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フルオロキノロン系合成抗菌剤による光線過敏性反応に関する研究

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Academic year: 2021

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Title

フルオロキノロン系合成抗菌剤による光線過敏性反応に関

する研究( 内容の要旨 )

Author(s)

丸谷, 清

Report No.(Doctoral

Degree)

博士(農学) 甲第050号

Issue Date

1996-03-14

Type

博士論文

Version

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12099/2391

※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。

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氏 名(本籍) 学 位 の 種 類 学 位 記 番 号 学位授与年月 日 学位授与 の 要件 研究科及 び専攻 研究指導を受けた大学 学 位 論 文 題 目 審 査 委 旦 丸 谷 清 (大阪府) 博士(農学) 農博甲第50号 平成8年3月14日 学位規則第4粂第1項該当 連合農学研究科 生物生産科学専攻 信州大学 フルオロキノロン系合成抗菌剤による光線過敏 性反応に関する研究 主査 信 副査 信 副査 信 副査 岐 副査 静 授授 授 授 授 教 教 教 教 教 学 学 学 学 学 大 大 大 大 大 州 州 州 阜 岡 元 義 豊 敬 誠 明 義 谷 野 帝 丸 大 細 唐 金 森 論 文 の 内 容 の 要 旨 フルオロキノロン系抗菌物質は、グラム陽性菌と陰性菌の双方に対して抗菌スペクトル を有すること、良好な組織移行性を示すこと、経口剤として使用できることなどの優れた 特性を持つことから、近年、ヒトや家畜、愛玩動物を問わず、種々の感染症の治療薬とし て利用されているとともに、家畜の飼料添加物としても、今後さらに使用範囲や使用量が 拡大する方向にある。しかしながら、薬剤は時として副作用を起すことは周知のところで あるが、この副作用に関してはフルオロキノロン系抗菌物質においても例外ではなく、フ ルオロキノロン系抗菌物質の副作用の一つとして光線過敏性反応が知られている0 これまでのフルオロキノロン系抗菌物質の開発のための指標には、主として抗菌活性や 組織移行性が用いられてきたのに鑑み、丸谷論文は、副反応としての光線過敏性反応を起 さないフルオロキノロン系抗菌物質の開発のための基礎研究として、フルオロキノロン系 抗菌物質の光線過敏性反応、特に一次炎症反応及び光アレルギー反応誘起能と構造との関 連性を明らかにしようとしたものである。なお、その検討には、キノリン環6位のフッ素 残基と7位のピベラジニル基(またはピペリジン環)は抗菌活性の発現に寄与する不変の 構造として考えて固定しておき、抗菌活性に比較的影響し難いと思われるキノリン環8位 に水素、フッ素およびメトキシ基を導入した抗菌物質や、7種の市販フルオロキノロン系 抗菌物質を用いている。

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-21-本論文は4章から構成されており、第1章の「序」に続いて、第2章ではフルオロキノ ロン系抗菌物質の光安定性と一次炎症反応誘起能に及ばす8位側鎖の影響について検討を 行い、(1)キノリン環8位にメトキシ基を有するものは、マウスにおいて一次炎症反応を誘 発しないが、キノリン環8位が水素やフッ素のものは、皮下組織への好中球の浸潤と浮腫 により特徴づけられる炎症性の光線過敏性反応を用量依存的に誘発することや、その程度 はキノリン環8位にフッ素を有するものにおいて特に強いこと、及びに(2)炎症性の光線過 敏性反応とキノリン系抗菌物質の紫外線照射に対する構造安定性の間には、極めて高い相 関性が見られることを明かにしている。また、第3章においては、フルオロキノロン系抗 菌物質の投与の副作用には一次炎症反応だけではなく、光アレルギー反応も関与している という仮説のもとに実験を行い、(1)キノリン環8位にフッ素を持つ抗菌物質と牛血清アル ブミンを混合して紫外線照射を行うと両者の結合物が形成されるが、8位がメトキシ基の ものを用いた同処理では結合物の形成は見られないこと、(2)キノリン環8位にフッ素を持 つ抗菌物質とモルモット皮膚ホモジネートの紫外線照射物をモルモットに注射すると、そ の抗菌物質やその抗菌物質単独での紫外線照射物と反応する特異抗体が産生されるが、8 位がメトキシ基のものとモルモット皮膚ホモジネートの紫外線照射物をモルモットに注射 してもその抗菌物質やその抗菌物質単独での紫外線照射物と反応する特異抗体の産生は見 られないこと、及びに(3)キノリン環8位にフッ素を有する抗菌物質をモルモットに投与し、 紫外線照射することにより、そのモルモットはアレルギー性の光線過敏性反応を生じるが、 8位がメトキシ基の抗菌物質を用いた同処理ではアレルギー性の反応は誘導されないこと を見出している。さらに、以上の結果を考慮して、最後の章(第4章)において、フルオ ロキノロン系抗菌物質の抗菌剤としての位置付けや利用動向、副作用としての光線過敏性 反応について総括し、フルオロキノロン系抗菌物質による光線過敏性反応には一次炎症反 応が関与するものと光アレルギー反応が関与するものの2種類があること、並びにキノロ ン系抗菌物質の有する光線過敏性反応誘起能はキノリン環8位の官能基により大きく左右 され、特にその位置にフッ素が入ることにより光線過敏性反応誘起能は強くなり、メトキ シ基が入ることにより光線過敏性反応誘起能は消失する傾向にあると結論づけている。本 論文の知見は、キノロン系抗菌物質の副作用の一つである光線過敏性反応を低減化する上 で極めて重要な情報を提供するものである。 審 査 結 果 の 要 旨 フルオロキノロン系抗菌物質は、グラム陽性菌と陰性菌の双方に対して抗菌スペクトル を有すること、良好な組織移行性を示すこと、経口剤として使用できることなどの優れた 特性を持つことから、近年、ヒトや家畜を問わず、種々の感染症の治療薬として利用され ているとともに、家畜の飼料添加物としてもさらに使用範囲や使用量が拡大する方向にあ る。しかしながら、薬剤は時として副作用を起すことは周知のところであるが、この副作 用に関してはフルオロキノロン系抗菌物質においても例外ではなく、フルオロキノロン系 抗菌物質の副作用の一つとして光線過敏性反応があげられている。これまでのフルオロキ

