慢性蕁麻疹患者の血清中の自己反応性
抗二本鎖デオキシリボ核酸 ( double stranded [ds]
DNA) 免疫グロブリン E 抗体価の有意な上昇と
dsDNA による好塩基球の 活性化
に関する研究
日本大学大学院医学研究科博士課程 内科系皮膚科学専攻
畠田 優子 2014 年
指導教員 照井 正
慢性蕁麻疹患者の血清中の自己反応性
抗二本鎖デオキシリボ核酸 ( double stranded [ds]
DNA) 免疫グロブリン E 抗体価の有意な上昇と
dsDNA による好塩基球の 活性化
に関する研究
日本大学大学院医学研究科博士課程 内科系皮膚科学専攻
畠田 優子 2014 年
指導教員 照井 正
目次
概 要 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
1
諸 言 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
4
対 照 と 方 法 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
7 (1)
患 者 背 景 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・7 (2)
試 薬 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・7 (3)
自 己 反 応 性 抗 体 の 検 出 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・9 (4)
自 己 血 清 皮 内 テ ス ト ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・10 (5)
好 塩 基 球 の 活 性 化 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・10 (6)
統 計 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・14
結 果 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
15 (1)
抗dsDNA IgE
価 の 慢 性 蕁 麻 疹 患 者 お よ び ア ト ピ ー 性 皮 膚 炎 患 者 での 有 意 な 増 加 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
15
(2)
抗dsDNA IgE
価 と 、血 清IgE
値 、罹 患 期 間 、性 別 、自 己 血 清 皮 内 テ ス ト の 結 果 と の 相 関 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・17 (3) dsDNA
は 慢 性 蕁 麻 疹 の 一 部 の 症 例 で 好 塩 基 球 の 活 性 化 を 惹 起 す る・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
18
考 察 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
19
ま と め ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
25
謝 辞 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
26
引 用 文 献 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
41
研 究 業 績 目 録 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
49
略語
ASST: autologous serum skin test
: 自 己 血 清 皮 内 テ ス トBSA: bovine albumin solution
: ウ シ 血 清 由 来 ア ル ブ ミ ンCaCl
2:calcium chloride
: 塩 化 カ ル シ ウ ムDPBS: Dulbecco’s phosphate buffered saline
: ダ ル ベ ッ コ リ ン 酸 緩 衝 生 理 食 塩 水dsDNA: double stranded DNA: 二 本 鎖 デ オ キ シ リ ボ 核 酸
ELISA: enzyme-linked immunosorbent assay
: 酵 素 免 疫 測 定 法FACS: fluorescence activated cell sorter
: 自 動 細 胞 解 析 分 離 装 置 FITC:fluorescein isothiocyanate: フ ル オ レ セ イ ン イ ソ チ オ シ ア ネ ー トFCS: fetal calf serum
: ウ シ 胎 児 血 清G: gravitation acceleration
: 重 力 加 速 度HEPES buffer
:4-(2-hydroxyethyl)-1-piperazineethanesulfonic acid
: へ ぺ ス 溶 液HRP
:horse radish peroxidase
: 西 洋 ワ サ ビ ペ ル オ キ シ ダ ー ゼIgE
:immunoglobulin E: 免 疫 グ ロ ブ リ ン E
IgG
:immunoglobulin G: 免 疫 グ ロ ブ リ ン G
ISS
:itch severity score: 痒 み の 強 さ の ス コ ア
LSM: lymphocyte separation medium
: リ ン パ 球 分 離 溶 液MFI: mean fluorescence intensity
: 平 均 蛍 光 強 度MgCl
2:magnesium chloride
: 塩 化 マ グ ネ シ ウ ムMBP
:major basic protein: 主 要 塩 基 性 蛋 白 N.A: not applicable
:該 当 せ ずNaN
3:sodium azide: ア ジ 化 ナ ト リ ウ ム N.D: not determined: 施 行 せ ず
N.S
:not significant
: 有 意 差 な しPC7
:R-phycoerythrin /cyanine 7: R-
フ ィ コ エ リ ス リ ン/シ ア ニ ン 7 PE: phycoerythrin: フ ィ コ エ リ ス リ ン
PE/Cy5:R-phycoerythrin /cyanine 5:R-フ ィ コ エ リ ス リ ン/シ ア ニ ン 5
PFA:paraformaldehyde phosphate buffer solution:パ ラ ホ ル ム ア ル
デ ヒ ド ・ リ ン 酸 緩 衝 液(
固 定 液)
SA: streptavidin
: ス ト レ プ ト ア ビ ジ ンSA-HRP: streptavidin-horse radish peroxidase:
西 洋 ワ サ ビ ペ ル オ キ シ ダ ー ゼ 標 識 ス ト レ プ ト ア ビ ジ ンSLE
:Systemic lupus erythematosus
: 全 身 性 エ リ テ マ ト ー デ スssDNA: single stranded DNA
: 一 本 鎖 デ オ キ シ リ ボ 核 酸- 1 -
概要
背 景:慢 性 蕁 麻 疹 患 者 の 一 部 の 症 例 で は 患 者 の 血 清 中 に 抗
FcεR
Ⅰ抗 体 や 抗IgE
抗 体 と い っ た 自 己 反 応 性IgG
が 存 在 す る こ と か ら 自 己 免 疫 が 発 症 に 関 与 し て い る と 考 え ら れ て い る 1。し か し な が ら 、慢 性 蕁 麻 疹 患 者 の 血 清 中 に 自 己 反 応 性IgE
が 存 在 す る か は 明 ら か に は な っ て い な い 。 こ の 研 究 で 我 々 は 慢 性 蕁 麻 疹 患 者 の 血 清 中 に 自 己 反 応 性IgE
が 存 在 す る か ど う か を 検 討 し た 。方 法:倫 理 委 員 会 の 承 認 後 、同 意 書 を 書 面 で 頂 い た
67
人 の 健 常 者 コ ン ト ロ ー ル 、108 人 の 慢 性 蕁 麻 疹 患 者 ,お よ び29
人 の ア ト ピ ー 性 皮 膚 炎 患 者 の 血 清 を 実 験 に 供 し た 。 慢 性 蕁 麻 疹 患 者108
人 の う ち 橋 本 病 合 併1
人 、 ア ト ピ ー 性 皮 膚 炎 合 併5
人 は 除 外 し 、102
例 で 検 討 し た 。 自 己 血 清 皮 内 テ ス ト(autologous serum skin test
,ASST) は39
人 で 施 行 し た 。自 己 抗 原 に 対 す る 自 己 反 応 性IgE
抗 体 価 とIgG
抗 体 価 は 酵 素 免 疫 測 定 法(enzyme-linked immunosorbent assay
,ELISA)
を 用 い て 測 定 し た 。二 本 鎖 デ オ キ シ リ ボ 核 酸(double stranded DNA,dsDNA)
で 活 性 化 さ れ た 好 塩 基 球 に お け るCD63、 CD203c
の 発 現 レ ベ ル は 自 動- 2 -
細 胞 解 析 分 離 装 置
(fluorescence activated cell sorter
,FACS)
