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子どもの動物概念の形成とその変容 : 創造的思考の観点からみた動物分類の分析を通して

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(1)子どもの動物概念の形成とその変容 一創造的思考の観点からみた動物分類の分析を通して一 教科・領域教育専攻 自然系(理科コース). 水. 野. 宏. 也. いると言われている。 「動物園」 「動物病院」 「動. そこで、本研究の目的を次のようにした。 1:小学校、中学校において創造的思考の観点から、 動物分類の視点を分析し、子どもの動物に対す る見方を明らかにする。. 物愛護」などの用語は、いずれも特定の哺乳類をさ しているため、子どもは「動物界に対して、程度の 差こそあれ、かなり限定された見解をもっている」. 2:直接経験を導入した探索活動が、子どもの動物 概念形成における、多面的・総合的見方に及ぼ す影響やその問題点を明らかにする。. 1、はじめに 子どもの動物概念は、ほとんどが哺乳類をさして. という報告がある。. 3、調査方法 2、問題の所在. 調査1:子どもと面接し、会話を分析して子どもの. 動物概念の特徴として、 「驚くほど頑固で変えに. 動物概念を明らかにする。. くいことさえある障害でもある。」と言われている が、多面的・総合的な見方をすることで、変容でき ると考えた。そこで、二つの方向性が示すことがで きた。. 一つは、動物に関する直接経験を行うことで、子 どもが自分の目や手を使い、動物に触れることによ り、変容できるのではないか。そのため、どんな直 接経験を行うことができるのかをまとめた、データ ベースの必要性がでてきた。 もう一つは、今までの自分の知識をフルに活用し、. 多角的に考え、自分で判断するという観点である。 すなわち創造的な見方をすることにより、変容でき るのではないか。そのため、近年、関心が高まりつ つある創造的認知アプローチの面から分析する。 Finkeら(1992)は認知心理学の伝統的な研究領域と 創造陸研究を関連づけた創造的認知アプローチを提 案した。創造的認知アプローチの代表的な研究は、 被験者にいくつかの単純な立体図形をイメージ上で 合成し、何かに使えそうなオブジェクトを作るよう に教示される(これをpreinventive formと呼んで いる)。その絵を描写した後、オブジェクトを指定 したカテゴリーに属させ、実際に使える何かへ解釈 させる。すると、心理実験の状況下でも創造的な発 明品が考案される割合が高いことが示された。比較 実験として、他入が作ったオブジェクトと被験者に. 提示した場合では割合が低くなったというのであ る。すなわち自分で行うことの重要性が指摘されて いる。. 実施時期:平成9年12月∼平成10年2月 対象:兵庫県内の幼稚園 20名(4∼5歳) 岐阜県内の小学校 5年生 15名 調査2:代表的な動物を14種選び、仲間だと思う 動物を○で囲むような質問紙(図1)を作成し調査 する。調査時に自由な観点で分類すること、囲んだ 理由も書くように指示する。また質問紙内の4種の 動物を直接経験させる。この直接経験は直接経験を 促進させるデータベースを構築し、その内容を取り 入れた。. 分類結果を創造的思考の観点から分析する。. 実施時期:平成10年4月∼6月 対象:岐阜県内の小学校 3年生 97名 5年生 76名 岐阜県内の中学校 3年生 112名 次の生き物を、仲間分けしましよう。 中間だと思う生き物を○で囲みましょう 囲んだ理由を書きましょう さらに知っている生き物をっけ加えてみましょう イヌ. ライオン. ヒト. スズメ. メダカ. カニ ハエ. ヘビ カメ. チョウ. カブトムシ カエル. 図1 調査問題.

(2) 4、結果と考察. を用いて分類しており、それ以外の観点で分類して. 調査1:動物はほ乳類をさしており、鳥は鳥、魚は 魚、虫は虫というように、それぞれが並列している ことが分かった。これは動物界を大きく4界前後に 分けており、それぞれ同等の意味を持って認識して. ものは少なかった。. いた(図2)。. @@@. 動物. v. ほ乳. さらに、これらの分類結果を創造的思考の観点か ら分析した。すなわち、創造の三つの水準(ラベル による結合、構成要素による結合、飛躍による結 合)に分けた。その結果、小学生はそれぞれの動物 を構成要素まで分解し結合した分類が多く、それに 対し中学生はラベルによる分類が多かった。飛躍に よる分類は小・中学生ともほとんどみられなかった (図4)。. 図2 子どもの動物に対する認識. このような分類は、歴史的にみるとリンネの分類 に近い。これを現在の分類体系にたかめるには、ラ マルクがおこなったように体の構造が分からなけれ ばならない。そのため、小学校においても、動物の 体の構造にふれた分類を学習することで、子どもの 動物概念を変容することができると考えられる。. 調査2:小学生(分類学習前)と中学生(分類学習 後)では全く違った分類(図3)をすることが分 かった。. 小学生の分類は、イヌとライオンは動物で走った りほえたりする。ヒトはヒト。イルカ、メダカ、カ メ、カエル、カニ、ペンギンは魚で水の中にいて泳 ぐもの。飛ぶものとして、ハエ、チョウチョウ、カ ブトムシを虫として分類をしている。小学生におい て、形態や生息場所を中心とした分類が多く行われ ていたし、自分との関わりを観点としている分類も みられた。. これに対して中学生は、ほ乳類・鳥類の生物用語. 鳥類. ヒト. 動物 走る スズメ. イルカ. ほ乳類. ペンギン. メダカ は虫類. カニ. 魚 水の中、泳ぐ ヘビ. ハエ カメ. チョウ. 虫 とぶ. 中学生は分類を学習しているため、自由に分類し てもよいという指示が出されているにも関わらず、 ほとんどが学習した生物用語のみを用いて分類して いる。このことは学習することによって、新しい考 えを生み出す状況が制限されていると考えられる。 すなわち、分類に関して中学生は、○○はOO類だ というように、科学的知識を教授されるまま受け入 れている。もちろん学習とは新たな基礎的な知識を 学ぶことである。中学生は学習がきちんとなされて いたことになる。. しかし、今後はこれらの知識に加えて、新しい観 点から物事を見ることのできる人材が必要とされて いる。そのためにも今までの学習に加えて、Finke らが提唱した、自分で考え、行動するpreinventive formが求められる。子ども自身が考えた分類などの 活動を取り入れた後に新しい知識を会得するような 学習が望まれる。. ライオン イヌ. 図4 構成要素まで分解した分類結果. カエル カブトムシ. 昆虫. また、直接経験を行った動物に特別な分類結果は 示されなかった。多面的・総合的見方や考え方を可 能にするには、単に経験を与えるだけでなく、それ を使いこなす能力を養うことであると思われる。こ のことは子どもが生き物に触れ、生き物に関する素 朴な発言や発想をしたとき、その見方や考え方を大 切にし、経験を生かせる場を保証していかなければ ならない。このことが、自然に対する豊かな認識を 生み出すとともに、創造的な思考を可能にすると考 える。. (==)小学生. ○中学生 図3 子どもの分類. 主任指導教官 山下塾頭 教授 指導教官 松本伸示 助教授.

(3) 学位 論文題 目. 子どもの動物概念の形成とその変容 一創造的思考の観点からみた動物分類の分析を通して一. 兵庫教育大学大学院 学校教育研究科 教科・領域教育専攻 自然系コース. M97623H. 水 野 宏 也. 主任指導教官 指導教官. 山下伸典 教 授 松本伸示 助教授. 本研究の一部は、日本理科教育学会第48回全国大会(長崎大会) 会)・近畿支部大会(京都大会)において発表したものである。. ・東海支部大会(愛知大.

