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(1)

事 務 連 絡 令 和 2 年 3 月 17 日

都 道 府 県

各 保健所設置市 衛生主管部(局) 御中 特 別 区

厚 生 労 働 省 医 政 局 総 務 課 厚 生 労 働 省 医 政 局 地 域 医 療 計 画 課 厚生労働省医薬・生活衛生局医薬安全対策課

アルカリホスファターゼ及び乳酸脱水素酵素の測定法の変更に係る対応 について

生化学的検査の測定項目であるアルカリホスファターゼ(以下「ALP」という。)及 び乳酸脱水素酵素(以下「LD」という。)の測定法については、国内では一般社団法人 日本臨床化学会(Japanese Society of Clinical Chemistry)が定めた測定法(以下

「JSCC 法」という。)が一般に用いられています。今般、同学会から、別紙のとおり

「ALP・LD の測定法変更を行うにあたってのご連絡とお願い」が発出され、本年4月 1日より、準備の整った施設から順次、諸外国で広く用いられている国際臨床化学連 合(International Federation of Clinical Chemistry and Laboratory Medicine)

の測定法(以下「IFCC 法」という。)への切り替えを実施することとされています。

新たな測定法となる IFCC 法は JSCC 法に比べ、

・ ALP については、測定値及び基準値の範囲が 1/3 程度になる

・ LD については、測定値及び基準値の範囲に変更はないものの、肝疾患などでは JSCC 法に比べ低値傾向になる

とされています。

つきましては、下記の内容について御了知いただくとともに、貴管下医療機関及び 衛生検査所への周知をお願いいたします。なお、貴管下医療機関への周知に当たって は、医療安全に係る安全管理のための委員会の関係者、医療安全管理者、医療機器の 安全使用のための責任者等に対しても周知されるようご配慮願います。

(1)各医療機関及び衛生検査所においては、ALP 及び LD の IFCC 法への測定法変更 について、使用する体外診断用医薬品及び分析装置において必要となる対応を

2.3.23

(2)

円滑に行う必要があること。

(2)当面の間、JSCC 法測定値と IFCC 法測定値が混在することから、誤認による誤 診の発生を防止するため、各医療機関の検査部門及び衛生検査所は、ALP 又は LD の測定項目の名称の語尾に「IFCC」又は「IF」等の略称を付記する等、IFCC 法の測定結果であることを明示する必要があること。

(3)各医療機関においては、検査結果を踏まえて診療を行う際、ALP 又は LD の測定 結果が JSCC 法と IFCC 法のどちらの測定値で示されているか確認すること。

(3)

2020 年 1 月 25 日 各 位

一般社団法人 日本臨床化学会 代表理事 前川 真人

ALP・ LD の測定法変更を行う にあたっ てのご連絡と お願い

拝啓 時下ますますご清栄のこ と と お慶び申し 上げます。 平素は、 弊会( 日本臨床化学会、

JSCC) の活動にご協力頂いており ますこ と に深謝申し 上げます。

かねてより 関連団体等を通じ まし てお知ら せし ており まし たよう に、 標記事項について 以下のよう に切り 替えを開始いたし ます。 なお、 両測定法が混在し て関係者の皆様にご迷 惑をおかけし ないよう 期間内に切り 替えていただけるよう 啓発を進めていきます。

既に臨床検査関連の学術集会などでは案内を開始致し まし たが、 変更に関わる説明資料 を目的別に作成致し まし た。 是非本件について貴会会員の方々にお知ら せいただき、 速や かに変更が進みますよう お力添えを頂戴致し たく 存じ ます。

まずは、 略儀ながら 書面をも ちまし て、 ご連絡と お願いを申し 上げます。

敬 具 記

1 . 対象項目および変更内容

アルカ リ ホスフ ァ タ ーゼ( ALP) および乳酸脱水素酵素( L D) の2 項目 JSCC法から 国際臨床化学連合( I FCC) の方法への切り 替え

2 . 変更の時期

2020年4月より 準備の整っ た施設から 変更開始

( 2020年度末までの変更を目指し ます)

3 . 変更に関わる説明資料

・ 資料A: AL P、 LDの測定法変更の経緯と 概要

・ 資料B: AL P、 LD の測定方法の変更に関するリ ーフ レッ ト

・ 資料C: AL P・ LD 測定法変更について( 医療従事者向け)

・ 資料D: ALP・ LD 測定法変更について( 検査室実務者向け補足説明)

・ 資料E : AL P、 LD の測定方法変更に関する Q and A

上記の別紙2 ~5 は弊会ホームページ http://jscc-jp.gr.jp から ダウンロード 可能です

4 . パブリ ッ ク コ メ ント 集計結果公開U RL

1) AL P http://jscc-jp.gr.jp/file/pdf/alp_ jscc.pdf

2) LD http://jscc-jp.gr.jp/hom e/wp-content/uploads/2019/12/LD2019_ JSCC.pdf 以 上

別 紙

(4)
(5)

- 1 -

AL P、 L D の測定法変更の経緯と 概要

一般社団法人 日本臨床化学会

酵素・ 試薬専門委員会 AL P プ ロ ジ ェ ク ト 同 L D プ ロ ジ ェ ク ト

背 景

1980 年頃、 ヨ ーロ ッ パを 中心に国際臨床化学連合( I FCC)、 ド イ ツ 臨床化学 会( G SCC)、 ス カ ン ジ ナビ ア 臨朱化学会( SSCC) な ど で血清酵素活性測定の標 準化に向けた活動が盛んに行われた。 わが国で は一般社団法人 日本臨床化学会

( JSCC) が海外の動向と 国内の実情を 考慮し て 勧告法を 作成し た。 当時、 酵素 活性の測定温度は国際的に 30℃で 行う べき と の考え で 標準法の策定が進めら れ て いたこ と から 、 JSCC 勧告法も 30℃に設定さ れた。 し かし 、 1994 年には I FCC の標準法が実務と 同様に 37℃に変更さ れたこ と から 、 わが国において も JSCC 勧告法の測定温度のみを 37℃に設定し た JSCC 常用基準法を 構築し た1 )。 その 後、特定非営利活動法人 日本臨床検査標準化協議会( JCCL S) 認証標準物質「 常 用参照標準物質: JSCC 常用酵素」 が頒布さ れたこ と によ っ て JSCC 常用基準法 を 頂点と し たト レ ーサビ リ テ ィ 体系が確立さ れ、 JSCC 常用基準法と ト レ ーサブ ルな 市販試薬は「 JSCC 標準化対応( 法ある いは試薬)」 と し て 発売さ れ、 国内の 99%前後の検査室で使用さ れて いる 。

