5個お よ び 5.OX lO5個の T 細 胞を B F U −E 培 養系に加え, そ の影 響を検 討し た く図 い.T 細胞は P E A 添加の有 無に か
かわ らずB F U −E 形 成を増 加さ せ, さ らに添加丁細 胞 数に比例し て B F U−E 増 加 作 用を 示 し た. 1.0%P H A
を加え培 養し た場 合1.2 5Xl O5個の T 細胞 添 加で も,
他のP H A 濃 度の場 合に比し有意に くp く0.0 21 B F U − E 形成を増加さ せ た.P H A 渡 度を 2.0%と し た場 合,
生 細 胞 数は 2 0%以 下に なった為, 以 下の検 索で は P H A 濃 度1.0%, エフ ユタ タ ー細胞 数1.2 5Xl O5 と し