マロリーによる頭韻詩『アーサーの死』の翻案とキ ャクストンの改訂
著者 秋篠 憲一
雑誌名 主流
号 77
ページ 1‑20
発行年 2015‑10‑30
権利 同志社大学英文学会
URL http://doi.org/10.14988/pa.2017.0000015252
マロリーによる頭韻詩『アーサーの死』の翻案と キャクストンの改訂
秋 篠 憲
はじめに1
サーートマス・マロリー(SirThomas Malory)の『アーサー玉の死j. (Le Mo rte Dαrthur)は1485年にウィリアム・キャクストン(WilliamCaxton) によって活版印刷によって刊行されたが,このキャクストン版(以下C版 と略す)第6巻「ランスロット(Lancelot)の物語」では,いよいよ遍歴の 騎士としてのランスロットの冒険の数々が描かれる.その中にはモルガン (Morgan)らによるランスロット誘拐と求愛,そのときに言及されるラン スロットのグウィネヴイア(Guinevere)への愛に象徴されるように,ラン スロットの愛の問題もとりあげられるが,ラルフ。ノリス(RalphNorris) が指摘するように,マロリーは,主たる典拠であるフランスの流布本物語群 の『散文ランスロ
J
(Prose Lαncelot)の大幅な改変を行う(80).マロリーのランスロットの官険物語の冒頭では,まず直前に語られた,
アーサー(Arthur)のローマ遠征について短く触れられ,プロットの展開 につながりをもたせる.また馬上槍試合がさかんに行われたとあり,ローマ 皇帝となったアーサー王の絶対的な権力のもと平和な国の支配が強調される.
このあと特に the今rsteknyght(253.13),すなわち円卓騎士団のトップの 卓越した騎士であるランスロットの武勲と名誉について述べられる.また特 に注目すべきは,ランスロットの秀でた活躍ゆえに ...queue Gwenyvere had hym [Lancelot] in grete favoure aboven all other knyghtis, and so he loved the quene agayne aboven all other ladyes dayes of his lyff, and for
2 マロリーによる頭韻詩『アーサーの死Jの翻案とキャクストンの改訂
hir he dud many dedys of armys and saved her frome the fyre thorow his noble chevalry(253.15‑19) Iと語られ,ランスロットと王妃グウイネヴイ アの強い愛の粋が強調される点である.
このように第6巻の官頭で,他を圧するランスロットの武勇と彼の王妃へ の献身的な愛が述べられるが マロリーはすでに第5巻の「アーサー王と皇 帝ルーシアス(Lucius)の物語
J
で,ランスロットを登場させ,その活躍 ぶりを描き,また彼の王妃への愛を暗示する箇所を用意する.メアリー。E・デイツクマン(MaryE. Dichmann)が述べているように,マロリーは,
第 5巻において,やがてこの物語において中心的役割を担うランスロットの 人物描写を周到に行うのである(90).作品の結末におけるエクター(Ector) の亡きランスロットへの讃辞が示すようにマロリーのロマンスの主人公はラ ンスロットと言っても過言ではない.マロリーはランスロットの最期を描く ために,王妃との修道院での別れの場面を中心に人行連詩『アーサーの死
J
(Le Mo rte Arthur)を典拠として使用している.またランスロットを作品の 中で本格的に登場させるために,脇役的存在ながら彼を描いている頭韻詩
『アーサーの死』 (MarteArthure)を翻案しているが,この詩が典拠として 用いた年代記の伝統では,ランスロットは登場することはない.拙論では,
マロリーが,第6巻を念頭に置きながら,頭韻詩において脇役的存在のラン スロットを主役的存在へとどのように変貌させていったかを詳細に分析した い.またマロリーのランスロット像をW版と C版で比較分析しマロリー ではなく,キャクストンがどのようにア}サー王のローマ遠征の物語を改訂 したのか,果たしてどの程度キャクストンは作者マロリーの創作意図を理解 していたのかの問題についても検討してみたい.従来,主として言語の分析 からキャクストンが改訂したことが実証されてきたが,本論文では,ランス ロットの人物造形,作者の翻案の意図という観点からキャクストンが改訂し たことを論証してみたい また私の論の傍証となるキャクストンの改訂の実 例として,他に,作品解釈上極めて重要なマロリーの恋愛論とも密接な関連
マロリーによる頭綴詩『アーサーの死』の翻案とキャクストンの改訂 3
を持つ,アストラット(Astolat)の乙女の臨終の秘蹟の場面をとりあげた
し、
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マロリーがアーサー王のローマ遠征を書くにあたって,主として使ったの は, 1400年頃に書かれたとされる頭韻詩の『アーサーの死』である.作者 不詳のこの作品の顕著な特徴は,モルドレッド(Mordred)謀反の知らせを 本国から受ける直前にアーサーが見る世界の九偉人についての運命の女神の 夢の挿入とアーサーとモルドレッドの直接対決と死,そして作品におけるラ ンスロットの登場である.4346行からなるこの詩の6箇所でランスロット について言及されるが,その中から重要な4筒所を選んで、考察したい.