を 用 い て 測 定 し た 。 異 な る 三 群 間 の 比 較 は ス テ ィ ー ル ・ ド ゥ ワ ス 検 定 を 用 い て 評 価 し 、p<0.05
を も っ て 有 意 と し た 。結 果:血 清 中 抗
dsDNA IgE
抗 体 価 は 慢 性 蕁 麻 疹 患 者 と ア ト ピ ー 性 皮 膚 炎 患 者 で 健 常 者 コ ン ト ロ ー ル と 比 較 し て 有 意 な 増 加 を 認 め た 。 し か し 抗dsDNA IgG
抗 体 価 は 三 群 間 で 有 意 差 は 認 め な か っ た 。 チ オ レ ド キ シ ン 、サ イ ロ グ ロ ブ リ ン に 対 す るIgG
抗 体 価 は 慢 性 蕁 麻 疹 患 者 と 他 の2
群 間 で 有 意 な 差 を 認 め な か っ た 。 チ オ レ ド キ シ ン 、 ぺ ル オ キ シ レ ド キ シ ン 、 サ イ ロ グ ロ ブ リ ン に 対 す る す べ て のIgE
抗 体 価 お よ び ぺ ル オ キ シ レ ド キ シ ン に 対 す るIgG
抗 体 価 は カ ッ ト オ フ 値 以 下 で あ っ た 。ASST
陽 性 とASST
陰 性 患 者 と の 間 で 抗dsDNA IgE
抗 体 価 の 有 意 差 を 認 め な か っ た 。 検 討 し え た 慢 性 蕁 麻 疹 患 者9
人 の う ち2
人 の 好 塩 基 球 で はdsDNA
に 反 応 し てCD63
の 発 現 の 増 強 を 認 め た 。 ま た 慢 性 蕁 麻 疹 患 者4
人 中1
人 の 好 塩 基 球 で はdsDNA
に 反 応 し てCD203c
の 発 現 の 増 強 を 認 め た 。- 3 -
結 語:自 己 反 応 性 抗
dsDNA IgE
が 慢 性 蕁 麻 疹 の 病 態 に 関 与 し て い る 症 例 が 存 在 す る こ と が わ か っ た 。- 4 -
諸言
蕁 麻 疹 は 痒 み を 伴 う 一 過 性 の 膨 疹 と 紅 斑 の 出 没 を 特 徴 と す る 疾 患 で あ る 。 蕁 麻 疹 の 臨 床 像 は 多 彩 で 、 日 本 皮 膚 科 学 会 に よ る 「 蕁 麻 疹 ガ イ ド ラ イ ン 」2で は 、蕁 麻 疹 は
(1)
特 発 性 の 蕁 麻 疹 、(2) 刺 激 誘 発 性 の 蕁 麻 疹 、(3)
血 管 性 浮 腫 、 お よ び(4)
蕁 麻 疹 関 連 疾 患 、 の4
群 に 分 け ら れ 、16 病 型 に 分 類 さ れ る(表 1)。こ れ ら の 病 型 別 の 頻 度 と し て は 、特
発 性 の 蕁 麻 疹 が7
割 以 上 を 占 め る 。 特 発 性 の 蕁 麻 疹 は 経 過 に よ り 急 性 蕁 麻 疹 と 慢 性 蕁 麻 疹 に 区 分 さ れ 、 本 邦 で は4
週 間 以 上 継 続 す る 蕁 麻 疹 を 慢 性 蕁 麻 疹 と 定 義 し て い る 2。蕁 麻 疹 で は 、 皮 膚 マ ス ト 細 胞 が 何 ら か の 機 序 に よ り 脱 顆 粒 し 、 皮 膚 組 織 内 に 放 出 さ れ た ヒ ス タ ミ ン を 始 め と す る 化 学 伝 達 物 質 が 皮 膚 微 小 血 管 と 神 経 に 作 用 し て 血 管 拡 張
(
紅 斑)、血 漿 成 分 の 漏 出 (
膨 疹)、お よ
び 痒 み を 生 じ る 。 蕁 麻 疹 に お け る マ ス ト 細 胞 の 活 性 化 の 機 序 と し て はⅠ 型 ア レ ル ギ ー が 広 く 知 ら れ て い る が 、 実 際 に は 原 因 と し て 特 定 の 抗 原 を 同 定 で き る こ と は 少 な い 。 一 方 、 蕁 麻 疹 に は Ⅰ 型 ア レ ル ギ ー 以 外 に 機 械 的 擦 過 を 始 め と す る 種 々 の 物 理 的 刺 激 や 薬 剤 、 運 動 、 体 温 上 昇 な ど に よ る 過 敏 性 に よ る も の 、 明 ら か な 誘 因 な く 自 発 的 に 膨 疹 が 出 現
- 5 -
す る も の な ど が あ り 、 症 例 に よ り こ れ ら の 機 序 の い ず れ か 、 ま た は 複 数 の 因 子 が 複 合 的 に 関 与 し て 病 態 を 形 成 す る と 考 え ら れ る 2。
自 己 血 清 皮 内 テ ス ト
(autologous serum skin test
,ASST)は 、FcεR
Ⅰ あ る い は
IgE
に 対 す る 自 己 反 応 性 抗 体 の 検 出 に 役 立 つ 3。 ま た 慢 性 蕁 麻 疹 患 者 の 約4-5
割 がFcεR
Ⅰ あ る い はIgE
に 対 す る 自 己 反 応 性IgG
を も っ て お り 4-6、慢 性 蕁 麻 疹 患 者 か ら 精 製 し た 抗FcεR
Ⅰ 抗 体 と 抗IgE
抗 体 は 、 好 塩 基 球 か ら の ヒ ス タ ミ ン 放 出 を 誘 導 す る と 報 告 さ れ て い る7。そ の た め 慢 性 蕁 麻 疹 患 者 の
4-5
割 で は 自 己 免 疫 が 原 因 に な っ て い ると 考 え ら れ て い る 4-6。
ア ト ピ ー 性 皮 膚 炎 の 患 者 の 血 清 中 に は チ オ レ ド キ シ ン 、
dsDNA
、一 本 鎖 デ オ キ シ リ ボ 核 酸(single stranded DNA
、ssDNA)、 サ イ ロ グ ロ
ブ リ ン な ど に 対 す る 自 己 反 応 性IgE
が 存 在 す る こ と が 報 告 さ れ て お り 自 己 反 応 性IgE
が 病 態 に 関 わ っ て い る こ と が 示 唆 さ れ て い る 8,9。ま た 慢 性 蕁 麻 疹 患 者 で は 健 常 者 コ ン ト ロ ー ル に 比 し て 抗 サ イ ロ ペ ル オ キ シ ダ ー ゼIgE
抗 体 価 が 高 い と 報 告 さ れ て い る 10,11。 し か し な が ら 慢 性 蕁 麻 疹 患 者 の 血 清 中 に ア ト ピ ー 性 皮 膚 炎 患 者 で 認 め ら れ る よ う な 自 己 反 応 性IgE
が 存 在 し て い る か ど う か 、 ま た 慢 性 蕁 麻 疹 の 症 状 に 自 己 反 応- 6 -
性
IgE
が 関 与 し て い る か ど う か は わ か っ て い な い 。 最 近 、 難 治 性 気 管 支 喘 息 の 治 療 に 使 用 さ れ て い る ヒ ト 型 抗IgE
抗 体(
オ マ リ ズ マ ブ)
が 特 発 性 慢 性 蕁 麻 疹 の 治 療 に も 有 効 で あ る と の 報 告 が あ り 12,13、 こ れ はIgE
依 存 性 の マ ス ト 細 胞 お よ び 好 塩 基 球 の 活 性 化 が 慢 性 蕁 麻 疹 の 病 態 に 関 与 し て い る こ と を 示 し て い る 。 こ の 研 究 で は 、 自 己 反 応 性IgE
が 慢 性 蕁 麻 疹 患 者 の 血 清 中 に 存 在 し て 、 慢 性 蕁 麻 疹 の 病 態 に 関 わ っ て い る か ど う か を 調 べ た 。- 7 -
対象と方法
(1)患 者 背 景
検 体 の 供 与 者 全 て か ら イ ン フ ォ ー ム ド コ ン セ ン ト を 得 た 。 こ れ ら の 検 体 の 採 取 及 び 取 扱 い は 、 日 本 大 学 板 橋 病 院 臨 床 研 究 審 査 委 員 会 に よ っ て 承 認 さ れ た 方 法 に 基 づ い て 行 っ た 。 全 て の 研 究 は 世 界 医 師 会 ヘ ル シ ン キ 宣 言 の ガ イ ド ラ イ ン に 沿 っ て 行 わ れ た 。 当 院 で 加 療 し た
108
例 の 慢 性 蕁 麻 疹 患 者 、29
例 の ア ト ピ ー 性 皮 膚 炎 患 者 、 お よ び67
例 の 健 常 者 コ ン ト ロ ー ル の 末 梢 血10 ml
か ら 遠 心 分 離 に て 血 清 を 分 離 し た 。 慢 性 蕁 麻 疹 患 者108
例 の う ち 、 橋 本 病 合 併1
例 、 ア ト ピ ー 性 皮 膚 炎 合 併5
例 は 除 外 し て 検 討 し た 。 慢 性 蕁 麻 疹 お よ び ア ト ピ ー 性 皮 膚 炎 の 診 断 は 日 本 皮 膚 科 学 会 が 作 成 し た そ れ ぞ れ 蕁 麻 疹 診 療 ガ イ ド ラ イ ン と ア ト ピ ー 性 皮 膚 炎 診 療 ガ イ ド ラ イ ン の 日 本 皮 膚 科 学 会 「 ア ト ピ ー 性 皮 膚 炎 の 定 義 ・ 診 断 基 準 」 に 基 づ い て 行 っ た 2,14。 患 者 背 景 を 表2
に 示 す 。 好 塩 基 球 の 活 性 化 を 検 討 し た 患 者 背 景 を そ れ ぞ れ 表3、 表 4
に 示 す 。(2)試 薬
自 己 成 分 と し て 、 使 用 し た
dsDNA
、 チ オ レ ド キ シ ン (thioredoxin
- 8 -
human)、 ペ ル オ キ シ レ ド キ シ ン (peroxiredoxin 1 human
)、 サ イ ロ グ ロ ブ リ ン (thyroglobulin from bovine thyroid)、 カ ル シ ウ ム イ オ ノ
フ ォ アA23187
は す べ てSigma-Aldrich (St. Louis、MO.
