礫質土を用いた高盛土の圧縮沈下挙動
日本道路公団 静 岡 建 設 局 正会員
阿部 秀徳 日本道路公団 静 岡 建 設 局 正会員 ○姫野 浩志 清 水 建 設 ㈱ 名 古 屋 支 店 正会員 森下 裕史 清 水 建 設 ㈱ 土木事業本部 正会員 川崎 廣貴
1.はじめに
第二東名高速道路の大規模高盛土では、振動ローラの高規格化(320kN級)による施工厚さの厚層化(60cm)
を採用しており、同時に残留沈下量の規定を盛土高に対して
0.5%以下としている。高盛土に対しては、これ
を確認するために、層別沈下計を施工中に埋設し、施工時の圧縮沈下の把握と舗装引き渡し時の残留沈下の推 定を実施している。第二東名大規模土工事の先行工事である伊佐布
IC
工事では、盛土エリア内に層別沈下計を11
箇所設置して、盛土の圧縮沈下挙動の動態観測を行っているので、ここでは、この結果について報告する。
2.伊佐布 IC 工事の代表的な盛土材
伊佐布
IC
の盛土材は、礫質土が主体であり、代表的な盛土材の粒土特性としては、最大粒径Dmax=200mm、
50%粒径 D50=4.8mm、均等係数 Uc=317
である1)。 3.動態観測法層別沈下計による盛土の圧縮 沈下量は、以下の手順により計 測・算出した(図-1参照)。
① 盛土基盤に
0
番目の沈下板 を設置し、以後、盛土施工 に応じて、盛土厚10m毎に
沈下板を順次設置していく。② 経時的に各沈下板の沈下量 δnを計測する。
③ 各盛土層の上端の沈下量δn と下端の沈下量δn-1 から各 沈下板間の圧縮沈下量ΔTn
=δn-1-δn(cm)を計算する。 図-1 盛土の圧縮沈下計測概念
④ 各沈下板間の盛土の圧縮率を区間圧縮率として
C
n-1=ΔTn-1/10m×100(%)で計算する。⑤ 全体圧縮率は、盛土全沈下量ΣΔTnを計測位置の全盛土厚で除すことにより計算する。
4.動態観測結果
図-2には、11箇所の動態観測点のうち、盛土高
50mの高盛土となる計測点(No.10)の動態観測結果を示
す。同図の横軸は経過日数を示し、縦軸には盛土高と各沈下板間の盛土層の圧縮沈下量ΔTn、そして、盛土の 全沈下量ΣΔTnを示している。また、同図には、参考として日雨量も併せて示している。同図から、盛土築 造に伴い圧縮沈下が生じ、盛土休止期間にはわずかではあるがクリープ沈下が生じていることが分かる。盛土 の全沈下量は、盛土高が約50m
に達した時点で約40cm
となり、全盛土厚に対する圧縮率は、40cm/50m×100
=0.8%となる。また、本計測では、降雨と沈下についての相関は特に見られなかった。
キーワード:礫質土、圧縮沈下、高盛土、沈下計
連 絡 先:〒
424-0114
静岡県清水市庵原町219-11
日本道路公団 静岡建設局 清水工事事務所TEL 0543-71-0550
沈 下 板δ0 δ1 δ2 δn-1 δn
δ0,δ1,δ2・・・δn 各沈下板の沈下量 C0=ΔT0/10m×100
ΔT0,ΔT1・・・ΔTn-1 各沈下板間の圧縮量
10m
10m
10m 盛土高さH
ΔT0=δ1-δ0 ΔT1=δ2-δ1 ΔTn-1=δn-δn-1
C1=ΔT1/10m×100 Cn-1=ΔTn-1/10m×100
C0,C1・・・Cn-1 各沈下板間の圧縮率
各沈下板の設置間隔:10m
土木学会第57回年次学術講演会(平成14年9月)
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III‑815
図-3には、
11
箇所の動態観測点に ついて、各計測点の盛土高0~10m区
間に作用する上載圧と区間圧縮率の 関係を示す。計測点No.2
および、No.3
は、320kN
級振動ローラを用いて締固 め層厚30cm
