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マウス咀嚼運動におけるIL-6の役割に関する研究(歯学情報、受賞報告)

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Academic year: 2021

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マウス咀嚼運動におけるIL-6の役割に関する研究(

歯学情報、受賞報告)

著者

土谷 昌広

雑誌名

東北大学歯学雑誌

30

2

ページ

50

発行年

2011-12-28

URL

http://hdl.handle.net/10097/54270

(2)

東北大歯誌I30: 50,2011 (-bhoku Univ. Dent, J,)

マウス岨囁運動におけるSL-6の役割に関する研究

土 谷 昌 広 岳;;i 東北大学大学院歯学研究科 口腔機能形態学講座 加齢歯科学分野 この度,第4回インターフェイス 口腔健康科学国際シンポジウムにて優 秀ポスター賞を拝受いたしました。本 稿ではその研究内容をご紹介させて頂 きます。 岨噛筋の易疲労性は顎関節症患者に おいて頻見される症状の一つですが 中枢性と末梢性の原因が複雑に絡み 合っており,その発症メカニズムにつ いては不明な点が多いのが現状です。 近年,筋細胞はその収縮に伴ってイン

ターロイキン(iL)-1β, iL-6, iL-12などのサイトカインを産

生することが報告されています。過去の研究から,運動によ り産生されたIL-6はAutocrine/Paracrineに筋組織に作用し, 筋機能を維持するためにその糖代謝・脂質代謝を賦活化する とされ,運動時/後の筋機能の維持および回復と密接に関連 することから,その障害は筋性疲労を誘発するものと推察さ れます。しかしながら,岨噛筋機能時のiL-6の動態および その役割を明らかにした′研究は認められません。本研究では マウスに自発的な岨噛様運動を促すユニークを実験系を用い て,岨疇筋の機能時におけるiL-6の動態とその機能的役割 を明らかとすることを目的として行いました。 5-7週齢の野生型マウスとiL-6遺伝子欠損マウス(iL6KO) を用い,プラスチック板にて閉鎖した円筒内に拘束します。 この場合,逃亡の為にプラスチック板を岐む"岨時様運動" を行います。この際のプラスチック板の減少量を岨囁運動量 として算出します(Ayada et ai, 2002, Physioi Behav,)。運動 後に岐筋を採取し,定量PCR法およびELiSA法による

IL-6,筋組織におけるiL-6シグナリングの下流分子である

Suppressor of Cytokine Signa一ing (SOCS)-3およびGiucose

TanspoHer(G一ut)-4の発現の解析,筋組織内グリコーゲン量 について検討を行い,以上の結果と岨噛運動量の動憩につい て比較検討を行い,岨疇様運動過程における筋疲労とIL-6 の関連について検討を行いました。 まず,岨噛様運動の負荷によって較筋組織のiL-6発現の 有意な上昇が確認されました。くわえて,血中のiL-6タン パク量の増加と筋組織内のIL-6の下流分子(SOCS-3)の発 現誘導も確認されたことから,岨噛様運動によって産生され たIL-6がAutocrjne/Paracrineに筋組織に作用しているもの と考えられます。次にIL-6の岨曙運動の機能の維持への直 接的な関与を検討するため, IL6KOを用いて岨噛様運動の実 験を行いました。結果, iL6KOでは岨疇運動量が早期に低下 し,岨噛筋の疲労耐性が有意に低いことが認められました。 それにくわえ,組織内グリコーゲン量の回復の遅延, G一ut-4 の発現量の低下なども明らかとなったことから, lL-6が筋 活動を維持する上で重要な役割を果たしており,その欠損は 筋機能発現時の糖代謝機構の障害を誘導することで 易疲労 性の病憩をもたらすことが明らかとなりました。 次に生理的状況下においてもiL-6がその機能的役割を果 たしているかどうかを確認するため,粉末食により飼育した マウスに岨疇様運動を負荷し, iL-6の発現に関する検討を 行いました。粉末食飼育群は通常食(ペレット)飼育群と比較 し,岨疇横連動の疲労耐性が有意に低下している一方で 岨 噂様運動に伴って誘導されるiL-6の発現量が逆に高い結果 50

(受賞報告)

が得られました。これらのことは,生理的状況下においても iL-6の動態が疲労と関連して誘導され,その機能を維持す る上で重要である可能性を示しています。 以上の結果から,岨疇運動時に岐筋より産生されるIL-6 は岨噛筋群の糖代謝を賦活化し,その機能を維持する役割を 果たすことが明らかとなりました。また,その障害は易疲労 性の原因となり,岨噂機能を低下させることが示されました。 これらは食習慣(軟食傾向など)が岨曙機能だけでなくiL-6 の発現にも影響を与えることから,生理的状況下においても その役割を果たしているものと推察されます。 最後になりました井 本研究を遂行するにあたり,口腔分 子制御学分野,加齢歯科学分野の先生方をはじめ,たくさん の先生方にご指導・ご協力を頂きました。ここに深く感謝申 し上げます。

主な論文

I) Niijima-Yaoita・ F・・ Tsuchiva・ M・・ Ohtsu・ H・・ Yanai・ K・・

Suga-wara, S., Endo, Y. and ねdano, T∴ Roies of histamine in

exercise-induced fatigue : favouring endurance and

pro-tecting aga面st exhaustion, Bioi. Pharm. Bui上35(1) : 1-7,

2012,

2) Hagiwara, Y., Ando, A., Onoda, Y., Takemura, T., Minowa, T., Hanagata, N., Tsuchiya, M., Chimoto, E., Suda, H.,

bkahashi, N〟, Sugaya, H,, Saijo, Y, and itoi, E∴

Coexistence of fibrogenjc and chondrogenic process in the

capsuie of idiopathic frozen shou一ders, Osteoahhritis

Car-t胎ge, in press.

3) Sharma, R., Tsuchiva, M., Tannous, B.A. and Bartlett, J.D. :

Measurement of f一uoride-induced endopiasmic re自cuium

stress using Gaussia iuciferase. Methods Enzymoi, 491 : 111-125,2011.

4) Hagiwara, Y., Ando, A., Chimoto, E., Tsuchiva, M.,

Taka-hash主i〟, Sasano, Y,, Onoda, Y,, Suda, H, and ito主 E∴

Expression of coiiagen types i and ii on a由cuiar ca刑age in

a rat knee contracture mode上 Connect Tissue Res.

51(1) : 22-30, 2010.

5) Sharma, R., Tsuchiya, M., Skobe, Z., Tamous, B.A. and

Ba川ett, J〟D〟 : The acid test of f一uoride: how pH

modu-iatestoxicity. PLoS One, 5(5) : elO895, 2010.

6) Tsuchiva, M., Sharma, R., Tye, C.E., Sugiyama, T. and

Bahiett, J〟D〟 : Tansforming growth factor-betal

expres-sion is up-regulated in maturation-stage enamel organ and

may induce ameioblast apoptosis. Eur, J. Orai, S°i. 117(2) :

105-112, 2009, 略   歴 1998年3月 東北大学歯学部卒 2002年3月 東北大学大学院歯学研究科博士課程修了[博 士(歯学)] 2002年4月 東北大学歯学部附属病院医員 2003年10月 東北大学歯学部加齢歯科学分野助手 2004年8月∼2006年10月 the Forsyth institute, Boston,

USA (海外研修)にてエナメル質フッ素症の発症に関す

る研究に従事(業績3, 5, 6他)

2007年4月 同助教 (現在に至る)

参照

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