九州大学学術情報リポジトリ
Kyushu University Institutional Repository
半径変動を利用したD-T核融合プラズマの熱的不安定 性の抑制に関する研究
小田, 明範
九州大学工学エネルギー量子応用原子核
博 士 学 位 論 文
半 径 変 動 を 利 用 し た D‑T 核 融 合 プ ラ ズ マ の 熱 的 不 安 定 性 の 抑 制 に 関 す る 研 究
平 成 4 年 12 月
目 次
頁 第1章 序 論 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4
1.1 本研究の背景 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5
1.2 本研究の目的 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12 1.3 本論文の構成 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12 図 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14
第2章 プラズマリングの圧力バランスと垂直磁場減衰係数・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18 2. 1 プラズマリングの圧力バランス ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18 2.2 プラズマリングの位置的な安定性 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・19 2.3 磁場減衰係数とプラズマの断面形状・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・21 図 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22
第3章 1点、近似モデルによる餅斤 垂直磁場を基本変数とした取り扱い ・・・・・・・24 3. 1 プラズマのモデル化と諸仮定 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・24 3.2 解析モデル ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・25 3. 2. 1 基 礎 式 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・25 3.2. 2 基 礎 式 系 の 変 形 .. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .26 3. 2. 3 エネルギー閉じ込め時間・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・27 3. 3 定常運転パラメータ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・.... ... .. ... ... .. ... ... .. ... ... 28 3. 4 線形安定解析 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・30 3.4. 1 受動的安定性 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・32 3.4. 2 垂直磁場による熱的不安定性の抑制・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・... . . .33
3.5 動 特 性 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・38 3. 5. 1 数 値 解 法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・39 3. 5. 2 計算例 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・40
3.6 ま と め ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・42 図 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・44
表 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・59
第4章 磁気的相互作用を考慮した解析・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・61 4.1 解析モデルと諸仮定・・・・・・・・・・・・・・・.. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .61 4. 2 基礎式 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・62 4. 3 線 形 安 定 解 析 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・64 4. 4 動 特 性 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・66 4. 5 ま と め ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・68 図 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・70
第5章 プラズマ密度, 温度の空間分布を考慮した解析・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・80 5.1 基礎式 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・80 5.2 定常運転パラメータ・・・・・・・・・・・・・・.... .. . .. . .. .. ... ... . . ... ... .. . . . . ..83 5.3 線 形 安 定 解 析 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・84 5. 4 動 特 性 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・..... .. ... ...85 5.5 ま と め ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・87 図 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・88 表 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・....94
