よくわかる石川の森林 ・ 林業

24  Download (0)

Full text

(1)

よくわかる

石川の森林 ・ 林業 No.10 よくわかる

石川の森林 ・ 林業 No.10 よくわかる

石川の森林 ・ 林業 No.10 よくわかる

石川の森林 ・ 林業 No.10 よくわかる

石川の森林 ・ 林業 No.10

(2)
(3)

1はじめに  

l   

石川県の海岸線は583kmもあり、福井県境の加賀市  

から能登半島の志賀町に至る海岸は砂丘地帯となって  

います。海岸地域に生活する人々は、冬期の強い風と   飛砂から集落や田畑を守るため、古くから海岸林を守   り育ててきました。クロマツの海岸林は「白砂青松」  

の風景を作りだし、ニセアカシアの海岸林は甘い香り   に包まれたふるさとの森を作り上げてきました。海岸   林のおかげで砂漠のような砂丘に緑の耕作地ができ、  

潤いのある町が生まれました。しかし、昭和 46年頃   から広がった松くい虫被害は止まるところを知らず、  

多くの松林が消えていきました。また、ニセアカシア   林もしだいに衰退してきています。   

この冊子では、海岸林のしくみと、今後の管理法に   ついてまとめました。祖先から受け継いだふるさとの   海岸林を、将来どのように伝えていくか、みんなで考  

えていくために役に立てば幸いです。  

+  

海岸林に守られた耕作地  

−1−   

(4)

■  

■  

(D造成の歴史   

石川県における海岸林の造成は古く は承応三  

年(1654)に、河北郡において砂防造林を実施   した記録があります。明治45年から加賀市砂浜  

国有林でクロマツの植栽が行われ、昭和 34年か  

らは内灘砂丘でニセアカシアやクロマツの植栽  

も行われてきました。現在では年間約30haもの  

海岸防災林が造成され、地域の人々の生活を守  

っています。   

: 

昔と今の海岸林の様子  

昭和3 0年代の海岸林造成作業  

−2−   

(5)

②海岸林の役割  

J声  海岸林がないと強風と飛砂が沿岸を襲う  

_一−■ト  

′■  ′■  

′■  

′ 

昌  

海岸林が強風 と 飛砂を さ え ぎる  

ヽ  

砂  は  

風  強  

る  け  

つ  き  

吹  ヽ︻  ︑刀  

梅  

本  日  

期  

冬   ら き  

巻  を  

砂  の  

量  

大  の  

浜   す  ま  び  運  陸  内  て  げ  あ  

林   ○  

岸  

海   なあ   ゝnノ   よ   る  ま  埋  屋  で  晩  ■   は  頃  ヽ  LV  

0  

砂  

だ  ん  

含  を  

分  

塩  

す  で  

ー︹ノ   

よ  

た  つ   

も   

と   こ  

な  

ヽ  

害  

被  な  

大  

多  も  

地  

作  耕  

ず  ら  

な  み  

の  屋  

家  は  

0   ヽ  

口  末﹁  

を  

風  強  

で  菓  

枝  は  

林  

岸  

海  た  

し   

ま  え  

与  を   た  

ヽ   ○  

ま  

す  

ま  ぎ  

防  を  

動  

移  の  

へ  陸  

内  の  

砂  げ  

ら  

ヽ  て  

れ  さ  

告  

報  も   

と   こ  

る  

せ  さ  

減  

軽  を  

力  

威  の  

波  

津  

0   ヽ   ヽ︻  

︑刀  ま   

の  作  

耕  

や  

落  

集  も  

で  在  

現  す  

ま   \  

−∨  

ヽ   ヽ  

ど  な  

場  工  

路  道  

料  

有  登  

能  

や  道  

車  

動  

自  

陸  

レし  ﹂T  

○  

て  し  

そ  

す  

ま  

り  

あ  

き  働  

な  

要  

重  る  

守  を   忘︑  

︑て  

ヽ   つ  

と  々  

人  の  

域  地  

はた  

の つ  

い わ  

な伝  

ら ら    こ   る  あ  も  で  森  の  と   さ   る  ふ  

ヽ︻  ︑刀  

先   す  

で  と   

○  

3  

(6)

3 海岸林のしくみ   

生育には適さない厳しい環境です。海に近いほど   植物にとっての環境は厳しくなり、生育できる植   物は限られてきます。しかし、海岸林を造成する   と、陸側ではしだいに環境が良くなり、いろいろ   な植物が生育することができるようになります。  

また、陸側の植物は海側の植物に守られるため、  

植物の高さは、陸側ほど高くなってきます。  

ハマヒルガオ、ハマニンニクなど   乾燥や潮風に強い辛が多い。  

前線のクロマツに守られてエノキ   カシワなどが育つ。  

やせた乾燥した場所でも生育で  

き、潮風に強い。   タブ、スダジイも育つ。   

−4−  

(7)

4   

海岸林の風景として「白砂青松」という言葉  

があります。白い砂浜にマツが青々と伸びる様   子を表しています。昔のクロマツ林では、落葉   や落枝が家庭用の燃料として利用されたため、  

クロマツが好む、やせた砂地が維持され、「白砂   青松」の海岸林が多く見られました。しかし、  

昭和 30 年代の燃料革命により家庭用燃料はガ  

スや電気に代わり、落葉も利用されなくなると、  

クロマツ林は肥沃になり広葉樹が侵入するよう  

になりました。さらに、松くい虫被害の流行と   ともに、多くの  

クロマツ林が枯  

れてしまいま し  

た。健全なクロ  

マツ林をよみが   えらせるために   その特性と管理   について考えて  

みましょ う。  

(Dクロマツ林の特性   

クロマツは、乾燥してやせた砂地でも健全に   生育できます。また、固い菓は、潮風や砂が当   たっても耐える力が強く、海岸林に最も適した   樹種の一つです。極めて陽光を好み、暗い場所   では生育できません。このため、土壌が肥沃に  

