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代数曲線と半代数的集合の幾何学

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(1)平成24年度. 学位論文. 代数曲線と半代数的集合の幾何学. 兵庫教育大学大学院. 学校教育研究科. 教科・領域一教育学専攻. 白 然 系 コ 』 ス. M 1 0 1 7 3 J. 重  松  竜  平.

(2) 1. 目次 序文.. 第I部. 代数曲線の幾何学. 第1章. 高校数学への応用が可能な代数曲線.  1.1. 代数的集合,半代数的集合の定義... 5. 1.1.1 代数的集合. 1.1.2 半代数的集合.. 1.1.3 ナッシュ写像,ナッシュ集合 1.2. 円錐曲線(2次曲線)..、. 1.2.1 楕円と双曲線の焦点 1,2.2 離心率と準線1.. 1.2.3 接線.. 1.3. 3・4次関数.. 1.3.1 カスプのカタストロフィー.... 1.3.2 初等カタストロフィー.... 1.3.3 分岐集合は代数的集合か. 1.4. ワット曲線(6次の代数曲線). 1.4.1 ワット曲線の解析.. 1.4.2 ワット曲線の器具の作成と考察. 1.5. 第II部. 課題 ... 半代数的集合の幾何学. 40. 第2章. 多項式の実根の数え上げ. 41.  2.1. スツルム(Strum)の定理.. 41. 2.1.1 Pが重根を持たない場合.... 41. 2,112 Pが重根を持っ場合.. 2.1.3 不等式の条件が加わった多項式方程式の実根.. 42. 2.1.4 多項式方程式・不等式の解の存在の決定. 47. パラメータを持つ多項式方程式・不等式のシステム. 47. 2.2. 44.

(3)   2.2,1 タルッキー・ザイデンベルク(Tarski−Seidenberg)の定理.. 48.   2.2.2 一つの等式をもつシステム.... 49.   212.3 一般的なシステム.. 54. 2.3 主部分終結式係数(Principa1subresu1tant coe冊。ients). 55. 第3章 半代数的集合の性質  3.1 3.2. 3.3. 314. 半代数的集合のクラスの安定性性質.. 3.1.1 タルッキー・ザイデンベルクの定理の結果.. 60. 半代数的写像.. 64. 3,211 定義と性質. 64. 3.2.2 ロジャシェヴィッツの不等式(ム。伽加ω壱。パηeψα肋ω. 65. 半代数的集合の分解. 66. 3.3.1 円筒状代数的分解.. 66. 3.3.2 適合した円筒状代数的分解の構成.. 68. 3.3.3 円筒状代数的分解アノレゴリズム. 73. 3.3.4 半代数的集合の連結成分.. 74. 課題の解答・証明... 75. 第4章 半代数的集合の三角形分割  4.1. 4.2. 4.3. 参考文献. 60 61. 77. トムの補題(Thom’5石emmαソ. 78. 4.1.1 一変数の場合..... 78. 4.1.2 多変数の場合..... 80. 4.1.3 有限性定理(丁加伽伽ηe55伽。rεmノ. 83. 三角形分害一1. 84. 4.2.1 単体複体... 84. 4.2.2 コンパクトな半代数的集合の三角形分割. 86. 4.2.3 曲線選択補題.1. 89. 半代数的集合の次元. 89. 92.

(4) 序文  筆者は大学院に進学するまで,一般白勺な大学の理学部数学科で習うような数学について. 学んできていなかったため,修士論文のテーマを決めることについて悩んだことを覚えて いる.初めに考えていたことは,具体的なテーマではなく,「高校の教員となった際に,授 業内容として用いることができるものを修士論文の題材として研究し,後の教科指導に活 かしたい」という漠然としたものであった.  このような状況の下,円錐曲線とよばれる2次の代数曲線について,楕円,双曲線や放 物線を描く器具があることを知った,また,3・4次関数の応用で解釈されるカスプのカタ ストロフィーを実現するジーマンのカタストロフィーマシンの存在も知った.さらに,蒸 気機関車の車輪と車輪とを結ぶ連結棒の中点が描く軌跡は,車輪の中心が固定されている と考えたとき,(連結棒の長さが車輪の中点間の距離と等しくない時には)ワット曲線とよ ばれる6次の代数曲線であることを聞いた、これらのことを通して,代数曲線とそれらを 描く教具の作成に興味を持ち,「代数曲線の幾何学」について研究しようと決めた..  実際,代数曲線の幾何学について研究を始めたとき,実多項式の零点,すなわち,等号 のみで表される実代数的集合というのは,非常に窮屈な範疇であることを知った.不等号 も許す半代数的集合の乾田壽に拡げて考えなければならなくなる場面にも,幾度となく遭遇 することもあった.これらのことから.「代数曲線の幾何学」だけでなく「半代数的集合の 幾何学」についても並行して研究を行った.  第I部5節において,実多項式関数の極大値(極小値)を与える点の集合が,有限個の点 集合で代数的集合になるかどうかという問題を課す.一変数の場合には,代数的集合の乾 田壽で正しいことが証明される.しかし多変数の場合には,半代数的集合の範疇に拡げて考. える必要がある.実際,第n部のr半代数的集合の幾何学」の中で取り扱う半代数的集合 の性質を用いて課題が肯定的に示される.  次に研究の概要について述べる..  第I部では,「代数曲線の幾何学」として,前述した代数曲線の定義とそれらのいくつか の例を挙げ,幾何学的に解析をしている.第1章では,「高校数学への応用が可能な代数曲 線」として,高校数学の内容と照らし合わせながら進める..  !節を「代数的集合,半代数的集合の定義」とし,実多項式の等号のみで表すことがで きるものの集合を「代数的集合」,等号と不等号を用いて表すことができるものの集合を 「半代数的集合」と定義する、さらに,半代数的写像について定義し,関連する事項とし て,ナッシュ写像,ナッシュ集合の概念についても取り扱っている..  2節では,代数的集合の例である「円錐曲線」について述べる.円錐曲線とは,R3にお いて2本の交差する直線工とλ(刀とλは垂直でないとする)を考え,λの周りに工を回 転させたときにできる直円錐と,平面との交わりの曲線のことをいう.この交線には,双 曲線,楕円,放物線が含まれる.これらの性質を幾何学的に解析し,それらの性質を利用 して実用化されている道具や機械の例も合わせて挙げる.  3節では,「3・4次関数」の応用としての「カスプのカタストロフィー」に関連して,「カ タストロフィー」理論について述べる.連続して起きているものが,ある点を境にし不連.