第6章 1次 元 輸 送 モ デ ル に よ る 解 析 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・95
6.3 定常解 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・101 6. 4 動 特 性 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・102 6. 5 まとめ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・103 図 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・105 表 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・112
第7章 結 論 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・114
参考文献 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・118
謝 辞 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・... . .. . .. ... . . . .. . .122
第 1 章 序 論
核燃焼状態にあるプラズマは、核融合反応で発生した高エネルギー荷電粒子によ る自己加熱をうけるo とれによって、より少ない外部加熱入力によるプラズマの高温 の維持が可能となる。
しかし、磁場閉じ込め型の核融合炉心プラズ、マにおいて、との自己加熱は炉の定 常運転を困難にする原因にも在る。とれは、核融合反応パラメータの温度係数が正で
あるととに起因しており、通常 熱的不安定性"と呼ばれる。
臨界プラズ、マ条件を達成する見通しがほぼついた現在、 JETでは重水素・三重水 素 (D‑T)を用いた史上始めての燃焼実験が行なわれた。 TFTRにおいても同僚友計 画がある。しかしながら、 D‑T燃料を用いた本格的な燃焼実験は次期装置を待たねば 念らないであろう。将来的に、商業炉では自己点火、あるいはそれに近いプラズ、マが 必要であれその定常燃焼維持のためには、プラズ、マの熱的不安定性の抑制法の確立 が重要である。
従来よれ熱的不安定性の抑制法として多くの方式が提案されている。主要在も のとして、燃料注入率制御,燃料混合比制御,外部注入パワー制御,不純物注入制御,
リッフ・ノレ場制御,垂直磁場制御,等が挙げられる。とのうち、垂直磁場制御は、水平 方向の位置平衡をとる目的で、プラズマYングに外部から垂直に印加された磁場(垂 直磁場)を、時間的に変動させ、熱的不安定性を抑制jしようとするものであり、多く
の長所を持っている。
垂直磁場制御による、熱的不安定性の抑制
UK
関する従来の研究は、垂直磁場を基 本変数としたもの,プラズ、マと周辺構造物との磁気的相互作用を考慮したもの,プラ ズ、マ小半径方向に関しての 1次元輸送モデルを用いたもの,在ど種々のモデノレでなさ れているが、それらの統一的比較は行なわれていない。また、熱的不安定性はエネノレ ギー閉じ込め時間のパラメータ依存性、すなわち、閉じ込め比例則に強く依存するが、従来の研究はINTOR‑Alcatorの比例則を用いて行なわれている。 ITERの設計作業
に際し、世界の主だった装置から得られたデータをもとに比例則が導かれているが、
との比例則を用いた半径変動を考慮した上での核燃焼の安定化に関する解析は、いま だ念されてい念い。
本研究は以上の認識に基き、 ITERと同程度の炉パラメータを持つ半径変動を考 慮した自己点火の D‑Tプラズマを想定し、プラズ、マが熱的に安定となりえるか、及び 垂直磁場制御による熱的不安定性の抑制が可能であるかについて幾つかのモデノレを用 いて解析したものである。以下、本章では、研究の背景,目的,及び論文の構成を述 べる。
1.1 本研究の背景
究極的なエネノレギー問題の解決を目標に、核融合の研究が世界中で精力的に進め られている。プラズマの閉じ込め方式としては、磁場閉じ込め方式と慣性閉じ込め方 式の2種類がある。磁場閉じ込め方式の中でも、トカマク型,ヘリカル型, ミラー型,
磁場配位反転型など幾つかの型式に分けられる。とれらのうち、現時点で数値的に、
最も優れた成果を残しているのは、 トカマク型の磁場閉じ込め装置である。
図1・1(a),(b)に、各々、 トカマク装置の構成 [1!?トカマクにおける特徴的な方向 や言葉の定義 [2]を示す。 トロイダノレコイノレにより生成されるトロイダノレ磁場ムリ
ング内を流れるプラズマ電流により生成されるボロイダノレ磁場によって螺旋状の合成 磁場が生じる。とれが、真空容器内のプラズ、マを、電磁流体力学(MHD)的に安定な 状態に保持する。ポロイダノレコイノレは、プラズマの位置や断面形状を制御するための 位置形状制御コイノレ"とプラズ、マ電流を誘起するための 変流器コイノレ"からなる。
現在、世界中に多くのトカマク装置が存在する。それらのうち、 AlcatorC (米国),
DIII‑D (同), ASDEX (西独), JFT‑2M (日本)などの中型装置では、プラズマの物 理現象をより詳細に解明すべく研究が続けられており、多くの成果があげられている。
一方、臨界プラズマ条件(Qp = 1、ととで Qp三核融合出力/プラズ、マ 加 熱 入 力 = プラズ、マの
Q
値)の達成を目標として、 JET(EC),TFTR (米国), JT‑60 (日本)の三大トカマクが近年運転を開始し、臨界プラズマ条件にかなり近いプラズマパラメー タを得ているo例えば、 TFTRのスーパーショットにおいて、イオン温度公‑‑32keV
,核融合積 neiETi‑‑4.2X 102om‑3 . s・keV (ことで ne:電子数密度, iE:エネノレギー 閉じ込め時間)、 JETにおいては、 Ti‑‑7keV,neiETi‑‑1.5 X 102om‑3・s・keVが得 られており、とれらは、各々
