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1

循環型社会へ向けた廃プラスチックの 再資源化の基本的考え方について

国立環境研究所

循環型社会形成推進・廃棄物研究センター 森口 祐一

第3回東京都事業系プラスチック資源リサイクル研究会 (2005.10.11)

資料1

(2)

2

説明事項

• 一廃系プラスチックリサイクルの最近の動向

• 循環的利用の優先順位の原則

• プラスチックリサイクルの現状

• プラスチックリサイクル技術とその評価

• 容リ法の経験からみた廃プラスチックリサイクルの

課題

(3)

3

プラスチックリサイクルの動向

• 中央環境審議会意見具申「循環型社会の形成に向けた市町 村による一般廃棄物処理の在り方について」:

プラスチックについても循環基本法の優先順位を再確認

• 容器包装リサイクル法(容リ法)の見直しが大詰めを迎え、再 商品化費用に大きな割合を占めるその他容器包装プラスチッ クのリサイクル手法や、自治体による分別収集コストの負担な ど、廃プラスチックに関連する問題が、主要な論点の一つ。

• 資源需要の高まりにより、日本から中国などアジア諸国への

廃プラスチックの輸出が増加

(4)

4

「循環型社会の形成に向けた市町村による 一般廃棄物処理の在り方について」

(中央環境審議会意見具申 H17.2.14 )

可燃か不燃か、という議論に対する一定の見解

条件をつけつつ、サーマルリカバリーの位置付けを明確に

「今後の廃プラスチックの取扱いについては、まず発生抑制を、次に容器包装リサイ クル法等により拡がりつつある再生利用を推進し、それでもなお残った廃プラスチッ クについては、最近の熱回収技術や排ガス処理技術の進展や、最終処分場のひっ 迫状況等を踏まえ、直接埋立は行わず、一定以上の熱回収率を確保しつつ熱回収 を行う方向でシステムを見直すことが適当である。」

優先順位の基本原則を尊重するとしても、廃プラスチックの大幅な発生抑制は 一朝一夕には困難であり、再使用も行いにくく、日々排出される廃プラスチック の量と質を考えれば、直ちに全てを再生利用することも困難との現状認識。

埋立や単純焼却は行わないとしても、原則どおりに、再生利用やさらに上位の 再使用、発生抑制を目指すのか、熱回収というより現実的な選択肢も取り入れ ていくのかが、循環型社会の理念に関わる重要な課題。

(5)

5

説明事項

• 一廃系プラスチックリサイクルの最近の動向

• 循環的利用の優先順位の原則

• プラスチックリサイクルの現状

• プラスチックリサイクル技術とその評価

• 容リ法の経験からみた廃プラスチックリサイクルの

課題

(6)

6

循環型社会の定義

循環型社会形成推進基本法(平成12年6月)第2条

「循環型社会」とは、製品等が廃棄物等になることが抑制され、並びに製品 等が循環資源となった場合においてはこれについて適正に循環的な利用が 行われることが促進され、及び循環的な利用が行われない循環資源につい ては適正な処分が確保され、もって天然資源の消費を抑制し、環境への負 荷ができる限り低減される社会を言う。

「循環型社会」の英訳

Recycling-based Society

Sound Material-cycle Societyに改訂

「やみくもにリサイクルを推進する社会」ではないはず

(7)

7

循環基本法における循環的利用の優先順位の規定

• 第5条(原材料、製品等が廃棄物等となることの抑制)

• 第6条(循環資源の循環的な利用及び処分)

• 第7条(循環資源の循環的な利用及び処分の基本原則)

により、発生抑制>再使用>再生利用>熱回収>適正処分 という順序を規定。但し、7条の「基本原則」では、

「次に定めるところによらないことが環境への負荷の低減にとって有効であると 認められるときはこれによらないことが考慮されなければならない。 」

と付記されている。この点は、優先順位を硬直的にあてはめると、かえって環 境への負荷が増す場合があることを想定したもの。

(8)

8

「マテリアルリサイクル」対「サーマルリサイクル」の論点

循環基本法では再生利用が熱回収より上位 とされ、容リ法の「その他プラ」について、熱回 収は再商品化の手法として認められていない が、コスト面だけでなく、環境負荷の面でも、

