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日本消化器病学会胃食道逆流症 (GERD) 診療ガイドライン作成 評価委員会は, 胃食道逆流症 (GERD) 診療ガイドラインの内容については責任を負うが, 実際の臨床行為の結果については各担当医が負うべきである. 胃食道逆流症 (GERD) 診療ガイドラインの内容は, 一般論とし て臨床現場の意思

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日本消化器病学会

胃食道逆流症(GERD)診療ガイドライン 2015(改訂第 2 版)

Evidence-based Clinical Practice Guidelines for GERD 2015(2nd Edition)

(2)

日本消化器病学会胃食道逆流症(GERD)診療ガイドライン作

成・評価委員会は,胃食道逆流症(GERD)診療ガイドラインの内

容については責任を負うが,実際の臨床行為の結果については各担

当医が負うべきである.

胃食道逆流症(GERD)診療ガイドラインの内容は,一般論とし

て臨床現場の意思決定を支援するものであり,医療訴訟等の資料と

なるものではない.

日本消化器病学会 2015 年 9 月 1 日

(3)
(4)

日本消化器病学会は,2005 年に当時の理事長であった跡見

裕先生の発議によって,Evidence-Based Medicine

(EBM)の手法に則ったガイドラインの作成を行うことを決定し,3 年余をかけ,

2009〜2010 年に消化器 6 疾患のガイドライン(第一次ガイドライン)を完成・上梓した.6 疾患

とは,胃食道逆流症(GERD),消化性潰瘍,肝硬変,クローン病,胆石症,慢性膵炎であり,

それまでガイドラインが作成されていない疾患で,日常臨床で診療する機会の多いものを重視

し,財団評議員に行ったアンケート調査で多数意見となったものが選ばれた.2006 年の第 92 回

日本消化器病学会総会の際に第 1 回ガイドライン委員会が開催され,文献検索範囲,文献採用

基準,エビデンスレベル,推奨グレードなど EBM 手法の統一性についての合意と,クリニカル

クエスチョン(CQ)の設定など基本的な枠組みが合意され,作成作業が開始された.6 疾患のガ

イドライン作成では,推奨の強さのグレード決定に Minds(Medical Information Network

Dis-tribution Service)システムを一部改変し,より臨床に則した日本消化器病学会独自の基準を用い

た.また,ガイドライン作成における利益相反(Conflict of Interest:COI)が当時,社会的問題

となっており,EBM 専門家から提案された基準に基づいてガイドライン委員の COI を公開し

た.菅野健太郎前理事長のリーダーシップのもとに学会をあげての事業として行われたガイド

ライン作成は先進的な取り組みであり,わが国の消化器診療の方向性を学会主導で示したもの

として大きな価値があったと評価できる.日本消化器病学会は,その後,6 疾患について「患者

さんと家族のためのガイドブック」も編集・出版し,治療を受ける側の目線で解説書を作成す

ることによって,一般市民がこれら消化器の代表的疾患への理解を深めるうえで役立ったと考

えている.

第一次ガイドライン作成を通じて,日本消化器病学会は消化器関連の Common Disease に関

するガイドラインの必要性と重要性の認識を強め,さらに整備する必要度の高い疾患について

評議員にアンケートを行い,2011 年から機能性ディスペプシア(FD),過敏性腸症候群(IBS),

大腸ポリープ,NAFLD/NASH の 4 疾患についても,診療ガイドライン(第二次ガイドライン)

の作成を開始した.一方では,これら 4 疾患の診療ガイドラインの刊行が予定された 2014 年に

は,第一次ガイドラインも作成後 5 年が経過するため,いわゆる Sunset Rule(日没ルール:作成

から長期経過したガイドラインは妥当性が担保できないため,退場させる取り決め)に従い,先

行 6 疾患のガイドラインの改訂作業も併せて行うこととなった.2011 年 11 月 9 日に 6 疾患の第

1 回改訂委員会が開催され,改訂の基本方針が確認された.改訂版では第二次ガイドライン作

成と同様,国際的主流となっている GRADE(The Grading of Recommendations Assessment,

Development and Evaluation)システムの考え方を取り入れて推奨の強さを決定することとした.

このシステムは,単にエビデンスに基づいて推奨の強さを決めるのではなく,患者さんへの有

益性,費用まで考慮し,たとえ比較対照試験であってもその内容を精査・吟味してエビデンス

レベルを決定するなど,アウトカムにとって有用かどうかを重視する立場に立っており,患者

さんの立場により則したガイドライン作成に有用と考えられた.また,完成後に改訂版は Journal

of Gastroenterology

に掲載することが予定されており,世界的趨勢である GRADE システムの考

え方を取り入れることで国際的ガイドラインとしての位置づけを強化する狙いもあった.

日本消化器病学会ガイドラインの刊行にあたって

(5)

日本消化器病学会ガイドラインの刊行にあたって

改訂作業の進捗には疾患によって多少差がみられるが,2015 年 4 月から順次完成し,秋まで

に 6 疾患すべての改訂作業が完了する予定である.最新のエビデンスを網羅した改訂版は,初

版に比べて内容的により充実し,記載の精度も高まるものと期待している.

最後に,ガイドライン委員会の前担当理事として多大なご尽力をいただいた木下芳一理事,

渡辺 守理事,ならびに多くの時間と労力を惜しまず改訂作業を遂行された作成委員会ならびに

評価委員会の諸先生,刊行にあたり丁寧なご支援をいただいた南江堂出版部の皆様に心より御

礼を申し上げたい.

2015 年 4 月 日本消化器病学会理事長

下瀬川 徹

(6)

委員長

三輪 洋人

兵庫医科大学内科学消化管科

委員

荒川 哲男

大阪市立大学消化器内科学

上野 文昭

大船中央病院

木下 芳一

島根大学第二内科

西原 利治

高知大学消化器内科

坂本 長逸

新聖会 ういずクリニック

下瀬川 徹

東北大学消化器病態学

白鳥 敬子

東京女子医科大学消化器内科

杉原 健一

光仁会 第一病院

田妻  進

広島大学総合内科・総合診療科

田中 信治

広島大学内視鏡診療科

坪内 博仁

鹿児島市立病院

中山 健夫

京都大学健康情報学

二村 雄次

愛知県がんセンター

野口 善令

名古屋第二赤十字病院総合内科

福井  博

奈良県立医科大学

福土  審

東北大学大学院行動医学分野・東北大学病院心療内科

本郷 道夫

公立黒川病院

松井 敏幸

福岡大学筑紫病院消化器内科

森實 敏夫

日本医療機能評価機構

山口直比古

日本医学図書館協会個人会員

吉田 雅博

化学療法研究所附属病院人工透析・一般外科

芳野 純治

藤田保健衛生大学

渡辺 純夫

順天堂大学消化器内科

渡辺  守

東京医科歯科大学消化器内科

オブザーバー

菅野健太郎

自治医科大学

統括委員会一覧

(7)

協力学会:日本消化管学会,日本食道学会

作成委員会

委員長

木下 芳一

島根大学第二内科

副委員長

岩切 勝彦

日本医科大学消化器内科学

委員

蘆田  潔

洛和会音羽病院消化器病センター

岩切 龍一

佐賀大学消化器内科(光学医療診療部)