元日に,アーサー王の宮廷に予告もなくローマ皇帝の使者がやって来る.
16名の騎士とともにやってきた元老院議員は,収穫祭までにアーサーがロー マ皇帝の前に伺候しなぜローマに反抗し,貢ぎ物を怠っているのか説明せ よ,もし皇帝ルーシアスによるこの召喚を拒否すれば,ブリテン本土を焼き 尽くすと伝える.アーサー王は激怒するが,そののち慈悲を請う使者を寛大
にもてなしローマ皇帝からの召喚に対していかに対処すべきか重臣らと協 議する.まずカドー(Cador)卿の好戦的な態度表明のあと3人の王と一人 の騎士が闘うべしと意見を具申し,いよいよランスロットが戦いへの決意を 以下のように述べる.
Now may lesse men haue leue to say whatt them lykes And hafe no lettyng be lawe. Bot lystynnys pise wordez: I sall be at journee with gentill knyghtes
On a jamby stede full jolyly graythide,
Or any journee be gane to juste with hym selfen [Lucius]
4 マロリーによる頭韻詩 jアーサーの死』の翻案とキャクストンの改訂
Emange all his geauntez, Genyueys and oper,
Stryke hym styffiye fro his stede with strenghe of myn handys, For all pa steryn in stour pat in his stale houys.
Be my retenu arayede, I rekke bott a lyttill To make rowtte in to Rome with ryotous knyghtes; Within a seuenyghte daye with sex score helmes I sall be seen on the see, saile when pe lykes. (370‑81) 2
まず\身分低き者 lessemenにも意見を述べる機会をお与えくださいと,
遜った態度を示す.この言葉によってランスロットの若さ,騎士になってま だ月日が経っていないこと,ローマ皇帝の主君への侮辱にたいして居ても 立っても居られない気持ちが表されている.そして,ランスロットはローマ 軍の巨人達の自の前で,みずからの手で皇帝に攻撃を加え,馬からたたき落 とすと誓う.このような大胆な誓いをするのは, 7人の助言者の中でランス ロットだけである.そして120名の騎士を引き連れて参戦することを表明す る.
甥であるモルドレッドを国事代行者に任命したあと,王の軍勢は,大陸に 上陸し ドイツを経てフランスに進箪したローマ軍と戦うことになる.フラ ンスからの救援要請に応えるべく,アーサーはガウェイン(Gawain)らを 皇帝への使者として派遣する.使者は,直ちにアーサーの支配する領土から 軍を撤退せよとのアーサーの要求を皇帝に伝えるが,ガウェインの横柄とも 言える言葉に対し皇帝の叔父が,ガウェインをほら吹であると罵倒したた めに,激怒したガウェインがその場でこのローマ皇帝の叔父を殺しいそい で逃げることになる.そして逃げるアーサー王の使者と追いかけるローマ軍 の戦いが始まり,そこへア}サー側の援軍が加勢し激戦となる.この戦い で,ローマ軍の武将はじめ多くの兵がアーサー王の捕虜となり,パリへ護送 されることになる.アーサーはカドーたちに護送を命じるが,皇帝側も途中
マロリーによる頭綴詩『ア}サーの死jの翻案とキャクストンの改訂 5
で待ち伏せして,捕虜の奪還を企てる.敵軍 5万人が森の中で待ち伏せして いるのを知ったクレジス(Clegis)は指揮官であるカドーに敵軍との遭遇を 避けるように進言するが,それに対して指揮官は回避することは恥であると,
闘うことを決意する.カドーは Itware schame pat we scholde schone for so lytyll. I Sir Lancelott sall neuer laughe, pat with pe kynge lengez, I That I sulde lette my waye for lede appon erthe!'(1719‑21)と述べる.
もレ怖じ気づいて敵前逃亡すれば,今アーサーのもとに留まっているランス ロットに笑われることになると答える.指揮官カドーは,主君に身分をわき まえず遠慮なく発言する,若いながらも大胆不敵なランスロットに瑚笑され るのを恐れたのであろう.アーサ一軍のなかでのランスロットの存在感がう かがわれる箇所である.後に詳しく論じるが,マロリーでは,ランスロット 自身も護送隊の指揮官として参加することになり,この引用箇所はマロリー の翻案を考える時に重要な意味を持ってくる.その後,待ち伏せしたローマ 軍と護送隊との間で再び激戦が繰り広げられ,捕虜は無事パリに送り届けら れる.