、USA) か ら 購 入 し た 。以 下 の 試 薬 は そ れ ぞ れ 下 記 の 会 社 か ら 購 入 し た 。
牛 血 清 由 来 ア ル ブ ミ ン
( bovine albumin fraction V solution
、BSA)、ダ ル ベ ッ コ リ ン 酸 緩 衝 生 理 食 塩 水 (Dulbecco’s phosphate buffered saline、
DPBS)
はLife technologies (Calsbad、 CA.
、USA)、 リ ン パ 球 分 離
溶 液(lymphocyte separation medium、 LSM)
はBiomedicals (Solon
、
OH.、 USA)、 R-フ ィ コ エ リ ス リ ン (R-phycoerythrin、 PE)
標 識 抗CD63
抗 体 、ビ オ チ ン 標 識 抗IgE
抗 体 、ビ オ チ ン 標 識 抗IgG
抗 体 はBD Biosciences (San Diego、 CA.
、USA)、 西 洋 ワ サ ビ ペ ル オ キ シ ダ ー ゼ (horse radish peroxidase
、HRP )
標 識 ス ト レ プ ト ア ビ ジ ン(streptavidin、 SA) (SA-HRP)
はR&D Systems (Minneapolis
、MN.、
USA)、 R-
フ ィ コ エ リ ス リ ン/シ ア ニ ン (R-phycoerythrin /cyanine 5、
PE/Cy5)
標 識 ス ト レ プ ト ア ビ ジ ン はBiolegend (San Diego
、CA.
、USA)、抗 FcεRIα
抗 体 はeBioscience ( San Diego、 CA.、 USA)、IL-3
- 9 -
は
PeproTech EC Ltd (London、 UK)、 ウ サ ギ 抗 IgE
抗 体 はDAKO Cytomation (Carpinteria
、CA.
、USA)、 4%
パ ラ ホ ル ム ア ル デ ヒ ド ・ リ ン 酸 緩 衝 液 (固 定 液 )は 和 光 純 薬(大 阪 、 日 本 )
。Allergenicity Kit
はBeckman Coulter (Brea、 CA.、 USA)。
(3)自 己 反 応 性 抗 体 の 検 出
自 己 反 応 性 抗 体 の 検 出 は
Zeller
ら 9の 論 文 に よ る 方 法 に 改 良 を 加 え てELISA
法 で 行 っ た 。 慢 性 蕁 麻 疹 に お い て 自 己 反 応 性dsDNA IgG
抗 体 価 、ペ ル オ キ シ レ ド キ シ ンIgG
抗 体 価 、サ イ ロ グ ロ ブ リ ンIgG
抗 体 価 が 健 常 人 と 比 較 し て 高 い と の 報 告 1、疾 患 コ ン ト ロ ー ル で あ る ア ト ピ ー 性 皮 膚 炎 に お い て 自 己 反 応 性 チ オ レ ド キ シ ンIgE
抗 体 価 が 健 常 人 と 比 較 し て 高 い と の 報 告 9か ら こ の 実 験 で はdsDNA、ペ ル オ キ シ レ ド キ シ
ン 、 サ イ ロ グ ロ ブ リ ン 、 お よ び チ オ レ ド キ シ ン に 自 己 反 応 性IgE
を 検 討 し た 。DPBS で 希 釈 し た5 μg/ml
のdsDNA、チ オ レ ド キ シ ン 、ぺ ル
オ キ シ レ ド キ シ ン 、サ イ ロ グ ロ ブ リ ン を 用 い て96
穴 プ レ ー ト を1
晩 静 置 し 固 相 化 し た 。 洗 浄 後 、1% BSA
を プ レ ー ト に 入 れ 非 特 異 的 反 応 を 阻 害 し た の ち 、 自 己 反 応 性IgE
抗 体 価 測 定 に 関 し て はDPBS
で1/10
- 10 -
に 希 釈 し た 血 清 、 自 己 反 応 性
IgG
抗 体 価 測 定 に 関 し て はDPBS
で1/1000
希 釈 し た 血 清 を プ レ ー ト に 加 え2
時 間 イ ン キ ュ ベ ー ト し た 。結 合 し た 自 己 反 応 性IgE
も し く はIgG
は0.2
% ビ オ チ ン 標 識 抗IgE
も し く は0.2%
ビ オ チ ン 標 識 抗IgG
モ ノ ク ロ ー ナ ル 抗 体 と0.5
%SA-HRP
を 用 い て 検 出 し た 。 定 量 はThermo SCIENTIFIC
社 のMULTISKAN GO
を 用 い て450 nm
と570 nm
の 吸 光 度 を 測 定 し て 行 っ た (図1)。
(4)
ASST
ASST
は 国 際 的 な プ ロ ト コ ー ル に 沿 っ て 行 っ た 15。 す な わ ち0.2 ml
の 自 己 血 清 と 陰 性 コ ン ト ロ ー ル と し て 生 理 食 塩 水 を 前 腕 に 皮 内 注 射 し た 。30
分 後 に 膨 疹 の 直 径 が 陰 性 コ ン ト ロ ー ル よ り1.5
㎜ 以 上 あ れ ば 陽 性 と し た 。(5)好 塩 基 球 の 活 性 化
好 塩 基 球 の 活 性 化 は
Gymsi
16ら の 論 文 に よ る 方 法 に 改 良 を 加 え て 行 っ た 。 慢 性 蕁 麻 疹 患 者9
例 、 健 常 者 コ ン ト ロ ー ル5
例 の 末 梢 血 か ら の 単 核 球 の 分 離 は ヘ パ リ ン 添 加 末 梢 血 をDPBS
で3
倍 に 希 釈 し 、LSM
を 入- 11 -
れ た 試 験 管 に 希 釈 血 液 を 重 層 し
450
重 力 加 速 度 (Gravitational
acceleration: G)
で30
分 間 遠 心 し た 。 末 梢 血 単 核 細 胞 層 を 回 収 し 、 洗 浄 の た め 約50 ml
のDPBS
を 加 え て 混 和 し810G
で5
分 間 遠 心 し 、 上 清 を 吸 引 除 去 し た 。 も う 一 度 同 様 の 方 法 で 洗 浄 し 、 細 胞 ぺ レ ッ ト に10 ml
のDPBS
を 加 え 細 胞 数 を 測 定 し た 。さ ら に 同 じ 方 法 で 洗 浄 し た 。 分 離 し た 細 胞 を 、1 mM CaCl
2, 1 mM MgCl
2 お よ び0.025% BSA
を 含 む HEPES バ ッ フ ァ ー で2
×107細 胞/ml
の 濃 度 に 調 整 し た 。末 梢 単 核 球 は10 ng/ml
のIL-3
を 加 え37
℃ で30
分 間 イ ン キ ュ ベ ー ト し た 後 、 洗 浄 し 、dsDNA (1
ま た は10 μg/ml)
、カ ル シ ウ ム イ オ ノ フ ォ アA23187
(10-6M) 、 抗 IgE
抗 体 (0.1 μg/ml)で37℃ で 3
分 間 刺 激 し た 。 抗IgE
