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演習問題の解答(pdf)

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Academic year: 2021

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(1)

「集合・写像・論理」(中島匠一) 第 1 章の章末問題の解答例 問題 1.1 簡単な計算によって β2=3 + 5 2 , β 3= 2 +5 が得られる。そして、β, β2, β3はどれも代数的整数であるので、「β, β2, β3の分母はどれも 1 である」とい うのが正しい答えとなる。 コメント:代数的整数については、「2 次体の整数論」(または、さらに一般に「代数体の整数論」)を扱っ た教科書を参照してほしい。 問題 1.2 (公準の主張は、p.11-12 を参照のこと。) (1) : 成り立たない。なぜなら、2 点が北極と南極である場合に、その 2 点を通る大円(=球面幾何での 「直線」)が無数に存在するから。 (2) : 判定は、微妙。理由は、「測地線(=大円)を延長する」という言葉の解釈が微妙だからである。 つまり、大円の円弧を延長していくと同じ円をぐるぐる回ることになるが、これを(同じところを回って も)延長はできている、と考えるか、同じ点にぶつかるのだから延長とは言えない、と考えるか、の違い である。 (3) : 「一点」を「(半径 0 の)円」と解釈すれば成立するが、そうでなければ、成立しない。理由は、2 点が北極と南極である場合に、問題の円が一点だけになってしまうことによる。 (4) : 成り立つ。 問題 1.3 「公準 (1) から (4) は成り立つが、公準 (5) は成り立たない」という(新しい)幾何学を、実 際に構成すればよい。もし、公準 (1) から (4) を使って公準 (5) を証明できるのならば、そのような幾何学 は存在しえないはずである。よって、そのような幾何学が実際にあるなら、「公準 (1) から (4) だけでは公 準 (5) は証明できない」ということがわかる。 1.4 節に述べたように、上のような幾何学の例として、双曲幾何学があることがわかっている。したがっ て、現在では、「公準 (1) から (4) だけでは公準 (5) は証明できない」ことが証明されている。 問題 1.4 理由は、「0! を 1 と定義したから」である。 n が自然数(=正の整数)なら、n! は、「n から 1 までの自然数をすべてかけたもの」として定義される。 しかし、n = 0 に対してはこの定義は適用できない。これは、「この時点では、0! は定義されていない」と いうことである。ここで、(さらに一歩進むために)「0! も定義しよう」と考えると、0! を 1 と定める(= 定義する)、という考えが出てくる。そして、世の中全体がそれに同意したことによって、0! = 1 という定 義が定着している。 「なぜ 0! = 1 と定めるのか?」という疑問に対する答えは、「等式 n! = n× (n − 1)! を n = 1 に対しても有効にするため」である。n が 2 以上の自然数なら、上記の(自然な)定義により、 n! = n× (n − 1)! が成り立つのは明らかである。しかし、n = 1 では、(n − 1)! が 0! ということになるので、 n = 1 に対して等式 n! = n× (n − 1)! は意味をもたない(この時点では、0! は定義されていない)。ここで、 視点を変えて、「逆転の発想」をおこなうと、「0! = 1 であるなら、n = 1 に対しても等式 n! = n× (n − 1)! は成立する」ことに気付く。さらに、0! = 1 と定めても、「副作用」として不都合が起こることがないのも 確かめられる。こうして、現在では、0! = 1 と定義することが標準的となっている。

(2)

コメント:上に述べた理由によって、0! = 1 は一般的な定義として「市民権」を得ている。これに対し て、00は「不定」として、特定の値をもたせないのが一般的な習慣である。こちらの場合は、正の実数 a に対して、a0= 1 と 0a = 0 という、2 種類の「よく使う等式」がある。前者を重視すれば 00= 1 と定め たくなるが、後者を尊重すれば 00= 0 と言いたくなる。つまり、「こちらを立てればあちらが立たず」と いう状況である。2 つの等式 a0 = 1 と 0a= 0 は、両方とも頻繁に登場する重要な存在で、優劣はつけが たい。したがって、「00は不定」としておくのが、一般的である。 問題 1.5 条件「x2= 2 かつ x≥ 0」をみたす実数 x を2 と書き表す。 コメント: この定義の背景には、「a≥ 0 をみたす実数 a に対して、x2= a かつ x≥ 0 をみたす実数 x が唯 1 つ存在する」という定理がある。 問題 1.6 答えは、x = 2 である。答えの導き方を 2 通り与えておく。 (解答 1)√x + 2 = x が成り立つとする。この等式を 2 乗すれば x + 2 = x2であり、x2− x − 2 = (x− 2)(x + 1) であるから、x の値は −1 か 2 のどちらか以外はあり得ない。そして、値を代入して計算す ると、x = 2 は√x + 2 = x をみたし、x =−1 は√x + 2 = x をみたさない。よって、求める解は x = 2 である。 (解答 2)平方根の定義により、方程式√x + 2 = x は x + 2 = x2 かつ x≥ 0 と同値である。等式 x + 2 = x2は 0 = x2− x − 2 = (x − 2)(x + 1) と変形され、この等式をみたす負でな い実数は x = 2 だけである。よって、求める解は x = 2 である。 コメント:(解答 2)は、等式の同値変形によって解を求めている。これに対して、(解答 1)は与えら れた条件(この場合は、√x + 2 = x)の必要条件(この場合は、x + 2 = x2)を使って解の候補(この場 合は、x = 2 と x =−1)を限定して、その候補の中から実際の解(この場合は、x = 2)を求めている。こ の「限定された候補の中から実際の解を求める」というプロセスを「解の吟味(ぎんみ)」と呼ぶ。ちなみ に、この場合に解の吟味によって除外された値 x =−1 は方程式√x + 2 =−x の解である。 問題 1.7 鋭角 3 角形:3 つの内角がすべて鋭角である 3 角形。 直角 3 角形:内角の 1 つが直角である 3 角形。 鈍角 3 角形:内角の 1 つが鈍角である 3 角形。 コメント: 鋭角 3 角形と鈍角 3 角形の定義の違いに注意。「3 つの内角がすべて鈍角である 3 角形」は 存在しない。 問題 1.8 求める条件は a > 0 かつ b > 0 かつ 1 < a2+ b2 かつ a2< 1 + b2 かつ b2< 1 + a2 (∗) である。(この条件は、 a > 0 かつ b > 0 かつ |a2− b2| < 1 < a2+ b2 と表すこともできる。) 以下、理由を説明する。 まず、3 辺の長さが 1, a, b の鋭角 3 角形が存在したとする。このとき、それぞれの内角について余弦定 理を使えば、条件 (∗) が成り立つことが導かれる(内角が鋭角であることは、その角の余弦が正であるこ とと同値)。

(3)

逆に、条件 (∗) が成り立っているとする。このとき、条件 1 < a2+ b2より、 1 < a2+ b2< a2+ b2+ 2ab = (a + b)2 となるので、1 < a + b が成り立つ。同様にして、a < 1 + b と b < 1 + a も証明できる。これで、3 角形の 成立条件が示されたので、3 辺の長さが 1, a, b である 3 角形が存在する。ここで、この 3 角形の長さ 1 の辺 の対角(の大きさ)を θ として、この角に余弦定理を適用すると cos θ = a2+ b2ab2− 1 が成り立つので、条 件 (∗) により、cos θ > 0 である。したがって、θ は鋭角である。同様の議論で、条件 (∗) から、他の 2 角 も鋭角であることが導かれる。以上で、条件 (∗) が成り立てば 1, a, b を 3 辺の長さにもつ鋭角 3 角形が存 在することが示された。 問題 1.9 答えは、3 である。以下、答えの出し方を述べる。 x = √3 9 + 4√5, y =√3 9− 4√5, α = x + y とおけば、 x3= 9 + 4√5, y3= 9− 4√5, xy = 3 √ (9 + 45)(9− 4√5) =√3 81− 42× 5 =√3 1 = 1 であるから、 α3= (x + y)3= x3+ 3x2y + 3xy2+ y3= 18 + 3(x + y) = 3α + 18 が成り立つ。よって、α は 3 次方程式 t3− 3t − 18 = 0 の解である。この 3 次式は t3− 3t − 18 = (t − 3)(t2+ 3t + 6) と因数分解されるが、2 次方程式 t2+ 3t + 6 = 0 は実数解をもたない(理由:判別式が 32− 4 × 6 = −5 < 0 をみたす)。したがって、上の 3 次方程式の実数解は t = 3 だけであるから、α = 3 でなくてはならない。 問題 1.10 正しくない主張には反例を与えた。正しい主張を証明するのは難しくないが、念のために、 [N] 中島匠一「代数と数論の基礎」(共立出版)、の参照個所を挙げておいた。 (1) 正しい。([N] の命題 1.3(2) から直ちに導かれる。) (2) 正しい。([N] の命題 1.3(2) から直ちに導かれる。) (3) 正しくない(反例:a = 4, b = c = 2)(4) 正しくない(反例:a = 4, b = c = 2)。 (5) 正しい。([N] の命題 1.3(3) 参照。) (6) 正しくない(反例:a = 2, b = 3, c = 2)(7) 正しくない(反例:a = 6, b = 2, c = 3)コメント:「a は素数である」という仮定があれば、(7) の主張は成立する(上記 [N] の命題 1.11(2) の 対偶)。したがって、(7) が正しくないことを示す反例では、a は合成数でなくてはならない。