いよいよアーサー王とローマ皇帝との直接対決である.皇帝ルーシアスは アーサーによって殺されるが,年代記の伝統では,誰がルーシアスを殺した かについては,はっきりと描かれないが,この頭韻詩では,マロリーが読ん だであろうジョン・ハーデイング(JohnHardyng)の年代記と同様に,
アーサーが直接ルーシアスを殺すことになる.ただし頭韻詩では,アー サーと皇帝の戦いの前に,ランスロットと皇帝の戦いが以下のように挿入さ れる.
Now buskez sir Launcelot and braydez full euen To sir Lucius the lorde, and lothelye hym hyttez; Thurghe pawnce and platez he percede the maylez, That the prowde pensell in his pawnche lengezー
6 マロリーによる頭韻詩『アーサーの死』の翻案とキャクストンの改訂
The hede haylede owtt behynde ane halfe‑fote large! Thurghe hawberke and hanche with pe harde wapyn The stede and the steryn mane strykes to pe grownde, Strake down a standerde and to his stale wendez. (2073‑80)
槍で攻撃を加え,その槍が皇帝の腰の部分を貫通し,さしもの権力者ルーシ アスもランスロットによって軍馬もろとも大地に倒される.このようにラン スロットの誓いは見事果たされる.年代記の伝統にはないランスロットの活 躍が描かれる.
最後にランスロットの死の場面について考察したい.彼の死について詩人 は次のように描く.
Bot when sir Arthur anon sir Ewayne he 今ndys, And Errake pe auenaunt and oper grett lordes‑
He kawghte vp sir Cador with care at his herte, Sir Clegis, sir Cleremonte, pes clere men of armes, Sir Lothe and sir Lyonell, sir Lawncelott and Lowell, Marrake and Meneduke, pat myghty ware euerー(4262‑67)
謀反をおこしたモルドレッドとアーサーの死闘の直後にカドーはじめ主だ、っ た騎士の遺体を,致命傷を負ったアーサーが発見し働突する場面である.
主だった騎士の一人がランスロットである.ランスロットの死は,モルド レッドとの戦いで殺され,弟モルドレッドによって賛美の言葉とともに嘆か れるガウェインの英雄的な死と比べてあっけないものになっている.皇帝と の名誉ある戦いはあるが,ガウェインに比べて,やはりこの作品ではランス ロットは脇役的存在である.この死の場面がそれを物語っている.しかし、注 目すべきは,この作品の作者が年代記に描かれてきたア}サー王のローマ遠
マロリーによる頭韻詩 fアーサーの死Jの翻案とキャクストンの改訂 7
征にランスロットを登場させたことである.運命の女神についての夢は13 世紀に藷:かれた流布本物語群の『アーサー王の死j(LαMort le Roi Artu) からの影響であると考えられ,ロマンスの世界で活躍するランスロットを何
とか叙事詩的,年代記的なものと融合させたいという意図があったのかもし れないが,まさか,それをのちにマロリーがより大胆に推し進めるとはこの 詩人は思ってもみなかったであろう.
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それではマロリーは主たる典拠である頭韻詩『アーサーの死
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をどのよう に翻案したのであろうか.またW版と C版でどのような相違があるかにつ いて論じたい.まず流布本物語群のプロットの展開に沿うように,すなわ ち,モルドレッドの謀反によるアーサー王の宮廷の崩壊を聖杯探求のあとに 持ってくるために頭韻詩の最後の4分の1を削除する.すなわちアーサーの 見る運命の女神の夢と,モルドレッドの反乱とモルドレッドおよびアーサー の死の部分である.そして王妃への愛の奉仕を貫仁円卓騎士団の冗he fyrste knyght としてのランスロットの登場のお膳立てをするのである.マロリーの「アーサー王と皇帝ルーシアスの物語」の冒頭は, W版では 次のようになっている.
Hyt befelle whan kyng Arthur had wedded quene Gwenyvere and fulfylled the Rounde Table, and so aftir his mervelous knyghtis and he had venquyshed the moste party of his enemyes, than sone aftir com sir Launcelot de Lake unto the courte, and sir Trystrams come that tyme also .... (185.1‑6)
まず注目すべきはアーサーとグウィネヴイアの結婚とランスロットとトリス
8 マロリーによる頭韻詩『アーサーの死jの翻案とキャクストンの改訂
トラム(Tristram)がアーサーの宮廷にやってきたことが語られることで ある.この部分は, C版では削除されている.アーサーとグウイネヴイアの 結婚に関しては,マーリン(Merlin)がC版第3巻1章で,彼女と結婚し でも,やがてランスロットと彼女が愛しあうと言って反対をする.マーリン が警告をしたランスロットが宮廷にやってきたのである.またトリストラム も叔父マーク(Mark)玉の妃イズー(Iseult)との不倫の愛が知られてお り,二人の到着は,物語の波乱含みの展開を告げる.