抗 体 で 3 分 以 上 刺 激 す る と 細 胞 表 面 のFcεRⅠ の 発 現 が 減 弱 す る た め 、
こ の 実 験 系 で は 刺 激 時 間 を 3 分 間 と し た 。 こ れ ら の 細 胞 を 回 収 し て 遠 心 し 、200 μl
の4%
パ ラ ホ ル ム ア ル デ ヒ ド ・ リ ン 酸 緩 衝 液(paraformaldehyde phosphate buffer solution
、PFA)
で37
℃ で20
分 間 固 定 し た 。100 μl
のDPBS
を 加 え2800G
で5
分 間 遠 心 し 、 上 清 を 吸 引 除 去 し た 。ビ オ チ ン 標 識 抗FcεRⅠ 抗 体 と PE
標 識 抗CD63
抗 体 を 添 加 し4℃ で 20
分 間 イ ン キ ュ ベ ー ト し 、100 μl
のDPBS
を 加 え5
- 12 -
分 間 遠 心 し 上 清 を 吸 引 除 去 し た 。
2
次 抗 体 に はR-
フ ィ コ エ リ ス リ ン/
シ ア ニ ン(R-phycoerythrin /cyanine 5
、PE/Cy5)
標 識 ス ト レ プ ト ア ビ ジ ン を 添 加 し 、4℃ で20
分 間 イ ン キ ュ ベ ー ト し 、100 μl のDPBS
を 加 え5
分 間 遠 心 し 上 清 を 吸 引 除 去 し た 。0.1% NaN
3, 2%
ウ シ 胎 児 血 清(fetal calf serum
、FCS)
を 添 加 し たDPBS(以 下 こ れ を FACS
バ ッ フ ァ ー と よ ぶ) 500 μl
に 細 胞 を 浮 遊 さ せ 、BD FACS フ ロ ー サ イ ト メ ト リ ー を 用 い て 測 定 し 、FcεRⅠ 陽 性 集 団 のCD63
の 発 現 量 を 検 討 し て 活 性 化 を 評 価 し た 16。CD63
は 顆 粒 膜 に 存 在 す る テ ト ラ パ ニ ン フ ァ ミ リ ー の Ⅲ 型 膜 た ん ぱ く 質 で あ り 、 マ ス ト 細 胞 や 好 塩 基 球 な ど の 細 胞 の 活 性 化 に 伴 っ て 細 胞 膜 と 顆 粒 膜 が 融 合 し 細 胞 表 面 に 発 現 す る 17。 フ ロ ー サ イ ト メ ト リ ー の 解 析 はBD CellQuest
を 用 い て 行 っ た 。 ま た 、 発 現 強 度 を 平 均 蛍 光 強 度(mean fluorescence intensity
、MFI) で 示 し
た 。 図 の 中 の 数 値 は 刺 激 後 のCD63
の 発 現 強 度 を 刺 激 前 のCD63
の 発 現 強 度 で 割 っ た 値 で あ る(
図9)
。 好 塩 基 球 の 活 性 化 の 指 標 と し てCD203c
も 用 い ら れ 、そ の 発 現 測 定 用 の キ ッ ト と し てAllergenicity kit
が 市 販 さ れ て お り 、 こ の キ ッ ト を 用 い て 慢 性 蕁 麻 疹 患 者4
名 、 健 常 者 コ ン ト ロ ー ル5
例 を 追 加 検 討 し た 。末 梢 血1ml
は10 ng/ml
のIL-3
を- 13 -
加 え
37℃ で 30
分 間 イ ン キ ュ ベ ー ト し た 後 、dsDNA (3
ま た は10 μg/ml)
、カ ル シ ウ ム イ オ ノ フ ォ ア
A23187
(10-6M) 、キ ッ ト に 付 属 の positive
control
溶 液 [抗IgE
抗 体(10 μg/ml) ]
、キ ッ ト に 付 属 の 抗 体 混 合 液 [ フ ル オ レ セ イ ン イ ソ チ オ シ ア ネ ー ト(fluorescein isothiocyanate
、FITC)
標 識 抗CD294
抗 体 、 フ ィ コ エ リ ス リ ン(phycoerythrin、 PE)
標 識 抗CD203c
抗 体 、R-フ ィ コ エ リ ス リ ン /シ ア ニ ン (R-phycoerythrin
/cyanine 7
、PC7)
標 識 抗CD3
抗 体 ] 、 キ ッ ト に 付 属 の 活 性 化 バ ッ フ ァ ー を 加 え37
℃ で15
分 間 イ ン キ ュ ベ ー ト し た 。 キ ッ ト に 付 属 の 反 応 停 止 液 を 加 え よ く 撹 拌 し た の ち 、 キ ッ ト に 付 属 の 溶 血 ・ 固 定 液 を 加 え 室 温 で10
分 間 イ ン キ ュ ベ ー ト し た 。5
分 間 遠 心 し 上 清 を 吸 引 除 去 し た 。DPBS
で0.1 %に 希 釈 し た ホ ル ム ア ル デ ヒ ド ( Formaldehyde ) 500
μl
に 細 胞 を 浮 遊 さ せ 、BD FACS
フ ロ ー サ イ ト メ ト リ ー を 用 い て 測 定 し 、CD294
陽 性 か つCD3
陰 性 集 団 のCD203c
の 発 現 量 を 検 討 し て 活 性 化 を 評 価 し た 。CD203c は Ⅱ 型 の 膜 貫 通 型 タ ン パ ク で 好 塩 基 球 の 定 常 状 態 で も 低 レ ベ ル で 発 現 し て い る が 、 活 性 化 に 伴 い そ の 細 胞 表 面 の 発 現 量 が 増 え る 18。 フ ロ ー サ イ ト メ ト リ ー の 解 析 はBD CellQuest
を 用 い て 行 っ た 。図 の な か の 数 値 はCD294
陽 性 か つCD203c
陽 性 を 示 す- 14 -
細 胞 の 割 合 で あ る
(
図10 )。
(6)統 計
異 な る 三 群 間 の 比 較 は ス テ ィ ー ル・ド ゥ ワ ス 検 定 を 用 い て 評 価 し 、p <
0.05
を も っ て 有 意 と し た 。 抗dsDNAIgE
抗 体 価 と 血 清IgE
値 、 罹 患 期 間 と の 相 関 関 係 は 回 帰 分 析 を 用 い て 評 価 し た 。抗dsDNAIgE
抗 体 価 と 性 差 はt
検 定 を 用 い て 評 価 し 、p < 0.05
を も っ て 有 意 と し た 。- 15 -
結果
(1)抗
dsDNA IgE
抗 体 価 は 慢 性 蕁 麻 疹 患 者 お よ び ア ト ピ ー 性 皮 膚 炎 患 者 で 有 意 に 増 加 す る血 清 中 の 自 己 反 応 性
IgE
抗 体 価 お よ びIgG
抗 体 価 が 増 加 し て い る か ど う か を 調 べ る た め 、dsDNA、チ オ レ ド キ シ ン 、 ぺ ル オ キ シ レ ド キ シ ン
、サ イ ロ グ ロ ブ リ ン 反 応 性
IgE、 IgG
抗 体 価 を 測 定 し た 。抗dsDNA IgE