(4) 目次 目次____.. 第1章. 第1節. Hl. 問題の所在.... ..3. 動物概念... ..3. 第1項 動物に関する認識調査____._.__.. H3. 第2項 動物概念と他の科学概念との違い__.. ..4. 第3項 生物教材の問題点____.____.. ”5. 第4項 生物分類の歴史_____..____.. ”6. 第5項 動物の定義_____.______.__. ”11. 子どもの動物概念_._.___..._____. H12. 第1項 動物概念と分類_____.______. ..12. 第2節. 第2項. 分類教材の扱い..___.____._......._. ..12. 第3項 動物概念の先行研究______.___. ”13. 第4項 動物概念研究の問題点____..__.. −15. 第3節. 多面的・総合的な見方.__,_..._..........._. ”17. 第1項 多面的・総合的な見方の必要性___.. H17. 第2項 直接経験について. −18. 第3項 創造性について_____._____. v19. 第4項 理科教育における創造性の先行研究... ”19. 第5項 創造的認知アプローチ_____.__. ..21. 第6項 創造性の水準_____._____.. ..23. 第2章. 研究の目的_________. ..25. 研究方法______._.__._.. ..26. 調査方法____._____.. ..29. 第1節. 面接による動物概念の調査... ..29. 第2節. 分類による動物概念の調査_. ..30. 第3章. 第4章. 第1項 調査問題.____.__. −31. 第2項 直接経験を行わせる動物... ”35. 第3節. 分析方法_____.___. ..36. 第1項 面接による調査____. ..36. 第2項 質問紙による調査___. ..36. 1.

(5) 第5章 第1節 第2節 第3節 第4節 第5節 第6章 第7章 第1節 第2節 第3節. 結果と考察__.. ..39. 面接による子どもの動物概念の調査1(幼児)__.. ..39. 面接による子どもの動物概念の調査2(小学校5年生). ..43. 分類による子どもの動物概念の調査__. ..47. 創造的思考を加味した分類の分析__.. ..49. 直接経験の影響_______. ”59. 結論__.. ”61. 提言_._.. ..64. 子どもの考えを生かした動物概念.__. ..64. 創造的思考を生かした活動____.._.. ..65. 直接経験の促進....._._........._... ..66. 謝辞_。... ..68. 引用・参考文献_. ..69. 2.

(6) 第1章 問題の所在 第1節 動物概念 第1項. 動物に関する認識調査. 動物という言葉は幼児でも知っている。 「動物ってなに。」と聞けば、何ら. かの答えを求めることができるし、我々はその答えを期待することができる。 このことにより、子どもが動物をどのように見なしているか、また、幼児から 中学生へと成長するにつれて、どのように観点が変容するかを探ることができ る。子どもがどのように動物を捉えていて、学習することでどのように変わっ てくるのか把握することができる。 理科学習で用いられる「動物」と一般に用いられる「動物」では大きな隔た りがあることが分かっている。例えば、動物病院といえば犬や猫、家畜などを 治療する病院であり、人間も動物であるから動物病院に行くという人はいない。. 同じようなことは、動物実験、動物愛護、動物園、動物禁止など、一般に用い られる用語の中には科学用語との隔たりがある。 「私たち人類を含む脊索動物門のメンバーは、あらゆる動物のなかでもっと もよく知られている。事実、多くの人々にとって、脊索動物は動物と同義語で ある。哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類、魚類のすべて(すなわち脊椎動物)と、 これらに加えてそれほど身近でない動物群(無脊椎動物)を加えて脊索動物と する。」1とあり、生物の専門書でも「動物」に対する捉え方が、科学者と一般 の人との間には格差があることを指摘している。 一般社会において隔たりが生じているため、ましてや子どもが誤解や混乱し ているのは当然のことだと思われる。「学齢前の子ども達において発達してい る言語でさえも、たくさんの意味が内包されているのである。こうしたことば のなかで、例えば、 「動物」、 「植物」、 「光」、 「水蒸気」といったような. 用語は、科学者の世界では明確かつ共通の意味を持っている。時には、こうし た科学的な意味は理解することが難しく、しかも子ども達が使っている意味と きわめて意味深く異なっている。」2と構成主義の立場から報告があり、大きな 波紋を呼んでいる。. この格差の原因を探るため、子どもの自然現象についての考え方を調べる必 要がある。もちろん今までに多くの自然現象について調べられてきた3が、動物 概念ほど、他の光、音、電気、力などの科学的な概念に比べて、科学者と一般 の人との間に大きな隔たりがあるものはないと思われる。. 3.

(7) その理由として、. ・動物という実物を指すことができる。. ・とりわけ動物という用語は日常でも大変よく使われる。. と考えられる。このため、子どもの動物に対する見方は、他の科学的な概念 と比べて変容しにくいものだと思われる。 「子どもの生物学:生命科学における概念発達の研究」においても、 「子ど. もの生物学的概念の研究する価値があると信じている。それは、単に興味の対 象であるからではなく、学習の潜在的障害、すなわち、ときには驚くほど頑固 で変えにくいことさえある障害でもあるからである。」4と言われている。 一般的に日常用語として使われ、実物のあるものは理解されやすい。そのた め一層理解が進む。理解される用語ほど、さらに様々な日常場面で使われるよ うになり、多くの意味が内包されるようになる。言い換えれば、言葉が成熟し てくれば、それだけ多くの意味が含まれるようになり、格差が生じてくるよう になると思われる。. 第2項. 動物概念と他の科学概念との違い. 子どもが理解していると思われるような用語でも、一人一人の子どもにとっ て微妙にその受け取っている意味が違っていることが明らかになっている。こ. れは、理科学習で扱われる様々な言葉において明らかになってきている。それ らの言葉は、日常的にも多く用いられているため、日常的な意味と理科学習で 用いられるときの意味との差として現れてきている5。. 例えば、 「電気をつけて。」といえば、スイッチをオンにして明かりをつけ. る。ごく当たり前のことだが、そのため幼児に「電気ってなに。」とたずねれ. ば、上を指さして「蛍光灯」とか「乾電池」と答える。電気と蛍光灯や乾電池 が同じという考えを持っている。. 子どもがこれらの言葉を習得するのは日常生活であり、日常的な意味として 会得する。また、日常的な意味とは別の次元に科学的な意味が存在しているた め、言葉のずれが生じ、子どもなりの概念が形成されてしまうと考える。 この格差が生じる原因は、子どもの日常生活を探ることによって、ある程度 理解することができる。. 例えば光については、「記せられた光はそこに留まっている」と考える子ど もがいるが6、誕生日やクリスマスなどにロウソクの火を光源とした写真などを 見ると、ロウソクの周りがボーつと明るくなっており、光がまさにそこに留ま. 4.