大島 忠之

兵庫医科大学内科学消化管科

大原 秀一

東北労災病院消化器内科

小澤 壯治

東海大学消化器外科

柏木 秀幸

富士市立中央病院外科

河村  修

群馬大学医学部附属病院光学医療診療部

永原 章仁

順天堂大学医学部附属静岡病院消化器内科

羽生 泰樹

大阪府済生会野江病院消化器内科

藤原 靖弘

大阪市立大学大学院医学研究科消化器内科学

眞部 紀明

川崎医科大学附属病院内視鏡・超音波センター

評価委員会

委員長

本郷 道夫

公立黒川病院

副委員長

足立 経一

島根県環境保健公社総合健診センター

委員

河野 辰幸

東京医科歯科大学食道・胃外科

草野 元康

群馬大学医学部附属病院光学医療診療部

春間  賢

川崎医科大学消化器内科学

樋口 和秀

大阪医科大学第 2 内科

藤本 一眞

佐賀大学消化器内科

星原 芳雄

日本医科大学消化器内科学

三輪 洋人

兵庫医科大学内科学消化管科

作成協力者 小熊 潤也 東海大学消化器外科 川田 晃世 群馬大学大学院医学系研究科病態制御内科学 木幡 幸恵 大阪市立大学大学院医学研究科消化器内科学 栗林 志行 群馬大学医学部附属病院光学医療診療部 坂田 資尚 佐賀大学消化器内科 下山 康之 群馬大学医学部附属病院光学医療診療部 北條麻理子 順天堂大学消化器内科学 保坂 浩子 群馬大学医学部附属病院光学医療診療部 前田 正毅 群馬大学大学院医学系研究科病態制御内科学 山崎 尊久 兵庫医科大学内科学消化管科

胃食道逆流症(GERD)診療ガイドライン委員会

(8)

1.改訂ガイドライン作成の目的

2009 年に,1983 年から 2007 年までの文献エビデンスに基づいて,胃食道逆流症(GERD)診

療ガイドラインを出版してからすでに 6 年が経過している.この間に GERD 診療に関しては多

くの進歩,変化があった.特に日本国内の疫学データや薬剤の副作用に関する情報収集が大き

く進み,多くの論文が出版された.また,Barrett 食道に関する知識が増加するとともに日本と

欧米の違いが整理されてきた.本ガイドラインは刊行後も毎年新しい発表エビデンスをチェッ

クし,診療に大きなインパクトを与える場合には annual review の形で追記が行われてきたが,

いよいよ全面改訂が必要な時期となったと考えられた.このたびの改訂は,初版刊行後の GERD

研究の進歩をガイドラインに取り入れることを目的に行われた.

2.改訂ガイドライン作成の実際

1)GRADE system

今回の改訂では,新しくガイドライン作成の標準となりつつある GRADE system に準じて作

成が行われることとなった.GRADE system では採用文献を決めるときに臨床的に重要性の高い

評価項目を用いたものを重視している.また,文献エビデンスの評価にあたっては研究のデザ

インだけではなく,割り付けの妥当性,盲検化の有無,脱落例数,対象症例数,各種バイアス

の有無,効果の一貫性と大きさ,臨床的重要性など,研究の内容を評価するためにバイアスリ

スク表を作成しエビデンスレベルを決定する.さらに推奨度を決めるときにもエビデンスだけ

ではなく,患者の好みや,実現可能性,副作用やコストなども考慮することが明記されている.

すなわち,GRADE system はエビデンスを基本としながら,より臨床の現場で使用しやすいガイ

ドラインの作成を目指した柔軟な作成基準であると考えられている.

2)CQ 作成

改訂版作成のプロセス自体は初版の作成時とほぼ同じで,協力学会として日本消化管学会と

日本食道学会の会員にも参加をしていただき協力して作成委員会の委員と評価委員会の委員を

決定した.今回の作成委員会のメンバーの選定にあたっては今後の定期的な改訂作業も見越し

て若返りを意識しながら選定が行われている.作成にあたってまず最初に,作成委員会で CQ

(clinical questions)案を検討した.初版と同じでよいもの,修正が必要なもの,削除するべきも

のをまず選び出し,その後,新たに追加するべき CQ が作成された.新たな CQ の作成にあたっ

てはできるだけ PICO(patients, intervention, comparison, outcome)に沿った CQ が作成される

ように配慮がなされた.完成した CQ は疫学関係が 5,病態関係が 8,診断関係が 11,内科的治

療が 9,外科的治療が 7,術後の食道炎が 8,食道外症状が 6,Barrett 食道が 6 の合計 60 件で

あり,初版の 53 件に比べて 7 件増加してより充実したものとなっている.これらの CQ のうち

Barrett

食道に関するものはほとんどが今回新たに作成された CQ である.CQ の原案は作成委

員会で決定後,評価委員会でも検討評価が行われ,作成委員会では評価委員会からのコメント

に従った修正が行われた.

胃食道逆流症(GERD)診療ガイドライン作成の手順

(9)

胃食道逆流症(GERD)診療ガイドライン作成の手順

3)文献検索

その後,系統的な文献検索が行われ,初版のガイドラインで採用されなかった新しい文献の

収集と評価が行われた.新しい CQ や改訂した CQ では,新たに 1983 年以降 2012 年 6 月まで

の文献が収集された.また,初版と同じ CQ では初版のときには検索されなかった 2007 年以降

2012 年 6 月までの文献に関して検索が行われた.これらの文献に関して構造化抄録が作成され

た後,RCT の研究を含む論文ではバイアスリスク表も作成され,論文のエビデンスレベル決定

の参考とされた.なお,本ガイドラインでは解説文の作成にあたって検索期間外(1982 年以前,

2012 年 7 月以降)の文献を必要に応じ一部加えている.これらについては検索期間外であるこ

とが明示されている.

4)ステートメントの作成と推奨度の決定

次いで,これらの文献エビデンスに加えて患者の好み,実施可能性などを考慮して各 CQ に

対するステートメントが作成された.ステートメントにかかわる文献全体のエビデンスレベル

(エビデンス総体)の決定と推奨度の決定は作成委員が集まって討議を十分に重ねた後に無記名

投票を繰り返して決定した.その後,フローチャートの作成,ステートメントの解説文の作成

を行い,作成委員会で討論と討論に基づく修正を行った後に,評価委員会においてチェックが

行われた.その後,最終的な修正を作成委員会で行った後に,日本消化器病学会のホームペー

ジを通じて広く会員にパブリックコメントを求めた.パブリックコメントで寄せられたコメン

トをもとに,ステートメントと解説文の一部の修正を行って,このたび,2015 年度改訂版の胃

食道逆流症(GERD)診療ガイドラインとして発表することとなった.

3.今後の予定

今後,一般向けの簡易解説版ガイドラインを作成するとともに,英文版を作成し,日本のガ

イドラインを世界に発信していく予定である.また,本改訂ガイドラインの検索期間内では,

まだ臨床データに関する論文が発表されていなかったが,本年より逆流性食道炎の初期治療に

も維持療法にも使用することができる新しいタイプの強力な胃酸分泌抑制薬の使用が開始され

ている.この新しい種類の胃酸分泌抑制薬である potassium competitive acid blocker(P-CAB),

ボノプラザンの臨床データの集積が進み臨床的な論文が発表されれば,本ガイドラインの追補

版の作成や早期の改訂も視野に入れた検討を行っていくことが必要であろうと考えられる.

4.おわりに

最後に,本ガイドラインをまとめるにあたって,常に一緒に仕事をしていただき,調整作業

にあたっていただいた作成委員会副委員長の岩切勝彦先生,評価委員会委員長の本郷道夫先生,

さらに,それぞれの仕事で多忙なところ文献の収集や評価,そのまとめに多くの時間を割いて

いただいた作成委員,評価委員の先生方,作成の進行モニタリング,委員間の連絡,会議の調

整,記録のまとめなど事務的な仕事に多くのサポートをいただいた日本消化器病学会事務局と

南江堂のみなさんに深謝いたします.