抗 体 価 が 健 常 者 コ ン ト ロ ー ル に 比 し て 慢 性 蕁 麻 疹 患 者 お よ び ア ト ピ ー 性 皮 膚 炎 患 者 で 統 計 学 的 に 有 意 に 増 加 し て い た (図2
)。 ま た ア ト ピ ー 性 皮 膚 炎 の 抗dsDNA IgE
抗 体 価 の 高 値 の 患 者1
例 を の ぞ い て 統 計 学 的 検 討 を 行 っ た が 抗dsDNA IgE
抗 体 価 は 健 常 者 コ ン ト ロ ー ル に 比 し て 慢 性 蕁 麻 疹 患 者 お よ び ア ト ピ ー 性 皮 膚 炎 患 者 で 統 計 学 的 に 優 位 に 増 加 し て い た 。 ま た 慢 性 蕁 麻 疹 患 者 の 年 齢 が 健 常 者 コ ン ト ロ ー ル に 比 べ て 統 計 学 的 に 有 意 に 高 い 為 ( p < 0.001 )、50
代 か ら80
代 を の ぞ い た 慢 性 蕁 麻 疹 患 者77
例 と 健 常 者 コ ン ト ロ ー ル67
例 間 で 、年 齢 の 有 意 差 が な い 条 件 で 抗dsDNA IgE
抗 体 価 の 統 計 学 的 検 討 を 行 っ た 。 抗dsDNA IgE
抗 体 価 は 健 常 者 コ ン ト ロ ー ル に 比 し て 慢 性 蕁 麻 疹 患 者 で 統 計 学 的 に 有 意 に 増 加 し て い た(
図3)
。 し か し 、 抗dsDNA IgG
抗 体 価- 16 -
は 慢 性 蕁 麻 疹 患 者 、 ア ト ピ ー 性 皮 膚 炎 患 者 、 健 常 者 コ ン ト ロ ー ル で 有 意 差 は 認 め な か っ た (図
4)。 チ オ レ ド キ シ ン 、 サ イ ロ グ ロ ブ リ ン 反 応
性IgG
抗 体 価 は 慢 性 蕁 麻 疹 患 者 、 ア ト ピ ー 性 皮 膚 炎 患 者 、 健 常 者 コ ン ト ロ ー ル の 三 群 間 で 有 意 差 は 認 め な か っ た (図5-6
)。 チ オ レ ド キ シ ン 反 応 性IgE
抗 体 価 は ア ト ピ ー 性 皮 膚 炎 患 者 で 健 常 者 コ ン ト ロ ー ル 、 慢 性 蕁 麻 疹 患 者 に 比 し て 有 意 に 低 下 し て い た(p < 0.001)。 し か し 、 ア ト
ピ ー 性 皮 膚 炎 患 者 の チ オ レ ド キ シ ン 反 応 性IgE
抗 体 価 は 全 て カ ッ ト オ フ 値 以 下 で あ っ た 為 、 信 頼 性 が な い と 考 え る 。 チ オ レ ド キ シ ン 、 サ イ ロ グ ロ ブ リ ン 反 応 性IgE
抗 体 価 、ぺ ル オ キ シ レ ド キ シ ン 反 応 性IgE
抗 体 価 、 お よ びIgG
抗 体 価 は 検 出 感 度 以 下 で あ っ た (検 出 感 度 以 下 の た め 図 は 示 し て い な い )。- 17 -
(2)抗
dsDNA IgE
抗 体 価 は 、 血 清IgE
値 、 罹 患 期 間 と の 相 関 関 係 、 性 差 は 認 め ず 、ASST
陽 性 お よ び 陰 性 と の 関 係 も 認 め な い抗
dsDNA IgE
抗 体 価 と 血 清IgE
値 と の 相 関 関 係 は y =2.4×
10
-5(x-269)+0.350、 r (ア ー ル )
2=0.00263
で 相 関 は 認 め な か っ た 。 抗dsDNA IgE
抗 体 価 と 罹 患 期 間 と の 相 関 関 係 は y =-4.6×
10
-5(x-51)+0.341、 r (ア ー ル )
2=0.0004
で 相 関 は 認 め な か っ た 。 抗dsDNA IgE
抗 体 価 と 性 差 は0.35 ± 0.02
対0.34 ± 0.02(男 対 女 )で 性 差
は 認 め な か っ た (図7)
。ま た 抗
dsDNA IgE
抗 体 価 はASST
陰 性 と 陽 性 患 者 に お い て 有 意 差 は な か っ た (図8
)。- 18 -
(3)dsDNA
は 一 部 の 慢 性 蕁 麻 疹 患 者 の 好 塩 基 球 を 活 性 化 す るdsDNA
に よ る 健 常 者 コ ン ト ロ ー ル お よ び 慢 性 蕁 麻 疹 患 者 の 好 塩 基 球 の 活 性 化 を 検 討 す る た め に 、dsDNA 添 加 に よ る 好 塩 基 球 表 面 のCD63
、
CD203c
の 発 現 の 変 化 を フ ロ ー サ イ ト メ ト リ ー を 用 い て 測 定 し た 。 健 常 者 コ ン ト ロ ー ル お よ び 慢 性 蕁 麻 疹 患 者 の 末 梢 血 単 核 球 は と も にIL-3
で30
分 間 前 処 置 を し た 。CD63
を 用 い た 好 塩 基 球 の 活 性 化 の 検 討 で は 健 常 者 コ ン ト ロ ー ル5
例 で はdsDNA
刺 激 でCD63
の 発 現 の 変 化 は 認 め な か っ た が 、 慢 性 蕁 麻 疹 患 者 で は9
例 中2
例 でdsDNA
刺 激 でCD63
の 発 現 の 増 強 を 認 め た (図9
)。表3
のA、 B
の 患 者 でCD63
の 発 現 の 増 強 を 認 め た 。 発 現 の 増 強 を 認 め た1
例 を 示 し た 。CD203c
を 用 い た 好 塩 基 球 の 活 性 化 の 検 討 で は 健 常 者 コ ン ト ロ ー ル5
例 で はdsDNA
刺 激 でCD203c
の 発 現 の 変 化 は 認 め な か っ た が 、慢 性 蕁 麻 疹 患 者 で は4
例 中1
例 でdsDNA
刺 激 でCD203c
の 発 現 の 増 強 を 認 め た (図10)。 表 4
のa
の 患 者 でCD203c
の 発 現 の 増 強 を 認 め た 。 健 常 者 コ ン ト ロ ー ル1
例 及 び 慢 性 蕁 麻 疹 の 発 現 の 増 強 を 認 め た1
例 と 慢 性 蕁 麻 疹 の 発 現 の 増 強 を 認 め な か っ た1
例 を 示 し た 。- 19 -
考察
本 研 究 で は 抗
dsDNA IgG
抗 体 価 、 チ オ レ ド キ シ ン 、 ぺ ル オ キ シ レ ド キ シ ン 、サ イ ロ グ ロ ブ リ ン に 対 す る 自 己 反 応 性IgG
抗 体 価 は 健 常 者 コ ン ト ロ ー ル と 有 意 差 を 認 め な か っ た (図4-6)が 、 慢 性 蕁 麻 疹 患 者 で
の 抗dsDNA IgE
抗 体 価 が 健 常 者 コ ン ト ロ ー ル と 比 較 し て 統 計 学 的 に 有 意 に 増 加 し て い る こ と を 明 ら か に し た (図2)。 ま た 慢 性 蕁 麻 疹 患 者
