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雑誌名 博士学位論文要旨 論文内容の要旨および論文審査

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老人の慢性不眠症の臨床的研究: ポリソムノグラフ ィ所見と臨床心理学的所見から

著者 石黒 信治

著者別表示 Ishiguro Nobuharu

雑誌名 博士学位論文要旨 論文内容の要旨および論文審査

結果の要旨/金沢大学大学院医学研究科

巻 平成2年7月

ページ 29

発行年 1990‑07‑01

URL http://hdl.handle.net/2297/14780

(2)

学位授与番号 学位授与年月日 氏名 学位論文題目

医博甲第934号 平成2年3月25日 石黒信治

老人の慢性不眠症の臨床的研究

一ポリソムノグラフィ所見と臨床心理学的所見から-

論文審査委員主査 副査

成良 正治 和夫 山口 高守 橋本

内容の要旨および審査の結果の要旨

一般に加齢に伴い不眠の訴えは増加するといわれている。老人の不眠症を対象として客観的に睡眠状態 を検査した報告は多いが、その性格傾向と性差について検討した報告はみられない。そこで、慢性(1カ 月以上)の不眠を訴えて受診した老人男性11名(平均70.6歳)、女性10名(平均67.6歳)と、対照群とし て自覚的な睡眠障害の訴えのない一般家庭在住の老人男性9名(平均69.0歳)、女性6名(平均70.0歳)

を対象に終夜睡眠ポリグラフィを2夜連続して施行し、その睡眠を客観的に評価するとともに、臨床心理 検査としてMmnesotamultiphasicpersonalityinventory(MMPI)を施行し、性格傾向について、

またそれらの性差についても比較検討した。得られた結果は以下のとおりである。

1.対照群内での性差の比較検討では、男性群では女性群より睡眠効率(全睡眠時間/全記録時間)の悪 化(男性71.7%、女性78.8%)、入眠潜時の延長(男性25.0分、女性16.8分)を示し、中途覚醒時間は 増加する傾向(男性107.9分、女性68.3分)にあった。MMPIでは対照群において性差は認められなかった。

2.男性の慢性不眠群は男性対照群と比較して全睡眠時間(TST)の短縮(不眠群284.6分、対照群408.3 分)、睡眠効率の悪化(不眠群51.5%、対照群71.7%)、および中途覚醒時間の増加(不眠群197.3分、

対照群107.9分)があり、客観的な睡眠の障害を認めた。これに対し女性の慢性不眠群では女性対照群 と比較して中途覚醒時間が増加する傾向(不眠群105.7分、対照群68.3分)にあったが、客観的な睡眠 の障害は明らかではなかった。男性不眠群と女性不眠群の比較ではTSTは男性不眠群284.6分で、女性 不眠群418.7分と比較して有意に減少していた。%stageREMは男性の不眠群11.0%で、女性の不眠 群15.1%と比較して減少している傾向にあった。

3.MMPIでは、慢性不眠群男女とも対照群と比較して心気症尺度、抑うつ性尺度、ヒステリー性尺度、

偏執性尺度(女性群のみ)および精神衰弱性尺度(男性群のみ)にT-scoreの上昇を認めた。また、

MMPIプロフィールから男性の不眠群は心気的な訴えがあり、抑うつ、不安緊張が強いという特徴が あった。女性の不眠群では身体的訴えがあり、その訴えに対して非常に敏感でかつ過大評価しやすいと いう特徴を示した。

以上の結果より、男性の慢性不眠群では客観的に睡眠が障害された結果、抑うつ的で不安緊張状態にあ ることが示唆され、女性の不眠群では実際の睡眠の障害は軽度であるにもかかわらず、それを過大評価す ることにより不眠愁訴が形成されることが示唆された。

以上、本研究は老人の慢性不眠症について、客観的な睡眠障害と性格傾向、性差との関係を明らかにし たものであり、睡眠障害外来での対応ならびに臨床精神医学に寄与する有用な論文と評価された。

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