3.1 半代数的集合のクラスの安定性性質
半代数的集合の定義は1章1節で与えたが,ここでは少し形式を変えたものを述べる.
R帆の半代数的集合とは,実係数多項式不等式のブール結合を満たすR帆の点( 1,。..,π帆)
からなるRnの部分集合である.したがって,Rnの半代数的部分集合は,次の性質を満た すR九の部分集合の最小旗8んを形成するものと言い換えられる:
性質1.Pがη次の実係数多項式のとき,{ ∈股n l P( ):O}∈8んかつ{ ∈ RれlP( )>0}∈8λnとなる.
性質2.λ,B∈8んならば,AUB,λ∩B,Rη\λ∈8んである.
R九の部分集合が半代数的集合であるということは,アフィン座標の選び方に依らない、
命題3.1Rnのすべての半代数的集合は,次の形式の有限個の半代数的集合の和となる:
(*){π∈RれI P(π)=OかっQ1( )>Oかっ_かっQル)>O}
ただし,4は自然数で,P,Q1,…,軌はη次の実係数多項式である.
証明 (・)の形式で表される部分集合の有限和の族が,上の性質1,2を満たすことをチェッ
クする.
Pをη次の実係数多項式とする.このとき,
{ ∈RηlP(π)=O}={π∈R皿1p( ):O,1>O}
また,
{π∈R冊1p(π)>O}={・∈R皿10=0,P(・)>O}
となり性質1を満たす、
次に,
λ={ ∈R几■P( )=OかっQ1(π)>Oかっ..、かっQゼ( )>O},
B={ ∈Rη一月(π)=Oかっ81(π)>Oかっ..。かっ8m( )>O}
とする.このとき,λ∪Bは(*)の形式の和で表すことができる、
λ∩B={ ∈Rηl P( )2+月(π)2=OかつQ1(π)>Oかつ…Qゼ( )〉O
かつ81( )〉0かっ.。、かつ8m( )>O}
となることより,14∩Bも(*)の形で表すことができる.
最後にRれ\λ=〃より
λc一∩{・∈Rnlp(π)≠0またはQ・≦O/
j=1,…,ゼ
一∩(/・∈RΨ(・)・O}・{・∈Rれ1−P(π)・0}
ゴ=1,…,ゼ
∪{・∈RnlQj(境)=0}∪{・∈R几1−Qル)〉0})
となる、したがって,上で示したことを用いることにより,Rn\λは(*)の形式の有限和 で表すことができる. 口 例3.2半代数的集合のいくつかの基本的1性質を挙げる、
・理g半代数的部分集合は,有限個の点と開区間の和となる・
.Rηの代数的集合は,半代数的集合である.
・F:Rm→Rれを多項式写像,すなわちF=(F1,…,凡)で,各ハがη変数の実係 数多項式関数とする.また,λをRれの半代数的部分集合とする.そのとき,F…1(λ)
はRmの半代数的部分集合である.
・λがRnの半代数的部分集合で,z⊂Rηは直線とする.そのとき,工∩λは有限 個の点と開区間の和となる.
・λ⊂RmとB⊂Rnが半代数的であるとき,λ×BはRm×R帆の半代数的部分集
合である.3.1.1 タルッキー・ザイデンベルクの定理の結果
定義や側3,2から,半代数的部分集合の族は,有限和と共通部分,補集合,多項式写像 による逆像,直積の下で閉じている.これは,多項式写像の像の下でも閉じている.
定理3.3タルッキー・ザイデンベルクの定理一8εcoηd∫orm一
λがRn+1の半代数的部分集合で,初めのη座標の射影をπ:R帆十1→Rηとする.この とき,π(λ)はR肌の半代数的部分集合である.
証明 λは形式
{・=(π1,…,π几。1)∈R帆十11p(・)=0,Q。(・)>O,…,Qκ(・)>0}
をした有限個の部分集合の和であるので,λをこの形式となると仮定してよい.定理2.8 より,X1,… ,Xれの多項式方程式・不等式のブール結合C(X1,…,X几)で次を満たすも のが存在する:
π(λ)={( 1,…, η)∈Rnlヨ 九十1∈R( 1,…, η,蛎十1)∈λ}
はC(π1,。。., η)を満たす( 1,_,必。)の集合となる、したがって,π(λ)は半代数的集合 である.
ここで,上のタルッキー・ザイデンベルクの定理から得られるいくつかの系を示す.特に 系3.4の1,2は,それら自体がタルッキー・ザイデンベルクの定理とよばれることもある.
系3・4 j、λがRη十たの半代数的部分集合で,射影π:Rη十色→Rηとするとき,π(λ)
はRnの半代数的部分集合である.
乏.λがRmの半代数的部分集合で,多項式写像F:Rm→R肌であるとする.そのと き,像F(λ)はR肌の半代数的部分集合である.