次に,ローマ皇帝の脅しに対してどう対処すべきかアーサーが家臣たちに 意見を求める場面であるが,頭韻詩と同じくランスロットが次のような参戦 表明をする.
Than leepe in yong sir Launcelot de Laake with a lyght herte and seyde unto kynge Arthure
,
Thoughe my londis marche nyghe thyne enemyes, yet shall I make m戸ieavow aftir my power that of good men of armys aftir my bloode thus many I shall brynge with me: twenty thousand helmys in haubirkes attyred that shall never fayle you whyles oure lyves lastyth. (189. 30‑190.5)マロリーは原拠である頭韻詩をうまく活用する.まずランスロットの若さが 述べられ,そして支配する領土が敵と隣接しているため防御を固める必要 があるが,主君のため2万人もの軍勢を引き連れて参加することを誓う.
頭韻詩の120名に比べると,人数の多さが彼のこの戦いへの意気込みを表し ている.一方C版では,ぺ..syre Ider his [Uwains] sone with their cosyns promysed to brynge xxx M I thenne syre launcelot with alle other promysed in lyke wyse euery man a grete multytude(162.3‑5)となって いる.イドレス(Ider)が3万人の軍勢を率いると約束したのち,あっさり と,ランスロットと他のものたちが多くの兵とともに参戦すると約束したと
マロリーによる頭韻詩『アーサーの死]の翻案とキャクストンの改訂 9
述べられるだけである.マロリーは会話を巧みに使いながらプロットを展開 し
, しかも作品にとって重要な言葉も登場人物の会話の中で使うが,この箇 所をみるだけでも, C版ではランスロットの会話が活かされておらず,作者 の意図が反映されていない. したがって,この C版の改訂ではランスロッ
トの存在がきわだ、ってこない. しかもランスロットの登場は唐突で,いつ彼 が宮廷にやって来たか述べられていない.
いよいよアーサーは王妃を国に残し,軍を率いて大陸へ赴く.このとき,
W版と C版でも以下のようにトリストラムとイズーの愛のことが述べられ る. ...sir Trystrams at that tyme he [Arthur] left with kynge Marke of Cornuayle for the love of La Beale Isode, wherefore sir Launcelot was passyng wrothe(195. 8‑10).なお引用はW版からである
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版では突然トリストラムがこのローマ遠征の物語で登場することになり,不自然さがあ るが, W 版ではすでに物語の冒頭で二人の騎士が言及されており,それは ない.この箇所では, R.M.ルミアンスキー(R.M. Lumiansky)も one slight indication of Lancelots love for Guenevere(96)と指才商しているよ
うに,ランスロットの王妃への愛がほのめかされている. トリストラムは愛 するイズーのそばにいられるのに,なぜ自分は愛する王妃のもとを離れなけ ればならないのかというランスロットの気持ちが示されている.ランスロッ トはアーサ一の宮廷にやってきたばかりである.それでは彼はいつ王妃への 忠誠を誓うようになったのであろうか.そのへんの経緯については, C版第 18巻7主主でランスロット自身によってアーサーに説明される.ランスロット がアーサーによって騎士に叙任された時に,ランスロットが己の剣を見失い,
そのとき王妃が自分の服の袖にその剣を隠しそっとランスロットに手渡し てくれたために,彼は恥をかかずにすんだのである.そして Ipromysed her at that day ever to be her knyght in ryght othir in wronge(1058. 30‑ 32)と堅く誓ったのである.典拠である頭韻詩にはない,遠征に参加しない
トリストラムに対するランスロットの腹立ちの場面は,やがて展開される王
10 マロリーによる頭韻詩『アーサーの死Jの翻案とキャクストンの改訂
妃との不倫の愛の序曲の役割を果たしており,作者による重要な加筆であ る.
大陸に渡ったアーサ一軍とルーシアス軍の戦いが始まるが,ここではロー マ軍の捕虜のパリへの護送について考察したい.頭韻詩では,ランスロット は護送隊に参加していないが,マロリーでは指揮官としてカドー以上の扱い を受け,いかにアーサーがランスロットを信頼しているかが示され,ランス ロットの重要な役割が示される.この点に関してデイツクマンは次のように 論じている.
In the Morte Arthure, the king gives Sir Cador command of the company and names eleven knights to accompany him, excluding Lancelot. In The Tale of King Arthur and the Emperor Lucius , however, Malory is consistent with his policy of accenting Lancelots importance; he not only adds him to the expedition, but even places him above Sir Cador in command. (77)
W版では,以下の引用にあるように,アーサーが他の戦士が聞こえるとこ ろで,ランスロットを指揮官に任命しデイツクマンが述べるように,ラン スロットのこの作戦における重要な役割が強調される.