(5) 4. 続な現象が起きることがある.この不連続現象のことを「カタストロフィー現象」とよび,. 3・4次関数を例にとり進めていく.さらに,カスプのカタストロフィーがどのような現象 であるかを示す有名な教具である「ジーマンのカタストロフィーマシン」を実際に作成し, 考察する.続いて,考察する際に必要な用語を定義し,初等カタストロフィーの7つの例 について述べる.さらに,カスプとっばめの尾の場合を取り上げ,それぞれの分岐集合が 代数的集合であるかどうかを議論する..  4節では,初めに筆者が最も興味をもった「ワット曲線」が6次の代数曲線であること の証明の中で現れるいくつかの命題について,平成21年告示学習指導要領により高校数 学に復帰する複素平面を用いた証明と,複素平面を用いない初等幾何学的な証明との二つ を与える.また,ワット曲線を描く器具を作成し,条件を変えることにより,発見された 事象に関する考察を述べる..  5節において,課題の特別な場合における課題の解答を示す.この時点において,一般. 的な場合についての解答を与えることができないため,第π部第2章2節で,それを与え ることとする..  第π部では,「半代数的集合の幾何学」として,半代数的集合のもつ諸性質を取り扱う..  第1章では,多項式の実根の個数の数え上げに関するスツルムの定理や,半代数的集合 の幾何学において特に重要な定理である「タルッキー・ザイデンベルクの定理」について 述べる.また,第2章以降で必要となる主部分終結式係数について定義する.タルッキー・ ザイデンベルクの定理については,証明をより理解しやすくするために,先に具体例を与 え,解析したのち,一般の場合の証明を示す、.  第2章では,半代数的集合や半代数的写像の集合論的性質について述べる.特に,第H 部第1章で述べたタルッキー・ザイデンベルクの定理は論理的な形式であるが,ここでは それと同値な幾何学的な形式のものを最初のものの系として与える.実際には,幾何学的 応用の観点から,実代数幾何学や特異点論の分野において,その系自体がタルッキー・ザ イデンベルクの定理とよばれて用いられることが多い.また,半代数的写像に関連してロ ジャシェヴィッツの不等式を第2節で,半代数的集合は有限個の半代数的な連結成分に分 解されることを第3節で述べる.第2章の終わりに,この章で取り扱った半代数的集合の 性質を用いて,課題の一般的な場合における解答を与える.  第3章には,半代数的集合の幾何学という観点から,「半代数的集合は有限三角形分割を 許容する」という定理について解説する..  筆者は数学科出身ではないので,修士課程1年次の半分を超える時期を集合論の基礎を 学ぶために,内田伏一著「集合と位相」[1]の勉強にあてた。本修士論文では,[1]で扱わ れる集合論に関する概念や定理については既知のものとする.また,線形代数については,. 筆者が大学のときにテキストとして用いた小寺平治121でも取り扱われている行列の階数 や基本変形についても既知のものとしている.  本研究を進めるにあたり,3年間という長い期間にわたり,数学の基礎の部分から丁寧に. 指導してくださった小池先生に心より厚く感謝しております.また,大学院在学中,様々 な機会を通して指導してくださった数学教室の先生方に深く感謝しております..

(6)     第I部. 代数曲線の幾何学.

(7) 第1章高校数学への応用が可能な代数曲線 1.1 代数的集合,半代数的集合の定義  この節では,本論文の議論を展開する上で欠かすことが出来ない概念である代数的集合・ 半代数的集合の定義と簡単な例を挙げる.. 1.1.1 代数的集合  最初に,代数的集合の定義について述べる.. 定義1.1λ⊂Rnが代数的集合であるとは,有限個の多項式関数九:Rn→R (乞: 1,...,m)が存在して,.           λ={”∈Rnlプ1(”)=O,…,∫m(”):0} であるときいう..  すなわち,多項式の等式のみを用いて表すことが出来る集合である.高等学校までで学 習する円錐曲線が,代数的集合の例でもある、ほかにも次のような例がある. 側1.2三次曲線λ={(π,μ)∈R21リ:”3一”2+1}を考えると,これは           仁{(π,μ)∈R21ザ(・3一・2+1)=O}. と式変形を行うことにより,定義通りの形にでき,代数的集合ということが出来る.. 次に,代数的集合の既約性について述べる、λ⊂R帆を空でない代数的集合とする.この. とき,λが空でない異なる2つの真部分代数的集合λ1,λ2の和λ=λ1Uλ2と表される とき可約という.可約でないとき,既約という.また,λを空でない異なる既約部分代数 的集合の和■4=λユU_UAmと表すとき,各んをλの既約成分と呼ぶ. 例1.3プ:R→Rの多項式関数とし,λをプのグラフとする.すなわち,        λ={(∬,ル))1π∈R}={(”,リ)∈Rclμ一ル)=0}. このとき,λは既約な代数的集合である..

(8) 第1章. 高校数学への応用が可能な代数曲線. 7. 1.1.2 半代数的集合  双曲線λ={(π,μ)∈lR21榊一1:O}を考えると,集合λは代数的集合である1しか. し,グラフをかいてもわかるように,双曲線は2つの連結成分に分かれる、それらはそれ ぞれ,.            λ1={(・,リ)∈R21〃一1=O,・〉O}            λ。={(・,μ)∈R21πμ一1=o,π<o}. と表される、このとき,λ1,λ2は多項式の等式だけで表すことが出来なくなる.実代数的. 集合の幾何学を取り扱う上で,代数的集合からはみ出したこのような集合を扱う必然性が 出てくる、ここで,そのような集合を表す概念として,半代数的集合の概念を定義する. 定義1.4λ⊂Rηが半代数的集合であるとは,有限個の多項式関数ん,g{プR肌→R(乞= 1,_,乏,ゴ=1,_,m)が存在して,.            4  m          λ一∪(∩/π∈R皿1舳)・0かつ吻(π)一〇/)            仁1ゴ=1 であるときし、う..  双曲線以外にも,半代数白句集合の例は,高校数学において見ることができる. 側1.5λ={(”,μ)∈R21”(ひ一π2)(”2+v2−1)>o}は,高校数学の「図形と方程式」. でよくみられる例である..                    μ. ゾ(z,μ):”(ひ一”2)(z2+μ2−1),g(”,μ)=0とすると,.          λ={(”,リ)∈R21∫(π,リ)〉0かつg(π,μ)=O}. と表されるので,λは半代数的集合である..