(8) っているように見える。また、光源から離れれば離れるほど光は弱くなること を経験的に知っている。どんどん弱くなればいっかはなくなると考えるのはさ ほど難しいことではない。. もちろん動物に関しても同様である。. しかし、これらの概念と比較して、動物概念は大きな隔たりがあると思われ る。光や音、力、などの概念はいずれにおいても現象であり、それらの現象を 子どもがどのように日常生活において経験しているのかという点おいて影響を 及ぼしてしている。. それに対し動物概念に含まれるものは、現象ではなく、動物の具体的な名前 や動物の生態などである。もし、 「動物ってなに。」と尋ねれば、 「イヌやネ. コだよ。」と答えたり、「動く生き物だよ。」と多くの人が答えたりするだろ う。いずれにしても、 「これが動物です。」と実物のあるものを示すことがで きる。. この点において、理科学習において科学的用語に関わる、様々な概念が調べ られているが、現象についての概念と実物のあるものについての概念を同様に 比較することはできないと考える。すなわち、現象ならばどれだけその現象に ついて知っているのかという点に左右されるし、実物のあるものはその定義に よるところが大きく影響をすると考えられる。 小学校理科において、動物とは何かはっきりと提示していない。また、逆に 「人間も動物です。」などと提示しても、単なる言葉遊びに用いられるだけの ものになってしまうと考えられる。そのため定義するといっても簡単にはいか ないように思える。. 第3項. 生物教材の問題点. 生物の示す事象は、 「普遍性、連続性、そして多様性の三つに分けて理解す ることができる」7。このことをふまえて生物を見た場合に、共通点と相違点を 挙げることができる。さらに共通点・相違点を武器にして他の生物を探ること ができる。. 生物の持っている普遍性、連続性、多様性を知ることは、生物に対する多様 な見方や考え方ができることにつながる。例えば、はじめて理科学習を行う小 学校3年生でアオムシを取り上げても、子どもが多様な見方や考え方を可能に することは非常にたくさんある。アオムシの食べ物、動き、触った感じ、刺激 に対する反応、これからどうなっていくのか、どのように成長するのか。子ど もが自分とアオムシを対比して考えたり、アオムシに自分を投影したりして考. 5.

(9) えることができる。子どもにとって予想したり考えたりすることは楽しいもの であり、子どもの創造力をかき立てるものである。生物を観察したり実験した りするだけでなく、じっとみているだけでも様々なことを考えることができる。 まさに生き物を扱うということの醍醐味ではないだろうか。 しかし、「学校で学習したことが大人になっても生きた知識となっていない。 これは現在の生物教育の進め方の問題点の一つの表れのように思う。」8という. 報告がある。このような問題点が指摘されるのは、現在の生物教材の扱いが、 教材が先にあるというような状況だと考える。例えば、アオムシを探したり、 教室で飼育したりするが、アオムシをはじめ、子どもがそれぞれの動物をどの ように捉えているのか知った上で教授がなされなければならない。このことが. 不足していると、アオムシは昆虫だとは知っていても、昆虫が何であるのか分 からない。昆虫以外のものと昆虫とを分けるものがはっきりしてこそ、昆虫を 扱う意味を持つことができる。. すなわち、アオムシを扱うことによって、アオムシのことは分かったとして も、広がりを持つことができない。子どもに対して生物の持っている普遍性、 連続性、多様性を示すことが不足している上に、はっきりと動物を定義してい ないために、子どもが動物に対して混乱せざるを得ない状況を作り出している のではないかと考える。. もちろんこのことを改善しようとして、実践も行われている。 「高校生物の. どの教科書でも百種をこえる生物の名前が登場する。しかしながら、生徒たち は、それぞれの生物が個体として存在している現実の姿が、さらには実際の生 活がなかなか見えてこない。」9とあるように、動物世界全体から捉えようとし た教授を目指している動きもある。これは高等学校での実践であるが、小学校、 中学校でも、大きな示唆を示している実践であると言える。 このような実践を行うには、まず、子どもが動物をどのように認識している のかを知ることは大変重要になってくる。子どもがどんな動物を知っていて、. どのような見方や考え方をもっているのか調べなければならない。その方法と して、 「子どもがどのように動物を分類するのか」を探ることによって捉える ことができるし、 「人類が今までにどのように動物を分類してきたのか」を捉 え直すことによって理解することができると考えた。. 第4項. 生物分類の歴史. 生物分類の歴史は、自分たちの周囲にみられる生物のうち、生活に役立っも のに対し関心をいだき、知識を深めていったと考えられる。その多くは、人間. 6.

(10) に害を与えるものとかおとなしいもの、あるいは食べられるものなどという実 用的な面から自然を分類をしてきた。もちろん現在の子どもでも、このような 仲間分けをしていると考えられる。この分類と科学的な分類を比較し分析する ことで、現在の子どもの持っている生物に関する知識だけでなく、生物をどの ように捉えているのか探ることができると考えた。. ギリシャ時代には原始人類間で蓄積された生物に関する知識が基盤となり、. 実用的要求とは別に生物の分類が始まった。アリストテレスは当時知られてい. た500種類程度の動物を分類した。その目的は自然界をアリストテレスなり の哲学で解釈するためのものであり、その分類はアリストテレスの時代から2 0世紀なかごろまで影響していた。. まず、生物の世界を植物界と動物界に二分し、さらに動物界を有血と無血に 分けた。この場合、有血というのは赤い血液のあるもののみで、昆虫などには 血液がないものと考えられていた。 さらに有血動物、無血動物は次のように細分されていた。10. 藤1諜』 麟雛1纐;一 この中でクジラが魚とははっきり区別されている。クジラが胎生であること を実際にみて、その理由からクジラと魚と分けたと言われている。 このアリストテレスの観察力は優れたもので、観察の重要性が示唆される。. 分類するということは、よく動物を知るということであり、直接経験や直接体 験の重要性を示しているように思われる。もちろん、直接経験や直接体験があ れば、アリストテレスのように分類ができるというものでもない。アリストテ レスが明らかにしょうとした、明確な意図がなければならない。. 7.

(11) それは、アリストテレスは自然界のすべてのものが無生物的なものから神に 到る一連の階段(図!)に並ぶという考えをもっていた。. 人間 四足胎生類 クジラ類 四足卵生類 頭足類 甲殻類 節足類 軟藻類 植虫類 くらげ類. 高等植物. はや類 なまこ類 海綿類. 下等植物 無生物. 図1アリストテレスの生命の階段 ヒトデ、カイメンの下に植物を位置づけ、さらにその下に無生物をおいてい る。逆に胎生四足類の上に入間、その上に神を並べている。 この分類は大きくみて現在の脊椎動物と無脊椎動物という分け方にあたり、 自然の姿に近い分類になっていた。. 時代が進み、地理的活動範囲が広まるにつれて、今まで知られていなかった 珍しい生物の存在がわかり、その数が膨大になっていった。. 18世紀にはスウェーデンのリンネが分類の体系化をおこなった。1735 年に小冊子として「自然の体系(Systema Naturae)を著し、生物分類に対す る基本的な考えを展開していった。リンネは生物の種は神によりつくられたも ので一定不変であるという考えをいだいていた。その神が創造した生物がどの ような秩序のもとにあるかと探し求め、植物分類においてはかなり進んだ。し かし、動物分類に関してはアリストテレスのものと大差なく、むしろ後退した 分類をしている。すなわち、六つの綱に分けている。. 8.

(12) 第!綱 四足類(Quadrupedia)…. 第2綱鳥類 (Aves) 第3綱両生類(Amphibia) 第4綱魚類 (Pisces) 第5綱昆虫類(Insecta) 第6綱 蠕虫類(Vermes). …. ・・. ほ乳類のこと は虫類も入る. 繼L以外のすべて. リンネの分類は明確な基準を設け、それにしたがって分類したという点では 人為分類と呼ばれ、当時としてはすぐれた分類であった。このあとの系統分類 への足がかりとなっている。. 18世紀の終わりから19世紀はじめにかけてフランスのラマルクは生物の 分類に力をそそいだ。特に無脊椎動物に関する分類はすぐれたものとして当時 の人々にうけ入れられていた。ラマルクは動物を分類する基準を神経系におい て次のような14の仲間分けを行った。. 脊椎動物 1.ほ乳類 無脊椎動物 5.軟体類 8.甲殻類 1!.蠕虫類 14.滴虫類. 2.鳥類 3.は虫類 4.魚類 6.蔓脚類 7.環虫類 9.クモ類 10.昆虫類 12.放射類 13.水平類. ラマルクはこうした分類を通して、動物はもっとも完全なものから順次不完 全なものへ降りていくにつれて、その体の構造が少しずつ変化していくことに 気がついていった。すなわち、生物種の進化の思想をいだくようになってきた。 この進化の思想に基づいて、先の14のグループの動物を系統的に位置づけ た。系統をとらえて分類するは系統分類と呼ばれ、それによって描かれた図を 系統樹と呼び、現在の分類に欠かせないものとなっている。. 1859年、イギリスのチャーチル・ダーウィンが「自然選択の手段による 起源について(On the Origin of Species by Means of Natural Selection)」. において、生物は神の創造した固定不変のものではなく、下等なものから高等 なものへと進化してきたものであること、その進化の要因がおもに自然選択に よるものであることを発表した。. また、19世紀中葉に、バクテリアや菌類のような生物はいわゆる植物や動 物と非常にかけはなれていて、その懸隔が植物と動物の差よりも大きいので、 9.