0 . 2 9
,0 . 2 5
のD‑T
等 価Q
値に相当する。また、J T ‑ 6 0
に おいては、ペレツト入射により Ti‑‑7keV,neiETi‑‑1.5 X 102om‑3 . s・keVが達成さ れた。更に、低域混成高周波による電流駆動実験により、1.7MAのプラズマ電流の駆 動に成功している。とれは、本質的にパルス運転にならざるをえないと考えられていたトカマク装置の定常運転の可能性につながるものであり、注目に値する。
ととで、現在利用可能と考えられている幾つかの代表的核融合反応を示す。
D
+
T ~ n(14.1MeV) +α(3.52M eV) ta'︑f︑ 1i • ム﹄ー ︑ノ11D+3He→ p(14.7 M eV) +α(3.67 M eV)
(1.2) (1.3) (1.4 ) D
+
D ~ n(2必 M eV)+
3 H e(0.82M eV)D
+
D ~ p(3.02M eV)+
T(1.01M eV)と れ ら の 核 融 合 反 応 の 断 面 積 を 、 入 射 粒 子 の エ ネ ル ギ ー の 関 数 と し て 図 1・2に示す [3]0炉構造材の放射化を低減する観点から、発生する中性子はできるだけ低エネノレ ギーか つ 少 量で あ ると と が 望 まし いo
D‑D
反応はD ‑ T
反 応 に 較 べ れ ば 、 そ の 点 有 利 ではあるが、依然としてかなりの中性子発生を伴う。D ‑
3H e
反応は、基本的に反応、で 発生するのは荷電粒子だけであるから、との反応を利用した場合、放射化の問題は大 きく軽減されよう。更に、天然に存在しないと考えられていた燃料粒子の3 H e
が、月 面に大量に存在することが最近確かめられ、との点でも注目されている。しかし、と れらのD‑D
,D ‑
3He
反応は、D‑T
反応に較べ、反応断面積が1 ‑ ‑ 2
桁小さい上、必要な 温度領域が約1
桁高い。D‑T
反応は、1 4 . 1 M e V
中性子による炉材料損傷の問題や、ト リチウムの増殖ぅ及び安全在取り扱いに関連して多くの困難な問題を持つてはいるが、炉システムが経済的に成立するための条件は、他の反応よりも有利である。よって、
最も早期にエネノレギ一生産を実現すると期待されているのは、 D‑T反応を利用した核 融合炉である。
前述のトカマク装置を用いた従来の実験では、水素あるいは重水素(D)からなる プラズマを使用しており、三重水素(T)は用いてい在かった。とれは、 D‑T反応によ り発生する 14.1MeV中性子に起因する、装置操作の複雑さ,炉工学的問題等を回避 するためであった。しかし、臨界プラズ、マ条件を達成する見通しがほぼついた現在、
研究の目標は、従来のプラズ、マ物理を中心としたものから、核融合炉技術の開発,工 学的実証にもある程度重点、を置いたものとなる必要があったo とのような状況のもと で、 1991年末JETでは、史上始めてのD‑T燃焼実験が行在われた。 0.2gのTと1.2g
のD を用い、約2億度の高温で最大2000kWの発熱が約2秒間続いた向。今後は 10 秒程度の継続的燃焼が目標とされているoTFTRにおいても、近い将来、三重水素を 用いたD‑T燃焼実験が計画されている。しかし、本格的な D‑T燃焼は次期装置を待 たねばならない。
次期装置として、国際協力のもと、 ITER(International Thermonuclear Exper‑ imental Reactor)と呼ばれる核融合実験炉の共同設計作業が 1988年より開始された
[5]0 図1・3に炉の概念図山を示す。との概念設計では、数百秒程度の長時間自己点、
火燃焼(最終的には定常燃焼),数百M Wの核融合出力,及び核融合炉に必要な炉工 学的技術の開発と実証が、その目標とされている。とれによれ現在の技術レベノレを 総合して問題点の洗い直しを行ない、新たな工学的研究,開発への認識が得られるで
あろう。
しかし、プヲズ、マの定常燃焼を実現するためには、物理的,工学的に困難な多く の問題が山積する。プラズマの熱的不安定性の抑制はその 1つである。核融合反応の 断面積は図 1‑2から予想されるように、プラズ、マ温度とともに急激に増加する関数で ある。熱的不安定性は、との事実に起因する核燃焼の不安定性であり、 Mills[6]が簡
単在プラズマ動特性の計算により、始めて指摘したo太田等 [7]は、線形安定解析と動 特性解析によれ詳細に熱的不安定性を解析したo熱的不安定性は、プラズマ温度や 密度の定常値からの逸脱を引き起とすo とれらのパラメータ変動は、核融合反応率の 変動を通して、第一壁への流入熱流束や核融合出カの変動をもたらすo よって、熱的 不安定性の有効左抑制法を確立しておくととは重要である。
ととで、熱的不安定性について簡単に説明しておくo いま、定常燃焼状態のプラ ズマにおいて、何らかの原因でその温度に正の摂動が挿入されたとする。プラズマの 正味の加熱パワー(=外部加熱パワー+内部加熱パワー)と損失パワー(=幅射損失 パワー+熱伝導・対流損失パワー)は、共に定常値より増大する。核融合反応断面積 は、温度と共に急激に増加するため、高
Q
値のプラズマでは、内部加熱パワー(荷電 粒子による自己加熱パワー)の増加量が最大となる。したがって、加熱パワーの増加 量が、損失パワーの増加量を上回り、燃焼制御を施さねば、温度は更に上昇するo と の温度上昇は、加熱・損失パワーの変化量が釣り合うまで続く。負の摂動の場合、同 様の機構によりプラズマ温度は定常値より大きく減少し、プラズ、マの消滅に至る。と のように、熱的不安定性はプラズマのエネルギーバランスをくずし、核融合出力を定 常値から大きく変動させうる。特に、前者の温度上昇の場合、ブランケット中の熱出 カ増大により炉材料に対して重大友影響を及ぼす可能性がある。熱的不安定性に起因するプラズマ温度上昇は、加熱・損失パワーの変化量が釣り 合うまで続くととを前述した。実際のととろ、プラズマの
F
値 ( 三 プ ラ ズ マ 圧 カ / 閉じ込め磁場圧力)には、プラズ、マ閉じ込めがMHD的に安定であるための限界値 sc [8]が存在するととが、理論的かつ実験的に明らかにされている。プラズマの9
値が sc近傍に達すると閉じ込め劣化が起とるため、温度上昇は抑制される。 s‑‑‑scにお けるプラズマの振舞いに関して 80ft"限界[9l, hard"限界 [10]の二通りが実験で観 測されている。前者の 80ft"限界では、プラズマエネルギー閉じ込め特性が s‑‑‑scにおいて徐々に劣化するのに対して、後者の hard"限界では、ほぼ瞬間的に放電が