JSCC 勧告法は 2005 年ま で に AST 、 AL T 、 CK 、 L D 、 AL P、 γ-G T 、 ChE、

AM Y の8 項目が作成さ れたが、 その中の AST 、 AL T 、 AL P、 L D は I FCC 基準 測定操作法( I FCC 法) と 反応試薬の組成が異なっ て いる ため得ら れる 測定値も 異な る 。 AST と AL T の I FCC 法では試薬にピ リ ド キサル5 ’-リ ン 酸( PAL P) を 含み、ア ポ酵素も ホロ 化し て測定し て いる が、PAL P の添加によ り 初期吸光度の 上昇と 安定性の低下が避けら れな いこ と から 海外においても JSCC 法と 同様に PAL P 無添加の試薬を 使用し て いる 施設も 少な く な い。

し かし 、 国内の AL P と L D の JSCC 法2〜4)は反応性が I FCC 法5〜7)と 異な り 、 後述する 理由によ り 疾病と 無関係な 高値を 示すこ と がある 。こ のこ と も あり 、国 際的な治験や臨床研究で は AL P と L D は I FCC 法によ る 測定が要求さ れ、 一部 の検体は海外の検査セン タ ーに移送さ れ測定さ れて いる 。

こ のよ う な状況のため、 JSCC 酵素・ 試薬専門委員会 AL P プ ロ ジ ェ ク ト は

資料 A

(6)

- 2 -

AL P の測定法を I FCC 法に変更する と 提案し8 )、 2018 年 11 月に関連する 44 団 体にパブ リ ッ ク コ メ ン ト の募集を 行っ た。 その結果、 I FCC 法への変更について 大筋で賛同が得ら れ、 同時に L D も 変更すべき と の意見が寄せら れた9)。 こ れを 受けて L D について も I FCC 法に変更する 準備を 本格化し て 2019 年 8 月に関連 する 48 団体へパブ リ ッ ク コ メ ン ト の募集を 行っ た。 その結果、 L D について も 賛同が得ら れたこ と から 、こ の2 項目を 同時に I FCC 法に変更する こ と と し た10)

1 . JSCC 法と I F CC 法の相違点について (1) AL P

AL P の測定は次の反応系によ っ て 行なわれている 。 AL P

( i) 4-ニト ロ フ ェ ニルリ ン 酸+H2O 4-ニ ト ロ フ ェ ノ ール+リ ン 酸

AL P

( ii) 4-ニト ロ フ ェ ニ ルリ ン 酸+R 4-ニ ト ロ フ ェ ノ ール+R-リ ン 酸 ( *印はア ルカ リ 性で 4-ニ ト ロ フ ェ ノ キサイ ド イ オン にな り⻩ ⾊を 呈する )

( i) の反応で は供与体基質と し て 4-ニ ト ロ フ ェ ニ ルリ ン 酸( 4-N PP) が用いら れ、( ii) の反応で は緩衝液で も ある 受容体基質が関わっ て おり 、 表1 に示すよ う に JSCC 法では 2-エ チ ルア ミ ノ エ タ ノ ール( EAE) が2)、 I FCC 法で は 2-ア ミ ノ -2-メ チ ル-1-プ ロ パノ ール( AM P) が使われて いる 5,6)

表1 . AL P 活性測定における JSCC 法と FCC 法の条件比較

(7)

- 3 -

こ の R の種類によ っ てア イ ソ ザイ ムの反応性が異な り 、 EAE と AM P では図1 のよ う な 反応性を 示す。 EAE で 最も 反応性の高い小腸型が AM P では最も 低い 反応性を 示し 、 さ ら に AM P 350m m ol/L の領域で は濃度が増すご と に胎盤型の 反応性が低下する 現象が認めら れる 。

JSCC 勧告法の作成当時は K ind-K ing 法と 同様な 反応性を 望む意見が臨床系 の学会から 寄せら れ、それに配慮し て 最終的に EAE を 使用する こ と と な っ た2)。 こ れに対し て I FCC 法では、 血液型が B・O 型で Se( FU T 2) が分泌型の場合は 高脂肪食後に疾病と 無関係に小腸型 AL P が上昇する こ と から 11,12)、 こ の小腸型 AL P の反応性を 低く 抑える 意図で AM P が選ばれた。 AL P プ ロ ジ ェ ク ト メ ン バ ーの施設で 食後の AL P を JSCC 法で 測定し た結果を 図2 に示す。 空腹時に採血 し た検体を A・AB 型と B・O 型の2 グループ に分けて JSCC 法と I FCC 法の相関 を 確認する と 図3 のよ う にな り 、B・O 型で は高脂肪食後に限ら ず小腸型 AL P が 出現し て 乖離検体が多いこ と が分かる 。 さ ら に、 I FCC 法で は亜鉛を 含む試薬処 方になっ て いる のに対し て JSCC 法では含ま な いが、 高純度化さ れた EAE を 用 いて 調製し た JSCC 法試薬で は測定値が低下する こ と も 明ら かにな っ ている 8)

図1 . AL P の S-v 曲線

4-N PP は 15m m ol/L の条件 4-N PP は 16m m ol/L の条件

EAE は 1000m m ol/L の条件下 AM P は 750m m ol/L の条件下

(8)

- 4 -

こ のこ と から 勧告法の検討当時、 EAE には微量の亜鉛が含ま れて いた可能性が 高く 、 JSCC 法を 継続し て 使用する 場合は、 EAE の純度を 調べて JSCC 法試薬処 方の再検討確認が必要で ある こ と も 示唆さ れた。

図2 . 食事の JSCC 法 AL P 値の経時変化

図3 . AL P の JSCC 法と I FCC 法の血液型別相関の比較

(9)

- 5 - (2) L D

L D の JSCC 法3,4)と I FCC 法7)は緩衝液の種類と pH が異なる ( 表2 )。 L D 1 と L D 2 を 精製し て pH を 変え た試薬で 活性値を 測定する と 図4 のよ う になる 。 こ の結果よ り 、 L D 1 と L D 5 の至適 pH が異な り 、 JSCC 法のジ エ タ ノ ールア ミ ン ( D EA) 緩衝液 pH 8.8( 30℃) は L D 5 に優位な pH である こ と が解る 。 こ れ に対し て I FCC 法の N -メ チ ル-D -グルカ ミ ン 緩衝液 pH 9.4( 37℃) は L D 1 と L D 5 の反応性が交差する 付近の pH で ある 。 特に、 JSCC 法で は試薬 pH は勧告 法の条件の 30℃で 8.8 に設定さ れており 、 D EA の

dp K a

d

T が -0.025 で ある こ と を 考え る と 37℃で は pH が 8.65 付近で ある こ と が推測さ れる 。 こ の pH で 測定し て いる 常用基準法は pH 8.8 の勧告法よ り も L D 1 <L D 5 の傾向が強く な っ ている も のと 推定さ れる 。