の 年 齢 を 補 正 し て の 検 討 も 行 っ た が 、 慢 性 蕁 麻 疹 患 者 で の 抗dsDNA
IgE
抗 体 価 は 健 常 者 コ ン ト ロ ー ル と 比 較 し て 統 計 学 的 に 有 意 に 増 加 し て い た (図3)。し か し 、抗 dsDNA IgE
抗 体 価 はASST
の 陽 性 患 者 と 陰 性 患 者 の 間 で 有 意 差 は な く (図8)、 総 IgE
値 、 罹 患 期 間 、 性 別 と の 間 で 相 関 は 認 め ら れ な か っ た (図7
)。 健 常 者 コ ン ト ロ ー ル5
例 の 好 塩 基 球 で はdsDNA
刺 激 に よ るCD63
の 発 現 増 強 は 認 め な か っ た がdsDNA
刺 激 に よ っ て 慢 性 蕁 麻 疹 患 者9
人 中2
人 の 好 塩 基 球 表 面 のCD63
の 発 現 増 強 を 認 め た (図9)。 ま た 健 常 者 コ ン ト ロ ー ル 5
例 の 好 塩 基 球 で はdsDNA
刺 激 に よ るCD203c
の 発 現 増 強 は 認 め な か っ た がdsDNA
刺 激 に よ っ て 慢 性 蕁 麻 疹 患 者4
人 中1
人 の 好 塩 基 球 表 面 のCD203c
の 発 現 増 強 を 認 め た (図10
)。 以 上 の こ と か ら 、 抗dsDNA IgE
は 慢 性 蕁 麻 疹- 20 -
の 少 な く と も 一 部 の 症 例 で 病 態 に 関 わ っ て い る こ と が 示 唆 さ れ た 。 慢 性 蕁 麻 疹 患 者 の 一 部 で は 、 血 清 中 に マ ス ト 細 胞 や 好 塩 基 球 を 活 性 化 す る 因 子 が 存 在 す る こ と は 以 前 か ら 報 告 さ れ て い る 19。 こ の 因 子 の 主 た る も の は 抗
IgE
抗 体 あ る い は 抗FcεRⅠ 抗 体 で あ る こ と が 明 ら か
に さ れ 5、こ れ ら の 病 態 を 自 己 免 疫 性 蕁 麻 疹 と 呼 ば れ て い る 。慢 性 蕁 麻 疹 患 者 の 血 清 中 の 自 己 抗 体 の 検 出 の 一 つ と し てASST
が あ る が 、 慢 性 蕁 麻 疹 患 者 のASST
の 陽 性 率 は 報 告 者 に よ り4.1%か ら 76.5%
と 大 き な 幅 が あ る 15。し か し 、実 際 に 自 己 抗 体 の 保 有 頻 度 は そ れ ほ ど 高 く な く 、ASST
陽 性 の う ち 約13.8
か ら85
% が 抗IgE
抗 体 あ る い は 抗FcεR
Ⅰ 抗 体 と い っ た 自 己 抗 体 に よ る 反 応 で あ る と さ れ て い る 15, 20,21。一 方 で 抗dsDNA IgE
抗 体 価 に 関 し て はASST
の 陽 性 と 陰 性 患 者 に お い て そ の 抗 体 価 に 有 意 差 は な か っ た 。こ の こ と よ り 、抗dsDNA IgE
を 含 む 血 清 成 分 自 体 が マ ス ト 細 胞 や 好 塩 基 球 を 活 性 化 す る の で は な く 、 他 の 機 序 が 示 唆 さ れ る 。 例 え ば 炎 症 局 所 で 破 壊 さ れ た 細 胞 か ら 漏 出 し たdsDNA
が 炎 症 局 所 で マ ス ト 細 胞 や 好 塩 基 球 を 活 性 化 す る 機 序 で あ る 。今 回 の 実 験 で は 疾 患 コ ン ト ロ ー ル 群 と し て ア ト ピ ー 性 皮 膚 炎 を 用 い た 。 そ の 理 由 は 、 ア ト ピ ー 性 皮 膚 炎 の 患 者 の 血 清 中 に は チ オ レ ド キ シ
- 21 -
ン 、
dsDNA、 ssDNA、サ イ ロ グ ロ ブ リ ン な ど に 対 す る 自 己 反 応 性 IgE
が 存 在 す る こ と が 報 告 さ れ 8,9、 そ の 病 態 へ の 関 与 が 示 唆 さ れ て お り 、 自 己 免 疫 性 疾 患 の 側 面 を 有 し て い る 。 ま た 慢 性 蕁 麻 疹 に お い て も 自 己 免 疫 性 と 考 え ら れ る 患 者 が 約4-5
割 い る 4-6。両 者 の 病 態 に 共 通 性 が 認
め ら れ る と 考 え た 。 そ の た め 、 疾 患 コ ン ト ロ ー ル と し て ア ト ピ ー 性 皮 膚 炎 を 実 験 、 及 び 検 討 に 加 え た 。 結 果 は ア ト ピ ー 性 皮 膚 炎 患 者 の 抗dsDNA IgE
抗 体 値 は 健 常 者 コ ン ト ロ ー ル と 比 較 し て 有 意 に 増 加 し て い る こ と を 確 認 し た 。さ ら に 慢 性 蕁 麻 疹 患 者 で も 有 意 に 増 加 し て い た 。抗
dsDNA
抗 体 は 全 身 性 エ リ テ マ ト ー デ ス (Systemic lupuserythematosus、 SLE )の 代 表 的 な 自 己 抗 体 で 、 そ の 陽 性 率 と 疾 患 特 異 性
は 高 く 、そ の 抗 体 価 は 疾 患 活 動 性 と 相 関 す る 事 が 多 い た め 、抗dsDNA
抗 体 は 診 断 基 準 の 項 目 の 一 つ に 採 用 さ れ て い る 22。抗dsDNA
抗 体 の 中 で もIgG
型 は 病 勢 を よ く 反 映 す る と 報 告 さ れ て い る 23。SLE
の 活 動 性 腎 症 で はdsDNA IgG
お よ びdsDNA IgA
抗 体 価 が 上 昇 し 、SLE
の 非 活 動 性 腎 症 で はdsDNA IgG
お よ びdsDNA IgM
お よ びdsDNA IgA
抗 体 価 が 上 昇 し て い る と の 報 告 24も あ る が 、dsDNA IgM 抗 体 、dsDNA IgA 抗 体 の 臨 床 的 意 義 に つ い て は 詳 細 に 検 討 さ れ て い な い 。 ま た 文 献 で 検 索 し- 22 -
得 る 限 り で は 、
SLE
患 者 に お け る 抗dsDNA IgE
抗 体 の 上 昇 の 報 告 は な い 。dsDNA
の よ う な 自 己 抗 原 は 自 己 反 応 性IgE
が 結 合 し たFcεR
Ⅰ を 架 橋 し 、 マ ス ト 細 胞 と 好 塩 基 球 の 活 性 化 を 惹 起 す る 。 今 回 の 実 験 で は 慢 性 蕁 麻 疹 患 者 の 好 塩 基 球 を 使 っ て 実 験 し 、dsDNA
に よ りCD63
の 活 性 化 は9
例 中2
例 でCD203c
の 活 性 化 は4
例 中1
例 で 惹 起 さ れ た 。ア ト ピ ー 性 皮 膚 炎 で の 同 様 の 検 討 は い ま だ さ れ て い な い 。 今 回 我 々 は は じ め てdsDNA
