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微細組織制御技術特集号の発刊にあたって関 勇一

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Academic year: 2021

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 地球環境問題やより高度な安心・安全社会の実現など 今世紀に入っても社会を取巻く様々な課題があり,社会 基盤を構成する材料の高性能化,高機能化に対する期待 にはきわめて大きいものがある。一般に顧客や市場から 材料に要求されるものはマクロな性質や機能であるが,

その多くは材料の内部構造を構成する微細組織に依存す る。金属材料の微細組織制御は 1864 年,イギリスの科学 者ソルビー(H. C. Sorby)による顕微鏡組織の発見に始 まる。以来,約 140 年間にわたって多くの微細組織の形 態が見出され,また体系化されて金属組織学という学問 領域が確立されるとともに,強度や延性を始めとする材 料特性と微細組織との関係についても多くの研究により 体系化がなされてきた。材料の性能向上の歴史はまさに 微細組織をいかに制御するかの歴史である。一方,昨今 の分析・解析技術の発展により,微細組織の解析単位は 従来のミクロンオーダからナノオーダに入り,今日では 原子単位での解析が可能となっている。この解析技術の 進歩に伴い,マクロな材料の性能や機能を向上させるた めの材料技術もナノオーダでの微細組織制御というナノ テクノロジの時代に突入している。

 当社は鉄鋼やアルミニウム合金,銅合金,溶接材料な どの総合素材メーカであり,多様化かつ高度化する顧客,

市場ニーズに沿った新製品を生み出すべく,多種多様の 微細組織制御技術の開発に取組んでいる。鉄鋼やアルミ ニウム合金などの構造材料においては主にその変形,破 壊の制御という観点からの微細組織制御技術が中心であ る。例えば自動車用高張力鋼板(ハイテン)に関しては,

その一層の強靭化と優れた成形加工性を確保することを 目的にマトリックス組織の微細化技術や第二相微細分散 技術などにいち早く取組み,引張強度 100kgf/mm2を越 える超ハイテンの自動車ボディへの適用など新しい分野 への挑戦を続けている。また,ハイテンと同じく自動車 軽量化のためのキーマテリアルであるアルミニウム合金 に関しても,その変形単位となる結晶粒の微細化やその 内部構造の制御,第二相の形態制御といった新しい技術 を注入することで,その成形加工性などを飛躍的に高め るための研究開発を行っている。一方,構造用材料にお いては材料の機能の一翼を担う表面の形態制御も重要な

技術ジャンルである。例えば,橋梁用などに用いられる 耐候性鋼板はその表面の錆の形態制御が重要であり,ま た鉄鋼の高強度化に際しての課題の一つである環境脆化 に対しても表面酸化層の形態制御が不可欠である。当社 では高輝度放射光を用いた局所解析技術など多くの表面 形態解析技術に早くから取組み,そこから得られた知見 を基に独自の表面形態制御技術を確立し,当社製品の高 性能化,高機能化に反映させている。

 微細組織制御技術は,構造材料のみならず半導体の高 集積化に代表されるエレクトロニクス分野においても重 要な基盤技術である。当社はリードフレーム用銅合金や 端子・コネクタ用銅合金のトップメーカであり,高強度 化と高導電率化といった相反する特性の高度化を追求し ている。その中心となるのは生産工程での析出の制御で ある。一般に析出は変態,回復,再結晶といった他の物 理現象に比べて駆動力が大きく,制御が難しいと言われ ているが,生産プロセスでの計測,制御技術を駆使し,

より高精度な析出制御技術を実現させている。また電子 デバイス用途や硬質コーティング用を中心に脚光を浴び ている薄膜材料も最近では薄膜内部の微細組織制御技術 に開発の力点が置かれている。当社でも AIP+UBMS 複 合成膜によるナノ積層硬質膜や大気圧プラズマ CVD に よるアモルファスカーボン膜,次世代光記録用 Ag 合金反 射膜など薄膜材料の開発に力を入れており,その中で薄 膜材料の機能をより高めるための微細組織制御技術に取 組んでいる。

 本特集号では,当社におけるこれら微細組織制御技術 に関する最近のトピックスを紹介する。微細組織を制御 するには当然のことながら精緻にかつ知りたい情報を的 確に得るための分析・解析技術の高度化が必要である。

また微細組織を生産工程で実現するための高度な計測,

プロセス制御技術も必須である。本特集号では,各トピ ックスにおいて適宜これらも織交ぜながら当社の製品群 を支える先端の技術について述べている。当社の幅広い 製品群がこれら高度な技術に立脚したものであることを ご理解いただくとともに,今後のさらなる技術の進展に 向けて忌憚のないご意見を頂ければ幸いである。

神戸製鋼技報/Vol. 55 No. 1(Apr. 2005) 1

■微細組織制御技術特集  FEATURE : Recent Trends in Technology to Control Fine Microstructures

(巻頭言)

微細組織制御技術特集号の発刊にあたって

関 勇一

技術開発本部 材料研究所長

Recent Trends in Technology to Control Fine Microstructures

Yuichi Seki

参照

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