証明 1の証明については,んについて帰納法を用いることで証明を示すことができるの で,ここでは2の証明について述べる.
RmとRηの座標をそれぞれ, =( 1,.。。,伽),ひ=(μ1,_,リれ)とし,F:(F1,_,凡)
とする.
ここで,
9・αψF={( ,F(π))∈Rm・Rη1 ∈Rm}
={( ,ひ)∈Rm×Rη1μ1=F1( ),…,μη=Fη(π)}
より,grαψFはRm×R皿の代数的集合である.一方,λ×R几はRm×Rれの半代数的
集合である.
したがって,gmψF∩(λ×R肌)は,R㎜×Rnの半代数的集合である.π:Rm×R肌→Rn を自然な射影とすると,
F(λ)=π(9町んF∩(λ×Rn))
となるので,1よりF(λ)はRηの半代数的集合である. □ 系3・5λがRnの半代数的部分集合のとき,Rnの中でλの閉包。J08(λ)は半代数的集合
である.
証明 λの閉包は
c王08(λ)={π∈Rn l∀ε∈R,ε>o⇒ヨμ∈R几,v∈λかつll 一リ112<ε2}
と表される.ここで,
几
B={(π,ε,V)∈Rη・R・Rη〜∈λかつΣ(吻一ω2<ε2}
4=1
とおくと,BはRηX R×Rnの半代数的集合である.また,π1:R几×R→Rn,π2:
Rn×R×R冗→Rη×Rを
π1( ,ε)= ,π2( ,ε,μ)=( ,ε)
で定義される射影とする.これらのBと,π!,π2を用いてCJ05(λ)を書き表すと,
・1・・(λ)=R帆\(π1({( ,ε)∈Rn・則ε>O}\π2(B)))
となる.したがって,系3.4と側3.2の性質より,c105(λ)はRηの半代数的集合である.□
集合が半代数的集合であることを示す際に,論理学の分野では上のように射影を構成 することは実際には行わず,公式を用いてかくことが多い1この小節の以下の部分では,
そのことにも触れておく.実パラメータをもつ順序体の言語の第」順序公式(伽8f−or伽 プ。rm仙 αノにより意味づけられるものを精確に作る.第一順序公式は次のルールにより得ら
れる.
ゴ.Pがη次の実多項式のとき,P=0とP>Oは第一順序公式である.
2.Φ,Ψが第一順序公式ならば, ΦかっΨ(Φ〈Ψ) , ΦまたはΨ(Φ〉Ψ) , Φでな い(rΦ) は第一1頃序公式である.
3、Φが公式で,XはR上に値をとる変数とする.そのとき,ヨXΦと∀XΦは第」順序 公式である.
ルール1,2のみを用いて得られる公式は,限定記号のない公式(ψ㎝蜥εr一価e∫ormuJα8)
とよばれる.したがって半代数的集合の定義より,λ⊂Rnが半代数的集合であるための 必要十分条件は,限定記号のない公式Φ(X1,…,Xη)で,
( 1,… , η)∈λ⇔Φ(π1,… , n)
となるものが存在することである.
タルッキー・ザイデンベルクの定理は,次の有用な公式化をもつ.
定理3.6タルッキー・ザイデンベルクの定理一舳加dプ。rm一
Φ(X!,_,Xn)が第一順序公式のとき,Φ(π1,_, れ)を満たす集合( 1,_, れ)∈Rn は半代数的集合である.
証明 公式の構成に関する帰納法で示す.
ルール1では,多項式から半代数的集合のみを作り出す.ルール2では,半代数的集合 から新たに半代数的集合のみを作り出す、ルール3より,
{(π1,…,・、。1∈R肌十1)1Φ(π。,…,・叶。)}
が半代数的集合ならば,R几上への射影
{( 1,… ,πη∈Rη)1ヨ 肌十1Φ( 1,… ,πη十1)}
も半代数的集合である.また,∀XΦは1ヨX1Φと同値である.ここで,ルール2よりrΦ は第一順序公式である、上の議論よりヨX1Φは半代数的集合であり,半代数的集合の性 質より,rヨXrΦも半代数的集合である.したがって,∀XΦは半代数的集合となる1ロ タルッキー・ザイデンベルクの定理の証明については,λ。8m㎝bεrg∫20ノ,Pl∫0o加η〃
0.肌B用m伽J〃のλ〃eη肋に上とは異なった証明が与えられている.
3.2 半代数的写像
3.2.1 定義と性質
定義3.7λ⊂R㎜,B⊂Rηを半代数的集合とする.写像∫:λ→Bが半代数的である とは,そのグラフ
r∫={( ,μ)∈λ×引μ=∫( )}
がRm×R肌の半代数的集合であるときにいう.
ここでいくつかの例を挙げる.