... also he [Arthur] called sir Launcelot in heryng of all peple, and seyde,
I pray the, sir, as thou lovys me, take hede to thes other knyghtes and boldely lede thes presoners unto Paryse towne there for to be kepte surely asくthoumy> love woll have, and yf ony rescowe befalle, moste I affyeくmein the>, as Jesu me helpe.'(212. 9同15)
マロリーによる頭韻詩『アーサーの死』の翻案とキャクストンの改訂 11
この引用から,いかにアーサーがランスロットを信頼しているかが読み取れ る.これに比べてC版では," ... on the morne he [Arthur] sente alle the prysoners in to parys vnder the garde of syre launcelot with many knyghtes & of syr Cador(171. 7司9)と述べられるだけで,アーサーじき
じきのランスロットへの命令が省かれ,王の家臣ランスロットへの信頼感が イ云わってこない.
また護送中, 6万のローマ軍が森に潜んでいることがわかった時,それに ひるむことなく,ランスロットは次のように指揮官として部下を勇気づけ る. ...to turne is no tyme, for here is all olde knyghtes of grete worshyp that were never shamed. And as for me and my cousyns of my bloode, we ar but late made knyghtes, yett wolde we be loth to Iese the worshyp that oure eldyrs have deservyd(213. 31‑35).この部分はC版では削除されて いる.特に控目すべきは,ランスロットが自分と従兄弟は最近騎士になった ばかりであるが先輩の騎士たちが得てきた名誉を失いたくないと述べること である.騎士になったばかりのランスロットが指揮官として騎士にふさわし い言葉で,味方の軍勢を励ます.このような彼だからこそ王の信頼を得るこ とができるのである.ランスロットのこの言葉は,彼の人物描写にとって非 常に重要なものであるが, C版では削除されている.
いよいよ待ち伏せしたローマ軍とランスロットとカドーが指揮する護送隊 との戦いが始まる.ランスロットのめざましい活躍は以下のように描かれ る.
... sir Launcelot ded so grete dedys of armys that day that sir Cador and all the Romaynes had mervayle of his myght, for there was nother kynge, cayser, nother knyght that day myght stonde hym ony buffette. Therefore was he honoured dayes of his lyff, for never ere or that day was he proved so well, for he and
12 マロリーによる頭韻詩『アーサーの死jの翻案とキャクストンの改訂
sir Bors and sir Lyonel was but late afore at an hyghe feste made all three knyghtes. (216. 19同25)
ここでもランスロットと彼の従兄弟が最近騎士に叙任されたことが言及さ れ,ランスロットの若さと,カドーだけではなく,敵のローマ人も驚嘆する
ような卓越した武勇が強調される.C版で、も
nobly that no man myght endur令ea stroke of his hande I but where he came he shewed his prowesse and myght I for he slewe doune ryght on euery syde I And the Romayns and sarasyns fledde from hym as the sheep fro the wulf or fro the lyon(171. 28司33)とランスロットの活躍ぶり が描かれるが,すべてのローマ人が驚く武勇という表現はない.敵もが驚嘆 する武勇こそまことの武勇といえるであろう
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版の方がより鮮明にラン スロットの勇姿を伝えている.次にランスロットのローマ皇帝への攻撃について分析してみたい.頭韻詩 ではランスロットのルーシアスへの攻撃が描かれるが,マロリーも同じく,
ランスロットに皇帝との一騎打ちという名誉を与える. しかしここで注目し たいのは, C版ではこの戦いが一切削除されていることである.護送隊の指 揮官としての活躍はランスロットにとって武勇を示す絶好の機会であったこ とは間違いない.しかし 敵の大将との戦いこそランスロットの騎士として の生涯においてまさに門出を飾るものである.このアーサーのローマ遠征の 物語の中でもっとも重要な戦いをマロリ}は以下のように描く.
... he [Lancelot] russhed forth unto sir Lucyus and smote hym on the helme with his swerde, that he felle to the erthe; and syth he rode thryse over hym on a rowe, and so toke the baner of Rome and rode with hit away unto Arthure hymself. And all seyde that hit sawe there was never knyght dud more worshyp
マロリーによるE賢官員詩『アーサーの死Jの翻案とキャクストンの改訂 13
in his dayes. (220. 17同23)
頭韻詩ではランスロットは槍で攻撃を加えるが,マロリーでは剣を振るっ て,ルーシアスの兜に打撃を加え 馬から落とす.さらに落馬した皇帝の体 の上に三度馬を走らせ,ローマ軍の軍旗を奪いアーサーのもとにそれを持ち 帰るのである.これを目撃した人々は,これほどの武勲を成し遂げたものは いないとその活躍ぶりに驚く.マロリ}においてランスロットがルーシアス を殺すことはないが,一騎打ちにおいては,ランスロットが勝利をおさめた のは確かである.ランスロットはローマ箪との戦いにおいて,騎士として最 も価値ある勝利を得たのである.