熱回収が有利な場合もあるのではないか。

汚れの付着、異物の混入など、マテリアルリ サイクルを阻害する要因が多く、残渣の発生 も多い。現状では、家庭ごみ中のプラスチッ クは、質の低い製品にしかリサイクルされにく く、一次資源を有効に代替しているとはいい 難い場合があるのではないか。

サーマルリサイクルが「大量使い捨 て」の免罪符となることに対する懸念 マテリアルリサイクルが困難な場合、

安易にサーマルリサイクル(熱回収)

を選択するのではなく、発生抑制をは じめ、より上位に位置付けられた選択 肢を目指すのが基本理念のはずでは ないか。

コスト高の手法のほうが環境負荷が高く、コスト高のリサイクルはすべきでない、との 主張もみられるが、多くの場合、事実誤認。コストは高いが環境負荷の低いリサイクル 手法を優先させるならば、なぜコスト高となるかを十分に説明することが必要。

マテリアル対サーマル、という二分法ではなく、「ケミカルリサイクル」も含め、天然資源 消費抑制、環境負荷低減効果の客観的な比較が必要。→LCA的な評価

(9)

9

説明事項

• 一廃系プラスチックリサイクルの最近の動向

• 循環的利用の優先順位の原則

• プラスチックリサイクルの現状

• プラスチックリサイクル技術とその評価

• 容リ法の経験からみた廃プラスチックリサイクルの

課題

(10)

10

プラスチックごみの処理とリサイクルの現状

PETボトルとそれ以外のプラスチックとは多くの点で相違あり

— PETボトル

z 単一素材、マテリアルリサイクルに適する

z ボトルtoボトルのケミカルリサイクル技術

z 中国の資源需要増加、国内での再商品化の競争激化:国際的なリサイクルは「循環型 社会」像に叶うか?

— PETボトル以外のプラスチック

多様な材質でかつ多様な用途で用いられている

プラスチックの混合物である上、異物が混入しやすい

容リ法以前:収集区分は焼却処理を行うか否かによって主に決定

容リ法以降:分別区分は自治体によってさまざまであったが、リサイクル困難なもの は、焼却・熱回収を原則とする方向性が示された

— 産業系廃プラスチック

業種により多様だが、未使用フィルムなど、単一素材でマテリアルリサイクルに適 したものも多い。

(11)

図1 樹脂の種類別・用途別の消費量および廃棄量(2003年) 11 0

200 400 600 800 1000 1200 1400

樹脂別生産量 樹脂別廃棄量 用途別消費量 用途別廃棄量

生産、消費、廃棄量(ton)

生産加工ロス その他

農林水産 輸送 家庭用品 電気・機械 建材

容器包装 その他

熱硬化性樹脂

その他熱可塑性樹脂 ポリスチレン類

塩化ビニル樹脂 ポリプロピレン ポリエチレン

(12)

12

図2 廃プラスチックの循環的利用量,処理処分量の内訳

0 100 200 300 400 500 600

一般系廃プラ 産業系廃プラ

処理処分の内訳(万ton)

埋立 単純焼却 熱利用焼却 廃棄物発電 固形燃料

油化・ガス化・高炉原料 マテリアルリサイクル

データの出典:プラスチック処理促進協会

(13)

13

図3 PETボトルおよびその他プラスチックの再商品化平均単価の推移 0

20,000 40,000 60,000 80,000 100,000 120,000

9年度 10年度 11年度 12年度 13年度 14年度 15年度 16年度 17年度

再商品化落札平均単価(円/ト

PETボトル 材料リサイクル ケミカルリサイクル

(14)

14

説明事項

• 一廃系プラスチックリサイクルの最近の動向

• 循環的利用の優先順位の原則

• プラスチックリサイクルの現状

• プラスチックリサイクル技術とその評価

• 容リ法の経験からみた廃プラスチックリサイクルの

課題

(15)

15

プラスチックの主なリサイクル手法

○容リ法「その他プラスチック」に適用されているもの

・材料リサイクル

(擬木、杭、パレット、プランター 、型枠用ボードなど)

・ガス化

EUP 方式(アンモニア原料)、サーモセレクト(燃料ガス)