(9) 第1章 高校数学への応用が可能な代数曲線 次に半代数的写像について,定義する.. 定義1.6λ⊂Rn,B⊂RPは半代数的集合とする.そのとき,写像プ:λ→Bが半代数 的写像であるとは,             9m助プ={(”,μ)∈λ・Blμ=∫(”)}. がRn×RPの半代数的集合であるときいう、 半代数的集合・半代数的写像の性質については,2章で詳しく述べることにする.. 1.1.3 ナッシュ写像,ナッシュ集合  半代数的集合・半代数的写像を導入したので,これらを用いてナッシュ写像,ナッシュ 集合という概念も導入することができる.それらを定義する前に,まず解析写像について 定義する..  R几のある開集合びで定義されたη変数の実数値関数プ(π1,…,”。)の,自然数rに対. する∫のr階までの偏導関数                   ∂{1+II’十吋.                   ∂坤…∂伸. がすべて,点ρ∈σのまわりで存在して,それらが点ρで連続のとき,∫は点ρでr団連. 続微分可能,または0「級であるという.そして,すべての自然数rに対して∫が点ρで σ「級であるとき,∫は点ρで無限回連続微分可能,またはσ。。級であるという.また,σ. のすべての点で!が0「級であるとき,関数ジニσ→Rはr団連続微分可能である,ま たは,0「(r≦oo)級であるという。. 定義1.7プ:ひ→Rが0。。級であり,さらにσの各点ρにおいて,η重級数          oo               1         Σ。11。、l1−1・一(・’一ρ’)m’(πn一ρη)mn,        7n1,… ,π一n=O.                    ∂m1+..一十m・∫.              αm1m、=        (ρ)                   ∂”1m1…∂”れm・ がρの十分小さな近傍で,一様に絶対収束して∫(”1,_,”。)に等しくなるとき,プをσ. 上の解析関数と呼ぶ.さらに,プは解析的であるまたは0ω級であるともいう1 定義1.8r=1,2,… ,oo,ωとする.R几のある開集合σからRρへの写像プ=(プ1,…,プρ):. σ→Rρが0『級写像であるとは,各∫パσ→Rが0『級関数のときにいう..

(10) 第1章 高校数学への応用が可能な代数曲線. 定義1.9Rれのある開集合σ上定義された01級写像∫:σ→R肌に対して,点ρ∈ひに おけるプのヤコビ行列とは,. (輸簑:1:). のことをいい,(J∫)pで表す、点ρが∫の特異点であるとは,m舳(J∫)p<min(m,η)が. 成り立つときいう.そうでないとき,点ρを!の正則点という.. 定義1.10Rnのある開集合ひ上定義された0「級写像プ:σ→R肌が点ρ∈びで0「級 局所微分同相写像であるとは.Rηにおける点ρの開近傍ひ1(⊂ひ)とプ(ρ)の開近傍γで,. ∫:σ1→γが全単射かっプ:ひ1→γプ1:γ→σ1が0「級写像になるときにいう.. 堕  ∫を定義1.10のものとするとき,逆関数定理(松島与三[6])より,プが点ρ∈σで局所 微分同相写像になるための必要十分条件は,点ρにおける∫のヤコビアン(ヤコビ行列の 行列式)det(Jプ)p≠Oである。.  多項式写像でない解析写像としては,高校数学において,三角関数や指数関数といった ものが扱われている.. 定義1.11λ⊂R几,B⊂RρをそれぞれRn,Rρの開半代数的部分集合とする.解析写像 ∫:λ→Bがナッシュ写像であるとは,gmψプがRn×Rρの半代数的集合であるときい う.特に,ρ=1のときナッシュ関数と呼ぶ..  注意一般に,ナッシュ写像はナッシュ多様体問の写像として定義されているが,本論文 ではナッシュ多様体には踏み込まない.. 側1.12」次元実シャコピアン予想「∫:R→Rを一変数実多項式関数とすると,任意の π∈Rに対し,∫’(”)≠Oならば,∫は全単射である」ことは容易に示すことが出来る、.  同様のことは,ナッシュ関数に対しては成立しない 実際,∫R→Rをプ(π)=フ細 とすると,∫はナッシュ関数で上と同じ条件を満たすが全射ではない.. 定義1.13λ⊂Rηがナッシュ集合であるとは,有限個のナッシュ関数∫パRn→R({= 1,..。,m)が存在して,.           λ={”∈Rnけ1(”)こO,…,∫m(”)=0} であるときレ、う.. ナッシュ集合の既約性については,代数的集合の場合と同様に定義される..

(11) 10. 第1章 高校数学への応用が可能な代数曲線. 例1.14代数的集合の非特異な連結成分は,ナッシュ集合であることが知られている(〃舳。fαμノ). したがって,双曲線の例のλは可約なナッシュ集合で,λ1,λ2がλのナッシュ既約成分 であることがわかる..  正則点で成り立つ重要な定理として,逆関数定理や陰関数定理があるが,それらは多項式 の範囲では成り立たない。実際,プ:R→Rを!(”)=”十”3と定義すると,!’(O)=1≠O. だが明らかに逆関数は多項式ではない.すべての多項式を含むものの中で逆関数定理や陰 関数定理が成り立っ最小のカテゴリーがナッシュであることが知られている.ここで,ナッ シュ級の陰関数定理を証明抜きで述べておく.証明については,J.Bochnak[7]を参照する、 定理1.15ナッシュ級の陰関数定理プ:(プ1,。、,ん):R叶q→Rqをナッシュ写像,R帆十q= Rれ×Rqの座標を(”1,..,”。),(V!,..,ひg)とし,(α,6)∈Rn×Rρ=R帆十q,c∈Rqで∫(α,b)=. Cとする.ここで,g×q行列. i工:lll∵llll:). ∼一 が正則となるならば,α∈R肌の開半代数的近傍λ,5∈Rqの開半代数的近傍3で,任意 の”∈λに対し,唯一のg(π)∈Bが存在して,∫(”,g(”))=Cとなるものがある.さら. に,g:λ→Bはナッシュ写像である.. 1.2 円錐曲線(2次曲線)  代数的集合の例として挙げた,円錐曲線について述べる..  R3において2本の交差する直線工とλを考え,λの周りに工を回転させると,(2本 の直線が垂直でない限り)回転する直線は直円錐を作る.一工とAが交わる点γを円錐の頂. 点,直線λを円錐の軸,工とλの間の角を円錐の半頂角と呼ぶ. 母線. γ. へ  ’頂角. 頂点.  このとき,直円錐と平面との交線として得られる曲線のことを円錐曲線と呼ぶ1以下, 次の記号を用いることとする;.

(12) 第1章. 11. 高校数学への応用が可能な代数曲線.  .K:γを頂点とする直円錐  ●H:平面.  ・0=∬∩K:円錐曲線  ・α:Kの半頂角.  ・β:Kの軸とHの間の角  円錐曲線の全形は,頂点γが平面∬に含まれるかどうかと,角αと角βの相対的な大 きさによって定まる.つまり,γ≠Hのとき滑らかで,γ∈Hのとき特異となる.よっ て滑らかな場合は,次のように分けられる.. ・α<βのとき楕円 ・α=βとき放物線 ・α〉βのとき双曲線. 双曲線. 特異な双曲線 (2本の直線). 放物線.  特異な放物線 (1本の円錐への接線). 楕円. 特異な楕円 (1点).