(4)

「集合・写像・論理」(中島匠一) 第 2 章の章末問題の解答例 問題 2.1 答えは、a >− 3√3 4である。 理由の説明のために、f (x) = x3+ ax + 1 とおく。3 次関数 f (x) のグラフを考えれば、f (x) = 0 が唯 1 つの実数解をもつのは (i) f (x) が極大値も極小値ももたない(これは、f (x) は単調非減少、と同じ) (ii) f (x) が極大値・極小値をもち、極大値が負 (iii) f (x) が極大値・極小値をもち、極小値が正 のどれかの条件が成り立つこと、と同値なことがわかる。f (x) の導関数は f0(x) = 3x2+ a であるから、 これらの条件は、それぞれ (i) すべての実数 x について 3x2+ a≥ 0 (ii) a < 0 であり、f (−−a/3) < 0 (iii) a < 0 であり、f (−a/3) > 0 と同値である。さらに、簡単な計算により、これらは (i) a≥ 0 (ii) a < 0 で、2(−a/3)3+ 1 < 0 (iii) a < 0 で、−2(−a/3)3+ 1 > 0 と言い換えられる。最後に、条件 (ii) はみたされることはなく、条件 (iii) が− 3√3 4 < a < 0 と同値である ことから、求める a の範囲が a >− 3√3 4 であることがわかる。 コメント:数値 33 4は、3 3 2 2 とも表してもよいし、他の表現もあり得る。近似値を書いておくと、 33 4 = 1.88988· · · である。 問題 2.2 関数 f (x) =|x|(|x| は x の絶対値を表す)は、x = 0 で連続であるが、x = 0 で微分可能では ない。 コメント: 関数 g(x) = n=0 1 2n cos(3 nx) (x∈ R) は、「すべての x∈ R で、連続だが微分可能でない」ことが知られている(証明は、難しい)。 問題 2.3 「100 字以内の日本語で定義できない最小の自然数」という文章は、「100 字以内の日本語」で ある。したがって、「100 字以内の日本語で定義できない最小の自然数」として定義される自然数は「100 字以内の日本語で定義される」ということになり、矛盾である。 問題 2.4 答えは (1) 少なくとも c + 1 枚。 (2) 少なくとも 4 枚。 (3) 少なくとも b + c + 1 枚。

(5)

(4) 少なくとも a + b + 1 枚。 である。理由は、それぞれ (1) 「c 枚が全部 C のカード」ということがあるので、c 枚では足りない。また、同じ文字のカードは c + 1 枚は存在しない(a < b < c と仮定されていることに注意)ので、c + 1 枚とれば、かならず違 う文字のカードがある。 (2) A, B, C の文字のカードを 1 枚ずつとることがあり得るので、3 枚では足りない。文字の種類は 3 種 類しかないので、カードを 4 枚とれば、かならず同じ文字のものがある。 (3) b + c 枚とるのでは、文字 A が含まれないことがある(B を b 枚、C を c 枚とる場合)。しかし、 a < b < c という仮定により、2 種類のカードだけで b + c + 1 枚とることはできない。よって、b + c + 1 枚とればかならず 3 種類の文字が含まれる。 (4) a + b 枚とるのでは、文字 C が含まれないことがある(A を a 枚、B を b 枚とる場合)。しかし、 a + b + 1 枚のカードを A か B を書いたカードだけで賄うことはできない。よって、a + b + 1 枚の カードをとれば、かならず文字 C を書いたカードが含まれる。 と説明される。 問題 2.5 答えは (1) (私は)ステレオもテレビも買わない。 (2) (私は)学校に行かないか、行っても講義を聞かない。 (3) 夏に雪が降ることがある。 (4) 明日晴れたときに遠足に行かない。 (5) 甘くない砂糖がある。 と表現できる。 コメント:上の答えは、問題文を「数学の論理」に従って解釈したときの否定文である。「日常の論理」 での解釈とは異なってくる場合もあるので、注意してほしい。また、上に提示した答えは「一例」であり、 答えとなる日本語表現は他にもいくらでもある。 問題 2.6 答えは (1) (11, 10) (2) (m + n− 2)(m + n − 1)2 + n 番目 である。以下、理由を説明する。まず、問題文から、組 (a, b) は • 和 a + b が小さいものが手前にある • a + b の値が同じなら、b が小さいものが手前にある というルールで並べられていることがわかる。自然数 k に対して、a + b = k となる (a, b) は k− 1 組ある から、a + b が N 以下である組の総数は Nk=1 (k− 1) = (N− 1)N 2 (∗) である(N は自然数)。

(6)

(1) の解法:上の (∗) の値が 200 に近くなる N を探して計算してみると N = 20 のとき (∗) = 190, N = 21 のとき (∗) = 210

であることがわかる。よって、求める組 (a, b) は、「a + b = 21 であり、a + b = 21 となる (a, b) のうち、b は小さいほうから 10 番目」となっている(200− 190 = 10 に注意)。これは、b = 10, a = 21 − 10 = 11 と いうことである。以上で、求める答えが (11, 10) であることが示された。 (2) の解法:a + b < m + n となる組 (a, b) の総数は、上の (∗) に N = m + n − 1 を代入して求まり、そ の値は(m + n− 2)(m + n − 1) 2 である。さらに、a + b = m + n となる組 (a, b) の中で (m, n) は n 番目に 並んでいるから、求める答えは、(m + n− 2)(m + n − 1) 2 + n 番目、となる。 問題 2.7 答えは、a =−3, b = −5, c = 15 である。 答えを求めるために、方程式 (1) と (2) の共通解を x = α、方程式 (2) と (3) の共通解を x = β、方程 式 (1) と (3) の共通解を x = γ、とおく。すると、「3 つの方程式すべてに共通な解はない」という仮定に よって、 (1) の解は x = α, γ, (2) の解は x = α, β, (3) の解は x = β, γ であることがわかる。よって、解と係数の関係から α + γ = 2, α + β = 4, β + γ = 8 が導かれる。これを解いて、 α =−1, β = 5, γ = 3 が得られる。(注:この連立方程式を解くには、まず 3 つの式を足して α + β + γ = 7 を導くのが簡単な方 法である。)ここでまた (1)(2)(3) の解と係数の関係を使えば、 a = αγ =−3, b = αβ = −5, c = βγ = 15 となる。これで答えが求められた。 コメント:この問題では、「(1) と (2) と (3) のすべてに共通な解はない」という仮定が重要である。(実 際、この仮定がなければ、a, b, c は定まらない。)したがって、解答でも、この仮定を利用した箇所を明示 する必要がある。 問題 2.8 簡単な等式

f (a + h)− f(a − h) = f(a + h) − f(a) − (f(a − h) − f(a)) により、k =−h とおくとき f (a + h)− f(a − h) 2h = 1 2 ( f (a + h)− f(a) h + f (a + k)− f(a) k ) (∗) が成り立つことがわかる(h6= 0)。ここで h → 0 とすれば、k → 0 であるから、微分係数の定義により、 (∗) の右辺は 12(f0(a) + f0(a)) = f0(a) に収束する。よって、(∗) の左辺も f0(a) に収束する。これで、問 題の前半の等式が証明された。 問題の後半の主張を示すために、反例として f (x) =|x| (絶対値関数), a = 0 を挙げる。実際、この関数の場合には、 f (a + h)− f(a − h) 2h = |h| − | − h| 2h = 0→ 0 (h → 0)