(13) これらの生物の位置づけとして、第3、第4の生物界がしばしば提唱された。. 1960年代に入り、生化学や電子顕微鏡が発達し、1959年にはホイタ カー(R.H.Whittaker)が5井開(図2)11を最初に提案し、現在においても支 持されている。. 進化. 植物界. 菌界. 動物界. ∀\ !、 コロコ. コロコバド. 原生生物界 モネラ界. 図2 生物界を進化の観点から5つに分ける考え方. 「5生物界は、モネラ界(バクテリア)、原生生物界(藻類、原生動物、変 形菌類、およびあまりくわしくわかっていない水生、寄生性の生物)、菌類(き のこ、かび、地衣植物)、動物界(無脊椎動物、脊椎動物)、および植物界(コ ケ類、シダ類、裸子植物、被子植物)からなっている。」12としている。. これらの歴史的過程を考慮して、現在高等学校では現在の生物界として、5 界説を取り上げているし13、中学校においても植物界、動物界、原生生物の3界 説を取り入れようとしている。. 歴史的背景を振り返り、現在の子どもの動物分類の変容と比較検討すること により、歴史的変遷と子どもの動物概念やその変容とには大きな関連があるよ うに思われる。すなわち、歴史的な動物の増加と子どもが知る動物の増加と似 10.

(14) ているし、増加にともなう分類に対する見方や考え方が似ていると思われる。. 第5項. 動物の定義. 小学生では、動物、昆虫(虫)、魚、人などがをどのように捉えているのだ ろうか。. 歴史的背景の上に動物を定義することは様々に行われてきたが、小学校では、. 「動物」をはっきりとは定義していない。現在、高等学校においては下記のよ うに定義されている。. 「運動性に富む真核生物で、生物の一大分類群(界)を形成する。かつては 広くおこなわれた生物を植物と動物の2界に分ける分類では、単細胞性の原生 動物を動物に含めたが、原生生物・植物・動物の3界に、あるいは、原核生物・ 原生生物・植物・菌・動物の5界に大別する分類では、動物はすべて多細胞生 物である。栄養を取得する消化系をもち、神経系・排出系・呼吸系・循環系・ 筋肉系・骨格系・などの組織・器官が発達する。」14としている。. このような定義を受けて、小学校や中学校の段階においても分類による動物 の定義が必要であると思われる。もちろん、学年が上がるにつれて、子どもが 知るようになる動物の数が増えてくる。そのため動物の定義が変わる必要があ るし、子どもはこの変化を十分に受け入れることができると思われる。. 11.

(15) 第2節 子どもの動物概念 第1項. 動物概念と分類. 子どもの動物概念を知るには、動物をどのように分類するのかを調べること により探ることができる。今までの動物概念を調べる調査においても、同様な ことが行われてきている。. すなわち、子どもにとって「ある生き物を動物なのか、それとも違うのか」 という調査によって明らかにしょうとしてきた。代表的な調査は、Mintzesらに. よって、ウシ、カモメ、魚、チョウ、マツ、キノコを並べて描いた絵から動物 の例を上げるように被験者に求める調査。さらに、被験者に動物の名前を10 種類挙げるような調査正5を行っている。これらの調査は生き物という大きな枠の 中で動物と動物でないものを分けるという分類によって子どもの動物概念を調 査している。. 子どもの動物概念は、動物を分類させることによって、調べることができる もっとも良い方法の一つだと言える。. 第2項. 分類教材の扱い. 学校教育の中で分類学習が行われているのは、中学校の「動物の生活と種類」 という単元のみで行われている。小学校では全くふれていない。. 「現行指導要領下では、生物の分類教材が後退しているという観点から、イ ギリス・アメリカの教科書の事例と、分類教材の意義を再検討したことに基づ いて、今後、この教材のあり方を考察した。その結果、小学校を中心とする初 期の段階では分類することの意義を学ぶ必要がある。中学校を中心とする段階 では、身近な生物などを基準に定めて分類するような分類の方法についての学 習が期待される。また、高等学校では生物の大区分についての見方が確立でき るような教材の展開が必要であると考えられる。」16とある。また、「分類はわ. れわれが用いる記憶要素の中でもとりわけ重要な技能である。われわれは見た り、聞いたり、嗅いだり味わったりしたすべてのことを分類しようとする。」17 とあり、弁別、ルール化という知的技能の一つだとしている。 動物を分類するということは、動物の生態や行動を十分に知らなければなら. ない。しかし、それ以上に、動物の多様な生態や様々な行動の中から、どの要 素を取り上げるのか、さらに取り上げた要素から、共通する特徴をまとめるな どの活動では、多様な見方や考え方が要求される。例えば、クジラはほ乳類で あるが、クジラは海で泳ぎ、海で生活している。そのため犬やライオンなどの 12.

(16) 仲間とすることには大変抵抗がある。むしろ魚の仲間とする方がたやすいこと は容易に理解できる。しかし、アリストテレスのようにクジラの生態をもっと. 知るようになり、さらにクジラを理解するためには、ほ乳類の仲間とするのが よいことが分かるようになる。すなわち、クジラを犬やライオンと結びつける 力こそ、まさに多様な見方や考え方であったと考える。. 多様な見方や考え方は動物分類において重要であることが伺える。このこと は、子どもが、 「どのように動物を分類するか」を調査ことで多様な見方や考 え方ができるのか調べることができると思われる。. また、 「幼児でさえ自分にとって必要かどうかによって周囲にみられるもの を仲間分けするはずである。別の言葉で言えば、ある問題があって、それを解 決しようとするときに膨大になった知識を整理するために分類が行われる。」18. とある。このように、分類を行うことは、ごく自然の人間の営みであり、分類 するなかに多くの知見が得られると思われる。 そのため、多くの先行研究でも子どもが「生物をどのようにとらえているか」 を調べるために、生物を分類させるという方法によって調べられている。. 第3項. 動物概念の先行研究. 長洲は、小学校5年生から中学校2年生を対象にU−P表(Understanding Pattern Table)を用いて、動物概念に関する理解状況を分析した。その中で動. 物概念については、 「中学1,2年生でほぼ3割ほどしか理解(達成)してい. ない。小学校5,6年生は殆ど理解(達成)していない。生物の分類とは個々 の共通な特徴を有する生物群に分けていくと同時に、それら生物群より一層の 共通点(基準)を見出して、これら生物群を順次統合して「動物」 「植物」さ. らに「生物」概念を形成してゆく基礎となる活動といえる。この点からみると 現在の小、中学校における分類教育(ひいては生物教育)では、各動物群を総 称したものとしての「動物」概念の形成について十分な教育を行っているもの とは思えないことが示唆される」19と述べている。. 北村は、さらに中学生が動物概念をどのように理解しているのかを調査した20。 その結果、. 13.