(13) 12. 第1章 高校数学への応用が可能な代数曲線 1.2.1 楕円と双曲線の焦点.  この小節では,円錐曲線の焦点の性質について紹介する.そのときDande1inの作図を 利用する.Dande1inの作図では,直円錐Kに内接し平面Hに接する球を用いる.円錐曲 線が楕円または双曲線のときは,この性質を満たす内接球がちょうど2個存在し,放物線 の時はただ1個存在する.(以下,球が存在することを仮定して話を進める.).  Kに内接し∬に接する球を51,32とする.焦点F1,F2を. F1=5ユ∩H1,F2=82∩H2 とおく1. 命題1,160が楕円のとき,任意の点P∈0に対してPF1+PF2は一定である. γ.  2 Q2. P. Q・31R・. 証明 81,5、はF1,〃、において∬に接するので,直線PF1(以後崩と表す)は乃にお いて8ユに接し,病において32に接する.8、と82が円錐と交わる円をQ1,Q、とし,. R1=師∩R1,R、=卸∩月2とおく.よって,崩はR1において8、に接し,崩は R2において82に接する.また,PF1=PR1,PF2=P月2となるので, PF1+P乃=P月1+P月2=R1月2(一定) が成り立つ..  楕円は2次の代数曲線として定義される.それを見るためにここでは,焦点F1,易の座 標をそれぞれ(_c,O),(c,0)とし,楕円の方程式を求める.点Pの座標を(”,μ)とおき,.                PF1+PF2=ゐ(ん〉0)       (1.1).

(14) 第1章 高校数学への応用が可能な代数曲線. 13. より求める。ん=2α(α∈R,α〉c>O)とし,.          PF1=戸,閉一灰 より,式(1.ユ)に代入し,両辺を2乗する..   (叶・)2+ひ2+(卜・)2+μ2+2杯=4α2 両辺を整理すると,.       衛=2α2一(・2+ツ2+・2) (12) となり,さらに2乗すると, π4+ひ4+・4+2杓2−2・2・2+2・2μ2=4α4−4α2(π2刊2+・2)十(・2+ひ2+・2)2(1.3). となる.両辺を整理すると,              4α2(・2+ひ2+・2)一4ん2=4α4,. α〉0より両辺を4α2で割ると,.                      2                2 2 2 C 2  2               ”十μ十・一万π=α・                      α                2  2               α■C 2  2  2  2               (。)・十μ:α一・                 α. となり,α>Cより6=秤とおくと,                   2   2                  ”  リ.                  一十一=1                  α2 b2 が成り立つ.これは一般に知られている楕円の方程式である.逆に,この式で定義される 代数曲線が与えられたとき,上の式の計算を逆に迫ることで,式(1.1)が導かれる.この とき,式(1.3)から式(1.2)を導く際に,2α2_(π2+μ2+c2)>Oということに注意しな. ければならない b=河より,C2=α2−b2が成り立ち,           2α2一(∬2+μ2+・2)=α2+b2一(π2+リ2). となることから,2α2_(∬2+ひ2+c2)>0が成り立つ.したがってこの曲線は,2点F1 ,F2からの距離の和が一定である点の軌跡となり,楕円であることがわかる..  楕円を描く器具  長さ4(4>F!F2)の糸を用意し,一端に結び目を作る.F1,F2のとこ一ろに穴をあけ,F1. の裏側から糸を通す.他方の端はF2の表側から穴に通し,引いても抜けないように結び 目を作る.鉛筆で糸をピンと張りながら曲線を描く.描かれる曲線はF1,坊を焦点とする 楕円となり,曲線上のすべての点に対してPF1+PF2=乏が成り立つ..

(15) 第1章 高校数学への応用が可能な代数曲線. 14. 次に双曲線の命題を示す.. 命題1,170が双曲線のとき,任意の点P∈0に対してlPFl−PF21は一定である.. P 一五 、.  ’. 一↓_. 証明 ここでは,上の命題の証明で使った記号を用いる.そのとき,. lPF1−PF21=lP凡一PR21=lR1月21(一定) が成り立つ..  双曲線も2次の代数曲線として定義される.ここで,焦点F1,易の座標をそれぞれ(_c,O) ,(c,O)とし,双曲線の方程式を求める・点Pの座標を(”,μ)とおき,.               lPF1−PF2トん(ん〉O)       (1.4).

(16) 第1章 高校数学への応用が可能な代数曲線. 15. より求める1ん=2α(α∈R,c〉α〉O)とし,.          p乃=杯,P乃=研 を,式(1.4)に代入する.楕円の方程式と同様に式変形を行うことにより,                  2     2                 π    リ.                 一一     =1                 α2 C2_α2. となり,c2_α2>Oよりb=秤とおくと,                   2   2                  ”  砂.                  一一一=1.                  α2 艀 これは一般に知られている双曲線の方程式である.楕円と同様に,この式で定義される代 数曲線が与えられたとき,(”2+μ2+c2)一2α2>Oに注意し,上の式の計算を逆に迫るこ. とで,式(1.4)が導かれる.したがってこの曲線は,2点からの距離の差の絶対値が一定 である点の軌跡であり,双曲線であることがわかる..  双曲線を描く器具  乃,巧に押しピンを打ち,ハの押しピンの周りにF1を中心として回転するように棒(長 さm)を当てる.糸の長さ4を,.                 m−F1乃<4くm となるように切る.糸の一端を棒の自由端に結び,糸の他方の端を易の押しピンに結ぶ.. 棒の側に鉛筆を押しつけて鉛筆で糸をピンと張りながら曲線を描く.この曲線は,曲線上. のすべての点Pに対して,一PF1_P乃I=m_4が成り立つような双曲線の片方を描くこ とが出来る.. 注意楕円の器具では,一周することで楕円のすべてを描くことが出来る.しかし,双曲線 の器具では,片方ずつしか描くことが出来ない.これは,双曲線の連結成分と考えること が出来るが,ナッシュ既約成分とも考えることが出来る1この場合,どちらの解釈が妥当 であろうか(第1章1.4.2節(p.38)で述べることにする)..