健診者の JSCC 法と I FCC 法の相関は図5 に示すよ う に JSCC 法の共用基準範 囲3)の L D の上限値の 222 U /L 付近ま で の測定値は両者に差が認めら れな い。

JCCL S 認証標準物質 CRM -001d の L D の認証値は JSCC 法で 406 U /L 、 I FCC 法で 430 U /L と なっ て おり 、 JSCC 法に対し て I FCC 法が約 6%高く な っ て い る 。 し かし 、 こ の CRM -001d は L D 1 のみの組成で ある のに対し て 患者検体は L D 1 以外に L D 2 と L D 3 も 含んで おり 、 こ の H サブ ユニ ッ ト を 含むア イ ソ ザ イ ム組成によ り JSCC 法と I FCC 法の 6% 程度の反応性の差が相殺さ れて いる も のと 思われる 。 肝疾患な ど 、 L D 5 が出現する 検体では、 図5 のよ う に乖離が生 じ 、 L D 5 が高比率の検体では I FCC 法が JSCC 法よ 10~20% の低値と な る 。

表2 . L D 活性測定条件の各国勧告法の比較

(10)

- 6 -

図4 . 各 pH で の L D 1,5 の反応性 図5 . L D の JSCC 法と I FCC 法の相関

2 . 基準範囲について ( 1) AL P

現在、 JCCL S の提示し て いる AL P の現状の JSCC 法の共用基準範囲は 106~

322 U /L で ある が13)、 健診検体において基準範囲の上限値を 超す検体の比率が JSCC 法で 明ら かに I FCC 法よ り 高い。 こ れは血液型 B・ O 型の Se( FU T 2) 分 泌型で小腸型 AL P が出現し て いる ためと 考えら れる 。 こ の現象が一因で 、 AL P の JSCC 法の各施設の基準範囲上限値にはかな り の幅があり 、 日本臨床衛生検 査技師会精度管理調査で も 共用基準範囲の採用率が低い。 今回の測定法変更に よ り 、 血液型に起因する 小腸型 AL P の影響はかなり の改善が期待さ れる 。

I FCC 法への変更によ り 、 JSCC 法に対し て 測定値が約 1/3 にな る ため、 臨床 側への十分なア ナウン ス が必要である 。 AL P プ ロ ジ ェ ク ト が求めた日本人の基 準範囲は以下のよ う にな っ た。

・ 男女( 18~65 歳): 38~113 U /L

・ 男性( 18~65 歳): 42~113 U /L

・ 女性( 18~44 歳): 35~ 94 U /L

・ 女性( 45 歳以上): 42~126 U /L

I FCC の基準測定操作法の報文では、男性( 20 歳以上): 43~115 U /L 、女性( 18~ 49 歳): 33~98 U /L と さ れて おり 6)、 こ れに近似し た値が得ら れている 。

100 120 140 160 180 200 220 240

7.6 8.0 8.4 8.8 9.2 9.6 10.0

pH

LD (U/L)

L D 5 L D 1

D E A 緩衝液にて ( 37℃)

(11)

- 7 - ( 2) L D

L D で は 2019 年8 月に実施さ れたパブ リ ッ ク コ メ ン ト 募集で 公表さ れている よ う に、 現行の JSCC 法で 求めた JCCL S 共用基準範囲( 124~222 U /L ) 13)を 変 更する 必要はな いと の結論に至っ た。

3 . 換算係数について ( 1) AL P

受容体基質の差によ っ て ア イ ソ ザイ ムの反応性が大き く 異な り 、 さ ら に小腸 型 AL P の出現程度が血液型によ っ て こ と な る こ と から 、 一律な換算係数の設定 は不可能で ある 。し かし 、測定法変更前後の値を 比較する 必要性は排除で き な い。

健常者およ び JSCC 法で 1,000 U /L 以下の患者血清で 血液型が極端に偏ら ない 標本から 回帰式を 求めた。 JSCC 法の測定値を x 、 I FCC 法の測定値を y と する と

y = 0.35x ・・・・・ ①式 x= 2.84y ・・・・・ ②式

と な っ た。 上述し たよ う に異な る 測定試薬で はア イ ソ ザイ ムの反応性が異な る ため厳密な 換算係数の設定は不可能で ある こ と から 傾き ( a) のみの換算係数と し た。 こ の換算式は概算的用途において のみ利用可能と する 。 B ・O 型( 特に Se

( FU T 2) 分泌型およ び妊婦で は乖離度が大き く な る 。

( 2) L D

L D において は検体中の L D 5 の比率に左右さ れる ため換算は行わないと の見 解に至っ た。

結 語

標準化の進歩によ り 、 ALP・ LD の測定値が利用さ れる 分野が拡大し 、 データ の 取り 扱いが複雑になっ て いる 。その変更作業は多岐に及び、困難さ を 増し ている 。 し かし 、 こ の変更によ り 測定値の臨床的意義の向上と グロ ーバルハーモ ナイ ゼ ーシ ョ ン がも たら さ れる 。 診断、 治療、 予防医学における 価値を 高める ための変 更で ある ため、 各施設で の診療部門への説明を 含めた変更を 進めて いただき た い。

変更に必要な 情報は日本臨床化学会ホームページ に掲載し 、順次、更新を 行う 予定である 。

文 献

1) 日本臨床化学会: 血清中の酵素活性測定標準化の推進に関する 指針 指針Ⅰ

(12)

- 8 -

日本臨床化学会常用基準法( JSCC 常用基準法), 臨床化学, 23: 335-340, 1994.

2) 日本臨床化学会: ヒ ト 血清中酵素活性測定の勧告法-ア ルカ リ ホスフ ァ タ ー ゼ( AL P) -, 臨床化学, 19:209-227.1990.

3) 日本臨床化学会: ヒ ト 血清中酵素活性測定の勧告法-乳酸デヒ ド ロ ゲナーゼ ( L D ) -, 臨床化学, 19:228-236.1990.

4) 日本臨床化学会酵素専門委員会: ヒ ト 血清中酵素活性測定の常用基準法-乳 酸デヒ ド ロ ゲナーゼ( L D ) -, 臨床化学, 32:81-85.2003

5) N .W .T ietz, et al. : I FCC m ethod for the M easurem ent of Catalytic Concentration of Enzym es. Part 5. I FCC M ethod for Alkaline Phosphatase.

I FCC D ocum ent Stage 2. D raft 1, Clin Chem Clin Biochem , 21: 731-748, 1983 6) Schum ann G , et al.: I FCC prim ary reference procedures for the m easurem ent of catalytic activity concentrations of enzym es at 37℃. Part 9: reference procedure for the m easurem ent of catalytic concentration of alkaline phosphatase, Clin Chem L ab M ed, 49: 1439-1446, 2011.

