サルモネラ‑肝細胞システムを用いての芳香族アミ ンのDNA傷害性と変異原性の検討
著者 林 曉
著者別表示 Hayashi Satoru
雑誌名 博士学位論文要旨 論文内容の要旨および論文審査
結果の要旨/金沢大学大学院医学研究科
巻 平成2年7月
ページ 90
発行年 1990‑07‑01
URL http://hdl.handle.net/2297/14841
学位授与番号 学位授与年月日 氏名 学位論文題目
医博乙第1088号 平成2年3月20日 林暁
サルモネラー肝細胞システムを用いての芳香族アミンのDNA障害性と変異原 性の検討
論文審査委員主査 副査
進一磨
信琢
正印 中村 佐々木
内容の要旨および審査の結果の要旨
環境中の発癌性・変異原性物質のスクリーニングには肝ミクロゾームや肝ホモジネートのS-9分画を 代謝活性系に用いサルモネラ菌の復帰突然変異を検出するAmes法が主に用いられている。しかし、Ames 法では生体内で活性化代謝と共に存在している不活性化代謝や解毒が反映されない場合が多い。そこで、
著者はよく知られた変異原性物質で発癌性物質の芳香族アミン2-amino-3-methylimidazo-[4,
5-f]quinoline(IQ)および3-amino-1-methyl-5H-pyrido[4,3-b]indole(Try-P-
2)を用い、cytochromeP-450誘導物質に感受性の強いC57BL/6Nマウスから単離した肝細胞を代
謝系として用いるサルモネラー肝細胞システム(Salmonella/hepatocytesystem、S/Hシステム)に
より、サルモネラ菌に対する変異原性と単離肝細胞に対するDNA損傷性について検討し、活性化代謝機 構と解毒や不活性化代謝機構の総合的な影響を調べた。その結果以下の結論を得た。1)Ames法とS/Hシステムの両方法でIQおよびTrp-P-2は用量依存的な変異原性を示した。
2)Ames法とS/Hシステムの両方法で、肝細胞単離の48時間前に2,3,7,8-tetrachlorodibenzo- p-dioxin(TCDD)を56ノリg/kg腹腔内投与して前処置を行ないcytochromeP-448を誘導した肝細 胞を用いると正常肝細胞を用いた場合に比べて2から4倍の変異原性の増強が見られ、その変異原性は cytochtomeP-448の特異的な阻害剤であるa-Naphthoflavone(ANF)により強く抑制された。
3)IQおよびTrp-P-2は正常肝細胞のDNAをほとんど損傷しなかったが、cytochromeP-448を誘 導した肝細胞のDNAを、変異原性を検出できる濃度のおよそ10倍以上の濃度で用量依存的に損傷した。
4)IQおよびTrp-P-2を生体内投与した場合にもTCDD前処置によりcytochromeP-448を誘導し
たマウスにのみ肝細胞DNA損傷がみられた。これらの結果から、S/HシステムにおいてもIQおよびTrp-P-2の活性化代謝はAmes法と同様に cytochromeP-448酵素により活性化代謝を受けること、およびDNA損傷と変異原性を示す変異原性物 質の量のちがいより、不活性化あるいは解毒機構の影響がS/Hシステムにより評価できることが示唆さ れた。以上、本研究はS/Hシステムが発癌性・変異原性物質のスクリーニングに有用であることを示し た価値ある論文と評価された。
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