(17) 第1章 高校数学への応用が可能な代数曲線. 16. 1.2.2 離心率と準線.  直円錐Kに内接し,平面Hに接する球のひとつを8とする.3∩Kを含む平面を五 とすると,円錐曲線σの準線とはD=亙∩Hのことであり,F=8∩Hはそれに付随す る焦点である.円でないすべての滑らかな円錐曲線は,少なくとも一つの準線をもつ.0 が円のときは,亙は∬に平行となるので,準線は存在しない.また,Pから平面亙への. 垂線の足をZ,PからDへの垂線の足をTとし,∠五PZ=α,∠TPZ=βとする.円錐 曲線0の離心率とは,e=幽のことであり,特に,             COSα.  .双曲線のときe>1  .放物線のときe=1.  ●楕円のときO<e<1 ●円のときe=0 となる.. 命題1,180が円でない滑らかな円錐曲線で,その離心率がe,準線D,付随する焦点を Fとする。このとき,すべての点P∈σに対して,PF=e・PDとなる..(PDとは,点 Pから準線Dへ下した垂線の長さとする.). 証明 任意の点P∈0とし,R=1け∩8とする. γ.       /       !      /   !      ノ1    ∬     /   P     !    r’     1. D ’3.βボ五. 線分ZP(以後,ZPと表す)は,ZP⊥亙,(円錐の軸)⊥亙より,ZP//(円錐の軸)が成. り立つ.また,ZP⊥亙,D C亙より,ZP⊥Dとなり,Tの取り方と合わせることで,.

(18) 第1章 高校数学への応用が可能な代数曲線. 17. 平面ZPT⊥Dが成り立つ.したがって,D⊂∬より,平面ZPT⊥Hとなる.ZP//( 円錐の軸)より,∠zPT=β,∠zP月=αとなり,. PZ=P五。osα=PTcosβ. が成り立つ.また,用と所は,RとFにおいて8に接するので,PR=PF,可⊥D となり,PT=PDが成り立つ.したがって,P月。osα=PTcosβより,                     COSβ.                PF=PD一=e・PD                     COSα. となる.                                  日. 系1.19焦点がFで,準線がDの放物線であるとき,すべてのP∈0に対してPF:PD となる..  放物線が2次曲線であることを見るために,準線をD,それ上にない焦点Fの座標を (c,O),点P(P≠D)の座標を(π,V)とする.また,簡単な幾何学的な考察により,点P. から準線への垂線の足の座標は(_C,V)となることがわかる、これらを用いて,放物線の 方程式を求める、.             〃=灰戸,PD=1”十・1 より,系1.19から,.                灰=1叶・1      (15) が成り立つ.両辺を2乗じ整理すると, リ2=4・・. となる.これは一般に知られている放物線の方程式である.同様に,この式で定義される 代数曲線が与えられたとき,上の式の計算を逆に迫ることで,式(1.5)が導かれる.した. がって曲線は,焦点からの距離と準線からの距離が等しい点の軌跡であり,放物線である ことがわかる..  放物線を描く器具  二つの棒を丁字型になるように直角に繋いで「丁定規」を作る.Tの縦棒と同じ長さに. 糸を切る.焦点Fと準線Dが与えられたら,糸の一端を丁定規の縦棒の端に結び,他端 を平面上の点Fに結ぶ.鉛筆で糸をピンと張り,丁定規の縦棒に鉛筆をつけたまま丁定 規の横棒を準線に沿って滑らせながら曲線を描く.こうして描かれる曲線は,焦点がF, 準線がDの放物線の一部である..

(19) 第1章 高校数学への応用が可能な代数曲線. 18. 1.2.3 接線.  どのような直線も滑らかな円錐曲線と3点以上で交わることはなく,高々2点でしか交 わらない.円錐曲線とただ一つの点で交わる直線は,次のいずれかである:    (a)円錐曲線の接線.    (b)円錐曲線が双曲線のとき,漸近線の一方に平行な直線   (C)円錐曲線が放物線のとき,軸に平行な直線.  次の命題を示す.. 命題1,200が滑らかな円錐曲線で,Pは0土の1点,Fは0の焦点であるとする.0 が放物線のときは,Dが準線で,それ以外のときは他方の焦点をFとする.   (、)・が楕円のとき,一毒と毒の間の角の二等分線は,。において。に接する.   (・)・が双曲線のとき,毒と毒の間の角の二等分線は,。において。に接する..   が放物線のとき,月∈Dを崩がDに垂直であるような点とする.このとき,   と毒の間の角の二等分線は,Pにおいて0に接する.. 祭. 証明扁はPを通る直線で,λとBは互いにPを挟んで反対側にあるとする. (α)∠λPF=∠BPFと仮定する.命題1.16より任意のR∈0に対して,RF+RF=κ となるような定数κが存在する.∠λPF=∠BP戸であるので,FP戸はFから出て痛 で反射して戸に行く最短経路である.したがって,任意のQ∈崩,ρ≠Pに対して,                  QF+QF>ん. が成り立ち,崩はPでのみ0と交わることがわかる.よって,崩はPで0に接する..

(20) 19. 第!章 高校数学への応用が可能な代数曲線. B   Q λ. P. F        F. (6)∠λPF=∠λPFと仮定する。命題1.17より任意のQ∈0に対して,lQF−QFl=κ となるような定数んが存在する.半直線声上にあって,P万=P戸となるような点万を とる..               亙F=lPF−PFl=ん. で,扁は∠FP戸を二等分するので,扁⊥症となり,Q≠Pが崩上のP以外の点 であるならば,△亙QFはQ∬=QFの二等辺三角形である.またQ,亙,Fは同一直線上 にないので,.            Q亙<QF+亙F,QF<Q∬十万F が成り立ち,すなわちlQF−Q万1<亙Fとなる.さらに,Q亙=QF,亙F=んであるの で,浦上のすべてのQ≠Pに対して,                 lQF−QFlくん となり,崩上で点PにおいてのみlpトP何一んとなる.  ここで,双曲線が平面を3つの連結な開領域に分けると考える.外側の領域の一方はF を,他方はFを含む.平面上に関数.                ∫(Q):QF−QF. ㌻㍍㍍㌫.、黒㌫た繰交㌶㍗1㍗舌1㌶ 接する..        B 一ん<∫くん ∫〈一κ.    F・.    亙    ん<∫    !     ∼.       F   !! λ.

(21) 20. 第1章 高校数学への応用が可能な代数曲線. (c)∠FPλ=∠月Pλと仮定する.系1.19より任意のP∈0に対して,PF=PDが成り. 立つ.珊はDに垂直であるので,△月PFはP月=PFの二等辺三角形である.Q∈崩. とすると,△RQFは,QF=Q月の二等辺三角形である.Q≠Pのとき,研はDと垂 直でないので,ρR>QDとなり,               ρF一ρ」フ=Q五一(フ五)〉0. が成り立つ.したがって,崩は,点Pにおいてのみ放物線0と交わる.  ここで,放物線が平面を2つの連結な開領域の境界となっており,一方の領域にF,他. 方にDが含まれると考える.関数                 ∫(ρ)=ρF一ρD. を定義する.Fが含まれる領域ではプ〈O,Dが含まれる領域では∫>0である.肩上 ではプ≧Oであるので,崩は」方の領域から他方へ横切ることはない1よって,崩は, 放物線の接線である.                           口. B            Q         !    ’       1      ’.     五   p’       \.           ’. ∫>O   、’   プ<0          \           、F λ.  以上で述べたように,円錐曲線には様々な性質がある.次に,それらの性質を利用して, 実用化されている例を挙げる、 。放物鏡.  放物鏡の対称軸に平行な方向から,放物鏡に入ってくる光は反射して放物線の焦点に集 まる.対頂角より,.                 ∠LPB=∠RPλ 命題1114より.                 ∠LPB=∠FPλ となる、.