7) Schum ann G , et al.: I FCC Prim ary Reference Procedures for the

M easurem ent of Catalytic Activity Concentrations of Enzym es at 37℃. Part 3.

Reference Procedure for the M easurem ent of Catalytic Concentration of L actate D ehydrogenase, Clin Chem L ab M ed, 40: 643–648, 2002.

8) 日本臨床化学会 酵素・ 試薬専門委員会: 血清ア ルカ リ ホス フ ァ タ ーゼ( AL P)

活性測定の JSCC 勧告法を I FCC 標準測定法にト レ ーサブ ルな 方法への変更 に関する 提案, 臨床化学, 46:138-145, 2017.

9) 日本臨床化学会: パブ リ ッ ク コ メ ン ト 「 血清ア ルカ リ ホス フ ァ タ ーゼ( AL P)

常用基準法改定に関する 意見の募集について 」 に対する 報告書. http://jscc- jp.gr.jp/file/pdf/alp_ jscc.pdf

10) 日 本 臨 床 化 学 会 : AL P 、 L D の 測 定 方 法 が 変 わ り ま す . http://jscc- jp.gr.jp/file/2019/alpld1.pdf

11) Beckm an L .: Associations between hum an serum alkaline phosphatases and blood groups, Acta G enet, 14:286-297, 1964.

12) 松下 誠, 他: 血清ア ルカ リ 性ホスフ ァ タ ーゼ活性と 血液型と の関係. 臨床 化学, 30:217-222, 2001.

13) 日本臨床検査標準協議会基準範囲共用化委員会編: 日本における 主要な臨

床 検 査 項 目 の 共 用 基 準 範 囲 案 ― 解 説 と 利 用 の 手 引 き ―.

http://www.jccls.org/techreport/public_ 20190222.pdf

(13)

( 一社) 日本臨床化学会 ver. 1.0 (2019.11.21)

*AL P・ L D 測定法変更について ( 医療従事者向け) http://jscc-jp.gr.jp/file/2019/alpld2.pdf

*AL P・L D 測定法変更について( 検査室実務者向け補足説明) http://jscc-jp.gr.jp/file/2019/alpld3.pdf

*AL P・L D 測定法に関する Q & A http://jscc-jp.gr.jp/file/2019/alpld4.pdf

資料 B

(14)
(15)

- 1 -

ALP・ LD 測定法変更について − 医療従事者向け ―

ver. 1.0 ( 2019.11.21)

日本臨床化学会 酵素・ 試薬専門委員会 AL P プ ロ ジ ェ ク ト ・ L D プ ロ ジ ェ ク ト

目 次

1. はじ めに --- 2

2. なぜ変更する のか --- 2

3. 変更によ る 利点 --- 3

4. 変更に関する 注意点 --- 4

5. 変更後の基準範囲について --- 4

6. 換算係数について --- 4

7. 主な 領域およ び疾患データ の変更後の値について --- 5

文 献--- 6

資料 C

(16)

- 2 - 1 . はじ めに

日本臨床化学会( JSCC) では、 関連団体・ 学会から も ご 賛同を いただき 、 AL P と L D の常用基準法を 国際臨床化学連合( I FCC) の基準測定操作法と 同一の測 定法( I FCC 法) に変更する こ と と 致し ま し た。 2020 年 4 月 1 日よ り 準備の整 っ た施設から 変更を 開始し 、 1 年間で の達成を 目指し ま す。 本稿で は、 測定法変 更の目的と 従来の測定値と の関係、さ ら に変更に基づく 利点と 注意点、新たな 測 定法での基準範囲について記載致し ま す。ご 一読の上、ご 理解と ご 協力を 賜り ま すよ う 、 お願い致し ま す。

2 . なぜ変更する のか ( 1) AL P

わが国の AL P 測定法( JSCC 法) は小腸型 AL P の反応性が高い試薬処方が採 用さ れて いま す1)。 血液型が B,O 型で Se( Fut2) が分泌型の人( B,O 型の約 8 割) では病気と 無関係に血中に小腸型 AL P が出現する こ と から 、 JSCC 法はそ の影響で 臨床的意義が認めら れない高値が出現する 場合があり ま す2)。こ の傾向 は脂肪食後に大き く 表れる と 言われて いま すが、AL P プ ロ ジ ェ ク ト の調査で は、

朝食を と ら ずに来院し た健診者の空腹時検体でも B,O 型では小腸型 AL P の出 現に起因し た JSCC 法と I FCC 法の乖離現象が確認さ れて いま す( 図1 )。

図1 . 健診者における 血清 AL P の血液型別 JSCC 法と I FCC 法の相関図

ま た、 胎盤型 AL P は小腸型と は逆に I FCC 法に比べて JSCC 法で は反応性が 低いと いう 特徴があり ま す。 こ れら の理由によ り 患者検体の JSCC 法によ る 測 定値は I FCC 法と 比較する と 図2 のよ う な乖離が生じ ま す。 こ のこ と から 、

(17)

- 3 - 日本の AL P 測定値は、 国際的な

治療指針を 利用する 場合や治験 データ と し ての利用に支障を き たし ている のが実情で す。

( 2) L D

わが国の L D 測定法( JSCC 法)

はア イ ソ ザイ ムの L D 5 が相対的 に高く 測定さ れま す。 こ れに対し て 、 海外で は I FCC の基準測定操 作法の測定条件で L D 1 と L D 5 が ほぼ同等に測定さ れる 方法( I FCC

法) を 用いていま す。 そのため 図2 . 無作為の抽出し た患者検体での JSCC 法で 測定し ている 現在は、 JSCC 法と I FCC 法の相関図

L D 5 の割合が高い症例で I FCC 法 よ り 高値傾向を 示し ま す( 図 3)。

ま た、 国際的な 治験で は AL P 同 様、 国内の測定値が受け入れら れ な いため海外へ検体を 送っ て 測定 し て いる 状況も あり ま す。

3 . 変更によ る 利点 ( 1) AL P

① 上記1 に記し た理由で 疾患と 無関係な上昇が軽減し 、 肝・

骨疾患の臨床的意義が向上し

ま す。 図 3. 血清 L D の JSCC 法と I FCC 法の ② 測定値を 海外と 共有化で き 、 相関図

国際的な 治験や治療への参画 時に利便性が向上し ま す。

( 2) L D

① 世界に通用する 測定値と なり 、 海外と 測定値の共有化がで き ま す。

② 変更前後の測定値の差が軽微で あり 、 健常者の測定値は許容誤差範囲内の 変化で ある こ と から 、 現状の共用基準範囲を 変更する 必要はあり ま せん。

(18)