・油化(燃料油)

・高炉還元剤化(還元剤、燃料ガス)

・コークス炉化学原料化(還元剤、原料油、燃料ガス)

○サーマルリカバリー

・ RPF 化→製造業等での燃料利用

・セメント原燃料化

・焼却発電、焼却熱回収

(16)

16 表1 適用する技術と用途からみたプラスチックのリサイクル手法の分類

リサイクルの環の閉じ方 リサイクルの階層性

用途

(技術の特性上、該当なし)

サーマル

(燃焼、焼成など)

樹脂原材料(マテリアル)

クローズド ループ

(水平リサ イクル)

元の用途

オープンループ

(カスケードリサイクル、垂直リサイクル)

ケミカル

(分解、還元など)

メカニカル

(破砕、再成型な ど)

熱・電力

(エネルギー)

他の原材料

(フィードストック)

他の用途

容リ法その他プラ の材料リサイクル

B to B

PET ?

産業系廃プラの材料リサイクル

ガス化A ガス化B

油化 RPF製造

高炉還元剤+副生燃料ガス

コークス炉化学原料化

(原料油+還元剤+燃料ガス)

焼却発電 RPF発電 セメント焼成 破砕・造粒

※ 破砕、造粒は、ケミカルリサイクルのいわば前処理であるが、ガス化A、コークス炉化学原料化および高炉還元剤製造では、法の運用上 はこのプロセスが再商品化と位置づけられている。

(17)

17

図4 容リ法その他プラスチックの再商品化手法別の引取量、再商品化量の推移

0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50

12年度 13年度 14年度 15年度 16年度 12年度 13年度 14年度 15年度 16年度 契約量と引取実績量の差

引取実績量と再商品化量の差 コークス炉化学原料化 高炉還元化

油化 ガス化

材料リサイクル

万トン

引取量 再商品化量

(財)日本容器包装リサイクル協会HP公表データ、中央環境審議会ヒアリング資料をもとに作成

(18)

18

ライフサイクルアセスメントによる評価

ライサイクル的視点から

リサイクルが優位となる条件は?

原 料 採 取

1次   

材料生産

立 製

品 使

再生

材料生産

分別回収 高負荷・高コスト

高負荷・

高コスト

低負荷・

低コスト

製品 生産 製品 生産

低負荷・低コスト

原 料 輸 送

高負荷・

高コスト

却 灰 溶 融

[輸送] 前処理 [輸送]

(19)

19

ライフサイクルの各断面におけるコスト

ライサイクル的視点から

リサイクルが優位となる条件は?

原 料 採 取

1次   

材料生産

立 製

品 使

再生

材料生産

分別回収 高負荷・高コスト

高負荷・

高コスト

低負荷・

低コスト

製品 生産 製品 生産

低負荷・低コスト

原 料 輸 送

高負荷・

高コスト

却 灰 溶 融

[輸送] 前処理 [輸送]

分別収集:数十円/kg 選別保管:数十円/kg 70/kg(ケミカル)

100/kg(材料)

原油:約40円/kg

環境省調査による

エチレン:

70/kg

汎用樹脂:百数十円/kg

再生樹脂:数円/kg

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20

プラスチックリサイクル技術の評価上の主な課題

どのような形態であれ、最終的に何を代替したのか、それによって代替前と、環境負 荷がどう増減したかをシステム境界を揃えて評価することが重要。

マテリアルリサイクルでは、リサイクル工程での資源消費や環境負荷が小さいこととと もに、生産されたものが、一次資源から生産されたものを代替しているかどうか見極 めが必要。(再生された原材料の「質」をどう考慮するかが評価手法上の課題)

ケミカルリサイクルでは、ガスや油の収率とともに、これらが、最終的にどう使われる かの見極めが必要。 (例えば、コークス炉化学原料化法では、一部はプラスチック原 料に、一部は還元剤原料に、一部は発電・熱に利用される。ガス化では、原料となる 場合もあるが、燃料となる場合もある。これらのシステム総体としての評価が必要。)