(22) 第1章 高校数学への応用が可能な代数曲線                 21.                         B.                      P                        F.                 A.                  D  実用例:パラボラアンテナ,自動車のヘッドライト,長距離マイクロフォン,太陽光線 の収集器,反射望遠鏡など多数 。双曲鏡.  双曲鏡の一方の焦点を狙った光は,鏡から反射してもう一方の焦点に向かう..               ∠工PB=∠F.Pλ=∠FPλ が成り立つ..                            B.                F.    生.                    λ.  実用例:回転放物面の主反射鏡,反射望遠鏡 。楕円鏡.  命題1.16より,楕円鏡の一方の焦点から放射するエネルギーは,反射してもう一方の焦 点に向かう..

(23) 22. 第1章 高校数学への応用が可能な代数曲線. F            F.  実用例:歯医者のライト,アメリカ国会議事堂”囁きの回廊”  上に述べた実用例は,G・ジェニングズ[31を参考にした・. 1.3 3・4次関数  この小節では,カスプのカタストロフィーの支持関数(ポテンシャル)である4次関数と. 平衡空間を定める(4次関数の微分である)3次関数について,それらの関数がカタストロ フィー理論において果たす殺害11を説明する.. 1.3.1 カスプのカタストロフィー. 変形する4次関数  断面が次の4次関数で与えられる容器に,ボールを入れる..                    4                   ”  u2              F(u,η,”)=一十一”十り”                   4  2 ここでu=_3とし,りを連続的に動かしてみる.そのとき,ボールが止まる位置を観察 する、. U=0. ω=一1           リ=一2. り=0.

(24) 第1章 高校数学への応用が可能な代数曲線. 23.  図を見ると,ボールは4次関数の極小を与える点に止まることがわかる.さらに,ある りの値を境に極小と極大が合わさり変曲点が現れることがわかる.極小を与える点にボー ルがあると考えると,その点を境にボールの止まる位置が不連続になるように動くことに なる.このような不連続現象のことをカタストロフィー現象という.〃を固定して,uを 動かしてみても同様のことが起きる.. ジーマンのカタストロフィーマシン  カタストロフィーがどのような現象であるのか理解しやすくするために考案された教具 として,ジーマンのカタストロフィーマシンが知られている、初めに,それの作り方につ いて述べる1.  作り方 ゴムひも1本,押しピン2個,虫ピン1個,ボール紙数枚を用意する.中心λ, 半径が1.2である円板をボール紙から切り取る.同心で半径1の円を,円板に書いておく. 円板の中心を押しピンでボール紙数枚で作った台に自由に回すことができるように固定し,. ボール紙にAB=2となるように一点Bをとる.ゴムひもの一端を点Bに押しピンで固定 する.先に作成した円板の半径1の円周上の点0に裏側から虫ピンを刺し,ゴムを引っか ける.また,針が出たままでは危険であるため,ペンチで針を曲げた後,上からガムテー プを貼るなどして,針が出ない状態を作る必要がある一(作り方の説明において,長さの 単位は与えていない.実際に作成するときには,長さの比率を守れば,各長さを随意に決. めてよい.写真では,作りやすいように円の半径を3cm,AB=13cmとしている).  マシンを用いた観察 ゴムをピンと張るように持つ(持った位置を自由端Pと呼ぶこと にする)。自由端Pを持ち,円板をゆっくり回すように動かす一動かしていると,ある点 を通るときに突然ジャンプすることがある.連続的に動かしているにも関わらず,円板が 止まる位置がジャンプするという不連続な現象が起きる.これが,このマシンのカタスト.

(25) 24. 第1章 高校数学への応用が可能な代数曲線. ロフィーである、また,このジャンプが起こるたびに,点Pに印をつける.この作業を繰 り返すと,以下の図において曲線が集中して濃くなる曲線(これらの曲線族の包絡線)が出 来る.(図は野口広[41から引用.). 〃〃一 一べ. D・. D、一. X・.・.. r繊如一一一.  ひし形をゆがめた形状の図形が,このシステムのカタストロフィー集合である.この集 合は,4つの尖点を持っている.  次に,このマシンのカタストロフィーを数学的に解析する.λ(0,O),B(O,_2),自由端 をP(ρ,q)とし,Qはカタストロフィー集合のλに最も近い尖点とする・また直線λB,λ0 のなす角をθとする.すなわち,0(sinθ,一。osθ)となる.. ρ(・,。。)P(ρ,・) ρ(・,。。)P(川. 1. λ(O. O). 1. 一1 θ. 0(sinθ,一 0(smθ,一。osθ). 一1. 一2. B.

(26) 第1章 高校数学への応用が可能な代数曲線. 25. このとき,元のゴムの長さが1のマシーンの持つポテンシャルエネルギーγ(ρ,q,θ)は,. フックの法具1」より,ゴムの伸びの2乗の和に比例することが知られている.比例定数を1 とすると,次の式が成り立つ. γ(ρ,9,θ)=1{(B0−1)2+(0P一)2}.      ={・m2θ十(一…θ十2)・一1}2+{面一1}2      ={(5−4…θ)1/2−1}2+{(1+ρ2+q2−2ρ・i・θ斗2g…θ)1/2−1}2(1.6). ここで,カタストロフィー集合上の尖点Kでの座標変換を行うことにより,γ(ρ,g,θ)は.                     4                    π  u2              F(u,U,”)=一十一π十口”                     4  2 になり,上記の4次関数と一致することがわかる.この座標変換は少し面倒な言十算によっ てなされるが,ここでは割愛する.興味のある方は,前述の[4]を参照のこと..  4次関数や以下で述べるジーマンのカタストロフィーマシンに現れるカタストロフィー のことをカスプ(裸形)と呼ぶ.. 1.3.2 初等カタストロフィー  ここでは,カスプのカタストロフィーを通して,カタストロフィー理論の枠組みについ て説明する.. カタストロフィー理論における用語  カタストロフィー理論を数学的に定式化する上で,必要な用語を準備する、  4次関数(またはジーマンのカタストロフィーマシン)の変数(u,り)(または(ρ,q))を決. めたとき,要因”(またはθ)に基づく支持関数(ポテンシャル関数)が定まり,その極小値 の選択の仕方によりボールの止まる(または円板の止まる)位置が決定されると解釈する..  カスプの支持関数F:R2×R→Rを                     4                     ”  C12              F(・1,・2,Z)=一十一”十・2π                     4  2. で定義される4次関数とする、ここで,”が値をとる集合Rを行動直線(一般には行動空 間),(C1,C2)が値をとる集合R2をコントロール平面(一般にはコントロール空間)と呼ぶ. また,C=(C1,C2)を固定して,∫。:R→Rを∫。(”)=芋十号”2+C2”で定義した関数を. 支持関数といい,次の式で定義される曲面Mをカタストロフィー曲面(一般にはカタスト ロフィー多様体)という: M一{(、1,、、,”)∈・…(一・・)1迎(”)一、・。。1”。。、一・}..                 伽.