(7)

であるが、f (x) は x = 0 で微分可能ではない。 問題 2.9 答えは O = 0, M = 1, Y = 2, E = 5, N = 6, D = 7, R = 8, S = 9 で、これが唯 1 つの解である。このとき、等式は 9 5 6 7 + 1 0 8 5 1 0 6 5 2 となる。 答えにたどり着く方法はいろいろあるが、ここでは 1 つの推論の過程を提示する。説明のために、数字 の縦の並びを「列」と呼ぶことにする。たとえば、N, R, E は「右から 2 番目の列」である。ここでの考 察の基本アイディアは、足し算の際の「桁上がり」に注目することである。(また、「異なる文字には異な る数字が入る」という条件も重要である。) まず、一番左の列の下に M があることから、「M = 1、かつ、右から 4 番目の列で桁上がりが起きてい なくてはならない」ということがわかる。(この時点で、 M = 1 )。 さらに、右から 4 番目の列の足し算は、右から 3 番目の列に、(1) 桁上がりがあれば S + 1 + 1 = O + 10 であり、(2) 桁上がりがなければ S + 1 = O + 10 である。(1) の場合は S = O + 8 となり、S ≤ 9 と O6= M = 1 より O = 0, S = 8 でなくてはならない。ここで、O = 0 で右から 3 番目の列に桁上がりがあ るためには、右から 2 番目の列に桁上がりがなくてはならない。そのときは、右から 3 番目の列の足し算 は 9 + 0 + 1 = 10 となるしかなく(O = 0 に注意)、すると N = 0 である。しかし、これは N 6= O という 条件に反している。以上で、「(1) の場合は起こらない」ことが示せた。よって、(2) の場合が起きなくては ならないので、S = O + 9 である。すると、S ≤ 9 より、S = 9, O = 0 でなくてはならない。(この時点 で、 M = 1, S = 9, O = 0 )。 次に、右から 3 番目の列の足し算を考えると、O = 0 であることより、もし右から 2 番目の列に桁上が りがないと、E = N となってしまい、問題の仮定に反する。よって、「右から 2 番目の列には桁上がりが あり、かつ、N = E + 1 である」ことがわかる。(この時点で、 M = 1, S = 9, O = 0, N = E + 1 )。 右から 2 番目の列には桁上がりがあるので、一番右の列に、(i) 桁上がりがなければ N + R = E + 10 で あり、(ii) 桁上がりがあれば N + R + 1 = E + 10 である。ここで、N = E + 1 であることより、(i) の場合 は R = 9 であり、(ii) の場合は R = 8 が成り立つ。しかし、すでに S = 9 がわかっているので、R = 9 で はない。つまり、(i) の場合は起こらない。よって、(ii) が起こるので、「一番右の列には桁上がりがあり、 R = 8」である。(この時点で、 M = 1, S = 9, O = 0, R = 8, N = E + 1 )。 一番右の列に桁上がりがあるので、D + E = Y + 10 が成り立っている。すでに数字 0, 1, 8, 9 が使われ ているので、D, E, Y は 2 から 7 までの数字でなくてはならない。したがって、D + E = Y + 10 が成り立 つ可能性は、(a)Y = 3 かつ D, E = 7, 6、または、(b)Y = 2 かつ D, E = 7, 5 のどちらかである。(a) の場 合、E = 7 であると N = E + 1 = 8 となるが、R = 8 よりこれは起きない。さらに、(a) の場合、E = 6 なら D = 7 でなくてはならないが、すると N = E + 1 = 7 = D となり、これは N 6= D という仮定に反 する。結局、(a) の場合は起きない。(b) の場合でも、上と同じ理由で E = 7 にはなれない。よって、残っ た可能性としては、Y = 2, D = 7, E = 5 しかない。このとき、N = E + 1 = 6 である。

以上で、等式を成立させる可能性は M = 1, S = 9, O = 0, R = 8, Y = 2, D = 7, E = 5, N = 6 しかない ことが示された。実際に、これらの値が問題の等式を成立させることが確かめられる。

(8)

「集合・写像・論理」(中島匠一) 第 3 章の章末問題の解答例 問題 3.1 答えは、「1 つ」。 コメント:集合{{1, 2}} の元は、{1, 2} である。 問題 3.2 (1) 正しい。 (2) 正しくない。 (3) 正しくない。 (4) 正しい。 (5) 正しくない。 (6) 正しくない。 (7) 正しくない。 (8) 正しい。 (9) 正しくない。 (10) 正しい。 問題 3.3 (1) 1, 2, 3, 4, 5, 6 (2) 1, 2, 3, 4, 6, 12 (3) 1, 2, 3 (4) 1, 2, 3, 4, 5, 6, 8, 10, 12, 15, 20 問題 3.4 (1) {n ∈ Z | n ≡ 0 (mod 2)} または {2n | n ∈ Z} または {· · · , −4, −2, 0, 2, 4, · · ·} など。 (2) {n ∈ N | n! ≤ 3n} (3) {n ∈ Z | n ≡ 1 (mod 4)} または {1 + 4k | k ∈ Z} など。 (4) {a2+ b2 ∈ N | a, b ∈ Z} または {n ∈ N | n = a2+ b2,∃a ∈ Z, ∃b ∈ Z} または {n ∈ N | n = a2+ b2,∃a, b ∈ Z} または {n ∈ N | n = a2+ b2をみたす整数 a, b が存在する} など。 コメント:上に挙げたのは、ある程度 ”標準的 ”と思われる書き方である。他にも「正解」はたくさん ある。 問題 3.5 (1) ∅, {1}, {{2, 3}}, {1, {2, 3}} (2) ∅, {1}, {2}, {{2, 3}}, {1, 2}, {1, {2, 3}}, {2, {2, 3}}, {1, 2, {2, 3}}

(9)

問題 3.6 答えは以下の通り(図示は省略)。 (1) 2 つの直線 y = x と y =−x で区切られる平面の 4 つの領域のうち、x 軸の正の部分を含む領域と x 軸の負の部分を含む領域とを合わせた集合(境界は含まない) (2) {(x, y) ∈ R2| y ≤ x2}(放物線 y = x2の下の部分(境界を含む)) (3) {(x, y) ∈ R2| (y − 2x)(y + 2x) ≥ 0}(2 つの直線 y = 2x と y = −2x で区切られる平面の 4 つの領 域のうち、y 軸の正の部分を含む領域と y 軸の負の部分を含む領域とを合わせた集合で、境界もすべ て含む) コメント:(3) の(t に関する)方程式 xt2+ yt + x = 0 について、x = 0 のときは、これは 2 次方程式 ではない。したがって、x = 0 のときは、実数解の存在の判定に判別式は利用できず、別の議論をおこな う必要がある。この論点をはっきりさせるには (3) は適切な出題ではなく、次の (4) のほうがよかった。 (4) 集合{(x, y) ∈ R2| 方程式 xt2+ 2yt + 2− x = 0 は実数解をもつ } を求めよ。 (4) の答えは、{(x, y) ∈ R2| x 6= 0 かつ (x − 1)2+ y2≥ 1}(円 (x − 1)2+ y2= 1 の外側の領域で、境 界は、(0, 0) を含まずその他の点は含む)、となる。 問題 3.7 (1) 正しい。 (2) 正しくない。反例は、たとえば、A ={1, 2}, B = {1}, C = {2} や、A = [2, 4], B = [1, 3], C = [3, 5] ([a, b] は閉区間を表す)など。 (3) 正しい。 (4) 正しい。 コメント:(1)(3)(4) が正しいことは、定義を振り返れば、直ちに確かめられる。(2) は、ベン図を描い て考えるとわかりやすい。(2) を (1) と混同しないことが大切である。 問題 3.8 答えは、b =−3, c = −4 である。理由は以下の通り。 まず、x2− 2x − 3 = (x + 1)(x − 3) と因数分解できることから A = (−∞, −1) ∪ (3, +∞) がわかる。よって、A∪ B = R かつ A ∩ B = (3, 4] が成り立つための条件は、B = [−1, 4] である。した がって、 x2+ bx + c = (x + 1)(x− 4) = x2− 3x − 4 が成り立つので、b =−3, c = −4 である。