(17) (1)脊椎動物の概念が十分に理解されていない。 (2)両生類とは虫類の理解が悪く、両者を混同している。 (3)魚類や昆虫が動物であるとの認識が低い。 (4)個々の動物の綱一門一動物界関連性についての理解が低い。 ことを明らかにした。. 北村の(4)の知見に関しては、酒井ら21がピアジェの包摂課題に基づいて行 った調査においても、確認されている。子どもはほ乳類と脊椎動物、昆虫と動 物、魚と動物といった包摂関係を十分に理解していなかった。 また、幼児の動物概念形成に関して、 「動物の形態についての機能的意味づ けが、形態と食性との関連性に関するru(例えば、“歯がギザギザならば/足が フサフサならば/目が顔の前にならんでいるならば、その動物は肉を食べる”と ルール化したもの)の獲得にとって有効である。」22という研究があり、幼稚園. の園児(5歳1ヶ月∼5歳11ヶ月)に調査している。幼児でも、動物の形態 と機能的意味づけを行うことにより十分に動物概念を形成させられると結論づ けている。. ところが、大学生においても、 「カブトムシは動物でない」とする学生が全. 体の10%で、女子より男子に、他教科の学生よりも理科の学生に多いという 報告23さえもある。. Be11,B.F.がニュージーランドの9歳から15歳の子どもを対象に行った調査24 や、Trowbridge, J. E.とMintzes,J.J.が米国の第5学年生から大学生を対象に. 行った調査25でも、「多くの学習者は動物概念を不十分に一般化し、限られた、. または、かなり限定された見解をもっている。」.という結果になった。さらに. 「年齢や学年によって変化がなかった。」という結論を示している。動物とい う用語の定義を被験者に求める調査でも、 「その回答は限定された理解をして いる。」という結果が出ており、先の研究を裏付けている。 「動物」という言葉は、広く理科の教科書や理科の学習で用いられている。 しかし、 「子どもたち一人ひとりは教師の意図とは異なり、生物について各々 が異なったカテゴリーを持っている。」26ということが言えるのだが、このよう に子どもの考える背景には、日常的に使われる言葉と科学者の間で用いられる 言葉に格差があり、その状況が同じように教室でも繰り広げられて、依然とし て改善されていないと思われる。. 14.

(18) 第4項. 動物概念研究の問題点. 子どもの動物概念が改善されていないのは、動物概念には、次のような特徴 (図3)があるためだと思われる。. 動物概念の特徴 ・子どもの動物概念は動物という実物を示すことができる。 そのため、他の科学的な概念とは違う。 ・驚くほど頑固で変えにくいことさえある障害。. 日常の言葉の中で、科学者も含めて、一般的に狭い意味で用いられている。 ・子どもの動物概念は単純な用語(ラベル)の理解に原因があったという研究でと どまっている。 「動物は消費者である」と単純化すれば動物概念が形成されるというラベル. の貼り替えで終始している。. 図3 動物概念の特徴 子ども自然現象についての考え方の調査内容として、力、エネルギー、光、. 電気など調べられているが、これらの用語はそれぞれの現象を表している。そ れに対して、動物は動物という実物があるため、他の科学的な概念とは違うこ とが伺える。. 実物があるということは、その実物を示すことができる。これに対して、光 ならば光による現象、電気ならば電気による現象に対してどのような見方をし ているのかという点を調査している。. そのため、動物概念を調べるには、今までの具体名をあげるような調査に加 えて、動物をどのような見方をしているのかという点を加える必要がある。 また、動物という言葉は、あまりにも日常で使われることが多いので、日常 用語と科学的な用語の差が大きい。そのため、頑固で変えにくい障害だと言え る。. 具体的に言えば、動物という言葉を科学的な捉えとして日常生活で用いると、. 数々の不都合が起こる。動物禁止という看板が出ていたら、人は入ることがで きないし、人は動物園の猛の中に入らなければならないだろうか。動物愛護と 言えば、蚤や蚊さえ保護の対象になるだろうか。国語辞典にさえ、動物という 項目には、 「広義には人を含めるが、狭義にはのぞく」と書かれており、動物 という言葉には、限定されて用いることが一般に認められている。. 15.

(19) さらに、今までの動物概念の調査では、 「動物の例を挙げて下さい。」 「牛 は動物ですか。」というように(Bell,B.E,1981)27調査の段階から「動物」とい. う言葉が用いられている。これは、牛という言葉を動物という言葉に言いかえ ることができますかと尋ねているだけで、子どもが自発的に動物を意識したの ではないという疑問が残る。そのため、動物を定義をすれば、十分に素朴概念 を転換できるという報告がなされている。 「もしわれわれ教師が授業において. 導入したいと思う概念をより単純化できるならば、適切な形での学習が起こり うるということを示している。 (中略)すなわち、消費者という複雑な用語に. あったのではなく、動物、生命という単純な用語の理解に原因があったのであ る。」28という報告さえある。これは、「動物は消費者です。消費者は物を食べ ます。ゆえに、食べるものは動物です。」と言い換えるように示される。その 結果、物を食べる生き物は動物だと確実に認識するようになるというのである。 このように定義で終わってしまえば、動物という言葉を消費者という言葉に. 言い換えただけで、動物概念に含まれる見方や考え方を排除されてしまう恐れ がある。すなわち「理科の問題を解決する場合に重要な「∼するには、∼すれ ばよい(㎞ow how)」という手続的知識と「∼は∼と関係がある。∼は∼であ る(㎞ow what)という宣言的知識の相互作用を重視する必要がある。」29とあ るように、動物は消費者であるという宣言的知識だけでなく、観察や実験をと もなった手続的知識も重要だということになる。. 定義も必要であるが、アオムシがキャベツの葉をムシャムシャ食べるのを見 たり、チョウが砂糖水に集まるのを見たりする中で、アオムシやチョウも動物 なんだと直接経験をともなった観察や実験を抜きにした定義では意味がないこ とは明らかである。. そこで本研究では今までの研究に加えて、今までにない調査方法と分析方法 を取り入れた新しい視点により子どもの動物概念を調べ、小学校や中学校で動 物を学習する上で新たな提案を行っていきたい。. 16.

(20) 第3節 第1項. 多面的・総合的な見方 多面的・総合的な見方の必要性. 子どもの動物に対する概念を変えていくには、「科学は本来的に「未知の世 界、未踏の世界を解き明かす」こと、つまり「探る」ことにある(科学的思考 力)、解き明かされた世界の知識を「知る」こと(科学的知識)のみではない。」 30. ニある。つまり、子どもの動物概念は、動物という枠組みを子どもに変えさせ るのではなく、動物を通して「未知の世界、未踏の世界」すなわち、自然を探 るということであると考える。このことを木村は「創造性・独創性および先見 性・先取性を重んじる社会・文化」31と言っている。 ところが、動物概念の特徴として、 「驚くほど頑固で変えにくいことさえあ る障害でもある。」32という報告があるが、このような頑固で変えにくいことさ えある障害をどうしたら変容できるだろうか。. そのため、木村が述べているように、多面的・総合的な見方が必要だと考え る。多面的な見方とは、動物を様々な角度から見ることだと考える。また総合 的な見方とは、多面的な見方をする中で、子ども自身が自分なりの考えを持ち、 自分で新しい考えをもったり、受け入れたりすることができることだと考える。 この見方をするためには、大きく二つのことが大切だと考える。. その一つとしては、多面的な見方として、動物に関する直接経験である。す なわち、子どもが自分の目や手を使って、動物に触れるという視点である。 もう一つは、総合的な見方として、今までの自分の知識をフルに活用し、多 角的に考え、自分で判断するという観点である。すなわち創造的な見方ができ るかという視点である。単に経験をすればいいというのではなく自分の経験を 基に、自分の考えを持たなくてはならない。動物概念に当てはめれば、できる だけ多くの経験や体験を基に、子どもが自由な発想の中で、動物を分類するこ とにより引き出されると考える。. このような多面的・総合的な見方の重要性は、 「自然体験や日常生活との関. 連を図った学習及び自然環境と人間とのかかわりなどの学習を一層重視すると ともに、児童生徒がゆとりをもって観察、実験に取り組み、問題解決能力や多 面的・総合的な見方を培うことを重視する。」33とあるように、問題解決能力の 育成とともに上げられている。. そこで、多面的・総合的な見方とは創造的思考の一つだと考えた。. 17.