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版で削除されているこの戦いは,ランス ロット像をつくりあげていく tできわめて重要な役割を果たしている.ランスロットに焦点を絞り,マロリーによる頭韻詩の翻案と,翻案箇所に ついてW版とC版の比較分析をしてきたが,最後にローマ皇帝となった アーサーがランスロットとボース(Bors)に封土を与える場面について考 察したい.これは頭韻詩にはなく,またC版でも削除されている.へレン・
クーパー(HelenCooper)はW版をもとにマロリーの作品を編纂している が,この版では,読者が喜びそうなアーサーと邪悪な巨人との戦いは詳しく 描かれるが,アーサ}とルーシアスの物語のさまざまなものが大幅に削除さ れている.しかしこのJ極めて短くなったクーパー版マロリーでも,これか ら述べる箇所については 省略されていない.この箇所の重要性に気づいた からであろう.アーサーは二人に,先祖伝来の領地をうまく治めるように,
また家臣によって統治権が脅かされることのないよう心がけよと命じる.そ してランスロット一族にとって宿敵であったクラウダス(Claudas)の領地 を彼らで分かち合うように また一族の騎士とともに円卓騎士団の一員とし て奉仕するよう申し渡す.そしてランスロットとボースは王に感謝し,
their hertes and servyse sholde ever be his owne(245. 25‑26)と主君に 誓う.こののちランスロット一族は,ガウェイン一族とともに円卓騎士団を
14 マロリーによる頭韻詩『アーサーの死]の翻案とキャクストンの改訂
支える二本の大黒柱となるが,このアーサーのローマ遠征の物語の結末にお いて,アーサーとランスロット一族が,主君と家臣という堅い緋で結ぼれる のである. しかしランスロットは王妃を愛することになり,王妃との不倫 が要因のーっとなって,アーサーは家臣によって主権を脅かされ,またラン スロット一族とガウェイン一族の対立が生じることになる.主君への忠誠と 王妃への罪深き忠誠,まさにアーサー王宮廷の悲劇の始まりである
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版 では,「アーサー王と皇帝ルーシアスの物語」は,ランスロットとトリスト ラムの宮廷到着で幕をあけたが,今述べたように,ランスロットとボースの 主君アーサ}への忠誠の誓いで、幕を閉じるのである.C版のテキストは,こ の重要な二点を削除しているのである.このことは,キャクストンがマロ リーの翻案・創作の意図を卜分に理解していないことを示している.E
マロリーの作品を出版する際に,写本をもとに作品を巻と章に分けるだけ ではなく,キャクストンが「アーサー王と皇帝ルーシアスの物語」を改訂し たのかどうかの問題は, 2000年に刊行された TheMαlory Debαte: Essαys on the Texts of Le Morte Darthurの中で,マロリーが改訂したと主張する ウィリアム・マシューズ(WilliamMatthews)とそれに異を唱える学者た ちの論争が展開されているが マーフゲレット・メアリー・ローランド (Margaret Mary Roland)はローマ軍との戦いの物語そして作品全体をキャ クストンが改訂したという説が学者の関では優勢で、あると述べている(130‑ 31).「アーサー王と皇帝ルーシアスの物語」のW版とC版の比較分析が示
しているように,マロリーではなくキャクストンが改訂した可能性が大きい と私は判断する.それでは,改訂したのがキャクストンだとして,彼は,マ ロリーがフランス・イギリスの典拠をどのような意図で、翻案したのかをどの 程度理解していたのであろうか.理解していないのではないかと思われる改
マロリーによる頭韻詩『アーサーの死』の翻案とキャクストンの改訂 15
訂の具体例をさらに提示したい.マロリーの作品を解釈するうえで,極めて 重要な彼の恋愛論に閲する部分である.このロマンスではランスロットと王 妃の不倫の愛がア」サー王宮廷の崩壊に関連してくるので,作者の二人の愛 を中心とした恋愛観の理解が作品を解釈するうえで必須のものとなる.
キャクストンが改訂したと考えられる一つの例として,アストラットの乙 女の臨終の秘蹟の場面をとりあげる.死を間近にして,司祭からランスロッ トへの思いを捨てなさいと言われた彼女が述べる以下の言葉である.これは 作者独自のもので,典拠である流布本物語群の『アーサー王の死』にも八行 連詩の『アーサーの死』にもない. しかもこれらの典拠ではこの乙女に名前 が与えられていないが,マロリーではエレイン(Elaine)という名前が与え
られている.
Why sholde I leve such thoughtes? A m I nat an erthely woman?
