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データベース・カルチャーコレクションの活用が切り開く「複眼的」環境微生物研究

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Academic year: 2021

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Microb. Resour. Syst. Dec. 2017 Vol. 33, No. 2

データベース・カルチャーコレクションの活用が切り開く

「複眼的」環境微生物研究

高島昌子 ((国)理化学研究所バイオリソースセンター・JCM)  環境微生物系合同大会 2017 において,日本バイオインフォマティクス学会,日本ゲノム微生物学会お よび日本微生物資源学会の 3 学会が企画して,表記シンポジウムが開催された.  環境微生物研究と一口にいっても,その切り口は多様と想定され,従って研究手法も使用する材料や情 報も様々であると推定される.微生物資源学会の機関会員は母体とする組織に応じてリソースの収集・保 存・提供を行っており,また保有株の情報をウェブサイトや冊子体カタログで公開している.データベー スはこれらリソースの所在情報や菌株に付随する情報を他の研究データも含めて有機的に結びつけて研究 者に配信し,研究を加速させるものであろう.まさに「データベース」と「カルチャーコレクション(に 保存されている各種リソース)」は研究における二大インフラであり,個々の研究に対しては複眼的な視 野を加えていくための鍵でもある.本シンポジウムは,今後,環境微生物研究をさらに発展させるための データベースとカルチャーコレクションのあり方を議論することを目的とした.  2 時間という限られた時間の中でこの議論を深めるため,性格の異なったカルチャーコレクションとデー タベースからそれぞれ 2 演題ずつ,またその実際の活用例,という構成でシンポジウムは開催された.  大熊先生からは,JCM が行っている多様な微生物株の収集・保存・提供とホームページからの配信につ いて紹介があった.特に論文発表の際に,研究で用いた微生物株を公的機関に預けて利用可能とすること の重要性についても話された.仁木先生は,遺伝研が行っている原核生物の代表的モデル生物である大腸 菌及び枯草菌のナショナルバイオリソース業務について紹介された.時代に応じた品質管理の必要性やそ のための情報整備についても話された.五斗先生は微生物や微生物生態系がもつ機能を明らかにするため の情報としての各種データベースを紹介された.特にメタゲノムの機能アノテーションシステム MAPLE (Metabolic and physiological potential evaluator),及びこのシステムの機能拡張についてお話された.黒 川先生は微生物に関する多種多様な情報を遺伝子・系統・環境の 3 つの軸に沿って整理し,ゲノム情報を 核として統合した統合データベース「MicrobeDB.jp」とその拡張について紹介された.岩崎先生は実際の データベースとカルチャーコレクションの利用例として 2 つの話題(メタゲノムデータを利用して微生物 の進化を解析した例,およびカルチャーコレクションに保存されている微生物のゲノムデータを用いてゲ ノム進化を解析した例)を話された.これらの要旨は環境微生物系合同大会 2017 のウェブサイト「http:// environmental-microbiology.org/2017/program.html」から入手可能である.  提供の担当者として JCM に勤務している 30 年余りの私の経験から,よく使われ文献情報が豊富な株は, さらなる研究にもよく使われるという正のスパイラルをもった株といえると思う.一方,何年も(あるい は何十年も)前に寄託された株の依頼が突如として増加することも経験した.生物学的に興味深い現象や 社会的に重要な事象が話題になったとき,カルチャーコレクションの菌株担当者は,各種微生物の培養と いう経験の引き出しの中から関連情報や関連菌株を選び出し,研究コミュニティーへ情報として発信も 行っている.そういう意味で,情報と株を統合できる菌株担当者の多数の株の培養経験という引き出しそ

Microb. Resour. Syst. 33(2):95─96, 2017

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高島昌子 合同大会 2017 シンポジウム報告 ─ 96 ─ のものもまた,環境微生物研究を加速させるリソースといえ,微生物資源学会の機関会員各位の多方面か らの株と情報の収集の重要さを思った.  最後に講演依頼に対してご多忙にも関わらずご快諾いただいた先生方,及び本シンポジウムにご参加い ただいた皆様に心からお礼申し上げます.  概要 企画学会:日本バイオインフォマティクス学会,日本微生物資源学会,日本ゲノム微生物学会 日 時:2017 年 8 月 31 日 15:00-16:55 座 長:岩崎 渉(東京大学),高島昌子(理研・JCM) 1.環境微生物研究に貢献するカルチャーコレクションのあり方 大熊盛也(理研・JCM) 2.NBRP 大腸菌・枯草菌リソースの 15 年とこれからの 5 年 仁木宏典(遺伝研・系統生物研究センター) 3.ゲノムとパスウェイデータベースに基づくメタゲノムの機能アノテーション 五斗 進(情報・システム研究機構・DBCLS) 4.微生物統合データベース「MicrobeDB.jp」 黒川 顕(遺伝研・生命情報) 5.データベース・カルチャーコレクションでひもとく微生物の進化 岩崎 渉(東京大学)

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