なって他の植物の成長が旺盛になるとクロマツ  

は陽光をさえぎられて衰退してしまいます。  

−5−   

(8)
(9)

また近年では、列状間伐も勧められています。  

この方法は、規則的に列状に間伐するため、選   木する手間が省かれ、伐採木の処理も楽にでき  

ます。   

列状間伐は、まず3列残して1列をすべて伐   ります。2回目の間伐では、1回目に伐採した   残りの3列の真ん中の列を伐採します。3回目  

は直角方向で3列残して1列をすべて伐ります。  

4回目は残った3列の真ん中の列を伐採します。  

その後は、列にこだわらず優勢なものを残して  

いきます。  

●●●●●●●●  

●●●●●●   

●●●●●●●●   

●●●●●●●●  

2回Ⅶ伐後  

初回列状間伐後  

■■  

■ ■ ■ ■  8回Ⅶ伐後   

列状間伐の手順  

間伐の留意事項  

・春から夏に間伐すると、伐採木が松く い虫(マツノマタ◆   

ラカミキリ)の産卵場所になるので、10〜3月に実施する。  

・松く い虫被害木は、全木伐採するとともに薫蒸する    かチップ化し、材中の虫を駆除する。  

−7−   

(10)
(11)
(12)
(13)
(14)
(15)

■  

(Dなぜ広葉樹に変えるのか?   

海岸の厳しい環境に   最も適した森林はクロ  

マツ林ですが、これを  

維持するには将来にわ   たって松くい虫を防除   していかねばなりませ  

ん。一方で、砂浜が狭  

くなり、人工砂丘や防    松く い虫被書林  

風柵が整備されて、海岸の環境が以前に比べて  

穏やかになってきてい  

ます。肥沃になった内   陸のクロマツ林では、  

クロマツが枯れた後に、  

エノキやカシワ、ネム  

ノキなどの広葉樹がみ   られるよ うになってき  

マツ林内に進入した広葉樹 ました。環境の移り変  

わり により植生が移り  

変わっていく ことを「遷移」といいます。現在、  

多くの海岸林で遷移が  

進もう と しています。  

クロマツでなくても海   岸林が維持できる場所  

では、遷移を進めて、  

松くい虫防除の必要が   ない広葉樹の海岸林に  

することもできます。   遷移が進んだエノキ林  

−13−   

(16)

②海岸植栽に適した広葉樹   

石川県の砂丘地には、どんな樹木が自生して  

いるか40カ所の海岸林を調べてみました。   

この結果、人工植栽のニセアカシア以外の広   葉樹ではエノキが最も多く、アカメガシワ、ネ  

ムノキが次いで多く  

」■  

■L■  

見られました。アカメガシ   ワ、ネムノキ、ヤマウルシ、  

ヌルデ、タラノキは河原や  

伐採跡地にいち早く芽を出   す先駆樹種と呼ばれていま  

す。しかし、遷移が進んで   他の樹木が生えてく ると、  

それと置き換わる よ う に  

ます。また、エノキは、風  

_▲  

アカメガシワ  

」■  

次々と衰退していき  

あたりの強いところでも風を受け流すよ うな風   衝樹型になり耐えるこ  

とができます。このた   め、樹種転換には最も  

期待できる広葉樹の一  

つです。また、カシワ  

は能登地方ではよく見  

ることができ、冬には  

枯れ葉を枝につけたま   息衝樹型のエノキ   

まで防風効果も高いと思  

われます。しかし、防風  

効果の高いといわれる常   緑広葉樹のタブやスダジ  

イは、砂地には自生して   いませんでした。  

旨付けたカシワ  

−14−   

(17)
(18)
(19)
(20)

コ  

内灘町のニセアカシア林は昭和 30 年代に米  

軍の砲弾試射場跡を早急に農地とするために、  

飛砂防備と防風を目的  

と して造成されました。  

このニセアカシア林は、  

強風や飛砂から町を守  

るほか、良質な蜂蜜を   生産することもでき、  

地域の人々に親しまれ  

てきました。   

砂地でも旺盛に成長し  

■■打「  

F甜  

防災機能を発揮しましたが、周辺の耕作地へ侵   入して厄介者扱いされることもありました。   

平成3年の台風19 号の後には、衰退木が目  

立つようになり、多く  

のニセアカシアが枯死  

しています。ニセアカ  

シアは先駆樹種で荒廃   した場所でも旺盛に成  

長しますが、短命な樹   木でもあります。成長   の盛りを過ぎた矢先に、  

猛烈な台風被害にあい、  

枯死したニセアカシア  

地上部と ともに地下の根にも大きなダメージが  

重なったために衰退してきたと考えられます。  

残念ながら、衰退したニセアカシア林は自然に   回復することは困難と思われます。  

−18−   

(21)
(22)

海岸林の現状と今後の管理の可能性を整理し、  

音一半林の「慧ナ決めましょ う。  

目棲は?   そのための管理方法  

伐採による萌芽更新  

/   /\  

伐採・除草剤で枯殺  

ニセアカシア林  

伐採による萌芽更新  

﹇且同懐.且   

/ \  

¶︺  

樹種転換  

表土剥取り・植栽  

表土保持・植栽  

/ \  

防除の徹底、林地整備  

甘柏¶U  

クロ マツ林   維持再生不可   樹種転換   

広葉樹植栽・育成  

マツ更新、防除、林地整備  

−20−   

(23)
(24)

Figure

Updating...

References

Related subjects :