- 4 - 4 . 変更に関する 注意点

( 1) AL P

・ 測定値が現行の 1/3 程度の数値にな り ま す。

・ 変更前後の値の換算には限界があり ま す。 I FCC 法に変更する こ と で 血液型 B,O 型で は小腸型 AL P を 含む検体で 低めにな り 、 逆に妊婦では胎盤型 AL P が増加する こ と によ り 高めに測定さ れま す( 図2 参照)。

・ AL P ア イ ソ ザイ ム試薬について も I FCC 法に対応し た新し い処方のも のが 発売さ れま すので 、 その I FCC 法に対応し た試薬での測定が必要で す。

( 2) L D

・ L D 5 優位検体では現行の JSCC 法に対し て 低めの活性になり ま す( L D 5 が 50%の症例で は測定値の差は 20%未満)。

5 . 変更後の基準範囲について ( 1) AL P

成人男女: 38〜113 U /L

な お、 新生児およ び小児について は、 既報の小児の基準範囲 10)を 次の項で示 す換算係数で変換し た値が利用でき ま す。

( 2) L D

下記の現行法の共用基準範囲11)を 変更せずに適用し ま す。

成人男女: 124〜222 U /L

6 . 換算係数について ( 1) AL P

図1 に示す理由によ り 、 B,O 型の検体の比率によ っ て 回帰式の傾き と 乖離の 程度が異な る ため、実測値に合致する 換算係数を 得る こ と は困難ですが、ほぼ肝 型と 骨型の検体と 仮定し た場合の換算係数は以下と なり ま す。

・ JSCC 法測定値から I FCC 法測定値に換算: 0.35 倍 ・ I FCC 法測定値から JSCC 法測定値に換算: 2.84 倍

ただし 、 小腸型 AL P や胎盤型 AL P が増加する 症例では、 換算値は実測値か ら 乖離し ま すので 、 ご 留意く ださ い( 図2 参照)。

妊婦の場合にも 妊娠週数が増すご と に胎盤型の出現が増すため、 上記換算係 数を 使用する と 実測値と の差が大き く なり ま す。

(19)

- 5 - ( 2) L D

換算せずそのま ま の測定値を 使っ て く ださ い。

7 . 主な 領域およ び疾患での変更後の値について ( 1) AL P

① 健康診断

血液型 B,O 型の一部で 頻発する 傾向にあっ た疾患と 関連し な い上昇の多 く が解消さ れ、 肝およ び骨疾患の臨床的意義が向上し ま す。

② 肝疾患

JSCC 法で はノ イ ズ的要素が高かっ た B,O 型の一部に出現する 小腸型 AL P を 低く 抑え る こ と から 、肝疾患への特性が増し 、生理的変動も 縮小し ま す。

③ 骨疾患

AL P は乳児期およ び小児期の低ホ ス フ ァ タ ーゼ症 ( H ypophosphatasia ; H PP) の診断に欠かせま せんが、海外と 同一の測定法と なる こ と から 、世界 的に情報共有が可能と なり 、 治療ガイ ド ラ イ ン の有用性が向上し ま す。

癌の骨転移や慢性腎疾患な ど の骨代謝異常の指標の一つと し て 海外も 含め た利用価値が向上し ま す。

④ 妊婦

従来の JSCC 法に比較し て I FCC 法で は胎盤型の反応性が高く な り ま す。

妊娠週数が増すと 胎盤型が増加し 、肝型と の比率も 変化する こ と から JSCC 法と I FCC 法の相関は一律にはいかず、 図2 の相関図に示し たよ う に回帰 直線の上方向に乖離し ま す。

( 2) L D

L D 5 が少な い場合は、JSCC 法と I FCC 法でほぼ違いはあり ま せんが、L D 5 が増加する に従い、 I FCC 法で 低めになる こ と にご 留意く ださ い。

① 心疾患

心筋に多く 含ま れる L D 1 およ び L D 2 が優位で あり 、 変更後は若干高値傾 向にな り ま す。

② 血液疾患

白血病では、 L D 2 およ び L D 3 が優位と さ れていま す。 そのため変更後の 測定値の変動は許容誤差範囲内です。

③ 肝疾患

肝疾患で は、 L D 5 が優位と なる ため、 変更後の測定値は 10〜20%低値 傾向になり ま す。

(20)

- 6 - 文 献

1) 日本臨床化学会: ヒ ト 血清中酵素活性測定の勧告法− ア ルカ リ ホス フ ァ タ ー ゼ( AL P) − , 臨床化学, 19: 209-227, 1990.

2) 松下 誠, 他. 血清ア ルカ リ 性ホス フ ァ タ ーゼ活性と 血液型と の関係, 臨床化 学, 30: 217-222, 2001.

3) N .W .T ietz, et al. : I FCC m ethod for the M easurem ent of Catalytic Concentration of Enzym es. Part 5. I FCC M ethod for Alkaline Phosphatase.

I FCC D ocum ent Stage 2. D raft 1, Clin Chem Clin Biochem , 21: 731-748, 1983.

4) Schum ann G , et al.: I FCC prim ary reference procedures for the m easurem ent of catalytic activity concentrations of enzym es at 37℃. Part 9: reference procedure for the m easurem ent of catalytic concentration of alkaline phosphatase, Clin Chem L ab M ed, 49: 1439-1446, 2011.

5) 日本臨床化学会 酵素・ 試薬専門委員会: 血清ア ルカ リ ホス フ ァ タ ーゼ( AL P)

活性測定の JSCC 勧告法を I FCC 標準測定法にト レ ーサブ ルな方法への変更 に関する 提案, 臨床化学, 46: 138-145, 2017.

6) 日本臨床化学会: ヒ ト 血清中酵素活性測定の勧告法− 乳酸デヒ ド ロ ゲナーゼ ( L D ) − , 臨床化学, 19: 228-236, 1990.

7) 日本臨床化学会酵素専門委員会: ヒ ト 血清中酵素活性測定の常用基準法− 乳 酸デヒ ド ロ ゲナーゼ( L D ) − , 臨床化学, 32: 81-85, 2003.

8) 日本臨床化学会: 血清中の酵素活性測定標準化の推進に関する 指針 指針Ⅰ 日本臨床化学会常用基準法( JSCC 常用基準法), 臨床化学, 23: 335-340, 1994.

9) Schum ann G , et al.: I FCC Prim ary Reference Procedures for the M easurem ent of Catalytic Activity Concentrations of Enzym es at 37℃. Part 3. Reference Procedure for the M easurem ent of Catalytic Concentration of L actate D ehydrogenase, Clin Chem L ab M ed, 40: 643–648, 2002.

10) 田中 敏章、 他: 潜在基準値抽出法によ る 小児臨床検査基準範囲の設定、 日 本小児科学会雑誌, 112: 1117-1132, 2008.

