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盛土高さ,H (m)

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Academic year: 2022

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(1)土木学会第67回年次学術講演会(平成24年9月). Ⅲ‑303. 盛土の降雨時安定性に及ぼすせん断帯部における透水係数の影響に関する基礎的検討 鉄道総合技術研究所. 正会員. ○川尻峻三. 鉄道総合技術研究所. 正会員. 布川 修. 鉄道総合技術研究所. 正会員. 太田直之. 鉄道総合技術研究所. フェロー. 杉山友康. 1.はじめに 地震後の盛土の耐降雨性を適切に評価するためには,地震動の作用によって発生したせん断帯部分における 土のせん断強度の低下やせん断帯が生じることによる降雨浸透特性の変化を考慮して,土構造物の降雨耐力の 変化を定量的に把握する必要がある.この影響を解析的手法によって検討するためには,地震動によって発生 したせん断帯のひずみレベルに対応する飽和・不飽和透水係数および水分特性などの地盤物性をこの結果を基 にしてせん断帯部分に設定して,この状態を初期状態として降雨浸透を与えた飽和・不飽和浸透流解析を実施 し,土構造物の安定性評価を行う必要がある. 以上の背景から本文では,基礎的な数値実験として有限要素法による飽和・不飽和浸透流解析および安定計 算を実施して,地震動によって盛土内に発生したせん断帯の長さおよび透水係数が変化したと想定した盛土の 降雨時の安定性について述べる. 図1に解析対象断面および設定したせん断帯の状況 を示す.せん断帯は幅 0.3m とし,異なる規模の地震動 を想定して,施工基面からのり尻までせん断帯が貫通し た場合(図中の破線)と施工基面から下方へ 1m までせ ん断帯が発生した場合(図中の点線)を設定した.また, 地震動によって盛土内部にせん断帯が発生し,せん断に. 盛土高さ,H (m). 2.解析条件 降雨浸透境界. 2 1. 1. 1.8 せん断帯 (施工基面から 1m下部までに発生) せん断帯 (施工基面からのり尻まで貫通). 0. 不透水境界. 0. 1. 2. 伴うダイレイタンシー効果等の影響によって透水係数. 3 4 5 奥行き,D (m) 図1 解析断面. 6. 7. 8. が変化した場合を想定した.設定したせん断帯の透水係数は,せん断帯以外の盛土部を k としたとき,0.1k お よび 10k とした.すなわち,せん断帯の規模について 2 ケース×透水係数の変化について 2 ケース = 4 ケース とせん断帯が発生していない状態の盛土 1 ケースの合計 5 ケースについて解析を実施した. 飽和・不飽和浸透流解析における境界条件は,盛土下端および右端を不透水境界とし,盛土表面部を降雨浸 透境界とした.用いた解析コードの基礎方程式は Richards 式 1)を使い,水分特性曲線のモデルは van Genuchten モデル 2)を,比透水係数のモデルは Mualem - van Genuchten モデル 3)を用いている.van Genuchten モデルにお けるパラメータは,それぞれ,飽和時体積含水率s = 0.33,残留体積含水率r = 0.14, = 0.15,n = 1.4 とし, m については m = 1−1/n とした.浸透流解析の初期条件は,岡田ら 4)の手法を参考に 0.0136m/day の降雨を 3 日ごとに与えて定常盛土内水位を発生させ,その状態を初期条件とした.初期条件での定常状態を確認後,降 雨条件として累積雨量 120mm(= 降雨強度 20mm/h×6h)を与えた.解析に必要となる地盤物性値として,飽 和透水係数 k = 2.5×10-3cm/s を設定した. さらに,降雨中の任意時間での盛土内水位における安全率をせん断強度低減法 5)によって算出した.せん断 強度低減法で必要な地盤材料の物性値は,土の単位体積重量t = 17.0kN/m3,飽和単位体積重量sat. = 20.0 kN/m3, ヤング率 E = 13.0MN/m3,ポアソン比 = 0.3,粘着力 c = 1.0 kN/m2,内部摩擦角 = 30.0 ゚,ダイレイタンシー 角d = 0.0 ゚とした. キーワード 連絡先. 飽和・不飽和浸透流解析,せん断帯,透水係数 〒185-8540 東京都国分寺市光町 2-8-38 防災技術研究部 地盤防災. ‑605‑. Tel.(042)573-7263.