(10)

「集合・写像・論理」(中島匠一) 第 4 章の章末問題の解答例 問題 4.1 最初に、x が有理数の場合を考える。このとき、N x が整数となるような自然数 N をとる(具 体的には、x の分母を N とすればよい;分母については、p.15 参照)。すると、自然数 m について m≥ N =⇒ m! は N の倍数 =⇒ m! x は整数 =⇒ cos(m! πx) =±1 が成立している。よって、任意の自然数 n に対して、 m≥ N =⇒ cos2n(m! πx) = 1 が成り立つ。したがって、 「 m≥ N =⇒ lim n→∞cos 2n(m! πx) = 1 」であるので lim m→∞ ( lim n→∞cos 2n(m! πx))= 1 となる。これで、x が有理数のとき、f (x) = 1 が示された。 次に、x は無理数だとする。このときは、どんな自然数 m に対しても、m! x は整数ではない。よって、 任意の自然数 m に対して

m! x は整数ではない =⇒ cos(m! πx) 6= ±1 =⇒ | cos(m! πx)| < 1 =⇒ lim

n→∞cos 2n(m! πx) = 0 が成り立つ。任意の自然数 m に対して lim n→∞cos 2n(m! πx) = 0 なのであるから、f (x) の定義により、f (x) = 0 である(x が無理数のとき)。 以上で、f (x) が例 4.6 の関数(=ディリクレの関数)と一致することが示された。 問題 4.2 (1) f, g は全射だと仮定する。c を C の任意の元とするとき、g が全射なので、c = g(b) をみたす b∈ B が存在する。さらに、f が全射なので、b = f (a) をみたす a∈ A が存在する。よって、 c = g(b) = g(f (a)) = (g◦ f)(a) となるので、c∈ Image(g ◦ f) である。c は C の任意の元であったので、Image(g ◦ f) = C が成り立 つ。よって、g◦ f : A → C は全射である。 (2) g◦ f は全射だと仮定する。c を C の任意の元とするとき、g ◦ f が全射なので、c = (g ◦ f)(a) をみ たす a∈ A が存在する。ここで b = f(a) とおけば、b ∈ B であり、 c = (g◦ f)(a) = g(f(a)) = g(b) が成り立つ。よって、c∈ Image(g) である。c は C の任意の元であったから、g は全射である。 (3) g◦ f が全射で f が全射でない例としては、たとえば、 A ={1}, B = {1, 2}, C = {2}; f(1) = 1, g(1) = g(2) = 2 が挙げられる。f, g の定め方により (g◦ f)(1) = 2 であるから、g ◦ f : A → C は全射である。しか し、2∈ B は Image(f) = {1} に属していないので、f は全射ではない。 (4) g◦ f は全射で g は単射だと仮定する。b を B の任意の元とするとき、c = g(b) ∈ C とおく。このと き、g◦ f が全射なので、c = (g ◦ f)(a) をみたす a ∈ A が存在する。ここで b0 = f (a) とおけば、 c = (g◦ f)(a) = g(f(a)) = g(b0) である。したがって、g(b) = c = g(b0) が成立している。仮定により g は単射であるから、b = b0であ る。よって、b = b0= f (a) が成り立っているので、b∈ Image(f) である。b は B の任意の元であっ たから、f は全射である。

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問題 4.3 省略(4.2 節参照)。 問題 4.4 (1) 求める範囲は、a≤ −2 または a ≥ 0。 (2) Image(f ) は、a の範囲によって a の範囲 Image(f ) a≤ −2 [2 + a, 1] −2 ≤ a ≤ −1 [1− a2/4, 1] −1 ≤ a ≤ 0 [1− a2/4, 2 + a] a≥ 0 [1, 2 + a] で与えられる。 コメント:2 次関数 f (x) のグラフ(の、区間 [0, 1] 上にある部分)を描いて考えればわかりやすい。あ とは、(1) では「単射の定義」、(2) では Image(f ) の定義、を確認して解答すればよい。(2) の答えに登場 する値は、 2 + a = f (1), 1 = f (0), 1−a 2 4 = (f (x) のグラフの頂点の y 座標) である。 問題 4.5 求める集合は{(x, y) ∈ R2| y ≤ x2} であり、平面上の放物線 y = x2の下側(境界を含む)で ある。図示は省略する。 コメント:筆者は、次のように考えて答えに到達する。(説明のために、問題の集合を A と書くことに する。)まず、R2の点 (x, y) をとり、「この (x, y) はいつ A に属するか ? 」を考える。すると、和集合の 定義により、(x, y)∈ A となる条件は「y = 2tx − t2をみたす t∈ R が存在すること」と言い換えられる。 この条件は、「t を未知数とする 2 次方程式 t2− 2x t + y = 0 が実数解をもつ」と同値である。最後に、判 別式による 2 次方程式の実数解の存在の判定法により、求める条件が x2− y ≥ 0 であることがわかる。 問題 4.6

(1) cos x の導関数は− sin x であり、− sin x の導関数は − cos x である。これを繰り返して、cos x が何 回でも微分できることがわかる。(注:cos x の n 階導関数は cos(x + nπ2 ) と表される。) (2) f (x) = sin x が条件をみたす。 (3) g∈ C∞(R, R) とする。このとき、f (x) =x 0 g(t)dt (x∈ R) とおく。(注:g(x) は微分可能なので 連続であり、したがって、積分可能である。)すると、微積分の基本定理により、D(f ) = g である。 また、D(f ) = g と g ∈ C∞(R, R) により、f∈ C(R, R) であることもわかる。g は C(R, R) の 任意の元であるから、これで、D が全射であることが示された。 (4) 定数関数は C∞(R, R) の元である。また、定数関数は、D によって 0 に写る。したがって、D は単 射ではない(定数関数は無限個あることに注意)。 問題 4.7 答えは、21 である。解答法の例を 2 つ挙げておく。 (解答例 1:素朴な方法)条件 f (1)≤ f(2) ≤ f(3) ≤ f(4) ≤ f(5) において、= が成立せず、< が成り 立っている箇所の個数によって分類すると

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(i) < がない場合 (ii) < が 1 箇所ある場合 (iii) < が 2 箇所ある場合 に分けられる(B の元が 3 つであるので、< が 3 箇所以上でおこることはない)。それぞれの場合の写像 の個数を求めると (i) f (1), f (2), f (3), f (4), f (5) はすべて等しいが、その値が、6, 7, 8 である場合の 3 通りがある。 (ii) f (1), f (2), f (3), f (4), f (5) に登場する数が 6, 7 と 6, 8 と 7, 8 の場合の 3 通りがあり、それぞれの場合 について、< の位置が 4 通りおこる。よって、全部で 3× 4 = 12 通りがある。 (iii) 数列 f (1), f (2), f (3), f (4), f (5) には、3 つの数 6, 7, 8 すべてが登場する(よって、登場する数の選び 方は 1 通り)。また、< の位置は4C2= 6 通りの選び方がある。よって、選び方は 1× 6 = 6 通りと なる。 以上により、求める個数は 3 + 12 + 6 = 21 である。 (解答例 2:重複組み合わせを応用)問題の個数は、3 個のものから重複を許して 5 個取り出す方法の 数に等しい。(B の 3 個の元 6, 7, 8 から重複を許して 5 個取り出し、それらを小さい順に並べたものを f (1), f (2), f (3), f (4), f (5) とすればよい。)一般的に、r 個のものから重複を許して n 個とり出す方法の数r+n−1Cn= (r + n− 1)! (r− 1)! n! に等しい。この結果を r = 3, n = 5 に適用して、答えは 7!2! 5!= 21 となる。 問題 4.8 (1) 全射は全部で 6 つあり、それらは f f (1) f (2) f (3) 全射 1 a a b 全射 2 a b a 全射 3 a b b 全射 4 b a a 全射 5 b a b 全射 6 b b a で与えられる(全射 1、等の番号には、特に意味はない)。 (2) 全射は全部で 6 つあり、それらは g g(1) g(2) 単射 1 a b 単射 2 b a 単射 3 a c 単射 4 c a 単射 5 b c 単射 6 c b で与えられる(単射 1、等の番号には、特に意味はない)。 問題 4.9 答えは、3 (3n−1− 2n+ 1) である。以下、解答法の一例を説明する。 写像 f :{1, 2, · · · , n} → {1, 2, 3} の総数は 3nである(命題 4.59 参照)。よって、全射とならない f の個 数を求めれば、答えが求まる。f が全射にならないのは Image(f ) が{1}, {2}, {3}, {1, 2}, {1, 3}, {2, 3} の どれかに等しい場合である。それぞれの場合について、f の個数を求める。

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まず、Image(f ) = {1} となる f が唯 1 つであることは(写像の定義から)すぐにわかる。同様に、 Image(f ) ={2}, Image(f) = {3} となる f も、それぞれ 1 つだけである。

次に、Image(f ) ={1, 2} となる f の個数を求めるために、まず、Image(f) ⊂ {1, 2} となる f の個数を 求める。Image(f )⊂ {1, 2} をみたす f の個数は {1, 2, · · · , n} から {1, 2} の写像の個数と同じであるから、 2n に等しい(命題 4.59 参照)。Image(f ) ⊂ {1, 2} となる f のうち Image(f) = {1, 2} とならないのは、

Image(f ) ={1} または Image(f) = {2} となる場合だけである。そして、上に述べたように、Image(f) = {1} または Image(f ) ={2} となるのは、それぞれ 1 通りである。したがって、Image(f) = {1, 2} となる f の 個数は 2n− 2 に等しい。同様にして、Image(f) = {1, 3}、Image(f) = {2, 3} となる f の個数も、それぞ れ 2n− 2 である。 以上により、求める個数は 3n− 3 × 1 − 3 × (2n− 2) = 3 (3n−1− 2n+ 1) である。 問題 4.10 写像 f は全単射である。(したがって、単射でもあり、全射でもある。)写像 g は、単射であ るが、全射ではない。(したがって、全単射ではない。) コメント:f が全単射であることは、定義に従って確かめてもよい(難しくはない)。しかし、この場合 は「逆写像を作ってしまう」のが簡単である。具体的には、写像 h : A→ A を h(s) = s 2 (s∈ A) と定めれば、h は f の逆写像であることがすぐにわかる。よって、f は全単射である(命題 4.39(2))。 g の定義域が正の有理数全体であることから、g は単射となる。しかし、有理数の 2 乗とならない有理数 がある(たとえば、2 は有理数の 2 乗ではない;例 2.4 参照)ので、g は全射ではない。 問題 4.11 たとえば、n∈ N に対して f (n) = { (n/2, 0) (n が偶数のとき) ((n + 1)/2, 1) (n が奇数のとき) とすれば、f (n)∈ N × A である。こうして定まる写像 f : N → N × A が全単射であることが、容易に確 かめられる。 コメント:g : N× A → N を g((m, a)) = 2m − a (m ∈ N, a ∈ A) と定める。この g が、上の写像 f の 逆写像である。 問題 4.12 問題の要求をみたす f は無数にある。ここでは、問題 2.6 から生じる写像を挙げておく。 与えられた t∈ N に対して、f(t) ∈ N2を次のように定める:まず、t に対して (N− 1)N 2 < t≤ N (N + 1) 2 をみたす自然数 N をとる。(条件をみたす N が唯 1 つ定まることが簡単に確かめられる。)そして、 n = t−(N− 1)N 2 , m = N (N + 1) 2 + 1− t とおく。このとき、N の定め方より、n と m は自然数であり、m + n = N + 1 が成り立っている。最後 に、f (t) = (m, n)∈ N2とする。 こうして定まる写像 f : N→ N2は全単射であり、f の逆写像 f−1: N2→ N は f−1((m, n)) = (m + n− 2)(m + n − 1) 2 + n ((m, n)∈ N 2 )

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で与えられる。

コメント:上の f が全単射であること、f−1が上のように与えられること、の証明は、問題 2.6 の解答 参照。

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「集合・写像・論理」(中島匠一) 第 5 章の章末問題の解答例 問題 5.1 (答え 1)x16= x2または x16= x3または x26= x3 (答え 2)x16= x2または x26= x3 (答え 3)(x1− x2)2+ (x1− x3)2+ (x2− x3)26= 0 コメント:数式 x1= x2= x3は「x1= x2 かつ x2= x3」という意味であるから、これを自然に否定す れば、「答え 2」になる。もちろん、x1= x2= x3は「x1= x2 かつ x1= x3」とも解釈できるから、これ を否定して、「x16= x2または x16= x3」と答えても正解である。 一方、数式 x1= x2= x3を「x1, x2, x3は、3 つとも等しい」と捉えて(自然に)否定すれば、「解答 1」 となる。(「答え 1」と「答え 2」が同値であることを確認しておいてほしい。) また、「答え 3」は、x1, x2, x3が実数だという前提の上での解答である。「答え 2」が一番簡単ではある が、「答え 1」「答え 3」は「x1, x2, x3の 3 者を対等に扱っている」という意味で好ましいように(筆者に は)思える。 問題 5.2 (解答例 1)命題 5.10(1) を繰り返し適用し、さらに 5.2 節、5.3 節で挙げた性質を使うと P =⇒ ((P =⇒ Q) =⇒ Q) ⇐⇒ P =⇒ ((¬P ∨ Q) =⇒ Q) ⇐⇒ P =⇒ (¬(¬P ∨ Q) ∨ Q) ⇐⇒ P =⇒ ((P ∧ ¬Q) ∨ Q) ⇐⇒ P =⇒ ((P ∨ Q) ∧ (¬Q ∨ Q)) ⇐⇒ P =⇒ (P ∨ Q) (理由:¬Q ∨ Q は常に真) ⇐⇒ ¬P ∨ (P ∨ Q) ⇐⇒ (¬P ∨ P ) ∨ Q となる。すると、¬P ∨ P は恒真命題である(=排中律)から、上の最後の命題は恒真命題である。これ で、P =⇒ ((P =⇒ Q) =⇒ Q) が恒真命題であることが示せた。 (解答例 2)真偽表を書くと、 P Q P =⇒ Q (P =⇒ Q) =⇒ Q P =⇒ ((P =⇒ Q) =⇒ Q) T T T T T T F F T T F T T T T F F T F T となり、P =⇒ ((P =⇒ Q) =⇒ Q) が恒真命題であることが確かめられる。 コメント:「解答例 1」の途中に出てきた命題「P =⇒ (P ∨ Q)」は(明らかに)恒真命題である。した がって、この命題と同値だ、とわかった段階で解答を終了することもできる。 問題 5.3 答えは、(2) である。 解法としては、登場するすべての命題について真偽表を作成する方法があるが、煩雑になるので、省略 する。この問題では、主張の「意味」を個別に考えるほうがわかりやすい(と、筆者は思う)。 まず、(P ∨ Q) =⇒ R と (2) が同値であることはすぐにわかる。(「P または Q のどちらかが成り立てば R が成り立つ」というのは、「P が成り立つときは R が成り立つし、同時に、Q が成り立つときも R が成

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り立つ」ということと同じ。)次に、「P が偽、Q が真、R が偽」という場合には、(P∨ Q) =⇒ R は偽で あるが、(1)(3)(4) は真である。よって、(P∨ Q) =⇒ R は (1)(3)(4) のどれとも同値ではない。 問題 5.4 答えは、 (1) 正しくない。 (2) 正しくない。 (3) 正しい。 (4) 正しくない。 (5) 正しい。 (6) 正しくない。 である。以下、簡単に理由を説明する。(√2,√3 は無理数で、0 は有理数であることに注意。) (1) a =√2, b =−√2 が反例になっている。 (2) a =√2, b =−√2 が反例になっている。(注:(1) が正しくないので、当然 (2) も正しくない。) (3) a が無理数で b が有理数だとする。このとき、もし a + b が有理数なら、等式 a = (a + b)− b の左辺 が無理数で右辺が有理数となり、矛盾である。また、a が有理数で b が無理数の場合も同様に矛盾が 導かれる。これで (3) の主張が証明された(背理法)。 (4) a =√2, b = 0 が反例になっている。 (5) a, b が両方とも有理数なら、a + b も有理数である。(5) は、この(明らかに正しい)主張の対偶であ るから、正しい。 (6) a =√2, b =√3 が反例になっている。(注:2 +3 は無理数であることがわかっている。この事 実の証明は難しくないが、参照先として、 ウォルタース(著)、中島匠一(訳)「算数から始めよう!数論」(岩波書店) の問題 2.32 の解答(p.155)を挙げておく。) 問題 5.5 命題の書き表し方は無数にあるので、この問題の答えの書き方も 1 通りではない。ここでは、 比較的理解しやすいと思われる表示を 2 つずつ挙げておく。 R : ¬P ∧ Q, ¬(Q =⇒ P ) S : (P ∨ Q) =⇒ (P ∧ Q), (P =⇒ Q) ∧ (Q =⇒ P ) コメント:R や S の「求め方」を説明しておこう。まず、P∧ Q の真偽表が「1 箇所だけ T で、あとの 3 箇所は F 」となっていることに着目する。(P∧ Q の場合は、P と Q が両方とも真のときが T で、その 他は F である;表 5.1 参照。)次は、P や Q の否定と組み合わせると、T の位置を調整して、「1 箇所だけ T で、あとの 3 箇所は F 」となる命題がすぐに作れる。たとえば、問題の R はこのパターンで、「P が F かつ Q が T 」のときだけ R が T となる。すなわち、「¬P が T かつ Q が T 」のときだけ T になる命題を 作ればよいので、¬P ∧ Q が R に該当する。(R のもう 1 つの表示については、命題 5.12(2) 参照。) 命題 S については T が 2 箇所登場するが、それは、「または」を活用して対処できる。具体的には、 P∧ Q は「P, Q が両方とも真」の場合だけ T がある命題で、¬P ∧ ¬Q は「P, Q が両方とも偽」の場合だ けに T が登場する命題であることに注目して、この 2 つの命題の「または」をとれば、問題の S に該当

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する命題が作れる。結局、命題 (P∧ Q) ∨ (¬P ∧ ¬Q) の真偽表は S に要求された条件をみたす。だから、 (P∧ Q) ∨ (¬P ∧ ¬Q) を答えとしてもよい。上では、この命題を =⇒ を使って書き換えた形を挙げておい た(その方がわかりやすいように感じたので)。 問題 5.6 説明の都合上、「P が Q の十分条件である」ことを「P =⇒ Q が成立する」と表現し、「P が Q の必要条件である」ことを「Q =⇒ P が成立する」と表現する(p.159 の説明参照)。 (1) P =⇒ Q は成立しない(反例:x =√2, y =−√2)。Q =⇒ P が成立することは、明らか。 (2) P =⇒ Q は成立しない(反例:x = 3, y = 12)。Q =⇒ P が成立することは、明らか。 (3) P =⇒ Q は成立する。(証明:P が成り立つとすれば、xy > 0 より、x, y は両方とも正か、両方とも 負であるかのどちらかである。しかし、両方とも負だとすると、x + y < 0 となり、x + y > 0 であ ることに反する。よって、x > 0 かつ y > 0 でなくてはならないので、Q が成り立つ。) Q =⇒ P が成立することは、明らか。 (4) P =⇒ Q は成立する。(証明:xy < 0 という条件から、x, y が両方とも 0 以下であることはあり得ず、 どちらかは正でなくてはならない。) Q =⇒ P が成立しないことは、明らか(x, y が両方とも正の場合、Q は真だが P は偽である)。 (5) P =⇒ Q は成立しない(反例:x = −1, y = 2)。また、Q =⇒ P も成立しない(反例:x = 1, y = −2)。 (6) P =⇒ Q は成立する。(証明:x2+ y2< 1 とすれば、|x|2< x2+ y2< 1 より|x| < 1 が成り立ち、同 様にして|y| < 1 も示される。) Q =⇒ P は成立しない(反例:x = y = 34)。 問題 5.7 「数学の論理」での正解は (中島君が)勉強しているとしたら、それは(彼が)叱られたからだ などと表現できる。 コメント:ジョーク、を説明するのは無粋(ぶすい)かもしれないが、理解されないのも悲しいので、念 のために説明しておきたい。まず、問題の文章を「叱られない ならば 勉強しない」と「命題」の形に書 き表す。そして、文の形から「形式的に」対偶をとると、「(勉強しない、の否定) ならば (叱られない、 の否定)」となる。さらに、「2重否定は、もとに戻る」というルールを使うと、「勉強する ならば 叱ら れる」となり、これを「日常的表現」に直すと、 勉強すると叱られる となる。対偶をとっただけでこんな事態に追い込まれたのでは、「中島君が、あまりにも哀れ(「おしん」 の時代じゃないんだから)」と感じてしまう。それに、そもそも中島君を「勉強しなさい」と叱っていた はずの親(問題には「親」とは書いてないが、多分、そうなのでしょう)が、「勉強すると叱る」というの は、どうしても納得できない(対偶ともとの命題は、同値(つまり、内容は同じ)なはず)。「さて、いっ たいどこでおかしな世界に迷い込んでしまったのでしょうか?」というのがこの問題の本当の「中身」で ある。しかし、これは「論理」の問題ではなく、「日本語での表現」に関する問題である。 問題 5.8 途中の計算で、 (Y + Z)3= Y3+ 3Y2Z + 3Y Z2+ Z3 (∗) と展開している部分が間違っている。この等式は、Y と Z が可換である(つまり、Y Z = ZY が成立する) ときは正しいが、無条件では成立しない。そして、この問題の状況では、Y Z 6= ZY であり、実際に (∗) は 成り立っていない。

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コメント:問題 5.7 の状況でも有効な等式は、 (Y + Z)3= Y3+ Y2Z + Y ZY + ZY2+ Y Z2+ ZY Z + Z2Y + Z3 である。この等式からは、矛盾はおきない。 問題 5.9 A が B に追いつくのは、 403 分後。(注: 40 3 = 13.33· · · である。) 答えの出し方はいろいろあり得るが、たとえば、次のような導き方ができる。 1 分間で進む距離を(池を 1 周する距離を基準に)計算すると、A は 15 周で、B は 18 周である。よって、 A と B の差は、1 分間で 15 −18 = 340周だけ広がる。A が B に最初に追いつく、というのは、1 周分の差 がつくことだから、そのための時間は 40 3 分となる。 コメント:上の考え方は、数式を使って表すこともできる。二人の走った時間を x 分とすると、A は池を x 5 周して、B は池を x8 周したことになる。A が B に最初に追いつくのは、二人の走った距離に池 1 周分 の差がつくということだから、求める x は、x5 −x8 = 1 をみたす x である。この方程式を解いて、x = 403 が得られる。

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「集合・写像・論理」(中島匠一) 第 6 章の章末問題の解答例 問題 6.1 (1) 正しい。(理由:∀y (0 < y2+ 1) が真なので、x = 0 に対して、問題の主張が成り立つ。) (2) 正しくない。(理由:0 > y2+ 1 をみたす y が存在しないので、x = 0 が反例となる。 問題 6.2 (1) 正しくない。(理由:x = 0, y = 1 に対して x2+ xy− y2> 0 が成り立たない。) (2) 正しい。(理由:x = 1, y = 0 に対して x2+ xy− y2> 0 が成り立っている。 (3) 正しくない。(理由:x = 0 に対して、−y2> 0 をみたす y が存在しない。 (4) 正しくない。(理由:x0を任意にとって固定する。このとき、 lim y→∞(x 2 0+ x0y− y2) =−∞ であるの で、x2 0+ x0y− y2≤ 0 をみたす y がかならず存在する。) (5) 正しい。(理由:y0を任意にとって固定する。このとき、 lim x→∞(x 2+ xy 0− y20) = +∞ であるので、 x2+ xy 0− y02> 0 をみたす x がかならず存在する。) (6) 正しくない。(理由:すべての y について−y2≤ 0 であるので、y がどんな値であっても x = 0 に対 して x2+ xy− y2> 0 が成立しない。 コメント:(6) で、問題の条件を > 0 から≥ 0 に変えた主張「∃y ∀x (x2+ xy− y2≥ 0)」は正しい主張 である。(理由:y = 0 に対して、x2≥ 0 が任意の x に対して成立している。) 問題 6.3 答えは、−2 < a < 2 である。解法は、以下の通り。 問題に現れる不等式は、x の 2 次不等式の形で x2+ ay x + y2− 1 > 0 と表せる。次に、2 次関数についての基本的事実(判別式の性質)から、 ∀x (x2+ ay x + y2− 1 > 0) ⇐⇒ (ay)2− 4(y2− 1) < 0 (∗) であることがわかる。(∗) の右の不等式を書き換えると (a2− 4)y2<−4 (∗∗) となる。不等式 (∗∗) をみたす y が存在するための条件は、a2− 4 < 0 である。(理由:a2− 4 ≥ 0 なら、任 意の y について (a2− 4)y2≥ 0 となってしまうので、(∗∗) をみたす y は存在しない。また、a2− 4 < 0 で あれば、 y = 1 +−4 a2− 4 = 1 + 2 4− a2 が (∗∗) をみたす。)以上により、a のみたすべき条件は a2− 4 < 0 となる。よって、求める a の範囲は −2 < a < 2 である。 問題 6.4 求める条件は、それぞれ (1) a = b = 0

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(2) 条件なし(すなわち、任意の a, b が (2) をみたす) (3) a = b = 0 または b6= 0 (4) b = 0 である。以下、そうなる理由を説明する。 (1) a = b = 0 のときに (1) が成り立つのは明らか。a6= 0 なら x が実数全体を動くとき ax は任意の実数 値をとりえるので、(1) は成り立ち得ない。b6= 0 のときも同じなので、(1) が成り立つのは a = b = 0 しかない。 (2) a, b の値に関わらず、x = b, y = a に対して ax = by が成り立つ。 (3) まず b = 0 とすると、どんな y についても by = 0 なので、(3) が成り立つのは a = 0 の場合しかな い。また、b6= 0 なら、任意の x について y = axb とおけば ax = by が成り立つ。つまり、b6= 0 の ときは、a の値に関わらず、(3) が成立している。 (4) b = 0 なら、x = 0 が等式 ax = by をみたす(x = 0 より ax = 0 で、b = 0 より by = 0)ので、(4) が成り立つ。b6= 0 なら、y が動くとき by は任意の実数値をとり得る。よって、どんな x について も「∀y (ax = by)」は成立しない。以上により、(4) が成り立つのは b = 0 のときだけであることが わかる。 問題 6.5 最初に、f (x) が (0, c) 上一様連続であることを証明する。そのための準備として、まず x, a∈ (0, c) =⇒ |f(x) − f(a)| ≤ 2c|x − a| (∗) が成り立つことを証明する。 ((∗) の証明)x, a ∈ (0, c) より |x|, |a| < c であるから、 |x2− a2| = |x + a||x − a| ≤ (|x| + |a|)|x − a| ≤ 2c|x − a| となり、(∗) が成り立つ。 さて、f (x) が (0, c) 上一様連続であることの証明に移る。そのために、(任意に)与えられた  > 0 に対 して、δ = 2c > 0 とおく。このとき、この δ について x, a∈ (0, c) かつ |x − a| < δ = |f(x) − f(a)| ≤ 2c|x − a| ((∗) による) = |f(x) − f(a)| < 2cδ (|x − a| < δ による) = |f(x) − f(a)| <  (δ の定義による) が成り立つ。 は任意の正の数であったから、これで f (x) が (0, c) 上一様連続であることが証明された。 次に、f (x) は (0,∞) 上は一様連続でないことを示す。そのためには、f(x) = x2, I = (0,∞) について、 定義 6.25 の条件 (6.58) が成り立たないことを示せばよい。これは、ある 0> 0 に対して、条件 x, a∈ (0, ∞) かつ |x − a| < δ =⇒ |x2− a2| < 0 (∗∗) をみたす δ > 0 が存在し得ないことを示せばよい。これを背理法で示すために、(∗∗) をみたす 0 > 0 と δ > 0 があったと仮定する。このとき、N δ2 >  0をみたす自然数 N を 1 つとり(δ2> 0 より、これは可 能)、x =(N + 12 ) δ, a = N δ とおく。すると、 |x2− a2| = (( N +1 2 )2 − N2 ) δ2= ( N +1 4 ) δ2> N δ2> 0

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が成り立つ(注:最後の不等式が成り立つのは、N の定め方による)。しかし、x, a ∈ (0, ∞) であり |x − a| = δ2 < δ であるから、この不等式は (∗∗) に矛盾している。これは、(∗∗) をみたす 0> 0 と δ > 0 が存在しないことを示している。よって、f (x) は (0,∞) 上、一様連続ではないことが示された。 コメント:解答の後半では、どんな 0に対しても (∗∗) をみたす δ が存在しないことを証明した。しか し、「(0,∞) 上で一様連続ではない」ことを示すためには、「任意の 0」を扱う必要はなく、「(∗∗) をみた す δ が存在しないような 0」が「少なくとも 1 つ」存在することを示せば十分である。つまり、上の解答 は、「要求されている以上のこと」を証明している。とはいえ、0の値を限定して議論しても特別わかりや すくなるわけでもないので、上の解答では、0を限定せずに議論を進めておいた。 問題 6.6 答えは、t≥ 3 である。解法は、以下の通り。 2 次関数の判別式を利用すれば、条件「∀x ∈ R (f(x) > 0)」が (a − 1)2− 4 < 0 と同値であることがわ かる。また、簡単な計算により、この条件は−1 < a < 3 と表せる。同様に、2 次関数のグラフを考えるこ とで、条件「∀x ∈ R (g(x) > 0)」が「t > 0 かつ a2− t2 < 0」と同値だとわかる。そして、この条件は −t < a < t と言い換えられる(−t < t から、必然的に t > 0 が導かれることに注意)。 以上により、求めるべきは、「−1 < a < 3 =⇒ − t < a < t」が成り立つ t の範囲である。よって、答 えは t≥ 3 となる。 問題 6.7 答えは、 「a = b = c = 0 かつ d > 0」 または 「a > 0 かつ d > b 2+ c2 4a 」 である。 理由は、以下の通り。 まず、a < 0 であれば、x, y が十分大きいとき a(x2+ y2) + bx + cy + d < 0 となるので、条件はみたさ れない。

また、a = 0 なら条件は「∀x ∈ R ∀y ∈ R (bx+cy +d > 0)」となるが、b, c のどちらかが 0 でないときは、 この条件は成り立ち得ない(理由:たとえば b > 0 なら、x が負で絶対値が十分大きいとき bx + cy + d < 0 となる、など)。そして、a = b = c = 0 なら、問題の条件は d > 0 と同じである。 最後に、a > 0 のときは、平方完成による等式 a(x2+ y2) + bx + cy + d = a ( x + b 2a )2 + a ( y + c 2a )2 + d−b 2+ c2 4a に注意すれば、問題の条件が成り立つのが、d > b24a+ c2 のときであることがわかる。 問題 6.8 答えは、 (1) R (2) {x ∈ R | x > 1} (この集合は、区間の記号(p.62 参照)を使えば (1, +∞)(または、(1, ∞))と表 される。) である。理由は、以下の通り。 (1) 任意の x∈ R について y < x < y2をみたす y∈ R があることを示せばよい。まず x ≤ 0 のときは、 y < x をみたす y をとればよい(y2> 0 なので x < y2は自動的に成り立つ)。次に x > 0 のときは、 たとえば、y =−√x + 1 が条件をみたす。(理由:y2= x + 1 > x であり、y < 0 であるから、y < x

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(2) x が (2) の集合の元だとすれば、0 < y < x < y2をみたす y ∈ R が存在する。このとき、特に 0 < y < y2であるから、y > 1 が成り立つ。よって、x > y > 1 であるので、x > 1 が成り立つ。 逆に、x > 1 であるときは、y = x + 12 とおけば、0 < y < x < y2が成り立つ。(理由:x− y = x− 1 2 > 0, y 2− x = (x + 1)2− 4x 4 = (x− 1)2 4 > 0 である。)したがって、x > 1 なら、x は (2) の 集合に属している。 以上で、(2) の集合が{x ∈ R | x > 1} に等しいことが示された。

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「集合・写像・論理」(中島匠一) 第 7 章の章末問題の解答例 問題 7.1 答えは、10 人以上 27 人以下、である。理由は、以下の通り。 クラスの学生の中で、兄弟・姉妹の両方がいる人、兄弟だけのいる人、姉妹だけのいる人、兄弟も姉妹 もいない人、の数を、それぞれ r, k, s, n とする。このとき、問題で与えられた条件は、 r, k, s, n≥ 0, r + k + s + n = 50, r + k = 33, r + s = 27 である。最後の 2 つの式を使って k, s を消去して条件を表すと、 0≤ r ≤ 27, n ≥ 0, n = r − 10 となる。この条件は、 10≤ r ≤ 27, n = r − 10 と同値であるので、求める r の範囲は、10≤ r ≤ 27 である。 コメント:上の解答例はベン図を使わずに書いた。しかし、クラス全体の集合・兄弟のいる人の集合・姉 妹のいる人の集合、をベン図に表すと、わかりやすいかもしれない。 問題 7.2 答えは (1) 2a− b + c 軒、(2) −a + b − 2c 軒、である。以下、理由を述べる。 新聞を、1 種類だけとっている家、2 種類だけとっている家、の数をそれぞれ n1, n2とする。(3 種類とっ ている家の数は、c である。)このとき、問題の条件は、 n1+ n2+ c = a, n1+ 2n2+ 3c = b と表される。この式を解けば、 n1= 2a− b + c, n2=−a + b − 2c が得られる。 問題 7.3 簡単のために |A − B| = a, |B − A| = b, |A ∩ B| = c とおく。すると、問題の条件より、 a, b, c≥ 0, a + c ≥ k, b + c ≥ k, a + b + c ≥ 2k が成り立っている。 これから、 (i) a≥ k の場合 (ii) b≥ k の場合 (iii) a < k かつ b < k の場合 に分けて、A0, B0の(1 つの)作り方を述べる。 (i) の場合には、集合 A−B の部分集合 A0|A0| = k をみたすものをとる(a ≥ k より、これは可能)。次 に、集合 B の部分集合 B0|B0| = k をみたすものをとる(b + c ≥ k より、これは可能)。(A − B) ∩ B = ∅ であることから、A0∩ B0=∅ も成り立つので、この A0, B0が問題の条件をみたす。

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(ii) の場合には、A と B の役割を入れ替えて (i) と同じ議論をおこなえば、条件をみたす A0, B0をとる ことができる。(具体的には、B− A の部分集合で k 個の元からなる B0をとり、A の部分集合で k 個の元 からなる A0をとればよい。) (iii) の場合には、仮定から k− a ≥ 1, k − b ≥ 1 である。さらに、問題の仮定から、c ≥ (k − a) + (k − b) が成り立っている。よって、集合 A∩ B から (k − a) + (k − b) 個の異なる元 c1,· · · , ck−a, d1,· · · , dk−bをと ることができる。ここで、集合 A− B を構成する a 個の元と c1,· · · , ck−aを合わせてできる集合を A0し、集合 B− A を構成する b 個の元と d1,· · · , dk−bを合わせてできる集合を B0とする。この A0, B0が問 題の条件をみたすことは、容易に確かめられる。 以上、(i)(ii)(iii) のすべての場合に条件をみたす A0, B0が存在することが確かめられたので、問題の解答 が終わる。 問題 7.4 問題 4.12(の解答)によって、N2が可算無限集合であることがわかる(定義 7.25 および定義 7.24(1) 参照)。 可算無限集合の定義(=定義 7.25)と(上で示した)「N2は可算無限集合である」という事実より、2 つの可算無限集合の直積が可算無限集合であることがわかる。このことと、N3 = N2× N であり N2が 可算無限集合であることから、N3が可算無限集合であることが導かれる。すると、N4= N3× N により N4が可算無限集合であることがわかる、・・・と続けていけば、任意の自然数 k について Nkが可算無限集合 であることが示される。(厳密には k に関する数学的帰納法で議論する必要があるが、詳細は省略する。) 問題 7.5 A− B は無限集合であるから、A − B の部分集合 C で可算無限集合であるものが存在する(理 由:A− B の元を 1 つずつ次々に取り出していけば C が構成できる。A − B が無限集合であるから、この 手続きが途中で止まることはない。)このとき、和集合 B∪ C も可算無限集合である(理由:B が有限集合 なら、まず B の元に番号を振ってから、続けて C の元に番号を振れば、B∪ C の元にもれなく番号を振 ることができる;また、B が可算無限集合なら、B∪ C は N × {0, 1} と同じ濃度をもつ(B を N × {0} に 対応させて C を N× {1} に対応させればよい)ので、問題 4.11 により、B ∪ C は可算無限集合である。) 以上で、C と B∪ C の濃度が等しいことが示されたので、全単射 f : C → (B ∪ C) をとることができ る。ここで、写像 g : (A− B) → A を g(a) = { a (a6∈ C (つまり、a ∈ A − B − C) のとき) f (a) (a∈ C のとき) と定めると、g が全単射であることが容易に確かめられる。(注:g の逆写像 g−1 : A→ (A − B) は g−1(a0) = { a0 (a06∈ B ∪ C (つまり、a0∈ A − B − C) のとき) f−1(a0) (a0∈ B ∪ C のとき) で与えられる。)これで、A− B と A は濃度の等しい集合であることが示された。 問題 7.6 最初に、次の補題を証明しておく。 補題 A が無限集合であり、全射 f : N→ A が存在するなら、A は可算無限集合である。 (補題の証明)a∈ A に対して g(a) ∈ N を g(a) = (f (n) = a をみたす n∈ N の中で最小のもの) 定める(注:f が全射であるから f (n) = a をみたす n は(少なくとも 1 つ)存在するので、g(a) はちゃん と定義される)。こうして定義される写像 g : A→ N が単射であることがすぐに確かめられる(g の定義よ

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り、明らか)。A は無限集合であり単射 A→ N が存在するのであるから、A は可算無限集合である。(補 題の証明終わり) 自然数 n に対して、Anが可算無限集合であるから、 An={a (n) 1 , a (n) 2 ,· · · , a (n) m ,· · ·} (∗) と表される。そこで、写像 h : N2 n=1 Anh((m, n)) = a(n)m ∈ An n=1 An ((m, n)∈ N2) と定めれば、(∗) により、h は全射である。 一方、問題 4.12 により、全単射 j : N→ N2が存在する。よって、合成写像 h◦ j : N → A を考えれば、 j と h が両方とも全射であることから、h◦ j も全射である(問題 4.2(1) 参照)。最後に、補題を h ◦ j に適 用して、A が可算無限集合であることが証明される。 問題 7.7 N の有限部分集合全体の集合を F とし、自然数 n に対して、集合{1, 2, · · · , n} の部分集合全 体の集合を Anとする(3.10 節の記号では、An= Pow({1, 2, · · · , n}) である)。任意の n について An元は有限集合であるから、An⊂ F が成り立つので、n≥1 An⊂ F である。逆に、N の有限部分集合はあ る自然数 n について{1, 2, · · · , n} の部分集合になる(理由:C が N の有限部分集合であるとき、C の中 の最大の元を n とすれば、C は{1, 2, · · · , n} の部分集合である)ことから、F ⊂n≥1 Anが成り立つ。以 上で、F =n≥1 Anが示された。 さて、任意の自然数 n について、{1, 2, · · · , n} が有限集合であるから Anも有限集合である(命題 3.42 参照)。よって、上に示した事実 F =n≥1 Anと補題 7.28 により、F が可算無限集合であることがわかる。 問題 7.8 背理法で証明するために、Pow(N) が可算無限集合だと仮定する。すると、Pow(N) の元すべ てにもれなく番号が振れるのであるから、 Pow(N) ={A1, A2,· · · , An,· · ·} (∗) と表される。 ここで、N の部分集合 B を B ={n ∈ N | n 6∈ An} (∗∗) と定める。すると、B∈ Pow(N) であるから、(∗) によって、B = AN をみたす自然数 N が存在する。こ の N について、N ∈ AN が成り立つかどうかを考察する。 まず、N ∈ AN だと仮定する。すると、B の定義 (∗∗) によって、N 6∈ B である。しかし、AN = B で あるから、これは矛盾である。次に、N 6∈ AN だと仮定する。すると、B の定義 (∗∗) によって、N ∈ B である。しかし、AN = B であるから、これは矛盾である。 いずれにしても矛盾がおきてしまった。これは、(∗) が成り立ち得ないことを示している。これで、(背 理法により)Pow(N) が可算無限集合でないことが証明された。 コメント:(1) 上の解答の論法は、カントールの対角線論法(p.219 の証明 2 参照)の変形であり、こ の論法自体を「対角線論法」と呼ぶことも多い。

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