停止し、熱,磁気エネルギーが短時間(‑数10ms)に構造材に与えられ、重大な影 響を及ぼすo soft"限界の場合は、プラズマは過出力に至らず、むしろ、プラズマ自 身の固有の安定化機構として積極的に利用しようとする考え方もあるo しかし、現状 では未知の部分が多いといえよう。
プラズマの熱的不安定性の度合いは、一般的に、プラズマ温度が低く、プラズ、マ
Q
値が大きいほど強くなる。また、熱伝導対流によるプラズマからのエネルギー損失が プラズマパラメータにいかに依存するかを表わす、いわゆる、エネノレギー閉じ込め時 間の比例則にも大きく依存する。例えば、簡単友一点近似モデルによれば、自己点火状 態にある D‑Tプラズ、マの熱的安定,不安定の臨界温度 Tcri(Tく Tcriの運転温度領域 においてプラズマは熱的に不安定)は、 TEがKaye‑Goldston則 111!?INTOR‑AICMor 則 [12]の場合、各々20,15keVと在る。仮に、アE がプラズマパラメータによらず一定 の場合、 Tc行
=
18 keVである。熱的不安定性の抑制法として、従来より幾つかの提案が在されている。とのうち 外部加熱パワー制御 [13,14]は、 NBI(中性子粒子入射)や RF(波動)による外部プ ラズマ加熱パワーを利用したものである。非常に効果的な方式ではあるが、自己点火 のプラズマには適用でき念い。プラズ、マが自己点火でない場合にも適用可能な方式と して、燃料注入率制御 [14ト[161,燃料混合比制御 [61,不純物注入制御 [14,171, リッ フ・ノレ制御 [18ト[20l,垂直磁場制御 [21]‑ρ8]が挙げられる。
燃料注入率制御,燃料混合比制御は、粒子閉じ込め時間 Tpがエネノレギー閉じ込め 時間 TEより長い時には、あまり有効とはいえ念い。不純物注入制御は、温度上昇に 対しては有効であるが、温度下降に対して有効では在い。リッフ.ノレ制御は、 磁場の リップル [29](トロイダノレ磁場コイノレが有限の個数に分割されているために生じる空 間的な磁場の強弱)により、高エネノレギー荷電粒子が必然的に損失するととを利用し たものである。との方式では、高エネルギー荷電粒子が壁 K局所的に大きな熱負荷を 与えるため、炉構造,設計との整合性が問題になると考えられている。垂直磁場制御
は、プラズマリングの水平方向の位置を制御するために、リングに外部から垂直に印 加された磁場(垂直磁場)を時間的に変動させるととによって、プラズマを圧縮/膨 張 (CompressionjDecompressionヲCjD)させ、熱的不安定性を抑制しようとする方式 である。図1・4にその概念を簡単に示すo プラズ、マ温度(もしくはプラズマ圧力)の 増加[あるいは、下降]に対して、垂直磁場を弱[強]めるととで、プラズ、マリング を膨張させる[圧縮する
J o
プラズマは外部に仕事をする[外部より仕事をされる]の で、自身の内部エネルギーは減少[増加]し、その結果、プラズ、マ温度が下降[増加]する。とのよう在機構によれプラズ、マパラメータを定常値に復帰させる。との制御 法は、必要な正味のパワーが比較的小さい,応答が速い,プラズ、マの閉じ込めの性質 は変らない?自己点火状態でも利用できる,既存の水平位置制御の技術をそのまま利 用できる,等の長所を持っており [23]、魅力的概念である。その半面、安定化の過程 において、プラズマリングはある大きさの水平方向の位置の変動(以下、半径変動と 呼ぶ)を必然的に伴う。よって、との半径変動の大きさと実際に許容できる空間との 整合性が最も大きな問題に在ると考えられている [22,30]。
プラズマの半径変動あるいは垂直磁場制御を利用して、燃焼を安定化しようとす る研究が、とれまでに幾つかなされているo Bromberg等 [30]は、時間的に変動しな い静的念垂直磁場中において、自己点火の D‑Tプラズ、マが熱的に安定となるか、す 在わち、 受動的安定性"の可能性を線形安定解析法で検討した。彼等は プラズマ 弾性"の概念を導入し、受動的安定性に必要な プラズマ弾性"は静的な磁場では得 られ在いが、垂直磁場制御による圧縮/膨張法を用いれば安定化に必要な プラズマ 弾性"は得られるとしている。 Borra.ss[21]はプラズマの主半径変動を観測し、との変 動に比例して垂直磁場の強さを時間的に変動させるととにより垂直磁場の空間的な減 衰係数を実効的に増加させ、位置的安定性を確保した上での系の安定化が可能である
ととを述べた。との解析では制御系の時間遅れが考慮されておらず、とれを考慮する と熱的不安定性を安定化できないととが岡本等によれその後示されている [23]0岡
本,大西等 [23,24]は圧縮/膨張法による燃焼の安定化を線形安定解析法, 1次元輸送 モデノレを用いた動特性シミュレーション等により解析したo一般的に C/D法を用い た燃焼の安定化は可能であるが、エネルギー閉じ込め時間が大半径とともに急激に改 善されるよう念場合、との制御法は有効でなくなるとされている。
とれらの研究では、 1点近似のプラズ、マモデルあるいは小半径方向に関しての l 次元輸送モデノレが用いられている。また、垂直磁場は基本変数として取り扱われてお
り、それ自身が直接、制御される量となっている。実際には、垂直磁場はボロイダノレ コイノレ中を流れる電流によって生成されるので、垂直磁場制御はコイルへの印加電圧 を調整するととで行在われる。また、プラズ、マと制御コイルの聞には導電シェノレ等の 導体構造物が存在し、とれは制御コイノレによる磁場を遮蔽する効果を有する [31]。更 に、プラズマの位置変動に伴い導体上に誘起される電流がプラズ、マ中に垂直磁場を生 成し、水平方向の圧力バランスに影響を及ぼす。より実際的念プラズマの接舞いを調 べるには、とれらの磁気的相互作用を考慮する必要がある。磁気的相互作用を考慮し た解析も幾つかなされているが、プラズマ,制御コイノレ以外の導体の存在を考慮して いなかったり [32]、また、導電シェノレの存在を考慮した場合でも線形安定解析にとど まっている [33]0
とれまで述べたように、垂直磁場制御による熱的不安定性の抑制の研究は、垂直 磁場を基本変数としたもの,プラズマと周辺構造物との磁気的相互作用を考慮したも
の,プラズマ小半径方向に関しての 1次元輸送モデノレを用いたもの,など種々のモデ ノレでなされている。各モデノレの特徴,適用限界を把握するためには、とれらのモデノレ を用いた統一的な比較が必要である。しかし、とれまでそのような研究は行なわれて い在い。また、熱的不安定性はエネルギー閉じ込め時間のパラメータ依存性、すなわ ち、閉じ込め比例則に強く依存するが、従来の解析は INTO R‑Al ca torの閉じ込め則 を用いて行なわれている。 ITERの設計作業に際し、世界の主だった装置から得られ たデータをもとに比例則が導かれているが、との比例則を用いた半径変動を考慮した