(2) 3.解析結果および考察 図2はせん断帯が発生していない状態での盛土内水位 hk とせん断 帯が発生した場合(透水係数が 0.1k もしくは 10k に変化)の盛土内 水位 h0.1k および h10k を比較している.なお,図中のプロットは,降 雨降り止み後(6 時間経過後)の図1に示した解析断面における各 盛土奥行き D( = 2.7, 3.5, 4.5, 5.5, 7.2m)における盛土内水位である. 地震動を受けていない状態での盛土内水位 hk と比較すると,せん断 帯の透水係数が低下した(0.1k)場合の盛土内水位 h0.1k(図中●, ■)は増加し,透水係数が増加した(10k)場合の盛土内水位 h10k(図 中○,□)は低下することがわかる.せん断帯の状況の違いに着目 すると,施工基面から盛土のり尻まで貫通した場合の h0.1k は hk と比. 0.1kまたは10kでの盛土内水位,h0.1k or h10k (m). 土木学会第67回年次学術講演会(平成24年9月). Ⅲ‑303. 2.0. 1.5. せん断帯の状況 :0.1k 施工基面からのり尻 :10k :0.1k 施工基面下から1m :10k 1 1.2. 0.5 1. 0.5 0.5. 1.2. 響を及ぼすと言える.. 安全率,F s. ■) ,h10k では hk と比較して 0.5 割程度低下(図中□)している.以. 0.8 1.6. 1.4 1.0. 方部まで生じた場合での安全率 F s ~ 経過時間 t 関係をせん断帯部の. 0.8 1. 帯の t ~ F s 関係が直線で表現できることがわかる.このことから, それぞれの解析結果における F s が急激に低下する時間帯の t ~ F s 関 係を対数で近似した.なお,10k でせん断帯が貫通した場合は,今 回与えた降雨条件では F s の低下が確認できなかったため定式化は していない.対数近似した t ~ F s 関係を用いて,F s = 1.0 となる時の 経過時間 t1.0 を求め,t1.0 を用いて F s = 1.0 に至るまでの総雨量 R1.0(= t1.0 (h) × 20 (mm/h))を算出した.図4は,R1.0 と施工基面からせん断 帯の高さ Hs の関係である.H s = 0m は地震動を受けていない盛土,. F s = 1.0 に至るまでの総雨量,R1.0 (mm). 透水係数別にまとめたものである.なお,経過時間を対数表示とし ている.経過時間を対数表示とすることで F s が急激に低下する時間. 0.1k. 1.0. 1.2. 図3はせん断帯が貫通した場合とせん断帯が施工基面から 1m 下. 2.0. 盛土内水位の比較. 1.6 1.4. の部分の透水係数の大きさは,地震後の土構造物内の水位上昇に影. 1.0 1.5 kでの盛土内水位,hk(m). 図2. 1m 下までの場合では,h0.1k は hk と比較して 0.5 割程度上昇し(図中 上のことから,地震動によって発生したせん断帯部の大きさや,そ. 0.8 1. 1.0. 較して 1.5 ~ 2 割程度上昇し(図中●) ,h10k では hk と比較して 5 割 以上も低下する(図中○)ことがわかる.せん断帯が施工基面から. 1.1 1.0 0.9. 10k せん断帯の状況 :無し :施工基面からのり尻まで :施工基面から1.0m下まで. 2 4 経過時間,ln t(hour). 図3. 6. 8. 安全率の経時変化. 160 10k(Hs = 2mではF s = 1.0に至らず). 150 140 130 120 110 100. Hs = 1m はせん断帯が施工基面から 1m 下まで存在している盛土,. 0.1k k(地震動を受けていない盛土). 0. 1 2 せん断帯の高さ,Hs(m). 図4. R1.0 ~ Hs 関係. Hs = 2m はせん断帯が施工基面からのり尻まで貫通した盛土を表している.この関係より,せん断帯の透水係 数が 0.1k の場合には,せん断帯の高さ Hs の値が大きいほど少ない総雨量で F s = 1.0 に至ることがわかる.せ ん断帯の透水係数が 10k の場合には,盛土内に透水係数が高い箇所が存在していることによって盛土内の水が 排水されて,盛土内水位の上昇が抑制されるため,地震動を受けていないと想定した盛土(H s = 0m)よりも R1.0 が大きいことがわかる. 4.まとめ 今回実施した範囲の基礎的な数値実験結果から, 降雨を与えた盛土において F s = 1.0 に至るまでの総雨量 R1.0 はせん断帯の高さとせん断帯部の透水係数の影響を受けることがわかった. 今後は実際の地盤材料の飽和・不飽和浸透特性を考慮した解析や盛土高さや盛土形式の違いについても検討 する予定である.さらに,模型盛土の振動台散水実験を実施して,得られた実験結果を今回検討した解析モデ ルを用いて再現可能であるかについて検討し,地震動の影響による土構造物の降雨耐力の変化の解明を試みる. 参考文献 1) Richards, L. A. : Capillary Conduction of Liquids through Porous Mediums, Physics, 1, pp.318-333, 1931. 2) van Genuchten, M. T. : A closed-form equation for predicting the hydraulic conductivity of unsaturated soils, Soil Science Society American Journal, Vol.44, pp.892-898, 1980. 3) Maulem, Y. : A new model for predicting the hydraulic conductivity of unsaturated porous media, Water Resources Research, Vol.12, pp.513-522, 1976. 4) 岡田勝也,杉山 友康,太田直之,布川修,柴田英明:鉄道盛土の法面被覆が降雨崩壊に及ぼす影響,土木学会論文集 No.778/III-69,pp.111-124,2004. 5) 例 えば,鵜飼恵三:弾塑性 FEM による斜面の全体安全率の計算法,土質工学会論文報告集,Vol. 29,No. 2,pp.190-195,1989.. ‑606‑.

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