Posted at the Institutional Resources for Unique Collection and Academic Archives at Tokyo Dental College, Available from http://ir.tdc.ac.jp/
Title
メンテナンス性を重視して可撤性ブリッジを併用したイ
ンプラント治療症例
Author(s)
田坂, 彰規; 古谷, 義隆; 上田, 貴之; 矢島, 安朝; 櫻
井, 薫
Journal
歯科学報, 112(2): 174-174
URL
http://hdl.handle.net/10130/2758
Right
目的:近年,インプラント治療の普及により口腔内 に天然歯とインプラントが混在している症例を多く 目にするようになり,新たに歯の喪失で生じた欠如 の部位によってはインプラントおよび可撤性局部義 歯の設計を困難とさせる場合がある。本症例は天然 歯とインプラントの共存およびメンテナンス時の対 応を考慮し,可撤性ブリッジとインプラントを用い て補綴治療を行ったので報告する。 症例: 患者:62歳,女性 初診:2008年4月 主訴:咀嚼困難および義歯装着時の違和感 現病歴:2006年9月に上顎可撤性局部義歯,2007 年11月に下顎可撤性局部義歯を装着したが,義歯装 着の異物感が解消しないため東京歯科大学千葉病院 口腔インプラント科を受診した。 口腔内所見:上顎は#11,15,16,17,21,26が 欠如し,#15,16,17欠如部には可撤性局部義歯, #11,21,26欠如部には固定性局部義歯が装着され ていた。なお,上顎残存歯はすべて歯冠補綴されて おり,2次齲蝕が多数歯に認められた。下顎は#32, 33,34,35,36,37,45,46,47が欠如し,欠如部 には可撤性局部義歯が装着されていた。下顎残存歯 にも2次齲蝕が認められ,支台歯は歯周疾患による 動揺が認められた。 治療:下顎残存歯は歯周疾患,齲蝕による保存困 難および予後不良と診断した。下顎は残存歯をすべ て抜去し,下顎無歯顎に対して7本インプラントを 埋入し,AGC ガルバノコーピングを用いた術者可 撤式のボーンアンカードブリッジを装着した。上顎 右側臼歯欠如部は1本インプラントを埋入し,イン プラント支持クラウンにて回復した。上顎残存歯は コーヌステレスコープクラウンを用いた可撤性ブ リッジを装着した。 考察:上顎残存歯はすべてコーヌステレスコープク ラウンにて連結することで残存歯の支持能力の向上 および対合インプラントによる咬合負荷の分散が期 待できると考えられる。また可撤性であるため歯の 喪失によるインプラント追加埋入および可撤性ブ リッジの修理,義歯への改変などの対応が容易にで きる。今後日本では超高齢社会によりインプラント 受療者の要介護化が増加することが考えられるた め,メンテナンス性を考慮することは重要である。 本症例は天然歯とインプラントの共存およびメンテ ナンス性を考慮して治療ができた。 目的:頬部に発現した筋上皮腫について,MRI,CT 画像を再度観察し,原発臓器の妥当性と鑑別診断に ついて考察する。 症例:8歳男性。左側中頬部の腫れが気になり来院 した。3か月前に自覚したという。左側中頬部に可 動性,境界明瞭な腫瘤を触知,自発痛,圧痛はな く,皮膚ならびに口腔粘膜は健常色であった。唾液 の分泌障害はない。造影 CT および MR 画像で, 左側咬筋表層部に,約16mm 大の境界明瞭な腫瘤性 病変を認めた。CT では筋と同程度の造影効果を, MRI T2 強調像(脂肪抑制)では内部やや不均一な 高信号,T1 強調像では均一な低信号を示した。耳 下腺管は T2 強調像で軽度に高信号を呈し,病変は その前方部に存在した。術前の穿刺吸引細胞診では 腺様嚢胞癌が疑われたが,腫瘤切除後の病理組織診 断は筋上皮腫であった。 考察:筋上皮腫は唾液腺などの終末部漿液細胞の表 面に取り巻く筋上皮細胞の増殖に起因する。病変と 咬筋間に認められた帯状の高信号所見(T1 強調 像)から頬間隙後方外側域内に存在すると推定し た。同域は,脂肪性組織を台座として耳下腺管,顔 面神経の分枝,顔面静脈との合流枝である耳下腺 枝,頬腺などで構成されるため,神経系腫瘍,脈管 系腫瘍,腺系腫瘍などとの鑑別が必要となる。今回 の症例では神経原性腫瘍に特徴的な target sign , fascicular sign がなく,また本腫瘍は運動神経由 来の頻度は低いとされる。また,血管系病変として は造影効果が小さかった。T2強調像における内部 の房状所見は腺系腫瘍を疑がわせたが,頬腺の高分 布域とは異なっていた。Tart ら(1995)は副耳下 腺を頬間隙後方外側域内にある構造物として採り上 げており,画像所見から副耳下腺由来の可能性が高 いと考えられた。T2 強調像で高信号に描出された 耳下腺管の走行に一致して腫瘤が認められた場合に は,腺管原発,腺管への浸潤,腺管炎の併発あるい は外部腫瘤としての機械的圧迫による流出障害の可 能性を考えなければならないが,本症例では腺管の 拡張や耳下腺の信号強度の上昇はなかった。これ は,副耳下腺由来の腫瘤性病変は耳下腺管からの流 出障害を併発しないという Rodin ら(1993)の報 告とも矛盾しない。さらに,T2 強調冠状断像,Cu-rved MPR と摘出標本割面との照合により,本来の 耳下腺管と副耳下腺との解剖学的位置関係とも矛盾 はないと考えられた。