低土被り泥土圧シールドの掘進(その2−沈下特性)
戸田建設㈱ 正会員 甘利 裕二,北沢 隆一,轟木 貴広
1.はじめに
本工事では、シールド掘進にともなう沈下抑制対策として、地盤沈下量を計測し、その結果を掘進管理に
8 10m
反映させる計測管理手法を用いた。以前、同様な手法を泥水式シールド工事で実施した。土被りは 〜 (1.2 〜 1.5D)であったが、切羽上部に軟弱なピート層・粘性土層が厚く堆積しており、特にシールド通過後 の後続沈下量・圧密沈下量を抑えることが課題であった。
今回は、気泡式泥土圧シールドで土被り3.5m 0.8D( )の低土被りを掘進する。泥土圧シールドは切羽土圧、
排土量、削土性状など変動要因が多く、土被りが浅いため地盤の動きも激しく、厳しい管理が必要であった が、地盤の沈下特性を様々な角度から分析し、最終的には良い成果をおさめることができた。本報はその1 に引き続き、掘進方法と地盤の沈下特性について報告する。
2.沈下曲線と沈下パターン
掘進中はマシンと沈下計の位置関係から沈下曲線を作成し、シールドの進行にともなう沈下量の変化を監 視・管理した。代表的な計測点の沈下曲線と沈下パターンを表1に示す。
発進直後はチャンバー内の土砂が不十分で土圧が上がらず、先行沈下が発生し、通過中に 10mm近い沈下 を生じてしまった(沈下計№ 1)。その後は、切羽土圧を静止土圧よりやや高めに設定し、テール沈下を裏込 めで補填しながら掘進を進めた(沈下計№7)。
表1−沈下曲線と沈下パターン
沈下計 沈下曲線 沈下パターン
№1 切羽手前で大きく沈下し、裏込めでやや隆
起するが、通過後も沈下が残る A009
切羽土圧が低すぎる BP+ 9.0
№7 切羽手前で若干隆起し、テールに向けてや
や沈下するが、裏込めでほぼ0にもどる A060
施工上管理しやすいパターン BP+ 59.5
№27 切羽手前でやや隆起、裏込めでさらに隆起
し、通過後も隆起が残る B290
切羽土圧過大、裏込めも過剰 BP+289.5
№29 切羽でわずかに沈下、テールに向けてやや
沈下するが、裏込めで0にもどる B330
理想的な沈下パターン BP+329.5
キーワード:泥土圧シールド,低土被り,沈下特性,地盤計測
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土木学会第55回年次学術講演会(平成12年9月) Ⅵ-17
切羽土圧が過大であると切羽での沈下は生じないが、裏込めが過剰となり、注入圧・注入量に留意しない とテールで大きな隆起が発生してしまう(沈下計№ 27)。適正な切羽土圧と琲土量で掘進すれば、地山のゆ るみはほとんど無く、通過後の沈下量も小さくなる(沈下計№29)。
沈下計№ 29 は理想的な沈下パターンを示しているが、同じ掘進条件で掘っても常に理想的なパターンを 維持することは難しい。施工的には沈下計№7 のように切羽手前で若干隆起し、テールでの沈下を裏込めで 補正する方法で掘進した。
3.掘進条件と沈下量の関係
計 測 ブ ロ ッ ク 1 に お け る 切 羽 土 圧 と 切 羽 沈 下 量 の 関 係 を図 1に 示 す 。 発 進 当 初 、 切 羽 土 圧 は 主 働 土 圧 (0.7kgf/cm2) を 基 準 に 管 理 し た が 、 沈 下 傾 向 は お さ ま ら ず、静止土圧(0.9kgf/cm2)、さらに 1.0 〜 1.1kgf/cm2 まで 上 げ 、 沈 下 傾 向 を 改 善 し た 。 結 果 的 に み る と 、 静 止 土 圧より 0.1 〜 0.2kgf/cm2 ほど高めとなっている。掘進停 止中の土圧は 0.5kgf/cm2 付近で落ち着く。地山は主働土 圧 付 近 で 安 定 し て い る も の と 見 ら れ る が 、 掘 進 中 は 静 止 土 圧 よ り や や 高 め の 土 圧 が 適 し て い る 。
図1−切羽土圧と切羽沈下量の関係
裏 込 注 入 圧 と テ ー ル 沈 下 量 の 関 係 を図 2に 示 す 。 注
入圧は3kgf/cm2以下で管理し、地表面の動きを見ながら
適 宜 注 入 し て い る た め 、 明 瞭 な 関 係 は 見 つ か ら な い 。 し か し 、 実 際 に は 裏 込 め を い っ き に 注 入 す る と 、 地 盤 が 急 激 に 隆 起 し 、 注 入 量 を 抑 え な が ら 断 続 的 に 充 填 す
図2−裏込注入圧とテール沈下量の関係 る状況が多かった。
単 位 時 間 あ た り に 充 填 さ れ る 注 入 量 と テ ー ル 沈 下 量 の関係を図3に示す。注入量が 40l/min を越えると、急 激 に 隆 起 し て い る 。 極 端 な 隆 起 を 起 こ さ ず に テ ー ル 沈 40l/min 下 を 補填するためには、時間あ た りの注 入量 を
以下に抑える必要がある。
4.まとめ
沈 下 量 を 管 理 す る 上 で 、 沈 下 曲 線 は 極 め て 有 効 で あ っ た 。 沈 下 を 抑 制 す る た め に は 、 切 羽 土 圧 の 管 理 が 重 要 で あ っ た 。 切 羽 手 前 か ら 土 圧 を 適 正 に 制 御 す る こ と に よ り 、 地 山 の ゆ る み を 最 小 限 に 抑 え 、 通 過 後 の 沈 下
図3−時間あたりの注入量とテール沈下量の関係 量も小さくすることができる。
裏 込 注 入 圧 (kgf/cm2) 注 入 圧 リ ミ ッ ト
3.0kgf/cm2
掘 進 開 始 掘 進 停 止
掘 進 停 止
掘 進開始
130R
128R 136R
切 羽 土 圧(kgf/cm2)
0.5
掘 進 サ イ ク ル に お け る 切 羽 土 圧 の 変 化
静 止 土 圧 0.7 〜0.9 主 働 土 圧
0.5 〜0.7
管 理 基 準 値 1.0 〜1.1
切羽 土圧 (kgf/cm2) 測 点 №13 −16
測 点 №13−16
測 点 №2 −12
測 点 №1
時 間 あ た り の 注入 量 (l/min) 測点 №15 −16
測点№2−14
測点№1
土木学会第55回年次学術講演会(平成12年9月) Ⅵ-17