(27) 26. 第1章 高校数学への応用が可能な代数曲線.  定義より明らかなように,Mは関数∫。たちの極小を与える安定平衡点,極大を与える 不安定平衡点と,変曲点からなる集合である.したがって,M一のことを平衡空聞と呼ぶ.. 極小を与えるところで,ボールや円板が止まるので,Mはカタストロフィー理論におい て重要な研究対象であることがわかる.  π:R2×R→R2をπ(c1,c2,”)=(c1,c2)で定義される自然な射影とする・πのMへ. の制限X=πlM:M→R2をカタストロフィー写像と呼ぶ.カタストロフィー写像の特 異点全体の集合8を特異集合,B=x(8)を分岐集合という.コントロール平面の上で分 岐集合を横切るときに,カタストロフィージャンプが起こるので,分岐集合はカタストロ フィー理論において最も重要な研究対象である..  カスプの場合の,特異集合8と分岐集合3を求めてみる.写像             ψ:R2→〃,(・。,π)→(・1,・。,π). により,(π,cユ)一平面とカタストロフィー平面M’は(微分同相の意味で)1=!の対応がつく. ので,それらを同一視する.このとき,          D。一X。ψ:R2→R2,(・。,・)→(一π3一・。・,・。). のヤコビ行列は. ⊂㌣一∵). (1.7). である..  集合8はカタストロフィー写像の特異点全体の集合であるので,(c1,c2,”)∈M一がXの 特異点である必要十分条件は,(C1,C2,π)∈Mで,(C1,π)がDXの特異点となることであ る.さらに,(c1,c2,”)∈M一でDxの特異点となるには,(1.7)の行列式がOになることで ある.すなわち,.          ∂F 。     ∂2F 。.          π=π十。1”十。・=0・π=3”十。1=0 を同時に満たすことである.したがって,        3={(・ユ,・。,・)∈R31・3+・ユπ十・。=O,3・2+・ユ=0}. となる.特異集合とは,カタストロフィー曲面の接平面が鉛直的となる点の集合である、 分岐集合Bは,”3+c1”十。2=Oかつ3”2+c1=0を満たすπが存在する(c1,c2)全体の 集合である.よって,c1=一3π2,c2=2π3より, B={(・ユ,・。)∈R214・言十27・姜=O} となる..

(28) 27. 第1章 高校数学への応用が可能な代数曲線. カタストロフィーの解釈 ここでカタストロフィーマシンの動きについて,以下の図を用いてその解釈を述べる.. 〃  8’.     M. し λ B        万    0. コントロール平面上に図のように選んだ直線状の5つの点について,それを平衡空間M に移すことを考える.点λ,亙については,平衡空間にただ一つの点〃,亙’がそれぞれ定. まる、コントロール平面上の点B,Dにはそれぞれ二つの点が,点0には三つの点が定ま ることがわかる.今,コントロ』ル平面上にとった直線に沿ってλから亙への向きに対 応するM’上の点は,Dに対応する点で途切れることになる.つまり,M上を上から下へ 飛び移ることになる.このとき,カタストロフィーが起こることがわかる.また,亙から λの向きにコントロール平面上にとった直線状を動くときには,3に対応する点でカタス トロフィーが起こることがわかる..  この小節の最後に,7つの初等カタストロフィーについて述べる.それらの支持関数を. φ:w×R9→Rとする.Rρは上で述べたコントロール空間,Rqは行動空間である. ・折り目(缶1d)カタストロフィーρ=1,q=1のとき,.                     1                φF(・,π)=一π3+・・                     3 ・カスプ(cusp)カタストロフィー ρ=2,q=1のとき,.                    1   1            φ0(・1,刎。,・):一π4+一ψ2+ψ                    4   2.

(29) 第1章 高校数学への応用が可能な代数曲線                 28  ・つばめの尾(swa11owtai1)カタストロフィー ρ=3,q=1のとき,.                    1  1    1           φ5(伽。,・。,・。,π)=一κ5+一榊3+一似2+・1π                    5  3    2  ・双曲的へそ(hyperbo1icumbi1ic)カタストロフィー ρ=3,q=2のとき,         φH(刎ユ,α。,・。,・1,・。)=仙1・1+螂。十榊1・。十・芋十・蔓.  ・楕円的へそ(e11iptic umbi1ic)カタストロフィー ρ=3,q=2のとき,       φE(・。,・。,伽。,π1,π。)=ψ。十・。π。十・。(・1+π姜)十へ一3π。・葦.  ・蝶(butter且y)カタストロフィーρ=4,q=1のとき,                   1  1    1    1        φB(・1,吻,刎。,・。,π):一π6+一ψ4+一岬3+一・。π2+・。π                   6  4    3    2  ・放物的(parabo1ic umbi1ic)カタストロフィー ρ=4,q:2のとき,       φp(・。,・。,・。,・。,・1,・。)=舳1+舳。十榊三十・。㏄;十和。斗4.  カタストロフィーにおける主定理を述べる.. 定理1.21(トムの初等カタストロフィーの主定理)コントロール空間RPの次元ρ≦4の ときに現れる.構造安定なカタストロフィーは,7つの初等カタストロフィーのいずれか を組み合わせたものである..  ここで構造安定の概念を大雑把に述べる.支持関数が構造安定とは,少し摂動しても座 標変換を行うとタイプが同じものになるということである.上の定理の証明に関心のある 場合は,野口広・福田拓生[5]を参照のこととする.. 1.3.3 分岐集合は代数的集合か  カタストロフィー理論において,重要な研究対象である「分岐集合が,初等カタストロ フィーのどの場合においても代数的集合であるのか」をここで解析することにする.. カスプの場合.  前小節見たように,カスプの分岐集合Boは,            B。={(・1,・。)∈R214・子十27・姜=0}. である、よって,カスプの分岐集合は,代数的集合であることがわかる..