And All the whyle the brethe ys in my body I may complayne me, for my belyve ys that I do none offence, thou[gh] I love an erthely man, unto God, for He fourmed me thereto, and all maner of good love comyth of God. And othir than good love loved I never sir Launcelot du Lake. (1093. 3‑8;下線部筆者)
注目すべきは,下線部の箇所である.この世の男を愛しているが,神がその ように愛する私をお造りになったのです.しかもあらゆる goodloveは神 から生じるものであり,冶oodlove 以外で私はランスロットを愛したこと はありませんと主張する. C版のテキストでは,先ほど指摘した下線部が総 て削除されている.削除の理由としては,おそらくエレインの言葉が神を官 演するかのようなものに思えたのかもしれない.読者・聴衆にとってキリス
ト教の教えに惇る過激な内容だと判断したのかもしれない.
しかしこの削除された部分はマロリーの恋愛論を考える時に,重要性
16 マロリーによる頭韻詩|アーサーの死』の翻案とキャクストンの改訂
を持ってくる.マロリーはC版第18巻25章で次のように独自の恋愛論を 展開する.まず
quarell muste com of thy lady. And such love I calle vertuouse love" (1119. 28‑30)と述べ,神への信仰を第ーとし,そのあと愛する人のために闘う愛
を"vertuouselove,,と呼ぶ.ちなみに,引用の中にある" quarellという言 葉は, C版第19巻「荷車の騎士の物語
J
の中で,王妃の不義を告発したメ リアガウント(Meliagaunt)とランスロットの決闘裁判でも使われる.そ して不倫の罪を犯している王妃のランスロットへの愛は, vertuouselove"とは呼べず,彼女を,罪深いが五月のように変わることのない愛ゆえに,
trew lover" (1120. 12)と呼ぶ.マロリーは登場人物の台詞のなかに重要な 言葉を盛り込むが,ガウェインの弟アグラヴェイン(Agravain)らによっ て王妃との密会の;場を襲われたときに,ランスロットは王妃に alloure trew love ys brought to an ende(1168. 26‑27)と言い,マロリーはランス
ロットに trewlove,,という言葉を使わせる.ランスロットが王妃との愛を trew love と呼ぶわけであるが,独自の恋愛論の中で王妃を trewlover"
と呼んでいるように,作者も二人の愛を trewlove,,と考えていることがわ かる.これと同じように,エレインの愛をマロリーは goodloveと考えて いるのである.
それではなぜそのように呼ぶのであろうか.死ぬ間際になってもランス ロットへの思いを捨てないエレインの司祭への反抗的態度,またキャクスト ンが削除するぐらいの過激で潰聖的とも思える発言,とても ver旬 ouse love,,とは呼べない.しかし彼女の愛は一途で、,汚れのないものである.
不倫の愛のように罪深くない.そこでマロリーは goodloveというカテゴ リーを考え出したのではないかと推測できる.キャクストンはこの good love,,が二回使われる箇所を削除してしまったのである.果たして彼はマロ
リーの恋愛論をどの程度理解していたのであろうか,はなはだ疑問である.
マロリーの恋愛論は聖杯探求直後の C版第四巻の最終章で展開される.し
マロリーによる頭綴詩『アーサーの死Jの翻案とキャクストンの改訂 17
かもこの巻では,ランスロットをめぐって王妃の罪深い不倫の愛と,それと は対照的なエレインの罪汚れのない一途な片思いの愛が描かれる.この巻に とって trewlove,,とgood love,,はキーワードとなるのである.今述べた キャクストンによる改訂のやり方は,第 5巻の改訂のやり方と共通点を持っ ている.つまり,作者マロリーの翻案・創作意図を深く理解していないので ある しかもいずれもこの作品で主人公ともいえるランスロットに関連した 箇所であり,作者の巧みな翻案を損なうようなキャクストンによる改訂であ
る.