サーマルリサイクルについても、エネルギー効率の評価が不可欠。ごみ発電よりも化 石燃料の代替効果(CO2削減効果)の大きいサーマルリサイクル技術もありうる。(セメ ント原燃料化、RPF化など)

複合的なリサイクル(マテリアルリサイクルの残渣をケミカルやサーマルで利用)、複 数回のカスケードリサイクル(最初はマテリアルやケミカル、最後にサーマルで利用)

の効果についても要検討。

(21)

21

材料リサイクルの課題

「材料リサイクル優先」だけでは理解が得られにくい

• 残さの割合の多さ

• 異物除去にかかる手間、コスト

• 良質の原料確保のための上流側(消費者、事業者)への情報 伝達

• 再商品化物の品質向上

• 再商品化物の販路拡大

• 再商品化物利用製品の廃棄時の考慮

(22)

22

説明事項

• 一廃系プラスチックリサイクルの最近の動向

• 循環的利用の優先順位の原則

• プラスチックリサイクルの現状

• プラスチックリサイクル技術とその評価

• 容リ法の経験からみた廃プラスチックリサイクルの

課題

(23)

23

消費者

(分別排出)

特定事業者

(容器包装利用)

特定事業者

(容器製造)

(分別収集)

市町村

(中間処理)

再商品化事業者

(再商品化)

再商品化物 利用事業者

指定法人

日本容器包装 リサイクル協会

商品の販売・購入 容器納入

分別基準 適合物

B to B PET

自主 回収 再商品化費用

納税

登録・

審査・

入札 モノの流れ

カネの流れ 情報の流れ

小規模 事業者分

引取契約

収集・中間 残渣 処理費用

容器包装リサイクル法をめぐるモノとカネの流れ

分別 指導

多くの関係主体:役割・費用・責任分担⇔全体が見えにくい

関係者間の情報 共有、フィード

バックが重要

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24

容リ法見直しにおけるその他プラに関する主な意見

○再商品化手法について

• 材料リサイクル優先を外すべき(残渣多、品質低、コスト高)

• ( 一定効率以上の)サーマルリサイクルを認めるべき

• 選択できる手法の幅が狭く、新たな手法の議論も少ない

○分別収集について

• 対象となる容器包装がわかりにくい→素材別とすべき

• 市町村ごとに違う分別

• 識別表示と分別基準適合物との整合性

○上流側での取り組みの必要性

• 複合素材→単一素材

(25)

25

容リ法見直しにおける主な方向性

(その他プラスチック関係)

• 材料リサイクルに適した廃プラスチックの新たな分別の検討

(現在の分別方法では、コストが高いわりに、リサイクルで得られ る「再商品化製品」の質が低い)

• 新たな再商品化手法の検討

(いわゆる「サーマルリサイクル」、とくに RPF 化が議論の俎上に)

• 分別収集コストの一部の事業者負担(容器包装全般について)

総コストを下げつつ、より利用価値の高いリサイクル製品が得られ

るようなシステムへと手直し

(26)

26

リサイクル技術との関係を考慮した分別のあり方

• リサイクル技術の側からみれば、個別リサイクル法の対象物以外のものでも、

同じ技術でリサイクルできる場合が少なくない。「どのような製品分野か」では なく、「リサイクル対象となる材料の質」に着目した分別も、リサイクル技術の 側からは合理的と思われる。

• 例えば、プラスチックについては、個別リサイクル法の対象であっても、マテリ アルリサイクルが困難なものがある一方、法の対象となっていなくても、マテ リアルリサイクルに適した素材もあると考えられる。

• どのような技術でリサイクルするかによって、分別に求められるレベルが異な る。高い質の分別収集が可能となれば、それだけ高品質、低環境負荷、低コ ストのリサイクルの可能性も高まる。例えば、容リ法の場合、収集と再商品化 が別の主体によって行われていることから、十分な情報の共有が望まれる。

• 分別する側にとっても、「制度で決まっているから」ということではなく、なぜそ のように分別することが必要(あるいは効果的)なのかが実感できることが必 要。

(27)

27

循環資源の循環的な利用及び処分の基本原則

循環基本法第七条

循環資源の循環的な利用及び処分に当たっては、技術的及び経済的に 可能な範囲で、かつ、次に定めるところによることが環境への負荷の低 減にとって必要であることが最大限に考慮されることによって、これらが 行われなければならない。この場合において、次に定めるところによらな いことが環境への負荷の低減にとって有効であると認められるときはこ れによらないことが考慮されなければならない。

(以下略)

「技術的及び経済的に可能な範囲」をどう解釈するか

「環境への負荷の低減」でどのような問題を重視するか

(28)

28

大量廃棄型社会の主たる問題は何か?