上での核燃焼の安定化に関する解析は、いまだなされてい念い。
1 . 2
本研究の目的本研究の目的は、 ITER程度の炉パラメータを持つ自己点火の D‑Tプラズ、マを想 定し、半径変動の持つ安定化効果によりプラズ、マが制御なしでも熱的に安定になりえ るか、また、もし熱的に安定でない場合、垂直磁場制御による熱的不安定性の抑制が 可能であるかを、幾つかのモデルを用いて解析し、とれらの結果を比較検討するとと によれ垂直磁場制御による熱的不安定性の抑制の可能性を明らかにするととである。
エネノレギー閉じ込め則には、 Lモードの ITER89パワー則 (ITER89P則), ITER89 オフセットリニア則 (ITER890L則)を主に考える [5]0
解析手法として、線形安定解析と動特性シミュレーション法を主に用いる。そし て、(1)垂直磁場を基本変数としたモデノレと磁気的相互作用を考慮したモデノレ聞での 比較, (2)密度,温度の空間分布を一様としたモデルムそれらの空間分布を考慮した 1点近似モデノレ聞での比較,更に (3)1次元輸送モデルによる動特性解析の結果,を通 して、垂直磁場制御による核燃焼の安定化のためにはどの程度の半径変動が必要か、
またモデノレによる相違はどのくらいかを調べる。
1.3 本論文の構成
本論文は、本章を含めて全7章からなる。
第2牽では、プラズ、マリングの水平方向の巨視的圧力バランスについて述べた後、
プラズ、マリングの水平,垂直方向の位置的安定性のために要求される磁垂直場減衰係 数(垂直磁場の空間的危減衰の程度を表わす無次元量)の条件,及び磁場滅衰係数と
フ.ラズマの断面形状の関係について述べる。
第3牽では、垂直磁場を基本変数とした 1点近似のプラズマモデルを用いて解析 する。初めに諸仮定を述べる。そして、体積変動の効果を含んだ式の一般形を示した 後、実際の解析に用いる形に変形する。プラズマの受動的安定性と垂直磁場制御によ
る燃焼の安定化に関する一般的考察を行なった後、 ITER程度の炉パラメータを持つ 自己点火プラズマを想定し、その定常運転点、を定めるo そして、線形安定解析法と動 特性シミュレーションを用いて解析を行なうo最後に、半径変動量の磁場制御ゲイン
に対する依存性,及び垂直磁場の時間変化率に対する依存性が示されるo
第4章では、プラズマ,導電シェル, ボロイダノレ制御コイノレからなる系の磁気的 相互作用を考慮した、より実際的なモデノレを設定して、垂直磁場制御による燃焼の安 定化を検討する。安定化に必要なコイル電圧や導電シェノレの抵抗値が制御性に及ぼす 効果について言及し、更に第3章の垂直磁場を基本変数としたモデノレに基く結果との 比較を行なう。
第5章では、プラズマ密度,温度の小半径方向の空間分布を考慮できる 1点近似 のパワーバランスの式を導出し、との式を用いて解析を行なう。空間分布を考慮した 場合の点火条件と定常解を示した後、線形安定解析と動特性解析を行ない、空間分布 の考慮が熱的不安定性に及ぼす影響を定性的かつ定量的に明らかにする。最後に、 α 粒子のリッフツレ損失の効果を考慮した動特性解析も行なう。
第6章では、体積変動の効果を考慮できる l次元輸送モデルを用いて解析する。と とでは、粒子ノぐランス,パワーバランス,及び電流密度バランスの l次元輸送方程式 が解かれる。幾つかの運転点、で定常分布を求めた後、それを初期分布として動特性シ
ミュレーションを行なう。得られた結果を第5章の結果と比較する。
第7牽では、結論を述べる
フラズマ危流
lプラズマ トロイ夕、 ノレコイノレ
( a )
(対 称中 心軸
トーラス軸
小半径
T
大半径 R
磁 気 而 磁気刺i
アスペクト比=R/α
( b )
10 0
10 ‑ 1 10 1
{ ω ε c a b
。
メ¥ ) ¥ ¥ ) )
1 0 ‑ 2 梅田
査
10 4 10 3
10 2 1 0 ‑ 3
10 1
入射粒子エネルギ ー ,Eo [ k e V ]
図1‑2 核融合反応断面積の入射粒子エネルギー依存↑生
1.部ボート~
真空間! ¥ ¥ ブランケット 、 一
図1‑3 国際熱核融合実験炉 (1TER)の鳥廠図
クライオスタット
/ ト口イタルコイル
/ポロイタルコイル
排気ダクト /
※内部エネルギーの減少
少 減 場 磁 直 垂 部 外
食 舎 E
E
筑g 大 増 場 磁 直 垂 部 外 夫 ・ EV S
E
; ロ
ー一一.....ー・・ーー i l
i
‑‑
。 ) 附 は お レ ギ ー の 増 加
図1‑4 垂直磁場制御によるプラス。マリングの圧縮/膨張
第 2 章 プラズマリングの圧力バランスと垂直磁場減衰係数
本研究では、水平方向の半径運動を許容した燃焼プラズ、マを取り扱う。本章では、
初めに、プラズマリングの水平方向の巨視的圧力に関するバランスの式を示す。リン グの水平方向の位置は、それ自身に外部から垂直に印加された磁場(垂直磁場)によっ て制御されているo 垂直磁場はプラズマ断面の形状を制御するために空間的に湾曲し ている。との湾曲の度合いを垂直磁場減衰係数(以下、磁場減衰係数と略す)と呼ば れる量で表わす。磁場滅衰係数は、半径変動の起とりやすさや位置的な安定性と密接
な関係を持つ。とれらについて説明する。
2 . 1
プラズマリングの圧力バランスプラズ、マリングの中には、加熱と MHD平衡の観点から、 トロイダノレ方向に電流 が流されている。とのプラズマ電流によるフーフ・カや粒子の運動圧のため、リングは 何もしなければ外側に拡がってしまう。よって、リングを平衡位置に保つには何らか の処置を施す必要がある。とのため通常、導電性のシェノレあるいは垂直磁場の二つの 方法が用いられる。前者は、導電性のシェノレでリングを囲み、リングのわずか在位置
の変位に対して導体壁に生ずる渦電流によりリングを反対方向に押戻すことで平衡位 置に維持しようとする方法である。後者は、リング K垂直方向に外部から磁場を加え、
プラズ、マ電流とのローレンツカにより内向きに押戻すととてす平衡位置に落ち着かせよ うとするものである[図 2‑1]。導電性のシェノレを用いる方法は、初期の放電実験で は利用されたが、シェノレ電流がすぐに減衰するため閉じ込め時聞が長くなると有効で 在い。一方、後者の方法は、リングと平行に配置されたポロイダノレコイノレに電流を流 すととによって外部的に垂直磁場を発生させているので、持続時間の長い炉でも有効 である。現在の実験装置では、との二つの方法が併用されている。