(21) 第2項. 直接経験について. 直接経験の重要性は以前からも言われてきている。小林らは身近な動植物(2. 4種類)に対する直接経験をもつ群ともたない群とで、生物名の理解度を調べ た。その結果、 「直接経験をもつ群は、もたない群の理解度を上回り、生物名 を生息環境と関連づけていた。また、身近な動植物は、手軽に直接経験させる ことが可能であることから、自然の仕組みを理解させるなど理科教育の目標を 達成させる上で極めて有効な教材になりうる。」34となった。. 特に動物概念や植物概念は、多様な直接経験を行うことにより形成されやす い。見たり触ったりするなどの探索活動を行うことにより、子どもの動物に対 する見方が大きく変わってくると考えられる。. また、この次に述べる創造性と関連して、 「創造性は知識や経験(体験)の. 総合であり、論理的思考をとび越えた直感とひらめきとして表現されるもので ある。したがって、創造性の遺伝子そのものは存在しない。このため、創造性 を育成するためには、創造性の基盤である原体験や基礎である経験や知識を豊 富に身につけておくことが大切である。」35と言われているように、経験や知識 の上に思考などの高次の活動がなされている。. このことから考えると、動物概念の形成には直接経験が不可欠であり、直接 経験を抜きにして、動物概念の形成はありえない。もし直接経験が不足してい る場合、かなり偏った動物概念が形成されると考えられる。特に最近ではメデ ィアの影響で空想上の動物や架空の動物なども子どもは動物だと考えているの ではないか。その理由としては、ライオンやキリンなどの動物ですら、本物を じっくり見たことがない子どもが多い。しかしテレビなどを通じて、ライオン やキリンなどを知っている。ライオンやキリンなど実際にいる動物と架空の動 物との差はほとんどないと考えられる。どちらの動物もテレビのメディアなど から知ることになる。むしろ、テレビゲームなどの影響もあり、もしかしたら 架空の動物の方が、実際の動物よりもリアリティーを持っているかもしれない。. このような直接経験の重要性から、小動物の取り方、飼育の仕方を含め、直 接経験を促すようなデータベースを構築させ、これに基づいて直接経験を行う ことができると考えた。. 18.

(22) 第3項. 創造性について. 今までにも創造性の育成が求められており、創造性そのものの研究も、かな り以前から行われている。しかし、「科学教育における創造性(創造力)は昭. 和33年の学習指導要領からすでにその重要性が示されているが、科学教育研 究や理科教育学研究の中では系統的な研究がなされてきたとは言い難い。」36 とあるように、理科教育の中で創造性を取り上げたものは少ない。. その理由として、創造性は人にもしかしたらあるかもしれない超能力のよう に考えられ、 「ものすごい創造力があったらいいな」などと求めるものとして. 思われてきたし、今でも多くの人は、このように考えていると思われる。「創 造力の主題は創造的な過程を記述する以前の試みで、逸話か非科学的な意味を もっていた。」37と言われているほどである。. このような創造性に関して認知科学研究の立場においては、関心が高まりつ つある。Finkeらは(1992)は認知心理学の伝統的な研究領域と創造性研究を関連 づけた創造的認知アプローチを提案した。. 第4項. 理科教育における創造性の先行研究. まず、創造性とは何かという定義から探ってみた。 「創造性(creativity)とは何かという創造性の定義および概念の研究は、創造 性研究にとって出発点であり、また到達点である。」38 また、 「新教育用語辞典」によれば、 「ある目的の達成や問題の解決にとっ. てふさわしい、新しいアイデアを生み出すことのできる能力、および、それを 基礎づける人格」39とある。創造性の研究者である恩田彰は、「創造性とは、目. 的達成または新しい場面の問題解決に適したアイデアを生み出し、あるいは新 しい社会的、文化的(個人的基準を含む)に価値あるものをつくり出す能力、 およびそれを基礎づける人格特性である。」4Qと定義している。 穐山貞澄著「現代の心理学 3創造性」によれば、 「創造性は、芸術、科学、. 技術、社会問題の解決などに関して、既存の規範を脱して新しい規範をつくろ うとする過程が、その目的を達して大勢の人々の生活様式を変革するに至る性 能の違いを、程度の差、あるいは、型の違いとして表すものである。」41とある。. さらに、井口尚之編「新理科教育用語辞典」によれば、 「主体的に、ある目. 的・目標を定めて、その達成をめざして、または、ある問題を意識し、その解 決をめざして、イメージを操作して、個人として新しい価値のあるものを作り 出す能力・態度、およびそれに基礎づけられる人格特性である」42とある。. 19.

(23) いずれの定義も大きく分けて、能力と人格であるといえる。これらの定義を 受けて、理科の分野において、創造性を研究したものには、グループ活動と創 造性との関連を調べたもの43や、創造性テストを白人の学校と黒人の学校とで比 較した研究44。さらに、簡単なコンピュータ言語であるlogOを用いて、問題解 決場面を設定し創造性の伸びを比較した研究45などがある。. さらに「理科学習の心理学」によれば、 「理科の特定の種類の活動が、創造 性を伸ばすことができる。 (中略) 創造性は、児童・生徒が創造的な問題提. 起を行い、その問題解決のために必要な方法を自分で提案する活動を通して、 育まれるものである。このアプローチでは、児童・生徒の個人の考えを重視す ることがより必要不可欠である。従来の典型的な教室の雰囲気を、児童・生徒 の考えが価値あるものとして扱われ、それが追求されるような雰囲気に変革す ることが必要である。」46とあり、理科学習においてもその必要性が示されてい る。. また、碇らは、探求学習の授業の中で直感的思考の評価に重点を置きながら 創造性を評価する試みを行っている。具体的には、理科授業の中で発言内容と 創造性の相関を調べている47。さらに、創造性テストとSD法調査(理科の時間、 積極的に発表していると思う)の系統性を数量化理論2類により解析した48。さ. らに、尾崎らは独自の理科創造性検査の作成し、S−A創造性テストとの比較 と理科授業における原因帰属質問用紙を作成し比較検討49を行っている。. これらの創造性に関する研究はこれからの理科教育に大きな指針を示してい る。しかし、どの研究においても、創造性というものがあり、それを育成しな ければならない。しかし、 「創造1生そのものはよくわからないので、創造性と 発言とか、創造性と原因帰属との関連。または、創造性はコンピュータのプロ グラムを組む活動を行った子どもに非常に高い相関が見られた。」など、創造 性と何かとの相関を調べるというものであった。すなわち、創造性に関連する. ような因子を引き出そうとするものであった。さらにこれまでの研究は創造性 に関する能力なのか、態度なのかという点で研究が大きく分かれている。 しかし、最近になり認知心理学から創造性について、創造的認知アプローチ という新たな見解が示されており、注目を浴びてきている。. 20.