(回避しようとしている問題は何か?)

○ 廃棄段階から直接生じる問題

• 有害な物質の環境排出による健康、生態系への懸念

• 施設立地や運搬車両による生活環境への影響の懸念

• 処分場立地等による自然の改変・生態系劣化

• 温室効果ガス排出(焼却によるCO2、埋立地からのメタン)

○ 経済活動の上流側で間接的に生じる資源消費、環境負荷の低減

• 一次原料(天然資源)の消費抑制、採掘時等の環境負荷低減

• 生産段階や流通段階での資源消費、環境負荷低減

○ モノの大量消費・廃棄(使い捨て型社会)に対する見直し

• 環境教育としての分別、リサイクル=使い捨て型消費の歯止め

• 資源利用の公平性(世代内、世代間)

(29)

ポリ塩化ビニル製品のリサイクルについて

- その現状と課題 -

2005年 10月 11日 塩ビ工業・環境協会

第3回 事業系プラスチック資源リサイクル研究会

資料2

(30)

塩ビ工業・環境協会の概要

Vinyl Environmental Council(VEC)

◆年譜

・1953年 設立 塩化ビニール協会

・1998年 改組 塩ビ工業・環境協会

◆会員会社 塩ビモノマー及び塩ビポリマー製造10社

ヴイテック㈱ 鹿島塩ビモノマー㈱ ㈱カネカ 京葉モノマー㈱

信越化学工業㈱ 新第一塩ビ㈱ 大洋塩ビ㈱ 東ソー㈱

㈱トクヤマ 徳山積水工業㈱

◆主要事業内容

・塩ビ工業の環境、保安、安全に係わる調査・研究、対策およびその推進

・塩ビの再資源化に係わる調査・研究、対策およびその推進

・塩ビに関する正しい理解の普及・啓発

・塩ビ工業に係わる生産、技術、流通、消費などに係わる調査・研究

◆関連団体 塩化ビニル環境対策協議会(JPEC)

・塩ビの樹脂原料、副原料、加工製品の各団体で構成。協賛企業115社

(31)

塩化ビニル樹脂の用途・製品比率

■塩ビの用途別比率

2000年度の塩ビ樹脂国内出荷約169万トンベース

(32)

塩ビを巡る環境問題の概要

1.ダイオキシン(DXN)類問題

*DXN類対策特措法の措置にて、目標以上の97%排出削減がされ、

DXN対策のために塩ビを忌避する必要はなくなっている。

*塩ビであるか否かによらず、物質を空気中で不完全燃焼させると、

量の多寡はあるが、DXNが発生する。

*何を燃やすかが問題では無く、燃焼条件の制御が決めてである。

2.塩ビの可塑剤の内分泌撹乱作用問題

*環境省による調査研究の結果、

塩ビの可塑剤には“その様な作用は無い”ことが判明した。

*産業総合技術研究所による膨大な調査を踏まえた詳細リスク評価で 塩ビの可塑剤、DEHPによる生態系やヒトに対するリスクについて

「リスクは懸念されるレベルにはない」と結論付けられた。

http://unit.aist.go.jp/crm/mainmenu/1.html

(33)

プラスチック素材の LCA評価比較

農業用温室における 素材別LCA評価比較 塩ビ(PVC)はLCA的に

みて環境負荷の小さな 素材である。

プラスチック製品の環境 負荷は圧倒的に小さい。

PVCはポリオレフィンより さらに環境負荷が小さい。

同様な評価がパイプの 場合にも得られている。

塩ビのLCA評価

(34)

塩ビ業界のリサイクルへの取組み

◆マテリアル・リサイクル(MR)

・各塩ビ製品業界が主体で取組

VECは各製品業界を支援(管・継手/雨樋/壁紙/床材/窓枠/電線等々)