2015 年 9 月 日本消化器病学会胃食道逆流症(GERD)診療ガイドライン作成委員長

木下 芳一

(10)

1.エビデンス収集

初版で行われた系統的検索によって得られた論文に加え,今回新たに以下の作業を行ってエ

ビデンスを収集した.

それぞれのクリニカルクエスチョン(CQ)からキーワードを抽出し,学術論文を収集した.

データベースは,英文論文は MEDLINE,Cochrane Library を用いて,日本語論文は医学中央雑

誌を用いた.新規 CQ については 1983 年〜2012 年 6 月末,変更 CQ についても同期間を文献検

索の対象期間とし,初版と同じ CQ については 2008 年〜2012 年 6 月末を文献検索の対象期間と

した.また,2012 年 7 月以降 2015 年 3 月までの重要かつ新しいエビデンスについては,検索期

間外論文として文献に掲載した.各キーワードおよび検索式は日本消化器病学会ホームページ

に掲載する予定である.

収集した論文のうち,ヒトに対して行われた臨床研究を採用し,動物実験や遺伝子研究に関

する論文は除外した.患者データに基づかない専門家個人の意見は参考にしたが,エビデンス

としては用いなかった.

2.エビデンス総体の評価方法

1)各論文の評価:構造化抄録の作成

各論文に対して,研究デザイン

1)

表 1

)を含め,論文情報を要約した構造化抄録を作成した.

さらに RCT や観察研究に対して,Cochrane Handbook

2)

や Minds 診療ガイドライン作成の手

引き

1)

のチェックリストを参考にしてバイアスのリスクを判定した(

表 2

).総体としてのエビ

デ ン ス 評 価 は ,GRADE(The Grading of Recommendations Assessment, Development and

Evaluation)システム

3〜22)

の考え方を参考にして評価し,CQ 各項目に対する総体としてのエビ

デンスの質を決定し表記した(

表 3

).

2)アウトカムごと,研究デザインごとの蓄積された複数論文の総合評価

(1)初期評価:各研究デザイン群の評価

本ガイドライン作成方法

表 1 研究デザイン

各文献へは下記 9 種類の「研究デザイン」を付記した.  (1)メタ (システマティックレビュー /RCT のメタアナリシス)  (2)ランダム (ランダム化比較試験)  (3)非ランダム (非ランダム化比較試験)  (4)コホート (分析疫学的研究(コホート研究))  (5)ケースコントロール (分析疫学的研究(症例対照研究))  (6)横断 (分析疫学的研究(横断研究))  (7)ケースシリーズ (記述研究(症例報告やケース・シリーズ))  (8)ガイドライン (診療ガイドライン)  (9)(記載なし) (患者データに基づかない,専門委員会や専門家個人の意見は, 参考にしたが,エビデンスとしては用いないこととした)

(11)

本ガイドライン作成方法

メタ群,ランダム群=「初期評価 A」

非ランダム群,コホート群,ケースコントロール群,横断群=「初期評価 C」

ケースシリーズ群=「初期評価 D」

(2)エビデンスレベルを下げる要因の有無の評価

研究の質にバイアスリスクがある

結果に非一貫性がある

エビデンスの非直接性がある

データが不精確である

出版バイアスの可能性が高い

(3)エビデンスレベルを上げる要因の有無の評価

大きな効果があり,交絡因子がない

用量–反応勾配がある

可能性のある交絡因子が,真の効果をより弱めている

(4)総合評価:最終的なエビデンスの質「A,B,C,D」を評価判定した.

表 2 バイアスリスク評価項目

選択バイアス (1)ランダム系列生成 詳細に記載されている か (2)コンシールメント 組み入れる患者の隠蔽化がなされているか 実行バイアス (3)盲検化 検出バイアス (4)盲検化 症例減少バイアス (5)ITT 解析 ITT 解析の原則を掲げて,追跡からの脱落者に対してその原則を遵守 しているか (6)アウトカム報告バイアス  (解析における採用および除外データを含めて) (7)その他のバイアス 告・研究計画書に記載されているにもかかわらず,報 告されていないアウトカムがないか

表 3 エビデンスの質

A:質の高いエビデンス(High)    真の効果がその効果推定値に近似していると確信できる. B:中程度の質のエビデンス(Moderate)    効果の推定値が中程度信頼できる.    真の効果は,効果の効果推定値におおよそ近いが,それが実質的に異なる可能性もある. C:質の低いエビデンス(Low)    効果推定値に対する信頼は限定的である.    真の効果は,効果の推定値と,実質的に異なるかもしれない. D:非常に質の低いエビデンス(Very Low)    効果推定値がほとんど信頼できない.    真の効果は,効果の推定値と実質的におおよそ異なりそうである.

(12)

3)エビデンスの質の定義方法

エビデンスレベルは海外と日本で別の記載とせずに 1 つとした.またエビデンスは複数文献

を統合・作成した統合レベル(body of evidence)とし,

表 3

の A〜D で表記した.

4)メタアナリシス

システマティックレビューを行い,必要に応じてメタアナリシスを引用し,本文中に記載し

た.

また,1 つ 1 つのエビデンスに「保険適用あり」の記載はせず,保険適用不可の場合に,解

説の中で明記した.

3.推奨の強さの決定

以上の作業によって得られた結果をもとに,治療の推奨文章の案を作成提示した.次に,推

奨の強さを決めるためにコンセンサス会議を開催した.

推奨の強さは,①エビデンスの確かさ,②患者の希望,③益と害,④コスト評価,の 4 項目

を評価項目とした.コンセンサス形成方法は,Delphi 変法,nominal group technique(NGT)法

に準じて投票を用い,70%以上の賛成をもって決定とした.1 回目で,結論が集約できないとき

は,各結果を公表し,日本の医療状況を加味して協議の上,投票を繰り返した.作成委員会は,

この集計結果を総合して評価し,

表 4

に示す推奨の強さを決定し,本文中の囲み内に明瞭に表

記した.

推奨の強さは「1:強い推奨」,「2:弱い推奨」の 2 通りであるが,「強く推奨する」や「弱く

推奨する」という文言は馴染まないため,下記のとおり表記した.また,投票結果を「合意率」

として推奨の強さの下段に括弧書きで記載した.推奨の強さを決定できなかった場合や,疫学・

病態などの,CQ およびステートメント内容が推奨文章ではない場合は,推奨の強さを「なし」

と記載した.

4.本ガイドラインの対象

1)利用対象:一般臨床医

2)診療対象:成人の患者を対象とした.小児は対象外とした.

5.改訂について

本ガイドラインは改訂第 2 版であり,今後も日本消化器病学会ガイドライン委員会を中心と

して継続的な改訂を予定している.

表 4 推奨の強さ

推奨度 1(強い推奨) 実施する ことを推奨する 実施しない ことを推奨する 2(弱い推奨) 実施する ことを提案する 実施しない ことを提案する

(13)

本ガイドライン作成方法

6.作成費用について

本ガイドラインの作成はすべて日本消化器病学会が費用を負担しており,他企業からの資金

提供はない.

7.利益相反について

1)日本消化器病学会ガイドライン委員会では,ガイドライン統括委員・各ガイドライン作

成・評価委員と企業との経済的な関係につき,各委員から利益相反状況の申告を得た(詳細は

「利益相反に関して」に記す).

2)本ガイドラインでは,利益相反への対応として,協力学会の参加によって意見の偏りを防

ぎ,さらに委員による投票によって公平性を担保するように努めた.また,出版前のパブリッ

クコメントを学会員から受け付けることで幅広い意見を収集した.

8.ガイドライン普及と活用促進のための工夫

1)フローチャートを提示して,利用者の利便性を高めた.

2)書籍として出版するとともに,インターネット掲載を行う予定である.