11) 日本臨床検査標準協議会基準範囲共用化委員会編: 日本における 主要な 臨床 検査項目の共用基準範囲―解説と 利用の手引き ―,

http://www.jccls.org/techreport/public_ 20190222.pdf

(21)

- 1 -

ALP・ LD 測定法変更について

− 検査室実務者向け補足説明 ―

ver. 1.0 ( 2019.11.21)

日本臨床化学会 酵素・ 試薬専門委員会 AL P プ ロ ジ ェ ク ト ・ L D プ ロ ジ ェ ク ト

目 次

1 . AL P の基準範囲上限付近での挙動について --- 2

2 . AL P 測定における 乳幼児検体の JSCC 法と I FCC 法の関係--- 2

3 . L D の試薬 pH と 相対活性の関係--- 3

4 . L D は現状の共用基準範囲を 変更せずに使用する 根拠--- 4

5 . 変更作業について --- 5

文 献--- 6

資料 D

(22)

- 2 - 1 . AL P の基準範囲上限付近での挙動について

AL P 測定で は、「 ①AL P・ L D 測定法変更について− 医療従事者向け ―」 の 図1 , 2 に示し たよ う に小腸型と 胎盤型が出現し た検体では現行の JSCC 法と I FCC 法で乖離が生じ ま す1)。 現行の JSCC 法で は、 血液型 B・ O 型の検体にお いて 疾患と むずびつかな い上昇が認めら れる 事例が散見さ れま し たが、 I FCC 法 に変更する こ と によ り こ の現象は軽減し ま す。 表 1 は 40 歳以下が 85%で 女性 が 79%の健診者で の2 法の比較結果で すが、 B・ O 型において 有意に高い基準 範囲上限以上の頻度は I FCC 法で は低下し ていま す。

表1 . 健診者における 現行 JSCC 法と I FCC 法で の基準範囲上限 以上を 示し た測定値の出現数の比較

2 . AL P 測定における 乳幼児検体の JSCC 法と I FCC 法の関係 新生児およ び小児の場合、 図1 に

示すよ う に JSCC 法と I FCC 法の相 関が成人に比べて 非常に良好な こ と から 、 既報の小児の基準範囲2)を 換 算係数y = 0.35x ( x : JSCC 法の 値、 y : I FCC 法の値) で 変換し た 値が利用で き ま す。

実際にこ の換算し た I FCC 法値と I FCC 標準化対応試薬にて 自動分析 機にて実際に測定し た値の相関を 図2 に示し ま す。 良好な 相関で ある

こ と が分かり ま す。 図 1. 小児検体の JSCC 法と I FCC 法の 相関図

血液型 測定法 基準範囲内注1 基準範囲上限以上

現行JSCC法 552 1

IFCC法 552 1

現行JSCC法 542 8

IFCC法 547 3

注1 : IFCC法は38〜113U/L、 現行JSCC法は106〜322U/L A・ AB型

B・ O型

(23)

- 3 -

図 2. 乳幼児検体の JSCC 法測定値を I FCC 法値 に換算し た値と I FCC 法実測値の相関

3 . L D の試薬 pH と 相対活性の関係

JSCC 常用基準法の試薬は 30℃で pH 8.8 に調製し ている ため、 測定温度 の 37℃で は pH が 8.65 付近と な り pH 8.8 よ り も L D 1<L D 5 の傾向が大き く な り ま す。

図 3. L D 1 と L D 5 のp H 反応特性( D EA 緩衝液によ る データ ) 3 )

(24)

- 4 -

4 . L D は現状の共用基準範囲を 変更せずに使用する 根拠

健診者 236 名の測定を 実施し たと こ ろ 、 図 4 に示すよ う に I FCC 基準測定操 作試薬 JSCC 標準化対応試薬を 用いて自動化法で 測定し た健常者の活性値は良 好な 相関を 示し て いま す。 こ の相関における Sy・x は 2.47 U /L で 個人の生理的 変動幅( 1/2Sp = 8.5 U /L ) に比較し てはる かに小さ い値でし た。 ま た、 標準主軸 回帰によ る Bootstrap 法では、 信頼区間と 有意水準を 0.05 と し た場合、 傾き の 信頼区間は、 0.94686〜0.9761、 切片の信頼区間は、 4.17704〜9.12603 と な り ま し た。

図4 . 現行 JSCC 標準化対応試薬と I FCC 基準測定操作法を 用 いた自動分析機によ る 測定値の相関図と 偏差図( 上段)

(25)

- 5 -

切片の信頼区間は、 4.17704〜9.12603、 切片が 1.0 を ま たぐ 形になっ て いま せ んが、 信頼区間を 基に算出し た値は、 下限値は 124.4 から 133.1 U /L 、 上限値は 215.3 から 226.8 U /L と なり ま す。

こ のこ と から 、 改定 JSCC 常用基準法に現行の共用基準範囲がそのま ま 適用 で き る と の判断に至り ま し た。なお、CRM -001d と 患者検体で JSCC 法と I FCC 法の値の比率が若干異な る にも 関わら ず、 患者検体で は基準範囲付近において 両測定法同等で 値が得ら れる 理由は両者のア イ ソ ザイ ム組成の違いによ る も の と 考えら れま す。

5 . 変更作業について ( 1) 変更時期

日本臨床化学会と し て は 2020 年 4 月 1 日から AL P と L D の測定法を 変更さ れる こ と を 推奨し ま す。2 つの方法が国内で 混在し ていま すと 、データ の解釈に 混乱が生じ ま すので、 で き る だけ短期間で の変更が望ま し いと 考え て いま す。

( 2) 項目略称の表現について 項目略称は次のよ う にし ま す。

AL P( I FCC) 、 L D ( I FCC)

ただし 、 使用コ ン ピ ュ ータ の文字数制限等によ り 下記表記も 可と し ま す。

AL P_ I FCC、 L D _ I FCC

コ ン ピ ュ ータ シ ステ ム上7 文字以上の設定がで き ない場合は、 JSCC か I FCC かを 誰も が識別で き る よ う に配慮し て く ださ い( 例えば、 AL P_ I F、 L D _ I F と し て 、 その略称の意味を 院内に周知し て 使用する な ど )。 な お、 項目名の表記形式 は AL P と L D で 合わせる こ と を 原則と し ま す。

( 3) コ ン ピ ュ ータ シ ス テ ムマ ス タ 設定

① AL P

項目の並びを 現状と 同一にする ためには現状の AL P を 分画タ イ プ と する 方策も 選択肢の一つと 考え ら れま す( 現状の AL P と 項目順を 並べる マ ス タ 設定について はシ ス テ ム担当と ご 相談く ださ い)。