プラズ、マリングの水平方向の運動方程式は以下の後K与えられる [34]0
(. 8R li ‑3 , /) ¥
MR =
で.1 μoIv2 (lnー 十 一 一 +
sp) ‑211" R . IpBext三 2πR.ん
F,.., u~p ¥ α 2 ., V) (2.1 )
ととて~" M はリングの質量,Rはプラズマの大半径, αは小半径, μoは真空の透 磁率, ん は プ ラ ズ、マ電流, [iは規格化されたプラズ、マ内部インダクタンスであり、
プラズマ電流分布で決定される無次元量で、通常 0.5‑‑‑1.5をとる。 spはボロイダノレ ベータ{直(三プラズマ圧力/ボロイダノレ磁場圧)で、 1程 度 の 量 で あ れ Bextは制御 コイノレ等のポロイダノレコイノレや導体上に誘起された渦電流によりプラズ、マリングが垂 直方向に感じる磁場の大きさである。左辺R上
式中、第2式 の 第 1項がフプ.ラズ、マ電流や粒子運動圧による外向きのフ一プカであり払
、
第 2項が垂直磁場とプラズマ電流による内向きのロ一レンツ力であるo
プラズ、マリングの半径変動の時定数は、 (2.1)式より容易に概算するととができ、
とれはマイクロ秒のオーダーとなる。とのように時定数が短いのは、プラズ、マリング の質量が 19以下と軽いためである。プラズ、マの周辺にある導体構造物との磁気的相互 作用を考慮した、より実際的念場合、との時定数はミリ秒のオーダーとなる [35]。一 方、プラズ、マ燃焼の特徴的時聞はエネノレギー閉じ込め時間也、すなわち 1秒のオー ダーであれ半径変動の時定数に較べて遥かに長い。よって、 (2.1)式を燃焼の式と カップリングする際、リングは
r
=0"を満足しながら変動すると仮定する。とれ は、との種の研究において通常用いられる仮定である。2.2 プラズマリングの位置的な安定性
前節 (2.1)式中の Bextは、制御コイノレを含むポロイダノレコイルや導体上に誘起さ れた渦電流によってプラズマリングが垂直方向に感じる磁場の大きさであり、
Bω(t, R)
=
B上(t,R)+
Bs(t) (2.2)と表わせる。ととでしRは各々時間,大半径を示す。右辺第2項が導体上に誘起され た電流に起因する垂直磁場項を示す。とれは、近似的には空間的に一様であれ第1 項に較べ 1次の微小量である [3610
一方、右辺第 1項は、プラズ、マの小断面の形状が望ましいものとなるように制御
コイノレ等のボロイダルコイノレ群によって外部的に与えられる垂直磁場成分であり、そ の強さは空間的に一様ではたく、近似的に
( R ¥‑m
Bょ
( t , R )
= Bv(t)( 五~)ヲム ( t )
= B~+ B v ( t )
(2.3)と表わせるo ととで、
B 3
は平衡位置 (R = Ro )での垂直磁場の大きさ,B v
は制 御コイノレて・与えられる変動磁場を示す。指数 m は、垂直磁場が大半径方向に減衰する度合いを示す無次元量であり、磁場減衰係数(五elddecay index)と呼ばれ、
Ro aB上l
m, =‑=一一一B~一 一一θ R 一一・IU 0 (2.4 )
と定義されるo m が正の場合、外側ほど垂直磁場の大きさは弱まるからプラズマは 半径変動を起としやすい。逆に、 mが負の場合、外側ほど磁場は強まるから半径変 動を起としにくいo よって、一般的K m値が大きいほど、半径変動がプラズ、マの燃 焼特性に及ぼす影響が顕著になる [30)。
磁場減衰係数はプラズ、マの位置的な安定性と密接な関係を持つ。プラズマリング が平衡位置から水平方向に微小変位した時、リングがうける正味の力が復元力となる ためには、ポロイダノレ磁束保存(ん αR‑1) [37)の仮定のもと、 m く1.5が必要と 在る。同様に垂直方向に微小変位した時、復元カを受けるためには
m>
0が必要と なる。す念わち、プラズマYングの位置的安定性に要求される m値の条件は0く m く
E
3 (2.5 )と在る [34)0しかし次節で述べるよう在理由によれ実際の炉では m は負の値に設 定される。との場合、垂直方向の位置の変位に対して、プラズ、マリングは不安定とな る。通常、との垂直方向の位置的在不安定性は、安定化壁等によって速い不安定性を 遅い不安定性に変換した後、水平磁場コイルを用いた適切在帰還制御により安定化さ れている [3810本研究では、水平方向の位置変動を利用し熱的不安定性を安定化する ととが主目的である。よって、負の m値を想定した場合、プラズ、マリングの垂直方
向の位置的在不安定性は、帰還制御により安定化されているとし、プラズマは水平方 向にしか位置変動を起こさないとする。
2 . 3
磁場減衰係数とプラズマの断面形状前節で述べたように、磁場滅衰係数は、望ましいプラズマ断面形状を得るために 必要とされる垂直磁場の空間的在減衰の度合いを表わす量である。したがって、フラ ズマの断面の形状と密接な関係を持つ。 Zakharov[39]は同柱プラズマモデルを用い、
空間的に一様な電流密度分布を仮定して、以下の解析的念式を導いた。
A2(1ー κ)
+ i
ln 8A一 時
打1,
=
MA+Pp‑j
(2.6)ととで、 A はアスペクト比(=
R /
α), κは小断面の比向型度を示す。実際の m値 を求めるためには、複雑な MHD平衡計算が必要であるが、亀有等 [40]の平衡計算に よれば、上式はか左り良い近似があるととがわかっている。図2・2は、 (2.6)式を用いて、幾つかのポロイダノレ
s
f直 ( ゐ ) に 対 し て 必 要 在 m 値を κ値の関数として表わしたものである。 κ値が大きいほど必要な m 値は小 さく在る。とれは縦長断面のプラズ、マにおいて、負の磁場減衰係数が要求されるとと を意味する。以前の炉設計では、同断面プラズ、マ (κ=1)が採用されていた。しかし、最近の実験装置や炉設計では縦長の非同型断面、すなわち D型断面が採用されて いる。とれは高
F
化の要請から、大電流化が望まししそのためには縦長断面が都合 が良いためであるoITERのプラズマ設計では、 κ=2が計画されているo との場合、例 え ば ん =lK対して m= ‑2.3と概算される。
プラズマリング( 上側よ り )
F α l t
種々のフープ力等で 外側に拡がろうとする
F α l t
図2‑1 垂直磁場によるフラズマリングの圧力平衡
ε . 、
。 '
; 代 総 〈
1 長、 α =2 . 1 m
同 、 ぞ ー 会 R=6.0 m
1 q ぱ 。
定 5 尽 鐙 ‑1
? く ?