・日本消化器病学会ホームページ

・日本医療機能評価機構 EBM 医療情報事業(Minds)ホームページ

■引用文献

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22) Guyatt GH, Oxman AD, Santesso N, et al. GRADE guidelines 12. Preparing Summary of Findings tables-binary outcomes. J Clin Epidemiol2013; 66: 158-172

(15)

日本消化器病学会ガイドライン委員会では,ガイドライン統括委員と企業との経済的な関係につき,下記の基準で, 各委員から利益相反状況の申告を得た. 胃食道逆流症(GERD)診療ガイドライン作成・評価委員には診療ガイドライン対象疾患に関連する企業との経済的な 関係につき,下記の基準で,各委員から利益相反状況の申告を得た. 申告された企業名を下記に示す(対象期間は 2011 年 1 月 1 日から 2014 年 12 月 31 日).企業名は 2015 年 7 月現在の 名称とした.非営利団体は含まれない. 1.委員または委員の配偶者,一親等内の親族,または収入・財産を共有する者が個人として何らかの報酬を得た企 業・団体 役員・顧問職(100 万円以上),株(100 万円以上または当該株式の 5%以上保有),特許権使用料(100 万円以上) 2.委員が個人として何らかの報酬を得た企業・団体 講演料(100 万円以上),原稿料(100 万円以上),その他の報酬(5 万円以上) 3.委員の所属部門と産学連携を行っている企業・団体 研究費(200 万円以上),寄付金(200 万円以上),寄付講座 ※統括委員会においては日本消化器病学会診療ガイドラインに関係した企業・団体,作成・評価委員においては診 療ガイドライン対象疾患に関係した企業・団体の申告を求めた 統括委員および作成・評価委員はすべて,診療ガイドラインの内容と作成法について,医療・医学の専門家として科 学的・医学的な公正さを保証し,患者のアウトカム,Quality of life の向上を第一として作業を行った. 利益相反の扱いは,国内外で議論が進行中であり,今後,適宜,方針・様式を見直すものである. 表 1 統括委員と企業との経済的な関係(五十音順) 1.エーザイ株式会社,大塚製薬株式会社 2.味の素製薬株式会社,アステラス製薬株式会社,アストラゼネカ株式会社,アッヴィ合同会社,アボットジャパ ン株式会社,株式会社医学書院,エーザイ株式会社,MSD 株式会社,大塚製薬株式会社,オリンパスメディカル システムズ株式会社,杏林製薬株式会社,ゼリア新薬工業株式会社,第一三共株式会社,大日本住友製薬株式会 社,大鵬薬品工業株式会社,武田薬品工業株式会社,田辺三菱製薬株式会社,中外製薬株式会社,ファイザー株 式会社 3.旭化成メディカル株式会社,味の素製薬株式会社,あすか製薬株式会社,アステラス製薬株式会社,アストラゼ ネカ株式会社,アッヴィ合同会社,アボットジャパン株式会社,エーザイ株式会社,MSD 株式会社,大塚製薬株 式会社,小野薬品工業株式会社,花王株式会社,株式会社カン研究所,杏林製薬株式会社,協和発酵キリン株式 会社,グラクソ・スミスクライン株式会社,株式会社 JIMRO,株式会社ジーンケア研究所,ゼリア新薬工業株式 会社,センチュリーメディカル株式会社,第一三共株式会社,大日本住友製薬株式会社,大鵬薬品工業株式会社, 武田薬品工業株式会社,田辺三菱製薬株式会社,中外製薬株式会社,株式会社ツムラ,東レ株式会社,ファイザー 株式会社,ブリストル・マイヤーズ株式会社,株式会社ミノファーゲン製薬,持田製薬株式会社,株式会社ヤク ルト本社,ユーシービージャパン株式会社 表 2 作成・評価委員と企業との経済的な関係(五十音順) 1.なし 2.アステラス製薬株式会社,アストラゼネカ株式会社,エーザイ株式会社,大塚製薬株式会社,第一三共株式会社, 武田薬品工業株式会社,日本新薬株式会社 3.アステラス製薬株式会社,アストラゼネカ株式会社,エーザイ株式会社,大塚製薬株式会社,ギブン・イメージ ング株式会社,第一三共株式会社,武田薬品工業株式会社,田辺三菱製薬株式会社,日本製薬株式会社

利益相反に関して

(16)

第 1 章 疫学 

(1)有病率

(2)GERD 患者の身体的特徴と合併症 

第 2 章 病態

(1)GERD の病態

(2)世界との比較

(3)胃食道逆流(GER)の要因 

第 3 章 診断 

(1)自覚症状の評価

(2)内視鏡診断

(3)逆流現象の評価

第 4 章 内科的治療

(1)治療の目的

(2)治療手段

第 5 章 外科的治療

(1)外科的治療適応対象の基準

(2)外科的治療の効果

第 6 章 上部消化管術後食道炎

(1)定義

(2)要因

(3)術後食道炎の病態評価

(4)術後食道炎の治療

(5)術後食道炎の長期経過と合併症

第 7 章 食道外症状

(1)非心臓性胸痛

(2)慢性咳嗽

(3)咽喉頭症状

(4)喘息

(5)睡眠障害

(6)その他の食道外症状

第 8 章 Barrett 食道

本ガイドラインの構成

(17)

— xvii —

フローチャート

GERD 疑い GERD 内視鏡未施行 臨床評価 他疾患 (びらん性 GERD orGERD 非びらん性 GERD) 臨床評価 併用可能な治療手段 生活習慣の改善 アルギン酸塩, 制酸薬  頓用 消化管運動機能改善薬, 漢方薬 臨床評価 臨床評価 病態評価** 維持療法 改善あり 改善あり 改善なし 改善なし 他疾患 PPI 抵抗性 GERD 薬剤検討 他剤検討* PPI 倍量 分割投与 PPI 8 週 初期治療 長期治療戦略

P

P

I抵

G

E

R

D

専門治療 症状持続 または再燃 ( 一過性症状として 診療終了) 内視鏡 検査 診断 治療 CQ4-3 CQ4-5 CQ3-4 CQ3-6 CQ3-7 CQ3-8 CQ3-9 CQ4-1 CQ4-3 CQ4-5 PPI 継続治療 不要の GERD 軽症びらん性 GERD (grade A,B) 重症びらん性 GERD (grade C,D) 長期治療を要する GERD PPI による 維持療法 積極的 維持療法 外科的治療 オンデマンド療法 or 継続的な維持療法 外科的治療 状態/診断 陽性判断 or治療成功 陰性判断 or 治療不成功 治療 PPI に反応する 非びらん性 GERD CQ3-5 CQ4-2 CQ4-8 CQ4-8 CQ4-8 CQ5-1 CQ4-8 CQ3-11 CQ5-1 CQ4-7 CQ4-7 CQ4-8 CQ4-9 CQ4-4 CQ4-6 他剤検討*  PPI 変更,投与法の変更,  消化管運動機能改善薬追加,  漢方薬追加,H2RA 追加 病態評価**  食道インピーダンス・  pH モニタリング  食道内圧検査 酸,弱酸, 非酸逆流 専門医による 内科的治療 検査 判断

(18)

1.胃食道逆流症(GERD)

「胃食道逆流症(gastroesophageal reflux disease:GERD)」は,胃食道逆流(gastroesophageal

reflux:GER)により引き起こされる食道粘膜傷害と煩わしい症状のいずれかまたは両者を引き

起こす疾患であり,食道粘膜傷害を有する「びらん性 GERD」と症状のみを認める「非びらん

性 GERD」に分類される.

2.胃食道逆流(GER)

胃食道逆流(gastroesophageal reflux:GER)は,「酸の GER」と「酸以外(弱酸,非酸)の

GER」に分類される.