◆フィードストック/サーマル・リサイクル(FR/TR)

・VECが主体で取組(全ての塩ビ製品で共用できるので)

各塩ビ製品業界はVECを支援し、活用する

・高炉原料化、ガス化 等々

・混合物、汚れのあるものを主対象

製品分野毎に塩ビ樹脂は材料組成が大きく違う。

同じ製品分野でも材料組成に大きな幅がある。

床材 塩ビ 10~70%

充填材 1~80%

可塑剤 5~30%

(35)

塩ビのマテリアル・リサイクル例(1) 塩ビ管・継手

◆2つのシステムによる全国ネット 1.有価購入システム

・受入品質基準を満たしたパイプ

・リサイクル協力工場 20カ所 中間受入場 33カ所

2.処理委託システム

・受入品質基準を満たせないパイプ

・契約中間処理場 9カ所

JFE環境㈱ 高炉原料化 1カ所

◆リサイクル状況(2004年)

約2万T(56%)

塩化ビニル管・継手協会のホームページ http://www.ppfa.gr.jp/03-a/index.html

(36)

塩ビのマテリアル・リサイクル例(2) 床材

中間処理業者 (破砕工場)

運送会社

IFA

床材メーカー

(工場) 工事現場・工事店

ゼネコン ハウス・メーカー 運賃

端材・余材 商品

粉砕原料 (再生原料) 再生協力費

買取り費

分別・粉砕 運賃

回収 依頼 回収

依頼

◆インテリア・フロア工業会(IFA)による モデル事業の試行

・首都圏(東京、神奈川、埼玉、千葉)、近畿(大阪、京都、兵庫)、愛知県

・「広域再生利用指定産業廃棄物処理者指定」の団体指定で第一号

(37)

マテリアル・リサイクルの新たな取組 ビニループ

コベルコ・ビニループ・イースト社

・千葉県エコタウンで建設中 06年4月稼働予定

・分別された塩ビ製品に適用

・塩ビコンパウンドを回収注)

・土石汚れ品にも対応可能

イタリアフェラーラ工場

注)塩ビコンパウンド:塩ビ樹脂に各種添加剤を配合して成形用に調製したもの

(38)

◆H17年度 経済産業省 3Rシステム化可能性調査事業

「塩ビ建材施工端材等の効率的な収集・再利用の可能性調査」

1)

産業間連携(加工業界間/中間処理業者/リサイクル事業者)で 新築、リフォーム時の施工端材等の効率的な収集システムの 構築可能性を調査

2)リサイクル業者の再生技術の活用による再生品市場の開拓可能性を調査 3)塩ビ建材、特に壁紙、床材、タイルカーペット等のマテリアルリサイクル進展 狙い:リサイクル品の用途市場からのニーズを確保する為の

排出・収集・運搬・中間処理システムのあり方を明らかにする。

マテリアル・リサイクルの新たな取組 業界間連携

(39)

塩ビリサイクル取組みの枠組み:VECの考え方

◆リサイクル施設への考え方

◆枠組みの考え方

分別 塩ビ廃プラ

混合廃プラ 汚れ廃プラ

マテリアル・リサイクル

塩ビ製品 含有率 ?

塩素の利用を 重視したリサイクル

エネルギーの回収を 重視した有効利用

金属成分回収 高い

低い

社会の動き : 廃プラスチック類は“埋立をしない”方向 → 施設整備が急務 新リサイクル施設の大量設置は、時間と経済性に問題 → 既存施設の活用

(40)

塩ビを含有する混合廃プラ/汚れ廃プラのリサイクル

◆高濃度塩ビ製品含有物

①高炉原料化

・真空2軸押出機法

・ロータリーキルン法(JFE環境)

②塩化揮発法原料化

・流動床炉分解(光和精鉱)

③飛灰中和原料化

・方式未定

◆低濃度塩ビ製品含有物

①高炉原料化

・真空2軸押出機法(神戸製鋼)

②非鉄金属精錬工程

・流動床炉分解(同和鉱業他)

③ガス化溶融炉工程

・加圧2段ガス化(EUP、昭電)

・常圧1段改質ガス化(住金・共英)