側3.8 .プ:λ→Bが多項式写像ならば,半代数的である.
・∫:λ→Bが正則な有理写像ならば,半代数的である、
.∫:λ→Rが半代数的関数ならば,一∫Iは半代数的である.
・∫:λ→Rが半代数的かつλ上プ≧0ならば,〉アは半代数的である.
タルッキー・ザイデンベルクの定理を用いることにより,次の性質が成り立つことが容 易に示されるから従う.
系3.9 ゴ.半代数的写像による半代数的集合の像と逆像は,半代数的集合である.
2.2つの半代数的写像の合成は,半代数的写像である.
3.2.2 ロジャシェヴィッツの不等式(Zo畑4εω乞。z伽eψαJ物ノ
ロジャシェヴィッツの不等式6μψは,2つの連続な半代数的関数の増大の関係に関す る情報を与える.初めに,一変数の半代数的関数の増大を計算する.
命題3.ユ0プ:(λ,十〇〇)→Rを半代数的関数とするC必ずしも連続である必要はないノ、そ のとき,すべてのπ∈(B,十〇〇)に対して,1∫( )1≦がとなるB≧λと整数N∈Nが存
在する.
証明 rを∫のグラフとすると,rはR2の半代数的集合である・命題3・1より,F=
G1U…∪Gρで,各G4は
GF{(・,μ)∈R21B(・,ひ)=0,Q{,。(π,μ)〉O,…,Q{,κ、(・,ツ)〉0}
の形式で表される空でないR2の部分集合である.このとき,すべての多項式月はリに関 する次数個〃>Oであることに注意する.したがって,すべてのB(叫V)の積P( ,μ)
を
P(π,μ)=α。(・)〆十α1(・)μd−1+…十α。(π)
とし,d>O,αo≠0とする・ここで,0≧λをαo( )が(0,十〇〇)上で消えないように選 ぶ.命題2.4より,
α{(π)土 1ル)1≦m・X(ψ 1)・
1=1,…,dαO(π)
を得る. を十分に大きくすると,不等式の右辺はあるλ〉O,α∈Qに対して,畑αと 同等となる.よって, ≧Dが十分大きいとき,1∫( )1≦2畑αとなるD≧0が存在 1する さらに,W〉αを非負整数とし,B=max((2λ)〃一α,D)とすると, ≧Bで,
げ( )1≦2畑α≦ wとなる. □ したがって,半代数的関数の増大は,多項式的増大で押さえられていることがわかる.
定理3.〃(ロジャシェヴィッツの不等式)K⊂Rηをコンパクトな半代数的集合,プ,g:
K→Rを連続な半代数的関数で,∫一1(O)⊂g−1(O)つまり ∀ ∈K(∫(π)=0⇒g( )=O)
とする.このとき,次を満たす整数W∈Nと定数0>Oが存在する:
∀ ∈K 19(π)lw≦01∫( )1
証明 元〉Oに対して,巧={ ∈Klオlg(π)1=1}とする、FtはKの中で閉なので,珂 はコンパクトである.乃≠⑦とすると,∫は月上で消えず,連続関数 →赤は月上
で最大値θ(亡)をもつ・珂=⑦のとき,θ(士):0とする・関数θ:(O,十〇〇)→Rは半代数的
である.命題3.10より,B>O,W∈Nで
∀士>Blθ(1)1≦lN
を満たすものが存在する、亡=」」より,
9(皿)1
1 1 1
∀ ∈K(O<■・( )Iく百⇒一∫(、)一≦一。( )■・)
が成り立つ.Dをコンパクト集合
1
{・∈K119(π)≧一1}
B
上の連続関数■紺の最大値とし・・一…(1,・)とおくこのとき,すべての・∈K
に対して,
19(π)lN≦Dlル)1
より,
19(π)lN≦01∫(π)1
を得る.
3.3 半代数的集合の分解
前節より,Rの半代数的部分集合は,有限個の点と開区間の和として公害11することが できた、ここでは,すべての半代数的集合が,異なる次元の開起立方体(O,1)dに半代数 的同相である半代数的集合の有限個の直和として分解できることを見る.半代数的同相 ん:8→Tとは,8からTへの全単射の連続半代数的写像で,ん一1:T→8も連続となる
ものである.
3.3.1 円筒状代数的分解
R凧の円筒状代数的分解とは,列C!,…,C。のことで,各Cた(1≦ん≦η)は次の性質を 満たす半代数的部分集合へのRたの有限分割になっているものである(各0κをセルとよぶ
):
・各セル0∈C1は点または開区間である.
・すべてのん(1≦ん≦η)と,すべての0∈0此に対して,有限個の連続な半代数的 関数
ξo,・<…<ξo,老σ:0→R
で,円筒0×R⊂R用が次のいづれかを満たすCた十1のセルの直和となるものが存 存する: