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ユーラシア草原地帯東部の初期騎馬遊牧文化の展開 過程

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Academic year: 2021

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

ユーラシア草原地帯東部の初期騎馬遊牧文化の展開 過程

戴, 玥

http://hdl.handle.net/2324/2235993

出版情報:九州大学, 2018, 博士(文学), 課程博士 バージョン:

権利関係:

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(様式6-2)

氏 名 戴 玥

論 文 名 ユーラシア草原地帯東部の初期騎馬遊牧文化の展開過程

論文調査委員

主 査 九州大学 教授 宮本 一夫 副 査 九州大学 准教授 辻田 淳一郎 副 査 九州大学 教授 坂上 康俊 副 査 九州大学 教授 遠城 明雄

論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨

上記の論文では、ユーラシア東部草原地帯の紀元前1千年紀における青銅器の短剣、刀子、鏃、

轡の型式学による通時的な変化を明らかにし、大きく二段階の変遷を明らかにした。さらに各段階 の青銅器型式の分布動態を検討することにより、カラスク文化からタガール文化への変動とともに、

タガール文化内での地域的な文化動態を示した。特に紀元前6~5世紀に見られる前期タガール文化 から後期タガール文化への変動により、南シベリアを中心とする青銅器文化がユーラシア草原地帯 東部のみならずユーラシア草原地帯西部へも拡散する動きを指摘した。同時に、ユーラシア草原地 帯東部の東端である燕山地域の玉皇廟文化の青銅武器や馬具が、南シベリアへ広がっていく過程を 明らかにしている。さらに、こうした青銅器文化の時空的変動を社会発展と自然の環境変動の二側 面から検討するとともに、遊牧社会を基盤とするユーラシア草原地帯東部の北方青銅器文化と農耕 社会である戦国時代の燕国や趙国との文化接触が、北方青銅器文化の文化動態への影響を与えたこ とを論述している。

第1章は、まず本地域の紀元前1千年紀における初期騎馬遊牧文化の研究史をまとめる。そして、

北方青銅器文化研究の動向を示すとともに方法論を吟味し、初期遊牧騎馬文化を明らかにする学史 的な意義を述べる。さらに、青銅器の短剣、刀子、鏃、轡の個別の編年研究に関わる研究史を述べ るとともに、個々の問題の所在を提示する。そして、それを解決するための方法を明らかにしなが ら、各型式の編年に基づく分布論的分析を行うことにより、歴史叙述を目指すことを述べている。

第2章から第5章では、青銅短剣、青銅刀子、青銅鏃、青銅轡をそれぞれ型式学的に分析するとと もに、墓葬一括遺物や墓葬のAMS年代測定値から検証し、段階設定を行っている。さらに、各型式 の分布論から、時空上の各青銅器の分布動態を明らかにした。第6章では、このような青銅器の各 型式の段階的な変遷を様式的に把握し、ユーラシア東部草原地帯青銅器文化の編年的な段階設定を 示すとともに、青銅器文化の時空的な変動を明らかにしている。そして、紀元前9世紀頃に始まる 青銅武器と馬具の第1期が、カラスク文化からタガール文化への移行期であることを示し、ここに 本地域での初期騎馬遊牧文化の始まりを示している。さらに紀元前6~5世紀の前期タガール文化か ら後期タガール文化への移行は、南シベリアを中心とするユーラシア草原地帯東部のみならずユー ラシア草原地帯西部への文化発信を示すだけでなく、反対にユーラシア草原地帯東端の玉皇廟文化 の南シベリアへの影響関係という複雑な状況を明らかにした。そして、こうした文化変動を環境変 動と社会発展という側面から検討し、社会集団の移動の可能性を述べている。さらに、農耕社会で

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ある戦国時代領域国家の遊牧社会への北進が、ユーラシア草原地帯東部社会の社会集団の移動を促 したと解釈している。

終章では、紀元前1千年紀のユーラシア草原地帯東部における初期騎馬遊牧文化の文化動態を、

青銅武器と馬具からまとめた。さらに、環境変動と遊牧社会内部の社会発展とともに、農耕社会と の文化接触という視点からも、こうした文化動態のメカニズムを明らかにした。このようにして、

初期騎馬遊牧文化という人類史においても特異な文化様態に関して、初めて歴史的な叙述を試みよ うとしたところに、本博士論文の意義がある。

以上から、本調査委員会は、本論文の提出者が博士(文学)の学位を授与されるにふさわしいも のであると認めるものである。

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