が 抗dsDNA
抗 体 に よ る 好 塩 基 球 の 活 性 化 に 直 接 働 く こ と を 示 し た 。 重 症 度 の 定 義 は 慢 性 蕁 麻 疹 で は な い が 、 副 腎 皮 質 ス テ ロ イ ド 内 服 薬 を 服 用 し て い る 患 者 は 重 症 で あ っ た と 考 え る とCD63
の 活 性 化 を 検 討 し た 慢 性 蕁 麻 疹 患 者 の 中 で 、 活 性 化 が 惹 起 さ れ た 症 例 と 惹 起 さ れ な か っ た 症 例 両 者 に 副 腎 皮 質 ス テ ロ イ ド 内 服 薬 を 服 用 し て い る 患 者 が い た 。 ま たASST
も 陽 性 陰 性 そ れ ぞ れ が 活 性 化 が 惹 起 さ れ た 症 例 と 惹 起 さ れ な か っ た 症 例 に 存 在 し た 。 現 時 点 で は 重 症 度 お よ びASST
の 結 果 とdsDNA
に よ る 好 塩 基 球 の 活 性 化 の 関 連 は な い よ う に 思 わ れ る が 、 検 討 し た 症 例 数 が 少 な く 、 今 後 症 例 数 を 増 や し 再 検 討 を し な け れ ば な ら な い 。オ マ リ ズ マ ブ は 、
IgE
に 対 す る 遺 伝 子 組 み 換 え 型 ヒ ト 化 モ ノ ク ロ ー- 23 -
ナ ル 抗 体 で 、
IgE
の 抗FcεRⅠ 受 容 体 へ の 結 合 を 防 ぐ と と も に 、 2
次 的 に 好 塩 基 球 や マ ス ト 細 胞 上 のFcεR
Ⅰ 受 容 体 の 発 現 を 低 下 さ せ る と さ れ 25,26、 難 治 性 気 管 支 喘 息 の 治 療 に 使 用 さ れ て い る 27。 最 近 、 オ マ リ ズ マ ブ の 難 治 性 慢 性 蕁 麻 疹 に 対 す る 有 効 性 が 報 告 さ れ て い る 12,28。Kaplan
ら は 、従 来 の 治 療 29で あ るH1
受 容 体 拮 抗 薬 の 通 常 量 及 び 増 量(4
倍 量 ま で)、 抗 ロ イ コ ト リ エ ン 薬 の 併 用 、 H1
受 容 体 拮 抗 薬 の 変 更 、H2
拮 抗 剤 の 併 用 で 効 果 の な い 自 己 免 疫 性 蕁 麻 疹 患 者336
人 に 対 し て オ マ リ ズ マ ブ300mg
を4
週 毎 に 投 与 し 、12
週 で 痒 み の ス コ ア(itch severity score
、ISS) 30,31が8.6
ポ イ ン ト 減 少 し 、プ ラ セ ボ 群 で4.0
ポ イ ン ト の 減 少 で あ っ た の に 比 べ て 有 意 で あ っ た と 述 べ て い る 32。高 親 和 性
IgE
受 容 体(FcεRⅠ )の み な ら ず 、 Puccetti
ら は 慢 性 蕁 麻 疹 患 者 血 清 中 に は 低 親 和 性IgE
受 容 体FcεRⅡ (CD23)
に 対 す る 自 己 抗 体 が 存 在 し 、 そ れ が 患 者 の 皮 膚 に 浸 潤 し た 好 酸 球 細 胞 表 面 上 に 発 現 し たCD23
に 結 合 し 、 主 要 塩 基 性 蛋 白 (major basic protein、MBP)
な ど の 好 酸 球 顆 粒 蛋 白 を 遊 離 さ せ マ ス ト 細 胞 の 活 性 化 を 惹 起 し て ヒ ス タ ミ ン の 遊 離 を お こ す と 述 べ て い る 33。 難 治 性 慢 性 蕁 麻 疹 に オ マ リ ズ マ ブ が 有 効 で あ っ た こ と を 考 え る と 、今 回 我 々 が 報 告 し た 抗dsDNA IgE
以 外- 24 -
に も 複 数 の 自 己 反 応 性
IgE
が 関 与 し て い る と も 考 え ら れ る 。慢 性 蕁 麻 疹 患 者 の
7
割 以 上 が 特 発 性 で 原 因 が わ か っ て い な い 。 我 々 の 検 討 で は 抗dsDNA IgE
抗 体 価 が 統 計 学 的 に 有 意 に 健 常 者 コ ン ト ロ ー ル に 比 し て 高 か っ た 。ま た 検 討 し 得 た13
例 中3
例 の 慢 性 蕁 麻 疹 の 症 例 に お い てdsDNA
が 好 塩 基 球 を 活 性 化 し た 。 こ の こ と は 慢 性 蕁 麻 疹 の 病 態 が 自 己 免 疫 性 と 考 え ら れ て い る 一 旦 を 明 ら か に し た 。 ま た 、 こ の よ う な 自 己 免 疫 性IgE
を 治 療 標 的 と し た 治 療 法 は 新 規 の 慢 性 蕁 麻 疹 の 治 療 と な り う る 。 ま た 慢 性 蕁 麻 疹 患 者 の 血 清 中 に 存 在 す る 自 己 反 応 性IgE
を 網 羅 的 に 調 べ る こ と に よ っ て 慢 性 蕁 麻 疹 の 病 態 解 明 に 更 に 寄 与 で き る の で は な い か と 考 え ら れ る 。- 25 -
まとめ
本 研 究 で 著 者 は 健 常 者 コ ン ト ロ ー ル に 比 し て 慢 性 蕁 麻 疹 患 者 で の 抗
dsDNA IgE
抗 体 価 の 有 意 な 増 加 を 示 し た 。 ま たdsDNA
は 慢 性 蕁 麻 疹 患 者 の 好 塩 基 球 を 直 接 活 性 化 す る。
以 上 の 事 か ら 抗dsDNA IgE
抗 体 は 慢 性 蕁 麻 疹 の 病 態 に 関 与 し て い る こ と が 示 唆 さ れ た 。- 26 -
謝辞
本 研 究 は 日 本 大 学 医 学 部 大 学 院 医 学 研 究 科 先 端 医 学 系 旧 分 子 細 胞 免 疫・ア レ ル ギ ー 学 研 究 室( 羅 智 靖 教 授 )、現 免 疫・ア レ ル ギ ー 学 グ ル ー プ に お い て 実 施 し た も の で す 。
本 研 究 に 関 し て 、 研 究 な ら び に 学 位 論 文 の 御 指 導 、 御 校 閲 を 直 接 賜 り ま し た 同 グ ル ー プ の 岡 山 吉 道 博 士 に 深 謝 い た し ま す 。
本 研 究 の 御 指 導 を 賜 り ま し た 日 本 大 学 医 学 部 皮 膚 科 学 系 皮 膚 科 学 分 野 、 照 井 正 教 授 な ら び に 日 本 大 学 大 学 院 医 学 研 究 科 先 端 医 学 系 旧 分 子 細 胞 免 疫 ・ ア レ ル ギ ー 学 分 野 、 羅 智 靖 教 授 に 深 謝 い た し ま す 。