おわりに
アーサー王と王妃の墓の前での祈りと悔俊の日々のあとランスロットの魂 は天へと召されて行くが,彼の亡骸が埋葬された喜ぴのとりでにやって来た 弟エクターが亡き兄を賛美する言葉がある.エクターは ...thou were the truest frende to thy lovar that ever bestrade hors, and thou were the trewest lover, of a synful man, that ever loved woman, and thou were the kyndest man that ever strake wyth swerde (1259. 13四16)と述べる.こ
の讃辞は,マロリーが描き出したランスロット像の総括とも言えるものであ る.特に王妃との関係で, trewestlover,,という最上級を用いた表現とそ の直後の asynful man は罪深い不倫の愛でありながらも二人の愛の一途 さを見事に表している.実は,このマロリーの作品の中でも最も重要な一節 は,ヴイナヴァもヴィナヴア・フィールド版の注釈(1662)で指摘してい るように,マロリーが典拠とした頭韻詩をモデルにした可能性がある.頭 韻詩では,モルドレッドが兄ガウェインをみずからの手で殺した後に,後 悔の念とともに Manehardyeste of hande, happyeste in armes, I And pe hendeste in hawle vndire heuen riche, /Pe lordelieste ofledynge qwhylls he lyffe myghte, I Fore he was [a] lyone allossede in londes inewe(3878‑
18 マロリーによる頭韻詩[アーサーの死
J
の翻案とキャクストンの改訂81)と,兄を賞賛する.エクターの言葉と同じように最上級を用いながら,
戦いの場だけではなく,宮廷での振る舞いをふくめてガウェインの騎士とし ての美徳を讃えるものである.モルドレッドは,伝統的に反逆者として悪の 化身のような存在として描かれるが,ここでは肉親の命を奪ったことを涙な がらに悔いる彼の人間的な面が描かれる.頭韻詩の中でもっとも印象に残る 場面である.マロリーは頭韻詩の最後の四分のーを削除したが,恐らく彼の 心にも,削除した部分にあったこのモルドレッドの言葉がいつまでも残り,
その影響のもとに弟エクターの兄ランスロットへの讃辞を考え出したのでは ないかと推測できる どちらも弟による亡き兄への言葉である.もしそうな ら,マロリーはランスロットの騎士としての生涯を描くにあたり,その始ま りと終わりを,頭韻詩を翻案して描き出したと言える.
マロリーは頭韻詩を翻案しながら,アーサー王のローマ遠征の物語を書い たが,その際に, C版第6巻「ランスロットの物語」で語る" thefyrste knyght としてのランスロットの冒険と武勲,王妃への愛が念頭にあったに
ちがいない.すでに論じたように,アーサー王宮廷へのランスロットの出 現,ランスロットの王妃への愛のほのめかし パリへのローマ軍捕虜護送の ためにアーサーによって指揮官に任命されること,その際の華々しい武勲,
ローマ皇帝との戦いで、の栄えある勝利など そのための周到な準備がなされ ている.残念ながら,この巧みな翻案の技を C版のテキストでは十分に味 わうことができない.もし改訂したのがキャクストンであるならば,アスト ラットの乙女の臨終の秘蹟の場面の改訂にも現れているように,どこまで キャクストンがマロリーの翻案の意図を理解していたか疑問に残る.マロ リーはランスロットとグウィネヴイアの修道院での別れの場面からランス ロットの安らかな最期に至るまで,細心の注意を払いながら,みごとに人行 連詩の『アーサーの死jを翻案しているが,その巧みな技は頭韻詩『アー サーの死』にもすでに示されている
.c
版第6巻「ランスロットの物語」と の関連で第 5巻「アーサー王と皇帝ルーシアスの物語」を読めばそれが理解マロリーによる頭韻詩『アーサーの死j の翻案とキャクストンの改訂 19
できる.
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版のテキストではこの重要な関連性が見えてこない.もし仮にマ ロリー自身が1485年刊行の活版印刷されたC版 第5巻を読んだとすれば,果たしてどのような反応を示したか興味深いところである.作者として有力 候補であるウォリツクシャー(Warwickshire)のニューボルド・レヴェル (Newbold Revell) に 住 ん で い た マ ロ リ ー は1471年 に 死 ん だ の で (Field 126),これは不可能かもしれないが.
Y王
本稿は2015年5月24日,立正大学品川キャンパスにおいて開催された第87四日 本英文学会で口頭発表した原稿をもとに加筆したものである.
1 引用は, 1934年に発見されたウインチェスター(Winchester)写本を成本とし たユジェーン・ヴイナヴァ(EugeneVinaver)とP.J.C.フィールド(P.J.C.
Field)による校訂版を用いる.ウインチェスター版(以下W版と略す)からの引 用はすべてこの版からである.またC版からの引用はすべてH.オスカー・ソマー
(H. Oskar Sommer)版を使用する
マロリーは,アーサー王ロマンスの集大成とも言える『アーサー王の死』を書く にあたって,主たる典拠として, 13世紀フランスで舎かれた流布本物語群(The Vulgate Cycle), 1350年頃イギリスで苦かれた作者不詳の八行連詩『アーサーの 死』 (LeMo rte Arthur)および1400年頃の作とされる作者不詳の頭韻詩『アー サーの死』 (MarteArthure)を典拠として用いた.現存するマロリーの作品は,
W版とC版だけであり,
w
版の方がC版よりマロリーの原作に近いと考えられて おり,彼の作品を論じる時には, W版が使用される.本論でも, W版がC版に比 べていかに原作に近いかを詳しく論じる.2 この頭i詩からのすべての引用は,メアリー・ハメル(MaryHamel)版からで ある.この詩の現存する唯一の写本はソーントン(Thornton)写本と呼ばれ,リ
ンカン大寺院図書室(LincolnCathedral Library)に所蔵されている.
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