一時的に、 変更し た I FCC 法での測定値と 、 その値を JSCC 法値に換算し て 表示する 場合、 基本的には換算値が入る 項目を 分画タ イ プ 等で 新たに設 けて、 それを 計算項目と し て 自動的に入力さ れる よ う にし ま す。 自施設の 責任において 換算値の項目を 設ける 場合は、 その項目名を AL P_ JS カン、 あ

(26)

- 6 -

る いは AL P_ J カン など と し て 実測値で はな いこ と が分かる 工夫を すべき で す。JSCC 法への換算値を 併記する 場合は、反応性の違いによ り 換算に限界 がある こ と を 臨床側に周知し て 数カ 月以内の短期間限定の併記に留める べ き です。

② L D

現行法の共用基準範囲4)を 適用で き る こ と から 、 測定法の変更に際し て は下記の二方策から 各施設によ り 選択し て く ださ い。

a. 項目コ ード を 新規に設定する 。

こ の場合は AL P の設定に準じ た対応策を と っ てく ださ い

b. 現行の項目コ ード を 使用し て 項目名称と 測定試薬のみ変更する 。 こ の場合、 以下の点に注意し てく ださ い。

・ コ ン ピ ュ ータ シ ステ ムの機能上、 L D _ I FCC な ど に変更し た項目名称 が過去のデータ 表示にも 適用さ れる 場合は上記 a の項目コ ード の変 更を 原則と し ま す。

・ L D 5 の優位試料で は、 時系列で 乖離があり ま すので 、 変更日時の臨 床側への周知が必須です。

文 献

1) 日本臨床化学会 酵素・ 試薬専門委員会: 血清ア ルカ リ ホス フ ァ タ ーゼ( AL P)

活性測定の JSCC 勧告法を I FCC 標準測定法にト レ ーサブ ルな方法への変更 に関する 提案, 臨床化学, 46: 138-145, 2017.

2) 田中 敏章、 他: 潜在基準値抽出法によ る 小児臨床検査基準範囲の設定、 日 本小児科学会雑誌 112: 1117-1132, 2008.

3) 日本臨床化学会酵素専門委員会: ヒ ト 血清中酵素活性測定の常用基準法− 乳 酸デヒ ド ロ ゲナーゼ( L D ) − . 臨床化学 32: 81-85, 2003.

4) 日本臨床検査標準協議会基準範囲共用化委員会編: 日本における 主要な 臨床 検査項目の共用基準範囲―解説と 利用の手引き ―.

http://www.jccls.org/techreport/public_ 20190222.pdf

(27)

ALP・ LD 測定法変更に関わる Q and A

ver. 2.0 ( 2020.2.)

日本臨床化学会 酵素・ 試薬専門委員会 AL P プ ロ ジ ェ ク ト ・ L D プ ロ ジ ェ ク ト

1. AL P

Q 1: 現在使用中の JSCC 標準化対応試薬を そのま ま 使用し て、I FCC 法の表示値 が付いている キャ リ ブ レ ータ で 校正し て 、 その測定値を I FCC 値と する こ と がで き ま すか。

A1: ト レ ーサビ リ テ ィ が担保さ れな いため換算値を I FCC 法の値と し て報告す る こ と はで き ま せん。 AL P の JSCC 法は I FCC 法と ア イ ソ ザイ ムの反応性 も 異な る こ と から 今回の変更の必要性が生じ ま し た。

Q 2: 現在、 基準範囲は施設独自の数値を 用いていま す。 こ の施設独自の基準範 囲を 0.35 倍し て 換算し て新たな基準範囲と し て も 良いでし ょ う か。

A2: JSCC 法で は B・ O 型で血中に出現する 小腸型 AL P を 高感度に測定する こ と から 健常者でも 高めの値が出現し ま す。そのため、共用基準範囲の上限値 よ り 大き い数値を 基準範囲の上限と し て いる 施設が多いのが現実で す。 し かし 、 I FCC 法で はこ の B・ O 型で 出現する 小腸型 AL P の反応性が低く な り ま す。 こ のこ と から 今回設定し た共用基準範囲を 積極的に採用し て 頂き たいと 考え て いま す。

Q 3: 暫く の間は JSCC 法と I FCC 法の両者で測定すべき でし ょ う か。

A3: その必要はあり ま せん。 AL P の場合、 I FCC 法に変更後に参考ま でに従来 の JSCC 値を 表示する 必要がある 場合は、 一時的に I FCC 法測定値を 2.84 倍し て JSCC 法への換算値と し て表示する 対応策も 考え ら れま す。 こ の場 合、 JSCC 法と I FCC 法の反応性の差から 換算には限界があり 、 特に B・ O 型の換算値は実際の JSCC 法測定値よ り 低値を 示す事例がある こ と を 臨床 側にア ナウン スし て おく 必要があり ま す。

(28)

Q 4: AL P 測定法の変更と ア イ ソ ザイ ム検査の関係はど のよ う に考え る べき か。

A4: 現在、 国内で使用さ れて いる AL P ア イ ソ ザイ ム試薬を 販売し て いる のは1 社のみであり 、 そのメ ーカ ーにて I FCC 法に対応し たア イ ソ ザイ ム検査試 薬が発売さ れる 予定と 聞いていま す。検査セン タ ーには 2020 年 4 月から 当 分の間、 現行法と I FCC 法に対応し た新試薬によ る 測定の両者から 選択し て依頼でき る 体制を と っ て 頂く よ う 要望する 予定で す。

Q 5: 使用し て いる コ ン ピ ュ ータ シ ス テ ムの項目略称が最大6 文字の制限にな っ ている ので すが。

A5: AL P_ I F、 L D _ I F と し て 、 その略称の意味を 院内に周知し て 使用し てはど う で し ょ う か。

Q 6: JSCC 法と I FCC 法は両者と も 同一の基質( 4 -ニ ト ロ フ ェ ニルリ ン 酸、 4 -N PP) なのに測定値が3 倍以上異な る のはな ぜか。

A5: こ の測定系で は両者と も 下記の2 種類の反応が関与し て いま す。

AL P

( 1) 4-ニトロフェニルリン酸+H2O 4-ニトロフェノール+リン酸

AL P

( 2) 4-ニトロフェニルリン酸+R 4-ニトロフェノール+R-リン酸

( *印はアルカリ下で 4-ニトロフェノキサイド イオンと な り⻩ ⾊と なる )

( 1) の反応は 4-ニ ト ロ フ ェ ニ ルリ ン 酸( 4-N PP) を 供与体基質と し た反応系 で 、( 2) の反応は緩衝液で も ある R が受容体基質と し て関わっ て いま す。 R と し て 、 JSCC 法では 2-エ チ ルア ミ ノ エ タ ノ ール( EAE) が、 I FCC 法で は 2- ア ミ ノ -2-メ チ ル-1-プ ロ パノ ール( AM P) が使われて いま す。 こ の受容体基 質の違いによ っ て各ア イ ソ ザイ ムが異な っ た反応性を 示し ま す。

