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プロトン化またはメチル化したアンダーソン型ヘテロポリモリブデン酸の合成

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Academic year: 2021

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プロトン化またはメチル化したアンダーソン型ヘテ

ロポリモリブデン酸の合成

著者

池上 周作

(2)

2008 年度修士論文要旨

プロトン化またはメチル化したアンダーソン型

ヘテロポリモリブデン酸の合成

関西学院大学大学院理工学研究科 化学専攻 矢ヶ崎研究室 池上 周作 最近、ポリ酸の代表的な構造の 1 つであるアンダーソン構造を持つモリブド過ヨウ素酸 にプロトンまたはメチル基が付加したものが得られた。ここではプロトンとメチル基はど ちらも2 つの Mo 原子を架橋する酸素原子に付加していた(図 1-a、1-b)。この結果は、それ までの予想とは異なっていた。以前は2 つの Mo 原子と I 原子を架橋する酸素原子にプロ トンが付加すると考えられていた。これと同じ予想がモリブドテルル酸でもされてきた。 そのため、モリブドテルル酸ではどの酸素原子に付加が起こるのかという疑問が生じた。 そこで、モリブドテルル酸でのプロトンまたはメチル基の付加がどの酸素原子に対して起 こるのか調べるために、プロトン化物及びメチル化物の合成を行った。また、モリブド過 ヨウ素酸のプロトン化物は容易にメタノールと反応してメチル化物を与えた。その際に新 たな酸素原子への付加は起こらず、プロトンが付加している酸素上でのみプロトンとメチ ル基が交換した。この反応を使う ことで、他のアンダーソン型化合 物に付加しているプロトンを選択 的にメチル基に交換出来るのでは と考えた。モリブド白金酸でもモ リブド過ヨウ素酸と同じく2 つの Mo 原子を架橋する酸素原子にプ ロトンが付加したものが知られて いるため、モリブド白金酸のメチ ル化も行った。 モリブドテルル酸の合成

MoO3、Te(OH)6及び TBAOHaq

を水溶液中で反応させた後、メタ ノール中で結晶化することでモリ ブドテルル酸のジメチル化物であ るTBA4[TeMo6O22(OMe)2] (1)が得

られた(図 1-c)。1 とモリブド過ヨ ウ素酸のジメチル化物ではメチル 基が異なる酸素原子に付加してい 図 1 多面体表記したアンダーソン型の化合物の構 造(灰色の八面体の中心にはMo 原子が、斜線の引 かれた八面体の中心にはI, Te または Pt 原子が位置 している。八面体の各頂点には酸素原子が位置し ている): (a) [H2IMo6O24]3-、(b) [IMo6O22(OMe)2]3-、(c)

[TeMo6O22(OMe)2]4- (1)、(d) [H2PtMo6O22(OMe)2]4- (2)。

(3)

図 3 水素結合で二量化した [H9(PtMo6O24)2]7- (3)の構造(点線は 水素結合を表している)。 る(図 1-b, 1-c)。1 ではメチル基が 2 つの Mo 原子を架橋する酸素原子だけでなく 2 つの Mo 原子とTe 原子を架橋する酸素原子にも付加していた。この結果は、2 つの Mo 原子と Te 原子を架橋する酸素原子のみに付加が起こるというこれまでの予想とも異なっていた。ま た、メチル化物の他にもプロトン化物の合成を試みたが、その単離には到らなかった。 モリブド白金酸の合成

MoO3、H2Pt(OH)6及び TBAOHaq を水溶液中で反応させた後、メタノール中で結晶化する

ことでモリブド白金酸のジメチル化物であるTBA4[H2PtMo6O22(OMe)2] (2)が得られた(図 1-d)。

2 のメチル基はモリブド過ヨウ素酸の場合 と同様に2 つの Mo 原子を架橋する酸素に のみ付加していた。結晶中ではアニオン1 つに対してカチオンが4 つ含まれている。 このことからチャージの釣り合いを考える と、このアニオンにはメチル基以外にもプ ロトンが2 つ付加している必要があった。

Bond Valence Sum を計算すると、これらの

プロトンは2 つの Mo 原子と Pt 原子を架橋 する酸素原子に付加していることが示され た(図 1-d)。また 2 は乾燥すると黄色からオ レンジ色に変化した。乾燥後の2 の IR 及び NMR スペクトルからメチル基由来のピー クがなくなっていることから考えて、脱メ チル化が起こっているようである。乾燥後 の2 は、メタノールを非常に良く吸収した。 図2 に示した通り、最終的には元のサンプルの重さ の3 倍ものメタノールを吸収した。メタノール以外 にも水、エタノール、アセトン及びジメチルスルホ キシドの吸収が観測された。 2 の合成過程で全くメタノールを用いず水溶液中 で合成を進めるとTBA7[H9(PtMo6O24)2] (3)が得られた。 3 の結晶中ではアンダーソン型の[H4.5PtMo6O24]3.5-が 水素結合により二量化している(図 3)。3 は以前にカ リウム塩として単離されていた[H9(PtMo6O24)2]7-と同 じ構造をしていた。図1-d と図 3 を見る限りプロト ン及びメチル基の付加サイトが2 と 3 では異なって いる。モリブド過ヨウ素酸では付加しているプロトンに対してのみメチル化が起きていた。 そのため、3 を経てから 2 が形成しているわけではなさそうである。

図 2 乾燥後の TBA4[H2PtMo6O22(OMe)2]の

メタノール吸収による重量増加(サンプル

図 3   水素結合で 二量化した [H 9 (PtMo 6 O 24 ) 2 ] 7-   (3) の構造 ( 点線は 水素結合を表している)。 る(図1-b, 1-c)。1ではメチル基が2つのMo原子を架橋する酸素原子だけでなく2 つの Mo原子とTe原子を架橋する酸素原子にも付加していた。この結果は、2つのMo原子とTe 原子を架橋する酸素原子のみに付加が起こるというこれまでの予想とも異なっていた。また、メチル化物の他にもプロトン化物の合成を試みたが、その単離には到らなかった。 モリブド白金酸の合成

参照

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