◆フィードストック(ケミカル)・リサイクル ⇒ 原燃料化 サーマル・リサイクル ⇒ エネルギー回収

容リ法プラで実績

ASR・容リ法プラで実績 ASRで実績

塩ビ産廃で実績

塩ビ壁紙モデル処理実績

11

(41)

ロータリー・キルン

真空2軸押出機 鉄鋼酸洗用

高炉原料化プロセス

◆JFE環境

・ロータリーキルン(≒350℃)

・高濃度塩ビに適合(>80%)

・塩ビ主体の産廃プラ

◆神戸製鋼

・真空2軸押出機(≒350℃)

・容リ法その他プラ

・元来、塩ビ濃度に制約無し

JFE環境のプラント

(42)

アンモニア合成ガス

工業塩/塩酸 化学肥料

ガス化溶融炉

昭和電工のプラント

◆EUP/昭和電工

・2段ガス化(650/1100℃)

・容リ法プラ/産廃プラ(低濃度塩ビ)

◆住友金属/共英リサイクル

・シャフト炉1段ガス化(1100℃)

・ASR(自動車シュレッダーダスト)

・元来、高濃度塩ビも処理可

13

(43)

◆技術の概要

・製鋼ダスト(酸化鉄主成分)から鉄以外の金属成分(Pb、Zn等)、硫黄など を分離し、製鉄原料として回収する技術

・金属を塩素化して蒸発除去する MOx + CaCl2 MCl2x ↑ 塩素を副原料として使うプロセス

・高濃度塩ビ含有廃塩ビプラ(塩素が多量に必要)

塩化揮発法 壁紙処理モデル事業

◆プロセス(光和精鉱)

1200℃ 酸化鉄

PbZn 塩ビ廃プラ HCl CaCl2

造粒

塩化揮発・焼成ロータリーキルン

焼成酸化鉄粒 塩化金属捕集装置 塩化金属ガス

湿式分離プロセス

Pb Zn Cu Fe 石膏

(44)

低濃度塩ビ混合廃プラ : 処理モデルの模索

◆塩ビ製品における最大の廃棄物問題

=建設物の解体廃プラ

①廃棄物の急増予測

・高度成長期 塩ビ建材の急拡大期(建設の成長 × 塩ビ建材の普及)

・建築物の建て替え時期の到来

②埋立処分の課題

・建設解体系廃プラは殆どが埋め立て処分

・廃プラは比重が小さく、埋立容量が大

・埋立地の管理強化

◆波及効果

・建設系混合廃プラの処理方法を確立すれば、

他分野の低濃度で塩ビを含む廃プラ処理に対応出来る

・低濃度塩ビの廃プラでであれば、

専用施設でなくても処理できる可能性がある

15

(45)

塩ビ製品 排出廃棄物

建材分野

埋立 リサイクル 端材・余材

中間処理

混合廃棄物 中間処理

埋立 リサイクル

選別・破砕・

圧縮・減容 選別・破砕・

圧縮・減容 排出量

40万トン

排出量 20万トン

排出量 66万トン

排出量 79万トン

その他分野

排出量 39万トン

建設分野における塩ビ製品廃材の流れ

(46)

『 建設系混合プラ 』 リサイクル手法の確立

混合プラ成分・形態の把握 リサイクル手法の選定

実証試験

モデル事業

① 混合プラの組成分析。

② 排出物の形状調査。

③ 類似品の処理施設の調査

④ 技術の実証試験

⑤ モデル事業で総合評価

17

(47)

4

<① 建設系混合プラの組成分析>

・無機物(灰分)を 30~40%含む混合物

・塩ビ樹脂を 1~10%含む

・排出状況により組成が異なる

試料 単位 解体系(A) 解体系(B) 解体系(C) 新築系(A) 新築系(B)

工業分析

水分 (%) 0.8 1.2 0.9 0.4 0.6

灰分 (%) 34.9 29.1 37.8 27.7 17.7

元素分析

炭素 (%) 41.7 46.9 42.4 45.3 66.6

水素 (%) 5.4 6.5 5.9 6.0 10.9

SiO2 (%) 10.3 9.8 17.0 0.8 3.3

AlO3 (%) 2.9 2.3 2.6 0.8 3.3

CaO (%) 14.2 9.5 9.9 14.9 5.5

塩素分析

全塩素 (%) 7.0 5.3 4.0 2.9 0.8

揮発性塩素 (%) 5.7 4.8 3.3 1.3 0.7

PVC (%)

