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論 文 審 査 の 要 旨

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Academic year: 2021

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別紙1

論 文 審 査 の 要 旨

報告番号 甲第2896号 氏 名

石原 雅恵

論文審査担当者

主査 教授 弘中 祥司 副査 教授 飯島 毅彦 副査 准教授 菅沼 岳史

(論文審査の要旨)

学位申請論文「Effect of the Shape of the Residual Ridge of Mandibular Complete Dentures’ and Denture Form on Retention Force」について、上記の主査1名、副査2名が個別に審査を行った。

下顎全部床義歯の維持力評価方法は確立されていないが,開口量が大きくなれば維持力は低下すること が経験的に知られている.そのため,適正な維持力測定には,開口量の規定が必要である.そこで本研究 は,維持力測定における適切な開口量を決定し,患者が使用中の義歯を用いて,顎堤形態と義歯形態が維 持力に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした.被験者は 37 名の下顎全部床義歯装着者とした.左右 中切歯正中部の切縁を咬合平面に対し斜め 45°下方に牽引し,義歯脱離時の荷重量を維持力とした.開口 量を,1,2,3 cm に規定し各 4 回測定した.さらに,中切歯切縁に対する前歯部歯槽頂の相対的な位置関 係・臼歯部顎堤の形態を計測し,維持力と比較した.開口量の増加とともに,維持力は減少した(p <

0.05).開口量 1 cm において変動係数は最も小さかった.また中切歯切縁から前歯部歯槽頂間の距離が増 加するに従い,維持力は減少した(p < 0.01).また前歯部歯槽頂の相対的な位置がより後方である場合,

維持力は減少した (p < 0.01).臼歯部顎堤の断面形態と維持力に関係がなかったが,臼歯部顎堤高さが低 いと,維持力は小さかった(p < 0.05).維持力測定において開口量の規定が必要であり,開口量 1 cm が 最適と考えられる.前歯部歯槽頂の相対的な位置および臼歯部顎堤の高さが維持力に関係することが示さ れた.

本論文の審査において、副査の飯島委員および菅沼委員から多くの質問があり、その一部とそれらに対 する回答を以下に示す。

飯島委員の質問とそれらに対する回答:

1.条件ごとの維持力において、同一被検者で 5 条件を多重比較したのならば反復のある ANOVA で分析し たのか。

(今回は対応のある多群の検定を行っている。まず、正規性の検定として Shapiro-Wilk 検定を行った。結 果は non-parametric であった。その後 5 条件(来院時、人工唾液介在で 1 cm、 2 cm、 3 cm、 ジェル介 在で 1 cm)における被検者の維持力について Friedman の検定にて分散分析(Repeated-ANOVA)後、有意 な結果が得られたため多重比較検定(Bonferroni)を行った。)

2.なぜ開口量が小さいほうが維持力は高くなるといえるのか。可動粘膜にまで延長された義歯辺縁の形 態によるものではないのか。

(本研究で用いた義歯は、製作時に筋形成を行い、通法に従い可動粘膜境界部周囲までの辺縁設計としてい る。開口量が大きくなるにしたがい頬粘膜や口輪筋は緊張し、そのために維持力は弱まったと考えられ

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る。辺縁が境界部を著しく超えた義歯や、境界部まで覆わない短い義歯の場合は小さい開口量でも維持は 弱くなると考えられるが、測定にあたり不適切な辺縁設計の義歯は使用しなかった。)

菅沼委員の質問とそれらに対する回答:

1.顎堤の高さ・形態の計測を臼歯部で行っている理由は何か

(前歯部顎堤に関しては、“前歯部歯槽頂の相対的位置の評価”の項目において計測している。中切歯切縁 から前歯部歯槽頂までの距離が長くなるということは、生体的な観点としては顎骨吸収が起きているため と考えられる。臼歯部顎堤に関しては当講座で開発した ST スケールで測定した。なお、当講座で開発した ST スケールは臼歯部における測定装置であるため前歯部に用いることができない。)

2.計測対象とした義歯の後縁はすべて正常な形態を有し、基準を満たしていたのか。後縁が短いものは 維持力も小さくなるのではないか。

(対象とした義歯は、通法通りに従い当科で作製されており、後縁についてはレトロモラーパッドの 1 / 2 ~ 2 / 3 を覆っているものとした。辺縁形態が著しく短いものや長いものは除外している。)

3.下顎前歯人工歯の排列位置で維持力に変化があるのではないか。

(義歯形態と維持力の関係より、B(中切歯切縁から義歯後縁中点)に対する A(中切歯切縁から前歯部歯 槽頂)の割合が大きくなるほど維持力が小さくなることが示された。したがって、人工歯の排列位置が内 側下方に位置する場合、維持力は小さくなると推測される。)

両副査は、上記を含めた質問に対する回答が、いずれも満足のいくものであることを確認した。

主査 弘中委員の質問とそれらに対する回答:

1.なぜ開口量が小さいほうが維持力は高くなるといえるのか。

(本研究で用いた義歯は、製作時に筋形成を行い、通法に従い可動粘膜境界部周囲までの辺縁設計としてい る。開口量が大きくなるにしたがい頬粘膜や口輪筋は緊張し、そのために維持力は弱まったと考えられ る。辺縁が境界部を著しく超えた義歯や、境界部まで覆わない短い義歯の場合は小さい開口量でも維持は 弱くなると考えられるが、測定にあたり不適切な辺縁設計の義歯は使用しなかった。)

2.測定時、咬合平面に対し 45°下方に加圧したとあるが、他の角度で測定した場合はどうなるのか。

予備実験(副論文)より、模型上において 45°で加圧した場合と 23°で加圧した場合で有意差は認められ なかった(p < 0. 01)。また、両角度間には相関が認められた(r = 0.73、p <

0.01)ため、角度の細かい規定は必要ないと考えた。実際に患者に細かく角度を規定するのは困難であり、

目視で約 45°で測定を行った。)

主査の弘中委員は、両副査の質問に対する回答の妥当性を確認するとともに、本論文の主張をさらに確認 するために上記の質問をしたところ、明確かつ適切な回答が得られた。

以上の審査結果から、本論文を博士(歯学)の学位授与に値するものと判断した。

参照

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