Q 7: 当面、 現状の JSCC 標準化対応法の試薬を 使っ て 、 測定値を 換算( ある い は CRM -001d の I FCC 値を 使っ て キャ リ ブ レ ーシ ョ ン ) し て I FCC 法の値 と し て報告し て 良いで し ょ う か。

(29)

A7: 上の A1 と A7 で 説明し ま し たよ う に受容体基質の差によ っ て AL P ア イ ソ ザイ ムの反応性が大き く 異な り 一律な 換算で は実際に測定し た I FCC 法の 値と 乖離する ケースが発生し ま す。今回、JSCC 法は血液型が B・O 型で Se

( FU T 2) が分泌型の場合に疾病と 無関係に血中に出現する 小腸型 AL P の 反応性が大き いこ と が測定法変更の経緯の一つで す。

Q 8: ガイ ド ラ イ ン には、『 2020 年 4 月 1 日よ り 準備の整っ た施設から 変更を 開始し 、 1 年間での達成を 目指し ま す。』 と の記載があり ま すが、 試薬供給 体制が整う ま で JSCC 試薬の暫定使用は可能でし ょ う か。

A8 : 遅れる 場合でも その期間が最短にな る よ う に試薬供給がな さ れた時点で ス ムーズな 変更に努めて く ださ い。

Q 9: I FCC 法によ る 血清ア ルカ リ ホス フ ァ タ ーゼ活性の基準範囲設定はど のよ う に決定し たので し ょ う か。 ま た、 共用基準範囲になり ま すか。

A9: 日本臨床検査標準協議会基準範囲共有化委員会編「 日本における 主要な 臨 床検査項目の共用基準範囲-解説と 利用の手引き -」 と マ ッ チ し た採血条件 で 採血さ れた検体を 用いま し た。

http://www.jccls.org/techreport/public_ 20190222.pdf

2020 年 1 月に JCCL S 共用基準値と し て 承認さ れ、 JCCL S の U RL に掲載 れま し た。

http://www.jccls.org/2020013103_ 1.pdf

Q 10: I FCC 法によ る 血清ア ルカ リ ホスフ ァ タ ーゼ活性の男女別基準範囲はあり ま すか。

A10: 男女別に算出し た基準範囲は以下のよ う にな っ て いま す。

・ 男女( 18〜65 歳): 38〜113 U /L

・ 男性( 18〜65 歳): 42〜113 U /L

・ 女性( 18〜65 歳): 36〜109 U /L

・ 女性( 18〜44 歳): 35〜 94 U /L

・ 女性( 45〜85 歳): 42〜126 U /L

(30)

Q 11: 健診データ を 健保団体へ報告する 際に JL AC10 のコ ード が使われて いま すが、 そのコ ード は追加さ れま すか。

A11: 一般財団法人 医療情報シ ス テ ム開発セン タ ー ( M ED I S-D C) に測定法変 更について ご 説明し 、 AL P と L D の I FCC 法によ る 測定項目コ ード を 追加 し て いただく こ と にな っ ていま す。 ま た、 そのデータ を 受け取る 健保団体 側のシ ス テ ムにそのコ ード を 設定し て 頂く 必要がある こ と から 、 厚労省と 相談し な がら 進めていま す。

Q 12: ア イ ソ ザイ ムの染⾊試薬を 変更すべき で し ょ う か。

A12: Q 4 に対する 回答で、 I FCC 法に対応し たア イ ソ ザイ ム検査試薬が発売さ れる 予定と の情報を 紹介し て いま すが、 ア イ ソ ザイ ム染⾊試薬に対し てプ ロ ジ ェ ク ト は次のよ う に考え て おり ま す。

ア イ ソ ザイ ム染⾊は、 血清蛋白分画や脂質分画の染⾊と 異なり 、 一定時間 内の反応生成物から パーセン ト を 算出し て いま す。 ま た、 総活性値を 測定 し て いる JSCC 法において各ア イ ソ ザイ ムが均等に反応し ている と する も 言え ま せん。AL P ア イ ソ ザイ ム結果が総活性値と 矛盾が生じ な いよ う 染⾊

液は途中で JSCC 常用基準法に合わせた 経緯があり ま す。 こ れは、 骨型 AL P( BAP) を 電気泳動を 用いて測定し て AL P 活性値×AL P3 分画( %) か ら 骨型 AL P を 活性値で 求める こ と も 保険点数[D 007-25 ) : 96 点]で 認め ら れている こ と を と も 考慮し な ければなら な い現状でも あり ま す。

2 . L D

Q 1: CRM 001d の認証値ですが JSCC 法と I FCC 法で 6%ほど I FCC 法が高値で すが、 基準範囲を 変更し な く て よ いので し ょ う か。

A1: CRM 001 は、 ア イ ソ ザイ ム L D 1 のみで 作製さ れており ま す。 実際の測定試 料は、ア イ ソ ザイ ム L D 1 から L D 5 が存在する ため、基準範囲付近では JSCC 法と I FCC 法で 同等の測定値と な り ま す。

Q 2: L D 5 が多く 含ま れる 試料で 、 JSCC 法が高値と な る と のこ と で すが、 ど の く ら い乖離する のでし ょ う か。

A2: L D 5( % ) が 40%を 超え る よ う な 検体で は、 I FCC 法よ り JSCC 法が 10〜

(31)

20%ほど 高値と なり ま す。 L D 5( % ) が 70%を 占める 検体では 30%近く 乖 離する 場合も あり ま す。

Q 3: 試薬の pH がア ルカ リ 側ですが、 開封後 1 ヶ 月以上使用可能で し ょ う か。

A3: 開封後の試薬を そのま ま 分析装置にセッ ト し て 使用する 場合は、 分析を 実 施し な い夜間帯など には蓋を し た状態で 保管する こ と を お薦めいたし ま す。

AL P・ L D 共に組成が変更にな り ま すので 、 詳細は使用し て いる 試薬のメ ーカ ーに確認願いま す。

Q 4: JSCC 法と I FCC 法で 測定値に乖離する 例が少な いので あれば、試薬を 変更 する 必要はな いと 思う ので すが。

A4: ア イ ザイ ムの L D 5 が多く 含ま れる 検体では、 測定値が乖離する こ と と 、 ど の検体で L D 5 の割合が多いか不明で すので 、 I FCC 法試薬に変更する 必要 があり ま す。

*質問が寄せら れ次第、 順次追加し て いき ま す。

(32)

参照

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