3.PPI 抵抗性 GERD

標準量の PPI を 8 週間内服しても①食道粘膜傷害が治癒しない and/or ②GER 由来と考えら

れる症状が十分に改善しない状態と定義する.

4.術後食道炎

胃切除後(胃全摘術を含む),食道切除後までを含めることとし,肥満手術後,逆流防止術後

は含めない.

5.Barrett 食道

Barrett

食道の定義は,国内外で統一(生検の有無,長さ,食道胃接合部の判定)されていない

のが現状であり,今後定義を統一する必要もあるが本ガイドラインでは日本における『食道癌

取扱い規約(第 10 版)』に基づいた定義「バレット粘膜(胃から連続性に食道に伸びる円柱上皮

で,腸上皮化生の有無を問わない)の存在する食道」を用いた.

用語解説

(19)

第 1 章 疫 学

有病率

CQ 1-1

日本人の GERD の有病率はどれくらいか? ………2

CQ 1-2

日本人の GERD の有病率は増加しているか? ………4

GERD 患者の身体的特徴と合併症

CQ 1-3

GERD

の有病率は過体重者に多いか? ………6

CQ 1-4

GERD

は食道裂孔ヘルニアに合併するか? ………8

CQ 1-5

GERD

では食道狭窄,出血が合併するか?………10

第 2 章 病 態

GERD の病態

CQ 2-1

胃酸の GER は GERD の食道粘膜傷害の主な原因か? ………14

CQ 2-2

食道裂孔ヘルニアは食道の胃酸曝露の原因になるか? ………15

CQ 2-3

食道運動障害は食道の胃酸曝露の原因になるか? ………16

CQ 2-4

胃酸の GER のメカニズムは? ………17

CQ 2-5

胃酸以外の GER は GERD の原因になるか? ………18

CQ 2-6

非びらん性 GERD の病態は,びらん性 GERD の病態と同じか? ………21

世界との比較

CQ 2-7

H. pylori

感染で GERD 有病率は低下するか? ………25

胃食道逆流(GER)の要因

CQ 2-8

激しい肉体運動は GERD の誘発因子になるか? ………28

第 3 章 診 断

自覚症状の評価

CQ 3-1

胸やけ症状は患者に正しく理解されているか? ………32

CQ 3-2

GER

により GERD の定型的食道症状以外の症状(食道外症状)が出現することがある

か? ………33

CQ 3-3

GER

により食道外症状のみを呈する患者はいるか? ………36

CQ 3-4

自己記入式アンケートは GERD の診断,治療効果の評価に有用か? ………38

CQ 3-5

食道粘膜傷害の内視鏡的重症度は自覚症状の重症度と相関するか? ………40

CQ 3-6

PPI

テストは GERD の診断に有用か?………42

内視鏡診断

CQ 3-7

びらん性 GERD の内視鏡的重症度分類にロサンゼルス分類は妥当か? ………44

クリニカルクエスチョン一覧

(20)

CQ 3-8

内視鏡検査でみられる minimal change はどう取り扱うべきか? ………46

CQ 3-9

GERD

の診断において画像強調観察・拡大内視鏡観察は有用か?………48

CQ 3-10 PPI 抵抗性 GERD は酸の GER によらない病態か? ………50

逆流現象の評価

CQ 3-11 24 時間食道 pH モニタリング,24 時間食道インピーダンス・pH モニタリングは

GERD

診療に有用か?………52

第 4 章 内科的治療

治療の目的

CQ 4-1

GERD

治療の目的(目標)は何か? ………56

治療手段

CQ 4-2

生活習慣の改善・変更は GERD の治療に有効か? ………59

CQ 4-3

酸分泌抑制薬は GERD の治療に有効か? ………61

CQ 4-4

アルギン酸塩,制酸薬は GERD の治療に有効か? ………64

CQ 4-5

PPI

は GERD の第一選択薬か?………66

CQ 4-6

消化管運動機能改善薬,漢方薬など PPI との併用で上乗せ効果が期待できる薬剤は

あるか? ………69

CQ 4-7

常用量の PPI で効果が不十分な場合はどうするか? ………70

CQ 4-8

GERD

の長期治療戦略は何か? 維持療法,間欠療法,オンデマンド療法,ステップ

ダウン療法はどう使い分けるか? ………74

CQ 4-9

GERD

治療薬の長期維持療法は安全か?………79

第 5 章 外科的治療

外科的治療適応対象の基準

CQ 5-1

外科的治療の適応となる GERD はどのような病態のものか? ………86

外科的治療の効果

CQ 5-2

GER

防止手術の長期成績は PPI 治療と同等以上か? ………88

CQ 5-3

外科的治療は PPI 治療よりも費用対効果比が良好か? ………90

CQ 5-4

GER

防止手術の成績は外科医の経験と技能に左右されるか? ………91

CQ 5-5

開腹手術に比べ腹腔鏡下手術は有用か? ………92

CQ 5-6

びらん性 GERD の外科的治療として,Nissen 法は Toupet 法より優れているか? …93

CQ 5-7

GERD

に対する経口内視鏡的治療は有効か?………94

第 6 章 上部消化管術後食道炎

定義

CQ 6-1

術後食道炎の原因となる食道粘膜傷害性を持つ逆流内容物は何か? ………98

要因

CQ 6-2

術後食道炎の発生に影響する要因は何か? ………101

(21)

クリニカルクエスチョン一覧

術後食道炎の病態評価

CQ 6-3

術後食道炎の病態評価の診断に有用なものは何か? ………105

CQ 6-4

術後食道炎に特有な病理組織像はあるか? ………107

術後食道炎の治療

CQ 6-5

術後食道炎の治療に生活指導は有用か? ………108

CQ 6-6

術後食道炎の治療に薬物治療は有用か? ………109

CQ 6-7

術後食道炎の治療に手術療法は有用か? ………111

術後食道炎の長期経過と合併症

CQ 6-8

術後食道炎の自然経過はどうなるのか? ………113

第 7 章 食道外症状

非心臓性胸痛

CQ 7-1

GER

により虚血性心疾患と見分けのつかない胸痛が生じるか? ………116

慢性咳嗽

CQ 7-2

GER

により慢性咳嗽が生じるか? ………118

咽喉頭症状

CQ 7-3

GER

により慢性咽喉頭炎(自覚症状のみのものを含む)が生じるか? ………120

喘息

CQ 7-4

GER

により喘息が生じるか? ………122

睡眠障害

CQ 7-5

GER

により睡眠障害が生じるか? ………124

その他の食道外症状

CQ 7-6

GER

によりその他の食道外症状が生じるか? ………126

第 8 章 Barrett 食道

CQ 8-1

Barrett

食道はどのように定義されるか? ………130

CQ 8-2

Barrett

食道の発生に GER が関係するか? ………132

CQ 8-3

一般日本人および日本人 GERD 患者のなかで Barrett 食道の合併頻度は,それぞれどれ

くらいか? ………133

CQ 8-4

術後食道炎から Barrett 食道は生じるか? ………135

CQ 8-5

日本人の Barrett 食道からの発癌頻度はどれくらいか? ………137

CQ 8-6

日本人の Barrett 食道はすべて内視鏡による経過観察が必要か? ………139

索引 ………141

(22)