(24) 第5項. 創造的認知アプローチ. 創造的認知アプローチの代表的な提案と研究は次のようである。. 1:被験者にランダムに指定された単純な15のパーツからなる 立体図形(図4)のうち3つをイメージ上で合成し、何か使え そうな面白いオブジェクトを作るように指示される(これを “preinventive form”と呼んでいる)。. 2=その絵を描写する。. 3:オブジェクトをランダムに指定したカテゴリ(表1)に 属させる。. 4:実際に使えるものとして解釈させる。 (一一 ). σう. CJ. A.“一.. qz.) (ti・・//’L−iJ’i. /ヘソ/V レ 11..7. ?. oo 図4Set ofobj ect parts in experiments on creative imvention. The followinng names(left to right) were used to designate each of the parts :sphere, half− sphere, cube, cone, cylinder, rectangular block, wire, tube, bracket, flat square,. hook, cross, wheels, ring, and handle.(From Finke 1990). 21.

(25) 表1Allowable Object Categories in Experiments on Creative lnvention. Category. Examples. 1 : fumiture. Chairs, tables, lamps. 2:personal items. Jewelry, glasses. 3:Transportation. Cars. boats ’. Measuring devices. 4:Scientific instruments. このような状況下において、創造的な発明品が考案される割合が比較的高い ことが示された50。. 比較条件として、オブジェクトを生成する代わりに、他人がつくったオブジ ェクトを被験者に提示し、それを何かに使えそうな度合いと絵のできの二つの 基準で評価した後、オブジェクトを解釈させると創造的な発明が考案される度 合いが低くなることが示された。 この結果から、Finkeらは、. preinventive formは自分で作った方がよい と結論づけている。. これは理科授業においても十分に応用することができると考えられる。授業 に「自分で考えなさい。」とか「自分で予想を立ててみよう。」ということを で子どもに教示するが、自分でやってみる意味を示していると考えられる。 動物分類に関しても、自分で分類することにより、動物に対する新しいイメ ージを作り出すことができると考えられる。逆の見方をすれば、与えられた分 類を知るだけでは、単なる知識として蓄積するが、新しいイメージを作り出す ことはできにくいと考えた。. また、Finkeらはオブジェクトの評価を、3人の評定に有用性と独創性の尺度 によって行っている。子どもの動物分類を評価するのには、有用性と独創性と. いう基準でははっきりしないし、このような基準を設けるには大変難しい。そ こで、有用性と独創性を加味した、創造の水準にそって評価することにした。. 22.

(26) 第6項. 創造性の水準. 創造と呼ばれる心的活動は、幼児の創造活動から天才の創造に至るまでピン からキリまである。そこで、創造を幾つかの水準にふり分けられている。 まず、個人的創造と社会的創造とに区別できる。 個人的創造とは、社会全体にとって格段新しくもなく、価値をつけ加えるほ どもものでもない。その人自身にとって新しいものであり、生活に役立ち、あ るいは創造の喜びを与えるようなものである(これを「自己実現の創造性」と MaslOw, A.h.は呼んでいる)。. 社会的創造とは、その人個人のみのに限らず、社会全体にとって新しく、ま たある一定の水準以上の質をもつ創造のことである。いわゆる発明・発見、芸 術、新しい理念や教養の創造などがこれにあたる(これを「特別な才能の創造 性」とMaslow, A.h.は呼んでいる)。. この研究では、個人的創造の立場にたち、恩田らが提唱した創造の水準51を探 ると、図5に示すようになる。. 一般の人における創造の水準 第一水準:非分割結合による創造(ラベリング) 現にあるものを、そのまま、または少し形を変え、結合させる。 第二水準=分割結合による創造(グルーピング) 現にあるものを、構成要素にまで分解もしくは分析し、 それらの要素的な機能を、そのまま、または少し形を変え、 結合させる。. 第三水準:飛躍結合による創造(クリエイティブ) 全く別だと思っていた要素的な機能を、そのまま、または少し 形を変え、結合させる。. 図5 一般の人における創造の水準. 23.

(27) 上記の創造の水準を動物の分類にあてはめ、それぞれの段階を以下のように 考えた。. 第一水準とは、非分割結合による創造とされており、現にあるものをそのま ま、または少し形を変えて結合するような段階である。このような水準は、と ても多く行われており、 「イヌは動物」 「ライオンはこわい」という時、イヌ に動物というラベルが貼り付いていたり、ライオンにこわいというラベルが貼 り付いている。イヌと聞くと、イヌについている動物というラベルを答える。 さらにネコにも動物というラベルがついていたら、イヌとネコは動物と答える。. 同様にライオンと聞くと、こわいと答える。このような段階をラベリングの段 階とも言い換えられる。. 第二水準とは、分割結合による創造とされており、現にあるものを、構成要 素にまで分解もしくは分析し、それらの要素的な機能を、そのまま、または少 し変え結合させるような段階である。これは、イヌと聞くと、イヌという概念 を構成している要素をたくさん検索する。さらに、ライオンという刺激をうけ ても同様に検索した結果、イヌにもライオンにも当てはまる要素を引き出して きて、例えば「ほえる」と答える。このような段階をグルーピングの段階とも 言い換えられる。. 第三水準とは、飛躍結合による創造とされており、全く別だと思っていた要 素的な機能を、そのまま、または少し形を変え結合させるような段階である。 一般に、この水準によるものを創造だと言われている。何でも、飛躍的なもの を結合させれば良いというものではなく、そこに価値や意味がなければならな いと考える。ゆえに、これをクリエイティブの段階とも言い換えられる。. Finkeらが述べているpreinventive fo㎜の判断基準として、上記の水準にそっ て分析することを創造的思考の観点とした。. 24.

(28) 第2章 研究の目的 小学校、中学校において創造的思考の観点から、動物分類の視点 を分析し、子どもの動物に対する見方を明らかにする。 直接経験を導入した探索活動が、子どもの動物概念形成における、 多面的・総合的見方に及ぼす影響やその問題点を明らかにする。. 25.

(29) 第3章. 研究方法. 子どもの動物概念を知るということは、子どもがどのように動物を捉えてい るか知ることであり、このことをふまえての教授がなされなければならないこ とはもちろんのこと、子どもがどのように概念を形成していくのかという問題 に対しても、多くの示唆が得られる。しかし、子どもの動物概念の不備を指摘 されても、それでもなかなか変容しないという問題点もある。 そこで、従来の方法に加えて、新しい方法で動物概念を探っていきたい。 まず、調査項目の全体図(図6)を示す。. 「動物」という用語を用いる方法(従来型) 方法:面接法により「動物ってなに」と尋ねる 調査1:動物概念形成時(幼児) 調査2:理科学習(小学校)を行った後における変容 (小学校5年生). 動物を分類させ「動物」という用語を用いない方法(創造型) 方法:いくつかの動物を分類させ理由を書かせる 調査3:理科学習導入時(小学校3年生). 調査4:理科学習を2年間行った後(小学校5年忌) 調査5=理科学習において動物分類を学習(中学2年)した後 (中学校3年生) 一部、直接経験を取り入れる Finkeらによって、 「preinventive formは自分で作った方がよい」という結果から、 分類を理科学習によって得た人(中学校3年生)とそうでない人(小学校3年生、 5年生)を比較する。 このことにより、創造性の水準に差がでるような動物概念を形成しているので}seit いか。. 図6 研究方法. 26.