の重締固めとして施工し た箇所であり、それ以外の計測点は、層厚
60cm
の厚層締固めにより施工し た箇所である。同図から、以下のこと が分かる。① 区間圧縮率は、計測箇所によりバ ラツキがあるが、いずれの箇所も 高盛土という観点で見ると、区間 圧縮量は小さく、下に凸の放物型 であり、良好で安定な沈下性状を 示している。なお、伊佐布
IC
工 事の盛土材は、多種の盛土材をゾ ーニング設計に応じて盛土して おり、盛土箇所におけるある程度 の圧縮率のバラツキは止むを得 ないものと考える。② 層厚
30cm
で施工した場所(計測 点No.2,3)とその近傍の層厚 60cm
で施工した場所(計測点No.4)で
の区間圧縮率は、ほぼ同様の傾向 を示しており、本工事で採用した320kN
級振動ローラによる厚層60cm
締固めは、十分な締固め効果があったものと 考えられる。5.他造成盛土との比較
図-4には、伊佐布
IC
とA~C
の3
造成との全盛土厚 と盛土圧縮率の関係を示す。同図から、伊佐布IC
の圧 縮率は0.5%~2.0%の範囲にある。 A~C
造成は、良質土 を用いて重締固めの施工仕様で盛土された他の高盛土 造成事例の結果であるが、これらに比べて圧縮率は、約1/2
程度と小さくなっていることが分かる。この圧縮率 の相違には、地域性からくる盛土材料の特性の違いも考 えられるが、品質管理手法として、GPS
施工規定方式を 採用して、オペレータに自らの転圧状況をリアルタイム の視覚情報で確認させたことによって施工の緻密さが 向上したことが、これらの相違の要因としても考えられる。<参考文献>1) 阿部他:「礫質土を用いた試験盛土の現場密度とその評価について」第57回土木学会年次学術講演集 第Ⅲ部門、2002年9月 0
100 200 300 400 500 600 700 800
0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 6.0 7.0 8.0 9.0 10.0
盛土高0~10mの区間圧縮率(%) 盛土層に作用する盛土上載圧(kN/m2)
締固め層厚30cm 締固め層厚60cm
No.4(60cm)
No.9(60cm)
No.2、No.3(30c m)
①
② ③ ④
⑥ ⑧
⑨
⑩
⑪
⑫
⑬ 沈下計設置位置図 No.8,13
(60cm) No.11(60cm)
図-2 高盛土の動態観測結果(No.10)
ε = 0.083H (A,B,C平均)
ε =0.367H (伊佐布平均)
0 10 20 30 40 50 60 70 80
0.00 1.00 2.00 3.00 4.00 5.00 6.00 7.00 全体圧縮率(%):盛土全沈下量/全盛土厚
盛土厚(m)
● 伊佐布IC
△ A造成(土砂、軟岩Ⅰ)
□ B造成(砂状マサ)
◇ C造成(軟岩、礫岩)
[従来管理]
[GPS管理]
図-4 全体圧縮率の他造成盛土との比較 図-3 盛土上載圧と区間圧縮率の関係
-50 -40 -30 -20 -10 0 10 20 30 40 50
2000/5/1 2000/8/1 2000/11/1 2001/2/1 2001/5/1 2001/8/1 2001/11/1 2002/2/1 経過日数
沈下量(cm) 盛土厚(m)
0 30 60 90 120 150 180 210 240 270 300
日雨量(mm)
雨量 盛土厚 盛土全沈下量 盛土層沈下量(0~10m) 盛土層沈下量(10~20m) 盛土層沈下量(20~30m) 盛土層沈下量(30~40m)
0 90 180 270 360 450 540 630
土木学会第57回年次学術講演会(平成14年9月)
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