(30) 第1章 高校数学への応用が可能な代数曲線. 29. つばめの尾の場合  ∫。(”)=払5+去C3π3+士C2π2+C1πより,分岐集合B8は,. ・・一/(・1,・・,・・)1・・1砦一・かつ砦一・1なる・が存在/. のことであり,. B8={(c1,c2,c3)∈R31”4+c3”2+c2”十。1=0かつ4が十2c3”十。2=Oとなるπが存在} となる.これより, ・1=3π4+・。π2,・。=一4・3−2・。π. である.したがって,        B。={(3π4+・。・2,一4π3−2・。・,・。)∈R31π,・。∈R} となる..  ここでB5において,c2=0とすると,                 ・(2π2+・。)=O. が得られる、さらに,”=Oの場合,.                  c1=c2=O となる.また2π2+c3=0の場合,                  ・3=一2・2≦O が成り立ち,.                  32 12 12                C1:一C3一■C3=一C3.                  4  2  4 となる..  したがって,B8はC3軸と                      1           {(・1,・。,・。)∈R31・。=一・葦,・。:O,・。≦0}                      4 の和集合となり,代数的集合ではないことがわかる.代数的集合の共通部分は代数的集合. であることより,B8も代数的集合でないことがわかる.さらに,2章2節で述べる幾何学 的なタルッキー・ザイデンベルクの定理を用いることにより,珠は半代数的集合であるこ とがわかる.カタストロフィー理論と応用についてより詳しく知りたい場合は,T.Poston・ I.Stewart[171を参照のこととする。.

(31) 第1章 高校数学への応用が可能な代数曲線. 30. 1.4 ワット曲線(6次の代数曲線)  ワット曲線とは,「4本の連結棒」と呼ばれるシステムにおいて,直線になるように固定. された真ん中の2本の連結棒の中点が描く軌跡のことである.. この曲線は,それまで非実用的であった蒸気機関の性能を飛躍的に向上させ,産業革命を けん引したジェームズ・ワットによって発見された.蒸気楼閑の動力の伝達にも連結棒が 用いられることから,蒸気機関との関連でこのような数学的間題意識を持ったものと思わ れる.. 1.4.1 ワット曲線の解析  両端の固定点をλ,Dとし,自由に動くことが出来る3本の連結棒をλB,B0,0D,線. 分λDの中点を0,β0の中点をPとする.さらに,点Pを通り線分λDと平行に線分 PXを引く.また,. ∠POD=θ,∠0PX=φ. 0P=r,λB=0D=α.

(32) 第1章. 31. 高校数学への応用が可能な代数曲線.   λ0=0D=c,BP=P0=6 とする、. P 「θ. 0. λ.                 ワット曲線の解析 ワット曲線が6次の代数曲線であることは,今年度から高校数学の内容に復帰することに なった複素平面の性質を用いて証明することが出来る.初めにその複素平面の性質を用い た3つの命題を述べる.(図はJ.W.Rutter[19]を参照.). 命題1.22r2;α2一わ2−c2+2わ。cosφ. 証明 上の図が複素平面上に描かれているとし,点0を原点とすると,          λ=一・,D=・,B=・・{θ一わ♂,0=・・古θ十b・{φ. となる10D=λB=αより,                1・・{θ十6・4φ一・トα. (1.8).                1・・{θ一6・{φ十・1=α. (119). である.式(1,8)を平方して計算することより,       ・2+あ2+・2一α2−2・㏄・・θ一2δ・…φ十2伽・・(θ一φ)=0. (ユ.ユO). が得られる.同様にして,(1.9)より,.       ・2+b2+・2一α2+2・・…θ一2b・…φ一2・b…(θ一φ)=O を得る(’’O)吉(111)より,. ・2. {あ2+・2一α2−2b㏄・・φ=0. となり,. ・2=α2一あ2一・2+25㏄・・φ. であることが示された.. (1.1!).

(33) 第1章 高校数学への応用が可能な代数曲線. 32. 命題1・23tanθ=c云…講φ 証明 (1,11)と(1.10)の差をとり4で害1」ると,.               rccosθ一rbcos(θ一φ)=O となる.この式にCoS(θ_φ)に関して加法定理を用いると,.            c cosθ一6cosθcosφ一6sinθsinφ:O となる.両辺をCOSθで割ると,.               c−6cosφ一btanθsinφ=0 となるので,.                    C−6COSφ                 tanθ=                     bSinφ が成り立つ.. 命題1.24r2=α2一(cs1nθ±砺)2 証明命題!、23より,.                    C−6COSφ                 Sinφ:                     6tanθ. (1.12). が成り立つ.これをsin2φ十。os2φ=1に代入することより,            (・一6…φ)2+b2t・・2θ…2φ=b2t・・2θ が得られ,.         ・2−2δ・…φ十62…2φ十う2t・・2θ…2φ=62t・・2θ. となる.両辺にCOS2θをかけて整理すると,.         ・2…2θ一2b㏄・・2θ…φ十62…2φ一わ2・in2θ:0 となり,したがって,.            6㏄・・2θ土灰        COSφ=                      あ2.            ・…2θ±河          6. 。。。。2θ一。。mθ冊             6 と求まる.. 両辺を2bc倍して,.     2b。。・。φ=2.2…2θ±2・…θ杯. (1.!3).

(34) 第1章 高校数学への応用が可能な代数曲線                 33 と変形しておく・ここでb2+c2−26ccosφに式(1.13)を代入すると,     b2+・2−26・…φ=・2・i・2θ上2・・i・θ62一・2…2θ十(b2一・2…2θ).              =(・・i・θ±わ2一・2…2θ)2      (1.14) となる.式(1114)を命題1.22に代入することにより,.             ・2=α2一(・・mθ⊥灰)2 が成り立つ..  命題1.22と命題ユ、24の中で示した式(1.13)を用いることにより,次の定理を証明する ことが出来る.. 定理1.25ワット曲線は6次の代数曲線である. 証明 点0を原点とし,点P(π,リ)とすると,             ・=・…θ,ひ=・・i・θ,・2打2=・2 である.命題1.22,式(1.13)より,.         r2=α2−b2−c2+2c2cos2θ±2c sinθ  62−c2c082θ. であり,両辺をr2倍すると,.     ・4一(α2−62一・2)・2+2・2(・…θ)2±2・(・…θ)阿戸 となる.”=rCoSθ,リ=rSinθを用いてθを消去すると,.          ・4一(α2一う2一・2)・2−2ん2=土2・μ杯 両辺を2乗すると, r8+(α2一ろ2−c2)2r4+4c4”4−2(o2一う2−c2)r6−4c2”2r4+4(α2−52−c2)c2”2r2=4c2〃2(あ2r2−c2”2). となり,整理すると ・2. o・6−2(α2一わ2一・2)・4+(α2一わ2一・2)2・2−4〃・2+4(α2−b2一・2)・2・2−4b2・2リ2+4・4π2}=O.                                       (1.15).

参照

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