樹脂換算 (%) 10.0 8.5 5.9 2.3 1.3

混合プラ

の特徴

(48)

建設系混プラは ASRと類似点が多い

建設系混合プラとASR性状比較

建設系 自動車

混合プラ ASR

性状 多種混合物 多種混合物

灰分 30~40% 約50%

有機物 50%以上 50%以下 塩素含有量 1~10% 1~5%

熱量 (kcal/kg) 7~8000 約5000 成分

廃棄物名

塩ビ含有の建設系混合 プラの処理可能性大

1.2005年1月の自動車リサイクル法の施行に伴って 全国に多数のASR処理施設が整備された。

2.大量処理でき、処理能力に余裕がある。

・小坂精錬(秋田)

・共英リサイクル(山口)

ASR処理施設の状況

2社で実証試験を実施

<② リサイクル手法の選定>

19

(49)

●ASR

●低品質位電子基板

●家電解体品 前処理

2次燃焼室

流動床炉 700℃

排ガス処理装置

煙突

蒸気エネルギー回収

FAN

溶剤

(硅砂 Sio2)

ボイラー 急冷 減温塔

有価物含有灰 (Au,Ag,Cu)

銅製錬工程へ 流動砂

有価金属

流動砂 有価物含有灰

(Pb)

KSR工場

鉛製錬工程へ

非鉄金属低含有プラスチック

自溶炉

マット(有価金属)転炉へ

スラグ

●銅精鋼類 水砕

●高品位リサイクル物 (故銅・スラッジ類) 非鉄金属原料

※役割:スラグの融点低下・流動性改善

粗鉛 粗鉛精製へ

鉛電気炉

設備能力

・処理量 2200t/月×2基

・蒸気発生量 20t/h×2基

<③ 実証試験 施設(小坂精錬)>

(50)

< < ③ ③ 実証試験 実証試験 結果> 結果>

(関東建廃協の協力を得

項 目 試験結果/備考 試験結果/備考た)

会社名/所在地 小坂精錬(株) 秋田県 小坂 共英リサイクル㈱ 山口県 小野田市 主な処理物 ASR、家電SD  54千T/年 ASR、可燃物  30千T/年

処理方式 流動床炉(700℃) 熱分解ガス化炉(1200℃)

要 リサイクル方式 蒸気エネルギー回収、非鉄金属回収 燃料ガス、溶融スラグ回収

名称 混合プラ ASR 混合プラ ASR

処理量(t) 83 37

塩素含有量 5.8% 0.7~2.9% 6.0% 2.0%

熱量(kcal/kg) 7,200 5,000

混合プラ混合比率(%) 30% 50%

処理速度(t/hr) 3.3 3~3.5 3.3

燃焼温度(℃) 875 800~900 1,186

管理値 規制値

NOx(ppm) 18 ≦220 30 ≦100

SOx(ppm) ≦50 20 ≦60

HCl(ppm) 0.01 ≦20 ≦40

ダイオキシン(ng-TEQ/Nm3) 0.002 ≦0.1 0.0003 ≦0.08

何れの施設でも技術的に問題なく混合プラの有効利用が出来た

21

(51)

<④ モデル事業>

関東建廃協・同和鉱業・VECの3者協力で、

建設系混合廃プラのTR処理のモデル事業を実施

<計画内容>

実施場所 :同和鉱業・岡山工場

廃棄物 :建設系混合プラ(現在、埋立処分されているもの)

毎月100㌧ 12社(中間処理業者)=1200㌧

実施期間 :2005年7月~2006年7月

<期待する成果>

(1)廃プラの組成変動を許容し、長期処理の可能性を実証

(2)社会に受入れられる経済性の検証

*目標処理費:管理型埋立処分と同等もしくはそれ以下

(3)他種類の塩ビ含有混合廃プラへの適用拡大

社会システムとして普及させ、役立てる

参照

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