(30) まず、以前から行われているように「動物」という用語を用いる方法により、. 動物に対する見方を調査(調査1,調査2)を行う。特に幼児を対象としたの は、この時期に動物という言葉を覚えはじめ、動物概念が形成される時期だと 考えられる。また、幼児を対象とした動物概念の研究は少なく、分かっていな い点が多いためである。. 同様の方法で、小学校5年生にも面接を行い比較検討を行う。. さらに、動物という用語を用いないで、直接経験と創造的思考を取り入れた 分類活動(図7)を行い、その結果を分析する。この分類活動そのものが、子 どもの動物概念を変容させるであろう活動になると思われる。これを創造的思 考の観点から分析する。. 特に、分類学習をした者(中学校3年生)とそうでない者(小学校3年生、 5年生)では大きな差が出ると思われる。それは、Finkeらによって、「preinventive form」は自分で作った方がよいという結論から、 「preinventive fbrm」を与えら. れた中学3年生とそうでない小学生との比較が行われる。今回の研究で rpreinventive fbrm」は分類活動そのものをさしている。. この結果を創造の水準に照らし合わせて分析を行う。. 従来型の調査方法 幼児との会話分析を行う. 小学校5年生との会話分析を行う 方法:発話プロとコールを取り、 会話の内容を図に表す. 創造型の調査方法 創造的思考の観点から分析 子ども自身が動物という用語を用いてどのように分類するか 分類結果から各動物との関連を調べる. 分類理由を創造性の第一水準から第三水準に分ける. 方法:子どもの分類図から分析する. 図7 調査方法の違い 27.

(31) また、概念変容を促すだけでなく、自由な分類そのものが、子どもの創造的 思考を伴った活動であり、子どものひらめきや発想を見いだすことができると 考えた。「理科の特定の種類の活動が、創造性を伸ばすことができる。」52とあ るように、自由な分類をするという活動が、子どもの創造性を伸ばす特定の種 類の活動の一つではないかと考える。. 28.

(32) 第4章 調査方法 第1節. 面接による動物概念の調査. 一人一人の子どもと面接による調査を行う。.. 留意する点は、子どもが自然に話をしてくれるようにするために、子どもと コンタクトを多くとる。休み時間を利用して、 「お話」をするように自然な場 面において行う。場所も特別な部屋を用意しないで、子どもが遊んでいるとこ ろで行う。. また、子どもが話している雰囲気をつかみ、子どもに答えがつまるようなこ とを強いない。. 基本的な聞き方をして、 動物は好きですか。 どんな動物を知っていますか。. などとはじめに、動物についての情意や知識をたずねた。その次に、 動物ってなに。というようなたずね方をした。英語で言えば、 What? という聞き方である。. 調査時期は、平成9年12月∼平成10年2月 調査対象は、兵庫県内の幼稚園児20名(4歳∼5歳) 岐阜県内の小学生 5年生 15名. 29.

(33) 第2節. 分類による動物概念の調査. 小学生から中学生まで、いくつかの動物に直接触れるなどの直接経験をふま えた探索活動を取り入れた後に、いくつかの動物を自由な分類を行えるような 調査問題を作成し調査を行う。. 調査の流れ 1:直接経験を取り入れた探索活動を行う。 ヘビ、カエル、カメ、メダカに触れる。 2:動物分類活動を行う。 質問紙に仲間だと思う動物を囲み、理由を書く。. 図8 調査の流れ 調査にあたって、留意した点は、. ・子どもの持っている様々な観点により、自由な仲間分けをする。 ・全体を一つの仲間としてもよい。. ・それぞれの動物が、どのように関わってもよい。 ・観点に関連した動物を新たに加えてもよい。 とした。. また、調査するときに留意した点としては、. 課題を「生き物の仲間分けをしよう」とした。これは、動物という言葉を用い ないで、課題に取り組ませた。小学校3年生には、生き物とは別のもの(お菓 子)を用いて、簡単な練習を行った後に課題に取り組ませた。. 調査時期は、平成10年4月∼平成10年6月 調査対象は、岐阜県内の小学生 3年生 97名 5年生 76名 岐阜県内の中学生 3年生 112名. 30.

(34) 第1項. 調査問題. 14種類の動物を取り上げ、それぞれの動物を子どもが自由に分類をするよ うな調査問題(図9)を作成した。 なお、調査問題作成には、Bell,B。F. and Berker(1982)が行った認識調査53を参考 にした。. 取り上げた動物は、ヒト、ライオン、イヌ、スズメ、ペンギン、カニ、ハエ、. チョウ、カブトムシ、カエル、ヘビ、カメ、メダカ、イルカの14種類である。 それぞれの動物を取り上げた理由は、 ヒト:子どもはヒトに属するが、ヒトと動物とは違うものだと考えて. いる子どもがいると考えた。「ヒトはヒトであって動物とは違 う。」という言葉もあるぐらい、ヒトを動物に含めない子ども をとらえることができると考えた。確かに、子どもとって自分 はヒトであって、イヌやネコのような動物とは様々な点におい て違うことをたやすく述べることができる。ヒトは服を着たり、 学校へ行ったりするがイヌやネコはしない。ヒトを動物と言う かもしれないが、かなり特別な動物であると考えている子ども が多いと思われる。 ライオン:「動物ってなに。」と質問すると、動物園にいる動物を答 えることが多い。動物園にいる生き物が動物だと考えている子 どもが多いと思われる。動物園の動物という言葉からも用意に 推測ができる。それに対し、水族館にいる生き物は魚であると 考えている。 イヌ:子どもにとって身近な動物の一つである。ペットとしても多く. 飼われていることがあるので、イヌの生態については多く知っ ている。ヒトと同じように食べたし排出したりするだけでなく、 時には感情も出すことを知っている。子どもにとってヒトと近 い存在であると考えられる。 スズメ:よく見ることができる動物であるが、実際にさわったりした. ことは、ほとんどないと思われる。また、ヒトと大きく違う点. 31.

(35) として、「飛ぶ」という行動をすることができる。飛ぶことに より、ヒトよりも昆虫の中で飛ぶことのできる動物と近い存在 であると考える。. ペンギン:スズメとペンギンは同じ鳥類であるが、ペンギンはヒトに. 近い動物と考えていると思われる。その理由は、スズメと違っ てペンギンは飛ぶことができない。また、二本足で歩く。さら にペンギンが卵生であることもほとんど知らない。 カニ:子どもが中学生になり、分類を学習しても、子どもが学習した. もののどれにも属さない生き物としていると思われる。すなわ ち、動物を大きく分けた場合、カニは脊椎動物と無脊椎動物に 分けられ、無脊椎動物の昆虫には属さない動物になる。このよ うに分類を学習するなかで取り上げない動物の一つとしてカニ を取り上げた。 ハエ:ハエもよく知っている生き物であるが、ハエは生き物であるが、. 動物だとは考えていないと思われる。むしろ飛ぶということか ら、スズメなどに近い生き物だと考えていると思われる。また、 ハエは嫌われる生き物である。ハエを見たらすぐたたいたりし て、殺してしまおうとする。この点から、次のチョウやカブト ムシとは違った観点を持っていると思われる。 チョウ:チョウもよく知っているし、学校でもチョウを扱う。昆虫の 中で学校において扱う生き物として取り上げた。 カブトムシ:誰もが名前を知っているが、子どもにとって人気のある. 生き物であり、不思議な生き物であると考える。この人気のあ る動物をどのように見ているのか知ることができる。 カエル=カエルは中学校において取り上げられるが、好きという子ど. もと嫌いという子どもに分けられる。嫌いという子どもはとて も触ることもできないし、ましてや近づくことさえ嫌がる子ど もがいる。 また、数匹のトノサマガエルやアマガエルを触ったりできる ようにした。 ヘビ:嫌われる生き物の代表である。好きという子どもはほとんどい 32.

参照

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