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-22-ノロン系抗菌物質の開発は、主に抗菌活性や組織移行性を指標として進められてきたのに 鑑み、丸谷論文は、副反応としての光線過敏性反応を起さないフルオロキノロン系抗菌物 質の開発のための基礎研究として、フルオロキノロン系抗菌物質の光線過敏性反応誘起能 と構造との関連性を明らかにしようとしたものである。なお、その検討には、キノリン環 6位のフッ素残基と7位のどベラジニル基(またはどベリジン環)は抗菌活性の発現に寄 与する不変の構造として固定し、抗菌活性に比較的影響し難いと思われるキノリン環8位 に水素、フッ素およびメトキシ基を導入した抗菌物質や、7種の市販フルオロキノロン系 抗菌物質を用いている。得られた結果は次のように要約される。 1.キノリン環8位にメトキシ基を有するものは、マウスにおいて光線過敏性反応を誘発 しないが、キノリン環8位が水素やフッ素のものは、皮下組織への好中球の浸潤と浮 腫により特徴づけられる炎症性の光線過敏性反応を用量依存的に誘発した。また、そ の程度はキノリン環8位にフッ素を有するものにおいて特に強かった。 2.炎症性の光線過敏性反応とキノリン系抗菌物質の紫外線照射に対する構造安定性の間 には、極めて高い相関性が見られた。 3.キノリン環8位にフッ素を持つ抗菌物質と牛血清アルブミンを混合して紫外線照射を 行うと両者の結合物が形成された。しかし、8位がメトキシ基のものを用いた同処理 では結合物の形成は見られなかった。 4.キノリン環8位にフッ素を持つ抗菌物質とモルモット皮膚ホモジネートの紫外線照射 物をモルモットに注射すると、その抗菌物質やその抗菌物質単独での紫外線照射物と 反応する特異抗体が産生した。しかし、8位がメトキシ基のものとモルモット皮膚ホ モジネートの紫外線照射物をモルモットに注射してもその抗菌物質やその抗菌物質単 独での紫外線照射物と反応する特異抗体の産生は見られなかった。 5.キノリン環8位にフッ素を有する抗菌物質をモルモットに投与し、紫外線照射するこ とにより、そのモルモットはアレルギー性の光線過敏性反応を生じた。しかし、8位 がメトキシ基の抗菌物質を用いた同処理ではアレルギー性の反応は誘導されなかった。 以上の結果に基づき、丸谷論文では、キノロン系抗菌物質の有する光線過敏性反応誘起 能はキノリン環8位の官能基と大きく関係しており、特にその位置にフッ素が入ることに ょり光線過敏性反応は強くなり、メトキシ基が入ることにより光線過敏性反応は消失する 傾向にあると結論づけている。 平成8年2月7日、信州大学農学部において審査員5名全員出席のもとに約30分間に 亘る発表と、約30分間の質疑応答が行われた後、学位論文の基礎となる学術論文等につ いて慎重に審議した結果、本提出論文が博士の学位論文として十分な価値があるものと認 め、審査貝5名全員一致で「合格」と判定した。

参照

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