略語一覧

AFI autofl uorescence imaging

BAL broncho-alveolar lavage 気管支肺胞洗浄

BLI blue laser imaging BMI body mass index CC collageneous colitis

CPAP continuous positive airway pressure 持続陽圧呼吸

DLCO diff using capacity of CO

ECL enterochromaffi n-like 腸クロム親和性細胞様

FICE fl exible spectral imaging color enhancement

GER gastroesophageal refl ux 胃食道逆流

GERD gastroesophageal refl ux disease 胃食道逆流症

H2RA histamine H2 receptor antagonist ヒスタミン H2受容体拮抗薬

hetEM heterozygous extensive metabolizer homEM homozygous extensive metabolizer

IPCL intrapapillary capillary loop 上皮乳頭内血管ループ

LC lymphocytic colitis

LDH lactate dehydrogenase 乳酸脱水素酵素

LES lower esophageal sphincter 下部食道括約筋

LSBE long segment Barrett s esophagus MC microscopic colitis

NAB nocturnal acid breakthrough NBI narrow band imaging

NCCP non-cardiac chest pain 非心臓性胸痛

OR odds ratio オッズ比

OSAS obstructive sleep apnea syndrome 閉塞性睡眠時無呼吸症候群

PM poor metabolizer

PPI proton pump inhibitor プロトンポンプ阻害薬

QOL quality of life 生活の質

SSBE short segment Barrett s esophagus

TLESR transient lower esophageal sphincter relaxation 下部食道括約筋の一過性弛緩 TRPV transient receptor potential vanilloid

(23)
(24)

解説

2008 年以降に発表された 1,000 例以上を対象とした研究で,びらん性 GERD の頻度は 6.5〜

14.6%であった(

表 1

1〜7)

.報告された全症例を平均すると 10.5%であり,びらん性 GERD の有

病率は 10%程度と推定される.Kusano らの報告では,胸やけ症状を加味した診断では GERD

の頻度はびらん性 GERD の約 2 倍である

8)

.他の報告からも症状から診断される症例を加味す

ると GERD 患者はさらに多いと推定される

9, 10)

.びらん性 GERD の内視鏡重症度に言及した報告

はほとんどないが,Yasuhara らの報告ではロサンゼルス分類 Grade C,D の症例はびらん性

GERD

の 3%のみであった

7)

.過去の報告も同様であり

11)

,ロサンゼルス分類 Grade C,D に相当

する重症例は少ない.

Clinical Question 1-1

1.疫学 ― ❶有病率

日本人の GERD の有病率はどれくらいか?

CQ 1-1

日本人の GERD の有病率はどれくらいか?

ステートメント

推奨の強さ

(合意率)

エビデンス

レベル

びらん性 GERD の有病率は 10%程度と推定される.

なし

B

表 1 びらん性 GERD の頻度

報告者 対象 対象数 GERD 症例 Chiba ら1) 多施設,健診受診者 4,990 14.6% 志賀ら2) 単一施設,健診受診者 1,531 6.5% Mizuta ら3) 単一施設,健診受診者 2,303 8.7% Kato ら4) 単一施設,健診受診者 2,405 9.8% Murao ら5) 単一施設,健診受診者 2,853 11.3% Kaji ら6) 単一施設,健診受診者 2,680 7.7% Yasuhara ら7) 多施設,健診受診者 1,495 8.0%

(25)

①有病率

文献

1) Chiba H, Gunji T, Sato H, et al. A cross-sectional study on the risk factors for erosive esophagitis in young adults. Intern Med2012; 51: 1293-1299(横断)

2) 志賀智子,森吉百合子.逆流性食道炎の危険因子の検討―メタボリックシンドローム,症状に関連しての 検討.人間ドック 2011; 26: 523-530(ケースコントロール)

3) Mizuta A, Adachi K, Furuta K, et al. Different sex-related influences of eating habits on the prevalence of reflux esophagitis in Japanese. J Gastroenterol Hepatol2011; 26: 1060-1064(ケースコントロール) 4) Kato M, Watabe K, Hamasaki T, et al. Association of low serum adiponectin levels with erosive

esophagi-tis in men: an analysis of2405 subjects undergoing physical check-ups. J Gastroenterol 2011; 46: 1361-1367 (ケースコントロール)

5) Murao T, Sakurai K, Mihara S, et al. Lifestyle change influences on GERD in Japan: a study of participants in a health examination program. Dig Dis Sci2011; 56: 2857-2864(ケースコントロール)

6) Kaji M, Fujiwara Y, Shiba M, et al. Prevalence of overlaps between GERD, FD and IBS and impact on health-related quality of life. J Gastroenterol Hepatol2010; 25: 1151-1156(ケースコントロール) 7) Yasuhara H, Miyake Y, Toyokawa T, et al. Large waist circumference is a risk factor for reflux esophagitis

in Japanese males. Digestion2010; 81: 181-187(ケースコントロール)

8) Kusano M, Kouzu T, Kawano T, et al. Nationwide epidemiological study on gastroesophageal reflux dis-ease and sleep disorders in the Japanese population. J Gastroenterol2008; 43: 833-841(横断)

9) Sakaguchi M, Oka H, Hashimoto T, et al. Obesity as a risk factor for GERD in Japan. J Gastroenterol 2008;

43: 57-62(ケースコントロール)

10) Yamagishi H, Koike T, Ohara S, et al. Prevalence of gastroesophageal reflux symptoms in a large unselect-ed general population in Japan. World J Gastroenterol2008; 14: 1358-1364(横断)

11) Furukawa N, Iwakiri R, Koyama T, et al. Proportion of reflux esophagitis in 6010 Japanese adult: prospec-tive evaluation by endoscopy. J Gastroenterol1999; 34: 441-444(横断)

(26)

解説

日本人の GERD の有病率に関するシステマティックレビューによると,これまでに外来患者

を対象とした 30 論文と健診受診者を対象とした 12 論文が報告されている

1)

.外来患者の内視鏡

検査における GERD 有病率は,1980 年代には 1.6%前後であったが 1990 年代後半より増加し,

2000 年代には 13.1%(5.8〜16.7%)と高い有病率を示していた.健診受診者の内視鏡検査におけ

る有病率は,1990 年代には 2.5%(1.3〜13.7%)であったが,2000 年代の報告では 9.8%(4.9〜

12.8%)と増加していた.健診受診者の GERD 症状を有する割合は,1990 年代は 10.3%であっ

たが,2000 年代半ばには 18.9%(12.7〜27%)と増加していた.他のレビューにおいても,内視

鏡検査における GERD の有病率は,1985〜1987 年に 1%前後であったが,2005 年には 7.1%と

増加していたと報告されている

2)

.有病率は報告により大きな差があるが,対象者の年齢や性が

異なることなどが要因であると考えられる.しかし,同一施設で外来患者を対象とした症状お

よび内視鏡における GERD 有病率の経時的な変化を調査した報告によると,胸やけを訴えた患

者の割合は,1981〜1982 年の 1.7%から 2004〜2005 年の 8.2%へ有意に増加し,びらん性食道炎

の割合も,1981〜1982 年の 2.0%から 2004〜2005 年の 14.3%と有意に増加していた

3)

.また,

1998 年と 2005 年における健診受診者の H. pylori 感染とびらん性食道炎の年齢調整罹患率を同一

地区で調査した報告によると,H. pylori 感染は 70.5%から 52.7%に減少した一方で,GERD は

1.4%から 6.6%に増加していた

4)

報告により有病率に違いはあるが,日本人の GERD の有病率は増加していると考えられる.

要因として,胃酸分泌能の増加や H. pylori 感染率の減少,H. pylori 除菌治療の普及などが考えら

れている

4〜6)

文献

1) Fujiwara Y, Arakawa T. Epidemiology and clinical characteristics of GERD in the Japanese population. J Gastroenterol2009; 44: 518-534(メタ)

Clinical Question 1-2

1.疫学 ― ❶有病率

日本人の GERD の有病率は増加しているか?

CQ 1-2

日本人の GERD の有病率は増加しているか?

ステートメント

推奨の強さ

(合意率)

エビデンス

レベル

日本人の GERD の有病率は増加している.

なし

C

(27)

①有病率 2) Miwa H, Oshima T, Tomita T, et al. Gastro-esophageal reflux disease: the recent trend in Japan. Clin J

Gas-troenterol2008; 1: 133-138(メタ)

3) Manabe N, Haruma K, Kamada T, et al. Changes of upper gastrointestinal symptoms and endoscopic findings in Japan over25 years. Intern Med 2011; 50: 1357-1363(ケースコントロール)

4) Nakajima S, Nishiyama Y, Yamaoka M, et al. Changes in the prevalence of Helicobacter pylori infection and gastrointestinal diseases in the past17 years. J Gastroenterol Hepatol 2010; 25 (Suppl 1): S99-S110(ケース コントロール)

5) Kinoshita Y, Kawanami C, Kishi K, et al. Helicobacter pylori independent chronological change in gastric acid secretion in the Japanese. Gut1997; 41: 452-458(メタ)

6) Yagi S, Okada H, Takenaka R, et al. Influence of Helicobacter pylori eradication on reflux esophagitis in Japanese patients. Dis Esophagus2009; 22: 361-367(ケースコントロール)

(28)

解説

GERD

と body mass index(BMI)との関連を検討した報告はあるが,BMI が有意に高い

1〜6)

オッズ比が上昇する

3, 5, 7)

,上昇しない

1, 2, 8)

など意見が分かれている

9)

.相反する結果の原因とし

て,対象が異なること,GERD の定義(内視鏡診断によるびらん性 GERD か,Grade M を含む

か,質問紙票に基づくものか),対照の設定,多変量解析において同じ交絡因子が加味されてい

ないことがあげられる.

びらん性 GERD のみを対象とした場合,対照群と比較して BMI が有意に高いという報告が多

1, 3〜6, 10)

.非びらん性 GERD 患者では BMI と関連しない

1, 3)

,あるいは低い

10)

とする報告があ

り,GERD 全体として BMI との関連が不明確になっている.

過体重・肥満者との関連については,GERD 有病率が高い

11)

,びらん性 GERD のリスクであ

12)

,GERD 患者の一部の年代で肥満が多い

13, 14)

,高度肥満とびらん性 GERD は関連がある

15)

肥満よりむしろ腹囲との関連がある

16)

など一定の見解は得られていない.したがって,過体重

者・肥満患者において必ずしも GERD 有病率は高いといえない.

文献

1) Mishima I, Adachi K, Arima N, et al. Prevalence of endoscopically negative and positive gastroesophageal reflux disease in the Japanese. Scand J Gastroenterol2005; 40: 1005-1009(横断)

2) Yasuhara H, Miyake Y, Toyokawa T, et al. Large waist circumference is a risk factor for reflux esophagitis in Japanese males. Digestion2010; 81: 181-187(横断)

3) Murao T, Sakurai K, Mihara S, et al. Lifestyle change influences on GERD in Japan: a study of participants in a health examination program. Dig Dis Sci2011; 56: 2857-2864(横断)

4) Mizuta A, Adachi K, Furuta K, et al. Different sex-related influences of eating habits on the prevalence of reflux esophagitis in Japanese. J Gastroenterol Hepatol2011; 26: 1060-1064(横断)

5) Gunji T, Sato H, Iijima K, et al. Risk factors for erosive esophagitis: a cross-sectional study of a large num-ber of Japanese males. J Gastroenterol2011; 46: 448-455(横断)

Clinical Question 1-3

1.疫学 ― ❷GERD 患者の身体的特徴と合併症

GERD の有病率は過体重者に多いか?

CQ 1-3

GERD の有病率は過体重者に多いか?

ステートメント

推奨の強さ

(合意率)

エビデンス

レベル

GERD 患者では body mass index(BMI)との関連については不

(29)

②GERD 患者の身体的特徴と合併症 6) 志賀智子,森吉百合子.逆流性食道炎の危険因子の検討―メタボリックシンドローム,症状に関連しての

検討.人間ドック 2011; 26: 523-530(横断)

7) Kawai T, Yamamoto K, Fukuzawa M, et al. Helicobacter pylori infection and reflux esophagitis in young and middle-aged Japanese subjects. J Gastroenterol Hepatol2010; 25: S80-S85(横断)

8) 名越淳人,財 裕明,原澤 茂.逆流性食道炎の疫学と成因.消化器の臨床 2004; 4: 441-444(横断) 9) Kinoshita Y, Adachi K, Hongo M, et al. Systematic review of the epidemiology of gastroesophageal reflux

disease in Japan. J Gastroenterol2011; 46: 1092-1103(メタ)

10) 船津和夫,斗米 馨,栗原浩次,ほか.健診者におけるびらん性および非びらん性胃食道逆流症の臨床的 検討.人間ドック 2008; 22: 811-817(横断)

11) Sakaguchi M, Oka H, Hashimoto T, et al. Obesity as a risk factor for GERD in Japan. J Gastroenterol 2008;

43: 57-62(横断)

12) Moki F, Kusano M, Koyama T, et al. Association between reflux esophagitis and features of the metabolic syndrome in Japan. Aliment Phamacol Ther2007; 26: 1069-1075(横断)

13) Furukawa N, Iwakiri R, Kiyama T, et al. Proportion of reflux esophagitis in 6010 Japanese adults: prospec-tive evaluation by endoscopy. J Gastroenterol1999; 34: 441-444(横断)

14) Fujimoto K. Prevalence and epidemiology of gastro-esophageal reflux disease in Japan. Aliment Phamacol Ther2004; 20 (Suppl 8): 5-8(横断) 15) 松橋信行,遠藤宏樹,蓮江智彦,ほか.人間ドックでの肥満と GERD の相関.消化器科 2006; 42: 248-252 (横断) 16) 曽山ゆかり,山田亮詞,西川晋史,ほか.BMI・腹囲径およびメタボリックシンドロームと消化器疾患の 相関について―逆流性食道炎,食道裂孔ヘルニア,胆石,脂肪肝の 4 疾患での横断的検討.人間ドック 2010; 24: 1017-1023(横断)

(30)

解説

GERD

と食道裂孔ヘルニアとの関連については,健診受診者による横断的疫学研究や内視鏡

施行患者や GERD 患者における臨床研究が報告されている

1〜14)

.ヘルニアの定義は,個々の報

告により異なるが,びらん性 GERD ではヘルニア合併が高いとする報告が多い

1〜11)

.多変量解

析において食道裂孔ヘルニアはびらん性 GERD に対するオッズ比が有意に高い

2, 7, 12〜14)

表 1

).

したがって,びらん性 GERD と食道裂孔ヘルニアとは密接な関連が存在するといえる.

一方,食道裂孔ヘルニアが GERD の原因となるかは議論の多いところであるが,除菌後に発

症する GERD の危険因子を調査した報告では,食道裂孔ヘルニアの存在が有意な危険因子であ

ることから

11, 15)

,疾患発症との関連が示唆される.

文献

1) Shimazu T, Matsui T, Furukawa K, et al. A prospective study of the prevalence of gastroesophageal reflux disease and confounding factors. J Gastroenterol2005; 40: 866-872(横断)

2) Mishima I, Adachi K, Arima N, et al. Prevalence of endoscopically negative and positive gastroesophageal reflux disease in the Japanese. Scand J Gastroenterol2005; 40: 1005-1009(横断)

3) Furukawa N, Iwakiri R, Kiyama T, et al. Proportion of reflux esophagitis in 6010 Japanese adults: prospec-tive evaluation by endoscopy. J Gastroenterol1999; 34: 441-444(横断)

Clinical Question 1-4

1.疫学 ― ❷GERD 患者の身体的特徴と合併症

GERD は食道裂孔ヘルニアに合併するか?

CQ 1-4

GERD は食道裂孔ヘルニアに合併するか?

ステートメント

推奨の強さ

(合意率)

エビデンス

レベル

びらん性 GERD と食道裂孔ヘルニアとは密接な関連がある.

なし

C

表 1 食道裂孔ヘルニアとびらん性 GERD との関連

報告者 対象 数 ヘルニアの定義 OR(95% CI) Mishima ら2) 健診受診者 2,760 横隔膜より口側の胃襞の存在 7.08(4.98∼10.06) Amano ら7) 健診受診者 2,788 横隔膜より口側の胃襞の存在 5.95 Yasuhara ら12) 健診受診者 1,485 2cm 以上 3.50(2.35∼5.22) Kawai ら13) 健診受診者 418 幕内分類 4.14(2.29∼7.48) Murao ら14) 健診受診者 2,853 反転観察におけるスペースの存在 2.58(2.20∼3.14)

(31)

②GERD 患者の身体的特徴と合併症 4) 関口利和,大和田恒夫,萩原 修,ほか.逆流性食道炎の疫学調査―2000 年における発症頻度について.

日本臨床内科医会会誌 2005; 20: 393-402(横断)

5) Ohno E, Kogure T. Upper gastrointestinal X-ray findings associated with gastroesophageal reflux disease (GERD). Ningen Dock2005; 19: 9-13(横断)

6) 草野元康,神津照雄,河野辰幸,ほか.日本人の食道裂孔ヘルニアの頻度.Gastroenterol Endosc 2005; 47: 962-973(横断)

7) Amano K, Adachi K, Katsube T, et al. Role of hiatus hernia and gastric mucosal atrophy in the develop-ment of reflux esophagitis in the elderly. J Gastroenterol Hepatol2001; 16: 132-136(横断)

8) Hongo M, Kinoshita Y, Miwa H, et al. The demographic characteristics and health-related quality of life in a large cohort of reflux esophagitis patients in Japan with reference to the effect of lansoprazole: the REQUEST study. J Gastroenterol2008; 43: 920-927(非ランダム)

9) Tsuboi K, Omura N, Yano F, et al. Relationship of the frequency scale for symptoms of gastroesophageal reflux disease with endoscopic findings of cardiac sphincter morphology. J Gastroenterol2008; 43: 798-802 (横断)

10) Fujimoto K, Hongo M; Maintenance Study Group. Safety and efficacy of long-term maintenance therapy with oral dose of rabeprazole10 mg once daily in Japanese patients with reflux esophagitis. Intern Med 2011; 50: 179-188(非ランダム)

11) Fujiwara Y, Arakawa T. Epidemiology and clinical characteristics of GERD in the Japanese population. J Gastroenterol2009; 44: 518-534(メタ)

12) Yasuhara H, Miyake Y, Toyokawa T, et al. Large waist circumference is a risk factor for reflux esophagitis in Japanese males. Digestion2010; 81: 181-187(横断)

13) Kawai T, Yamamoto K, Fukuzawa M, et al. Helicobacter pylori infection and reflux esophagitis in young and middle-aged Japanese subjects. J Gastroenterol Hepatol2010; 25: S80-S85(横断)

14) Murao T, Sakurai K, Mihara S, et al. Lifestyle change influences on GERD in Japan: a study of participants in a health examination program. Dig Dis Sci2011; 56: 2857-2864(横断)

15) Yagi S, Okada H, Takenaka R, et al. Influence of Helicobacter pylori eradication on reflux esophagitis in Japanese patients. Dis Esophagus2009; 22: 361-367(横断)

(32)

解説

日本においてもびらん性 GERD では出血や狭窄が合併することが報告されているが,それぞ

れの研究における対象患者,調査方法・期間,治療介入の有無などが異なるため,日本人 GERD

患者における頻度は不明である.

出血に関しては,Grade C や Grade D のような重症びらん性 GERD

1〜5)

,高齢者

2, 3)

,糖尿病・

膠原病など基礎疾患を有する患者

1, 3)

,大酒家

1)

に多いことが報告されている(

表 1

).

文献

1) Yamaguchi M, Iwakiri R, Yamaguchi K, et al. Bleeding and stenosis caused by reflux esophagitis was not common in emergency endoscopic examinations: a retrospective patient chart review at a single institu-tion in Japan. J Gastroenterol2008; 43: 265-269(横断)

2) 小林 隆,芳野純治,乾 和郎,ほか.高齢者における食道出血性病変の特徴.老年消化器病 2009; 21: 115-119(横断)

3) 相原洋祐,森安博人,西村典久,ほか.消化管出血で発症した高齢者逆流性食道炎の臨床的検討.日本高 齢消化器病学会誌 2011; 13: 35-40(横断)

4) 古賀千晶,船田摩央,蔵原晃一,ほか.重症逆流性食道炎症例の臨床的特徴―軽症例との比較.消化管の

Clinical Question 1-5

1.疫学 ― ❷GERD 患者の身体的特徴と合併症

GERD では食道狭窄,出血が合併するか?

CQ 1-5

GERD では食道狭窄,出血が合併するか?

ステートメント

推奨の強さ

(合意率)

エビデンス

レベル

びらん性 GERD では食道狭窄や出血が合併するが,日本人 GERD

患者での頻度は不明である.

なし

C

表 1 びらん性 GERD に合併する出血と狭窄の頻度

報告者 対象 対象数 出血例(%) 狭窄例(%) Yamaguchi ら1) 緊急内視鏡施行症例 1,621 19(1.2%) 4(0.2%) 小林ら2) 静脈瘤・癌を除く食道出血症例 81 37(45.7%) 相原ら3) 吐下血に対する緊急内視鏡施行症例 818 43(5.3%) 古賀ら4) 内視鏡を施行した GERD 症例 554 24(4.3%) 1(0.2%) 眞部ら5) GERD 長期観察症例(10 年以上) 200 15(7.5%) 宮本ら6) GERD 長期観察症例(平均 7.1 年) 435 41(9.4%) 16(3.7%)

(33)

②GERD 患者の身体的特徴と合併症 臨床 2012; 17: 49-52(横断) 5) 眞部紀明,春間 賢,大越裕章,ほか.逆流性食道炎は慢性進行性の疾患か?―逆流性食道炎 200 例の 10 年間における長期臨床経過からの検討.Therapeutic Research 2009; 30: 470-473(横断) 6) 宮本真樹,東 悠介,日高 徹,ほか.逆流性食道炎 435 例の長期経過―PPI 治療は高齢者の上部消化管 粘膜傷害の予後を変える.Therapeutic Research 2011; 32: 612-617(横断)

(34)

表 1 酸と酸以外の GER と GERD の関係を研究した報告
表 感染とびらん性 GERD の関連 報告者 国 報告年 デザイン研究 対象 症例数 (95% CI)オッズ比 感染率 びらん性GERD 有病率 Anderson  4) アイルラ ンド 2008 ケースコントロール 多施設 ケース 230 例コントロール 260 例 # 0.42 (0.27∼0.65) ケース 42.4%コントロール62.1% Somi  5) イラン 2008 ケースコン トロール 一般病院 ケース 92 例,コントロール 93 例 0.65 (0.29∼1.50) ケース 81.5%
表 1 GERD 診断時に使用される問診票と感度・特異度 問診票 年 対象疾患 (GERD:人数 control) GERD の診断方法 (%)感度 特異度(%) 調査した国 使用した言語 QUEST  1) 1998 びらん性 GERD 133:291 EGD 70 46 スウェーデン,英国 英語
表 1 1〜17) に日本における Barrett 食道の頻度を検討した報告例をまとめる.調査年や対象が異

参照

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