s p=2.0
/
4 * s p=1.0
国 K
‑3 0.8 1 . 0 1 . 2 1 . 4 1 . 6 1 . 8 2.0
楕円度, κ
図2‑2 プラズマ断面形状と磁場減衰係数の関係
第 3 章 1 点近似モデルによる解析
垂直磁場を基本変数とした取り扱い
本章では、垂直磁場を基本変数とした 1点近似のプラズ、マモデルを用いて、半径 変動を利用した熱的不安定性の抑制に関する解析を行なうo プラズ、マの総粒子数は常 に一定と仮定しプラズ、マ密度の動特性は特に考慮しないo との仮定 K基く線形安定解 析では、解析的手法によって、多くの有益な知見を得るととができる。
初めに、諸仮定を述べる。次に、体積変動の効果を含んだ式の基本形を示し、そ して実際の解析に用いる形 K変形する。プラズ、マの受動的安定性,及び垂直磁場制御 による核燃焼の安定化に関する一般的考察を行なった後、 ITER程度の炉パラメータ を持つ自己点火プラズ、マを想定し、その定常運転点を定める。そして、線形安定解析 法と動特性シミュレーションを用いて解析を行なう。最後に、半径変動量の磁場制御 ゲインに対する依存性や垂直磁場の時間変化率に対する依存性を調べる。
3.1 プラズマのモテ ル化と諸仮定
本研究では、
5 0 % ‑ 5 0 %
のD‑T
プラズ、マを解析対象とする。また、プラズマ中に不 純物はないとする。よって、プラズ、マは電気的に中性とすればl
ni =ηD+ηT = ne三 η ? η D = π T
二子
(3.1 )の関係が成立する。ただし、 ηD'nT' ni'ηEは各々、重水素,三重水素,イオン,電 子の数密度である。以後、 η をプラズ、マ密度と呼ぶ。
解析を簡単にするため、パワーバランスのモデノレにおいて、高エネノレギー α粒 子 は発生した瞬間に全エネルギーをプラズ、マに付与し、ただちにプラズ、マ外に排出され るとする。轄射によるエネルギー損失としては制動転射 (Bremsstrhal ung)のみを考 える。また、電子温度 Teとイオン温度公は等しい、すなわち
Ti二 Te三 T (3.2)
とし、 1流体モデノレを用いる。以後 T をプラズマ温度と呼ぶ。
以上の仮定のもと、イオンの総数 N,プラズ、マ圧力 p,及びプラズ、マの全内部 エネノレギ ‑
W
pは、以下のようになる。N= 札~Vp
p=2ηT vVp = 3ηT¥今 ととで、 乃はプラズ、マ体積(=2πR . 7ra2κ)である。
(3.3) (3.4 ) (3.5)
半径変動に際して、プラズ マの総粒子数は一定と仮定する。また、トロイダノレ磁束の
保存を仮定し、小半径は αα Rl/2を満足するものとする [37]0よって巧αα2Rα R2
,η(x ¥今一1α R‑2が成立する。とれらの諸仮定は、以後の第4ぅ5,6章でもほぼ同様に 用いられる。
3.2 解析モデル
3.2.1 基礎式
基礎式は、パワーバランスの式,圧力バランスの式,垂直磁場制御の式の 3個 か らなる。
まず、パワーバランスの式は
d W ,. ̲.̲ ̲ '~r VVT]
"""p dt
+
凡' t J=
Pe~~. xt+
(., pα ‑~ P.'r / )九 ̲
r :.TE ..:....J!̲三 Fp…
(3.6)と在る。ととで、 TEはエネノレギー閉じ込め時間ゾソ'は時間微分を示す。左辺第 1ヲ2 項は各々プラズ、マ内部エネノレギーの時間変化,半径変動に伴う体積変動Kよってプラ ズ、マが行在った仕事を表わす。 (3.6)式の中辺の第3項は熱伝導・対流によるエネノレ ギー損失を示す。また、第 1項は外部加熱パワー、第2項は内部加熱パワーと制動車高 射損失パワーを示し、とれらは
Pext
二 三 、 Pj=L2
く σv>Ej~
~p 吐
(3.7)
Pα=jη2くσυ>Eα (3.8) (3.9) Pr
=
b . ZeJ J712T1/2となるoととで、 Qpはプラズ、マQ値,PJは核融合出力,Eα=3.52 MeV, EJ
=
17.6 MeV, b = 3.34 x10‑21keVl/2m3s‑1, ZeJJはプラズ、マの実効電荷数である。 本研究において、不純物は考慮していないからみJJ=1である。また、 く συ>は核 融合反応断面積 σに粒子の相対速度をかけて Maxwell分布で平均した量である。 図 3・1K、DT反応を含む4種の核融合反応、に対して σをイオン温度の関数として示す。
プラズ、マリングの圧力バランスの式は、 (2.1)式に与えられている。ただし、本章 では磁気的相互作用は考慮してい在いから、 Bextは次式のようになる。
B
ム
E口州
z¥noノ
垂直磁場制御の式は、制御系の時間遅れを l次遅れで近似するととにより
ん
8 "
GRB~Bu+」 =‑4‑1P(t)
TB TB
(3.10)
¥l/ 11ム
ー ー ム
qJ f
a ‑ ‑
のように与える。ととで、 TBは制御系の特徴的な時定数,G Bは制御ゲインであるo
P(t)は観測量の目標値に対する測定値のずれを表わす量であり、観測量としてプラズ マ温度あるいは核融合出力(核融合中性子数)をとった時、
( ヰ 立
‑1 :温度観測町 )
=) 争
‑1 :核融合出力観測 (3.12)のようにとる。とれは、いわゆる比例制御である。無駄時間,積分動作,微分動作等 の要素は、との P(t)に含めるととができるが、本解析ではとれらの要素は考慮して
しない。なお、 P(t)は温度と大半径の 2つの量の関数として取り扱う。
3.2.2 基礎式系の変形
前節で示した基礎式のうちパワーバランスの式と圧力パランスの式を解析に用い やすい形に変形する。
まず、 (3.6)のパワーバランスの式は
4
~R T ( R ¥
‑2 ,~,P
ext んF
pT
+
‑3
7:1 T‑R :̲= =
一 一‑
iE T+
nO no " ( Ro ) ~V) Y g(¥.1T ) )+
I 二 ニ 三3 N 0= f
J Tn =