本 研 究 は 患 者 さ ん の 協 力 な し に は 不 可 能 で あ り ま し た 。 快 く 血 液 を 供 給 し て 下 さ っ た 患 者 さ ん 方 に 深 謝 い た し ま す 。 ま た 健 常 者 コ ン ト ロ ー ル と し て 血 液 を 供 給 し て 下 さ っ た 皮 膚 科 医 局 員 一 同 、 お よ び 病 院 ス タ ッ フ に 深 謝 い た し ま す 。
- 27 -
表
1
蕁麻疹の主たる病型表
1:
「蕁麻疹診療ガイドライン(2011年改訂版)」2より抜粋。蕁麻疹は (1) 特 発性の蕁麻疹、(2)
刺激誘発性の蕁麻疹、(3)
血管性浮腫、(4)
蕁麻疹関連疾患、の
4
群に分けられ、16病型に分類される。- 28 -
表
2 患者背景
表
2:慢性蕁麻疹患者群 102
例の年齢の中央値と四分位範囲は42±21
歳、アト ピー性皮膚炎患者群29
例は39 ± 13
歳、健常者コントロール群は67
例は34.6 ±
8.7
歳であった。慢性蕁麻疹患者とアトピー性皮膚炎患者の罹患期間はそれぞれ24 ± 67.8、360 ± 192
か月(中央値と四分位範囲)、IgE値は156±313、3414 ±
6029 IU/ml(中央値と四分位範囲)であった。慢性蕁麻疹患者の 75
例がH1
受容 体拮抗薬内服をしており、そのうち8
例が副腎皮質ステロイド内服薬も併用し ていた。慢性蕁麻疹患者の16
例 (41%) がASST
陽性であった。N.A = notapplicable (該当せず)、N.D = not determined (施行せず)
- 29 -
表
3 CD63
を用いた好塩基球の活性化の検討 患者背景表
3
:CD63
を用いた好塩基球の活性化の検討を施行した患者9
例の背景を示し た。全例がH1
受容体拮抗薬内服をしており、2
例は副腎皮質ステロイド内服薬 も併用していた。ASSTは4
例で施行されており、陽性2
例、陰性2
例であっ た。H1B:H1受容体拮抗薬、PSL:副腎皮質ステロイド内服薬- 30 -
表
4 CD203c
を用いた好塩基球の活性化の検討 患者背景表
4
:CD203c
を用いた好塩基球の活性化の検討を施行した患者4
例の背景を示 した。全例がH1
受容体拮抗薬の内服をしていた。ASST
は4
例で施行されてお り、陽性2
例、陰性2
例であった。H1B:H1受容体拮抗薬- 31 -
図
1
図
1:DPBS
で希釈した5 μg/ml
のdsDNA、チオレドキシン、ぺルオキシレド
キシン、サイログロブリンを用いて96
穴プレートを1
晩静置し固相化した。慢 性蕁麻疹において自己反応性dsDNA IgG
抗体価、ペルオキシレドキシンIgG
抗体価、サイログロブリンIgG
抗体価が健常人と比較して高いとの報告1、疾患 コントロールであるアトピー性皮膚炎において自己反応性チオレドキシンIgE
抗体価が健常人と比較して高いとの報告9からこの実験ではdsDNA、ペルオキ
シレドキシン、サイログロブリン、およびチオレドキシンに自己反応性IgE
を 検討した。洗浄後、1% BSAをプレートに入れ非特異的反応を阻害したのち、自己反応性
IgE
抗体価測定に関してはDPBS
で1/10
に希釈した血清、自己反応 性IgG
抗体価測定に関してはDPBS
で1/1000希釈した血清をプレートに加え2
時間インキュベートした。結合した自己反応性IgE
もしくはIgG
は0.2%
ビ オチン標識抗IgE
もしくは0.2%
ビオチン標識抗IgG
モノクローナル抗体と0.5
% HRP標識ストレプトアビジンを用いて検出した。
- 32 -
図
2 抗 dsDNA IgE
抗体価図
2:慢性蕁麻疹患者 (102
例)、アトピー性皮膚炎患者 (29例)、健常者コント ロール (67 例)の血清抗dsDNA IgE
抗体価をELISA
法で測定した。点線は抗dsDNA IgE
抗体価のカットオフ値をを示している。カットオフ値は溶液のみの吸光度が
0.04-0.05
前後であったためその2
倍数であり、また吸光度が80%で
ある0.1
と設定した。カットオフ値以下の値は信頼性がないと考、統計学的処理 には入れていない。白丸が個人を示している。右側の線はそれぞれの中央値お よび四分位範囲を示している。- 33 -
図
3 抗 dsDNA IgE
抗体価(年齢補正)図
3:50
代から80
代の慢性蕁麻疹患者をのぞいた慢性蕁麻疹患者 (77例)、健 常者コントロール (67例)の血清抗dsDNA IgE
抗体価をELISA
法で測定した。点線は抗
dsDNA IgE
抗体価のカットオフ値をを示している。カットオフ値は溶液のみの吸光度が
0.04-0.05
前後であったためその2
倍数であり、また吸光度が80%である 0.1
と設定した。カットオフ値以下の値は信頼性がないと考え統計学的処理には入れていない。白丸が個人を示している。右側の線はそれぞれの中 央値および四分位範囲を示している。
- 34 -
図
4
抗dsDNA IgG
抗体価図
4:慢性蕁麻疹患者 (102
例)、アトピー性皮膚炎患者 (29例)、健常者コント ロール (67例)の血清抗dsDNA IgG
抗体価をELISA
法で測定した。点線は抗dsDNA IgG
抗体価のカットオフ値をを示している。カットオフ値は溶液のみの吸光度が
0.04-0.05
前後であったためその2
倍数であり、また吸光度が80%で
ある0.1
と設定した。カットオフ値以下の値は信頼性がないと考え統計学的処理 には入れていない。白丸が個人を示している。右側の線はそれぞれの中央値お よび四分位範囲を示している。- 35 -
図
5 抗チオレドキシン IgG
抗体価図
5:慢性蕁麻疹患者 (102
例)、アトピー性皮膚炎患者 (29例)、健常者コント ロール (67例)の血清抗チオレドキシン IgG抗体価をELISA
法で測定した。点 線は抗チオレドキシン IgG抗体価のカットオフ値をを示している。カットオフ 値は溶液のみの吸光度が0.04-0.05
前後であったためその2
倍数であり、また吸光度が
80%である 0.1
と設定した。カットオフ値以下の値は信頼性がないと考え統計学的処理には入れていない。白丸が個人を示している。右側の線はそれ ぞれの中央値および四分位範囲を示している。
- 36 -
図
6 抗サイログロブリン IgG
抗体価図
6:慢性蕁麻疹患者 (102
例)、アトピー性皮膚炎患者 (29例)、健常者コント ロール (67 例)の血清抗サイログロブリン IgG 抗体価をELISA
法で測定した。点線は抗サイログロブリン IgG抗体価のカットオフ値を示している。カットオ フ値は溶液のみの吸光度が
0.04-0.05
前後であったためその2
倍数であり、また吸光度が
80%である 0.1
と設定した。カットオフ値以下の値は信頼性がないと考え統計学的処理には入れていない。白丸が個人を示している。右側の線はそ れぞれの中央値および四分位範囲を示している。
- 37 -
図
7 抗 dsDNA IgE
抗体価と血清IgE
値、罹患期間との相関関係および性差図