」3ニニ八TO(3.13)
Pα ‑pr Eα b . ZeJ J中1/2
g(T)三 寸 士γ =一 く συ〉 一 ‑ 1 ‑ 1
~n2 12 リ (3.14)
となる。変形の過程で、 I今αR2,nαR‑2を用いた。添え字の 0"は、各平衡(直 を示す。
圧力バランスの式は (2.1)式において
r
=0"とした式よりA N
三r
x( 訂 × 詰 =(U150+j 吠
-(1+会)(山~)
= 0Bi=14(山~)
4.7r 1L0, 一 一
8Ro aO+
, .fi .‑, ‑L'1 3ß~
p‑Bph02/2μo= T"'l P"o 1('¥ ?,
B 叩l i p α
,0
V=
2一 つμo7r弓 場
ωo ,う‑α
u。 = α o
‑vV j
V竺三
‑2 2(3.15 ) (3.16)
(3.17)
と在る。ととで、 Bpαはプラズ、マ電流によってプラズ、マ端て。生ずるボロイダノレ磁場,
刊は非同型度を考慮した実効的なプラズマ小半径である。変形の過程で、 η α
R‑
2の関係を用い、ボロイダノレ磁束の保存を仮定しん αR‑1とした。また、プラズ、マの 内 部 イ ン ダ ク タ ン ス ん は一定とした。とれは、プラズ、マの電流密度の空間分布が時 聞によらず不変と仮定するととに相当する。ととではム =0.5(一様電流分布)に固 定する。
(3.13), (3.15), (3.11)式を用いて以下の解析を行なう。
3.2.3 エネルギー閉じ込め時間
プラズ、マの内部エネルギーの閉じ込めの目安を表わす量として、 エネノレギー閉 じ込め時間"が一般的に用いられる。核融合装置の設計においてプラズ、マの性能を考 える際、その絶対値のみならず、その種々のプラズ、マパラメータに対する依存性、す
なわち閉じ込め比例則が重要となる。とれまで、との比例則を理論的に導出しようと 多くの試みが在されているが、実験結果をうまく説明できるものは得られていない。
よって、通常は既存装置から得られた膨大な実験データから、経験的K比例則は導出 されている 14110
ITER概念設計の共同作業の発足にあたり、世界の主だった装置のエネルギー閉じ 込め時間のデータを収集し、とのデータベースをもとに、 1989年に ITER89パワー 則 (ITER89P) とITER89オフセットリニア則(ITER890L)の2つの比例則が導か れた。 表3‑1にとの閉じ込め則を示す [5]。現段階でとの 2つの比例則の良否の差を 有意に区別するととはできない。よって、本研究ではとの 2つの比例則を用いるが、
主 KITER89P則で議論する。
2つの比例則はプラズ、マサイズに対する依存性がかなり異なるため、核融合炉に 外挿した場合、最適を設計点が違ってくる。また、パワー依存性も異なる。パワー則 の場合、核融合出カをあげても閉じ込め性能は殆ど変らないのに対して、オフセット
リニア則では閉じ込め性能が大きく改善される [42]0本研究の目的は、炉設計ではな く熱的不安定性の抑制である。熱的不安定の研究において、閉じ込め時間の絶対値よ り、そのパラメータ依存性がむしろ重要となる。表 3‑1の閉じ込め則は従来の閉じ込 め性能が良くないモーにす在わちLモードの実験データから得られた比例則である。
よって、定常運転点を決定する際、表3‑1の式をそのまま使用せず、適当な閉じ込め 改善度 (Hモード因子)を期待してアEの絶対値をある程度任意に与える。
3.3 定常運転パラメータ
(3.13)式において時間微分項を Oとする ζとにより、プラズ、マが定常燃焼するた めに必要在プラズ、マ密度とエネノレギー閉じ込め時間の積、すなわち点火条件, η(TE)
が以下のように求められる。
(
η,アE)
=
I 門 ¥3T
( 与 + え た ) く
συ>‑b. ZeJJTl/2(3.18)
図3・2 には、点火条件をプラズ、マ温度の関数として、幾つかのプラズ、マ Q値に対し て示す。
運転点を決めるには、定常運転が可能であるための種々の条件、例えば密度限界,
限界
F
値,安全係数値,電流駆動,ダイパータ機能の確保,等が同時に満足されるパ ラメータでをければならない [43]0ととでは定常運転点が満足すべき条件としてプラ ズ、マのF
値,表面安全係数,及び中性子壁負荷を考える。プラズマの
s f
直には MHD安定性の観点から限界値が存在する。とれを越えるよ うな場合、プラズ、マの閉じ込め性能が劣化し、ディスラプションの頻度が増すとされ ている。との限界値は以下のように与えられる [8]0t =Bt2ηT つI く sc[%]三 Cβ
占 :
"2j2μo (3.19)
ととで、ん
,
Bt,
αの単位は各々M A,Tぅmである。 βc は2.4f'J 2.7程度の係数である。ととでは Cβ=2.7とする [43]0本解析では、若干のマージンを考慮して限界
F
値の 70%程度となるようパラメータを設定する。すなわち st= 0.7scとする。プラズマの安全係数 qは、磁力線が磁気面に沿って小半径断面内の同周を 1周し た時、大半径の同周を何固まわったかを表わす量である。安全係数が大きいほど、プ ラズ、マリングは折れ曲がりにくく走り、流体的K安定となる。 qが整数の磁気面で発 生した不安定性は減衰せずに成長する。特Kq =1は不安定であり絶対に避ける必要 がある。安全係数はプラズマ電流分布によって決定される小半径 Tの 関 数 で あ れ 中 心てe最小値をとり外側ほど大きくなる。よって、 q =1を避けるためには中心での安 全 係 数 q(O)が1より大きければよい。 q値分布はプラズ、マ電流の空間分布が既知で なければ求めるととはできないが、表面での安全係数 qaは全プラズ、マ電流値から
a* Bt
qα=
五瓦;
(3.20)のように計算できるo ととで、 Bpaはプラズ、マ電流によるプラズ、マ表面でのポロイダ ル磁場てψあり (3.17)式で計算される。ととでは、 αq 二4となるようなプラズ、マパラ